JP2007256819A - レンズ駆動装置及びこのレンズ駆動装置を備える光ピックアップ装置 - Google Patents

レンズ駆動装置及びこのレンズ駆動装置を備える光ピックアップ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動棒やガイドシャフトを通して鏡筒を摺動させるレンズ駆動装置は、駆動棒やガイドシャフトの周囲に設けられるクリアランスのために鏡筒を移動させた際に鏡筒に傾きや光軸ずれが発生する問題があった。
【解決手段】第1鏡筒1及び第2鏡筒2を電気機械変換素子4を挟んで連結した鏡筒体5を側面にて支持されるべくハウジング6に装填し、電気機械変換素子4の変形により第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ駆動力を印加すると共に、その駆動力に応じて第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ慣性力及び摩擦力を発生させ、電気機械変換素子4を駆動する駆動電圧により電気機械変換素子4の変形時とその変形が戻される時とで第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生させる慣性力及び摩擦力を変化させて鏡筒体5をレンズ3の光軸方向の所望の方向に変位させる。これにより鏡筒体5に組み込まれる電気機械変換素子4により鏡筒体5自体を駆動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鏡筒体をレンズの光軸方向の両方向に駆動されるようにしたレンズ駆動装置、及びこのレンズ駆動装置をレーザ光源及び対物レンズ間の光路に配置する光ピックアップ装置に関する。
レーザー光を使用して光学的に信号再生及びあるいは信号記録が行われる光ディスク等の信号記録媒体においては、普及している現行の光ディスク規格であるDVDやCDより記録密度の向上が図られた新方式の光ディスク規格、Blu−ray規格やHD−DVD(High Density Digital Versatile Disk)規格が提案されている。
このような記録密度の向上が図られた光ディスク規格に対応する光ピックアップ装置は、記録密度の向上に伴って、及び信号記録品質を高めるため要求される光学特性も厳しくなっており、ディスクにレーザー光を導く出射光学系により発生される球面収差を補正する収差補正レンズを設けているものが知られている。(特許文献1参照)
前記収差補正レンズはビームエキスパンダやコリメータレンズにより構成され、この収差補正レンズを光軸方向に駆動可能にし、前記収差補正レンズを光軸方向に変位させることによりディスクの信号層を被覆するカバー層(透明基板)を介して前記信号層に照射される集光スポットの球面収差を補正する。
ところで、レンズを光軸方向に駆動するレンズ駆動装置としては、駆動源として圧電素子を用い、この圧電素子の一端を固定端とすると共に、圧電素子の他端に駆動棒を固定し、この駆動棒にレンズを組み込んだ鏡筒が該駆動棒に対して摺動変位可能に支持され、前記圧電素子を伸縮させると共に、この圧電素子の伸縮速度を制御することにより前記鏡筒を所定のレンズの光軸方向に駆動する技術が知られている。(特許文献2参照)
このようなレンズ駆動装置を用いて収差補正レンズを駆動可能とすることにより球面収差の補正が可能な光ピックアップ装置が提供できる。
特開2003−257069号公報 特許第2633066号公報
ところで、前述のレンズ駆動装置は、鏡筒を支持するのに駆動棒及びガイドシャフトを用いるなど部品点数が多いと共に、小型化に不利であった。
また、鏡筒に駆動棒やガイドシャフトを通して前記鏡筒を摺動させるようにすると、塵芥の影響を受け易く正常な移動が妨げられる危惧があり、更に、摺動を可能にするために駆動棒やガイドシャフトの周囲にクリアランスを必要とするが、このクリアランスのために鏡筒を移動させた際に鏡筒に傾きや光軸ずれが発生し、これに伴ってレンズの傾きが発生したり、レンズの偏心が発生する問題があった。
請求項1に係る発明は、レンズが組み込まれる第1鏡筒に前記レンズの光軸方向に電気機械変換素子を挟んで第2鏡筒を連結し、前記第1鏡筒及び第2鏡筒が連結される鏡筒体を前記第1鏡筒及び第2鏡筒のそれぞれ側面にて支持されるべく前記レンズの光軸方向に摺動可能にハウジングに装填し、かつ、前記電気機械変換素子を駆動することによりこの電気機械変換素子に前記レンズの光軸方向に変位する変形を発生させ、前記電気機械変換
素子の変形により第1鏡筒に駆動力f1を印加すると共に、この駆動力f1により第1鏡筒に慣性力IF1及びハウジングの支持面との間で摩擦力FF1を発生させ、また、前記電気機械変換素子の変形により第2鏡筒に駆動力f2を印加すると共に、第2鏡筒に慣性力IF2及びハウジングの支持面との間で摩擦力FF2を発生させ、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を広げるように前記電気機械変換素子を変形させる際にf1<IF1+FF1、かつf2>IF2+FF2の関係が成立すると共に、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を狭めるように前記電気機械変換素子の変形が戻される際にf1>IF1+FF1、かつf2<IF2+FF2の関係が成立するように電気機械変換素子を駆動する駆動電圧を印加して前記鏡筒体を前記レンズの光軸方向の一方側に駆動し、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を広げるように前記電気機械変換素子を変形させる際にf1>IF1+FF1、かつf2<IF2+FF2の関係が成立すると共に、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を狭めるように前記電気機械変換素子の変形が戻される際にf1<IF1+FF1、かつf2>IF2+FF2の関係が成立するように電気機械変換素子を駆動する駆動電圧を印加して前記鏡筒体を前記レンズの光軸方向の他方側に駆動するようにしている。
本発明に依れば、第1鏡筒及び第2鏡筒を電気機械変換素子を挟んで連結される鏡筒体をレンズの光軸方向に摺動可能にハウジングに装填する、という簡単な構成により前記鏡筒体をハウジングの支持面に対してレンズの光軸方向の両方向に駆動することが出来る。特に、ガイドシャフトを必要としないので、鏡筒体を移動させた際に鏡筒体に傾きや光軸ずれが発生し、これに伴ってレンズの傾きが発生したり、レンズの偏心が発生することがない。
この場合、ハウジングに形成したガイド溝に鏡筒体を設置して鏡筒体を前記ガイド溝に沿って摺動されるようにすることで、前記鏡筒体を確実にレンズの光軸方向に移動させることが出来、特に、前記ガイド溝の断面を実質V字状に形成することで、前記ガイド溝の壁面により前記鏡筒体の所定の2本の母線に沿ってこの鏡筒体を安定して支持することが出来る。
また、第1鏡筒及び第2鏡筒の各質量の関係と共に、第1鏡筒及び第2鏡筒の各最大摩擦係数の関係とを設定する際に第1鏡筒を第2鏡筒に比べて質量が重くなるようにしており、第1鏡筒にレンズを組み込む関係から第1鏡筒の質量がレンズ分重くなることに加え、第1鏡筒に用いる材質が精度を出すのに有利な金属材料となる場合も多いことから第1鏡筒を第2鏡筒に比べて質量を重くすることは合理的である。
また、第1鏡筒及び第2鏡筒の各最大摩擦係数の関係を設定するのに、第1鏡筒及び第2鏡筒の一方、あるいは両方のハウジングに支持される支持面の処理により対応させることにより容易な加工により最大摩擦係数の調整が可能である。
また、第1鏡筒の材質を金属とし、第2鏡筒の材質をプラスチックとすることにより第2鏡筒の側面表面を梨地状などにより荒らした形態として第2鏡筒の最大摩擦係数を第1鏡筒の最大摩擦係数より大きくすることが容易である。
また、簡単な構成で小型化に有利のレンズ駆動装置により収差補正レンズを駆動することが出来るので、小型化を達成して球面収差補正が行える光ピックアップ装置を提供するのに有利であると共に、レンズ駆動装置の光学配置の自由度が高い光ピックアップ装置を提供することが出来る。
図1は本発明にかかるレンズ駆動装置の一実施例を示す斜視図、図2は図1のレンズ駆
動装置の主要部分の分解斜視図である。
第1鏡筒1は金属材質製、例えば黄銅製で円筒状に形成されており、この第1鏡筒1にはレンズ3が組み込まれている。第2鏡筒2はプラスチック材質製、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)製で円筒状に形成されている。
圧電素子4は積層タイプのもので、光路を確保するために円筒状に構成されており、電圧を印加することにより厚み方向に変位される電気機械変換素子である。
前記第1鏡筒1と前記第2鏡筒2とは互いに同一径に形成され、前記圧電素子4はハウジング6に接しないように前記第1鏡筒1及び前記第2鏡筒2より僅かに小径になっており、前記第1鏡筒1と前記第2鏡筒2とは前記圧電素子4を挟んで連結されて鏡筒体5を構成する。この場合、前記第1鏡筒1、前記第2鏡筒2及び前記圧電素子4は各中心が略一致するように隣接する部材同士が接着剤により貼り合わされてレンズ3の光軸方向に連結される。
このように構成される鏡筒体5は、マグネシウム製のハウジング6に第1鏡筒1及び第2鏡筒2の各側面が載置されるように装填される。前記ハウジング6には鏡筒体5の摺動方向をガイドするガイド溝7が形成されており、このガイド溝7は断面が実質V字状に形成され、鏡筒体5は前記ガイド溝7のV字部分の壁面により鏡筒体5の所定の2本の母線に沿って支持される。その為、鏡筒体5は前記ガイド溝7により安定にガイドされてレンズ3の光軸方向に摺動可能になっている。
また、前記鏡筒体5はハウジング6に固定される2枚の板バネ部材8a及び8bによりそれぞれ第1鏡筒1及び第2鏡筒2の部分で上からの押圧力が印加されてガイド溝7のV字部分の壁面に設置されている。
このようにハウジング6に設置される鏡筒体5の圧電素子4にリード線9a及び9bを介して駆動電圧を印加すると、第1鏡筒1及び第2鏡筒2の間隔を広げるように圧電素子4が厚み方向に変形する。その為、前記第1鏡筒1及び前記第2鏡筒2にはそれぞれレンズ3の光軸方向に互いに離れる向きの力が印加される。
一方、鏡筒体5の圧電素子4に駆動電圧を印加することを止めると、第1鏡筒1及び第2鏡筒2の間隔を狭めるように圧電素子4が元の厚みに戻ることにより厚み方向に変形する。その為、前記第1鏡筒1及び前記第2鏡筒2にはそれぞれレンズ3の光軸方向に互いに近づく向きの力が印加される。
ところで、レンズ3を含む第1鏡筒1及び第2鏡筒2の質量をそれぞれm1及びm2とすると共に、前記第1鏡筒1及び前記第2鏡筒2がそれぞれハウジング6に支持される支持面を摺動する際の最大摩擦係数をそれぞれμ1及びμ2とした場合、第1鏡筒1及び第2鏡筒2の質量の関係においては、レンズ3の有無、材質の違い及び材質の量の違いなどによりm1>m2と設定しており、第1鏡筒1及び第2鏡筒2の最大摩擦係数の関係においては、各鏡筒の材質の違い、あるいは各鏡筒のハウジング6に支持される支持面の表面処理によりμ1<μ2と設定している。
前記各鏡筒のハウジング6に支持される支持面の表面処理とは、第1鏡筒1の側面表面を鏡面仕上げとして前記第1鏡筒1のハウジング6に支持される支持面を第2鏡筒2のハウジング6に支持される支持面に比べて滑らかにしたり、及びあるいは第2鏡筒2の側面表面を梨地にしたり、荒らしたりして前記第2鏡筒2のハウジング6に支持される支持面を前記第1鏡筒1のハウジング6に支持される支持面に比べて荒くする処理を施す。
上述のような第1鏡筒1及び第2鏡筒2の質量の関係及び最大摩擦係数の関係を設定しておき、図3に示す如き、急速に立ち上がると共に、緩慢に立ち下がる三角波信号の駆動電圧を鏡筒体5の圧電素子4に印加する場合の鏡筒体5の動作について以下に説明する。
図4(イ)に示す如く、圧電素子4に駆動電圧が印加されずにハウジング6の支持面上に鏡筒体5が静止されている状態から駆動電圧の立ち上げにより圧電素子4の変形が発生されると、図4(ロ)に示す如く、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれレンズ3の光軸方向に互いに離れる向きの力f1及びf2が印加される。第1鏡筒1及び第2鏡筒2に印加される力f1及びf2に応じて第1鏡筒1及び第2鏡筒2にはそれぞれ慣性力IF1及び慣性力IF2が発生する。第1鏡筒1に発生する慣性力IF1は第1鏡筒1の質量m1と圧電素子4の変形により第1鏡筒1及び第2鏡筒2に発生する加速度αと乗じた値、すなわちIF1=m1×αとなり、一方、第2鏡筒2に発生する慣性力IF2は第2鏡筒2の質量m2と圧電素子4の変形により第1鏡筒1及び第2鏡筒2に発生する加速度αと乗じた値、すなわちIF2=m2×αとなる。尚、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ印加される力f1及びf2は圧電素子4の変形に伴っており、互いに等しい。
また、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ力f1及びf2が印加されると、その力に応じて第1鏡筒1及び第2鏡筒2にはそれぞれ摩擦力FF1及び摩擦力FF2が発生する。第1鏡筒1に発生する摩擦力FF1は第1鏡筒1の質量m1と第1鏡筒1の最大摩擦係数μ1と重力加速度gを乗じた値、すなわちFF1=m1×μ1×gとなり、一方、第2鏡筒2に発生する慣性力FF2は第2鏡筒2の質量m2と最大摩擦係数μ2と重力加速度gと乗じた値、すなわちFF2=m2×μ2×gとなる。
この場合、第1鏡筒1の慣性力IF1及び摩擦力FF1は圧電素子4の変形により第1鏡筒1に印加される力f1と逆向きに作用し、第2鏡筒2の慣性力IF2及び摩擦力FF2は圧電素子4の変形により第2鏡筒2に印加される力f2と逆向きに作用する。すなわち、圧電素子4の変形に応じて第1鏡筒1には慣性力IF1及び摩擦力FF1の合力が発生し、第2鏡筒2には慣性力IF2及び摩擦力FF2の合力が発生する。
ところで、圧電素子4の駆動電圧が急峻に立ち上がる駆動電圧の立ち上げ時において、第1鏡筒1及び第2鏡筒2に発生する加速度αは大となり、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する慣性力IF1及びIF2が第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する摩擦力FF1及びFF2より支配的となる。そして、駆動電圧の立ち上げ時において、第1鏡筒1に発生する慣性力IF1及び摩擦力FF1の合力は、圧電素子4の変形により第1鏡筒1に印加される力f1より大となると共に、第2鏡筒2に発生する慣性力IF2及び摩擦力FF2の合力は、圧電素子4の変形により第2鏡筒2に印加される力f2より小となるように設計されている。すなわち、f1<IF1+FF1、かつf2>IF2+FF2の関係が成立し、その為、駆動電圧の立ち上げ時において圧電素子4が厚みを増加させるように変形されると、図4(ロ)に示す如く、第1鏡筒1は変位されず、第2鏡筒2は変位される。
一方、圧電素子4の駆動電圧が緩慢に立ち下がる駆動電圧の立ち下げ時において、第1鏡筒1及び第2鏡筒2に発生する加速度αは0に近くなり、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する摩擦力FF1及びFF2が第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する慣性力IF1及びIF2より支配的となる。そして、駆動電圧の立ち下げ時において、第1鏡筒1に発生する慣性力IF1及び摩擦力FF1の合力は、圧電素子4の変形により第1鏡筒1に印加される力f1より小となると共に、第2鏡筒2に発生する慣性力IF2及び摩擦力FF2の合力は、圧電素子4の変形により第2鏡筒2に印加される力f2より大となるように設計されている。すなわち、f1>IF1+FF1、かつf2<IF2+
FF2の関係が成立し、その為、駆動電圧の立ち下げ時において圧電素子4が元に戻るように変形されると、図4(ハ)に示す如く、第2鏡筒2は変位されず、第1鏡筒1は変位される。
したがって、図3に示す如き、急速に立ち上がると共に、緩慢に立ち下がる三角波信号の駆動電圧を圧電素子4に印加することにより鏡筒体5は図4において左側のレンズ3の光軸方向の一方側にガイド溝7によりガイドされてハウジング6を摺動するように駆動される。
尚、第1鏡筒1の慣性力IF1及び摩擦力FF1による合力、及び第2鏡筒2の慣性力IF2及び摩擦力FF2による合力は、第1鏡筒1及び第2鏡筒2のそれぞれの質量m1及びm2と最大摩擦係数μ1及びμ2、更に第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する加速度αを調節する圧電素子4の駆動電圧の立ち上がり度合い及び立ち下がり度合いにより設定される。
次に、図5に示す如き、緩慢に立ち上がると共に、急速に立ち下がる三角波信号の駆動電圧を鏡筒体5の圧電素子4に印加する場合の鏡筒体5の動作について以下に説明する。
図6(イ)に示す如く、圧電素子4に駆動電圧が印加されずにハウジング6の支持面上に鏡筒体5が静止されている状態から駆動電圧の立ち上げにより圧電素子4を変形させると、図4において説明したように第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれレンズ3の光軸方向に互いに離れる向きの力f1及びf2が印加され、第1鏡筒1には慣性力IF1及び摩擦力FF1の合力が発生し、第2鏡筒2には慣性力IF2及び摩擦力FF2の合力が発生する。
圧電素子4の駆動電圧が図5に示す如く緩慢に立ち上がる駆動電圧の立ち上げ時において、第1鏡筒1及び第2鏡筒2に発生する加速度αは0に近くなり、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する摩擦力FF1及びFF2が第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する慣性力IF1及びIF2より支配的となる。そして、駆動電圧の立ち上げ時において、第1鏡筒1に発生する慣性力IF1及び摩擦力FF1の合力は、圧電素子4の変形により第1鏡筒1に印加される力f1より小となると共に、第2鏡筒2に発生する慣性力IF2及び摩擦力FF2の合力は、圧電素子4の変形により第2鏡筒2に印加される力f2より大となるように設計されている。すなわち、f1>IF1+FF1、かつf2<IF2+FF2の関係が成立し、その為、駆動電圧の立ち上げ時において圧電素子4が厚みを増加させるように変形されると、図6(ロ)に示す如く、第2鏡筒2は変位されず、第1鏡筒1は変位される。
一方、圧電素子4の駆動電圧が急峻に立ち下がる駆動電圧の立ち下げ時において、第1鏡筒1及び第2鏡筒2に発生する加速度αは大となり、第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する慣性力IF1及びIF2が第1鏡筒1及び第2鏡筒2にそれぞれ発生する摩擦力FF1及びFF2より支配的となる。そして、駆動電圧の立ち下げ時において、第1鏡筒1に発生する慣性力IF1及び摩擦力FF1の合力は、圧電素子4の変形により第1鏡筒1に印加される力f1より大となると共に、第2鏡筒2に発生する慣性力IF2及び摩擦力FF2の合力は、圧電素子4の変形により第2鏡筒2に印加される力f2より小となるように設計されている。すなわち、f1<IF1+FF1、かつf2>IF2+FF2の関係が成立し、その為、駆動電圧の立ち下げ時において圧電素子4が元に戻るように変形されると、図6(ハ)に示す如く、第1鏡筒1は変位されず、第2鏡筒2は変位される。
したがって、図5に示す如く、緩慢に立ち上がると共に、急速に立ち下がる三角波信号
の駆動電圧を圧電素子4に印加することにより鏡筒体5は図6において右側のレンズ3の光軸方向の他方側にガイド溝7によりガイドされてハウジング6を摺動するように駆動される。
それ故、図3に示す如く、急速に立ち上がると共に、緩慢に立ち下がる三角波信号の駆動電圧、あるいは図5に示す如く、緩慢に立ち上がると共に、急速に立ち下がる三角波信号の駆動電圧を圧電素子4に印加することにより鏡筒体5をレンズ3の光軸方向の所定の方向に駆動することが出来ると共に、駆動電圧を圧電素子4に印加する期間を制御することにより所望の変位量を駆動することが出来る。
尚、上記の説明において、電気機械変換素子はリング状形態のものが積層されて円筒状に構成された圧電素子4を用いており、圧電素子4に駆動電圧を印加することにより厚み方向に変位される実施例を挙げたが、本発明の電気機械変換素子はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様、変更が可能である。
例えば、電気機械変換素子として図7に示すような切込み11入りのCリング形状のバイモルフ素子10を用いる。このバイモルフ素子10は所定の直径線上に位置する接着領域12a,12bにおいて第1鏡筒1に接着されると共に、所定の直径線上に位置する接着領域13a,13bにおいて第2鏡筒2に接着され、図8に示す如く、前記バイモルフ素子10を挟んで第1鏡筒1及び第2鏡筒2が連結されて鏡筒体14が構成される。そして、前記バイモルフ素子10は駆動電圧の印加に応じて図9に示す如く反るように変形し、これにより鏡筒体14を駆動する。
また、上記実施例においては、第1鏡筒1にのみレンズ3が組み込まれる構成を説明したが、これに限定されるものではなく、鏡筒体5の光学系として組合せレンズを必要とする場合には第1鏡筒1に全てのレンズを組み込む構成とすることも良いが、第1鏡筒1及び第2鏡筒2共にレンズを組み込む構成としても良い。
図10は実施例1において説明したレンズ駆動装置を備える光ピックアップ装置の一例を示す光学配置図である。図10に示す光ピックアップ装置は、Blu−ray規格のディスクに対応する構成となっている。
レーザーダイオード20はBlu−ray規格のディスクに適した青紫色(青色)波長帯400nm〜420nmの波長、例えば405nmのレーザー光を発光する。
レーザーダイオード20から出射されるレーザー光は、回折格子21によりトラッキング制御に使用される±1次回折光を形成するべく回折され、その後、1/2波長板22により偏光方向がp偏光に設定されてプリズム型の偏光ビームスプリッタ23のフィルタ面23aを透過する。
偏光ビームスプリッタ23の偏光フィルタ面23aを透過したレーザー光は、コリメータレンズ24より平行光になされた後、反射ミラー25により反射されて光軸が直角に折曲され、1/4波長板26を通過して対物レンズ27に入射される。
前記対物レンズ27はBlu−ray規格に適合する開口数0.85となっている。また、前記対物レンズ27は対物レンズアクチュエータ28によりフォーカス方向、トラッキング方向及びラジアルチルト方向に駆動可能になっており、対物レンズ27により集光されるレーザー光をディスクDの信号層に追従させて合焦させ、信号層の信号トラックに追従させると共に、信号層の光スポットにコマ収差が発生しないようにラジアル方向の傾
きに追従させる。
ディスクDの信号層の信号により変調されて反射されたレーザー光は対物レンズ27に戻り、来た光路を経由して戻って偏光ビームスプリッタ23に至る。この偏光ビームスプリッタ23に戻されるレーザー光は、ディスクDへの往路と復路で1/4波長板26を2度通過するので、前記偏光ビームスプリッタ23に戻されたレーザー光は偏光方向が1/2波長回転されている。その為、ディスクDへの往路ではp偏光であったレーザー光がs偏光となって偏光ビームスプリッタ23に入射される。
したがって、前記偏光ビームスプリッタ23に戻されたレーザー光は、偏光フィルタ面23aにより反射され、ディスクDに照射されるレーザー光のフォーカスエラー成分を発生させると共に、焦点調整を行うサーボレンズ29を介して光検出器30に導かれ、この光検出器30上の各受光領域に受光される。
その為、光検出器30の各種受光信号によりディスクの記録信号が得られると共に、ディスクに対応したフォーカス制御、トラッキング制御、及びラジアルチルト制御に用いられる各制御信号が得られる。
ところで、コリメータレンズ24は実施例1において説明したレンズ駆動装置の鏡筒体31に組み込まれており、この鏡筒体31は第1鏡筒32及び第2鏡筒33間を連結するように介在される収差補正アクチュエータとなる圧電素子34により駆動可能になっている。前記圧電素子34に駆動電圧を印加してこの圧電素子34を変形させることにより鏡筒体31は対物レンズ以外の各光学素子が設置されるハウジング内をコリメータレンズ24の光軸方向の両方向に所定量変位可能である。その為、鏡筒体31を駆動してコリメータレンズ24を変位させることにより対物レンズ27に入射されるレーザー光束の広がり角度を調整し、これにより対物レンズ24から出射されるレーザー光に補正用の球面収差を発生させてディスクDの信号層を被覆するカバー層(透明基板)を介して前記信号層に収束されるレーザー光に発生する球面収差が最少となるようになっている。
尚、前記コリメータレンズ24が信号記録媒体の信号層に収束されるレーザー光に発生する球面収差を補正する収差補正レンズとなる。
本発明にかかるレンズ駆動装置の一実施例を示す斜視図である。 図1のレンズ駆動装置の主要部分の分解斜視図である。 鏡筒体5を一方向に圧電素子4に印加する駆動電圧を示す波形図である。 図3に示す駆動電圧が圧電素子4に印加された際の鏡筒体5の移動を説明する断面図である。 鏡筒体5を他方向に圧電素子4に印加する駆動電圧を示す波形図である。 図5に示す駆動電圧が圧電素子4に印加された際の鏡筒体5の移動を説明する断面図である。 電気機械変換素子となるCリング形状のバイモルフ素子8を示す説明図である。 バイモルフ素子8を用いた鏡筒体13を示す断面図である。 図8に示す鏡筒体5の移動を説明する断面図である。 実施例1において説明したレンズ駆動装置を備える光ピックアップ装置の一例を示す光学配置図である。
符号の説明
1 第1鏡筒
2 第2鏡筒
3 レンズ
4 圧電素子(電気機械変換素子)
5、13 鏡筒体
6 ハウジング
7 ガイド溝
10 バイモルフ素子(電気機械変換素子)
20 レーザーダイオード
24 コリメータレンズ(収差補正レンズ)
27 対物レンズ
30 光検出器
31 鏡筒体
32 第1鏡筒
33 第2鏡筒
34 圧電素子

Claims (9)

  1. レンズが組み込まれる第1鏡筒に前記レンズの光軸方向に電気機械変換素子を挟んで第2鏡筒を連結し、前記第1鏡筒及び第2鏡筒が連結される鏡筒体を前記第1鏡筒及び第2鏡筒のそれぞれ側面にて支持されるべく前記レンズの光軸方向に摺動可能にハウジングに装填し、かつ、前記電気機械変換素子を駆動することによりこの電気機械変換素子に前記レンズの光軸方向に変位する変形を発生させ、前記電気機械変換素子の変形により第1鏡筒に駆動力f1を印加すると共に、この駆動力f1により第1鏡筒に慣性力IF1及びハウジングの支持面との間で摩擦力FF1を発生させ、また、前記電気機械変換素子の変形により第2鏡筒に駆動力f2を印加すると共に、第2鏡筒に慣性力IF2及びハウジングの支持面との間で摩擦力FF2を発生させ、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を広げるように前記電気機械変換素子を変形させる際にf1<IF1+FF1、かつf2>IF2+FF2の関係が成立すると共に、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を狭めるように前記電気機械変換素子の変形が戻される際にf1>IF1+FF1、かつf2<IF2+FF2の関係が成立するように電気機械変換素子を駆動する駆動電圧を印加して前記鏡筒体を前記レンズの光軸方向の一方側に駆動し、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を広げるように前記電気機械変換素子を変形させる際にf1>IF1+FF1、かつf2<IF2+FF2の関係が成立すると共に、前記第1鏡筒及び第2鏡筒の間隔を狭めるように前記電気機械変換素子の変形が戻される際にf1<IF1+FF1、かつf2>IF2+FF2の関係が成立するように電気機械変換素子を駆動する駆動電圧を印加して前記鏡筒体を前記レンズの光軸方向の他方側に駆動することを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 前記電気機械変換素子は電圧の印加により厚み方向がレンズの光軸方向に伸縮する圧電素子であることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  3. 前記ハウジングに鏡筒体を設置するガイド溝を形成し、前記鏡筒体をガイド溝に沿って摺動可能に支持するようにしたことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  4. 前記ガイド溝の断面を実質V字状に形成し、前記ガイド溝の壁面により前記鏡筒体の所定の2本の母線に沿ってこの鏡筒体を支持するようにしたことを特徴とする請求項3記載のレンズ駆動装置。
  5. 前記レンズを含む第1鏡筒及び前記第2鏡筒の質量をそれぞれm1及びm2とすると共に、前記第1鏡筒及び第2鏡筒がそれぞれハウジングに支持される支持面を摺動する際の最大摩擦係数をそれぞれμ1及びμ2とした場合、m1>m2であると共に、μ1<μ2である関係が成り立つことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  6. 前記第1鏡筒のハウジングに支持される支持面を前記第2鏡筒のハウジングに支持される支持面に比べて表面仕上げを滑らかに処理したことを特徴とする請求項5記載のレンズ駆動装置。
  7. 前記第2鏡筒のハウジングに支持される支持面を前記第1鏡筒のハウジングに支持される支持面に比べて荒くする処理を施したことを特徴とする請求項5記載のレンズ駆動装置。
  8. 前記第1鏡筒の材質を金属とし、前記第2鏡筒の材質をプラスチックとしたことを特徴とする請求項5記載のレンズ駆動装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のレンズ駆動装置をレーザ光源及び対物レンズ間の光路に配置する光ピックアップ装置において、前記レンズ駆動装置の第1鏡筒に組み込まれるレンズは信号記録媒体にレーザ光を導く出射光学系により発生される球面収差を補正する収差補正レンズであり、鏡筒体を駆動することにより前記収差補正レンズを光軸方向に変位して信号記録媒体の信号層に照射される集光スポットの球面収差を補正することを特徴とする光ピックアップ装置。

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