JP6846956B2 - アクティブフィルタ - Google Patents
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Description
また、特許文献2は、位相を進相するために、電源周期から進相分(電源周期−進相分)だけを除いた分だけ波形の遅延を行うが、これにはやはり波形を記録するメモリ手段が必要である。
さらに、特許文献3は、無駄時間を補償する具体的な手段について述べられていない。
本発明におけるコントローラは、交流電源による系統電圧が転流したタイミングにおける電流波形を、二乗の放物線で近似した電流指令を求め、求められた電流指令に基づいて、主回路を駆動させる、ことを特徴とする。
本実施形態に係る電源装置1は、交流電源3と負荷である例えば電動モータ5との間に配置されるインバータ10と、電源装置1とインバータ10の間に並列に接続されるアクティブフィルタ20と、を備える。
電源装置1は、交流電源3が出力する一定電圧及び一定周波数の三相交流電流をインバータ10で直流に変換した後に交流に逆変換することで、周波数と電圧の大きさが任意に調整された交流電流を電動モータ5に供給する。
電源装置1は、補償対象を直流電流平滑型のコンバータに限定することで、直流電流平滑型のコンバータの波形を予測して、アクティブフィルタ20の電流指令を求める。このように補償対象の電流を予測することで、波形を記録するためのメモリ手段を設ける必要がなくなる。
インバータ10は、交流電源3に接続されるコンバータ回路11と、コンバータ回路11の出力端に接続されるインバータ回路13と、を備える。コンバータ回路11が交流電源3からの交流電流を直流電流に変換し、コンバータ回路11から受ける直流電流をインバータ回路13が交流電流に変換する。インバータ回路13は半導体スイッチング素子を利用して電力変換を行うが、この電力変換の際に高調波を発生させる。
インバータ10は、コンバータ回路11の出力側に平滑回路15を備える。この平滑回路15は、直流リアクトルDCLとキャパシタC1を組み合わせたフィルタであり、抵抗負荷に加わる電圧を平滑化する。つまり、インバータ10は直流電流平滑型のコンバータ回路11を備える。
例えば、コンバータ回路11については、単数又は複数のダイオードを備えることを前提とし、トランス方式とスイッチング方式が存在するが、いずれを用いることができる。
アクティブフィルタ20は、検出された高調波を打ち消し補償する電流を生成するとともに、生成した補償電流を交流電源3とインバータ10のコンバータ回路11とを接続する電線WR,WS,WTに注入する。アクティブフィルタ20は、交流電源3に対して、インバータ10と並列に接続されている。
アクティブフィルタ20は、コントローラ21と主回路23が交流リアクトルACL及び高調波フィルタ25を介して、交流電源3に接続されている。主回路23はキャパシタC2と接続されている。高調波フィルタ25は、アクティブフィルタ20の主回路23を構成するスイッチング素子が行うパルス幅変調(Pulse Width Modulation)による高調波を除去する。
主回路23で生成された補償電流は、交流リアクトルACL及び高調波フィルタ25を介して、交流電源3に供給される。
直流電流平滑型のコンバータの場合、相電流が転流するタイミングに合わせて、入力電流が急峻に変化する。コンバータ回路11の電流波形を図3(b)に示す。
図3(b)のグラフにおいて、一例としてコンバータのR相電流は、コンバータ直流電流が急峻に変化する楕円で囲まれるタイミング以外のときは、コンバータの直流電流と等しいか0であるから、変化が小さい。
このコンバータ(R相)電流から基本波成分を除いたものがアクティブフィルタ20の電流指令、つまり補償電流となる。したがって、図3(c)のグラフに示すように、アクティブフィルタ20の電流指令も、楕円で囲まれる転流タイミングで急峻に変化する以外では変化が小さい。つまり、補償電流は、転流タイミング以外では素早い追従性を求められない。
このように、検出や制御の遅れを補償する必要があるのは転流タイミングのみであり、この転流するときの電流波形が判りさえすれば、全体としての遅れを補償できることになる。
図2は、図3(a)に倣って、R相からS相に転流するときのコンバータ回路11に流れる電流を示している。転流前、転流中及び転流後は、以下の経過を辿る。
転流前:iR = idc, iS = 0
転流中:iR+iS = idc
転流後:iR = 0, iS = idc
転流は極めて短時間で終了するので、抵抗成分を無視することができ、系統のインダクタンス成分LLのみが影響する。
VRG,VSGの差分は線間電圧であり、正確には正弦波状であるが、転流は短時間であるため、線形に近似(vSG − vRG = kt)することができる。
このため、転流中のS相電流が0から変化する波形は、下記の式1として示される式のように二乗の放物線に近似することができる。
アクティブフィルタ20の電流指令として使用するコンバータ電流としては、転流開始タイミングと転流終了タイミングを検出し、制御遅れ分だけ進めておくことや指令電流の変化を予め電圧指令にフィードフォワードしておくことで、その遅れを補償できる。
この補償電流の生成には、転流が終了するときの電流値とタイミングを測定するだけで足りるので、メモリ手段を必要としない。一例として、この電流値は図3(b)の横方向の実線Hで示され、転流が終了するタイミングは図3(b)の縦方向の実線Vで示される。
そして、転流が充分短い時間で終わるので、このQ軸電流の変化も二乗の放物線に近似できる。このとき転流の終了は、図4の下段のグラフにおいて円で囲まれるように極大値をとるので、判定がしやすくなる。
[系統電圧位相更新(図5 S101)]
アクティブフィルタ20のコントローラ21は、第一検出回路DL1を介して検出するアクティブフィルタ20の入力電圧の電圧波形から位相θを継続的に計算し、更新する。系統電圧の電圧波形は、図3(a)に例示した通りである。
次に、コントローラ21は、第一検出回路DL1を介して検出するコンバータ電流波形(R相,S相,T相)から基本波成分を取り除いて、コンバータ電流の高調波成分を求める。
次に、コントローラ21は、求めたコンバータ電流の高調波成分から、電流のピーク値IPとピーク値IPを示すときの位相θを検出する。なお、このときの位相θをθpとする。1電源周期中にθpは各相、つまりR相、S相及びT相毎に2回ずつ出現する。
コントローラ21は、コンバータ電流の高調波成分を打ち消す、アクティブフィルタ20の電流指令(AF電流指令)の波形を求める。このAF電流指令をAF電流指令(CC1)とする。
コントローラ21は、位相θが転流タイミングより制御遅れ分だけ進んだ所定転流タイミングに当たるか当たらないかを判断する。なお、ここでいう転流タイミングとは、系統電圧の相電圧が等しくなる位相〜θpの範囲で特定される。θpは、高調波成分においてピーク値を示す位相θである。また、制御遅れはハード的な構成により決まるため、予め制御遅れの時間が設定される。
コントローラ21は、所定の転流タイミングにあたるものと判断する(図5 S109 Yes)と、ピーク値を示す位相θpとピーク値IPに基づいて、位相θから制御遅れ分だけ進めたAF電流指令(AF電流指令(CC2)とする)を求める。コントローラ21は、先に求めているAF電流指令(CC1)の値を求めたAF電流指令(CC2)の値で置き換えることで、制御遅れを補償する。
コントローラ21は、転流タイミングに当たらないと判断する(図5 S109 No)と、S107で求めたAF電流指令(CC1)となるように電流制御を行い、アクティブフィルタ20による電圧指令を計算により求める。
一方、コントローラ21は、転流タイミングに当たらないと判断し(図5 S109 No)、S115にてAF電流指令(CC2)を求めているのであれば、AF電流指令(CC2)となるように電流制御を行い、アクティブフィルタ20による電圧指令を計算により求める。
コントローラ21は、計算で求めたAF電圧指令を、アクティブフィルタ20の主回路23を構成するスイッチング素子のスイッチングdutyに換算する。コントローラ21は換算したスイッチングdutyに基づいて主回路23を構成するスイッチング素子を駆動制御して、補償電流を出力する。
図6に、高調波を有効成分(P軸)と無効成分(Q軸)に変換する場合の一連の手順を示す。
図6に示すように、3相(R相,S相,T相)を2相(P軸,Q軸)に変換する手順、及び、2相(P軸,Q軸)を3相(R相,S相,T相)に変換する手順が加わることを除いて、図5に示す手順と同じである。
以上説明したように、本実施形態によれば、転流が終了するときの電流値とタイミングを測定するだけで足りるので、メモリ手段を必要とすることなく、補償電流を生成できる。
3 交流電源
5 電動モータ
10 インバータ
11 コンバータ回路
13 インバータ回路
15 平滑回路
20 アクティブフィルタ
21 コントローラ
23 主回路
25 高調波フィルタ
DCL 直流リアクトル
ACL 交流リアクトル
C1,C2 キャパシタ
DL1 第一検出回路
DL2 第二検出回路
WR,WS,WT 電線
Claims (5)
- 三相の交流電源に対して、負荷と並列に接続されるアクティブフィルタであって、
前記アクティブフィルタは、
高調波成分を打ち消す補償電流を生成する主回路と、
前記主回路の駆動を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記交流電源による系統電圧が転流したタイミングにおける電流波形を、二乗の放物線で近似した電流指令を求め、
求められた前記電流指令に基づいて、前記主回路を駆動させる、
ことを特徴とするアクティブフィルタ。 - 前記コントローラは、
前記電流波形から基本波成分を取り除いて、前記高調波成分を求め、
求めた前記高調波成分から、電流のピーク値IPとピーク値IPを示すときの位相θを検出し、
前記位相θが、前記系統電圧の相電圧が等しくなる位相〜θp(ピーク値IPを示すときの前記位相θ)の範囲よりも、制御遅れ分だけ進んでいる所定転流タイミングに当たるか当たらないかを判断する、
請求項1に記載のアクティブフィルタ。 - 前記コントローラは、
前記高調波成分を打ち消す、前記補償電流であるAF電流指令(CC1)を求める、
請求項2に記載のアクティブフィルタ。 - 前記コントローラは、
前記所定転流タイミングに当たると判断すると、前記位相θpと前記ピーク値IPに基づいて、前記位相θから前記制御遅れ分だけ進めたAF電流指令(CC2)を求め、
前記AF電流指令(CC1)の値を前記AF電流指令(CC2)の値で置き換えて電流制御を行う、
請求項3に記載のアクティブフィルタ。 - 前記コントローラは、
前記所定転流タイミングに当たらないと判断すると、前記AF電流指令(CC1)となるように電流制御を行う、
請求項3に記載のアクティブフィルタ。
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