JP2007252190A - コンバータのパラメータ設定方法およびその方法を実行するコンバータ - Google Patents

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Abstract

【課題】位置指令に対して高速度高精度な追従特性を実現できる位置制御装置。
【解決手段】可変速駆動型コンバータ1,2のパラメータ設定方法に関し、上記コンバータ1、2は少なくとも二つの導体を有する電気ケーブル4で電気負荷3に接続され、該方法は、第一電圧エッジおよび該第一電圧エッジに対して遅延時間Tで遅延された第二電圧エッジからなるパルス電圧によって、電気ケーブル4にて共通モード電流を発生させること、発生した共通モード電流を測定すること、二つの電圧エッジ間の遅延時間を変化させ、それぞれ異なった遅延時間Tに対して測定された共通モード電流を表す値から、最適遅延時間を決定および記憶すること、からなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、可変速駆動型コンバータのパラメータ設定方法およびその方法を実行するコンバータに関する。このパラメータ設定方法は、特にコンバータと電気負荷とを接続する電気ケーブルの所定のパラメータを決定することを目的とする。
可変速駆動型コンバータは、電気ケーブルで電気負荷に接続され、また制御されていない整流器とコンデンサフィルタを接続した例えばパルス幅変調(PWM)方式の電圧インバータなどを備える。コンバータは、立ち上がりまたは立ち下がりのエッジ(front)からなるパルス電圧を電気負荷に供給する。
電気負荷のPWM制御は、可変速駆動機と電気負荷を接続する電気ケーブルの特性に影響される。
例えば、ケーブルが長い場合、負荷での電圧エッジの反射によって、電気負荷に過電圧がかかる(図1参照)。
この反射は、電気負荷と電気ケーブル間、および電気ケーブルとコンバータ間のインピーダンス障害を原因とする。より詳細には、電圧振動は電気ケーブルにおいての電圧エッジの往復伝播により引き起こされる。
従って、振動の周波数はケーブルにおける電圧エッジの伝播時間に依存し、該伝播時間はケーブルの長さ及びケーブル構成に依存する。
EP1580873(またはUS2005207194)では、通常動作での電力端子への過電圧を制限できるコンバータの制御方法と装置が知られているが、当該過電圧はコンバータと電動機間の波反射に関連する。この文書はNPC(中性点クランプ形、Neutral Point Clamped)の多レベルコンバータによって、三つの電圧レベルを有するパルス電圧を発生し、該パルス電圧は二つの連続電圧エッジを有し、第二電圧エッジの供給は第一電圧エッジに対して遅延される。第一電圧エッジは、例えば第一の低いまたはゼロである値と中間値の間とする。所定の遅延時間で電圧を中間値で保持した後、該中間値と該中間値より高い最終値の間に第2電圧エッジを供給する。第一電圧エッジと第2の電圧エッジ間の遅延時間により、第一電圧エッジによって発生する振動と外乱を補償できる。
電力端子への過電圧を最小限にするためには、二つの電圧エッジ間の遅延時間を最適化する必要がある。この遅延時間は、ケーブルの長さと特性に依存する。従って、同一のケーブルが電力端子において同一の電圧を生成するとは限らない。上記文書において、最適な遅延時間は、製造メーカーによって得られた特性から、または設備を実行開始する際の時間を測定することによって得られるか、またはケーブルにおける電圧エッジの伝播時間を測定することによって自動的に得られる。しかしながら、この文書は、遅延時間を正確に決定する明確な方法を提案していない。
本発明の目的は、電気負荷のPWM制御を実際のケーブル特性に対して正確に適応させるように、この最適な遅延時間を自動的に決定できるコンバータのパラメータ設定方法を提案することにある。
この目的を達成するには、少なくとも二つの導体を有する電気ケーブルで電気負荷に接続された可変速駆動型コンバータのパラメータ設定方法を提供し、該方法は、
コンバータから電気負荷へ供給される、第一電圧エッジおよび該第一電圧エッジに対して遅延時間で遅延された第二電圧エッジからなるパルス電圧で、電気ケーブルに共通モード電流を発生させること、
発生した共通モード電流を測定すること、
二つの発生した電圧エッジ間の遅延時間を変化させ、それぞれ異なった遅延時間に対して測定された共通モード電流を表す値に基づいて、最適遅延時間を決定および記憶すること、からなることを特徴とする。
本発明の第一実施形態によれば、第一電圧エッジは電気ケーブルの導体で、初期値と中間値の間に発生し、第二電圧エッジは遅延時間でずらして、ケーブルの同一導体で同一パルス方向に、上記中間値と最終値の間に発生する。
本発明の第二実施形態によれば、第一電圧エッジは、電気ケーブルの第一導体で、初期値と最終値の間に発生し、第二電圧エッジは、遅延時間でずらして、電気ケーブルの第二導体で同一パルス方向に、上記初期値と上記最終値の間に発生する。
本発明によれば、上記共通モード電流を表す値は共通モード電流のピーク電流である。この場合、上記最適遅延時間は、遅延時間が長くなる際に得られたピーク電流の傾斜の終了地点を検知することによって決定される。
本発明によれば、上記共通モード電流を表す値として、共通モード電流の実効電流も使用できる。この場合、上記最適遅延時間は、各遅延時間に対して得られた実効電流の最低値を検知することによって決定される。
一態様によれば、本発明に係る方法によって、得られた最適遅延時間から電気ケーブルの伝播時間を決定できる。
他の態様によれば、本発明に係る方法は、得られた最適遅延時間からケーブルの長さを決定するものである。その後、伝播時間およびケーブルの長さをコンバータ内で記憶する。
本発明の目的はまた、上記の方法を実行可能なコンバータを提供することである。
この目的を達成するには、少なくとも二つの導体を有する電気ケーブルで電気負荷に接続可能な可変速駆動型コンバータを提供し、上記コンバータは、
上記電気負荷へ供給される、第一電圧エッジおよび上記第一電圧エッジに対して遅延時間で遅延された第二電圧エッジからなるパルス電圧で、共通モード電流を発生させる手段、
発生した共通モード電流を測定する手段、
二つの発生した電圧エッジ間の遅延を変化させる手段と、それぞれ異なった遅延時間に対して測定された共通モード電流を表す値に基づいて、最適遅延時間を決定および記憶する手段からなることを特徴とする。
本発明の第一実施形態によれば、コンバータは3つ以上のレベルを有する。第一電圧エッジは電気ケーブルの導体で、初期値と中間値の間に発生し、第二電圧エッジは遅延時間でずらして、電気ケーブルの同一導体で同一パルス方向に、上記中間値と最終値の間に発生する。このとき、上記測定手段は電気ケーブルの導体に配置された電流センサーを含む。
本発明の第二実施形態によれば、コンバータは2つ以上のレベルを有する。この場合、第一電圧エッジは、電気ケーブルの第一導体で、初期値と最終値の間に発生し、第二電圧エッジは、遅延時間でずらして、ケーブルの第二導体で同一パルス方向に、上記初期値と上記最終値の間に発生する。このとき、上記測定手段は、電気ケーブルの二つの導体のいずれか一つに配置された電流センサーまたは電気ケーブルの二つの導体のそれぞれに配置された電流センサーを含み、また加算積分器が使われ、各導体で測定される共通モード電流を加算する。
本発明によれば、上記決定手段は、各遅延時間に対して測定された共通モード電流のピーク電流の検知器を含んでもよい。この場合、上記最適遅延時間は、遅延時間が長くなる際に検知されたピーク電流の傾斜の終了地点に相当する遅延時間である。
本発明によれば、上記決定手段は、各遅延時間に対して測定された共通モード電流の実効電流の検知器を含んでもよい。この場合、上記最適遅延時間は、各遅延時間に対して得られた実効電流の最低値に相当する遅延時間である。
本発明によれば、得られた最適遅延時間から、ケーブルの伝播時間およびケーブルの長さを決定および記憶する手段を含んでもよい。
得られた最適遅延時間は、負荷のPWM制御に直接使用することによって、上記の従来の特許出願に記載された方法に従って装置の端子における過電圧を最小限に抑えられる。この最適遅延時間から、電気ケーブルでの電圧エッジの伝播時間およびケーブルの長さを決定することもできる。上記のパラメータによって、
PWM制御を調整すること、
過電圧および/または漏れ電流に対するフィルタ(EMCフィルタ、サインフィルタ、dv/dtフィルタ)を選択すること、または
固定子抵抗などの所定の負荷のパラメータを修正することができる。
また別の特徴と利点については、添付の図面に示され、例としてあげる実施態様を参照しながら詳細な説明で明らかになるが、図面において、図1は、2レベルのコンバータによって発生した電圧信号および電気ケーブルにてこの電圧信号によって引き起こされた振動を表す図を示す。
図2は、2レベルのコンバータを備えた装置の概略図を示す。
図3は、NPC型の3レベルのコンバータを備えた装置の概略図を示す。
図4は、図2と図3の装置の略図を示す。
図5A、5B、5Cは、コンバータ側から見た、3レベル以上のコンバータによって電気ケーブルにおいて発生した電圧信号の曲線、および負荷側から見た、電気ケーブルにおけるこの電圧信号によって引き起こされた電圧振動を表す図を示す。
図7A〜7Eの各図は、図6A〜6Eの曲線でそれぞれ表される、この導体に印加される電圧信号に応じて、電気ケーブルの一つの導体におけるコンバータの出力にて測定された共通モード電流の信号を表す図を示す。
図8Aと8Bは、2レベル以上のコンバータで、電気ケーブルの個別の導体に供給された電圧信号を表す図を示す。
図9は、二つの電圧エッジの供給の間の遅延時間にともなったピーク電流の変化を表す曲線を示す略図を示す。
図10は、二つの電圧エッジ間の遅延時間にともなった共通モード電流の実効電流の変化を表す曲線を示す略図を示す。
図11は、電圧エッジを負荷へ供給し、高インピーダンス状態にしたコンバータにおいてこの電圧エッジを反射した後に得られた電圧信号を示す。
図12は、電圧エッジを供給して、高インピーダンス状態にしたコンバータにおいてこの電圧エッジを反射した後に特定の電気ケーブルで得られた電流信号を示す。
図2と図3は、電気負荷3のための2レベル(1、図2)または3レベル(2、図3)の可変速駆動型コンバータの構成を示す。コンバータ1、2は、一般的に、直流電圧Vcをパルス幅変調(PWMすなわちPulse Width Modulation)でチョップする電力用半導体素子を備える。コンバータ1、2の構成は、一般的に、電力半導体素子のアーム6、20−22を有するインバータまたはチョッパへ少なくとも一つの直流または整流された電圧VCを供給する出力と交流の電力網に接続された入力を有する整流器または電源Aから構成される。アームの出力には、電気ケーブル4が同期モータまたは非同期モータからなる電気負荷3に接続され、パルス電圧を供給する。コンバータ1、2の制御装置5は半導体をオン/オフに制御する。電気ケーブル4は、例えば少なくとも二つの導体、すなわち位相、より一般的には三つの導体4a、4b、4cを備える。
より詳細には、図3は制御装置5で制御されるNPC(Neutral Point Clamped)形式の3レベルのコンバータ2の構成を示す。このコンバータ2は、電気ケーブル4を介して電気負荷3に給電する三相電圧を発生させるために3本のアーム20、21、22を有する。各アーム20、21、22は、ケーブル4の一つ以上の導体で電気負荷3へパルス電圧を供給するように制御される電力半導体素子20a〜22dを有する。半導体素子20a〜22dは、具体的には絶縁ゲートの半導体金属酸化物の電界効果トランジスタ(FET)、またはバイポーラ半導体素子、好ましくは内蔵された逆並列ダイオードを有する。
この3レベルのコンバータ2では、直流電圧VCの正電圧V+と負電圧V−との間に直列に接続された2つのキャパシタ19A及び19Bの共通接続点に中間値電圧VMが発生する。
この図3に示すNPC形式の3レベルのコンバータ2は、各アーム20、21、22から電気ケーブル4のそれぞれの導体4a、4b、4cへ出力する電流の正負に応じて、上昇または下降の、正または負の3つの電圧レベルからなる電圧エッジを供給できる。エッジの方向が上昇か下降かによって、半導体素子20a−22dを通電の始まりに応じてターンオンまたはターンオフに制御し、3つの電圧レベルを供給する。
コンバータ2からの出力電流が正である場合、各アームが有する半導体素子20A、21Aまたは22Aが、それぞれのダイオード24を介して正の第一中間電圧エッジVMを供給するようにターンオンすることができ、また、半導体素子20B〜20D、21B〜21Dまたは22B〜22Dのダイオードを介して負の給電線V−から負の第2電圧エッジを供給するようにターンオフされる。各アームはさらに半導体素子20C、21Cまたは22Cを有し、これらの半導体素子は正の給電線V+から正の第2電圧エッジを供給するようにターンオンされ、それぞれのダイオード24を介して負の第一中間電圧エッジVMを供給するようにターンオフされる。
コンバータからの出力電流が負である場合、各アームが有する半導体素子20B、21Bまたは22Bが、それぞれのダイオード25を介して負の第一中間電圧エッジVMを供給するようにターンオンされることができ、また、半導体素子20A〜20C、21A〜21Cまたは22A〜22Cのダイオードを介して正の電圧線V+から正の第2電圧エッジを供給するようにターンオフされる。各アームはまた半導体素子20D、21Dまたは22Dを有し、これらの半導体素子は負の電圧線V−から負の第2電圧エッジを供給するようにターンオンされ、それぞれのダイオード25を介して正の第一中間電圧エッジVMを供給するようにターンオフされる。
電気負荷3の通常動作時は、電気ケーブル4の導体4a、4b、4cでの波反射を減衰できる形のパルス電圧を発生し、電気負荷3の端子における過電圧を制限するようにコンバータ2が制御される。
EP1580873(またはUS2005/207194)に記載されるように、図5Cを参照すると、このパルス電圧は、電気ケーブル4の導体4a、4b、4cにて、低値またはゼロ値のV0から電源電圧VCより低い中間値VMへと変化する第一立ち上がりエッジ9(図5A)、そして所定の遅延時間T2の後に、中間値VMから電源電圧VCにほぼ等しい高値へと変化する第2立ち上がりエッジ10(図5B)を供給することからなる。好ましくは、第2立ち上がり電圧エッジは、電気ケーブル4でのエッジの波の往復伝播に相当するように、電気ケーブル4の伝播時間Tpの2倍である電圧VMへの水平区間を形成するような遅延時間T2で供給する。図3において、制御回路5はパルス幅変調30および伝播時間Tpのパラメータ設定31に従ってトランジスタを制御する。
本発明によれば、コンバータ1、2は二つの発生電圧エッジ間の最適遅延時間T2を決定できる処理手段7を備える。遅延時間T2はコンバータ1、2によって自動的に決定され、その後コンバータに記憶される。この最適遅延時間T2は、電気ケーブル4での電圧エッジの伝播時間Tpの2倍に相当する。コンバータでの最適遅延時間T2の決定によって、コンバータは電気ケーブルからの伝播時間Tpを直接推定できる。電気ケーブルの伝播時間Tpが分かると、コンバータはその処理手段7によって下記の数式に基づいて、電気ケーブル4の長さを推定できる。
Figure 2007252190
すなわち、Tpが分かると、電気ケーブル4の全長に対する
Figure 2007252190
を決定できるので、電気ケーブル1メートル当たりの(電気ケーブルの製造メーカーによる表示で分かる)
Figure 2007252190
値に基づいて、電気ケーブル4の長さを推定できる。
上記の方法を3レベル以上のコンバータ2に適用することで、電気負荷3の端子における過電圧を最小限に抑えるだけではなく、2レベル以上のコンバータではケーブル4の長さなどのパラメータが分かると、パルス幅変調制御を調整すること、過電圧に対するフィルターを選択すること、または例えば固定子抵抗などの電気負荷3の特定のパラメータを修正することが可能となる。
最適遅延時間および電気ケーブル4のさまざまな特性を決定するための本発明によるパラメータ設定方法は、コンバータを電気負荷3に接続する電気ケーブル4を取り替える際など、いつでも実行できる。
本発明によれば、コンバータ1、2での遅延時間T2のパラメータ設定は、通常動作を開始する前に共通モード電流を発生させることによって行う。導体4a、4b、4cの給電を制御する半導体をターンオフして信号を送らずに、電気ケーブル4の一つ以上の導体4a、4b、4cに同一の信号を供給することによって、共通モード電流を発生させる。
本発明の第一実施形態によれば、電気ケーブル4の導体4aにて、二つの連続電圧エッジ11、12を有する正または負のいずれかのパルス電圧を同一パルス方向に発生するように、3レベル以上のコンバータ2を制御し、第二電圧エッジの供給は第一電圧エッジに対して遅延時間Tで遅延される(図6A〜6E)。第一立ち上がり電圧エッジ11は、例えば第一の低値またはゼロ値のV0と、例えば電源電圧の半分である中間値VMとの間にし、次に特定の遅延時間Tの中間値までの電圧の水平区間終了後、中間値VMと、中間値より高く電源電圧VCにほぼ等しい最終値との間の第2立ち上がりエッジ12を供給する。
導体4aに配置された電流センサー70(図4)を使用して、遅延時間Tで間隔をおいた二つの連続電圧エッジ11、12によって発生した共通モード電流を測定する。二つの電圧エッジ11、12の間に、それぞれ異なる遅延時間Tで間隔をおきながら、この操作を連続して数回繰り返す(図6A〜6E)。導体4aに配置された電流センサー70によって、それぞれ異なる遅延時間Tで間隔をおいた二つの電圧エッジ11、12からなるパルス毎に、発生した共通モード電流(図7A〜7E)を測定する。
図7A〜7Eに示す曲線は、二つの電圧エッジ11、12間の異なる遅延時間Tに対して測定された共通モード電流信号を表す。
コンバータ2は、それぞれの測定された共通モード電流信号によってピークIpeakに応じた電流を決定できるピーク検出器を有する処理手段7を備える。他の構成では、処理手段7は、整流器および積分器からなる実効電流検出器を備え、下記の公知の式により、測定された共通モード電流の各信号によって実効電流Irmsを決定できる。
Figure 2007252190
図9は、二つの電圧エッジ間の遅延時間Tによる、共通モードのピーク電流Ipeakの変化を表す曲線を示す。同様に、図10は、二つの電圧エッジ11、12間の遅延時間Tによる、共通モードの実効電流Irmsの変化を表す曲線を示す。
最後に、二つの電圧エッジ11、12間の遅延時間Tに対して決定されたピーク電流Ipeakまたは実効電流Irmsに基づいて最適遅延時間T2を決定する。処理手段7は、遅延時間Tが長くなる際のピーク電流Ipeakの傾斜の終了地点(図9の最適Ip)または実効電流Irmsの最低値(図10の最適Irms)を決定する。遅延時間Tが長くなる際のピーク電流Ipeakの傾斜の終了地点、または実効電流Irmsの最低値に相当する遅延時間Tは所望の最適遅延時間T2に相当する。この遅延時間T2はコンバータ2に記憶され、また通常動作時においては、電気負荷3の端子に過電圧を印加しないように、二つの連続電圧エッジ9、10の間になければならない。
本発明の第二実施形態によれば、2レベル以上のコンバータ1、2が制御されることによって、同一パルス方向に従って、正か負の、低値またはゼロ値のV0と例えば負荷3の電源電圧VCにほぼ等しい最終値との間の第一電圧エッジ13(図8A)を電気ケーブル4の第一導体4aに供給し、その後電気ケーブル4の第二導体4bにおいて同じ低値またはゼロ値のV0と電源電圧VCにほぼ等しい最終値との間の第一電圧エッジと同一の第二電圧エッジ14(図8B)を供給する。遅延時間Tは、二つの電圧エッジ13、14間にある。この変形例によれば、一つまたは二つの電流センサー70、71を使用して、二つの電圧エッジ13、14によって発生する共通モード電流を測定する。
二つの電圧エッジ13、14を受ける第一と第二導体4a、4bが互いに十分に隣接していれば、一つの電流センサー70(図4)のみで十分な場合もある。この場合、第二導体4bに供給された第二電圧エッジ14の作用が、第一導体4aで発生した共通モード電流の測定における容量結合に反映される。二つの電圧エッジ13、14によって発生する共通モードの全電流は電流センサー70で測定される。しかしながら、二つの導体4a、4bが互いに間隔をおいて配置されている場合は、二つの電流センサー70、71を使用する(図4)。第一導体4aに配置された第一電流センサー70によって、第一導体4aにおける第一電圧エッジ13によって発生する共通モード電流を測定でき、第二電流センサー71によって、第二導体4bにおける第二電圧エッジ14によって発生した共通モード電流を測定できる。処理手段7は各電流センサー70、71で測定された共通モード電流を加算できる加算積分器を有する。
第一実施形態に記述したように、二つの電圧エッジ13、14間の遅延時間Tを変化させる。次に、各遅延時間値Tに対してピーク電流Ipeakもしくは実効電流Irmsを算出するように、各遅延時間T値に対する共通モード電流を測定し、処理手段7で処理する。
得られたピーク電流Ipeakもしくは実効電流Irmsの値に基づいて最適遅延時間を決定する。得られた曲線は上述の図9および図10に表す曲線である。最適遅延時間T2は、遅延時間Tが長くなる際のピーク電流Ipeakの傾斜終了地点(図9の最適Ic)または実効電流Irmsの最低値(図10の最適Irms)に相当する値である。上記最適遅延時間T2を3レベル以上のコンバータ2で供給する二つの連続電圧エッジ9、10間にすることで、通常動作時の電気負荷3の端子への過電圧を制限できる。
2レベル以上のコンバータを使用したこの二つの実施例の変形例によれば、電気ケーブル4の導体4aに電圧エッジ15を供給し、コンバータ1、2を高インピーダンスにして同一導体4aで反射した電圧エッジ16(図11)を発生させた後、最適遅延時間T2が得られる。
この変形例によれば、電気ケーブル4の少なくとも一つの導体4aにて電圧エッジ15を供給するようにコンバータ1、2が制御される。電気負荷3のインピーダンスが強いため、この電圧エッジ15の一部が負荷3に反射されて、導体4aで電圧振動を発生する。このとき、導体4aの給電を制御する半導体をターンオフにして、通常はインピーダンスが低いまたはゼロのコンバータ1、2を高インピーダンスにする。コンバータ1、2を高インピーダンスにすることによって、コンバータ1、2で電圧エッジをさらに反射し、負荷3へ向かってさらなる電圧エッジ16を導体4aにて発生させる。
可変速駆動機に内蔵した電圧センサー72(図4)によって、コンバータ1、2に制御される電圧エッジ15の供給によって発生した電圧の変化を測定する。二つの異なった処理によって、得られた電圧信号を処理手段7によって処理し、最適遅延時間T2を決定する。
第一処理として、図11に示す電圧信号に基づいて、第一電圧エッジ15を供給する時点でタイマーを開始し、またその際に高インピーダンスになっているコンバータ1、2で電圧エッジ16が反射される時点を検知する。この二つの時点間の遅延時間は、電気ケーブル4の導体4aでの往復に相当するので、電気ケーブル4における電圧エッジの伝播時間Tpの2倍に相当する。したがって、この遅延時間は、二つの連続電圧エッジ9、10の間にある最適遅延時間T2に相当し、通常動作時の電気負荷3の端子への過電圧を制限する。
第二処理は、電圧センサー72で検知された電圧信号から実効電圧Vrmsを決定することを含む。測定された電圧を整流し積分して、下記の公知の式から実効電圧Urmsを推定する
Figure 2007252190
このように、実効電圧Vrmsは導体4aで測定された整流電圧を積分することによって得られる。ここで、上記のVcで定める電圧振幅は、可変速駆動機のバス電圧を別に測定することで求めることができる。この振幅は時間Tの間に印加した電圧である。上記の式から時間Tの間のVrmsと電圧Vcが算出できる。したがって、最適遅延時間T2およびケーブル4の伝播時間Tpの2倍に相当するTを推定できる。
電圧センサー72の代わりに第一電圧エッジ15が供給された導体4aに配置された電流センサー70を使用することによって、この供給した電圧エッジ15および高インピーダンスにしたコンバータ1、2で反射した電圧エッジ15によって発生した電流Iをも測定できる。得られた信号を図11に表す。使用される電気ケーブルの抵抗などの特性により、またとりわけその抵抗により、0以上の係数の反射はコンバータで行うこともあるので、電圧エッジ16の反射に相当する電流を検知できる。図11の曲線にて、第一の電流パルス17で、第一電圧エッジ15の供給を表し、高インピーダンスにしたコンバータ1、2で反射した電圧エッジ16は負である第二電流パルス18で表す。処理手段7は、この二つの電流パルスの検知時点間の時間を計るタイマーを備える。この時間は電気ケーブル4の伝播時間Tpの2倍、すなわち所望の最適遅延時間T2に相当する。
本発明の範囲内において、他の変形や変更または均等手段の使用を想定することができることは言うまでもない。
2レベルのコンバータによって発生した電圧信号および電気ケーブルにてこの電圧信号によって引き起こされた振動を表す図である。 2レベルのコンバータを備えた装置の概略図である。 NPC型の3レベルのコンバータを備えた装置の概略図である。 図2と図3の装置の略図である。 コンバータ側から見た、3レベル以上のコンバータによって電気ケーブルにおいて発生した電圧信号の曲線、および負荷側から見た、電気ケーブルにおけるこの電圧信号によって引き起こされた電圧振動を表す図である。 導体に印加される電圧信号を示す図である。 導体に印加される電圧信号を示す図である。 導体に印加される電圧信号を示す図である。 導体に印加される電圧信号を示す図である。 導体に印加される電圧信号を示す図である。 図6Aの曲線で表される、この導体に印加される電圧信号に応じて、電気ケーブルの一つの導体におけるコンバータの出力にて測定された共通モード電流の信号を表す図である。 図6Bの曲線で表される、この導体に印加される電圧信号に応じて、電気ケーブルの一つの導体におけるコンバータの出力にて測定された共通モード電流の信号を表す図である。 図6Cの曲線で表される、この導体に印加される電圧信号に応じて、電気ケーブルの一つの導体におけるコンバータの出力にて測定された共通モード電流の信号を表す図である。 図6Dの曲線で表される、この導体に印加される電圧信号に応じて、電気ケーブルの一つの導体におけるコンバータの出力にて測定された共通モード電流の信号を表す図である。 図6Eの曲線で表される、この導体に印加される電圧信号に応じて、電気ケーブルの一つの導体におけるコンバータの出力にて測定された共通モード電流の信号を表す図である。 2レベル以上のコンバータで、電気ケーブルの個別の導体に供給された電圧信号を表す図である。 二つの電圧エッジの供給の間の遅延時間にともなったピーク電流の変化を表す曲線を示す略図である。 二つの電圧エッジ間の遅延時間にともなった共通モード電流の実効電流の変化を表す曲線を示す略図である。 電圧エッジを負荷へ供給し、高インピーダンス状態にしたコンバータにおいてこの電圧エッジを反射した後に得られた電圧信号を示す図である。 電圧エッジを供給して、高インピーダンス状態にしたコンバータにおいてこの電圧エッジを反射した後に特定の電気ケーブルで得られた電流信号を示す図である。

Claims (21)

  1. 可変速駆動型コンバータ(1、2)のパラメータ設定方法であって、該コンバータ(1、2)は少なくとも二つの導体を有する電気ケーブル(4)で電気負荷(3)に接続され、該方法は、
    コンバータ(1、2)によって電気負荷(3)へ供給される、第一電圧エッジ(11、13)および該第一電圧エッジ(11、13)に対して遅延時間(T)で遅延された第二電圧エッジ(12、14)からなるパルス電圧によって、電気ケーブル(4)にて共通モード電流を発生させること、
    発生した共通モード電流を測定すること、
    発生した二つの電圧エッジ(11、12、13、14)間の遅延時間(T)を変化させ、それぞれ異なる遅延時間(T)に対して測定された共通モード電流を表す値(Ipeak、Irms)から、最適遅延時間(T2)を決定および記憶すること、からなることを特徴とする方法。
  2. 第一電圧エッジ(11)は電気ケーブル(4)の導体で、初期値(V0)と中間値(VM)の間に発生し、第二電圧エッジ(12)は遅延時間(T)でずらして、電気ケーブル(4)の同一導体で同一パルス方向に、上記中間値(VM)と最終値(VC)の間に発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 第一電圧エッジ(13)は、電気ケーブル(4)の第一導体で、初期値(V0)と最終値(VC)の間に発生し、第二電圧エッジ(14)は、遅延時間(T)でずらして、電気ケーブル(4)の第二導体で同一パルス方向に、上記初期値(V0)と上記最終値(VC)の間に発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 上記共通モード電流を表す値は共通モード電流のピーク電流(Ipeak)であることを特徴とする請求項1〜3に記載の方法。
  5. 上記最適遅延時間(T2)は遅延時間(T)が長くなる際のピーク電流Ipeakの傾斜の終了地点を検知することによって得られることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 上記共通モード電流を表す値は共通モード電流の実効電流(Irms)であることを特徴とする請求項1〜3に記載の方法。
  7. 上記最適遅延時間(T2)は、各遅延時間(T)に対して、得られた実効電流(Irms)の最低値を検知することによって得られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 得られた最適遅延時間(T2)から電気ケーブル(4)の伝播時間(Tp)を決定することを含むことを特徴とする請求項1〜7に記載の方法。
  9. 得られた最適遅延時間(T2)から電気ケーブル(4)の長さを決定することを含むことを特徴とする請求項1〜8に記載の方法。
  10. 少なくとも二つの導体を有する電気ケーブル(4)によって電気負荷(3)に接続可能な可変速駆動型コンバータ(1、2)であって、上記コンバータ(1、2)は、
    上記電気負荷(3)へ供給される、第一電圧エッジ(11、13)および上記第一電圧エッジ(11、13)に対して遅延時間(T)で遅延された第二電圧エッジ(12、14)からなるパルス電圧で、共通モード電流を発生させる手段、
    発生した共通モード電流を測定する手段(70、71)、
    発生した二つの電圧エッジ(11、12、13、14)間の遅延時間(T)を変化させる手段と、それぞれ異なった遅延時間(T)に対して測定された共通モード電流を表す値(Ipeak、Irms)に基づいて、最適遅延時間(T2)を決定および記憶する決定手段(7)からなることを特徴とするコンバータ。
  11. 3レベル以上のコンバータであって、第一電圧エッジ(11)は電気ケーブル(4)の導体(4a)で、初期値(V0)と中間値(VM)の間に発生し、第二電圧エッジ(12)は遅延時間(T)でずらして、電気ケーブル(4)の同一導体(4a)で同一パルス方向に、上記中間値(VM)と最終値(VC)の間に発生することを特徴とする請求項10に記載のコンバータ。
  12. 上記測定手段は電気ケーブル(4)の導体(4a)に配置された電流センサー(70)を含むことを特徴とする請求項11に記載のコンバータ。
  13. 2レベル以上のコンバータであって、第一電圧エッジ(13)は電気ケーブル(4)の第一導体で、初期値(V0)と最終値(VC)の間に発生し、第二電圧エッジ(14)は遅延時間(T)でずらして、電気ケーブル(4)の第二導体(4b)で同一パルス方向に、上記初期値(V0)と上記最終値(VC)の間に発生することを特徴とする請求項10に記載のコンバータ。
  14. 上記測定手段は、電気ケーブル(4)の二つの導体(4a、4b)のいずれか一つに配置された電流センサー(70)を含むことを特徴とする請求項13に記載のコンバータ。
  15. 上記測定手段は、電気ケーブル(4)の二つの導体(4a、4b)のそれぞれに配置された電流センサー(70、71)を含み、また加算積分器が各導体(4a、4b)で測定する共通モード電流を加算できることを特徴とする請求項13に記載のコンバータ。
  16. 上記決定手段(7)は、各遅延時間(T)に対して測定された共通モード電流の実効電流(Irms)の検知器を含むことを特徴とする請求項10〜15に記載のコンバータ。
  17. 上記最適遅延時間(T2)は、遅延時間(T)が長くなる際に検知されたピーク電流(Ipeak)の傾斜の終了地点に相当する遅延時間(T)であることを特徴とする請求項16に記載のコンバータ。
  18. 上記決定手段(7)は、各遅延時間(T)に対して測定された共通モード電流の実効電流(Irms)の検知器を含むことを特徴とする請求項10〜15に記載のコンバータ。
  19. 上記最適遅延時間(T2)は、各遅延時間に対して、得られた実効電流(Irms)の最低値に相当する遅延時間(T)であることを特徴とする請求項18に記載のコンバータ。
  20. 得られた最適遅延時間(T2)からケーブル(4)の伝播時間(Tp)を決定する手段(7)を含むことを特徴とする請求項10〜19に記載のコンバータ。
  21. 得られた最適遅延時間(T2)から電気ケーブル(4)の長さを決定する手段(7)を含むことを特徴とする請求項10〜20に記載のコンバータ。
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