JP2007259693A - 状態制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各測定器で測定された測定結果とあらかじめ設定された設定値に基づいて、測定結果と設定値とを一致させるために各最終作動装置を操作すべき操作量を算出する算出部と、各操作量と使用者に設定された複数種類のパラメータに基づいて、各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力するとともに、一つの最終作動装置を駆動する駆動信号を出力する時には、他の最終作動装置を駆動する駆動信号を出力しない総合制御部とを備える。
【選択図】図3
Description
特許文献1に開示された温度制御装置は、ある加熱器を駆動する期間には、他の加熱器を駆動しない時分割制御を行い、一時的な消費電力の増大を防止する。この装置では、加熱器の温度上昇特性に基づいて、一サイクルにおける各加熱器を駆動すべき期間が割り当てられる。すなわち、温度上昇しやすい加熱器には短い駆動期間を割り当てる一方、温度上昇しにくい加熱器には長い駆動期間を割り当て、全ての加熱器が実質的に同時に定常状態に移行するように制御する。従って、この温度制御装置を有する半導体製造設備その他の設備では、温度上昇が遅い加熱器が定常状態に移行するのを待つ時間が短縮される。
この発明は、制限された消費動力の下で、多彩な要因に基づいて、複数の最終作動装置を調和的に駆動および制御する状態制御装置を提供する。
この発明に係る状態制御装置は、上記パラメータ生成部が、上記複数の最終作動装置の優先順位に関連する優先順位パラメータを生成し、上記総合制御部が、上記優先順位パラメータで高い優先順位に表された最終作動装置を駆動する駆動信号を優先的に出力し、高い優先順位の最終作動装置が駆動された後の上記一つのサイクルの残り時間に、残りの各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力することを特徴とするものである。このことによって、特定の最終作動装置を優先的に長い時間駆動することができるだけでなく、他の最終作動装置も駆動することができる。
この発明に係る状態制御装置は、上記パラメータ生成部が、少なくとも一つの上記最終作動装置が一つのサイクル中で駆動されうる時間の限界に関連する限界パラメータを生成し、上記総合制御部が、上記限界パラメータを含むパラメータに基づいて、上記最終作動装置の駆動信号の出力を調整することを特徴とするものである。このことによって、最終作動装置の用途、環境、特性その他の要因に応じて、最終作動装置の駆動時間を適切に制限することができる。
この発明に係る状態制御装置は、上記パラメータ生成部が、少なくとも一つの上記最終作動装置が一つのサイクル中で駆動されうる時間の限界に関連する限界パラメータと、上記複数の最終作動装置の優先順位に関連する優先順位パラメータを生成し、上記総合制御部が、上記限界パラメータと上記優先順位パラメータに基づいて、上記最終作動装置の駆動信号の出力を調整することを特徴とするものである。このことによって、特定の最終作動装置を優先的に長い時間駆動することができ、さらに最終作動装置の用途、環境、特性その他の要因に応じて、長時間駆動される最終作動装置の駆動時間を適切に制限することができる。
この発明に係る状態制御装置は、上記各操作量により複数の最終作動装置が駆動されるべき時には、上記総合制御部は、上記優先順位パラメータでより高い優先順位に表された最終作動装置を駆動し、他の最終作動装置を停止することを特徴とするものである。このことによって、特定の最終作動装置を優先的に長い時間駆動することができる。例えば、特定の最終作動装置を他よりも迅速に好ましい状況に移行させることができ、特定の最終作動装置について好ましい状況を他の最終作動装置よりも精確に維持することができる。
この発明の実施の形態による状態制御装置は、例えば、図1に示された炉10に応用されうる。炉10はその長手方向に沿って延びる空洞を有しており、コンベア12がこの空洞の内部を通過するように配置されている。コンベア12で搬送される被加熱物13は、入口14から炉10内に進入して、出口15から出て行き、この通過の間に加熱されるようになっている。炉10は、大まかに4つの被加熱区域21,22,23,24に区分される。
図2に示されるように、炉10の被加熱区域21,22,23,24の内部には、電気式の加熱器(最終作動装置)21A,22A,23A,24Aがそれぞれ配置され、温度を測定するための電気式の(例えば熱電対式の)温度計21B,22B,23B,24Bがそれぞれ配置されている。温度計(測定器)21B,22B,23B,24Bは、それぞれに対応する区域21,22,23,24の温度に関する信号を制御盤25に供給する。以下、被加熱区域21,22,23,24は、それぞれチャンネルCH1,CH2,CH3、CH4と呼ばれることもある。
図3を参照しながら、この発明に係る状態制御装置の構成を説明する。この状態制御装置は、さらにインターフェイス制御部(パラメータ生成部)28、時分割制御部29、演算部31,32,33,34、減算器41,42,43,44を備える。
インターフェイス制御部28は、パラメータ設定プログラムに基づいて稼動することが可能であり、このプログラムの制御の下で、使用者が設定可能な複数種類のパラメータ情報の入力を促す画面を表示パネル26に表示させる。使用者は、その画面の案内に従って、操作パネル27を操作することにより、所望のパラメータ情報をインターフェイス制御部28に入力する。入力が終了することにより全てのパラメータ情報が確定されると、パラメータ設定プログラムは終了し、表示パネル26には確定したパラメータ情報が表示される(図5参照)。
時分割制御部29と加熱器21A,22A,23A,24Aの間には、リレー51,52,53,54が配置されている。この実施形態において、時分割制御部29は、各リレー51,52,53,54を選択的に活性化したり(オンしたり)、非活性化したり(オフしたり)することにより、各加熱器21A,22A,23A,24Aが駆動される期間を制御する。すなわち、リレー51,52,53,54を用いて、時分割制御部29は加熱器21A,22A,23A,24Aの時分割制御をすることが可能である。
リレー51〜54には、NFB(ノーフューズブレーカ)55が接続されている。NFB55はこの状態制御システムが過負荷になると、リレー51〜54を強制的に遮断することにより、電源56から加熱器21A〜24Aに電流が流れるのを阻止する。
時分割制御部29は、主制御部60と、バッファ61,62,63,64を有する。操作量MV1,MV2,MV3,MV4はバッファ61,62,63,64に一時的に記憶される。これらの操作量MV1,MV2,MV3,MV4およびインターフェイス制御部28から供給される様々なパラメータに基づいて、主制御部60は、実際に加熱器21A,22A,23A,24Aを駆動するための駆動信号MV1',MV2',MV3',MV4'を出力する。この場合、時分割制御部29は実際の駆動信号MV1',MV2',MV3',MV4'に従ってリレー51,52,53,54をオンして、加熱器21A,22A,23A,24Aの時分割制御を行う。
図4は、演算部31の詳細な構成を示す。他の演算部32,33,34も同様の構成を有する。演算部31は、スイッチ部35、PID(比例・積分・微分)算出部36、オンオフ決定部37およびスイッチ部38を備える。スイッチ部35,38の間において、PID算出部(算出部)36とオンオフ決定部(駆動決定部)37は、並列に配置されている。スイッチ部35,36は上述のモードパラメータMPにより制御される。すなわち、PID算出部36を選択すべき旨を示すモードパラメータMPが供給されると、スイッチ部35,38はPID算出部36を減算器41および時分割制御部29に接続する。この場合には、上述したように、PID算出部36は、減算器41からの偏差量ER1に基づいて、対応する加熱器21Aのための操作量MV1を算出し、操作量MV1を時分割制御部29に供給する。
一方、オンオフ決定部37を選択すべき旨を示すモードパラメータMPが供給されると、スイッチ部35,38はオンオフ決定部37を減算器41および時分割制御部29に接続する。この場合には、減算器41からの偏差量ER1がオンオフ決定部37に供給される。オンオフ決定部37は偏差量ER1をある閾値と比較する。より具体的には、偏差量ER1が閾値以上であれば、オンオフ決定部37は加熱器21Aを駆動させないことを示す操作量MV1(0%)を出力する。しかし、偏差量ER1が閾値未満であれば、加熱器21Aを駆動すべきことを示す操作量MV1(100%)をオンオフ決定部37は時分割制御部29に供給する。操作量は、時分割制御部29のバッファ61に一時的に記憶される。時分割制御部29の主制御部60は操作量MV1および時分割制御部29に供給されたパラメータに基づいて、加熱器21Aを実際に駆動する駆動信号MV1'を出力する。
図5において、目標温度パラメータは、各チャンネルCH1〜CH4(つまり被加熱区域21〜24)の目標温度に関する。
サイクルタイムパラメータは、温度制御の基準サイクルタイムに関連しており、時分割制御部29はこの基準サイクルタイム中に加熱器21A〜24Aを実際に駆動する時間を割り当てる。
グループ分類パラメータは、制御対象である加熱器21A〜24Aを複数グループに分類すべき場合の分類の仕方を表す。この実施の形態では、例えば、チャンネルCH1とCH2とを一つのグループにし、チャンネルCH3とCH4とを他の一つのグループにするようにチャンネルを分類することが可能であり、各グループごとに独立的に制御することができ、必要に応じて複数グループを統合的に制御することができる。分類の態様は、上記に限定されず、任意に設定することができる。また、グループ分類パラメータを設定するか否かは使用者が任意に決定できる。
出力制限パラメータは、演算部により演算された操作量MV1,MV2,MV3,MV4を制限するものであり、一つのサイクル中で一つの加熱器を駆動することが可能な時間の限度に対応する。出力制限パラメータを設定するか否かは、炉10の用途、環境、その他の要因に応じて、使用者が任意に決定でき、このパラメータを決定しない場合には100%が設定される。また、加熱器の特性、炉10の制御特性、その他の要因によって、出力制限パラメータを設定するのが避けられない場合もありうる。上記のことは、上限値を制限するパラメータを例としたものであるが、下限値を制限するパラメータを設定する場合もある。
時間割当てパラメータは、この制御装置が上記の演算部のオンオフ決定部37を選択すべきモードにあるときだけに設定することができる。時間割当てパラメータは、各チャンネルCH1〜CH4の加熱器21A〜24Aを一つのサイクル中で実際に加熱すべき時間に関連する。各チャンネルCH1〜CH4を加熱すべきことを意味する信号がオンオフ決定部37から供給された時に、時分割制御部29は、時間割当てパラメータに応じて、各チャンネルCH1〜CH4の加熱器21A〜24Aを実際に駆動する実際の駆動時間を求める。
チャンネル間オンタイムシフトパラメータは、上記のグループ分類パラメータが「あり」のときだけに設定することができる。チャンネル間オンタイムシフトパラメータは、一つのグループに属する加熱器が駆動され始める瞬間を、他のグループに属する加熱器が駆動され始める瞬間からずらすために設定されるものであり、これらの始動の瞬間の相互のシフト時間を表す。
図5に示すこれらのパラメータのうち、目標温度は上述の通り、図3に示す目標温度信号SP1,SP2,SP3,SP4により、減算器41〜44に通知されるが、時分割制御部29には供給されない。他のパラメータは、時分割制御部29に供給される。さらに、モードパラメータは、上述の通り、全ての演算部31〜34にも供給される。これらのパラメータの詳細は、後の説明でさらに明らかにする。
特定チャンネル優先モードは、図5のモードAに該当する。この特定チャンネル優先モードでは、チャンネルCH1〜CH4のうち若い番号のチャンネルの加熱器が優先される。すなわち、加熱器21Aが最優先され、次に加熱器22Aが優先され、次に加熱器23Aが優先される。特定チャンネル優先モードが選択されると、加熱器21A〜24Aの優先順位に関連する優先順位パラメータをインターフェイス制御部28が生成し、この優先順位パラメータを時分割制御部29に供給する。また、インターフェイス制御部28は、演算部31〜34のPID算出部36を選択すべき旨を示すモードパラメータMPを生成し、これを演算部31〜34に供給する。
図6のタイムチャートを参照し、特定チャンネル優先モードでの動作の例を説明する。図6の動作例の条件としての図5の各パラメータは次の通りである。すなわち、サイクルタイムは10秒、グループ分類は「なし」、オフ−オンシフト時間はなし(0秒)、出力制限は全てのチャンネルについてなし(100%)、モードはA(特定チャンネル優先モード)に設定されている。
時分割制御部29の主制御部60は、まず最優先的な加熱器21Aの実際の駆動時間として、10秒(1サイクルタイム)の30%(MV1)である3秒を算出する(図6の駆動信号MV1'に相当する)。そして、次に優先的な加熱器22Aの実際の駆動時間(駆動信号MV2'の出力時間)として、10秒の20%(MV2)である2秒が算出される。さらに、加熱器23Aの実際の駆動時間(駆動信号MV3'の出力時間)として、10秒の20%(MV3)である2秒が算出される。さらに、加熱器24Aの実際の駆動時間(駆動信号MV4'の出力時間)として、10秒の10%(MV4)である1秒が算出される。主制御部60は、このようにして算出した実際の駆動時間'を互いに重なることがないように、1サイクルタイム(10秒)中に割り当てる。
さらに、サイクルCCのために、演算部31〜34により、加熱器21Aのための操作量MV1は100%、加熱器22Aのための操作量MV2は40%、加熱器23Aのための操作量MV3は20%、加熱器24Aのための操作量MV4は5%と算出されたと仮定する。主制御部60は、まず加熱器21Aの実際の駆動時間(駆動信号MV1'の出力時間)として、10秒(1サイクルタイム)の100%(MV1)である10秒を割り当てる。そうすると、サイクルタイムCCには、他の加熱器22A,23A,24Aを駆動することができる残り時間は全くないので、実際の駆動時間(駆動信号MV2', MV3', MV4'の出力時間)は0秒である。
また、この特定チャンネル優先モードでは、特定のチャンネルの加熱器を優先的に長い時間駆動することができる。例えば、特定の被加熱部(21〜24のいずれか)を他よりも迅速に加熱すべき環境では、迅速に好ましい状況を実現することができ、特定の被加熱部について他よりも温度を一定に維持すべき環境では、好ましい状況を精確に維持することができる。
次に、図7のタイムチャートを参照しながら、特定チャンネル優先モードにおいて、各加熱器21A〜24Aに出力制限が与えられた場合の動作の例を説明する。上述の通り、出力制限パラメータは、演算部により演算された操作量MV1,MV2,MV3,MV4を制限するものであり、一つのサイクル中で一つの加熱器を駆動することが可能な時間の限度に対応する。つまり、たとえ演算部31〜34のいずれかが大きい操作量を算出し、いずれかの加熱器に長い駆動時間を与えるべきであっても、実際の駆動時間は出力制限パラメータのために制限される。逆に、出力制限パラメータとして、最小限度を設定することができるようにしてもよく、この場合には、演算部31〜34のいずれかが小さい操作量を算出しても、実際には最低限必要な駆動時間が確保される。
図7の動作例の条件としての図5の各パラメータは次の通りである。すなわち、サイクルタイムは10秒、グループ分類は「なし」、オフ−オンシフト時間はなし(0秒)、出力制限は全てのチャンネルについて40%、モードはA(特定チャンネル優先モード)に設定されている。この設定の下では、各加熱器21A〜24Aは、10秒(サイクルタイム)の40%(出力制限)である4秒より長く駆動してはならない。
時分割制御部29の主制御部60は、まず最優先的な加熱器21Aの実際の駆動時間(駆動信号MV1'の出力時間)として、10秒(1サイクルタイム)の100%(MV1)の10秒を算出するが、10秒は最大限度4秒よりも大きいので、これを廃棄し、加熱器21Aの実際の駆動時間として4秒を割り当てる。そして、次に優先的な加熱器22Aの実際の駆動時間(駆動信号MV2'の出力時間)として、10秒(1サイクルタイム)の80%(MV2)として8秒を算出するが、8秒は最大限度4秒よりも大きいので、やはりこれを廃棄して、加熱器22Aの実際の駆動時間として4秒を割り当てる。さらに、加熱器23Aの実際の駆動時間(駆動信号MV3'の出力時間)として、10秒の10%(MV3)の1秒が割り当てられる。1秒は出力制限パラメータ(40%)に影響されない。さらに、加熱器24Aの実際の駆動時間(駆動信号MV4'の出力時間)として、10秒の10%(MV4)である1秒が割り当てられる。
次に、図8のタイムチャートを参照しながら、特定チャンネル優先モードにおいて、オフ−オンシフト時間パラメータが設定された場合の動作の例を説明する。上述の通り、オフ−オンシフト時間パラメータは、一つの加熱器をオンする瞬間を遅延させることを目的としたシフト時間に関連する。図8の動作例の条件としての図5の各パラメータは次の通りである。すなわち、サイクルタイムは10秒、グループ分類は「なし」、オフ−オンシフト時間は0.5秒、出力制限は全てのチャンネルについてなし(100%)、モードはA(特定チャンネル優先モード)に設定されている。
時分割制御部29の主制御部60は、まず最優先的な加熱器21Aの実際の駆動時間(駆動信号MV1'の出力時間)として、10秒(1サイクルタイム)の30%(MV1)である3秒を算出する。そして、次に優先的な加熱器22Aの実際の駆動時間(駆動信号MV2'の出力時間)として、10秒の20%(MV2)である2秒が算出される。さらに、加熱器23Aの実際の駆動時間(駆動信号MV3'の出力時間)として、10秒の20%(MV3)である2秒が算出される。さらに、加熱器24Aの実際の駆動時間(駆動信号MV4'の出力時間)として、10秒の10%(MV4)である1秒が算出される。
主制御部60は、サイクルタイムの先頭から駆動信号MV1'の出力開始の瞬間まで、オフ−オンシフト時間(0.5秒)に相当するインターバルを設ける。また、駆動信号MV1'の出力終了の瞬間から次の駆動信号MV2'の出力開始の瞬間まで、オフ−オンシフト時間(0.5秒)に相当するインターバルを設け、駆動信号MV2'の出力終了の瞬間から次の駆動信号MV3'の出力開始の瞬間まで、同じ長さのインターバルを設け、さらに駆動信号MV3'の出力終了の瞬間から最後の駆動信号MV4'の出力開始の瞬間まで、同じ長さのインターバルを設ける。
一方、オフ−オンシフト時間を適切に設けた場合には、リレーのアクチュエータの動作が遅延したとしても、加熱器21Aの駆動時間の終端と同時またはそれより後に、加熱器22Aの駆動が開始するので、電力消費の増加が防止される。特定チャンネル優先モードにおいて、このオフ−オンシフト時間パラメータは、出力制限パラメータと併用されてもよい。
次に、ステップST4で、加熱器21Aの駆動時間LMV1'が最大限度時間TLMX1(秒)を超えているか否か判断する。最大限度時間TLMX1は、一つのサイクルタイム中で加熱器21Aが駆動されうる最大限度の時間であり、チャンネルCH1の出力制限パラメータとサイクルタイムを乗じて決定される。この判断が肯定的であれば、ステップST5で、駆動時間LMV1'を最大限度時間TLMX1まで短縮する。
次に、ステップST6で、加熱器22Aの駆動時間LMV2'が最大限度時間TLMX2(秒)を超えているか否か判断する。最大限度時間TLMX2は、一つのサイクルタイム中で加熱器22Aが駆動されうる最大限度の時間であり、チャンネルCH2の出力制限パラメータとサイクルタイムを乗じて決定される。この判断が肯定的であれば、ステップST7で、駆動時間LMV2'を最大限度時間TLMX2まで短縮する。
次に、ステップST12で次の数式に従って計算を実行する。
ΣLMV' = LMV1' + LMV2' +LMV3' + LMV4' + ΣSINT
ここで、SINTは、オフ−オンシフト時間に相当するインターバルであり、ΣSINTはインターバルSINTの総計である。例えば、図8のタイムチャートに従うと、SINTは0.5秒であり、ΣSINTはSINTの4倍であるから2秒である。つまり、ΣLMV'は、全ての加熱器21A〜24Aを順次駆動するのにかかる総計時間である。
LMV4'が0まで縮減された場合(ステップST16の判断が肯定的になった場合)には、ステップST17で主制御部60はフラグF4をセットする。フラグF4は、LMV4'が0であり、デクリメントするのが不可能なことを示す。さらに、主制御部60は、ステップST18において、インターバルSINTの総計ΣSINTから一つのインターバルSINTを差し引く。その理由は、チャンネルCH4の加熱器24Aの駆動時間LMV4'が存在しないから、駆動時間LMV3'と駆動時間LMV4'の間のインターバルはもはやないからである(図8参照)。
ステップST19では、後述するフラグF3がセットされているか否か判断する。この判断が否定的であれば、ステップST20にルーティンが進み、LMV3'をデクリメントする。次に、ステップST21でLMV3'がゼロか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST12に戻り、短縮されたLMV3'を用いて、再び総計時間ΣLMV'を算出し、ステップST13でこれをサイクルタイムCTと比較する。従って、総計時間ΣLMV'がサイクルタイムCT以下になるまで、LMV3'がデクリメントされてゆく。
LMV3'が0まで縮減された場合(ステップST21の判断が肯定的になった場合)には、ステップST22で主制御部60はフラグF3をセットする。フラグF3は、LMV3'が0であり、デクリメントするのが不可能なことを示す。さらに、ルーティンはステップST18に進み、主制御部60は、ステップST18において、インターバルSINTの総計ΣSINTから一つのインターバルSINTを差し引く。その理由は、チャンネルCH3の加熱器23Aの駆動時間LMV3'が存在しないから、駆動時間LMV2'と駆動時間LMV3'の間のインターバルはもはやないからである。
ステップST23では、後述するフラグF2がセットされているか否か判断する。この判断が否定的であれば、ステップST24にルーティンが進み、LMV2'をデクリメントする。次に、ステップST25でLMV2'がゼロか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST12に戻り、短縮されたLMV2'を用いて、再び総計時間ΣLMV'を算出し、ステップST13でこれをサイクルタイムCTと比較する。従って、総計時間ΣLMV'がサイクルタイムCT以下になるまで、LMV2'がデクリメントされてゆく。
この後、ルーティンは、ステップST12に戻り、短縮されたΣSINTを用いて、再び総計時間ΣLMV'を算出し、ステップST13でこれをサイクルタイムCTと比較する。ステップST13の判断がまだ肯定的であれば、ルーティンはステップST14、ステップST19およびステップST23を経てステップST27に進み、LMV1'をデクリメントする。ステップST27の後、ルーティンはステップST12に戻る。従って、LMV1'(もはやΣLMV'そのもの)がサイクルタイムCT以下になるまで、LMV1'がデクリメントされてゆく。
図12を参照しながら、特定チャンネル優先モードにおいて、時分割制御部29の主制御部60が実行する駆動ルーティンを説明する。この駆動ルーティンは個々の加熱器21A〜24Aを駆動するためのものである。
次に、ステップST33で、チャンネルCH1の加熱器21Aがオン条件を満たしているか否か判断する。このオン条件とは、加熱器21Aを駆動するための駆動時間LMV1'がゼロより大きいことである。この判断が否定的であれば、ルーティンはステップST38に進む。一方、判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST34に進み、オフ−オンシフト時間(インターバルSINT)が経過するのを待つ。そして、ステップST35で、チャンネルCH1のリレー51をオンし、他のチャンネルのリレー52〜54をオフし、加熱器21Aのみの駆動を開始する。
次に、ステップST39で、チャンネルCH2の加熱器22Aがオン条件を満たしているか否か判断する。この判断が否定的であれば、ルーティンはステップST44に進む。一方、判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST40に進み、オフ−オンシフト時間(インターバルSINT)が経過するのを待つ。そして、ステップST41で、チャンネルCH2のリレー52をオンし、他のチャンネルのリレー53,54をオフし、加熱器22Aのみの駆動を開始する。
次に、ステップST45で、チャンネルCH3の加熱器23Aがオン条件を満たしているか否か判断する。この判断が否定的であれば、ルーティンはステップST50に進む。一方、判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST46に進み、オフ−オンシフト時間(インターバルSINT)が経過するのを待つ。そして、ステップST47で、チャンネルCH3のリレー53をオンし、他のチャンネルのリレー54をオフし、加熱器23Aのみの駆動を開始する。
次に、ステップST51で、チャンネルCH4の加熱器24Aがオン条件を満たしているか否か判断する。この判断が否定的であれば、ルーティンはステップST31に戻り、再びサイクルタイムの先頭時期か否か判断する。一方、判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST52に進み、オフ−オンシフト時間(インターバルSINT)が経過するのを待つ。そして、ステップST53で、チャンネルCH4のリレー54をオンし、加熱器24Aのみの駆動を開始する。
この特定チャンネル優先モードでは、チャンネルCH1〜CH4のうち若い番号のチャンネルの加熱器が優先されるが、使用者がどのチャンネルを優先させるか設定できるようにしてもよい。
また、出力制限パラメータとして、最大限度が設定されているが、さらに最小限度も設定することができるようにしてもよい。
次に、この温度制御装置の動作として、必要操作量比例モードの動作を説明する。
図13のタイムチャートを参照し、必要操作量比例モードでの動作の例を説明する。図13の動作例の条件としての図5の各パラメータは次の通りである。すなわち、サイクルタイムは10秒、グループ分類は「なし」、オフ−オンシフト時間はなし(0秒)、出力制限は全てのチャンネルについてなし(100%)、モードはB(必要操作量比例モード)に設定されている。
図13に示すサイクルタイムのために、演算部31のPID算出部36は、加熱器21Aが一つのサイクル中で駆動されるべき時間に対応する操作量MV1として80%を算出したと仮定する。また、演算部32のPID算出部36は、加熱器22Aのための操作量MV2として70%を算出したと仮定する。さらに、加熱器23Aのための操作量MV3は30%、加熱器24Aのための操作量MV4は20%と算出されたと仮定する。
LMV1' = CT * MV1/ΣMV
LMV2' = CT * MV2/ΣMV
LMV3' = CT * MV3/ΣMV
LMV4' = CT * MV4/ΣMV
この必要操作量比例モードでも、算出した駆動時間LMV1'〜LMV4'が互いに重ならないように、1サイクルタイム(10秒)中に割り当てられるので、制限された消費動力の下で、調和的に各加熱器の駆動および制御が可能である。また、個々の加熱器に要求される操作量に比例して、実際の駆動時間を与えるので、例えば、これらの全ての加熱器が実質的に同時に定常状態に移行するようにすることが可能である。この必要操作量比例モードにおいて、オフ−オンシフト時間パラメータおよび出力制限パラメータを利用してもよい。
図14を参照しながら、上述の必要操作量比例モードにおいて、時分割制御部29の主制御部60が実行する駆動時間算出ルーティンを説明する。このルーティンでは、まずステップST61において、主制御部60は自身が内蔵するタイマーを参照し、加熱器の実際の駆動時間LMV1'〜LMV4'を算出すべき時期か否か判断する。この判断が肯定的であれば、演算部31〜34が算出した操作量MV1〜MV4をステップST62で、バッファ61〜64から主制御部60が読み出す。そして、ステップST63で、操作量MV1〜MV4にサイクルタイムの長さCTを乗ずる。
次に、ステップST66で、CT*MV2が最大限度時間TLMX2(秒)を超えているか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ステップST67で、操作量MV2をTLMX2/CTまで短縮する。
同様にして、ステップST68およびステップST69により、CT*MV3が最大限度時間TLMX3(秒)を超えていれば、操作量MV3をTLMX3/CTまで短縮し、ステップST70およびステップST71により、CT*MV4が最大限度時間TLMX4(秒)を超えていれば、操作量MV4をTLMX4/CTまで短縮する。
次に、ステップST72で次の数式に従って計算を実行する。
ΣMV = MV1 + MV2 +MV3 + MV4
上述の通り、ΣMVは、全ての加熱器21A〜24Aのための操作量の総計(%)である。
LMV1' = CT * MV1/ΣMV − SINT
LMV2' = CT * MV2/ΣMV − SINT
LMV3' = CT * MV3/ΣMV − SINT
LMV4' = CT * MV4/ΣMV − SINT
ここで、SINTは、オフ−オンシフト時間に相当するインターバル(秒)であり、オフ−オンシフト時間パラメータが設定されるのでなければ、SINTはゼロであり、数式の第2項もゼロである。
ただし、このインターバルの減算のため、算出されたLMV1'〜LMV4'のいずれかがゼロ未満になる場合がありうる。かかる場合には、ステップST74、ST77、ST80、ST83のいずれかの判断により、ルーティンは75、ST78、ST81、ST84のいずれかに進み、LMV1'〜LMV4'のいずれかはゼロにセットされる。
このようにして確定された実際の駆動時間パラメータLMV1'〜LMV4'を主制御部28は、ステップST85でバッファ61〜64に一時的に保存する。ステップST85の終了後、ルーティンはステップST61に戻り、再び算出時期であるか否かを判断する。
次に、この温度制御装置の動作として、特定チャンネル優先モードと必要操作量比例モードの結合モードの動作を説明する。
この結合モードは、図5のモードCに該当する。この結合モードでは、少なくとも一つの特定のチャンネルが優先され、他の個々のチャンネルは公平に取り扱われる。例えば、加熱器21Aが優先され、演算部31のPID算出部36で求められた操作量MV1に直接的に従った実際の駆動時間LMV1'が加熱器21Aに与えられる(演算部31〜34のPID算出部36で求められた操作量MV1〜MV4の合計が100%を超えているか否かに関わりない)。一方、他の加熱器22A、23A、24Aは公平に取り扱われ、駆動信号MV2'〜MV4'が出力される駆動時間LMV2'〜LMV4'がサイクルタイム中の残りの時間に割り当てられる。もし、演算部32〜34のPID算出部36で求められた操作量MV2〜MV4の合計が残余時間に相当する量を超えた場合には、個々のチャンネルの駆動時間は公平に短縮され、個々のチャンネルには、対応する操作量(MV2〜MV4のいずれか)に比例する実際の駆動時間が与えられる。結合モードが選択されると、このモードに対応するモードパラメータをインターフェイス制御部28が生成し、このモードパラメータを時分割制御部29に供給する。また、インターフェイス制御部28は、演算部31〜34のPID算出部36を選択すべき旨を示すモードパラメータMPを生成し、これを演算部31〜34に供給する。
図15に示すサイクルタイムのために、演算部31のPID算出部36は、加熱器21Aが一つのサイクル中で駆動されるべき時間に対応する操作量MV1として50%を算出したと仮定する。また、演算部32のPID算出部36は、加熱器22Aのための操作量MV2として50%を算出したと仮定する。さらに、加熱器23Aのための操作量MV3は30%、加熱器24Aのための操作量MV4は20%と算出されたと仮定する。
しかし、この結合モードでは、時分割制御部29の主制御部60は、二義的なチャンネルCH1〜CH4の加熱器22A〜24Aに関する操作量MV2〜MV4(%)の合計ΣSMV(%)を求める。そして、個々の操作量を合計操作量ΣSMVで割り、その商に残余時間(秒)を乗じることにより、実際の駆動時間を得る。すなわち、実際の駆動時間LMV2'〜LMV4'は以下の数式で求められる。
LMV2' = (CT − LMV1') * MV2/ΣSMV
LMV3' = (CT − LMV1') * MV3/ΣSMV
LMV4' = (CT − LMV1') * MV4/ΣSMV
具体的には、LMV1' = CT * MV1 = 10* 0.5 = 5秒であり、LMV2' = (10 − 5) * 50/(50+30+20) = 2.5秒である。LMV3' = 1.5秒であり、LMV4' = 1秒である。主制御部60は、このようにして算出した実際の駆動時間LMV1'〜LMV4'を互いに重なることがないように、一つのサイクルタイム(10秒)中に割り当てる。
この結合モードでは、優先されたチャンネルについては特定チャンネル優先モードの長所が達成され、二義的なチャンネルについては必要操作量比例モードの長所が達成される。
二義的なチャンネルについては、所望の操作量よりも少ない駆動時間が各加熱器に割り当てられるので、温度の応答性は劣ってしまうが、算出した実際の駆動時間LMV1'〜LMV4'が互いに重ならないように、1サイクルタイム(10秒)中に割り当てられるので、制限された消費動力の下で、調和的に各加熱器の駆動および制御が可能である。また、個々の加熱器に要求される操作量に比例して、実際の駆動時間を与えるので、例えば、これらの全ての二義的な加熱器が実質的に同時に定常状態に移行するようにすることが可能である。この結合モードにおいても、オフ−オンシフト時間パラメータおよび出力制限パラメータを利用してもよい。
図16を参照しながら、上述の結合モードにおいて、時分割制御部29の主制御部60が実行する駆動時間算出ルーティンを説明する。このルーティンでは、まずステップST91において、主制御部60は自身が内蔵するタイマーを参照し、加熱器の実際の駆動時間LMV1'〜LMV2'を算出すべき時期か否か判断する。この判断が肯定的であれば、演算部31〜34が算出した操作量MV1〜MV2をステップST92で、バッファ61〜64から主制御部60が読み出す。そして、ステップST93で、操作量MV1にサイクルタイムの長さCTを乗じて、加熱器21Aの駆動時間LMV1'を得る。また、他の操作量MV2〜MV4にもサイクルタイムの長さCTを乗ずる。
次に、ステップST96で、CT*MV2'が最大限度時間TLMX2(秒)を超えているか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ステップST97で、操作量MV2をTLMX2/CTまで短縮する。
同様にして、ステップST98およびステップST99により、CT*MV3'が最大限度時間TLMX3(秒)を超えていれば、操作量MV3をTLMX3/CTまで短縮し、ステップST100およびステップST101により、CT*MV4'が最大限度時間TLMX4(秒)を超えていれば、操作量MV4をTLMX4/CTまで短縮する。
次に、ステップST102で次の数式に従って計算を実行する。
ΣSMV = MV2 +MV3 + MV4
この後、ステップST103、ST106、ST109にルーティンが進み、駆動時間LMV1'〜LMV4'(秒)が以下の数式で求められる。
LMV2' = (CT − LMV1') * MV2/ΣSMV − SINT * ΣSINT/(ΣSINT − SINT)
LMV3' = (CT − LMV1') * MV3/ΣSMV − SINT * ΣSINT/(ΣSINT − SINT)
LMV4' = (CT − LMV1') * MV4/ΣSMV − SINT * ΣSINT/(ΣSINT − SINT)
ここで、SINTは、オフ−オンシフト時間に相当するインターバル(秒)であり、ΣSINTはインターバルSINTの総計である。上記の数式の第2項は、優先された加熱器21Aに、実際の駆動時間LMV1'をインターバルSINTで減ずることなくそのまま与えるために、図14の必要操作量比例モードにおけるステップST73、ST76、ST79、ST82の数式の第2項より大きい。オフ−オンシフト時間パラメータが設定されるのでなければ、SINTはゼロであり、数式の第2項もゼロである。
ただし、このインターバルの減算のため、算出されたMV2'〜MV4'のいずれかがゼロ未満になる場合がありうる。かかる場合には、ステップST104、ST107、ST110のいずれかの判断により、ルーティンは75、ST108、ST111のいずれかに進み、LMV2'〜LMV4'のいずれかはゼロにセットされる。
以上のようにして、結合モードにおける実際の駆動時間LMV1'〜LMV4'が算出され、オフ−オンシフト時間パラメータおよび出力制限パラメータも算出に供することができる。このモードにおいて、時分割制御部29の主制御部60が実行する駆動ルーティンは、上述の特定チャンネル優先モードの駆動ルーティンと共通である。すなわち、図12を参照して上述した駆動ルーティンが、結合モードでもそのまま使われうる。
さらに、この温度制御装置の動作として、時間割当てモードの動作を説明する。
この時間割当てモードは、図5のモードDに該当する。この時間割当てモードでは、演算部31〜34において、オンオフ決定部37が選択されて利用される(図4参照)。上述のように、オンオフ決定部37は、対応する加熱器が駆動されるべきときに、100%を示す操作量MV1を時分割制御部29に供給し、他の場合には0%を示す操作量MV1を時分割制御部29に供給する。
時間割当てモードが選択されると、使用者の入力に基づいて時間割当てパラメータをインターフェイス制御部28が生成し、この時間割当てパラメータを時分割制御部29に供給する。また、インターフェイス制御部28は、演算部31〜34のオンオフ決定部37を選択すべき旨を示すモードパラメータMPを生成し、これを演算部31〜34に供給する。
図17のタイムチャートを参照し、時間割当てモードを利用した場合の動作の例を説明する。図17の動作例の条件としての図5の各パラメータは次の通りである。すなわち、サイクルタイムは10秒、グループ分類は「なし」、オフ−オンシフト時間はなし(0秒)、出力制限は全てのチャンネルについてなし(100%)、モードはD(時間割当てモード)に設定されている。そして、チャンネル1の加熱器21Aの時間割当てパラメータは50%、チャンネル3の加熱器22Aの時間割当てパラメータは20%、チャンネル3の加熱器23Aの時間割当てパラメータは20%、チャンネル4の加熱器24Aの時間割当てパラメータは10%である。
時分割制御部29の主制御部60は、まずバッファ61〜64から操作量MV1〜MV4を読み出す。そして、加熱されるべき加熱器21Aの実際の駆動時間LMV1'(駆動信号MV1'の出力時間)として、10秒(1サイクルタイム)の50%(時間割当てパラメータ)である5秒を算出する。同様にして、加熱器22Aの駆動時間LMV2'として2秒が算出され、加熱器24Aの駆動時間LMV4'として1秒が算出される。また、加熱すべきでないことが操作量MV3で示されている加熱器23Aの駆動時間LMV3'をゼロ秒に主制御部は決定する。
主制御部60は、このようにして得られた実際の駆動時間LMV1'〜LMV4'を互いに重なることがないように、1サイクルタイム(10秒)中に割り当てる。例えば図12のフローチャートで示された駆動ルーティンを実行することにより、サイクルタイムにおける駆動時間LMV1'〜LMV4'の割当てが簡単に行われる。
この時間割当てモードでは、加熱器を加熱すべきときに、任意の割合の重み付けを行いながら、必要な加熱器を加熱することができる。従って、例えば、特定のチャンネルの加熱器を優先的に長い時間駆動して、他よりも迅速に加熱したり、他よりも温度を一定に維持したりすることができる。あるいは、全ての加熱器が同時に実質的に同時に定常状態に移行するようにすることも可能である。
この時間割当てモードでは、各チャンネルに時間割当てパラメータが設定されるが、時間割当てパラメータの代わりに出力制限パラメータを使用してもよい。
さらに、この温度制御装置において、グループ分類パラメータを利用した場合の動作を説明する。
図18のタイムチャートを参照し、グループ分類パラメータを利用した場合の動作の例を説明する。図18の動作例の条件としての図5の各パラメータは次の通りである。すなわち、サイクルタイムは10秒、グループ分類は「あり」で、グループGP1はチャンネルCH1とCH2を含み、グループGP2はチャンネルCH3とCH4を含む。オフ−オンシフト時間はなし(0秒)、出力制限は全てのチャンネルについてなし(100%)、モードはA(特定チャンネル優先モード)に設定されている。この場合、特定チャンネル優先モードにより、グループGP1ではチャンネルCH1がチャンネルCH2より優先され、グループGP2ではチャンネルCH3がチャンネルCH4より優先される。
図18に示すサイクルタイムのために、演算部31のPID算出部36は、加熱器21Aが一つのサイクル中で駆動されるべき時間に対応する操作量MV1として80%を算出したと仮定する。また、演算部32のPID算出部36は、加熱器22Aのための操作量MV2として10%を算出したと仮定する。さらに、加熱器23Aのための操作量MV3は50%、加熱器24Aのための操作量MV4は80%と算出されたと仮定する。
また、グループGP2に関しては、まず優先的な加熱器23Aの駆動時間LMV3'として、10秒(1サイクルタイム)の50%(MV1)である5秒を算出する。そして、残りの加熱器24Aの駆動時間LMV4'として、10秒の70%(MV2)である7秒が算出されるが、残り時間は5秒しかないので、実際の駆動時間LMV4'は5秒にする。主制御部60は、このようにして算出した駆動時間LMV3'とLMV4'を互いに重なることがないように、1サイクルタイム(10秒)中に割り当てる。
さらに、グループ分類パラメータに加えて、チャンネル間オンタイムシフトパラメータを利用した場合の動作を説明する。上述の通り、チャンネル間オンタイムシフトパラメータは、グループ分類パラメータが「あり」のときだけに設定することができる。チャンネル間オンタイムシフトパラメータは、一つのグループ(例えばGP1)に属する加熱器が駆動され始める瞬間を、他のグループ(例えばGP2)に属する加熱器が駆動され始める瞬間からずらすために設定されるものであり、これらの始動の瞬間の相互のシフト時間を表す。
時分割制御部29の主制御部60は、グループGP1に関しては、まず優先的な加熱器21A駆動時間LMV1'(駆動信号MV1'の出力時間)として、10秒(1サイクルタイム)の80%(MV1)である8秒を算出する。そして、残りの加熱器22Aの駆動時間LMV2'として、10秒の10%(MV2)である1秒が算出される。主制御部60は、このようにして算出した駆動時間LMV1'とLMV2'を互いに重なることがないように、1サイクルタイム(10秒)中に割り当てる。
チャンネル間オンタイムシフトパラメータは、特定チャンネルモードで利用されるだけでなく、上述の必要操作量比例モード、結合モードおよび時間割当てモードでも利用されうる。また、このパラメータは、上述のオフ−オンシフト時間パラメータおよび出力制限パラメータと併用されてもよい。
また、上記のモードでは、チャンネル間オンタイムシフトパラメータは一定であるが、競合するチャンネルの組み合わせ(例えばチャンネル1とチャンネル3、チャンネル2とチャンネル4)に応じて変更できるようにしてもよい。
また、このようにして得られた実際の駆動時間MV1'〜MV4'に基づいて、加熱器を駆動するには、図12に示すような参照して上述した駆動ルーティンを各グループのために別々に実行するような形式の並行処理を行えばよい。この目的のため、時分割制御部29には並行処理器を設けてもよい。ただし、図12の駆動ルーティンでチャンネル間オンタイムシフトパラメータを利用するためには、図12のステップST33、ST39で示されたオン条件には、他のグループの加熱器の始動時期からずらされることが含められる。
さらに、この温度制御装置の動作として、即時駆動モードの動作を説明する。
この即時駆動モードは、図5のモードEに該当する。上記の各モードでは、加熱器を駆動する一つのサイクルタイムの事前に駆動時間LMV1'〜LMV4'を算出していたが、即時駆動モードでは、一つのサイクルタイムの途中で主制御部60が加熱器21A〜24Aを駆動すべきか否かを決定する。一般に状態制御装置において、演算部31〜34は、減算器41〜44から出力される偏差量ER1,ER2,ER3,ER4をサイクルタイムよりもかなり短いサンプリング周期(例えば500msec)で参照する。演算部31〜34では、PID算出部36が利用され(図4参照)、PID算出部36は、対応する偏差量ER1,ER2,ER3,ER4に基づいて、操作量を生成し、これを時分割制御部29の対応するバッファ61〜64に供給する。演算部31〜34は上記サンプリング周期で操作量を更新する。
即時駆動モードが選択されると、使用者の入力に基づいて即時駆動パラメータをインターフェイス制御部28が生成し、この即時駆動パラメータを時分割制御部29に供給する。即時駆動パラメータには、最終作動装置(加熱器)の優先順位に関連する優先順位パラメータが含まれている。例えば、この即時駆動モードではチャンネルCH1〜CH4のうち若い番号のチャンネルの加熱器が優先される。また、インターフェイス制御部28は、演算部31〜34のPID算出部36を選択すべき旨を示すモードパラメータMPを生成し、これを演算部31〜34に供給する。
上記の通り、主制御部60は、一つのサイクルタイムの途中でサンプリング周期に従って、操作量に基づいて加熱器21A〜24Aを駆動すべきか否か判断する。この判断では、即時駆動パラメータに含められた優先順位パラメータが判断材料となる。より具体的には、操作量により複数の加熱器を駆動すべきと判断される場合には、若い番号のチャンネルの加熱器が優先的に駆動され、他のチャンネルの加熱器は停止される。
そして、オンオフシフト時間0.5秒が経過すると、同じサイクルタイム内であっても、主制御部60はチャンネルCH1の駆動を開始する。さらに、チャンネルCH1の2回目の駆動終了後、オンオフシフト時間0.5秒が経過すると、チャンネルCH2の駆動を再開する。劣位のチャンネルCH3およびCH4は、優位のチャンネルCH1およびCH2の駆動終了後、ようやく駆動される。
このルーティンでは、まずステップST121において、主制御部60は自身が内蔵するタイマーを参照し、サンプリングタイムか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ステップST122において、全チャンネルCH1〜CH4の加熱器21A〜24Aを初期化する。
次に、ステップST123で、チャンネルCH1の加熱器21Aがオン条件を満たしているか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST124に進み、オフ−オンシフト時間が経過したか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST125に進む。ステップST125では、チャンネルCH1のリレー51をオンし、他のチャンネルのリレー52〜54をオフし、加熱器21Aのみを駆動する。この後、ルーティンはステップST121に戻り、再びサンプリングタイムを待つ。
チャンネルCH1の加熱器21Aがオン条件を満たしていない場合には、ステップST123の判断が否定的になり、ルーティンはステップST126に進み、チャンネルCH1をオフする。
次に、ステップST127で、チャンネルCH2の加熱器22Aがオン条件を満たしているか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ルーティンはステップST128に進み、オフ−オンシフト時間が経過したか否か判断する。この判断が肯定的であれば、ステップST129で、チャンネルCH2のリレー52をオンし、他のチャンネルのリレー53,54をオフし、加熱器22Aのみを駆動する。
さらに、チャンネルCH1〜CH3がオン条件を満たしていないときに限り、ルーティンはステップST134に進み、チャンネルCH4の加熱器24Aがオン条件を満たしていれば、オフ−オンシフト時間が経過した後、チャンネルCH4のリレー54をオンし、加熱器24Aのみを駆動する(ステップST135、ST136、ST137)。
以上のようにして、即時駆動モードにおける加熱器の駆動が実現され、オフ−オンシフト時間パラメータもこの特定チャンネル優先モードで用いることができる。図21のフローチャートで示された駆動ルーティンにおいても、一つのチャンネルの駆動期間が終了し、場合によってはオフ−オンシフト時間が終了するまで、次のチャンネルが駆動されないので、電力消費の増大が防止される。
さらに、この温度制御装置の動作として、逐次出力比較モードの動作を説明する。
また、即時駆動モードと同様に、演算部31〜34はサンプリング周期(例えば500msec)で操作量MV1〜MV4を生成および出力するが、即時駆動モードと異なり、時分割制御部29の主制御部60は、サンプリング周期とは別個の判断周期(例えば10msec)で、パラメータおよびその時の操作量MV1,MV2,MV3,MV4に基づいて加熱器21A〜24Aを駆動すべきか否か判断し、この判断周期に従って駆動信号MV1',MV2',MV3',MV4'のいずれかを出力する。他の特徴は、おおむね即時駆動モードと共通する。図22の動作例の条件としてのパラメータは、図20の説明で用いたパラメータと共通でよい。
図23を参照しながら、逐次出力比較モードにおいて、時分割制御部29の主制御部60が実行する駆動ルーティンを説明する。
一方、ステップST141の判断が否定的であれば、直ちにステップST144にルーティンが進む。すなわち、サイクルタイムの先頭でのみ、フラグのリセットと全チャンネルの初期化がなされる。
ステップST144では、フラグFl1がセットされているか否か判断する。フラグFl1は、チャンネルCH1の加熱器21Aを駆動しない状況を示す。例えば、すでにこのサイクルタイムで加熱器21Aの駆動が終了した場合にフラグFl1がセットされ、同じサイクルタイムで再び加熱器21Aを駆動しないようになっている。ステップST144の判断が否定的な場合、ルーティンはステップST145に進む。
一方、ステップST146の判断が否定的であれば、ルーティンはステップST140に戻り、再び判断時期を待つ。従って、オフ−オンシフト時間が経過しない限り、ルーティンはステップST147に進まない。
フラグFl1がセットされている場合にはステップST144の判断が肯定的になり、また、チャンネルCH1の加熱器21Aがオン条件を満たしていない場合には、ステップST145の判断が否定的になり、ルーティンはステップST148に進み、チャンネルCH1をオフする。次に、ステップST149でフラグFl1をセットする。
同様にして、チャンネルCH1およびCH2がオン条件を満たしていない場合、およびチャンネルCH1およびCH2を駆動してはならない場合には、ルーティンはステップST154に進み、チャンネルCH2の加熱器22Aをオフし、ステップ155に進み、フラグFl2をセットする。
そして、フラグFl3がセットされておらず、チャンネルCH3の加熱器23Aがオン条件を満たしていれば、オフ−オンシフト時間が経過した後、チャンネルCH3のリレー53をオンし、他のチャンネルのリレー54をオフし、加熱器23Aのみを駆動する(ステップST156〜ST159)。
さらに、チャンネルCH1〜CH3がオン条件を満たしていない場合、およびチャンネルCH1〜CH3を駆動してはならない場合には、ルーティンはステップST160に進み、チャンネルCH3の加熱器23Aをオフし、ステップ161に進み、フラグFl3をセットする。チャンネルCH4の加熱器24Aがオン条件を満たしていれば、オフ−オンシフト時間が経過した後、チャンネルCH4のリレー54をオンし、加熱器24Aのみを駆動する(ステップST162、ST163、ST164)。
この実施の形態による温度制御装置は、上述したモードのほかに、各加熱器21A〜21Dを独立的に制御するモード(独立制御モード)を実行することも可能である。このモードでは、他の加熱器の駆動期間か否かにかかわらず、駆動すべき加熱器を駆動することが可能である。このことによって、他の制御モードでは省電力の効果が得られ、独立制御モードでは個々の加熱器に最適の応答を与えることができるという効果が得られる。
以上、この発明の好ましい実施形態を例示のために説明してきたが、特許請求の範囲に記載されたこの発明から逸脱することなく、様々な変更、改良及び置換が可能であることは当業者には理解されうるだろう。
Claims (5)
- 複数の最終作動装置のそれぞれに関連する状態を測定する複数の測定器で測定された測定結果と、あらかじめ設定された設定値に基づいて、上記測定結果と上記設定値とを一致させるために各上記最終作動装置を操作すべき操作量を算出する算出部と、
使用者の設定に基づいて、上記複数の最終作動装置の優先順位に関連する優先順位パラメータを含む、複数種類のパラメータを生成するパラメータ生成部と、
上記各操作量と上記複数種類のパラメータに基づいて、上記各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力するとともに、一つの最終作動装置を駆動する駆動信号を出力する時には、他の最終作動装置を駆動する駆動信号を出力しない総合制御部とを備え、
上記総合制御部は、上記優先順位パラメータで高い優先順位に表された最終作動装置を駆動する駆動信号を優先的に出力するとともに、残りの各最終作動装置の駆動時間が各々の上記操作量に比例するように、高い優先順位の最終作動装置が駆動された後の上記一つのサイクルの残り時間中に残りの各最終作動装置の駆動時間を割り当てながら、上記残りの時間に残りの各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力することを特徴とする状態制御装置。 - 複数の最終作動装置のそれぞれに関連する状態を測定する複数の測定器で測定された測定結果と、あらかじめ設定された設定値に基づいて、上記測定結果と上記設定値とを一致させるために各上記最終作動装置を操作すべき操作量を算出する算出部と、
使用者の設定に基づいて、少なくとも一つの上記最終作動装置が一つのサイクル中で駆動されうる時間の限界に関連する限界パラメータと、上記複数の最終作動装置の優先順位に関連する優先順位パラメータを含む、複数種類のパラメータを生成するパラメータ生成部と、
上記各操作量と上記複数種類のパラメータに基づいて、上記各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力するとともに、一つの最終作動装置を駆動する駆動信号を出力する時には、他の最終作動装置を駆動する駆動信号を出力しない総合制御部とを備え、
上記総合制御部は、上記限界パラメータと上記優先順位パラメータに基づいて、上記最終作動装置の駆動信号の出力を調整し、上記優先順位パラメータで高い優先順位に表された最終作動装置を駆動する駆動信号を優先的に出力し、高い優先順位の最終作動装置が駆動された後の上記一つのサイクルの残り時間に、残りの各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力し、上記残りの各最終作動装置の駆動時間が各々の上記操作量に比例するように、上記残りの各最終作動装置の駆動時間を上記残り時間中に割り当てることを特徴とする状態制御装置。 - 複数の最終作動装置のそれぞれに関連する状態を測定する複数の測定器で測定された測定結果と、あらかじめ設定された設定値に基づいて、上記測定結果と上記設定値とを一致させるために各上記最終作動装置を操作すべき操作量を算出する算出部と、
使用者の設定に基づいて、複数種類のパラメータを生成するパラメータ生成部と、
上記各操作量と上記複数種類のパラメータに基づいて、上記各最終作動装置を駆動する駆動信号を出力するとともに、一つの最終作動装置を駆動する駆動信号を出力する時には、他の最終作動装置を駆動する駆動信号を出力しない総合制御部とを備え、
上記総合制御部は、一つの最終作動装置を駆動させる駆動信号の出力を開始する時期を、他の最終動作装置を駆動させる駆動信号の出力を終了する時期から遅延させる設定が可能であることを特徴とする状態制御装置。 - 複数の最終作動装置のそれぞれに関連する状態を測定する複数の測定器で測定された測定結果と、あらかじめ設定された設定値に基づいて、上記測定結果と上記設定値とを一致させるために各上記最終作動装置を操作すべき操作量を算出する算出部と、
使用者の設定に基づいて、上記複数の最終作動装置の優先順位に関連する優先順位パラメータを生成するパラメータ生成部と、
上記各操作量と上記優先順位パラメータに基づいて、各上記操作量に関する最終作動装置のいずれを実際に駆動すべきかを、最終作動装置の駆動の基準となるサイクルタイムの途中で決定するとともに、一つの最終作動装置が駆動されるときには、他の最終作動装置を停止する総合制御部とを備える状態制御装置。 - 上記各操作量により複数の最終作動装置が駆動されるべき時には、上記総合制御部は、上記優先順位パラメータでより高い優先順位に表された最終作動装置を駆動し、他の最終作動装置を停止することを特徴とする請求項4に記載の状態制御装置。
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