JP2007251140A - マグネットホルダー - Google Patents

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Abstract

【課題】経時劣化のおそれのある接着剤を使用しなくてもホルダー本体と磁石との接合強度に優れ、ホルダー本体と磁石とを固定するための組立てや接着剤が不要であり、磁性粉体の脱落がほとんどなく、使用上十分な磁気吸着力を有するマグネットホルダーを提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなるホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを一体化させてなるマグネットホルダー。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネットホルダーに関する。さらに詳しくは、磁性により、冷蔵庫の側面、帯磁性ボードなどに付着させて使用されるマグネットホルダー、六角レンチなどの工具類を吸着させて使用されるマグネットホルダーなどとして好適に使用しうるマグネットホルダーおよびその製造法に関する。
家庭用品、事務用品などの分野では、冷蔵庫の側面やホワイトボードなどに使用されるホルダーとして、ホルダー本体に樹脂成形体が使用され、その背面に焼結磁石が接着剤で固定されたマグネットホルダーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来のマグネットホルダーには、ホルダー本体と焼結磁石とを強固に接着させることが困難であるのみならず、接着剤が経時劣化し、ホルダー本体と焼結磁石とが剥離するという欠点がある。近年、マグネットホルダーには強力な磁力を有する希土類系焼結磁石が使用されつつあるが、その焼結磁石の磁力が強いため、マグネットホルダーを冷蔵庫の側面などの被着体から取り外すときにホルダー本体と焼結磁石とが剥離することがある。
また、従来のマグネットホルダーには、その製造時にホルダー本体に焼結磁石を貼り付けるという煩雑な接着工程を必要とするため、生産効率が悪いのみならず、板厚の焼結磁石を必要とすることから、マグネットホルダーの製品設計の自由度が低く、ホルダー自体のスリム化を図ることが困難である。
マグネットホルダーは、設備機器や機械用工具などの分野では、作業現場で使用されるボルト、ナット、座金などを保持するために使用されている。耐久性に優れたマグネットホルダーとして、鉄製プレートの凹部に永久磁石が収納されたマグネットホルダーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このマグネットホルダーには、それ自体が重いため、作業者の腕や腰部に取り付けて使用したときに作業者への負担が大きいという欠点があるうえに、凹型鉄製プレートのヨーク効果で、凹面両端の磁束密度は向上するが、中心部の磁束密度の向上は見られず、均一な磁場が形成されないため、被磁着物の偏在などが発生する。
また、六角レンチなどの工具類をこのマグネットホルダーに吸着させて使用した場合、凹型鉄製プレートによって磁束密度が収束され、磁着面の磁束密度が高くなることから、磁気によって吸着した六角レンチなどの工具類の磁化が避けられない。このように磁化された工具類は、微細な鉄粉、鉄屑、切子などを吸着することから、六角レンチなどの工具類ではボルトのメス部との嵌合不良が生じ、作業に支障をきたすため工具などを保持するためのホルダーとしては現実的ではない。
さらに、磁化した工具類には、磁気記録媒体などへの悪影響が懸念されることから使用後には脱磁を行なう必要があるため、このマグネットホルダーを工具類に使用することは、現実的ではない。
また、軽量化のために凹型鉄製プレートを除外することも考えられるが、凹型鉄製プレートを除外した場合には、表面に磁束を収束するヨーク効果がなくなるため、同様の磁束密度を保持しようとすれば、磁石そのものの体積の増加が避けられず、かえってその重量が増加することになる。
特開2003―103976号公報 特開2002―343625号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、経時劣化のおそれのある接着剤を使用しなくてもホルダー本体と磁石との接合強度に優れ、ホルダー本体と磁石とを固定するための組立てや接着剤が不要であり、磁性粉体の脱落がほとんどなく、使用上十分な磁気吸着力を有するマグネットホルダーを提供することを課題とする。
本発明は、
(1)熱可塑性樹脂からなるホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを一体化させてなるマグネットホルダー、および
(2)ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを加熱溶融により一体化させることを特徴とするマグネットホルダーの製造法
に関する。
本発明によれば、経時劣化のおそれのある接着剤を使用しなくてもホルダー本体と磁石との接合強度に優れ、ホルダー本体と磁石とを固定するための組立てや接着剤が不要であり、磁性粉体の脱落がほとんどなく、使用上十分な磁気吸着力を発現するマグネットホルダーが得られる。
ホルダー本体は、熱可塑性樹脂で構成される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、12−ナイロン、6−ナイロン、66−ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。これらの樹脂は、いずれも熱可塑性樹脂磁石との接着性に優れているので好ましく、12−ナイロンや6−ナイロンなどのポリアミドがより好ましい。
ホルダー本体の大きさおよびその形状は、その用途などによって異なるので一概には決定することができないため、その用途などに応じて適宜決定すればよい。
熱可塑性樹脂磁石は、熱可塑性樹脂および磁性粉体を含有する。
熱可塑性樹脂磁石に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、12−ナイロン、6−ナイロン、66−ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。これらの樹脂は、いずれも磁性粉体との接着性に優れているので好ましく、12−ナイロンなどのポリアミドがより好ましい。好適な12−ナイロンとしては、JIS K 6253に規定のタイプDデュロメーターによる硬度が70度以上の12−ナイロンがより好ましい。
熱可塑性樹脂磁石における熱可塑性樹脂の含有率は、目的とする磁性によって異なるため一概には決定することができないが、成形時における溶融した熱可塑性樹脂の流動性を高め、成形不良の発生を抑制する観点から、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、希土類磁性粉末による磁性を十分に付与する観点から、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。
なお、ホルダー本体に用いられる熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂磁石に用いられる熱可塑性樹脂とは、両者の接着強度を高める観点から、同種類であることが好ましい。前記のとおり、例えば、ホルダー本体に用いられる熱可塑性樹脂が12−ナイロンである場合、熱可塑性樹脂磁石に用いられる熱可塑性樹脂もこれと同様に、12−ナイロンであることが好ましい。
磁性粉体としては、例えば、フェライト系磁性粉体、ニッケル−コバルト系磁性粉体などをはじめ、サマリウム−鉄系磁性粉体、サマリウム−コバルト系磁性粉体、ネオジム系磁性粉体などの希土類磁性粉末などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの磁性粉体のなかでは、より少ない熱可塑性樹脂磁石の量で高磁力を発現させる観点から、希土類磁性粉末が好ましく、ネオジム系磁性粉体がより好ましい。好適なネオジム系磁性粉末の代表例としては、Nd−Fe−B系磁性粉末などが挙げられる。
なお、磁性粉末において、「〜系」とは、その成分を含有する磁性体を意味する。例えば、ネオジム系磁性粉末を例にとれば、ネオジムを含有し、その他の成分として鉄、ホウ素などを含有する磁性合金などが挙げられる。
希土類磁性粉体は、1種または2種以上の希土類元素および鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属元素で構成されていてもよい。希土類磁性粉末に含有される各成分の含有量は、その種類などによって異なるので一概には決定することができず、通常、本発明の目的が阻害されない範囲内で適宜調整されることが好ましい。
磁性粉末の平均粒子径は、良好な磁力を付与する観点および成形時に高流動性を付与し、作業性を高める観点から、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmである。
熱可塑性樹脂磁石における磁性粉末の含有率は、目的とする磁性によって異なるため一概には決定することができないが、磁性を十分に付与する観点から、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上であり、成形時における溶融した熱可塑性樹脂の流動性を高め、成形不良の発生を抑制する観点から、好ましくは97重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。
熱可塑性樹脂磁石の形状およびその大きさは、その用途などによって異なるので一概には決定することができないため、その用途などに応じて適宜決定すればよい。熱可塑性樹脂磁石の形状として、例えば、シート状、フイルム状、帯状、ブロック状などが挙げられる。熱可塑性樹脂磁石の大きさおよびその形状の一例としては、例えば、厚さが0.5〜3mm、幅が3〜200mm、長さが50〜450mmのシート状のものが挙げられる。
ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とは、一体化された構造を有することが必要であるが、両者を一体化させる方法としては、例えば、加熱溶融による一体化、有機溶媒による溶解一体化などが挙げられる。これらの一体化の方法のなかでは、加熱溶融による一体化が、両者の接着強度や製造環境の面から好ましい。
ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを加熱溶融によって一体化させる方法としては、両者の接触面を加熱溶融させ、その加熱溶融状態で両者の界面を張り合わせる方法、例えば、2色成形法などによって一体化させる方法などが挙げられる。このように両者の接触面を加熱溶融させ、その加熱溶融状態で両者を張り合わせた場合には、ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とがその界面で強固に接着しているため、従来のホルダー本体と焼結磁石を接着剤で接着したときよりも接着強度の向上が図られ、さらに接着剤を使用しないため、接着剤の経時劣化という問題も解決される。また、ホルダー本体および熱可塑性樹脂磁石に使用されている熱可塑性樹脂が同種類である場合には、ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とをより一層強固に接着させることができる。
かくして得られる本発明のマグネットホルダーは、冷蔵庫の側面、帯磁性ボードなどに磁性により吸着させて使用されるマグネットホルダーや、六角レンチなどの工具類を収納したホルダーなどを軟磁性体である鉄板などへ吸着させて使用されるマグネットホルダーなどに好適に使用することができる。
次に、本発明のマグネットホルダーを図面に基づいて説明する。図1は、本発明の六角レンチ用マグネットホルダーの一実施態様を示す概略断面図である。
図1において、六角レンチ用のホルダー本体10の背面には、熱可塑性樹脂磁石11が配設されている。熱可塑性樹脂磁石11は、ホルダー本体10の背面で段差のない平滑な面を形成している。図1において、熱可塑性樹脂磁石の厚さaは、例えば、1.5mm程度とすることができる。ホルダー本体10と熱可塑性樹脂磁石11とは、その界面12で加熱溶融によって一体化されている。
図2は、図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーの概略背面図である。熱可塑性樹脂磁石が配設される部分20において、幅bは40mm程度、高さcは46mm程度とすることができる。ホルダー本体10には、成形時に成形型内に熱可塑性樹脂磁石用の原料を充填するためのゲート21が配設されている。
図3は図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーの背面に配設された熱可塑性樹脂磁石の着磁パターンの概略説明図である。
図3において、熱可塑性樹脂磁石が配設されている部分20の表面積は、約15cm2に設定されている。右肩上がりの斜線部30、32はN極であり、左肩上がりの斜線部31、33はS極である。この着磁パターンを繰り返すことにより、熱可塑性樹脂磁石が配設されている面全体を多極着磁とすることができる。これにより、熱可塑性樹脂磁石の表面部に磁束の収束を図り、熱可塑性樹脂磁石が配設されている部分20の吸着力を高めることができる。
図4は、図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーの概略正面図であり、その収納孔41に六角レンチ40が装着されている。
このホルダー本体10には、六角レンチの標準的な規格である10.0mm、8.0mm、6.0mm、5.0mm、4.0mm、3.0mm、2.5mm、2.0mmおよび1.5mmの合計9本の六角レンチを収納することができる。図4において、ホルダー本体10の幅dは、約86mmであり、高さeは、約84mmである。
図5および図6は、それぞれ、図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーを製造するための成形装置の一実施態様を示す概略説明図である。
図5は、1次成形として、ホルダー本体用の溶融した熱可塑性樹脂53がAシリンダーのスクリュー52からランナー54を介してキャビティ55内に射出されたときの状態を示している。キャビティ55内では、六角レンチ用のホルダー本体が成形される。
図5において、固定側の金型50は、可動側の金型51と型閉めされている。コアバック部56は、可動側の金型51の内部に配設され、スライド機構を有する金型である。空隙部分57は、コアバック部56を矢印に示される方向にスライドさせることによって形成されている。空隙部分57は、図6で示される2次側成形原料である加熱溶融された熱可塑性樹脂磁石を形成する原料を射出する際に、熱可塑性樹脂磁石に対応する形状を有するキャビティを形成するためにコアバック部56を後退させるための空隙部分である。
次に、2次成形により、熱可塑性樹脂磁石がホルダー本体と一体化される。図5に示されるように1次成形が完了した時点で、Bシリンダー内には、すでに加熱溶融された熱可塑性樹脂磁石を形成する原料58が導入されている。次にコアバック部56が図6の矢印方向に後退することにより、熱可塑性樹脂磁石を形成するための空隙であるキャビティ61が形成される。引き続き、Bシリンダーのスクリュー59を矢印方向に前進させることにより、2次成形側のランナー60を介して、固定側の金型50と可動側の金型51との間で形成されたキャビティ61内に溶融した熱可塑性樹脂磁石原料が射出される。
溶融した熱可塑性樹脂磁石を形成する原料は、キャビティ61内で1次成形によって成形されたホルダー本体と接触することにより、その接触部分で再溶融するため、両者の界面が溶融一体化する。したがって、冷却後には、1次成形によって成形されたホルダー本体と2次成形によって成形された熱可塑性樹脂磁石とが強固に一体化されている。次に、冷却後、固定側の金型50と可動側の金型51とのパーティング面63で型開きをすることにより、成形されたマグネットホルダーを取り出すことができる。
次に本発明のマグネットホルダーを実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1(六角レンチ用マグネットホルダーの製造)
磁性粉体としてNd−Fe−B系磁性粉体〔(株)NEOMAX製、商品名:SPRAX−XB〕100重量部に対して、熱可塑性樹脂として12−ナイロン6重量部の割合で磁性粉体と12−ナイロンとが混合されたペレットを用意した。このペレットを熱可塑性樹脂磁石の原料として用いた。なお、Nd−Fe−B系磁性粉体の磁気特性は、フェライト磁性粉体と対比した場合には10倍以上の最大エネルギー積を持つため、マグネットホルダーの軽量小型化を図ることができる。
前記ペレットの磁気特性を振動型磁力計(VSM)で測定したところ、残留磁束密度Brは560mT、最大磁気エネルギー積(BH)maxは48kJ/m3、保持力bHcは340kA/mであった。
一方、ホルダー本体には、熱可塑性樹脂磁石に配合した熱可塑性樹脂と同様に、12−ナイロンを使用した。
六角レンチ用のマグネットホルダーは、2色成形法によって成形した。このとき、成形機として、2色成形機〔日精樹脂工業(株)製、品番:ES3000−18ET型〕を用い、射出用スクリューシリンダーには、1次側成形用スクリューシリンダー(以下、Aシリンダーという)と2次側成形用スクリューシリンダー(以下、Bシリンダーという)のVポジション配置型のツインシリンダー搭載型の2色成形機を用いた。また、成形用金型には、通称コアバック方式と呼ばれている2色成形用金型を使用した。
熱可塑性樹脂磁石の原料を射出するBシリンダーのバレルおよびスクリューには、磁性粉体による摩耗を回避するために、あらかじめ焼入れ処理を施しておいた。
図5に示される成形装置を用い、以下のようにして図1〜2に示されるマグネットホルダーを製造した。
Aシリンダーのスクリュー52によって1回に射出する12ナイロンの量を40mLとし、射出溶融時の温度を240℃に調整した。一方、Bシリンダーのスクリュー59によって射出する熱可塑性樹脂磁石の原料の量を2.5mLとし、射出溶融温度を240℃に調整した。
なお、ナイロン系の樹脂の場合には、溶融温度の変化に対して樹脂の粘度変化が著しく、金型温度が常温の場合には、充填に必要な樹脂の流動性が得られずに充填不良となるため、金型温度が50℃となるように調整した。
次に、図5に示されるAシリンダーのスクリュー52により、1次成形として、溶融した12−ナイロン53を、ランナー54を介してキャビティ55内に射出し、充填し、射出後の保圧固化時間を40秒間とした。
その後、スライドコアのコアバック部56を図6の矢印に示されるように後退させ、2次成形側であるBシリンダースクリュー59により、溶融部48で加熱溶融した熱可塑性樹脂磁石の原料を、ランナー60を介してキャビティ61内に射出充填し、射出後の保圧冷却固化時間を60秒間とした。
60秒間放冷した後、固定側の金型50と可動側の金型51とのパーティング面63で型開きを行ない、金型内でホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とが溶融一体化された六角レンチ用のマグネットホルダーを取り出した。この一連の操作1サイクルに要した時間は100秒間であった。取り出したマグネットホルダーを目視にて観察したが、磁性粉体の脱落が認められなかった。
前記で得られたマグネットホルダーのホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石との境界部を光学顕微鏡(KEYENCE社製、商品名:DIGITAL MICROSCOPE VHX−100F)を用いて450倍の倍率にて観察した。その結果を図7に示す。図7は、実施例1で得られたマグネットホルダーのホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石との境界部(図1に示される境界部12)が拡大された顕微鏡写真である。
図7において、70は、マグネットホルダーのホルダー本体であり、71は、熱可塑性樹脂磁石である。72は、使用したNd−Fe−B系磁性粉末である。
ホルダー本体70と熱可塑性樹脂磁石71との境界を観察すると、2次成形側である熱可塑性樹脂磁石71によって、1次成形側であるホルダー本体の12−ナイロンが溶融され、熱可塑性樹脂磁石71がホルダー本体70に食い込むようにして溶融一体化しており、両者の一体化がその界面で十分に行なわれていることがわかる。
次に、図2に示される熱可塑性樹脂磁石が配設される部分20に着磁を施した。なお、着磁パターンは、熱可塑性樹脂磁石の表面の磁束密度を高めるために多極着磁とした。熱可塑性樹脂磁石の着磁パターンは、図3に示されるように調整し、熱可塑性樹脂磁石のN極とS極との着磁間隔が3mmのものと5mmのものとの吸着力を測定した。その結果を表1に示す。
(1)磁束密度
表面磁束密度計測器〔カネテック(株)製、品番:TM−601〕を用い、(1)熱可塑性樹脂磁石の表面部分の磁束密度(表面磁束密度)、(2)熱可塑性樹脂磁石の表面から1mm離れた位置での磁束密度(隔測磁束密度)、および(3)レンチへの磁化影響のため、図4に示される熱可塑性樹脂磁石に最も近いレンチの収納孔の背面部における磁束密度(レンチ孔部の磁束密度)を測定した。
(2)荷重
マグネットホルダーを垂直に固定し、厚さ0.5mmの鉄板に吸着させた後、下向きに引っ張り荷重をかけ、マグネットホルダーのズレ発生した時点の荷重(保持荷重)、および磁石吸着面に対して垂直方向である正面方向に引っ張り荷重をかけ、鉄板から離脱するまでの荷重(離型荷重)を計測した。荷重の計測には、4kgバネ秤〔(株)三光精衡所製〕を用いた。
前記で得られたマグネットホルダーに9本の六角レンチを装填した場合の総重量は、440gであった。鉄板への垂直荷重に対する吸着力は、これ以上の荷重を確実に支えることが必要である。
ここで、表1に示された保持荷重の結果から、着磁間隔が3mmである場合と5mmである場合とを対比すると、六角レンチ9本を収納した場合のマグネットホルダーの総重量である440gの保持力は、いずれの着磁パターンでもまったく問題がなく、着磁間隔が5mmであるほうがやや保持力に優れていることがわかる。
また、六角レンチ用のマグネットホルダーの磁化による影響を調べるために、図4に示される六角レンチの収納孔21の内面の熱可塑性樹脂磁石に最も近い背面部における磁束密度を測定したところ、最大で1.7mTであり、マグネットホルダーへの磁化現象がまったく見られなかった。このことから、前記で得られたマグネットホルダーは、着磁の影響を受けがたいことがわかる。
以上説明したように、本発明のマグネットホルダーでは、従来のマグネットホルダーの製造時におけるアッセンブリ工程を省くことができ、生産における製造工数を大幅に低減することができることがわかる。また、本発明のマグネットホルダーを製造する際には、成形法として射出成形法を採用することができるため、熱可塑性樹脂磁石の配置の自由度が高められる。
したがって、本発明によれば、経時劣化のおそれのある接着剤を使用しなくてもホルダー本体と磁石との接合強度に優れ、ホルダー本体と磁石とを固定するための組立てや接着剤が不要であり、磁性粉体の脱落がなく、使用上十分な磁気吸着力を発現するマグネットホルダーが得られる。また、工具などが直接磁気による影響を受けて磁化されることもないため、種々のマグットホルダーに使用しうるものである。
本発明の六角レンチ用のマグネットホルダーの一実施態様を示す概略断面図である。 図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーの概略背面図である。 図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーの背面に配設された熱可塑性樹脂磁石の着磁パターンの概略説明図である。 図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーの概略正面図である。 図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーを製造するための成形装置の一実施態様を示す概略説明図である。 図1に示される六角レンチ用のマグネットホルダーを製造するための成形装置の一実施態様を示す概略説明図である。 本発明の実施例1で得られたマグネットホルダーのホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石との境界面における顕微鏡写真である。
符号の説明
10 六角レンチ用のホルダー本体
11 熱可塑性樹脂磁石

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂からなるホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを一体化させてなるマグネットホルダー。
  2. ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを加熱溶融により一体化させてなる請求項1記載のマグネットホルダー。
  3. 熱可塑性樹脂磁石が、熱可塑性樹脂および磁性粉体を含有するものである請求項1または2記載のマグネットホルダー。
  4. 磁性粉体が、フェライト系磁性粉体、サマリウム−鉄系磁性粉体、サマリウム−コバルト系磁性粉体、ニッケル−コバルト系磁性粉体およびネオジム系磁性粉体からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3いずれか記載のマグネットホルダー。
  5. 熱可塑性樹脂磁石における磁性粉体の含有量が、90〜97重量%である請求項1〜4いずれか記載のマグネットホルダー。
  6. ホルダー本体および熱可塑性樹脂磁石に使用されている熱可塑性樹脂が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネートまたはポリフェニレンサルファイドである請求項1〜5いずれか記載のマグネットホルダー。
  7. ホルダー本体および熱可塑性樹脂磁石に使用されている熱可塑性樹脂が同種類である請求項1〜6いずれか記載のマグネットホルダー。
  8. ホルダー本体と熱可塑性樹脂磁石とを加熱溶融により一体化させることを特徴とするマグネットホルダーの製造法。
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