本発明の具体的な各実施形態を説明する前に、図面を参照して、本発明に係る塗布装置の概要について説明する。説明を具体的にするために、当該塗布装置が有機EL材料や正孔輸送材料等を塗布液として用いる有機EL表示装置を製造する塗布装置に適用された例を用いて、以下の説明を行う。当該塗布装置は、有機EL材料や正孔輸送材料等をステージ上に載置されたガラス基板上に所定のパターン形状に塗布して有機EL表示装置を製造するものである。図1は、塗布装置1の要部概略構成を示す平面図および正面図である。なお、塗布装置1は、上述したように有機EL材料や正孔輸送材料等の複数の塗布液を用いるが、それらの代表として有機EL材料を塗布液として説明を行う。
図1において、塗布装置1は、大略的に、基板載置装置2および有機EL塗布機構5を備えている。有機EL塗布機構5は、ノズル移動機構部51、ノズルユニット50、および液受部53Lおよび53Rを有している。ノズル移動機構部51は、ガイド部材511が図示X軸方向に延設されており、ノズルユニット50をガイド部材511に沿って図示X軸方向に移動させる。ノズルユニット50は、赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料を吐出するノズル52a〜52cを並設した状態で保持する。各ノズル52a〜52cへは、それぞれ供給部(図2参照)から赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料が供給される。このように、典型的には3本のノズル52a〜52cから同じ色の有機EL材料が吐出されるが、説明を具体的にするために赤色の有機EL材料が3本のノズル52a〜52cから吐出される例を用いる。なお、塗布装置1は、その周囲や内部が第1〜第3ボックス61〜63等で仕切られているが、詳細は後述する。
基板載置装置2は、ステージ21、旋回部22、平行移動テーブル23、ガイド受け部24、およびガイド部材25を有している。ステージ21は、被塗布体となるガラス基板等の基板Pをそのステージ上面に載置する。ステージ21の下部は、旋回部22によって支持されており、旋回部22の回動動作によって図示θ方向にステージ21が回動可能に構成されている。また、ステージ21の内部には、有機EL材料が塗布された基板Pをステージ面上で予備加熱処理するための加熱機構や基板Pの吸着機構や受け渡しピン機構が設けられている。
有機EL塗布機構5の下方を通るように、ガイド部材25が上記X軸方向と垂直の図示Y軸方向に延設されて固定される。平行移動テーブル23の下面にはガイド部材25と当接してガイド部材25上を滑動するガイド受け部24が固設されている。また、平行移動テーブル23の上面には、旋回部22が固設される。これによって、平行移動テーブル23が、例えばリニアモータ(図示せず)からの駆動力を受けてガイド部材25に沿った図示Y軸方向に移動可能になり、旋回部22に支持されたステージ21の移動も可能になる。
受け渡しピン機構を介してステージ21上に基板Pを載置し吸着して、平行移動テーブル23が有機EL塗布機構5の下方まで移動したとき、当該基板Pが赤色の有機EL材料の塗布をノズル52a〜52cから受ける位置となる。そして、制御部(図2参照)がノズルユニット50をX軸方向に往復移動させるようにノズル移動機構部51を制御し、ステージ21をY軸方向へ当該直線移動毎に所定ピッチだけ移動させるように平行移動テーブル23を制御し、ノズル52a〜52cから所定流量の有機EL材料を吐出する。また、ノズル52a〜52cのX軸方向吐出位置において、ステージ21に載置された基板Pから逸脱する両サイド空間には、基板Pから外れて吐出された有機EL材料を受ける液受部53Lおよび53Rがそれぞれ固設されている。ノズル移動機構部51は、基板Pの一方サイド外側に配設されている液受部53の上部空間から、基板Pを横断して基板Pの他方サイド外側に配設されている液受部53の上部空間まで、ノズルユニット50を往復移動させる。また、平行移動テーブル23は、ノズルユニット50が液受部53の上部空間に配置されている際、ノズル往復移動方向とは垂直の所定方向(図示Y軸方向)に所定ピッチだけステージ21を移動させる。このようなノズル移動機構部51および平行移動テーブル23の動作と同時にノズル52a〜52cから有機EL材料を液柱状態で吐出することによって、赤色の有機EL材料が基板Pに形成されたストライプ状の溝毎に配列された、いわゆる、ストライプ配列が基板P上に形成される。
次に、図2を参照して、塗布装置1における制御機能および供給部の概略構成について説明する。なお、図2は、塗布装置1の制御機能および供給部を示すブロック図である。
図2において、塗布装置1は、上述した構成部の他に、制御部3、第1供給部54a、第2供給部54b、および第3供給部54cを備えている。第1〜第3供給部54a〜54cは、共に赤色の有機EL材料をそれぞれノズル52a〜52cに配管を介して供給する。なお、供給源541a〜541cからノズル52a〜52cに至るそれぞれの配管は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、テフロン(登録商標)等を材料とする管部材が用いられる。
第1供給部54aは、有機EL材料の供給源541aと、供給源541aから有機EL材料を取り出すためのポンプ542aと、有機EL材料の流量を検出する流量計543aとを備えている。また、第2供給部54bは、有機EL材料の供給源541bと、供給源541bから有機EL材料を取り出すためのポンプ542bと、有機EL材料の流量を検出する流量計543bとを備えている。第3供給部54cは、有機EL材料の供給源541cと、供給源541cから有機EL材料を取り出すためのポンプ542cと、有機EL材料の流量を検出する流量計543cとを備えている。そして、制御部3は、第1〜第3供給部54a〜54c、旋回部22、平行移動テーブル23、およびノズル移動機構部51のそれぞれの動作を制御する。
ノズル52aは、供給部54aから供給された有機EL材料中の異物を除去するためのフィルタ部521aを有している。ノズル52bは、供給部54bから供給された有機EL材料中の異物を除去するためのフィルタ部521bを有している。ノズル52cは、供給部54cから供給された有機EL材料中の異物を除去するためのフィルタ部521cを有している。なお、ノズル52a〜52cは、それぞれ同一の構造であるため、総称して説明する場合は参照符号「52」を付して説明を行う。
ここで、赤色の有機EL材料の塗布を受ける基板Pの表面には、有機EL材料を塗布すべき所定のパターン形状に応じたストライプ状の溝が複数本並設されるように形成されている。有機EL材料としては、例えば、基板P上の溝内に拡がるように流動する程度の粘性を有する有機性のEL材料が用いられ、具体的には各色毎の高分子タイプの有機EL材料が用いられる。ノズルユニット50は、所定の支持軸周りに回動自在に支持されており、制御部3の制御によって当該支持軸周りに回動させることで、塗布ピッチ間隔を調整することができる。
制御部3は、ステージ21に載置された基板Pの位置や方向に基づいて、基板Pに形成された溝の方向が上記X軸方向になるように旋回部22の角度を調整し、塗布のスタートポイント、すなわち、基板Pに形成された溝の一方の端部側で塗布を開始する塗布開始位置を算出する。なお、上記塗布開始位置は、一方の液受部53の上部空間となる。そして、制御部3は、上述したように平行移動テーブル23およびノズル移動機構部51を駆動させる。
上記塗布開始位置において、制御部3は、各ノズル52a〜52cから有機EL材料の吐出開始を各ポンプ542a〜542cに指示する。このとき、制御部3は、ストライプ状の溝の各ポイントにおける有機EL材料の塗布量が均一となり、液柱状態で有機EL材料が吐出されるように、ノズル52a〜52cの移動速度に応じてその塗布量を制御しており、流量計543a〜543cからの流量情報をフィードバックして制御する。そして、制御部3は、基板P上の溝内への有機EL材料の流し込むために、有機EL材料を基板P上の溝に沿わせながらこの溝内に流し込むようにノズルユニット50をガイド部材511に沿わせて移動させるように制御する。この動作によって、液柱状態で各ノズル52a〜52cから吐出される赤色の有機EL材料が同時にそれぞれの溝に流し込まれていく。
制御部3は、基板P上をノズルユニット50が横断して溝の他方端部の外側に固設されている他方の液受部53上に位置すると、ノズル52a〜52cからの有機EL材料の吐出を継続したまま、ノズル移動機構部51によるノズルユニット50の移動を停止する。この1回の移動によって、3列分の溝への有機EL材料の塗布が完了する。具体的には、同色の有機EL材料を各ノズル52a〜52cから吐出しているので、3列毎に1列の溝を塗布対象とした合計3列分の溝に有機EL材料が塗布される。
次に、制御部3は、平行移動テーブル23をY軸正方向に所定距離(例えば、溝9列分)だけピッチ送りして、次に塗布対象となる溝への有機EL材料の塗布を行えるようにする。そして、制御部3は、他方の液受部53の上部空間からノズルユニット50を逆の方向へ基板P上を横断させて一方の液受部53上に位置すると、ノズル52a〜52cからの有機EL材料の吐出を継続したまま、ノズル移動機構部51によるノズルユニット50の移動を停止する。この2回目の移動によって、次の3列分の溝への有機EL材料の塗布が完了する。このような動作を繰り返すことによって、赤色の有機EL材料が赤色を塗布対象とした溝に流し込まれる。
(第1の実施形態)
以下、図3〜図10を参照して、本発明の第1の実施形態に係る塗布装置1に設置される局所雰囲気生成機構について説明する。なお、図3は、当該局所雰囲気生成機構の概略構成を示す平面図である。図4は、当該局所雰囲気生成機構の概略構成を示す側断面図である。図5は、その前面の一部を切り欠いて第3ボックス63の外観を示す斜視図である。図6は、第3ボックス63内部の概略構成を示す側断面図である。図7は、窒素投入口の構造を示す断面図である。図8は、拡散板731の構造を示す斜視図である。図9は、ポイントCにおける酸素濃度管理値を説明するためのグラフである。図10は、局所雰囲気生成機構における窒素供給の流れを示すブロック図である。
図3〜図6において、塗布装置1は、第1ボックス61、第2ボックス62、および第3ボックス63によって、それぞれ外部から遮蔽されて設置される。第1ボックス61は、基板載置装置2が図示Y軸方向へ往復移動する空間(以下、チャンバ空間と記載する)を包囲して外部から遮蔽するように設けられる。また、第1ボックス61は、ノズル52がチャンバ空間へ突出して往復移動するための開口部S1を除いて、チャンバ空間と有機EL塗布機構5が設置される空間との間を仕切るように設置される。
第3ボックス63は、有機EL塗布機構5が設置される空間を含み、ノズルユニット50等が図示X軸方向へ往復移動する空間(以下、スライダ空間と記載する)を包囲して設けられる。なお、第3ボックス63も、ノズル52がスライダ空間からチャンバ空間へ突出して往復移動するための開口部S1が形成されている(図5および図6参照)。なお、第1の実施形態では、第3ボックス63においてZ軸方向に立設されたY軸負方向側の壁面(以下、Y軸負方向側の壁面を前面とする)に開口部S1が形成されている。そして、開口部S1の上部の第3ボックス63前面内壁にエアー膜生成機構9が設けられる。また、第3ボックス63の上面には、第1〜第3供給部54a〜54cから有機EL材料をそれぞれノズル52a〜52cに供給するための配管(図示せず)を通すための開口部S2が形成される。また、ノズルユニット50に静圧軸受が設けられている場合、当該静圧軸受に気体を供給するための配管は、第3ボックス63の側壁に形成される開口を通して接続される。
第2ボックス62は、第1ボックス61の上部空間を包囲して設けられる。第2ボックス62の内部には、有機EL塗布機構5および第3ボックス63が設置され、第2ボックス62にもノズル52がスライダ空間からチャンバ空間へ突出して往復移動するための開口部S1が形成されている。なお、第2ボックス62で包囲された空間の内、スライダ空間を除いた空間をボックス空間と記載する。このように、塗布装置1は、第1〜第3ボックス61〜63によって、チャンバ空間、スライダ空間、およびボックス空間にそれぞれ仕切られて設置される。なお、第1〜第3ボックス61〜63は、全て上面が形成されているが、図3においては内部との関係をわかりやすくするために上面や下面を省略し、斜線または交線領域で側壁のみを示している。
第1〜第3ボックス61〜63には、その内部空間に窒素等の不活性ガス(以下、単に窒素と記載する)を供給するための供給管71と、その内部空間の気体を排出するための排気管72とが接続される。本実施例では、供給管71が第1ボックス61の前面および第3ボックス63に設けられたエアー膜生成機構9に接続されている。図4の例では、複数の供給管71a〜71cが第1ボックス61の壁面に接続され、供給管71dが第3ボックス63のエアー膜生成機構9に接続されている。なお、図3では、供給管71dを省略している。
また、排気管72が、第2ボックス62のY軸正方向側の壁面(以下、Y軸正方向側の壁面を背面と記載する)および第3ボックス63の背面に接続されている。図4の例では、排気管72dが第2ボックス62の壁面に接続され、排気管72cが第3ボックス63の壁面に接続されている。なお、図3では、排気管72cを省略している。
図4に示すように供給管71および排気管72を接続した場合、供給管71a〜71cから供給された窒素は、チャンバ空間へ供給されて開口部S1を通ってスライダ空間へ流入する。そして、スライダ空間へ流入した窒素は、供給管71dからエアー膜生成機構9に供給された窒素と合流する。そして、合流した窒素は、スライダ空間の背面の排気管72cから流出する、あるいは開口部S2を通ってボックス空間へ流入した後、排気管72dから流出するような流れとなる。
図4〜図6に示すように、エアー膜生成機構9は、第3ボックス63に形成された開口部S1全面を遮るようなエアー膜(図6に示すNC)を生成する。具体的には、ノズル52が開口部S1からチャンバ空間へ突出してX軸方向に往復移動するため、開口部S1は、X軸方向を長軸方向としたスリット状に形成されている。そして、エアー膜生成機構9は、開口部S1と同様にX軸方向に延設され、開口部S1の上部からZ軸負方向へ流れるエアー膜を生成する。エアー膜生成機構9には、開口部S1の上部全長に渡ってZ軸負方向に向けて開口したスリット状の噴射口が形成されており、当該噴射口からエアーが帯状に噴射される。好ましくは、エアー膜生成機構9は、第3ボックス63の内部に設置される。
ここで、上述したように、エアー膜生成機構9には供給管71dが接続されており、エアー膜生成機構9の噴射口から噴射される気体は供給管71dから供給される窒素である。したがって、開口部S1を遮るように生成されるエアー膜は、厳密には空気の膜ではなく窒素等の不活性ガスで構成された帯状の気体膜である。以下の説明においては、エアー膜生成機構9が生成する窒素の膜を窒素カーテンNCと記載する。
エアー膜生成機構9から噴射される窒素カーテンNCは、開口部S1を遮るように第3ボックス63の前面に沿って当該開口部S1に対して第3ボックス63の内側を通過した後、第3ボックス63の内部底面にあたるように生成される。ここで、第3ボックス63が包囲するスライダ空間内の気体は、その背面に接続された排気管72cから流出する、あるいは開口部S2を通ってボックス空間へ流入した後、排気管72dから流出する。つまり、窒素カーテンNCによる窒素の気流は、第3ボックス63の内部底面にあたった後、当該第3ボックス63の背面側へ流れる、または当該第3ボックス63の上面側へ流れることになる。したがって、窒素カーテンNCによる窒素の気流は、開口部S1からチャンバ空間へ流出することは少ない。
また、上述したように、有機EL塗布機構5に含まれるノズル移動機構部51は、ノズルユニット50をガイド部材511に沿ってX軸方向に往復移動させる。ノズル移動機構部51は、例えば、一対のプーリおよび駆動ベルト(図示せず)を備えている。一対のプーリは、ガイド部材511の両端位置付近に設けられており、当該プーリの間に駆動ベルトがX軸方向へ掛け渡される。そして、ノズルユニット50は、駆動ベルトの一部に接続される。つまり、ノズル移動機構部51は、一方のプーリが回転することに応じて駆動ベルトが回動すると、当該駆動ベルトの移動に応じてノズルユニット50もガイド部材511に沿ってX軸方向へ往復移動する。このように、ノズル移動機構部51は、ノズルユニット50を往復移動させる際、プーリと駆動ベルトとの接触によって発塵源となる。また、他の駆動方式を用いてノズルユニット50を往復移動させる場合も、機械的な接触等によってノズル移動機構部51が発塵源となることが多い。しかしながら、ノズル移動機構部51が開口部S1およびS2を除いて第3ボックス63で包囲されているため、第3ボックス63は、ノズル移動機構部51で発生した粉塵がチャンバ空間へ流出することを防止する機能も有している。また、第3ボックス63が包囲するスライダ空間内で生じた粉塵は、窒素カーテンNCに遮られることによって開口部S1からチャンバ空間へ流出することがない。
また、図4に示すように、第1ボックス61には、基板Pの搬入および搬出を行うための投入口611が設けられている。投入口611は、回転軸を中心に回動(図示矢印方向)するゲートにより開閉可能となっている。基板Pは、投入口611が開放された状態で、搬送ロボット(図示せず)によりチャンバ空間内に搬入され、ステージ21上に載置される。また、塗布装置1によって塗布処理が行われるときは、上記ゲートを閉鎖してチャンバ空間内が外部から遮蔽される。
第1ボックス61と供給管71aおよび71bとを接続する付近には、拡散部73が設けられる。具体的には、拡散部73は、供給管71aおよび71bから内部空間に流入する入り口付近の当該内部空間側に設けられる。図7および図8に示すように、拡散部73は、拡散板731およびパンチングメタル732を含んでいる。拡散板731は、供給管71aおよび71bから上記内部空間へ流入する窒素を妨げる位置に固設された板状部材であり、その周囲に所定の隙間が形成されている。供給管71aおよび71bから上記内部空間へ流入する窒素は、拡散板731によって妨げられて直接的に上記内部空間に流入することなく、拡散板731の周囲へ流れる方向を変えて流動する。パンチングメタル732は、多数の孔が打ち抜き加工された板状部材であり、拡散板731に対して上記内部空間側に固設される。また、パンチングメタル732は、拡散板731の周囲から流動する窒素の流動路上に配置される。つまり、供給管71aおよび71bから供給された窒素は、必ずパンチングメタル732に形成された孔を通って上記内部空間内に流入することになる。したがって、拡散部73では、供給管71aおよび71bから供給された窒素を拡散して第1〜第3ボックス61〜63内に供給することができる。
また、投入口611付近に供給管71cが接続されている。一般的に、投入口611付近は、基板Pの搬入/搬出の際の開閉によって外気が侵入しやすく酸素濃度が高くなりやすいが、そのような箇所に窒素を供給することによって、侵入した酸素を拡散することができる。なお、供給管71cから内部空間に流入する入り口付近は、その流路が曲げられており、当該入り口付近に拡散部は設けられていない。
排気管72と第1〜第3ボックス61〜63との接続部には、パンチングメタル733が設けられる。このパンチングメタル733は、排気管72の内部空間側に固設され、排気管72に向かって流動する気体の流動路上に配置される。つまり、排気管72へ排出される気体は、必ずパンチングメタル733に形成された孔を通って排出されることになる。このように、排出口付近にパンチングメタル733を配置することによって、気体が排出される箇所が集中することを防止することができ、内部空間全体の気体をバラツキなく排出することができる。
供給管71から第1〜第3ボックス61〜63内に窒素を供給しながら第1〜第3ボックス61〜63内の気体を排気管72から排出することによって、第1〜第3ボックス61〜63内部が窒素雰囲気となり、内部の酸素濃度が低下する。これによって、塗布装置1は、有機EL材料を基板Pに塗布する際の酸化を防止することができる。ここで、有機EL材料の酸化を防止するためにはチャンバ空間内全ての酸素濃度を低下させればよいが、最も酸素濃度を低下させなければならない空間は、ノズル52から有機EL材料を吐出する空間および塗布後の基板P面がY軸正方向側に順次送られていく空間(図4に示すポイントC)である。例えば、有機EL材料を基板Pに塗布する際の酸素濃度上限を酸素濃度管理値(例えば、10ppm)とした場合、少なくともポイントCにおける酸素濃度が酸素濃度管理値を満たさなければならない。
ポイントCにおける酸素濃度が酸素濃度管理値を満たした状態で塗布処理を行うためには、ポイントCにおける酸素濃度を酸素濃度管理値以下に低下させた後、塗布処理が開始される。そして、塗布処理中において、ポイントCにおける酸素濃度が酸素濃度管理値を越えることを防止しなければならないため(図9に示す「塗布処理時間」)、塗布処理中においても供給管71からの窒素供給および排気管72からの気体排出が継続される。ここで、ノズルユニット50やノズル52がX軸方向に往復移動することによって、スライダ空間内の気体や開口部S1付近の気体が攪拌される。したがって、例えばスライダ空間内に酸素が残存している場合、当該酸素が攪拌によってポイントCへ流出してポイントCにおける酸素濃度を上昇させることがある。つまり、ポイントCにおける酸素濃度の管理においては、塗布処理前および塗布処理中の流体バランスを考慮する必要がある。したがって、スライダ空間内やボックス空間内も低酸素雰囲気に置換すると共に、開口部S1を遮るように窒素カーテンNCを生成することによってスライダ空間内から流出する気体が上記ポイントC側へ流れないようにして、塗布処理中の上記ポイントCにおける酸素濃度の上昇を防止している。
また、ポイントCにおける酸素濃度を安定させるためには、第1〜第3ボックス61〜63内の圧力も重要である。例えば、第1〜第3ボックス61〜63が外部に対して完全密閉構造でない場合、第1〜第3ボックス61〜63内の圧力が大気圧未満(つまり、外部より低い圧力)に維持されると外部の気体が第1〜第3ボックス61〜63内に流入する。したがって、本実施形態では、第1〜第3ボックス61〜63内の圧力を大気圧以上(つまり、外部と同じまたは高い圧力)に維持できるように、塗布処理前および塗布処理中の流体バランスが調整される。これによって、第1〜第3ボックス61〜63が外部に対して完全密閉構造でなくても、ポイントCにおける酸素濃度の管理を行うことができる。このように、第1〜第3ボックス61〜63内は、局所的な雰囲気を管理することが可能となり、特に低下させた内部の酸素濃度を管理することが可能となる。
図10において、局所雰囲気生成機構は、上述した構成部の他に、窒素ボンベ81、フィルタ83、圧力調整部84、供給側の流量調整部85、排気側の流量調整部86、および吸引部87を備えており、互いに配管等で接続されている。ここで、窒素ボンベ81、フィルタ83、圧力調整部84、および流量調整部85が、供給管71から窒素を供給するための供給系に相当する。一方、流量調整部86および吸引部87が、排気管72から気体を排出するための排気系に相当する。なお、これらの機構は、塗布装置1に内蔵してもいいし、塗布装置1の外部装置として設けてもかまわない。塗布装置1の外部装置として設ける場合、設置場所に予め設けられている設備(例えば、工場の窒素供給装置や吸引装置)を用いてもかまわない。
窒素ボンベ81には、液体窒素等がその内部に貯蔵されている。窒素ボンベ81から窒素は、気体状態で取り出され、工場の用力として供給されてフィルタ83へ流動する。フィルタ83は、流動する窒素中の異物を除去して圧力調整部84および流量調整部85に送る。そして、圧力調整部84によって塗布装置1へ供給する窒素圧力が調整され、流量調整部85によって塗布装置1へ供給する窒素流量が調整された後、供給管71に窒素が供給される。一方、吸引部87は、排気管72から気体を吸引して第1〜第3ボックス61〜63内の気体を外部へ排出する。そして、流量調整部86によって、排気管72から気体を吸引して外部へ排出する流量が調整される。ユーザは、圧力調整部84、流量調整部85、および流量調整部86に設けられた流路の絞りや設定値等を調整することによって、上述した塗布装置1に対する流体バランスを調整することができる。
次に、図11を参照して、第1の実施形態に係る塗布装置1における窒素流動フローおよび処理動作について説明する。なお、図11は、第1の実施形態に係る塗布装置1における窒素流動フローを示す模式図である。なお、図11においては、説明を簡単にするために、塗布装置1について、第1〜第3ボックス61〜63、チャンバ空間、ボックス空間、およびチャンバ空間のみを図示して簡略化している。
図11において、第1ボックス61の前面に複数の供給管71が接続され、複数の供給管71を介して窒素がチャンバ空間に供給される(図示矢印Ci×n;供給Ci×nとする)。例えば、供給Ci×nは、図4に示した供給管71a〜71cに相当する。具体的には、横に並列して接続される3本の供給管71aおよび横に並列して接続される3本の供給管71bで構成される合計6本の供給管71が第1ボックス61の前面に接続される。これらの供給管71は、図7を参照して説明した構造と同様の接続方式で接続される。なお、上記6本の供給管71に供給管71cを加えて第1ボックス61の前面に接続してもかまわない。さらに、第3ボックス63の前面に供給管71が接続され、供給管71からエアー膜生成機構9を介して窒素がスライダ空間に供給される(図示矢印NCi;供給NCiとする)。例えば、供給NCiは、図4に示した供給管71dおよびエアー膜生成機構9に相当する。
また、第2ボックス62の背面に排気管72が接続され、排気管72を介してボックス空間内の気体が排出される(図示矢印Bo;排出Boとする)。また、第3ボックス63の背面に排気管72が接続され、排気管72を介してスライダ空間内の気体が排出される(図示矢印So;排出Soとする)。なお、第2ボックス62および第3ボックス63の背面に接続される複数の排気管72については、図4を参照して説明した構造と同様の接続方式で接続される。
供給Ci×nから供給された窒素は、チャンバ空間に流入した後、開口部S1から供給NCiから供給された窒素と合流してスライダ空間へ流入する。そして、スライダ空間内に流入した窒素は、排出Soから排出される、または開口部S2からボックス空間へ流入して排出Boから排出される。したがって、チャンバ空間の一方側の複数箇所から供給された窒素が開口部S1を通ってスライダ空間へそれぞれ抜ける流れが形成されている。このように、複数の供給管を介してチャンバ空間に窒素を供給しながら、開口部S1介してボックス空間またはスライダ空間の排気管から排出するため、チャンバ空間、スライダ空間、およびボックス空間内における気体が窒素雰囲気に置換される。そして、図4に示したポイントCにおける酸素濃度も低下するため、当該酸素濃度が酸素濃度管理値以下まで到達するのを待つ。
そして、第1〜第3ボックス61〜63内(具体的には、ポイントC)の酸素濃度が酸素濃度管理値以下に到達したとき、基板Pに対する塗布処理を開始する。このとき、塗布装置1に対する窒素の供給および気体の排出が継続されているため、供給Ci×nから供給された窒素は、チャンバ空間に流入した後、開口部S1から供給NCiから供給された窒素と合流してスライダ空間へ流入する。そして、スライダ空間へ流入した窒素は、排出Soから排出される、または開口部S2からボックス空間へ流入して排出Boから排出される。したがって、チャンバ空間の一方側から供給された窒素が開口部S1を通ってスライダ空間へ抜ける気流が形成されている。つまり、ノズルユニット50の往復移動によってスライダ空間内の気体が攪拌されても、チャンバ空間→開口部S1→スライダ空間の気体フローが形成されているため、スライダ空間内の気体がチャンバ空間へ流出することが少なく、開口部S1からポイントCへの方向へ気体が流れることもない。また、開口部S1を遮るように窒素カーテンNCが形成されているため、スライダ空間内の気体がチャンバ空間へ流出することがない。したがって、仮にスライダ空間に酸素が残存していたとしてもチャンバ空間(ポイントC)へ酸素が流出することを防止することができ、図9で示した塗布処理時間中の酸素濃度が上昇することを防止することができる。
また、上述したように、ノズル移動機構部51は、ノズルユニット50を往復移動させることによって発塵源となり、スライダ空間内に粉塵が生じることがある。しかしながら、エアー膜生成機構9が生成する窒素カーテンNCによって開口部S1が遮られているため、スライダ空間内の粉塵がチャンバ空間へ流出することはない。したがって、基板Sに対する塗布処理中に、スライダ空間から基板S上へ異物が落下することを防止することができる。また、開口部S1は、ステージ21を横断する方向を長寸方向として第3ボックス63の側面に形成されているが、開口部S1の短寸方向となる上下方向に気流が流れる窒素カーテンNCを生成することによって、効率よく開口部S1を遮ることができる。
なお、当該実施形態では、エアー膜生成機構9は、開口部S1の上部のX軸方向に延設され、Z軸負方向へ流れる窒素カーテンNCを生成する例を説明したが、他の方向へ流れる窒素カーテンNCを生成してもかまわない。例えば、エアー膜生成機構9を開口部S1の下部のX軸方向に延設し、Z軸正方向へ流れる窒素カーテンNCを生成してもかまわない。また、エアー膜生成機構9を第3ボックス63の内部に設置したが、第3ボックス63に形成された開口部S1を遮るような窒素カーテンNCを生成できれば、第3ボックス63の外部に設置してもかまわない。
(第2の実施形態)
以下、図12および図13を参照して、本発明の第2の実施形態に係る塗布装置1に設置される局所雰囲気生成機構について説明する。なお、図12は、当該局所雰囲気生成機構の概略構成を示す側断面図である。図13は、第3ボックス63内部の概略構成を示す側断面図である。なお、第2の実施形態は、上述した第1の実施形態に対して開口部S1の形成方向およびエアー膜生成機構9の設置方向が異なり、他の構成要素は第1の実施形態と同様である。したがって、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
図12および図13において、開口部S1は、第3ボックス63の底面に形成されており、ノズル52が当該開口部S1からチャンバ空間へ突出して往復移動する。つまり、ノズル52は、第3ボックス63の下方に突出することになる。そして、第3ボックス63は、開口部S1および開口部S2を除いて、有機EL塗布機構5を包囲するように設置される。エアー膜生成機構9は、開口部S1のY軸負方向側(図12に示す右側であり、前面側)の第3ボックス63底面内壁に設けられる。そして、供給管71dが第3ボックス63のエアー膜生成機構9に接続される。
エアー膜生成機構9は、第3ボックス63の底面に形成された開口部S1全面を遮るような窒素カーテンNCを生成する。具体的には、ノズル52が開口部S1からチャンバ空間へ突出してX軸方向に往復移動するため、開口部S1は、第1の実施形態と同様にX軸方向を長軸方向としたスリット状に形成されている。そして、エアー膜生成機構9は、開口部S1と同様にX軸方向に延設され、開口部S1の前面側からY軸正方向へ流れる窒素カーテンNCを生成する。エアー膜生成機構9には、開口部S1の前面側全長に渡ってY軸正方向に向けて開口したスリット状の噴射口が形成されており、当該噴射口から窒素が帯状に噴射される。好ましくは、エアー膜生成機構9は、第3ボックス63の内部に設置される。
エアー膜生成機構9から噴射される窒素カーテンNCは、開口部S1を遮るように第3ボックス63の底面に沿って当該開口部S1に対して第3ボックス63の内側を通過した後、第3ボックス63の後面側へ流れる。ここで、第3ボックス63が包囲するスライダ空間内の気体は、その背面に接続された排気管72cから流出する、あるいは開口部S2を通ってボックス空間へ流入した後、排気管72dから流出する。つまり、窒素カーテンNCによる窒素の気流は、第3ボックス63の後面側へ流れた後、排気管72cから流出する、あるいは開口部S2を通ってボックス空間へ流入することになる。つまり、窒素カーテンNCによる窒素の気流は、底面に形成された開口部S1であっても当該開口部S1からチャンバ空間へ流出することはない。したがって、第2の実施形態に係るエアー膜生成機構9によれば、スライダ空間内の粉塵がチャンバ空間へ流出することはなく、基板Sに対する塗布処理中に、スライダ空間から基板S上へ異物が落下することを防止することができる。また、第2の実施形態に係るエアー膜生成機構9によれば、塗布処理中においてスライダ空間からチャンバ空間へ気体が流出することがなく、塗布処理時間中の酸素濃度の上昇を防止することができる。また、開口部S1は、ステージ21を横断する方向を長寸方向として第3ボックス63の底面に形成されているが、開口部S1の短寸方向となる水平方向に気流が流れる窒素カーテンNCを生成することによって、効率よく開口部S1を遮ることができる。
なお、第2の実施形態では、エアー膜生成機構9は、開口部S1の前面側のX軸方向に延設され、Y軸正方向へ流れる窒素カーテンNCを生成する例を説明したが、他の方向へ流れる窒素カーテンNCを生成してもかまわない。例えば、エアー膜生成機構9を開口部S1の後面側のX軸方向に延設し、Y軸負方向へ流れる窒素カーテンNCを生成してもかまわない。また、エアー膜生成機構9を第3ボックス63の内部に設置したが、第3ボックス63に形成された開口部S1を遮るような窒素カーテンNCを生成できれば、第3ボックス63の外部に設置してもかまわない。
また、エアー膜生成機構9に窒素等の不活性ガスを供給することによって、その噴射口から当該不活性ガスを噴射してスライダ空間内部の酸素濃度を低下させる効果も得られる態様を用いて説明したが、このような効果を期待しない場合、エアー膜生成機構9から他の気体を噴射してもかまわない。例えば、エアー膜生成機構9の噴射口から空気を帯状に噴射することによって、開口部S1を遮る空気の膜(エアーカーテン)を形成する。これによって、スライダ空間内の粉塵がチャンバ空間へ流出することを防止する効果が得られ、基板Sに対する塗布処理中にスライダ空間から基板S上へ異物が落下することを防止することができる。
また、上述した第1および第2の実施形態におけるボックス空間やスライダ空間に設けられる供給管および排気管(すなわち、供給Ci×n、供給NCi、排出So、排出Bo)は、それぞれ複数本であっても1本の配管であってもかまわない。上述したような流体バランスを調整すれば、1本の配管であっても複数本の配管であっても本発明の効果を得ることができる。
また、上述した第1および第2の実施形態におけるスライダ空間やボックス空間に対して、エアー膜生成機構9に窒素を供給するための供給管71dの他に、別の供給管を設けてもかまわない。スライダ空間やボックス空間への窒素供給を増やすことによって、スライダ空間やボックス空間で合流する窒素量が増えるだけであり、上述した流体バランスを調整すれば同様の効果が得られることは言うまでもない。また、チャンバ空間内の気体を直接排出する排気管を第1ボックス61に設けてもかまわない。これによって、チャンバ空間内の気体が直接的に窒素雰囲気に置換されるため、チャンバ空間全体が窒素雰囲気に置換される速度が速くなる(図9における到達時間が短くなる)効果が期待できる。
また、上述した第1および第2の実施形態における第2ボックス62および排出Boを省略してもかまわない。つまり、有機EL塗布機構5は、第3ボックス63のみで包囲されて設置されることになる。この場合、チャンバ空間に供給された窒素は、開口部S1付近で供給NCiと合流して排出Soまたは開口部S2から排出される。つまり、第2ボックス62および排出Boを設けなくても、チャンバ空間に供給された窒素が開口部S1を通ってスライダ空間へ抜ける流れが形成されている。また、ノズルユニット50の往復移動によってスライダ空間内の気体が攪拌されても、窒素カーテンNCによってスライダ空間内の粉塵がチャンバ空間へ流出することはなく、基板Sに対する塗布処理中に、スライダ空間から基板S上へ異物が落下することを防止することができる。また、窒素カーテンNCによって、塗布処理中においてスライダ空間からチャンバ空間へ気体が流出することがなく、塗布処理時間中の酸素濃度の上昇を防止することができる。
さらに、ノズルユニット50の往復移動によってスライダ空間内の粉塵が基板S上に落下することを防止する効果のみ期待する場合、上述した第1および第2の実施形態における第1ボックス61、第2ボックス62、供給Ci×n、および排出Boを省略して、エアー膜生成機構9から他の気体を噴射してもかまわない。つまり、有機EL塗布機構5は、第3ボックス63のみで包囲されて設置され、基板載置装置2等の他の機構が外部から遮蔽されない態様となる。そして、エアー膜生成機構9の噴射口から空気を帯状に噴射することによって、開口部S1を遮る空気の膜(エアーカーテン)を形成する。この場合、ノズルユニット50の往復移動によってスライダ空間内の気体が攪拌されても、スライダ空間内の粉塵がチャンバ空間へ流出することを防止する効果が得られ、基板Sに対する塗布処理中にスライダ空間から基板S上へ異物が落下することを防止することができる。
また、ノズルユニット50に静圧軸受が設けられている場合、当該静圧軸受に窒素等の不活性ガスを供給してもかまわない。これによって、静圧軸受を構成するために供給する気体に酸素が含まれないため、さらにスライダ空間内の酸素濃度を低下させることができる。
また、上述した実施形態では、赤、緑、および青色のうち、赤色の有機EL材料を3個1組のノズル52a〜52cで基板Pの溝内に流し込んでいるが、この塗布工程は、有機EL表示装置を製造する途中工程である。有機EL表示装置を製造するときの処理手順は、正孔輸送材料(PEDOT)塗布→乾燥→赤色の有機EL材料塗布→乾燥→緑色の有機EL材料塗布→乾燥→青色の有機EL材料塗布→乾燥という手順となる。この場合、本発明の塗布装置は、正孔輸送材料、赤色の有機EL材料、緑色の有機EL材料、および青色の有機EL材料をそれぞれ塗布する工程に用いることができる。
また、ノズル52a〜52cから赤、緑、および青色の有機EL材料をそれぞれ吐出してもかまわない。この場合、赤、緑、および青色の順に配列された、いわゆる、ストライプ配列が1つの塗布工程で形成される。また、上述した実施形態では、3個1組のノズル52a〜52cで基板Pの各溝内に有機EL材料を流し込んでいるが、この3個1組のノズル52a〜52cを複数組設けて基板Pの各溝内に有機EL材料を流し込んでもかまわない。
また、上述した実施形態では、塗布液として有機EL材料や正孔輸送材料を塗布液とした有機EL表示装置の製造装置を一例にして説明したが、本発明は他の塗布装置にも適用できる。例えば、レジスト液やSOG(Spin On Glass)液やPDP(プラズマディスプレイパネル)を製造するのに使用される蛍光材料を塗布する装置にも適用することができる。また、液晶カラーディスプレイをカラー表示するために液晶セル内に構成されるカラーフィルタを製造するために使用される色材を塗布する装置にも適用することができる。