JP2007258370A - 積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内部電極間の短絡を生じ難い積層型圧電素子が得られる積層型圧電素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の積層型圧電素子の製造方法は、圧電体グリーンシート上に、金属及びBET比表面積が10m/g以下である粉末状のジルコニウム酸化物を含む電極ペースト層を備えるシートを準備する工程と、このシートを複数積層して積層体を得る工程と、この積層体を焼成する工程とを含む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、積層型圧電素子の製造方法に関する。
圧電素子は、発音体、センサ、アクチュエータ等の種々の用途に適用される。圧電素子としては、小型化が容易であり、しかも、小さな電圧で大きな変位が得られるという利点を有することから、積層型圧電素子が多く用いられている。この積層型圧電素子は、圧電材料からなる圧電体層と内部電極とが交互に積層された構造(素体)を有している。
近年では、自動車等のエンジンにおける燃料噴射制御用のアクチュエータとして、大変位量を得るために積層数を300〜400層とした積層型圧電素子が知られている。また、一つの素子内に複数の変位部位を有するアレイ型の積層型圧電素子も知られている。
積層型圧電素子は、例えば、以下のように製造される。すなわち、圧電材料を含む圧電体グリーンシートを形成し、この圧電体グリーンシートの表面上に内部電極用の金属を含む電極ペースト層を所定のパターンで形成した後、得られたシートを順次積層し、この積層体を焼成することによって、積層型圧電素子が得られる。
このような積層型圧電素子としては、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)を所定の含有割合で含む内部電極を備えるものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−121820号公報
上述したAg及びPdを含む内部電極を備える従来の積層型圧電素子においては、繰り返しの動作によって内部電極間で短絡が発生する場合があり、これが素子寿命を短くする要因の1つとなっていた。特に、近年では、内部電極の材料として、高価なPdの含有量を従来よりも小さくしたAg−Pd合金を用いることが検討されているが、このような内部電極を備える積層型圧電素子は、上述した短絡を生じ易く、耐久性が低いという問題を有していた。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内部電極間の短絡を生じ難い積層型圧電素子が得られる積層型圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが上述した内部電極間における短絡の発生の原因について検討を行ったところ、従来の積層型圧電素子においては、動作ごとに圧電体層に応力が加わるため、これによって圧電体層に積層方向に沿う形状のクラックが形成されることが一つの要因であることが判明した。圧電体層にこのようなクラックが形成されると、これを挟む内部電極同士が電気的に接続され易くなって短絡が生じることになる。
そこで、本発明者らはこのような知見に基づいて更に研究を進めた結果、内部電極同士の短絡は、圧電体層に形成されるクラックの形状に影響されており、しかも、この圧電体層のクラックの形状は、内部電極と圧電体層との接合強度によって変化させ得ることを見出し、本発明を想到するに至った。
すなわち、本発明の積層型圧電素子の製造方法は、圧電体グリーンシート上に、金属及び比表面積が10m/g以下である粉末状のジルコニウム(Zr)酸化物を含む電極ペースト層を備えるシートを準備する工程と、このシートを複数積層して積層体を得る工程と、得られた積層体を焼成する工程とを含むことを特徴とする。
上記本発明の製造方法においては、内部電極を形成するための電極ペースト層が、10m/g以下の比表面積を有するZr酸化物を含んでいる。通常、積層型圧電素子の製造時における焼成の際には、電極ペースト中の金属と圧電体グリーンシート中の成分とが反応し、これによって内部電極と圧電体層との接合強度が高められる。これに対し、上述した特定の比表面積を有する粉末状のZr酸化物は、焼成時におけるこのような反応を抑制することができる。そのため、積層型圧電素子においては、電極ペーストがZr酸化物を含まない場合に比して、内部電極と圧電体層との接合強度が低くなる。
そして、このように内部電極と圧電体層との接合強度が小さくなると、積層型圧電素子の動作の際に圧電体層に応力が加わったとしても、圧電体層のクラックよりも、圧電体層と内部電極との境界部分のクラックの方が生じ易くなる。つまり、圧電体層には、内部電極間の短絡を生じさせるような形状のクラックが生じ難くなる。その結果、本発明の製造方法により得られた積層型圧電素子は、繰り返しの使用によっても安定した動作が可能なものとなる。
特に、従来よりもPdの含有量が少なくされたAg−Pd合金は、焼成時における上述したような反応を極めて生じ易い傾向にあるが、本発明における特定の比表面積を有する粉末状のZr酸化物は、このPd含有量が少ないAg−Pd合金による反応も十分に抑制することができる。したがって、本発明によれば、内部電極として、Pd含有量が少ないAg−Pd合金からなる内部電極を有する積層型圧電素子であっても、繰り返しの使用に対して優れた耐久性を発揮し得るものを製造することができる。
上記本発明の製造方法においては、電極ペースト層において、Zr酸化物の含有量が、当該ペースト中の金属に対して3〜20質量%であると好ましい。Zr酸化物の含有量をかかる範囲とすることで、上述した効果が更に良好に得られるようになる。
本発明の積層型圧電素子の製造方法によれば、内部電極材料としてPd含有量が従来よりも少ないAg−Pd合金を用いる場合であっても、繰り返しの動作による内部電極同士の短絡が生じ難く、耐久性に優れる積層型圧電素子が得られるようになる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本発明の製造方法により得られる積層型圧電素子の好適な実施形態について説明する。図1は、好適な実施形態の積層型圧電素子の一側面図である。図1に示す積層型圧電素子(圧電素子10)は、直方体状の積層体11と、この積層体11の対向する端面に形成された一対の外部電極17A,17Bとを備えている。
積層体11は、圧電体層12を介して内部電極層(電極層)13A,13Bを交互に積層してなる素体14と、この素体14をその積層方向の両端面側(図中上下方向)から挟み込むように設けられた一対の保護層15及び16とから構成される。このように、素体14においては、圧電体層12と内部電極層13A,13Bとが交互に積層されている。
圧電体層12は、主として圧電材料から構成される層である。圧電材料としては、圧電体としての特性を有するセラミック材料(圧電体セラミックス)を主成分とするものが挙げられる。圧電体セラミックスとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が例示できる。
内部電極層13A,13Bはそれぞれ平行となるように設けられている。内部電極層13Aは、一方の端部が積層体11における外部電極17Aが形成された端面に露出するように形成されている。また、内部電極層13Bは、一方の端部が積層体11における外部電極17Bが形成された端面に露出するように形成されている。さらに、内部電極層13Aと内部電極13Bとは、これらの大部分が積層方向に重なり合うように配置されている。そして、内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体層12は、内部電極13A,13Bに電圧を印加したときに積層方向に伸縮(変位)する圧電活性部となる。
この内部電極層13A,13Bとしては、積層型圧電素子の内部電極に通常用いられる金属から主に構成されるものが挙げられる。内部電極13A,13Bの構成金属としては、Ag、Pd、Cu、Ag−Pd合金等が例示でき、Ag−Pd合金が好ましい。
また、内部電極13A,13Bは、上記の主な構成金属に加え、後述する製造段階で電極ペーストに添加したZr酸化物に由来するZrが更に含まれる。内部電極13A,13B中のZrは、Zr酸化物のままの状態で含まれていてもよく、焼成の際にZr酸化物が反応して生じたPbZrO等の状態で含まれていてもよい。内部電極13A,13Bにおいて、Zrは均一に散在していることが好ましい。
保護層15,16は、セラミックスから構成され、主として圧電材料から構成される層であると好ましい。この保護層15,16を形成する圧電材料としては、圧電体層12と同様のものが挙げられる。保護層15,16及び圧電体層12にそれぞれ含まれる圧電材料は、同じであっても異なっていてもよい。ただし、圧電素子10の製造を容易に行う観点からは、同じ材料から構成されることが好ましい。かかる観点からは、保護層15,16は、圧電体層12が複数積層されてなるものであると特に好ましい。
外部電極17A,17Bは、これらが設けられている端面において、当該端面に露出している内部電極13A,13Bの端部とそれぞれ接している。これにより、外部電極17A,17Bは、内部電極13A,13Bとそれぞれ電気的に接続される。この外部電極17A,17Bは、Ag、Au、Cu等を主成分とする導電材料から構成される。
次に、上述した構造を有する圧電素子10の好適な製造方法について、図2を参照して説明する。図2は、好適な実施形態に係る積層型圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。
圧電素子10の製造方法においては、まず、出発原料として、圧電体層12を形成するための圧電体セラミックスの原料化合物や、その他の添加成分等の出発原料を用意する(ステップS11)。圧電体セラミックスの原料化合物としては、PZT系セラミック材料を形成する場合、PbO、TiO、ZrO、ZnO、Nbの粉体等が挙げられる。
次に、安定化ジルコニアボールをメディアに用いたボールミル等によって、上記の複数種類の出発原料の湿式混合を24時間程度行う(ステップS12)。続いて、混合された原料を乾燥させる(ステップS13)。そして、混合された原料に対し、例えば800℃程度の温度で2時間程度の加熱処理を施す仮焼成を行う(ステップS14)。これにより、Pb、Zr、Ti元素を含有したペロブスカイト構造を有する複合型酸化物を主に含む圧電材料の原料組成物が得られる。
この原料組成物をボールミル等により湿式粉砕した後(ステップS15)、これを乾燥させ(ステップS16)、原料組成物の粉体を得る。続いて、これらの原料組成物の粉体に、有機バインダー、有機溶剤、有機可塑剤等を加えてボールミル等により20時間程度の混合を行い、圧電体ペーストを得る(ステップS17)。
この圧電体ペーストを、例えばドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のベースフィルム上等に塗布して、圧電体層12を形成するための圧電体グリーンシートを得る(ステップS18)。この圧電体グリーンシートは、圧電材料の原料組成物及びバインダーを主に含む構成を有する。
その後、圧電体グリーンシート上に、スクリーン印刷法等により内部電極13A,13B形成用の電極ペーストを塗布して、かかる電極ペーストからなる電極ペースト層を形成させる(ステップS19)。こうして、圧電体グリーンシート上に電極ペースト層を備える積層用シートを得る。この際、電極ペースト層は、上述した内部電極13A及び13Bの形状が得られるようなパターンでそれぞれ形成する。
ここで、電極ペースト層を形成するための電極ペーストは、内部電極13A,13Bを形成する金属、比表面積が10m/g以下である粉末状のZr酸化物、バインダー及び有機溶剤を含むものである。バインダー及び有機溶剤としては、公知のものが適用できる。このような電極ペーストは、例えば、金属、バインダー及び有機溶剤を混合した混合物中に、粉末状のZr酸化物を混錬することによって調製することができる。
電極ペースト中の金属としては、上述したような内部電極13A,13Bに含まれる金属が挙げられ、Ag−Pd合金が好ましい。このAg−Pd合金におけるAg及びPdの好適な混合比(Ag:Pd;質量基準)は、通常70:30程度であるが、圧電素子10の製造コストを低減する観点からは、これよりもPdの割合が小さいものを用いることが好ましく、Ag:Pd=85:15程度とすることがより好ましい。
電極ペースト中の金属の含有量は、40質量%以上とすることが好ましく、50〜60質量%とすることがより好ましい。この金属の含有量が40質量%未満であると、得られる内部電極層13A,13Bの導電性が不十分となるおそれがある。
Zr酸化物は、好ましくはZrOである。このZr酸化物は、BET比表面積が10m/g以下である粉末状の形状を有する。BET比表面積とは、Zr酸化物の粉体に対して、吸着時の占有面積が既知である分子を吸着させ、その吸着量に基づいてBET式により算出された比表面積をいう。Zr酸化物のBET比表面積が10m/gを超えると、後述する焼成時における電極ペースト中の金属と圧電体グリーンシート中の成分との反応を十分に抑制できなくなる。
上述した反応抑制効果をより良好に得る観点からは、Zr酸化物のBET比表面積は、10m/g以下であり、5m/g未満であるとより好ましい。また、粉末状のZr酸化物の平均粒径は、1〜40μmであると好ましく、5〜30μmであるとより好ましい。
電極ペーストにおいて、Zr酸化物の含有量は、金属に対して25質量%未満であると好ましく、5〜20質量%であるとより好ましい。Zr酸化物の含有量が金属に対して25質量%以上であると、相対的に金属含有量が少なくなるため、圧電体層12に対する金属の被覆率が低下して、圧電体層12と内部電極13A,13Bとの密着強度が過度に小さくなる傾向にあり、その結果、積層体としての強度を十分に維持できなくなるおそれがある。
電極ペースト中には、焼成時における電極ペースト層と圧電体グリーンシートとの収縮率差を小さくするために、圧電体グリーンシートに含まれるものと同じ圧電材料を更に添加してもよい。この圧電材料の添加量は、金属に対して3〜20質量%程度とすることが好ましい。
圧電素子10の製造においては、次に、積層用シートを、電極ペースト層と圧電体グリーンシートとが交互に配置されるように複数重ねるとともに、この積層構造の積層方向の両端面の表面上に、更に圧電体グリーンシートを複数層ずつ積層する。こうして得られた積層体を、適宜加熱しながら積層方向に加圧し、更に必要に応じて所望のサイズに切断することで、積層体グリーン(積層体)を得る(ステップS20)。
その後、この積層体グリーンを、安定化ジルコニアセッター等に載置した後、大気雰囲気中で加熱することにより、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層中に含まれるバインダーや有機溶剤を除去する脱脂処理を行う(ステップS21;脱バインダー)。
それから、脱バインダー後の積層体グリーンに対し、密閉された容器中で、例えば1050〜1100℃、2時間程度の加熱を行う焼成処理(本焼成)を行い、積層体11を得る(ステップS22)。この本焼成処理において、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層が一体焼成され、電極ペースト層から内部電極13A,13Bが形成され、内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体グリーンシートから圧電体層12が形成される。また、積層体グリーンの積層方向の両端面上に積層された圧電体グリーンシートから、保護層15,16がそれぞれ形成される。
そして、得られた積層体11の積層方向に平行であり互いに対向している端面(内部電極13A,13Bの端部が露出している端面)に、外部電極17A,17Bをそれぞれ焼き付ける(ステップS23)。具体的には、外部電極17A,17Bを構成する金属、有機バインダー等を含む外部電極形成用のペーストを積層体11の上記端面に塗布した後、これを焼成することで、外部電極17A,17Bが形成される。このようにして、図1に示す構造を有する圧電素子10(積層型圧電素子)が得られる。なお、外部電極17A,17Bは、上記の焼付けのほか、スパッタリング、蒸着、無電解めっき等の方法によっても形成することができる。
そして、例えば、この圧電素子10に対し、120℃の環境下、外部電極17A,17B間に電界強度が2〜3kV/mm程度となるように3分間程度電圧を印加する分極処理を行うことで、圧電アクチュエータとして機能する積層型圧電素子が得られる。
上述した実施形態の圧電素子10の製造方法においては、電極ペースト中に特定のBET比表面積を有するZr酸化物が含まれていることから、積層体グリーンの焼成時において、電極ペースト中の金属と圧電体グリーンシート中の成分との反応が十分に抑制される。そのため、圧電素子10においては、圧電体層12と内部電極13A,13との接合強度がZr酸化物を添加しなかった場合に比べて適度に低くなる。
従来の積層型圧電素子においては、通常、圧電体層と内部電極とが強く密着しているため、素子の動作時等に応力が加わった場合は、圧電体層に積層型圧電素子の積層方向に沿うクラックが生じ易い傾向にあった。これに対し、圧電素子10においては、圧電体層12と内部電極13A,13との接合強度が低くなっているため、応力が加わった場合には、圧電体層12のクラックよりも、圧電体層12と内部電極13A,13Bとの界面におけるクラックが生じ易くなる。
圧電素子10において、圧電体層12の積層方向に沿うクラックが生じると、これを挟む内部電極13A,13Bとが電気的に接続されて短絡が生じ、やがて圧電素子10の動作が困難となる。これに対し、圧電体層12と内部電極13A,13Bとの界面の剥離は、このような短絡等を発生させるおそれがないため、圧電素子10の動作には大きく影響しない。したがって、本実施形態の圧電素子10は、繰り返し使用した場合であっても安定した動作が可能なものとなる。
特に、金属としてPdの割合が従来よりも低くされたAg−Pd合金を用いる場合は、上述したような金属と圧電体グリーンシートとの反応が更に生じ易くなり、これによって圧電体層と内部電極との密着強度が一層高まり、その結果、圧電体層のクラックが極めて生じ易くなる傾向にあった。しかし、本実施形態のようなZr酸化物の添加によれば、Pd割合の低いAg−Pd合金であっても上記反応を十分に抑制することができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、Pd割合の低いAg−Pd合金を含む内部電極を備える圧電素子であっても、動作安定性が高いものを得ることが可能となる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[圧電素子の製造]
(製造例1〜20)
以下に示す手順に従って、製造例1〜20の積層型圧電素子を製造した。
すなわち、まず、図2に示すステップS11〜S16に示す手順により、圧電材料の原料組成物の粉体を得た。ここでは、原料組成物として、焼成後にPb[(Zn1/3 Nb2/3)0.1 Ti0.435 Zr0.465]Oの組成を有する圧電体セラミックスが得られるものを調製した
次に、ステップS17に示すように、圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えた圧電体ペーストを準備した。この圧電体ペーストを用い、ステップS18に示すドクターブレード成形により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に圧電体グリーンシートを形成した。
また、電極ペーストとして、Ag:Pdの質量比が85:15であるAg−Pd合金、バインダー及び有機溶剤を混合した後、これに粉末状のZrOを混錬したものを準備した。この際、電極ペースト中には、上記の圧電材料の原料組成物を、Ag−Pd合金に対して10質量%となるように添加した。また、電極ペースト中のAg−Pd合金の含有量は、50質量%となるようにした。
次に、ステップS19に示すように、圧電体グリーンシート上にスクリーン印刷法により電極ペーストを塗布して、圧電体グリーンシート上に電極ペースト層が形成された積層用シートを得た。それから、ステップS20に示すように、この積層用シートを圧電体層が300層となるように重ねた後、60℃、100MPaの条件で積層方向にプレスを行い各層を圧着して、積層体グリーンを形成した。
続いて、ステップS21に示すように、積層体グリーンに対して400℃、10時間の加熱を行うことで脱バインダーを行った。そして、ステップS22に示すように、この積層体グリーンに対し、密閉こう鉢中で1000℃、2時間の本焼成を施し、焼成後の積層体を得た。
そして、得られた積層体を所定の寸法に切断した後、ステップS23に示すように、切断後の積層体の対向する一対の端面に、Agからなる外部電極を焼き付け、これにより図1に示す構造を有する積層型圧電素子を得た。
その後、得られた積層型圧電素子に対し、120℃の環境下で、外部電極間に電界強度が2〜3kV/mm程度となるように3分間程度電圧を印加する分極処理を行うことで、圧電アクチュエータとして機能する積層型圧電素子を完成させた。
製造例1〜20においては、ZrOのBET比表面積及びAg−Pd合金に対する添加量(質量%)が表1に示す通りに異なる電極ペーストをそれぞれ調製し、これらを用いて各製造例に対応する各種の積層型圧電素子の製造を行った。
[特性評価]
(耐久試験)
製造例1〜20の積層型圧電素子のサンプルをそれぞれ10個ずつ準備し、これらの全てについて、駆動電界のON、OFFを10億回繰り返す試験を行った。そして、かかる試験後、各製造例に対応する10個のサンプルのうち短絡が発生したサンプルの数を数えた。得られた結果を表1に示す。
Figure 2007258370
表1より、BET比表面積が10m/g以下である粉状のZrOを3〜25質量%含む電極ペーストを用いた製造例2〜6、8〜12及び14〜18の積層型圧電素子は、耐久試験後に短絡を発生したサンプルの数が0であり、圧電体層に内部電極間の短絡を生じさせるようなクラックが生じていないことが確認された。
また、BET比表面積が10m/g以下である粉状のZrOを3質量%未満含む電極ペーストを用いた製造例1、7及び13は、短絡を生じたサンプルが1〜2個あったものの、BET比表面積が15m/gの粉状ZrOを含む電極ペーストを用いた製造例19、及び、粉状ZrOを含まない電極ペーストを用いた製造例20に比べて、短絡を発生したサンプルの数が少なく、圧電体層に短絡を生じさせるようなクラックが生じ難いことが確認された。
(初期の変位量の測定)
製造例1〜20の積層型圧電素子のサンプルをそれぞれ10個ずつ準備し、これらの全てについて、レーザードップラー振動計を用いて、積層型圧電素子の初期の変位量を測定した。そして、粉状ZrOを含む電極ペーストを用いた製造例1〜19の積層型圧電素子と、粉状ZrOを含まない電極ペーストを用いた製造例20の積層型圧電素子との初期の変位量をそれぞれ比較した。その結果、粉状ZrOの添加量が20質量%を超える電極ペーストを用いた製造例6、12及び18は、製造例20と比べて初期の変位量が小さかった。これより、電極ペースト中の粉状ZrOの含有量は、20質量%以下が好ましいことが確認された。
好適な実施形態の積層型圧電素子の一側面図である。 好適な実施形態の積層型圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10…積層型圧電素子、11…積層体、12…圧電体層、13A,13B…内部電極、14…素体、15,16…保護層、17A,17B…外部電極。

Claims (2)

  1. 圧電体グリーンシート上に、金属及びBET比表面積が10m/g以下である粉末状のジルコニウム酸化物を含む電極ペースト層を備えるシートを準備する工程と、
    前記シートを複数積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、
    を含むことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  2. 前記電極ペースト層において、前記ジルコニウム酸化物の含有量は、前記金属に対して3〜20質量%である、ことを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子の製造方法。
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