JP2007259824A - 顆粒状食品組成物及びその製造方法 - Google Patents

顆粒状食品組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】植物ステロール類を卵黄リポ蛋白質との複合体を形成することにより、そのままでは水や液状食品への分散が困難である植物ステロール類を、容易に分散可能とした植物ステロール及びデキストリンを含有した顆粒状食品組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含むことを特徴とする顆粒状食品組成物。
【選択図】 無し

Description

本発明は、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を含有した顆粒状組成物に関する。詳しくは、原末のままでは造粒が困難であり、その結果水や液状食品への溶解分散が難しい植物ステロール類を、顆粒状にすることにより、溶解分散が容易となる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含むことを特徴とする顆粒状食品組成物に関する。
植物ステロールやそのエステル体である植物ステロールエステルは、日常的に摂取することにより、血中の総コレステロール及び低密度リポ蛋白質−コレステロール濃度を低下させる機能を有することが知られている。これら植物ステロールや植物ステロールエステルは、植物油脂、大豆、小麦等の食材に含まれているがその含有量は極僅かであるため、これら植物ステロールや植物ステロールエステルを強化して日常的に摂取できるようにした食品の開発が望まれている。
そこで水や様々な液状食品に容易に溶解分散できる植物ステロール類の粉末があれば、手軽に植物ステロール強化食品を適宜調製することができ、好みの食品を摂りながら植物ステロール類を摂取することができる。しかし植物ステロールやそのエステル体である植物ステロールエステルは常温では固体状であり、水や液状食品に添加し、攪拌しても均質に溶解分散することはできない。
これを解決する方法として、植物ステロール類をデキストリン等の賦形剤を用い、造粒する方法が考えられる。例えば、特開2001−224331号公報(特許文献1)にはカルシウム素材を含む食品組成物の顆粒剤が示されている。
しかし製錠性に優れた食品組成物を得ることが目的であり、水や液状食品への溶解分散容易性については記載されておらず、また植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含有した顆粒状組成物に関する記述はない。
特開2001−224331号公報
本発明の目的は、原末のままでは造粒が困難であり、その結果水や液状食品への溶解分散が難しい植物ステロール類を、顆粒状にすることにより溶解分散が容易となる、植物ステロール類含有顆粒状食品組成物を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく、使用原料及び各工程等、様々な諸条件について鋭利研究を重ねた結果、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを混合することにより、意外にも容易に造粒することが可能となり、水や液状食品に溶解分散が可能となる植物ステロール類含有顆粒状食品組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含むことを特徴とする顆粒状食品組成物、
(2)(1)において、粒径が少なくとも150メッシュ(目開き105μm)を通過する大きさの粉末の割合が全体の20%以下である顆粒状食品組成物、
(3)植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体1部に対しデキストリンが3部以上である(1)または(2)記載の顆粒状組成物、
(4)デキストリンのDE値が10〜30である(1)乃至(3)のいずれかに記載の粉末状組成物、
(5)植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを混合し、造粒することを特徴とする顆粒状食品組成物の製造方法、
である。
本発明によれば、植物ステロール類を含有し、水や液状食品に溶解分散可能とした顆粒状組成物を提供でき、植物ステロール類の更なる用途拡大が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明の顆粒状組成物は、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含むことを特徴とする。これにより植物ステロールや植物ステロールエステルをデキストリンとを造粒した場合、顆粒の形成が難しいという課題を解決し、水や液状食品に容易に溶解分散できる顆粒状食品組成物を得ることができる。
ここで本発明の顆粒状食品組成物とは、粉末状の食品組成物を押出し造粒法や流動造粒法により、粉末同士を結着させることによって粒子を成長させる方法で得られた、顆粒状の食品組成物をいう。賦形剤としてデキストリンを含有する他、粉末状であり、特に造粒を妨げないものであれば特に制限なく組成することができる。また、流動造粒を補助するため、結着剤として澱粉類や増粘多糖類等を、押出し造粒の混練のためエタノール水溶液等を配合することができる。
本発明の卵黄リポ蛋白質は、卵黄蛋白質と、親水部分及び疎水部分を有するリン脂質、及びトリアシルグリセロール、コレステロール等の中性脂質とからなる複合体である。当該複合体は、蛋白質やリン脂質の親水部分を外側にし、疎水部分を内側にして、中性脂質を包んだ構造をしている。卵黄リポ蛋白質は、卵黄の主成分であって、卵黄固形分中の約80%を占める。したがって、本発明の卵黄リポ蛋白質としては、当該成分を主成分とした卵黄を用いるとよく、食用として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、鶏卵を割卵し卵白液と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いてもよい。
一方、本発明の植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明に用いる植物ステロール類は、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超える粉体あるいはフレーク状の植物ステロール類を用いる場合には、卵黄と攪拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー:プライミクス(株)製等)を用いて植物ステロール類の粒子を小さくしつつ攪拌混合を行うことが好ましい。これにより、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が形成され易くなり、また、当該複合体をシリアル食品に含有させたときにより食感に影響を与え難くすることができる。
本発明の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質を主成分とする卵黄とを、好ましくは10μm以下の粉体状の植物ステロール類と卵黄とを水系中で攪拌混合することにより得られる。具体的には、工業的規模での攪拌混合のし易さを考慮し、卵黄リポ蛋白質として、卵黄を水系媒体で適宜希釈した卵黄希釈液を使用し、当該卵黄希釈液と植物ステロール類とを攪拌混合して製造することが好ましい。前記水系媒体としては、水分が90%以上のものが好ましく、例えば、清水の他に卵白液、調味液等が挙げられる。また、前記卵黄希釈液の濃度としては、その後、添加する植物ステロール類の配合量にもよるが、卵黄固形分として0.01〜50%の濃度が好ましく、攪拌混合時の温度は、常温(20℃)でもよいが、45〜55℃に加温しておくと複合体と攪拌混合し易く好ましい。攪拌混合は、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス(株)製)等の均質機を用いて、全体が均一になるまで行うとよい。また、上述の方法で得られたものは、複合体が水系媒体に分散したものであるが、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥複合体としてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、複合体に他の原料を配合してもよい。
本発明で用いる複合体は、当該原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部であることが好ましい。当該構成比は、卵黄固形分中に卵黄リポ蛋白質は約8割存在するから、卵黄固形分1部に対して植物ステロール類4〜185部に相当する。後述に示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成していることから、植物ステロールが前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存して顆粒状食品組成物の風味が卵黄風味により損なわれる場合があり、前記範囲より多いと植物ステロール類が複合体を形成し難くなって本発明の効果が得られ難くなる。
次に、本発明で用いるデキストリンとは、澱粉を加水分解することにより製せられたものであり、分岐状のものでも直鎖状のものでも、また、還元型のものでも非還元型のものでも分子構造に特に限定はない。本発明のデキストリンにおいては、DE値が好ましくは10〜30、より好ましくは15〜25であるものを用いるとよく、前記範囲より小さい値のものであると、水に浮き易く速やかに溶解できない場合があり、一方、前記範囲より大きい値のものであると下に沈み易く速やかに溶解できない場合があるためである。
ここで、デキストリンのDE値(デキストロースエキュイバレント)とは、一般に「DE=還元糖%/固形分%×100」の計算式で求められるデキストロース当量を示しており、一般にDE値が小さい程高分子多糖類とされている。また、還元型のデキストリンにおけるDE値は、当該デキストリンの原料糖である非還元型デキストリンのDE値をいう。
また、本発明において、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体1部に対しデキストリンが好ましくは3部以上、より好ましくは5部以上であるよく、前記範囲の比であると速やかに水や液状食品に溶解分散可能な顆粒状組成物が得られる。一方、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体に対するデキストリンの比が前記範囲より小さいと、水や液状食品への溶解分散が困難である顆粒状組成物が得られ、好ましくないからである。
本発明の顆粒状組成物は、造粒により植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体とデキストリンとを結着させ、顆粒状に形成したものである。一般的な造粒方法としては、流動層造粒、転動造粒、押出し造粒などが挙げられ、本発明においては、後述の実施例に示す流動層造粒で行うことが望ましい。他の方法で造粒した場合よりも水や液状食品へ速やかに溶解分散可能である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を含有した顆粒状組成物が得られ易いためである。
次に、本発明の顆粒状組成物の代表的な製造方法について説明する。植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部となるよう、上記方法で製した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質複合体1部に対し、DE値が好ましくは10〜30、より好ましくは15〜25のデキストリンを、好ましくは3部以上、より好ましくは5部以上の割合で混合する。次いで、この混合物を造粒機で造粒する。好ましい具体例としては、前記混合物と水とを流動層造粒機にセットし、約80℃で20分〜40分間造粒した後、約95℃で20分〜30分乾燥させる方法等が挙げられる。その結果、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含む顆粒状食品組成物の粒径が、少なくとも150メッシュ(目開き105μm)を通過する大きさの粉末の割合が全体の20%以下、好ましくは10%以下である顆粒状食品組成物を得る。
以下、本発明の顆粒状組成物について、実施例、及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
以上のようにして製造した本発明の顆粒状組成物は、水や茶飲料、清涼飲料、牛乳、ココア、果汁、ジュース、ヨーグルトドリンク等の飲料及びスープや味噌汁、吸い物、経腸栄養剤等の液状食品に添加し、スプーンやマドラーを用いて手攪拌することにより、容易に溶解分散させることができる。このように調製された飲料や液状食品は、植物ステロール類が強化されているにも拘らず、異味異臭がなく、ざらつき等の不自然な食感やのど越しがほとんど感じられない。また、飲料や液状食品の表面に植物ステロール類が浮かび上がるといった、外観が損なわれることがない。
このように本発明の顆粒状食品組成物は、常温では固体の植物ステロール類を含んでいるにもかかわらず、水や液状食品に容易に溶解分散することができ、これを飲食した際異味異臭やざらつきを感じさせることなく、自然な風味を維持できる理由は定かではないが、以下のように推察される。まず本発明品を構成する複合体は、固体の粒子状植物ステロールに卵黄リポ蛋白質が付着した構造となっているため、賦形剤であるデキストリンをはじめとする粉体食品原料と混合した際、容易に均質に分散することが可能となるからだと考えられる。これを造粒する際、特に流動造粒を行うに当たり、粉体原料の流動性が富むことにより造粒が容易となると推察される。複合体を用いることなく、単に植物ステロール類とデキストリンを混合し造粒すると、これらの粉体原料が均質に分散することなく、また油脂原料である植物ステロール類と糖質原料であるデキストリンの結着性が悪く、顆粒の形成が不十分となる。その結果、水に混合攪拌しても植物ステロール類が水面に浮いてしまい均質に分散できないものと思われる。そこで本発明で用いる複合体は両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態であり親水性の性質を有すると推定され、水を介した造粒工程によりデキストリンとの結着性に富み、顆粒の形成が良好となるものと推察される。
以下、本発明で用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、これを含む本発明の顆粒状食品組成物及びその製造方法について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例1]:複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、卵黄液5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
得られた分散液1gを取り、0.9%食塩水4gを加え、真空乾燥機(東京理科器械社製、VOS−450D)で真空度を10mmHgにして1分間脱気し、遠心分離器(国産遠心分離器社製、モデルH−108ND)で3000rpmで15分間遠心分離を行い、沈澱と上澄みとを分離した。この上澄みを0.45μmのフィルターで濾過し、さらに0.2μmのフィルターで濾過し、複合体と、複合体を形成していない植物ステロールとを除去した。
この濾液の吸光度(O.D.)を、分光光度計(日立製作所製、U−2010)を用いて、0.9%食塩水を対照とし、280nm(蛋白質中の芳香環をもつアミノ酸の吸収)で測定し、濾液中の蛋白質の量を測定した。
植物ステロールの添加量を表1のように変え、同様に吸光度を測定した(調製例1−2〜調製例1−8)。この結果を表1に示す。
また、調製例1−1の濾液と、調製例1−6の濾液については、更に440nmの吸光度を測定した。ここで、440nmは、卵黄リポ蛋白質中に含まれる油溶性の色素(カロチン)の吸収波長である。この結果を表2に示す。
Figure 2007259824
Figure 2007259824
複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以下であると、表1より、植物ステロールの割合が増えるに伴い、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度が小さくなっており、蛋白質あるいはアミノ酸の含量が減少することが分かる。また、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−1の濾液は調製例1−6に比べ吸光度が優位に高く、油脂含量が明らかに多いことが分かる。一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であると、表1より、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度は略一定を示し、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−6の濾液は調製例1−1に比べ吸光度が優位に低く、油脂含量が明らかに少ないことが分かる。
以上の結果より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であるものの分散液には、複合体以外に、卵黄リポ蛋白質でない遊離の蛋白質あるいはアミノ酸が存在し、一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部より少ないものの分散液には、前記遊離の蛋白質あるいはアミノ酸に加え、複合体を形成しなかった卵黄リポ蛋白質が存在しているものと推定される。したがって、卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、植物ステロール類が5部以上必要であることが分かる。
[調製例2]:複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
鶏卵を工業的に割卵して得られた卵黄液(固形分45%)と清水の量と植物ステロールの量を表3の通りに変更して、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を調製し、この分散液の分散性から、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との好ましい構成比を検討した。
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した卵黄液(固形分45%)に清水を加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。
また、分散液の分散性に関しては、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を10mmHg以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表3に示す。
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
Figure 2007259824
表3より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが232部以下であると、複合体に良好な水分散性を付与できることが分かる。
調製例1及び調製例2の結果より、複合体が良好な水分散性を有し、しかも卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部の範囲であることが分かる。
[調製例3]
清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥複合体(殺菌卵黄使用)を得た。なお、得られた分散液中の複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部である。また、複合体の植物ステロール含有量は92%である。
[実施例1]
調製例3で得られた乾燥複合体150gをデキストリン(松谷化学工業(株)製、「TK―16」、DE値16)850gと混合した後、流動層造粒機(流動造粒コーティンング装置)にセットし、1%プルラン水溶液をバインダーとして噴霧しながら80℃で30分造粒させた後、95℃で25分乾燥させ顆粒状食品組成物860gを得た。得られた顆粒状食品組成物を150メッシュ(目開き105μm)の篩にかけ、これを通過する大きさの粉末の割合を測定したところ全体の7%であった。この顆粒状食品組成物5gを100mLの水に混合攪拌したところ、ダマの発生や浮遊物を生じることなく、速やかに分散した。これを試飲したところ異味異臭やざらつきは感じなかった。
[実施例2]
調製例3で得られた乾燥複合体200gをデキストリン(松谷化学工業(株)製、「パインデックス♯3」、DE値25)700g及びサイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製、「デキシーパールK−100」)100gと混合した後、流動層造粒機(流動造粒コーティンング装置)にセットし、0.5%アラビアガム水溶液をバインダーとして噴霧しながら80℃で30分造粒させた後、95℃で25分乾燥させ顆粒状食品組成物850gを得た。得られた顆粒状食品組成物を150メッシュ(目開き105μm)の篩にかけ、これを通過する大きさの粉末の割合を測定したところ全体の15%であった。この顆粒状食品組成物3gを100gのコーンスープに混合攪拌したところ、ダマの発生や浮遊物を生じることなく、速やかに分散した。これを試食したところ異味異臭やざらつきは感じなかった。
[実施例3]
調製例3で得られた乾燥複合体250gをデキストリン(松谷化学工業(株)製、「TK―16」、DE値16)750gと混合しながら水150mLを噴霧し混練した後、押出し造粒機(円筒式グラニュレーター)にて造粒を行った。得られた造粒品を熱風乾燥機にて90℃、30分の乾燥を施し、顆粒状食品組成物730gを得た。得られた顆粒状食品組成物を150メッシュ(目開き105μm)の篩にかけ、これを通過する大きさの粉末の割合を測定したところ全体の9%であった。この顆粒状食品組成物2gを100mLの液状経腸栄養剤に混合攪拌したところ、ダマの発生や浮遊物を生じることなく、速やかに分散した。これを試食したところ異味異臭やざらつきは感じなかった。また8フレンチの経管チューブにて80cmの高低差による自然滴下を行ったところ、チューブに詰まることなく良好な流動性を示した。
[試験例1]
植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含む顆粒状食品組成物の粒度分布の違いによる、水への溶解性について調べた。実施例1の顆粒状食品組成物において、造粒条件を調整することにより、つまり造粒工程を途中で中断することにより、それぞれ得られた4種類の顆粒状食品組成物の150メッシュ(目開き105μm)を通る量を計測した。その結果、実施例1の7%に対し、10%(実施例1−2)、14%(実施例1−3)、20%(実施例1−4)、32%(実施例1−5)であった。これら粒度分布の異なる顆粒状食品組成物5gを100mLの水(20℃)に添加し、手攪拌することにより、これらの水への分散性について評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2007259824
◎;容易に分散し、ダマや浮遊物の発生がない。
○;容易に分散し、ダマや浮遊物の発生がほとんどない。
△;分散するが、わずかにダマや浮遊物の発生が見られる。
×;分散しづらく、ダマや浮遊物の発生が見られる。
表4より、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含む顆粒状食品組成物において、その粒度分布が150メッシュ(目開き105μm)を通る顆粒の量が20%以下であれば、その顆粒状食品組成物の水への分散性は優れ、10%以下であれば非常に優れたものであった。
[比較例1〜3]
実施例1〜3において、調製例3の植物ステロールと卵黄リポ蛋白質複合体を相当量の植物ステロールに置き換え、同様に得られた粉末を比較例1〜3とした。尚、調製例3の植物ステロール含有量は92%であるので、残りの8%相当分はデキストリンで補った。得られた粉末は充分造粒を施したにもかかわらず、顆粒が形成されておらず、それぞれ150メッシュ(目開き105μm)を通る粉体の量が44%(比較例1)、49%(比較例2)、54%(比較例3)であった。
[試験例2]
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた顆粒または粉体を、試験例1と同様の方法で、水への分散性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2007259824
◎;容易に分散し、ダマや浮遊物の発生がない。
○;容易に分散し、ダマや浮遊物の発生がほとんどない。
△;分散するが、ややダマや浮遊物の発生が見られる。
×;分散しづらく、ダマや浮遊物の発生が見られる。
表5より、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含む顆粒状食品組成物は良好な分散性を示したが、単に植物ステロール類とデキストリンとを造粒した粉末組成物は顆粒形成が不十分であるため、水への分散が非常に困難であることが理解される。

Claims (5)

  1. 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを含むことを特徴とする顆粒状食品組成物。
  2. 請求項1において、粒径が少なくとも150メッシュ(目開き105μm)を通過する大きさの粉末の割合が全体の20%以下である顆粒状食品組成物。
  3. 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体1部に対しデキストリンが3部以上である請求項1または2記載の顆粒状組成物。
  4. デキストリンのDE値が10〜30である請求項1乃至3のいずれかに記載の粉末状組成物。
  5. 植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びデキストリンを混合し、造粒することを特徴とする顆粒状食品組成物の製造方法。
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