図1は、本発明が適用されたシフト制御装置10の概略構成を説明する図である。このシフト制御装置10は、Pスイッチ20、シフトスイッチ26、車両電源スイッチ28、車両制御装置(以下、「V−ECU」と表す)30、ディテント位置センサ32、パーキング制御装置(以下、「P−ECU」と表す)40、アクチュエータ42、エンコーダ46、シフト制御機構48、表示部50、メータ52、および図示しない変速機を有する駆動機構60を備え、電気制御によりその変速機のシフト位置(シフトポジション、シフトレンジ)を切り替えるシフトバイワイヤシステムとして機能する。具体的には、シフト制御機構48がアクチュエータ42により駆動されてシフト位置の切り替えを行う。
車両電源スイッチ28は、車両電源のオンオフを切り替えるためのスイッチである。車両電源スイッチ28がドライバなどのユーザから受け付けた指示はV−ECU30に伝達される。例えば、車両電源スイッチ28がオン操作されることにより図示しないバッテリから電力が供給されて、シフト制御装置10が起動される。
Pスイッチ20は、シフト位置をパーキング位置(以下、「P位置」と言う)とパーキング以外の位置(以下、「非P位置」と言う)との間で切り替えるためのスイッチであり、スイッチの状態をドライバに示すためのインジケータ22、およびドライバからの指示を受け付ける入力部24を備えている。ドライバは、入力部24を通じて、シフト位置をP位置に入れる指示を入力する。入力部24はモーメンタリスイッチなどであってもよい。入力部24が受け付けたドライバからの指示は、V−ECU30やそのV−ECU30を通じてP−ECU40に伝達される。
P−ECU40は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、シフト位置をP位置と非P位置との間で切り替えるために、シフト制御機構48を駆動するアクチュエータ42の動作を制御し、現在のシフト位置の状態をインジケータ22に表示する。シフト位置が非P位置であるときにドライバが入力部24を押下すると、P−ECU40はシフト位置をP位置に切り替えて、インジケータ22に現在のシフト位置がP位置である旨を表示する。
ディテント位置センサ32は、固定接触子34と可動接触子36とを備えるオンオフタイプの位置検出センサであり、シフト位置が予め設定された所定のP位置範囲にあるときに、或いは予め設定された所定の非P位置範囲にあるときに固定接触子34と可動接触子36との接触によってオン信号を出力する。
アクチュエータ42は、スイッチトリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」と表す)により構成され、P−ECU40からの指示を受けてシフト制御機構48を駆動する。エンコーダ46は、アクチュエータ42と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知してその回転状況を表す信号をP−ECU40へ供給する。好適には、エンコーダ46は、A相、B相およびZ相の信号を出力するロータリエンコーダである。P−ECU40は、エンコーダ46から供給される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行う。
シフトスイッチ26は、シフト位置をドライブ位置(D)、リバース位置(R)、ニュートラル位置(N)、ブレーキ位置(B)などの位置に切り替えたり、またP位置に入れられているときには、P位置を解除したりするためのスイッチである。シフトスイッチ26が受け付けたドライバからの指示はV−ECU30に伝達される。V−ECU30は、ドライバからの指示に基づき、車両の駆動機構60における変速機のシフト位置を切り替える制御を行うとともに、現在のシフト位置の状態をメータ52に表示する。
V−ECU30は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、シフト制御装置10の動作を統括的に管理する。表示部50は、V−ECU30またはP−ECU40が発したドライバに対する指示や警告などを表示する。メータ52は、車両の機器の状態やシフト位置の状態などを表示する。
図2は、シフト制御機構48の構成とそのシフト制御機構48を駆動するアクチュエータ42等を説明する図である。以下、シフト位置は、P位置、非P位置を意味し、非P位置におけるR、N、D、Bの各位置を含まない。
シフト制御機構48は、アクチュエータ42により回転駆動されるシャフト102、シャフト102の回転に伴って回転するディテントプレート100、ディテントプレート100の回転に伴って動作するロッド104、図示しない変速機の出力軸に固定されたパーキングギヤ108、パーキングギヤ108をロックするためのパーキングロックポール106、ディテントプレート100の回転を制限してシフト位置を固定するディテントスプリング110、およびころ112を備えている。
ディテントプレート100は、シャフト102を介してアクチュエータ42の駆動軸に作動的に連結されており、ロッド104、ディテントスプリング110、ころ112などと共にアクチュエータ42により駆動されて変速機のシフト位置を切り替えるためのシフト位置決め部材として機能する。シャフト102、ディテントプレート100、ロッド104、ディテントスプリング110、およびころ112は、シフト切替機構の役割を果たす。またエンコーダ46は、アクチュエータ42の移動量すなわち回転量に応じた計数値(エンコーダカウント)を取得するためのパルス信号を出力する。また、ディテント位置センサ32は、シャフト102に備えられ、シフト位置が所定のP位置範囲にあるのか或いは所定の非P位置範囲にあるのかを検出することにより、ディテントプレート100の回転位置すなわちシフト位置に関する情報を検出する位置検出装置として機能する。
図2は、シフト位置が非P位置であるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール106がパーキングギヤ108をロックしていないので、車両の駆動軸の回転は妨げられない。この状態から、アクチュエータ42によりシャフト102を図2に示す矢印Cの方向に回転させると、ディテントプレート100を介してロッド104が図2に示す矢印Aの方向に押され、ロッド104の先端に設けられたテーパー部材114によりパーキングロックポール106が図2に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート100の回転に伴って、ディテントプレート100の頂部に設けられた2つの谷のうち一方、すなわち非P位置120(図3参照)にあったディテントスプリング110のころ112は、山122を乗り越えて他方の谷、すなわちP位置124(図3参照)へ移る。ころ112は、その軸方向に回転可能にディテントスプリング110に設けられている。ころ112がP位置124にくるまでディテントプレート100が回転したとき、パーキングロックポール106は、パーキングギヤ108と噛み合う位置まで押し上げられる。これにより、車両の駆動軸が機械的に固定され、シフト位置がP位置に切り替わる。
ディテント位置センサ32は、ころ112が非P位置120の所定範囲にあるとき、およびころ112がP位置124の所定範囲にあるときに、オン信号を出力するように設定されている。上記非P位置120の所定範囲は、パーキングロックポール106により確実にパーキングギヤ108がロックされていないことが予め実験的に求められた非P位置範囲であり、上記P位置124の所定範囲は、パーキングロックポール106により確実にパーキングギヤ108がロックされていることが予め実験的に求められたP位置範囲である。
シフト制御装置10では、シフト位置切替時にディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切替機構にかかる負荷を低減するために、P−ECU40が、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて落ちるときの衝撃を少なくするように、アクチュエータ42の回転量を制御する。
図3は、ディテントプレート100の構成を説明する図である。それぞれの谷において、山122から離れた側に位置する面を壁と言う。すなわち壁は、P−ECU40による以下に示す制御を行わない状態で、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて谷に落ちるときに、ころ112とぶつかる位置に存在する。P位置124における壁を「P壁」と呼び、非P位置120における壁を「非P壁」と呼ぶ。ころ112がP位置124から非P位置120に移動する場合、P−ECU40は、非P壁128がころ112に衝突しないようにアクチュエータ42を制御する。具体的には、P−ECU40は、非P壁128がころ112に衝突する手前の位置でアクチュエータ42の回転を停止する。この位置を「非P目標回転位置」と言う。また、ころ112が非P位置120からP位置124に移動する場合、P−ECU40は、P壁126がころ112に衝突しないようにアクチュエータ42を制御する。具体的には、P−ECU40は、P壁126がころ112に衝突する手前の位置でアクチュエータ42の回転を停止する。この位置を「P目標回転位置」と言う。P−ECU40によるアクチュエータ42の制御により、シフト位置切替時においてディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切替機構にかかる負荷を大幅に低減することができる。負荷を低減することにより、シフト切替機構の軽量化、低コスト化を図ることもできる。
図4は、アクチュエータ42の回転量すなわちエンコーダカウントとシフト位置との対応関係を説明する図である。アクチュエータ42はディテントプレート100を回転駆動し、そのアクチュエータ42の回転量はP壁126および非P壁128により規制される。図4に、アクチュエータ42の回転制御を行う上でのP壁126の位置および非P壁128の位置を概念的に示した。このP壁位置から非P壁位置までをアクチュエータ42の可動回転量と言う。
また、図4に示したP判定位置および非P判定位置は、いずれもディテント位置センサ32の出力信号(すなわちディテント位置信号)がオン信号とオフ信号とで切り換わる所定位置であって、シフト位置の切替えが検出されるディテントプレート100の所定位置である。すなわち、P判定位置からP壁位置までが、ディテント位置信号がオンとなるP位置範囲であり、非P判定位置から非P壁位置までが、ディテント位置信号がオンとなる非P位置範囲である。エンコーダ46で検出したアクチュエータ42の回転量がP位置範囲にあるときには、シフト位置がP位置であることが判定される一方で、アクチュエータ42の回転量が非P位置範囲にあるときには、シフト位置が非P位置であることが判定される。なお、アクチュエータ42の回転量がP判定位置から非P判定位置の間にあるときには、シフト位置が不定、またはシフト位置が切替中であることが判定される。以上の判定は、P−ECU40により実行される。
また、図4に示すように、P位置範囲内にP目標回転位置が設定され、非P位置範囲内に非P目標回転位置が設定される。P目標回転位置は、非P位置からP位置への切替時に、P壁126がディテントスプリング110のころ112に衝突しない位置であり、P壁位置から所定のマージンをもって定められる。マージンは、経時変化などによるガタを考慮して余裕をもって設定される。これにより、ある程度の使用回数であれば、経時変化を吸収することができ、シフト位置切替時におけるP壁126ところ112との衝突を回避できる。同様に、非P目標回転位置は、P位置から非P位置への切替時に、非P壁128がディテントスプリング110のころ112に衝突しない位置であり、非P壁位置から所定のマージンをもって定められる。マージンは、経時変化などによるガタを考慮して余裕をもって設定され、ある程度の使用回数であれば、経時変化を吸収することができ、シフト位置切替時における非P壁128ところ112との衝突を回避することができる。なお、非P壁位置からのマージンとP壁位置からのマージンとは同一である必要はなく、ディテントプレート100の形状などに依存して異なってもよい。
以上、アクチュエータ42の回転量とシフト位置との対応関係を説明した。エンコーダ46は相対位置センサであるためアクチュエータ42の絶対位置を把握する必要がある。以下に、相対的な位置情報を検出するエンコーダ46を用いて、アクチュエータ42の位置制御を行う方法を具体的に説明する。
図5は、シフト制御装置10による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5において、電源投入判定手段150は、車両電源スイッチ28がオン操作されたか否か、すなわちイグニッション信号(IG信号)がオンになったか否かを判定する。
シフト切替判定手段152は、Pスイッチ20やシフトスイッチ26からの操作信号に基づいてユーザによるシフト切替要求があったか否かを判定する。
シフト位置判定手段154は、ディテント位置センサ32から出力されるディテント位置信号に基づいて現在のシフト位置を判定する。例えば、イグニッション信号(IG信号)がオンになるときは通常(すなわち異常状態でないとき)はシフト位置はP位置であるので、シフト位置判定手段154は、前記電源投入判定手段150によるIG信号のオン判定直後にディテント位置信号のオン信号であれば、現在のシフト位置がP位置であると判定する。その後は、エンコーダカウントとディテント位置信号とに基づいて現在のシフト位置を判定する。また、シフト位置判定手段154は、車速に基づいて現在のシフト位置を定めてもよい。シフト位置判定手段154は、例えば車速が3km/h以下の低速にある場合には現在のシフト位置をP位置と定め、また3km/hよりも速い中高速にある場合には現在のシフト位置を非P位置と定める。殆どの場合は、車両電源スイッチ28のオン時、車速が低速であることが判定され、現在のシフト位置がP位置と定められる。なお、車速が中高速にある場合とは、例えば車両の走行中に電源が瞬断されて、現在のシフト位置のデータを消失したような状況に相当する。
計数手段156は、エンコーダ46により出力されたパルス信号に基づいてアクチュエータ42の回転量に応じたエンコーダカウントを取得する。また、計数手段156は、前記電源投入判定手段150によるIG信号のオン判定時には、エンコーダカウントを零に設定する。その後、エンコーダ46からの信号出力に基づいて順次エンコーダカウントを更新する。なお、本実施例では、P壁位置方向への回転(図2の矢印C方向への回転)によるエンコーダカウントを負として設定する。
アクチュエータ制御手段158は、前記計数手段156により取得されるエンコーダカウントを予め設定された目標エンコーダカウント(目標カウント値)に一致させるようにアクチュエータ42を制御する。この目標カウント値は、例えばアクチュエータ42をP目標回転位置や非P目標回転位置に停止させるための予め実験的に求めて設定された目標値である。
壁位置検出制御手段160は、壁位置を検出する。つまり、壁位置検出制御手段160は、アクチュエータ42のP壁位置、すなわち基準位置を設定する位置設定手段として機能する。
図6は、P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。壁位置検出制御手段160は、P壁位置検出制御では、まず、前記アクチュエータ制御手段158によりアクチュエータ42を駆動させてディテントプレート100を図2に示す矢印Cの方向、すなわちP壁126がディテントスプリング110のころ112に向かう方向に回転させ、ころ112とP壁126とを接触させる。P壁126は、P位置124において、アクチュエータ42の図2に示す矢印Cの方向の回転を規制する規制部材として機能する。なおP壁126は、ディテントスプリング110およびころ112と協同して規制部材を構成してもよい。図6において、矢印F1は、アクチュエータ42による回転力、矢印F2は、ディテントスプリング110によるバネ力、矢印F3は、ロッド104による押し戻し力を示す。点線で示すディテントプレート100’は、P壁126ところ112とが接触した位置を示す。したがって、ディテントプレート100’の位置を検出することが、P壁126の位置を検出することに相当する。
ディテントプレート100は、P壁126ところ112との接触後も、点線で示す位置から、アクチュエータ42の回転力F1により図2に示す矢印Cの方向に、ディテントスプリング110のバネ力に抗して回転される。これによりディテントスプリング110に撓みが生じて、バネ力F2が増加し、またロッド104による押し戻し力F3も増加する。回転力F1が、バネ力F2および押し戻し力F3と釣り合ったところで、ディテントプレート100の回転が停止する。
壁位置検出制御手段160は、前記計数手段156により設定されるエンコーダカウントに基づいてディテントプレート100の回転停止を判定する。壁位置検出制御手段160は、エンコーダカウントの最小値または最大値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止を判定する。エンコーダカウントの最小値または最大値のいずれを監視するかは、エンコーダ46に応じて設定されればよく、いずれにしても最小値または最大値が所定時間変化しないことは、ディテントプレート100が動かなくなった状態を示す。
壁位置検出制御手段160は、回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定的なP壁位置(以下、「暫定P壁位置」と言う)として検出し、また、ディテントスプリング110の撓み量または撓み角を算出する。撓み量または撓み角の算出は、P−ECU40に予め保持されているアクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップを用いて行われる。壁位置検出制御手段160は、そのマップから暫定P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量ないし撓み角を算出する。なお、アクチュエータ42の印加電圧の代わりに、バッテリ電圧を用いたマップであってもよい。バッテリ電圧はP−ECU40により監視されており、容易に検出することができる。なお、この場合は、バッテリからアクチュエータ42までのワイヤーハーネスなどによる電圧降下分を考慮して、マップが作成されることになる。
壁位置検出制御手段160は、このマップを用いて算出した撓み量または撓み角から暫定P壁位置をマップ補正し、マップ補正した位置をP壁位置として確定する。このとき、前記計数手段156は、壁位置検出制御手段160により確定されたP壁位置において、エンコーダカウントをCNTPに設定する。そして、壁位置検出制御手段160は、エンコーダカウントを零にするように、前記アクチュエータ制御手段158によりアクチュエータ42を駆動させてディテントプレート100を図2に示す矢印Dの方向、すなわちP壁126がディテントスプリング110のころ112から離反する方向に回転させ、シフト位置を所定のP位置とする。この所定のP位置は、P位置範囲において予め設定された所定のシフト位置であって、確定されたP壁位置とのエンコーダカウント差がCNTPとなるように設定されている。また、この所定のP位置をP目標回転位置としても良い。このように、P壁位置を確定することによりP目標回転位置を設定することができる。なお、印加電圧に対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップの代わりに、アクチュエータ42の出力トルクに対応する撓み量または撓み角の関係を示すマップであってもよいし、マップを用いて算出する代わりに、撓み量または撓み角を検出するセンサを設け、それにより検出するようにしてもよい。
図7は、非P壁位置を検出する制御方法を説明するための図である。壁位置検出制御手段160は、非P壁位置検出制御では、まず、前記アクチュエータ制御手段158によりアクチュエータ42を駆動させてディテントプレート100を図2に示す矢印Dの方向、すなわち非P壁128がディテントスプリング110のころ112に向かう方向に回転させ、ころ112と非P壁128とを接触させる。非P壁128は、非P位置120において、アクチュエータ42の図2に示す矢印Dの方向の回転を規制する規制部材として機能する。なお非P壁128は、ディテントスプリング110およびころ112と協同して規制部材を構成してもよい。図7において、矢印F1は、アクチュエータ42による回転力、矢印F2は、ディテントスプリング110によるバネ力、矢印F3は、ロッド104による引っ張り力を示す。点線で示すディテントプレート100’’は、非P壁128ところ112とが接触した位置を示す。したがって、ディテントプレート100’’の位置を検出することが、非P壁128の位置を検出することに相当する。
ディテントプレート100は、非P壁128ところ112との接触後も、点線で示す位置から、アクチュエータ42の回転力F1により図2に示す矢印Dの方向に、ディテントスプリング110の引っ張り力に抗して回転される。これによりディテントスプリング110に伸びが生じて、バネ力F2が増加し、またロッド104による引っ張り力F3も増加する。回転力F1が、バネ力F2および引っ張り力F3と釣り合ったところで、ディテントプレート100の回転が停止する。
壁位置検出制御手段160は、前記計数手段156により設定されるエンコーダカウントに基づいてディテントプレート100の回転停止を判定する。壁位置検出制御手段160は、エンコーダカウントの最小値または最大値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止を判定する。
壁位置検出制御手段160は、回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定的な非P壁位置(以下、「暫定非P壁位置」と言う)として検出し、また、ディテントスプリング110の伸び量を算出する。伸び量の算出は、P−ECU40に予め保持されているアクチュエータ42への印加電圧に対応する伸び量の関係を示すマップを用いて行われる。壁位置検出制御手段160は、そのマップから暫定非P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する伸び量を算出する。
壁位置検出制御手段160は、このマップを用いて、算出した伸び量から暫定非P壁位置をマップ補正し、マップ補正した位置を非P壁位置として確定する。このとき、前記計数手段156は、壁位置検出制御手段160により確定された非P壁位置において、エンコーダカウントをCNTCPに設定する。そして、壁位置検出制御手段160は、エンコーダカウントを所定計数値だけ減少させたエンコーダカウントCPとするように、前記アクチュエータ制御手段158によりアクチュエータ42を駆動させてディテントプレート100を図2に示す矢印Cの方向、すなわち非P壁128がディテントスプリング110のころ112から離反する方向に回転させ、シフト位置を所定の非P位置とする。この所定の非P位置は、非P位置範囲において予め設定された所定のシフト位置であって、確定された非P壁位置とのエンコーダカウント差が所定計数値となるように設定されている。また、この所定の非P位置を非P目標回転位置としても良い。このように、非P壁位置を確定することにより非P目標回転位置を設定することができる。なお、印加電圧に対応する伸び量の関係を示すマップの代わりに、アクチュエータ42の出力トルクに対応する伸び量の関係を示すマップであってもよいし、マップを用いて算出する代わりに、伸び量を検出するセンサを設け、それにより検出するようにしてもよい。
図8は、アクチュエータ42に印加する通電指令パルスの波形を説明する図である。シフト位置の通常切替制御時は、通電指令パルスとしてハイ期間の長い信号をアクチュエータ42に印加する。一方、壁位置検出制御手段160による壁位置検出制御時には、通電指令パルスとして、アクチュエータ42の単位時間あたりの出力を、シフト位置の通常切替制御時におけるアクチュエータ42の単位時間あたりの出力よりも小さくする信号をアクチュエータ42に印加する。具体的には、アクチュエータ42に印加する通電指令パルスのオン幅を小さくする。壁位置検出制御時のアクチュエータ42の回転速度を遅くすることにより、壁ところ112との衝撃を低減できる。
以上のように、壁位置検出制御手段160は、現在のシフト位置における壁位置を検出する。実可動回転量は2つの壁位置の間の範囲であって、一方のシフト位置における壁位置検出制御を行って壁位置を検出した後、他方のシフト位置における壁位置検出制御を行って他方の壁位置を検出することで測定することができる。P−ECU40は、測定した実可動回転量を記憶する。また、壁位置を検出することでアクチュエータ42の絶対位置が把握できるので、目標回転位置を設定することができる。
しかしながら、電源投入時には毎度、壁位置検出制御手段160による壁位置検出制御を行う必要があり、その壁位置検出制御が完了するまではシフト位置を切り替えるためのアクチュエータ42の制御が行えないことから、電源投入直後においてはシフト位置の切替え完了までにタイムラグが発生する可能性がある。また、電源投入時には毎度、P壁126や非P壁128に向けてアクチュエータ42を回転させることから、ディテントプレート100等の部品の耐久性が低下する可能性がある。
そこで、計数値補正手段162は、ディテントプレートがP判定位置或いは非P判定位置へ変化してディテント位置信号がオンからオフへ変化したことが検出されたことに基づいて、すなわち前記シフト位置判定手段154によりP判定位置或いは非P判定位置が判定されたことに基づいて、前記計数手段156により設定されているエンコーダカウントを補正する。このエンコーダカウントの補正について以下に具体的に説明する。
補正量学習制御手段164は、前記計数値補正手段162によるエンコーダカウントの補正時の補正量を算出する。例えば、補正量学習制御手段164は、前記壁位置検出制御手段160による壁位置検出制御の実施後に始めて前記シフト位置判定手段154によりP判定位置が判定されたときに、エンコーダカウントが零とされた所定のP位置におけるエンコーダカウント(すなわち零)とP判定位置が判定された際に前記計数手段156により設定されているエンコーダカウントとの差をP位置における補正量ΔCNTPとして設定し記憶する。
また、補正量学習制御手段164は、前記壁位置検出制御手段160による壁位置検出制御の実施後に始めて前記シフト位置判定手段154により非P判定位置が判定されたときに、エンコーダカウントがCPとされた所定の非P位置におけるエンコーダカウントと非P判定位置が判定された際に前記計数手段156により設定されているエンコーダカウントとの差を非P位置における補正量ΔCNTCPとして設定し記憶する。
補正量学習制御手段164により上記補正量が記憶されている場合には、この補正量学習制御手段164による補正量学習制御は実行されない。従って、この場合には、前記壁位置検出制御手段160による壁位置検出制御も実行されない。すなわち、上記補正量が記憶されている限りは、電源投入時に壁位置検出制御手段160による壁位置検出制御を行う必要はない。
補正量学習実施判定手段166は、前記補正量学習制御手段164による補正量学習制御が実行されたか否かを、例えば前記補正量ΔCNTPおよび補正量ΔCNTCPが記憶されているか否かに基づいて判定する。
計数値補正手段162は、P位置において前記シフト位置判定手段154によりP判定位置が判定されたときに、前記計数手段156により設定されているエンコーダカウントを補正量学習制御手段164により設定された補正量ΔCNTPに変更する。また、計数値補正手段162は、非P位置において前記シフト位置判定手段154により非P判定位置が判定されたときに、前記計数手段156により設定されているエンコーダカウントを補正量学習制御手段164により設定された補正量ΔCNTCPに変更する。
ここで、シフト位置判定手段154によりP判定位置或いは非P判定位置が判定されたときから計数値補正手段162によりエンコーダカウントが実際に補正されるまでにはタイムラグΔTが生じる。そうすると、アクチュエータ42の動作速度すなわちエンコーダカウントの変化速度(以下、エンコーダカウント速度と言う)が異なるとタイムラグΔT期間に変化するアクチュエータ42の回転量が異なることから、実際のアクチュエータ42の回転量と補正量学習制御手段164により設定された補正量に基づく補正後のエンコーダカウントとの対応関係にずれが生じてしまう。
そこで、前記計数値補正手段162は、アクチュエータ42の動作速度に基づいてエンコーダカウントを補正するときの補正内容を変更する補正内容変更手段168を備える。
補正内容変更手段168は、アクチュエータ42の動作速度が速い程その回転量が大きくなることによってその回転量と補正後のエンコーダカウントとの対応関係のずれが大きくなることが抑制されるように、アクチュエータ42の動作速度が速い程エンコーダカウントの補正時における補正量を大きくするように補正内容を変更する。
例えば、図9は、エンコーダカウント速度と補正量のオフセットαとの予め実験的に設定された関係(補正量オフセットマップ)である。補正内容変更手段168は、この補正量オフセットマップからカウント速度算出手段170により算出されたエンコーダカウント速度に基づいて補正量オフセットαを算出する。そして、P位置においては補正量ΔCNTPにその補正量オフセットαを加えて新たな補正量(ΔCNTP+α)を設定し、非P位置においては補正量ΔCNTCPにその補正量オフセットαを減算して新たな補正量(ΔCNTCP−α)を設定する。
補正内容変更手段168は、アクチュエータ42の動作速度が速い程その回転量が大きくなることによってその回転量と補正後のエンコーダカウントとの対応関係のずれが大きくなることが抑制されるように、アクチュエータ42の動作速度が速い程エンコーダカウントの補正時期を速くするように補正内容を変更する。
例えば、図10は、エンコーダカウント速度と補正時期オフセット量βとの予め実験的に設定された関係(補正時期オフセット量マップ)である。補正内容変更手段168は、この補正時期オフセット量マップからカウント速度算出手段170により算出されたエンコーダカウント速度に基づいて補正時期オフセット量βを算出する。そして、前記計数値補正手段162は、補正時期オフセット量βだけ補正開始時期が遅れるようにエンコーダカウントの補正を実行する。結果として、タイムラグΔTはΔT+βとなる。
エンコーダ補正実施判定手段172は、前記計数値補正手段162によるエンコーダカウントの補正が実行済みであるか否かを判定する。
図11は、シフト制御装置10の制御作動の要部すなわち補正量学習制御のために実行される壁位置検出制御を説明するフローチャートである。また、図12は図11のフローチャートに示す制御作動の一例であって、所定のP位置からΔDX離れたP位置範囲にあるときにIG信号がオンとなったときのP壁位置検出制御作動を説明するタイムチャートである。
先ず、前記電源投入判定手段150に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、車両電源スイッチ28がオン操作されたか否か、すなわちイグニッション信号(IG信号)がオンになったか否かが判定される。
図12のt1時点は、IG信号がオンとされたことを示している。このとき、エンコーダカウントは零に設定される。また、t1時点乃至t2時点にて、アクチュエータ42の励磁層位置合わせ等のイニシャル処理が実行される。
前記SA1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は前記補正量学習実施判定手段166に対応するSA2において、補正量学習制御が実行されたか否かが、例えば補正量ΔCNTPおよび補正量ΔCNTCPが記憶されているか否かに基づいて判定される。
前記SA2の判断が肯定される場合は本ルーチンが終了させられるが否定される場合は前記シフト位置判定手段154に対応するSA3において、ディテント位置信号に基づいて現在のP位置であるか否かが判定される。
前記SA3の判断が肯定される場合は前記壁位置検出制御手段160に対応するSA4において、P壁位置が検出される。P壁位置検出制御では、まず、アクチュエータ42を駆動させてころ112とP壁126とが接触させられる。エンコーダカウントの最小値が所定時間変化しない場合に、ディテントプレート100およびアクチュエータ42の回転停止が判定される。この回転停止時のディテントプレート100の位置を暫定P壁位置として検出し、ディテントスプリング110の撓み量または撓み角が算出される。撓み量または撓み角の関係を示すマップから暫定P壁位置検出時のアクチュエータ42への印加電圧に対応する撓み量ないし撓み角が算出され、この撓み量または撓み角から暫定P壁位置がマップ補正され、マップ補正した位置がP壁位置として確定される。このとき、確定されたP壁位置において、エンコーダカウントがCNTPに設定される。そして、エンコーダカウントを零にするように、アクチュエータ42を駆動させてディテントプレート100がP壁126をディテントスプリング110のころ112から離反する方向に回転させられ、シフト位置が所定のP位置とされる。
図示はしてないが、SA4における壁位置検出制御の実施後に始めてディテント位置信号がオンからオフに変化してP判定位置が判定されたときに、エンコーダカウントが零とされた所定のP位置におけるエンコーダカウントとP判定位置が判定された際のエンコーダカウントとの差がP位置における補正量ΔCNTPとして設定し記憶される。
図12のt2時点は、ディテントプレート100がP壁126側へ回転駆動開始させられたことを示している。t3時点は、ころ112とP壁126とが接触させられたことを示している。t4時点は、エンコーダカウントが所定時間変化しないことからP壁位置と判定されマップ補正されてP壁位置として確定されたことを示している。このt4時点では、エンコーダカウントがCNTPに設定される。t5時点は、エンコーダカウントを零にするように、シフト位置が所定のP位置とされたことを示している。また、t2時点乃至t5時点では、シフト位置を切り替えるためのアクチュエータ42の制御が行えない。
前記SA3の判断が否定される場合はSA5において、異常処置が実施される。通常IGオン時にP位置以外ではありえないため、異常処置が実施される。なお、異常処置の中で、ユーザにPスイッチ20の操作を促し切り替わった後にSA4にて実行されるP壁位置検出が実施されても良い。
図13は、シフト制御装置10の制御作動の要部すなわちアクチュエータ42の動作速度に基づいてエンコーダカウントを補正するときの補正内容を変更するために実行される制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、前記カウント速度算出手段170に対応するSB1において、エンコーダカウントに基づいて実際のエンコーダカウント速度が算出される。
続いて、前記補正内容変更手段168に対応するSB2において、例えば図9に示すような補正量オフセットマップからSB1にて算出されたエンコーダカウント速度に基づいて補正量オフセットαが算出される。
続いて、同じく前記補正内容変更手段168に対応するSB3において、P位置においては補正量ΔCNTPにその補正量オフセットαを加えられて新たな補正量(ΔCNTP+α)が設定され、非P位置においては補正量ΔCNTCPにその補正量オフセットαが減算されて新たな補正量(ΔCNTCP−α)が設定される。
図14は、シフト制御装置10の制御作動の要部すなわちアクチュエータ42の動作速度に基づいてエンコーダカウントを補正するときの補正内容を変更するために実行される制御作動を説明するフローチャートであり、図13に相当するの別の実施例である。
先ず、前記カウント速度算出手段170に対応するSC1において、エンコーダカウントに基づいて実際のエンコーダカウント速度が算出される。
続いて、前記補正内容変更手段168に対応するSC2において、例えば図10に示すような補正時期オフセット量マップからSC1にて算出されたエンコーダカウント速度に基づいて補正時期オフセット量βが算出される。
続いて、同じく前記補正内容変更手段168に対応するSC3において、補正時期オフセット量βだけ遅らすように補正開始時期が設定される。
図15は、シフト制御装置10の制御作動の要部すなわちエンコーダカウントの補正を実行するための制御作動を説明するフローチャートである。また、図16は図15のフローチャートに示す制御作動の一例であって、IG信号がオンとなったとき後にP位置からR位置へのシフト操作が行われた場合の制御作動を説明するタイムチャートである。
先ず、前記補正量学習実施判定手段166に対応するSD1において、補正量学習制御が実行されたか否かが、例えば補正量ΔCNTPおよび補正量ΔCNTCPが記憶されているか否かに基づいて判定される。
前記SD1の判断が否定される場合はSD7において前記図11のフローチャートが実行されるが、肯定される場合は前記シフト切替判定手段152に対応するSD2において、Pスイッチ20やシフトスイッチ26からの操作信号に基づいてユーザによるシフト切替要求があったか否かが判定される。
前記SD2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は前記エンコーダ補正実施判定手段172に対応するSD3において、エンコーダカウントの補正が実行済みであるか否かが判定される。
前記SD3の判断が肯定される場合はSD8において図示しない通常のシフト切替ルーチンへ移行されるが、否定される場合は前記アクチュエータ制御手段158に対応するSD4において、要求シフト方向にアクチュエータ42が駆動される。つまり、エンコーダカウントを予め設定された目標エンコーダカウント(目標カウント値)に一致させるようにアクチュエータ42が制御される。
続いて、前記シフト位置判定手段154に対応するSD5において、ディテント位置センサ32から出力されるディテント位置信号がオンからオフへ変化したか否かが判定される。
前記SD5の判断が否定される場合はSD9において前記図13や図14のフローチャートが実行されるが、肯定される場合は前記計数値補正手段162および前記アクチュエータ制御手段158に対応するSD6において、P位置においてはエンコーダカウントが補正量(ΔCNTP+α)に変更され、非P位置においてはエンコーダカウントが補正量(ΔCNTCP−α)に変更される。また、補正時期オフセット量βだけ補正開始時期が遅れるようにエンコーダカウントの補正が実行される。そして、P目標回転位置或いは非P目標回転位置まで動作したか否か、すなわち目標エンコーダカウント(目標カウント値)まで動作したか否かが判定される。
前記SD6の判断が否定される場合は前記SD4に戻る。
図16のt1時点は、IG信号がオンとされたことを示している。このとき、エンコーダカウントは零に設定される。また、t1時点乃至t2時点にて、アクチュエータ42の励磁層位置合わせ等のイニシャル処理が実行される。t3時点は、シフトスイッチ26の操作によってシフト操作信号が出力されユーザによるシフト切替要求があったことを示している。そして、ディテントプレート100が非P壁128側へ回転駆動開始させられたことを示している。t4時点は、P位置においてディテント位置信号がオンからオフへ変化したことを示している。このt4時点では、エンコーダカウントの補正指令が出力される。t5時点は、t4時点でのエンコーダカウントの補正指令によりエンコーダカウントが補正量(ΔCNTP+α)に変更されるように実際に補正された時点を示している。このt4時点乃至t5時点がタイムラグΔTであり、さらにこのタイムラグΔTはエンコーダカウント速度に基づいて補正時期オフセット量βだけ補正開始時期が遅れるように補正されているため、結果としてタイムラグΔTはΔT+βとなっている。t6時点は、非P目標回転位置となる目標エンコーダカウント(目標カウント値)まで動作してシフト切替が完了したことを示している。t7時点は、エンコーダカウントの補正を実施しない場合のシフト切替完了時点を示している。この場合には、非P位置範囲を示すディテント位置信号(R)がオフになっていることからもわかるように所定のシフト位置に切り替えられない可能性があることを示している。
このように、IG信号のオン時点ではディテント位置が所定のP位置からΔDXずれていてもエンコーダ46は相対位置センサであるためにエンコーダカウントは零とされるが、t4時点(実際にはt5時点)にてエンコーダカウントが補正値に変更されるため、ディテント位置とエンコーダカウントとの対応関係のずれが抑制される。また、ディテント位置センサ32に絶対位置が検出できるリニアセンサを用いる必要がないので、安価な電気シフト切替システムの構築が可能となる。
上述のように、本実施例によれば、ディテントプレート100が所定位置へ変化したことがシフト位置判定手段154により判定されたことに基づいて、エンコーダカウントが計数値補正手段162により補正されるので、アクチュエータ42の絶対位置を把握できるため、すなわちディテントプレート100の位置を検出できるため、電源投入毎にアクチュエータ42をP壁126(或いは非P壁128)に向けて移動させて基準位置検出を行う必要が無く、電源投入直後におけるシフト位置の切替え完了までのタイムラグの発生やディテントプレート100等の部品の耐久性の低下が抑制される。
また、本実施例によれば、予め設定された所定のシフト位置におけるエンコーダカウントとディテントプレート100が所定位置へ変化したことが検出された際のエンコーダカウントとの差に基づいて、計数値補正手段162によりエンコーダカウントが補正されるので、所定のシフト位置におけるエンコーダカウントとディテントプレート100が所定位置へ変化したときのエンコーダカウントとの差が一旦求められさえすればそれ以降はシフト位置判定手段154によりディテントプレート100が所定位置へ変化したことに基づいてエンコーダカウントが補正される。
また、本実施例によれば、エンコーダカウントが補正されるときの補正内容がアクチュエータ42の動作速度に基づいて補正内容変更手段168により変更されるので、シフト位置判定手段154によりP判定位置或いは非P判定位置が判定されたときから計数値補正手段162によりエンコーダカウントが実際に補正されるまでのタイムラグΔTにおけるアクチュエータ42の回転量がアクチュエータ42の動作速度に応じて異なることによってその回転量と補正後のエンコーダカウントとの対応関係にずれが生じてしまうことが抑制される。この結果、アクチュエータ42の動作速度が異なってもディテントプレート100を所定のシフト位置に切り替えることができる。
また、本実施例によれば、アクチュエータ42の動作速度が速い程エンコーダカウントの補正時における補正量を大きくするように補正内容変更手段168により補正内容が変更されるので、アクチュエータ42の動作速度が速い程その回転量が大きくなることによってその回転量と補正後のエンコーダカウントとの対応関係のずれが大きくなることが抑制される。
また、本実施例によれば、アクチュエータ42の動作速度が速い程エンコーダカウントの補正時期を速くするように補正内容変更手段168により補正内容が変更されるので、アクチュエータ42の動作速度が速い程その回転量が大きくなることによってその回転量と補正後のエンコーダカウントとの対応関係のずれが大きくなることが抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、補正量学習制御手段164は、所定のP位置におけるエンコーダカウントとP判定位置が判定された際のエンコーダカウントとの差をP位置における補正量ΔCNTPとして設定したが、P壁位置におけるエンコーダカウント(CNTP)とP判定位置が判定された際のエンコーダカウントとの差をP位置における補正量ΔCNTPとして設定しても良い。
また、前述の実施例では、補正量学習制御手段164は、所定の非P位置におけるエンコーダカウントと非P判定位置が判定された際のエンコーダカウントとの差を非P位置における補正量ΔCNTCPとして設定したが、非P壁位置におけるエンコーダカウント(CNTCP)と非P判定位置が判定された際のエンコーダカウントとの差を非P位置における補正量ΔCNTCPとして設定しても良い。
また、前述の実施例では、補正内容変更手段168は、エンコーダカウント速度に基づいてオフセットαを加減したり補正時期オフセット量βを加えたりしてエンコーダカウントを補正するときの補正内容を変更したが、両方のオフセットにより補正内容を変更する必要はなくいずれかのオフセットにより補正内容を変更するだけでも良い。また、補正内容を必ずしも変更する必要はない。
また、前述の実施例において、P位置および非P位置の双方の壁位置の検出は、P−ECU40が実可動回転量を記憶していない場合に行えばよい。例えば、車両の工場出荷時や、P−ECU40におけるデータが消失したような場合に、両壁位置の検出が行われる。また、実可動回転量を記憶している場合であっても、所定の切替回数やトリップ数ごとに、両壁位置の検出制御を行ってもよい。例えば、シフト位置の切替が数万回行われた場合には、磨耗によるガタ量が増加するため、実可動回転量にも誤差が生じてくる。そのため、実可動回転量を改めて測定することにより、経時変化に対応した壁位置検出を行うことが可能となる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。