JP2007256654A - 無機反射防止層付き製品およびその製造方法 - Google Patents

無機反射防止層付き製品およびその製造方法 Download PDF

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【課題】無機反射防止層が基材から剥がれにくい無機反射防止層付き製品およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】無機反射防止層付き製品10、10’、10”は、基材1と、基材1上に形成された1〜50nm厚のポリシロキサン層2、2’、2”と、ポリシロキサン層2、2’、2”の上に形成された無機反射防止層3とを備える。無機反射防止層付き製品10、10’、10”の製造方法は、基材1上に、シランカップリング剤を蒸着してポリシロキサン層2、2’、2”を形成するポリシロキサン層形成工程と、ポリシロキサン層2、2’、2”の上に蒸着により無機反射防止層3を形成する無機反射防止層形成工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、無機反射防止層付き製品およびその製造方法に関する。
一般に、無機反射防止層は、透明な基材上に真空蒸着やスパッタリング等によって形成された多層の無機薄膜から構成される。
真空蒸着やスパッタリング等では、蒸発した材料の衝突や加速されたイオンの衝突により層の緻密さが向上するが、イオン等が層内に過剰に打ち込まれるため、薄膜内部に応力が発生する。この応力を内部応力というが、薄膜が多層になると、各々の内部応力が加算され、全体として極めて大きな応力となり、基材から剥がれやすくなる。
これを防ぐために、従来、基材の両面に薄膜を形成することにより、その内部応力によって基材に作用する力を釣り合わせる方法(例えば、特許文献1)、薄膜の内部応力によって発生する基材の歪と逆向きで同じ大きさの歪を予め基材に与えておく方法(例えば、特許文献2)、あるいは、内部応力が圧縮応力である薄膜と内部応力が引張応力である薄膜とを組み合わせて多層膜全体の内部応力を低減する方法(例えば、特許文献3)が開示されている。
特公昭62−18881号公報 特公平6−90328号公報 特開2003−29024号公報
しかしながら、特許文献1のように、基材の両面に薄膜を形成する方法では、基材の両面とも光学特性を満足するように精度良く薄膜を形成することが困難である。また、特許文献2のように、基材に予め歪を与えておく方法では、基材を変形させる工程が付加されるだけでなく、応力のバランスをとることが困難であり、生産性の低下を招いてしまう。また、特許文献3のように、圧縮応力を内部応力とする薄膜と引張応力を内部応力とする薄膜を組み合わせて多層膜を形成する方法では、引張応力を内部応力とする薄膜と圧縮応力を内部応力とする薄膜とが接する部分において、その応力差のために膜が剥がれやすいという問題があった。
そこで、本発明は、無機反射防止層が基材から剥がれにくい無機反射防止層付き製品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の無機反射防止層付き製品は、基材と、前記基材上に形成されたポリシロキサン層と、前記ポリシロキサン層の上に形成された無機反射防止層とを備えることを特徴とする。
ここで、ポリシロキサンとは、その分子鎖中にケイ素−酸素結合を含む高分子有機化合物である。また、基材とは、プラスチック等の材料を意味するが、その表面にプライマー層やハードコート層が存在する場合にはそれらも含む概念である。基材の材質としては、特に限定されないが、プラスチック眼鏡レンズ用としては、屈折率が1.6以上の透明な素材を使用することが好ましい。例えば、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチック、エピスルフィド基を持つ化合物を含む原料モノマーを、重合硬化して製造される、エピスルフィド系プラスチックを基材の素材として使用することができる。
本発明によれば、ポリシロキサン層が基材と無機反射防止層との間に存在して、いわば接着層として機能するために、基材と無機反射防止層との密着性に優れている。特に加熱時においても優れた密着性を示すため、製品が加熱状態におかれてもクラックが発生しにくい。
本発明では、前記したポリシロキサン層の厚みが1〜50nmであることが好ましく、より好ましくは1〜20nmであり、さらに好ましくは1〜10nmである。
この発明によれば、ポリシロキサン層の厚みが1〜50nmと非常に薄いため、製品の光学性能を損なうことがない。ただし、前記した密着効果を強く発揮するためには、ポリシロキサン層の厚みが1nm以上であることが好ましい。
本発明の無機反射防止層付き製品の製造方法は、基材表面に、蒸着によりポリシロキサン層を形成するポリシロキサン層形成工程と、前記ポリシロキサン層の表面に蒸着により無機反射防止層を形成する無機反射防止層形成工程とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、基材上に容易にポリシロキサン層を形成できる。また、ポリシロキサン層と無機反射防止層をともに蒸着法で形成するため、製造工程が簡略化でき、製造コストが低減できる。さらに、湿式法を用いないため、有機溶剤を使用することがなく、環境に与える負荷も低い。ポリシロキサン層を形成する蒸着手法として、PVD法(物理気相成長法)、CVD法(化学気相成長法)を用いることができる。
PVD法を用いる場合、蒸着源として、シランカップリング剤を使用する。シランカップリング剤としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、SOB((CH3)3SiO)3B)、SOP(((CH3)3SiO)3PO)、OMCTS(Si4C8H24O4)、MCTS(Si4C4H16O4)、HMDSO(((CH3)3Si)2O)、DADBS(SiC12H24O6)、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトシキ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。この中では入手しやすさおよび価格の点ではTEOSが好ましい。また、このようなシランカップリング剤は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
CVD法を用いる場合、蒸着源として、SiH4等のシランガスを使用し、当該ガスを流入しながら蒸着することで、基材上へポリシロキサンを化学反応により積層させる。
化学気相成長法(CVD法)によりポリシロキサン層を形成する場合、成層速度が速く、実用的な厚さの層を効率よく作成することができる。また成層条件と成層時間を制御することによって容易に所望の層厚のポリシロキサン層を得ることができる。
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
本発明の無機反射防止層付き製品およびその製造方法について、実施例及び図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何等限定されるものではない。なお、各実施例とも、同様の構造・機能を有する装置等は同じ符号を付けて説明する。
〔実施例1〕
本実施例は、無機反射防止層付き製品としてプラスチック眼鏡レンズに適用した一例である。プラスチック眼鏡レンズの基材としては、セイコーエプソン株式会社製のセイコースーパーソブリンを用いた。
(1-1 プラスチック眼鏡レンズの構成)
図1は、本発明の製造方法により製造されたプラスチック眼鏡レンズ10の構成を模式的に示す断面図である。
プラスチック眼鏡レンズ10は、レンズ基材1と、レンズ基材1の上に形成されたポリシロキサン層2と、ポリシロキサン層2の上に形成された多層の無機反射防止層3とを備えて構成される。
ポリシロキサン層2は、後述するが、ケイ素−酸素結合を含む高分子有機化合物からなる単層の層である。
無機反射防止層3は、低屈折率材料層(L)がSiO(n=1.46)、高屈折率材料層(H)がTiO(n=2.40)から構成される。この無機反射防止層3は、図1に示すように、ポリシロキサン層2に接する側から、低屈折率材料のSiO層3L1がまず積層され、その上面に高屈折率材料のTiO層3H1が積層され、以下、SiO層とTiO層とが交互に3L2、3H2、3L3のように積層されて、計5層の無機反射防止層3を形成している。
(1-2 プラスチック眼鏡レンズ10の製造方法)
図2は、プラスチック眼鏡レンズ10を製造するための蒸着装置500を模式的に示した図である。この蒸着装置500により、レンズ基材1上に、CVD法によるポリシロキサン層2を形成し、イオンアシスト蒸着により無機反射防止層3を形成する。以下、蒸着装置500の構成と、プラスチック眼鏡レンズ10の製造方法について詳述する。
(1-2-1 蒸着装置500の構成)
蒸着装置500は、常圧CVD法によりポリシロキサン層2を形成するための蒸着室500Aと、イオンアシスト蒸着により無機反射防止層3を形成する蒸着室500Bとを含んで構成されている。蒸着室500Aと蒸着室500Bは、ゲートバルブ510によって仕切られており、ゲートバルブ510の開閉により基材載置台520が蒸着室500A、500B間を移動できる構成になっている。
蒸着室500Aは、真空排気装置(ターボ分子ポンプ、メカニカルブースターポンプドライポンプ等)で排気できるようになっている。また、APC(自動圧力制御装置)によって蒸着室500A内の圧力は一定に保たれる。
基材載置台520にはレンズ基材1と光学層厚モニタ用ガラス530がセットされている。各々の蒸着室500A、500Bにはヒータ540が備えられており、レンズ基材1を加熱することができるようになっている。
蒸着室500Bも、真空排気装置(クライオポンプ、ターボ分子ポンプ等)で排気できるようになっている。また、蒸着室500Bは、イオンアシスト用のイオン銃550と、電子ビームを発生する電子銃560と、電子ビームにより照射される蒸発原570とを備えている。
図2に示すように、酸素ガス(O2)がオゾン発生装置580に導入されると、5〜10質量%の濃度のオゾンが生成して蒸着室500A内に導入されるようになっている。
主原料室590Aは各々の原料の蒸気圧に応じて加熱できる機構を有し、適当な温度で加熱され気化した蒸気がキャリアガス(Ar、He、N等の不活性ガス)とともに蒸着室500A内に導入される。低沸点化合物のように加熱の必要がない原料は加熱しないでそのまま蒸着室500A内に導入される。副原料が必要な場合は副原料室590Bから導入される。ここで、主原料室590Aには、シランカップリング剤が充填されている。なお、本実施例では副原料を用いないが、必要に応じて、リンまたはホウ素を含む化合物を用いてもよい。リンまたはホウ素を含む化合物を副原料として用いると、レンズ基材1の表面に異物や凹凸等の表面欠陥があっても、平滑な表面を有するポリシロキサン層を形成できるので好適である。
(1-2-2 ポリシロキサン層2の形成)
基材載置台520に置かれたレンズ基材1を蒸着室500A内に設置し、真空排気した後、約100℃に加熱した。オゾン濃度5質量%、O2+O3(オゾン)流量5000sccmに設定した。すなわち、O2を5000sccmの流量でオゾン発生装置に導入し、濃度5質量%のオゾン含有ガスを発生させ、そのすべてを蒸着室500Aに導入した。
そして、原料としてSiH4を流量100sccm、Ar(キャリアガス)の流量を1000sccmとして、レンズ基材1上に導入し、常圧(約0.1MPa)でCVDを行い、分子内にケイ素−酸素結合を有する高分子有機化合物からなるポリシロキサン層2を形成した。ポリシロキサン層2の厚みは成層(層形成)時間によって制御し、3nm厚のサンプルを作成した。なお、ポリシロキサン層2の厚みは、1〜50nmの範囲で容易に変更可能である。層形成速度は約1nm/minに制御した。
(1-2-3 無機反射防止層3の形成)
ポリシロキサン2を形成した後、ゲートバルブ510を開閉して、レンズ基材1を基材載置台520ごと蒸着室500Bに移動し、電子ビーム蒸着により無機反射防止層3を形成した。
具体的には、ポリシロキサン層2が形成されたレンズ基材1を蒸着室500B内に取り付けた後、蒸着室500B内の下部に蒸着材料を充填したるつぼを配置し、電子ビームにより蒸発させた。同時にイオン銃550によりイオン化した酸素を加速照射することにより、ポリシロキサン層2上にSiOの低屈折率材料層3L1〜3L3とTiOの高屈折率材料層3H1、3H2とを、前記した層構成でポリシロキサン層2の上面に交互に成層した。最終的に、ポリシロキサン層2側からSiO(0.25λ)/TiO(0.12λ)/SiO(0.05λ)/TiO(0.25λ)/SiO(0.25λ)の5層で構成された無機反射防止層3を形成した(λ(設計波長)=550nm)。尚、SiOの屈折率を1.46とし、TiOの屈折率を2.30とした。
また、上記無機反射防止層形成工程では、イオンアシスト蒸着により無機反射防止層を形成することが好ましい。イオンアシスト蒸着によりポリシロキサン層の上に無機反射防止層を形成するので、ポリシロキサン層への密着強度が高く、また無機反射防止層自体の緻密性も高いため、反射防止特性等の光学性能が向上する。
〔実施例2〕
実施例2は、ポリシロキサン層2をプラズマCVD法により形成したことのみが実施例1と異なっている。蒸着装置600を図3に示す。
(2-1 蒸着装置600の構成)
蒸着装置600は、蒸着室600Aと蒸着室500Bがゲートバルブ510によって仕切られていて、ゲートバルブ510の開閉により基材載置台520が蒸着室間を移動できる構成になっている。蒸着室500Bは、イオンアシスト蒸着により無機反射防止層3を形成する部屋であって、実施例1と同様である。
蒸着室600Aの構成も、基本的に実施例1の蒸着室500Aと同様であるが、常圧CVD法ではなくプラズマCVD法による層形成が可能となっている。主原料や副原料は、実施例1と同様である。
蒸着室600Aでは、高周波発生装置610から電極620に高周波電圧が印可されると、蒸着装置600A内に主原料ガスや副原料ガスに基づくプラズマが発生し、レンズ基材1の表面に図1に示すようなポリシロキサン層2’を形成できるようになっている。
(2-2 ポリシロキサン層2’の形成)
基材載置台520に置かれたレンズ基材1を蒸着室600A内に設置し、真空排気した後、約80℃に加熱した。電極620に高周波電圧を供給し蒸着室600A内にプラズマを発生させレンズ基材1上にポリシロキサン層2’を形成した。O2流量1000sccm、原料としてTEOSを流量100sccm、Ar(キャリアガス)500sccmの流量で導入し、圧力160Pa、高周波電圧を500Wの電力で加え、分子内にケイ素−酸素結合を有する高分子有機化合物からなるポリシロキサン層2’を形成した。ポリシロキサン層2’の厚みは成層(層形成)時間によって制御し、10nm厚のサンプルを作成した。なお、ポリシロキサン層2’の厚みは、1〜50nmの範囲で容易に変更可能である。層形成速度は約1nm/minに制御した。
(2-3 無機反射防止層3の形成)
ポリシロキサン層2’を形成した後は、実施例1と同様にして無機反射防止層3を形成し、最終的に、図1に示すようなプラスチック眼鏡レンズ10’を製造した。
〔実施例3〕
実施例3は、ポリシロキサン層2をPVD法によって形成したこと以外、実施例1と同様に行った。
(ポリシロキサン層2”の形成)
図示しない蒸着装置において、デシルトリメトキシシランを含侵させたペレットを抵抗加熱方式にて加熱、蒸散させ、図示しない基材載置台上に載置したレンズ基材1表面へポリシロキサン層2”を形成した。この際の成膜条件は、圧力5×10-2Pa、ペレットの加熱温度を360℃とした。ポリシロキサン層2”の厚みは成層(層形成)時間で制御し10nm厚のサンプルを作成した。
(無機反射防止層3の形成)
ポリシロキサン層2”を形成した後は、実施例1と同様にして無機反射防止層3を形成し、最終的に、図1に示すようなプラスチック眼鏡レンズ10”を製造した。
〔比較例1〕
レンズ基材1の上にポリシロキサン層を形成せず、直接無機反射防止層を形成した。他の条件は実施例1と同じである。
〔比較例2〕
レンズ基材1の上にポリシロキサン層を形成せず、Arプラズマ処理(圧力5×10-2Pa、出力400W、処理時間60秒)を行った後、無機反射防止層を形成した。他の条件は実施例1と同じである。
〔比較例3〕
レンズ基材1の上にポリシロキサン層を形成せず、真空槽内にセットして圧力8×10-4Paになるまで排気後、加速電圧500V、イオン電流密度20μA/cm2 の酸素イオンビームを照射して、イオンクリーニング処理を60秒間行った後、無機反射防止層を形成した。他の条件は実施例1と同じである。
〔比較例4〕
レンズ基材1の上にポリシロキサン層を形成せず、室温で5分間、5%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬してアルカリ処理を行った後、無機反射防止層を形成した。他の条件は実施例1と同じである。
〔評価方法〕
以上の実施例1〜3、および比較例1〜4で得られたプラスチック眼鏡レンズ(以下、単に「レンズ」ともいう)の物性を、以下に示す評価方法で評価した。その結果を表1に示す。評価項目は、耐擦傷性、初期密着性、耐湿性、耐温水性の4項目とした。各評価方法を以下に説明する。
(1)耐擦傷性
レンズ表面に、スチールウール#0000を荷重1kGで印加し、3〜4cmの距離を10往復擦ったのち、目視でレンズ表面に入った傷の状態を下記のA〜Eの5水準の基準で評価した。
A:全く傷がない
B:1〜5本の傷が確認される
C:6〜20本の傷が確認される
D:21本以上の傷があるが曇りには見えない状態
E:多数の傷があり曇りに近い状態。
(2)初期密着性
レンズ表面を約1mm間隔で基盤目状に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に、粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名セロテープ(登録商標))を強く貼り付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目に膜剥がれ状態を下記のa〜eの5水準で評価した。
a:全く膜剥がれがない(膜剥がれ目数=0/100)
b:ほとんど膜剥がれがない(膜剥がれ目数=1〜5/100)
c:やや膜剥がれが発生(膜剥がれ目数=6〜20/100)
d:膜剥がれ発生(膜剥がれ目数=21〜50/100)
e:密着不良(膜剥がれ目数=51〜100/100)
(3)耐湿性
レンズを恒温恒湿炉(40℃、90RH%)中に10日間放置し、その後恒温恒湿炉中からレンズを取り出して、室温下で3時間放置した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(2)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(4)耐温水性
レンズを80℃の温水中に2時間浸漬し、その後レンズを温水中から取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(2)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
Figure 2007256654
〔評価結果〕
表1の結果から、レンズ基材1の上にポリシロキサン層2、2’、2”と無機反射防止層3とを形成した実施例1〜3では、上述した5つの評価項目の全てに渡って優れた値を示すことがわかる。耐擦傷性については、レンズ基材と反射防止層との密着性が向上したことにより、これらの界面からの剥がれが低減し、結果的に傷つきにくくなったと考えられる。
これに対して、比較例1では、ポリシロキサン層2、2’、2”がなく、レンズ基材1の上に直接無機反射防止層3が形成されているため、有機系材料であるレンズ基材と、無機系材料である反射防止層との密着性が得られず、初期密着性で全面的に剥がれが生じている。その為、耐湿性、耐温水性試験を行うことが出来なかった。
また、比較例2〜4のように、レンズ基材2の上に、プラズマ処理、イオンクリーニング処理あるいはアルカリ処理を施したものであってもほとんどレンズ基材と反射防止層との密着性は向上しなかった。
なお、上記では基板がプラスチックレンズを例に説明しているが、適用可能な範囲は非常に広い。例えば、眼鏡レンズに限らず、カメラ用などの多種多様なレンズ、その他の光学素子、例えば、プリズムなど、さらには、DVD等などの記録媒体、窓用のガラスなど多種多様なものが含まれる。
本発明は、光学製品、例えば眼鏡レンズの分野で好適に利用することができる。
本発明の無機反射防止層付き眼鏡レンズの構成を示す断面図。 本発明の製造方法を実施するための蒸着装置(常圧CVD) 本発明の製造方法を実施するための蒸着装置(プラズマCVD)
符号の説明
1…基材(レンズ基材)、2、2’、2”…ポリシロキサン層、3…無機反射防止層、10、10’、10”…プラスチック眼鏡レンズ、500、600…蒸着装置

Claims (3)

  1. 基材と、前記基材表面に形成されたポリシロキサン層と、前記ポリシロキサン層の表面に形成された無機反射防止層とを備えることを特徴とする無機反射防止層付き製品。
  2. 請求項1に記載の無機反射防止層付き製品において、
    前記ポリシロキサン層の厚みが1〜50nmであることを特徴とする無機反射防止層付き製品。
  3. 無機反射防止層付き製品の製造方法であって、
    基材表面に、蒸着によりポリシロキサン層を形成するポリシロキサン層形成工程と、
    前記ポリシロキサン層の表面に蒸着により無機反射防止層を形成する無機反射防止層形成工程とを備えることを特徴とする無機反射防止層付き製品の製造方法。
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