JP2007247589A - 触媒診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンEの排気通路に設けられ、排気中の有害成分を吸蔵又は放出する吸蔵材と該有害成分を浄化する金属触媒とを担持してなる排気浄化触媒1の劣化状態を診断する触媒診断装置4であって、排気浄化触媒1から飛散した該吸蔵材の飛散量を検出する飛散量検出手段2と、飛散量検出手段2で検出された該飛散量に基づいて該劣化状態を診断する診断手段3とを備える。
【選択図】図1
Description
このようなNOxパージ制御に関して、特許文献1には、エンジンのリーン燃焼中においてトラップ剤へのNOx吸蔵量を推定するとともに、排気空燃比をリーンからリッチへ反転させるのに要する時間(遅れ時間)を計測し、これらのNOx吸蔵量及び遅れ時間に基づいて触媒の能力低下を診断する構成が記載されている。この場合、遅れ時間はトラップ剤における実際のNOx吸蔵量に相関しているため、NOx吸蔵量が増加するに連れて排気空燃比の反転時間が短くなることになる。このような特性を利用して、トラップ剤の吸蔵能力を診断し、NOxパージ制御に応用している。
このような課題に対して、特許文献2には、NOx吸蔵材に蓄積された硫黄被毒量を推定する硫黄被毒量推定手段を備えた構成が開示されている。これにより、ある程度の硫黄成分がNOx吸蔵材に蓄積されたと推定された場合に、昇温処理にて触媒全体を高温化し硫黄成分を放出する回復制御(所謂Sパージ制御)を実施するようになっている。
なお、該吸蔵材は、該エンジンの運転状態に応じて排気中の有害成分を吸蔵又は放出するものである。例えば、エンジンのリーン運転時にNOxを吸蔵し、エンジンのストイキ運転時又はリッチ運転時にNOxを放出する。このような該吸蔵材の機能変化は、主に、排気中の酸素濃度の変動に由来する。
或いは、該診断手段が、リーン状態からリッチ状態への該エンジンの運転域切換時における該検出値の経時変動パターン(例えば、立ち上がり時間や、立ち上がり勾配等)から推定される該吸蔵材の該飛散量に基づいて、該排気浄化触媒の劣化状態を診断することが好ましい(請求項4)。
なお、該診断手段は、該飛散量検出手段で検出された該検出値から推定される該飛散量を累計して算出する累計手段を有するとともに、該累計手段で算出された該累計と予め設定された所定量との比較により、該排気浄化触媒の劣化状態を診断することが好ましい(請求項6)。
また、排気浄化触媒の劣化の原因を特定することができるようになり、例えば、浄化能力低下が吸蔵材の飛散に起因するのか、それとも硫黄被毒等に起因するのか、といった原因の切り分けが可能となる。したがって、劣化の原因に応じてNOxパージ制御やSパージ制御、あるいは触媒交換時期を示す報知ランプの表示といった適切な制御を実施することができ、これらの制御精度を向上させることができる。
なお、酸素濃度センサを用いることで、酸素濃度センサ表面への吸蔵材の付着による細孔閉塞に応じた検出値が検出されることになる。あるいは、飛散した吸蔵材が酸素濃度センサ内(電極等)でNOxを吸蔵することによって生じる酸素濃度変化が検出されることになると推定される。
また、本発明の触媒診断装置(請求項4)によれば、検出値の経時変動パターンに基づく診断であるため、一時的なノイズの影響を受けにくくなり、診断精度を向上させることができる。
また、本発明の触媒診断装置(請求項6)によれば、排気の一部(サンプル)から排気中に含まれる吸蔵材の飛散量を算出してこれを累計することにより、排気浄化触媒の劣化状態の診断を行うことができる。
以下、本発明の第一実施形態について説明する。図1〜図6は、本発明の第一実施形態としての触媒診断装置を示すものであり、図1は本装置の構成を模式的に示すブロック図、図2は本装置が診断する排気浄化触媒におけるNOxの吸蔵還元反応を説明する模式図であり、(a)はNOxのトラップ剤への吸蔵時における化学反応,(b)はNOxの還元時における化学反応を示し、図3は本装置が診断する排気浄化触媒におけるNOx吸蔵能力とトラップ剤の飛散量との関係を示すグラフ、図4は本装置における酸素濃度センサの一例であるO2センサの構成を示し、(a)はO2センサの断面構成図、(b)はその要部拡大断面図、図5は本装置の作用を説明するための図であり、(a)はエンジンの運転状態の変化を示すグラフ、(b)はO2センサで検出される出力の大きさの変化を示すグラフ、図6は本装置における制御内容を示すフローチャートである。
(1)排気浄化触媒
図1には、本発明の触媒診断装置4の診断対象となる排気浄化触媒1が示されている。この排気浄化触媒1は、車両に搭載されたエンジンEの下流側の排気通路に介装されて、エンジンEから排出される排気中の有害成分を浄化する装置である。この排気浄化触媒1は、コーディエライト,メタル等からなるハニカム状の担体を備えるとともに、その表面にアルミナと、プラチナ,ロジウム,パラジウム等の触媒貴金属(以下、単に触媒と呼ぶ)6の微粒子と、吸蔵材としてのトラップ剤7とを担持して構成されている。なお、本実施形態では、トラップ剤7としてカリウム(K)が用いられている。
本触媒診断装置4は、上記の排気浄化触媒1を診断するための装置であって、以下に詳述するO2センサ2,診断装置(診断手段)3及び報知ランプ5を備えて構成される。
排気浄化装置1よりも下流側の排気通路上には、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサの一例として、O2センサ(飛散量検出手段、以下単にセンサとも呼ぶ)2が備えられている。排気浄化装置1に担持されているトラップ剤7が飛散した場合には、トラップ剤7を含んだ排気が下流側へ流れるため、トラップ剤7の一部がセンサ2の表面に付着することになる。つまり本触媒診断装置4では、センサ2の表面に付着したトラップ剤7の付着量とトラップ剤7の飛散量との相関関係を利用して、排気浄化触媒1の劣化状態を診断するようになっている。
具体的には、固体電解質の内部にイオンの状態で浮遊している酸素O-が、電極の両側面の酸素分圧の差に応じて排気側の電極へ移動するようになっており、このような酸素イオンO-の移動によって伝導体2c内を流れる電流の大きさが、酸素濃度の指標として検出される。ここで検出されたセンサ出力Vは、診断装置3へ入力されるようになっている。なお、本実施形態では、外気の酸素濃度に対する排気の酸素濃度が低い時に、大きな電流値を検出するようになっている。
これによると、センサ2の電極2aへのトラップ剤7の付着が殆どない(カリウム付着量が小である)場合には、リーン運転時のセンサ出力Vが大きく低下し、トラップ剤7の付着量が増加するほど、リーン運転時のセンサ出力Vが増加することがわかる。
診断装置3は、排気浄化装置1の劣化状態を診断するための電子制御装置(コンピュータ)であり、内部に判定部3aを備えて構成されている。なお、診断装置3には、図示しない検出手段(任意の公知手段)を利用して把握されたエンジンEの運転状態が随時入力される。本実施形態ではこの運転状態として、リーン運転状態及びリッチ運転状態の何れかが入力されるようになっている。
また、診断装置3の判定部3aにおける診断結果を報知するための手段として報知ランプ5が備えられている。本実施形態では、上記の4種類の診断結果に対応して、4個の報知ランプ5が車両のインパネ部に取り付けられている。
次に、排気浄化触媒1における排気中の有害成分の浄化のしくみについて、図2(a),(b)を用いて簡単に説明する。
まず、エンジンEのリーン運転時には、排気中の酸素濃度が増大し、触媒6及びトラップ剤7の表面に酸素(O2)がO2 -又はO-の状態で付着する。このとき、図2(a)に示すように、排気中の一酸化窒素(NO)が触媒6の表面上で酸化され、二酸化窒素(NO2)が生成される。
ここで放出されたNO2や排気中に含まれていたNO2は、触媒6の表面上において排気中の未燃燃料(HC)や一酸化炭素(CO),水素(H2)によって窒素(N2)に還元されるとともに、COやH2が酸化されて、二酸化炭素(CO2),水蒸気(H2O)として排気中に放出される。このようにして、排気中のNOxとCOとが共に浄化される。
次に、図6を用いて本触媒診断装置4における劣化判定に係るフローチャートを説明する。このフローは、センサ2へのKの付着堆積によるリーン運転時のセンサ出力の変化と排気浄化触媒1からのKの飛散量との相関関係を利用して劣化判定を行うものである。なお、このフローチャートは、診断装置3の判定部3a内において所定周期で繰り返し実行されている。
そして、続くステップA30において、ステップA10で入力されたエンジンEの運転状態がリーン運転状態であるか否かが判定される。ここで、リーン運転状態である場合には、ステップA40へ進み、リーン運転状態でない場合には、そのままこのフローを終了する。つまり、リッチ運転状態である場合には、ステップA40以下のフローが実施されず、劣化診断が行われないことになる。
ステップA60では、センサ出力Vが第3基準値V3以下であるか否かが判定される。ここで、V≦V3である場合には、ステップA90へ進み、「排気浄化触媒1の劣化の度合いがやや進行している(劣化の度合いが中)」と診断され、対応する報知ランプ5が点灯制御されてこのフローが終了する。一方、V>V3である場合にはステップA100へ進み、「排気浄化触媒1の劣化の度合いが大きい」と診断され、対応する報知ランプ5が点灯制御されてこのフローが終了する。
以上のような制御により、本触媒診断装置4によれば、O2センサ2のセンサ出力を利用して排気浄化触媒1からのトラップ剤7の飛散量を診断することができるため、排気浄化触媒1上に飛散せずに残存しているトラップ剤7の担持量を把握することができる。これにより、排気浄化触媒1の吸蔵能力の上限値(すなわち、最大トラップ能力)を診断することができる。
本発明の第二実施形態に係る触媒診断装置4は、第一実施形態の判定部3aにおける診断判定基準が異なるものであり、同一の構成要素については同一の符号を用いて説明をする。
本触媒診断装置における診断装置3の判定部3aでは、エンジンEの運転状態がリーン運転からリッチ運転へ変化した際の、センサ2から入力されるセンサ出力Vの立ち上がりに基づいて、排気浄化装置1の劣化状態を診断する。
なお、センサ出力の立ち上がりを把握する手法として、リーン運転からリッチ運転への切換時からリッチ運転状態における定常的なセンサ出力が得られるまでの時間だけでなく、センサ出力の経時変化勾配や変動グラフの形状等、さまざまな経時変動パターンに基づく診断とすることも可能である。
続いて、本発明の第三実施形態について説明する。図7〜9は、本発明の第三実施形態としての触媒診断装置を示すものであり、図7は本装置の構成を模式的に示すブロック図、図8は本装置におけるpHセンサの構成を示し、(a)はpHセンサの断面構成図、(b)はその要部拡大断面図、図9は本装置における制御内容を示すフローチャートである。なお、第一実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し説明を省略する。
本触媒診断装置4′は、pHセンサ9,診断装置(診断手段)3′及び報知ランプ5を備えて構成される。
(1)pHセンサ
pHセンサ9は、排気浄化装置1よりも下流側の排気通路における排気のpHを検出するセンサである。図8(a),(b)に示すように、このpHセンサは、pHイオンに感応するISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)9aと、比較電極9bと、ISFET9aを覆い所定のpH値を持つゲル状またはポーラス状のイオン透過物質9cと、イオン透過物質9cを収納する保護層9dとを備えて構成されている。
また、イオン透過物質9cとは、外部から入ってきたイオンに対して略緩衝能を持たない物質であって、イオンが透過するとそのイオンの影響を受けてpHを変動させる物質である。通常の排気中には、イオン透過物質9cのpHを変動させる物質がほとんど含まれていないが、トラップ剤7としてのカリウムは、排気中の水蒸気によってイオン化し、カリウムイオン(K+)となる。これにより、イオン透過物質9cにカリウムイオンが浸透するため、アルカリ性のpHを示すことになる。
つまり、pHセンサ9は、エンジンEの排気中のpH値を検出するセンサとして機能する。ここで検出された排気のpH値は、診断装置3′へ入力されるようになっている。
図7に示すように、診断装置3′は制御部として判定部3bと累計部(累計手段)3cとを備えて構成される。
判定部3bは、pHセンサ9から入力された排気のpH値に基づいて、排気中に含まれるカリウムイオンK+の量を推定し、排気浄化触媒1からのトラップ剤7の飛散量を算出する集積回路である。ここで算出されたトラップ剤7の飛散量は、累計部3cへ入力されるようになっている。
また、返送された累積値Bに基づいて、判定部3bは排気浄化装置1の劣化状態を診断する。この判定部3bには、予め試験や実験によって得られた第1飛散量B1及び第2飛散量B2が判定基準値として記憶されており、これらの判定基準値と累計値Bとを比較することによって、排気浄化装置1の劣化状態を診断するようになっている。
まず、判定部3bは、累計部3cから返送された累計値Bが第1飛散量以下の場合には、排気触媒装置1が劣化していないと診断する。つまり、トラップ剤7の飛散が多ければ多いほど、排気中のトラップ剤7の量が増加するため、排気のpH値がアルカリ性を示す。そこで排気中に含まれるトラップ剤7の量を推定して累積することによって、劣化診断がなされているのである。なおここでは、一旦pHセンサ9に浸透したトラップ剤7(すなわち、カリウムイオンK+)はISFET9aの電極9fに付着するため、再びpH値の変動要因として検出されることがないものと見做されている。
続いて、図9を用いて本触媒診断装置4′における劣化判定に係るフローチャートを説明する。なお、このフローチャートは、診断装置3′の判定部3b内において所定周期で繰り返し実行されている。
その後、ステップB40において、累積加算値Bが第1基準値B1以下であるか否かが判定される。ここで、B≦B1である場合には、ステップB60へ進み、「排気浄化触媒1が劣化していない」と診断され、対応する報知ランプ5が点灯制御されてこのフローが終了する。また、B>B1である場合には、ステップB50へ進む。
以上のような制御により、本触媒診断装置4によれば、pHセンサ9を利用して排気中に含まれるカリウムイオンK+の飛散量を推定することができるため、排気浄化触媒1上に飛散せずに残存しているトラップ剤7の担持量を把握することができる。これにより、排気浄化触媒1の吸蔵能力の上限値(すなわち、最大トラップ能力)を診断することができる。
以上、本発明の第一,第二及び第三実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
2 O2センサ(飛散量検出手段,酸素濃度センサ,センサ)
2a 電極
2b 固体電解質
3,3′ 診断装置(診断手段)
3a,3b 判定部
3c 累計部(累計手段)
4,4′ 触媒診断装置
5 報知ランプ
6 貴金属触媒(プラチナ,触媒)
7 トラップ剤(カリウム,吸蔵材)
8 硝酸塩
9 pHセンサ
9a イオン感応部(ISFET等)
9b 比較電極
9c イオン透過物質層(例えばpH=7.0になるよう調製した層)
9d 保護層
9e イオン選択膜
9f 電極
Claims (6)
- エンジンの排気通路に設けられ、排気中の有害成分を吸蔵又は放出する吸蔵材を担持してなる排気浄化触媒の劣化状態を診断する触媒診断装置であって、
該排気浄化触媒からの該吸蔵材の飛散量を検出する飛散量検出手段と、
該飛散量検出手段で検出された該飛散量に基づいて該劣化状態を診断する診断手段と
を備えたことを特徴とする、触媒診断装置。 - 該排気浄化触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含んだ吸蔵材を有するとともに、
該飛散量検出手段は、該排気浄化触媒よりも下流側の該排気通路における酸素濃度に応じた検出値を検出する酸素濃度センサを有し、
該診断手段は、該酸素濃度センサで検出された該検出値に基づいて該劣化状態を診断する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒診断装置。 - 該診断手段は、該エンジンのリーン運転時における該検出値の大きさから推定される該吸蔵材の該飛散量に基づいて、該排気浄化触媒の劣化状態を診断する
ことを特徴とする、請求項2記載の触媒診断装置。 - 該診断手段は、リーン状態からリッチ状態への該エンジンの運転域切換時における該検出値の経時変動パターンから推定される該吸蔵材の該飛散量に基づいて、該排気浄化触媒の劣化状態を診断する
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の触媒診断装置。 - 該排気浄化触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含んだ吸蔵材を有するとともに、
該飛散量検出手段は、該排気浄化触媒よりも下流側の排気のpH値を検出するpHセンサを有し、
該診断手段は、該pHセンサで検出された該pH値から推定される該吸蔵材の該飛散量に基づいて、該劣化状態を診断する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒診断装置。 - 該診断手段は、該飛散量検出手段で検出された該検出値から推定される該飛散量を累計して算出する累計手段を有するとともに、該累計手段で算出された該累計と予め設定された所定量との比較により、該排気浄化触媒の劣化状態を診断する
ことを特徴とする、請求項2〜5の何れか1項に記載の触媒診断装置。
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