ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、大掛かりな装置を用いることなく、手軽に牽引と同様な効果を得ることが出来る、新規な構造の姿勢矯正用運動器具を提供することにある。
また、本発明は、簡単で且つ手軽でありつつも、使用方法によっては背骨の歪みを矯正したり、背骨を支える筋肉の補強効果等も期待することが可能であり、それによって、背骨にかかる負担を根本的に軽くすることも期待することの出来る、新規な構造の姿勢矯正用運動器具を提供することも、目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の姿勢矯正用運動器具は、テーブル前の椅子に着座した使用者の顎から該テーブルにまで高さ方向で一体的に延びる本体部材で構成されており、該本体部材の下端が該テーブルに対して傾動可能な支持部とされていると共に、該本体部材の上端面には該使用者が顎を載せる顎載せ部が形成されており、該使用者が該椅子に着座して該顎載せ部に顎を載せた状態で、該本体部材の下端に設けられた該支持部において、該本体部材を該支持部から顎載せ部に至る全体に亘って一体的に傾動させることが出来るように該支持部において該本体部材を全体として傾動させることが出来るようにしたことを、特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた姿勢矯正用運動器具においては、上端面に対して顎載せ部が形成されていることから、例えば、椅子に腰掛けた使用者が机の上に置いた姿勢矯正用運動器具の顎載せ部に顎を載せる等して、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具に体重をかけることにより、その反力が使用者の顎を介して使用者の頭部に及ぼされることとなる。その結果、反力が作用する方向に使用者の頭部が引っ張られているような状態となり、従来から公知の牽引療法と同様に背骨を頭尾方向に伸ばすことが可能となる。
従って、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、大掛かりな装置を用いることなく、牽引と同様な効果を得ることが可能となる。
また、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で下端の支持部において傾動可能とされていることから、例えば、椅子に腰掛けた使用者が机の上に置いた姿勢矯正用運動器具の顎載せ部に顎を載せる等して、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具に体重をかけながら、姿勢矯正用運動器具を使用者の前後方向に傾動させると、姿勢矯正用運動器具を傾けた状態を維持するための姿勢を使用者がとらなければならないようになる。これにより、背骨が本来有する彎曲を形成することが可能になる。その結果、背骨の歪みを矯正することが可能になる。
そこにおいて、上述の如く使用者が姿勢矯正用運動器具を傾けた状態を維持しようとした場合、その際に使う筋肉、即ち、背骨が本来有する彎曲が形成された状態を維持しようとする筋肉に対して負荷をかけることが可能となる。これにより、背骨が本来有する彎曲が形成された状態を維持しようとする筋肉を鍛えることが可能となる。その結果、背骨にかかる負担を根本的に軽くすることが可能となる。
従って、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、簡単且つ手軽に、背骨の歪みを矯正しつつ、背骨を支える筋肉を鍛えることが可能となり、それによって、背骨にかかる負担を根本的に軽くすることが可能となるのである。
特に、本発明の姿勢矯正用運動器具を使用した場合、反動をつける必要がないことから、背骨において不具合が生じている部分に悪影響を及ぼすことなく、背骨が本来有する彎曲が形成された状態を維持するために必要な筋肉を無理なく鍛えることが可能となる。
また、姿勢矯正用運動器具を使用者の左右方向に傾動させた場合には、背骨を支える筋肉の左右のバランスを良くすることが可能となる。即ち、姿勢矯正用運動器具を左右何れか一方に傾斜させることにより、使用者の左右何れか一方の筋肉を集中的に鍛えることが可能となる。それ故、左右の筋力のバランスが悪い場合には、弱い方の筋肉を強い方の筋肉よりも鍛えることにより、左右の筋力のバランスを良くするためのトレーニングが可能となるのである。その結果、背骨の歪み(特に、脊柱側彎)を矯正することも可能となる。
なお、本発明における顎載せ部とは、上端面の全体に亘って形成されていても良いし、部分的に形成されていても良い。また、本発明の顎載せ部は、固定式であっても良いが、着脱式であるほうが望ましい。これにより、例えば、大きさや厚さ,形状等が異なる顎載せ部を適当な数だけ準備しておき、使用者の体格や使用方法等に応じて、使用者に応じて或いは同一使用者でも使用方法に応じて、顎載せ部を適宜交換することが可能となる。その結果、使用者の体格や使用方法等に対して十分に対処することが可能となる。
また、本発明における支持部は、後述するように、テーブル上に載置される位置決め保持用の支持台を用いて該支持台を介してテーブル上に傾動可能に支持されるようになっていても良いが、かかる支持部が直接にテーブルに載せられてテーブルに直接当接支持されるようになっていても良い。テーブルに直接当接して支持せしめられる場合には、その外縁部において湾曲形状の傾動用面とされることによって、傾動可能とされることが望ましい。かかる傾動用面は、載置面の外縁部において全周に亘って形成されていても良いし、外周縁部において周上で部分的に一箇所或いは複数箇所に形成されていても良い。更に、傾動用面は、下端面から外周面に向かって曲率が一定であっても良いし、曲率が変化しても良い。また、かかる傾動用面は、下端面の外周縁部において周方向で曲率が一定であっても良いし、曲率が変化しても良い。更にまた、傾動用面は、少なくとも載置面の外縁部に形成されていれば良く、後述するように載置面の中央に平坦面が存在していても良いが、載置面の中央を含む全体に亘って湾曲面とされることにより、載置面の全体が傾動用面とされていても良い。
さらに、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、載置面の中央部分に平坦面が形成されていると共に、かかる平坦面の外周縁部が角取り状に湾曲されて傾動用面が形成されていることが望ましい。これにより、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具に体重をかけやすくすることが可能となる。例えば、特に好適には後述するように、姿勢矯正用運動器具の載置面を水平なテーブル等の支持面に載置して、姿勢矯正用運動器具を略鉛直方向に直立させた状態で、載置面の鉛直方向上方で中心軸上に位置する顎載せ部に対して使用者が顎を載せた状態で安定した姿勢をとり易くして、強い牽引力を容易に作用させることも可能となる。
そこにおいて、上述の如き構成を採用する場合、載置面の中央部分に形成された平坦面は、姿勢矯正用運動器具の上下方向(高さ方向)に延びる中心軸線に対して略直交していることが望ましい。これにより、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具に体重をかけた際の姿勢矯正用運動器具のぐらつきを有利に回避することが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具に体重をかけた際における姿勢矯正用運動器具の起立状態の安定化を図ることが可能となる。
なお、上述の如き構成を採用する場合、「角取り状に湾曲」とは、外方に凸となる湾曲であれば良く、曲率が一定のアール形状(円弧形状)の湾曲に限定されることはない。また、断面形状において或いは周方向において、かかる湾曲部分における曲率も一定である必要はない。
さらに、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、載置面が、その外縁部において周方向で外側に凸となる湾曲外縁部を有していると共に、かかる湾曲外縁部が傾動用面とされていることが望ましい。これにより、姿勢矯正用運動器具を傾けた状態で、姿勢矯正用運動器具を傾動用面(載置面における湾曲外縁部)に沿って動かすことが可能となる。その結果、使用者が体を前後や左右に傾けるだけの単純な運動だけでなく、使用者が体を前方や後方に傾けた状態で更に体を捻るような運動をすることも可能となる。
従って、上述の如き構成を採用する場合、姿勢矯正用運動器具を用いた運動のバリエーションを増やすことが可能となり、その結果、背骨の歪みを矯正することや背骨を支える筋肉を鍛えることを一層有利に実現することが可能となる。
また、上述の如き構成を採用する場合、載置面の外縁部において、湾曲外縁部が周方向に半周以下で形成されていると共に、湾曲外縁部の弦方向に延びる直線外縁部が形成されていることが望ましい。これにより、姿勢矯正用運動器具を湾曲外縁部側に傾けた状態で湾曲外縁部の周方向に沿って動かすことが有利に実現され得ることに加えて、直線外縁部に直交する方向での姿勢矯正用運動器具の安定した傾動が有利に実現され得ることとなる。
すなわち、湾曲外縁部が形成されているだけでは、湾曲外縁部の弦方向に直交する方向での姿勢矯正用運動器具の傾動を安定させることが難しくなってしまうが、上述の如く湾曲外縁部の弦方向に延びる直線外縁部が形成されている場合には、湾曲外縁部の弦方向に直交する方向での姿勢矯正用運動器具の傾動を安定させることが可能となる。
従って、姿勢矯正用運動器具を用いて様々な運動をする際の安定化を図ることが可能となり、それによって、目的とする運動の効果を有利に得ることが可能となる。
なお、このように直線外縁部が載置面に形成されている場合、かかる直線外縁部も角取り状に湾曲されていることが望ましい。これにより、例えば、姿勢矯正用運動器具を机等に置いて使用した際、直線外縁部が角取り状に湾曲されていない場合に比して、直線外縁部において机と接触する部分を姿勢矯正用運動器具の傾動状態に応じて変化させることが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具を直線外縁部に直交する方向で傾動させる際に、姿勢矯正用運動器具が滑ってしまう不具合を有利に回避することが可能となる。
また、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、載置面に対して直線的に延びる凹溝が形成されていることが望ましい。これにより、例えば、姿勢矯正用運動器具に体重をかけて傾動させた際に姿勢矯正用運動器具が滑ったとしても、凹溝が机の角等に引っ掛かることにより、姿勢矯正用運動器具がそれ以上滑らないようにすることが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具が滑ることに起因する事故を有利に回避することが可能となる。
さらに、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、顎載せ部の載置面からの高さ位置を調節する高さ位置調節機構を備えていることが望ましい。これにより、使用者の体格や使用方法等に対して有利に対応することが可能となる。
そこにおいて、かかる高さ位置調節機構は、例えば、複数の係合穴の何れかにピンを挿し込む等することにより、複数段階に調節可能なものであっても良いし、ねじの螺挿状態を変化させる等することにより、任意の高さ位置に調節可能なものであっても良い。
また、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、顎載せ部に対して使用者の顎を収容する凹所が形成されていることが望ましい。これにより、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具を傾動させた際に、顎載せ部に対する顎の位置がずれてしまい、使用者が姿勢矯正用運動器具に体重をかけた際に姿勢矯正用運動器具がぐらつくことを有利に回避することが可能となる。その結果、目的とする運動を安定して行うことが可能になると共に、かかる運動をすることによる効果を有利に得ることが可能となる。また、顎載せ部に対する顎の位置がずれてしまうことに起因する事故を有利に回避することも可能となる。
そこにおいて、上述の如き構成を採用する場合、顎載せ部と凹所は同一中心軸線上に位置せしめられていることが望ましい。これにより、使用者が姿勢矯正用運動器具に体重をかけた際に姿勢矯正用運動器具がぐらつくことを一層有利に回避することが可能となる。
なお、上述の如き構成を採用する場合の「凹所」とは、穴状であっても良いし、溝状であっても良い。
また、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、載置面に滑り止め加工が施されていることが望ましい。これにより、姿勢矯正用運動器具を傾動させた際に、姿勢矯正用運動器具が滑ってしまうことを有利に回避することが可能となる。
なお、本発明において、滑り止め加工とは、姿勢矯正用運動器具が置かれる面に対して滑り難い材料で形成された部材を載置面に貼り付けたり、姿勢矯正用運動器具が置かれる面に対して滑り難い材料そのものやかかる材料を含有する液体を載置面に塗布すること等によって、有利に実現することが出来る。また、姿勢矯正用運動器具そのものを姿勢矯正用運動器具が置かれる面に対して滑り難い材料で形成したり、載置面を荒く加工すること等も、勿論可能である。
更にまた、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、使用者が手で持つ把持部が形成されていることが望ましい。これにより、使用者が把持部を手で持った状態で姿勢矯正用運動器具に体重をかけたり、姿勢矯正用運動器具に体重をかけた状態で傾動させることが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具を使用した運動をする際に、姿勢矯正用運動器具の起立状態や傾動状態の安定化を図ることが可能となる。
なお、本発明において、把持部は、姿勢矯正用運動器具そのものに直接形成されたもので構成されていても良いし、姿勢矯正用運動器具に対して別途取り付けられた部材で構成されていても良い。
また、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、載置面からの顎載せ部の高さ寸法が、高さ方向に直交する全ての方向の寸法よりも大きくされていることが望ましい。これにより、使用者が顎載せ部に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具を傾動させる際において、例えば、姿勢矯正用運動器具を直接手で持ったり、両腕で抱え込む等することが容易に可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具を使用した運動をする際に、姿勢矯正用運動器具の起立状態や傾動状態の安定化を図ることが可能となる。
さらに、本発明の姿勢矯正用運動器具においては、載置面が傾動可能に当接せしめられる凹所が形成された別体の支持台を備えていることが望ましい。これにより、姿勢矯正用運動器具が傾動可能な範囲を支持台に形成された凹所内に設定することが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具を使用した運動をする際に、姿勢矯正用運動器具の過大な傾きを阻止して、姿勢矯正用運動器具の傾動状態の安定化を図ることが可能となる。また、支持台の重量を大きくすることにより、姿勢矯正用運動器具を使用した運動をする際に、支持台が滑ってしまうことを阻止して、姿勢矯正用運動器具の傾動状態の安定化を図ることも可能となる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1乃至図3には、本発明の第一の実施形態としての姿勢矯正用運動器具10が示されている。この姿勢矯正用運動器具10は、中心軸線:L1に沿って略一定の断面形状で延びるように形成されており、全体として厚肉の長手板形状を呈している。即ち、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10は、使用時に上下方向(高さ方向)となる長手方向(中心軸線:L1が延びる方向)の寸法が、長手方向に直交する全ての方向(幅方向や厚さ方向)に比して、十分長くされているのである。
また、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10は発泡樹脂によって形成されている。そこにおいて、姿勢矯正用運動器具10の形成材料は発泡樹脂に限定されず、例えば、アルミニウム合金等やスチール等の金属材料,三重県特産の木や熊野の杉等の木材,合成樹脂,繊維強化樹脂,カーボンファイバー(炭素繊維)等が、何れも、採用可能であるが、姿勢矯正用運動器具10の軽量化を考慮して、採用する形成材料を選択することが望ましい。これにより、姿勢矯正用運動器具10の持ち運びが容易になる。なお、姿勢矯正用運動器具の内部を空洞にすることによって、姿勢矯正用運動器具の軽量化を図ることも、勿論可能である。
さらに、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10には、厚さ方向(図2中の上下方向)一方の側において、幅方向の中間部分から外側に行くに従って弧を描くように下る傾斜面12,12が、幅方向両側にそれぞれ形成されている。これにより、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10は、図2にも示されているように、長手方向での投影において、厚さ方向一方の側に凸となる形状を呈するようになっている。なお、本実施形態では、上述の如く湾曲形成された一対の下り傾斜面12,12に挟まれている厚さ方向一方の面(以下、幅狭面14と称する)は、厚さ方向他方の面(以下、幅広面16と称する)に対して略平行な平面とされており、その幅方向両端は、それぞれ、湾曲形成された傾斜面12に対して滑らかに接続されている。
更にまた、本実施形態において、姿勢矯正用運動器具10の長手方向一方の端面(以下、顎載せ部としての顎載せ側端面18と称する)は、姿勢矯正用運動器具10の中心軸線:L1に対して略直交する方向に広がるように形成されている。そこにおいて、本実施形態の顎載せ側端面18には、円形断面で開口する凹所20が形成されており、特に本実施形態では、姿勢矯正用運動器具10の中心軸線:L1上に凹所20の中心が位置せしめられている。
また、本実施形態では、凹所20の開口部分を覆蓋するようにして、顎載せ側端面18にパッド22が貼付されており、特に本実施形態では、凹所20の底面にもパッド22が貼付されている。これにより、パッド22の表面のうち凹所20の開口を覆蓋している部分が凹状湾曲面とされている。なお、このパッド22の形成材料は、後述の如く使用者34(図4等参照)が顎をパッド22に載せて、凹所20内に顎を位置せしめた際の緩衝材の役目を果たすことが出来るのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタンやゴム,布等が何れも採用可能である。
更にまた、姿勢矯正用運動器具10の長手方向他方の端面(以下、載置面24と称する)には、厚さ方向他方の側の角部を丸く削って外側に凸となるように湾曲させた第一の外側凸状湾曲面26が形成されている。即ち、本実施形態において、第一の外側凸状湾曲面26は、載置面24の外縁部分において姿勢矯正用運動器具10の幅方向(図2中の左右方向)に直線的に延びる部分に形成されており、特に本実施形態では、かかる第一の外側凸状湾曲面26は、姿勢矯正用運動器具10の幅方向の全体に亘って形成されている。
また、本実施形態では、載置面24において厚さ方向一方の側の角部を丸く削って外側に凸となるように湾曲させた第二の外側凸状湾曲面28が形成されている。そこにおいて、本実施形態では、姿勢矯正用運動器具10の厚さ方向一方の側に幅狭面14と一対の傾斜面12,12が形成されていることから、上述の如く角部を外側に凸となるように丸く削ることによって形成された第二の外側凸状湾曲面28は周方向で外側に凸となるように湾曲せしめられており、特に本実施形態では、かかる第二の外側凸状湾曲面28は、周方向に半周以下の長さで形成されている。これにより、本実施形態における第一の外側凸状湾曲面26は、第二の外側凸状湾曲面28の弦方向に延びるように形成されていることとなる。
更にまた、本実施形態の載置面24には、第一の外側凸状湾曲面26と第二の外側凸状湾曲面28の間に位置せしめられるようにして、顎載せ側端面18と略平行な平坦面30が形成されている。換言すると、元々顎載せ側端面18と同様に平坦な面であった載置面24の外周縁部が角取り状に湾曲せしめられて、第一の外側凸状湾曲面26と第二の外側凸状湾曲面28が形成されていることにより、本実施形態では、載置面24の中央部分に対して平坦面30が形成されているのである。そして、顎載せ側端面18と略平行に平坦面30が形成されていることから明らかなように、本実施形態の平坦面30は、姿勢矯正用運動器具10の中心軸線:Lに対して略直交する方向に広がるように形成されているのである。
また、本実施形態の載置面24には、姿勢矯正用運動器具10の幅方向の略全体に亘って直線的に延びる凹溝32が形成されている。そこにおいて、本実施形態の凹溝32は、深さ方向で底側から開口端側に行くに従って次第に幅広となる形状とされている。
更にまた、本実施形態の載置面24には、シリコン樹脂が塗布されており、それによって、後述の如く姿勢矯正用運動器具10を使用した際に、姿勢矯正用運動器具10が滑ってしまうことを防ぐようになっている。
続いて、このような構造とされた姿勢矯正用運動器具10の使用方法について説明する。先ず、図4に示されているように、使用者34は、椅子36に腰掛けて机38に向かい、幅狭面14、即ち、第二の外側凸状湾曲面28が向こう側(使用者34側とは反対の側)に位置するようにして、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における平坦面30を机38の上面に重ねた状態で、凹所20の底面にパッド22を介して顎を載せる。
なお、このようにして使用者34が椅子36に腰掛けて机38に置いた姿勢矯正用運動器具10の凹所20の底面にパッド22を介して顎を載せた状態で、使用者34の脊柱が頭尾方向(図4中の矢印の方向)に引っ張られるように、椅子36や机38の高さを予め調節しておく必要がある。
そして、上述の如く使用者34が凹所20の底面にパッド22を介して顎を載せることにより、使用者34の脊柱が頭尾方向(図4の矢印の方向)に引っ張られることとなり、その結果、従来から公知の牽引療法と同様な効果を得ることが可能となる。
特に、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10は、机38に向かって椅子36に座った状態で使用可能とされていることから、例えば、パソコンを使用している時や読書している時等、日常生活の中で使用することが可能となる。その結果、場所や時間等、患者の負担を大幅に軽減することが可能となる。
加えて、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10は、高さ位置が適当に調節された状態で、使用者34がパッド22を介して凹所20の底面に顎を載せて使用するようになっていることから、使用者34に正しい姿勢を意識させて、日常生活における姿勢の悪化を防止することも可能となる。
また、本実施形態では、凹所20が姿勢矯正用運動器具10と同一中心軸線上に位置せしめられていることから、使用者34が姿勢矯正用運動器具10の長手方向(中心軸線:L1が延びる方向)に体重をかけた場合に、姿勢矯正用運動器具10がぐらつかないようにすることが可能となる。
特に、本実施形態では、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における平坦面30が姿勢矯正用運動器具10の中心軸線:L1に対して略直交していることから、姿勢矯正用運動器具10を起立状態で机38の上に置くことが可能となり、それによって、使用者34が姿勢矯正用運動器具10に体重をかけた場合に、姿勢矯正用運動器具10がぐらつかないようにすることを一層有利に実現することが可能となる。
また、上述の如き構造とされた姿勢矯正用運動器具10は、先に説明したように、ただ単にパッド22を介して凹所20の底面に顎を載せるだけではなく、使用者34の前方や後方に傾けて使用することも出来る。具体的には、例えば、図4に示されているように、第一の外側凸状湾曲面26が使用者34側に位置せしめられている場合、使用者34がパッド22を介して凹所20の底面に顎を載せた状態で姿勢矯正用運動器具10を使用者34側に傾けると、図5に示されているように、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における第一の外側凸状湾曲面26が机38の上面に接することとなり、使用者34は顎を引いて顔を斜め下に向けた状態で後ろに反るような姿勢をとることになる。これにより、使用者34の耳の穴33と肩の中心35と腰の中心37が、鉛直方向に延びる直線:L2よりも後方に傾いた一本の直線:L3上に位置せしめられることとなり、その結果、脊柱39における腰椎部分及び頚椎部分が前方に凸となるように彎曲する一方、脊柱39における胸椎部分が後方に凸となるように彎曲した、背骨本来の形状が実現されることとなる。
なお、このような運動を行う場合、ただ単に体重をかえる場合に使用する姿勢矯正用運動器具10よりも長手方向(高さ方向)の大きい姿勢矯正用運動器具を使用したり、椅子36や机38の高さを調節して、使用者34が顎を引いて顔を斜め下に向けて後ろに反った姿勢をとった際に、使用者34の耳の穴33と肩の中心35と腰の中心37が直線:L2上に位置せしめられるようにする必要がある。
そこにおいて、図5に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を後方(使用者34側)に傾けた状態では、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉を使うことにより、姿勢矯正用運動器具10を後方に傾けた状態を維持しなければならないが、図4に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を傾けていない状態(起立させた状態)では、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉を意識して使わない状態となる。
従って、使用者34が姿勢矯正用運動器具10を後方に傾けたり、元の起立状態に戻したりすることを繰り返すことによって、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉が緊張と緩和を繰り返すこととなり、その結果、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉が鍛えられることとなる。また、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉が鍛えられることにより、背骨にかかる負担を軽減することも可能となる。
なお、このような姿勢矯正用運動器具10の使用方法は、円背(所謂、猫背)の矯正に効果的である。そして、このように姿勢矯正用運動器具10を使用することにより、起立時において耳の穴と肩の中心とくるぶしが一直線上にある、正しい姿勢を実現することが可能となる。
また、図4に示された状態から、図6に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を前方に傾けた場合、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における第二の外側凸状湾曲面28が机38の上面に接することとなり、背骨がより一層伸ばされることとなる。そして、この状態から、図7に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を第二の外側凸状湾曲面28に沿って左右に同じ角度ずつ旋回させるように傾けると、姿勢矯正用運動器具10を第二の外側凸状湾曲面28に沿って左右に旋回させるように傾けた状態を維持するために、腹筋と背筋が左右交互にバランス良く使われることとなる。これにより、腹筋と背筋の左右のバランスを良くすることが可能となる。その結果、背骨を正しい状態に維持するために必要な筋肉が鍛えられて、背骨の歪み(特に、脊柱側彎)を矯正することが可能になると共に、背骨にかかる負担を軽減することも可能となる。加えて、背骨や腹筋,背筋のストレッチ効果を得ることも可能となる。なお、図7では、使用者34が姿勢矯正用運動器具10を右側に傾けた状態を示している。
また、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10は、先に説明したように、猫背(円背)を矯正する場合に使用できるほか、凹円背を矯正する場合にも使用することが出来る。この場合、先ず、図8に示されているように、使用者34は、椅子36に腰掛けて机38に向かい、幅狭面14、即ち、第二の外側凸状湾曲面28が手前側(使用者34側)に位置するようにして、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における平坦面30を机38の上面に重ねた状態で、パッド22を介して凹所20の底面に顎を載せる。
そして、図8に示されているように、第一の外側凸状湾曲面26が向こう側(使用者34側とは反対側)に位置せしめられた状態で、使用者34が顎をパッド22を介して凹所20の底面に載せた姿勢を維持しながら姿勢矯正用運動器具10を向こう側(前方)に傾けると、図9に示されているように、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における第一の外側凸状湾曲面26が机38の上面に接することとなる。これにより、使用者34はお腹を引っ込めるような姿勢をとることになる。その結果、脊柱39における腰椎部分が前方に極端に凸となるように彎曲することに起因して円くなった背中が正しい状態に矯正されて、背骨本来の緩やかなS字形状が実現されることとなる。
そこにおいて、図9に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を前方に傾けた状態では、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉を使うことにより、姿勢矯正用運動器具10を前方に傾けた状態を維持しなければならないが、図8に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を傾けていない状態(起立させた状態)では、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉を意識して使わない状態となる。
従って、使用者34が姿勢矯正用運動器具10を前方に傾けたり、元の起立状態に戻したりすることを繰り返すことによって、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉が緊張と緩和を繰り返すこととなり、その結果、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉が鍛えられて、起立時に耳の穴と肩の中心とくるぶしが一直線上にある、正しい姿勢を実現することが可能となる。加えて、背骨本来の形状を実現するために必要な筋肉が鍛えられることから、背骨にかかる負担を軽くすることも可能となる。
また、図8に示された状態から、図10に示されているように、姿勢矯正用運動器具10を後方に傾けた場合、姿勢矯正用運動器具10の載置面24における第二の外側凸状湾曲面28が机38の上面に接することとなり、使用者34は後方に体を反らせた状態となる。そして、この状態から、図7に示されている場合と同様に、姿勢矯正用運動器具10を第二の外側凸状湾曲面28に沿って左右に同じ角度ずつ旋回させるように傾けると、姿勢矯正用運動器具10を第二の外側凸状湾曲面28に沿って左右に旋回するように傾けた状態を維持するために、腹筋と背筋が左右交互にバランス良く使われることとなる。これにより、腹筋と背筋の左右のバランスを良くすることが可能となる。その結果、背骨を正しい状態に維持するために必要な筋肉が鍛えられて、背骨の歪み(特に、脊柱側彎)を矯正することが可能になると共に、背骨にかかる負担を軽減することが可能となる。加えて、背骨や腹筋,背筋のストレッチ効果を得ることも可能となる。
また、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10においては、高さ方向(長手方向)の寸法が、高さ方向に直交する方向の寸法(幅方向や厚さ方向)に比して、十分大きくされていることから、姿勢矯正用運動器具10を手で持ったり、腕で抱え込んだりした状態で、上述の如く姿勢矯正用運動器具10を傾ける運動を行うことが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具10を用いた運動に際して、姿勢矯正用運動器具10の安定した動きを実現することが可能となり、使用者34が姿勢矯正用運動器具10の使用に際して、例えば、バランスを崩して怪我をしたり症状が悪化したりするのではないか等の不安を抱き難いようにすることが可能となる。
さらに、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10においては、載置面24に凹溝32が形成されていることから、例えば、机38の端の部分に姿勢矯正用運動器具10を起立させた状態から使用者34側に姿勢矯正用運動器具10を傾動させた際に姿勢矯正用運動器具10が滑って机38から落ちかけた場合、凹溝32に机38の角が引っ掛かることから、事故を防ぐことが可能となる。
更にまた、本実施形態の姿勢矯正用運動器具10を使用して背骨を正しい状態に維持するために必要な筋肉を鍛える場合、反動をつける必要がないことから、背骨において不具合が生じている部分に負担をかけないようにすることが可能となる。
なお、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、第一の外側凸状湾曲面26と第二の外側凸状湾曲面28とによって傾動用面が構成されている。また、本実施形態では、第二の外側凸状湾曲面28によって湾曲外縁部が構成されている。
次に、本発明の第二の実施形態としての姿勢矯正用運動器具40について説明する。本実施形態の姿勢矯正用運動器具40は、図11及び図12に示されているように、机の上に置かれる台座42に対してボールジョイント44によって連結されたロッド46が設けられた構造とされている。
より詳細には、台座42は、略矩形のブロック形状を呈しており、略球状の内面66を有する凹部48が上方に開口するように形成されている。なお、本実施形態では、台座42は、ポリアセタールやポリウレタン等の合成樹脂材料によって形成されている。
また、台座42には、把持部としての一対のハンドル50,50が突設されている。なお、本実施形態では、各ハンドル50は円柱形状を呈している。
一方、ロッド46は、第一のロッド構成部材52と第二のロッド構成部材54によって構成されている。なお、本実施形態では、第一のロッド構成部材52と第二のロッド構成部材54は、何れも、台座42と同様に、ポリアセタールやポリウレタン等の合成樹脂材料によって形成されている。
そこにおいて、第一のロッド構成部材52は、軸方向一方の端面にゴム製のパッド56が接着されている一方、軸方向他方の端面に開口するねじ穴58が形成された構造とされている。また、第二のロッド構成部材54は、軸方向一方の端面から突出するねじ60が設けられている一方、軸方向他方の端面から突出する球体部62が設けられた構造とされている。なお、ねじ60は、第二のロッド構成部材54を成形する際に、第二のロッド構成部材54に埋め込んでも良いし、或いは、第二のロッド構成部材54に穴をあけておき、その穴に挿し込んだ状態で接着して取り付けるようにしても良い。
このような構造とされた第一のロッド構成部材52と第二のロッド構成部材54は、第一のロッド構成部材52に形成されたねじ穴58に対して、第二のロッド構成部材54に設けられたねじ60を螺挿することで連結されて、ロッド46を構成するようになっている。
そして、このようにして第一のロッド構成部材52と第二のロッド構成部材54が連結されることで構成されたロッド46は、第二のロッド構成部材54に設けられた球体部62が台座42に形成された凹部48に圧入されて嵌め込まれることで台座42に連結されるようになっている。また、このようにして、球体部62が凹部48に嵌め込まれた状態で、球体部62の表面64は凹部48の内面66に対して摺接せしめられている。これにより、ロッド46は、台座42に対して傾動可能とされている。即ち、本実施形態では、球体部62の表面64によって傾動用面が構成されているのであり、かかる傾動用面が載置面を構成している。
上述の如き構造とされた姿勢矯正用運動器具40は、椅子に腰掛けた使用者が机の上に置かれた台座42に設けられたハンドル50,50を手で持ちつつ、パッド56に顎を載せた状態で使用するようになっている。即ち、本実施形態では、パッド56を含んで顎載せ部が構成されているのである。
そして、ロッド46が台座42に対して傾動可能とされていることにより、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
また、本実施形態では、使用者がハンドル50,50を手で持った状態で姿勢矯正用運動器具40を使用するようになっていることから、姿勢矯正用運動器具40の使用時の安定化を図ることが可能となる。
更にまた、本実施形態では、第一のロッド構成部材52に形成されたねじ穴58に対して第二のロッド構成部材54に設けられたねじ60が螺挿されることによって、ロッド46が構成されていることから、ねじ穴58に対するねじ60の螺挿状態を変化させることにより、ロッド46の長さを変更することが可能となる。これにより、使用者の体格や使用方法等に対して有利に対応することが可能となる。即ち、本実施形態では、ねじ穴58とねじ60を含んで高さ位置調節機構が構成されているのである。
続いて、本発明の第三の実施形態としての姿勢矯正用運動器具68について説明する。この姿勢矯正用運動器具68は、図13及び図14に示されているように、底面69が円弧状湾曲面とされた基台70から円柱状の支持柱72が立設された構造とされており、かかる支持柱72の上端には、顎載せ部としての顎載せ台74が取り外し可能に設けられている。具体的には、図14に示されているように、顎載せ台74の下面に開口する挿通孔76に対して支持柱72の上端部分が嵌め入れられることによって、顎載せ台74が支持柱72の上端に取り付けられるようになっている。特に本実施形態では、挿通孔76の内周面から軸直角方向内方に突出する係合突起78が支持柱72の上端部分に形成された係合溝80に嵌め入れられることによって、顎載せ台74が支持柱72に対して位置決めされた状態で取り付けられるようになっている。なお、本実施形態では、顎載せ台74の上面に湾曲した内面を有する溝82が形成されており、かかる溝82によって凹所が構成されている。
このような構造とされた本実施形態の姿勢矯正用運動器具68は、基台70の底面69において机等に当接可能とされていることから、第一の実施形態と同様に、従来から公知の牽引と同様な効果を得ることが出来る。また、基台70の底面69において傾動可能とされていることから、第一の実施形態と同様に、円背や凹円背を矯正して背骨を正しい状態にすると共に、正しい状態とされた背骨を維持するための筋肉を鍛えて、背骨にかかる負担を軽減することが可能となる。
また、本実施形態では、顎載せ台74が支持柱72に対して取り外し可能とされていることから、顎載せ台74を取り換えることにより、使用者の体格や使用方法等に対して有利に対処することが可能となる。
続いて、本発明の第四の実施形態としての姿勢矯正用運動器具84について、図15に基づいて、説明する。なお、本実施形態の姿勢矯正用運動器具84は、第三の実施形態の姿勢矯正用運動器具(68)に比して、基台86の形状が異なっているだけであることから、基台86以外の部分については、図中に、第三の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略することにする。
本実施形態の姿勢矯正用運動器具84において採用されている基台86は、側面視において略W字状に湾曲せしめられた底面88、即ち、波状に湾曲せしめられた底面88を有しており、姿勢矯正用運動器具84を置く机等に対して、二つの凸状湾曲部分の頂点で接するようになっている。その結果、本実施形態の姿勢矯正用運動器具84は、机等に置いた状態で安定した起立状態を維持することが出来るようになっている。なお、本実施形態では、底面88によって載置面が構成されていると共に、かかる底面88において基台86の幅方向両端の湾曲部分のそれぞれが傾動用面を構成している。
このような構造とされた姿勢矯正用運動器具84は、基台86の底面88において机等に当接可能とされていることから、第一の実施形態と同様に、従来から公知の牽引と同様な効果を得ることが出来る。また、基台86の底面88において傾動可能とされていることから、第一の実施形態と同様に、円背や凹円背を矯正して背骨を正しい状態にすると共に、正しい状態とされた背骨を維持するための筋肉を鍛えて、背骨にかかる負担を軽減することが可能となる。
続いて、本発明の第五の実施形態としての姿勢矯正用運動器具90について、図16及び図17に基づいて、説明する。なお、本実施形態の姿勢矯正用運動器具90は、第三の実施形態の姿勢矯正用運動器具(68)に比して、基台86の形状が異なっているだけであることから、基台86以外の部分については、図中に、第三の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略することにする。
本実施形態の姿勢矯正用運動器具90において採用されている基台92は、半球形状とされており、その底面94となる球状面の全てが載置面であって、且つ、傾動用面とされている。
このような構造とされた姿勢矯正用運動器具90は、基台92の底面94において机等に当接可能とされていることから、第一の実施形態と同様に、従来から公知の牽引と同様な効果を得ることが出来る。また、基台92の底面94において傾動可能とされていることから、円背や凹円背を矯正して背骨を正しい状態にすると共に、正しい状態とされた背骨を維持するための筋肉を鍛えて、背骨にかかる負担を軽減することが可能となる。
次に、本発明の第六の実施形態としての姿勢矯正用運動器具96について、図18に基づいて、説明する。なお、本実施形態の姿勢矯正用運動器具96は、第三の実施形態の姿勢矯正用運動器具(68)の他に、支持台98が別途設けられた構造とされていることから、支持台98以外の部分については、第三の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略することにする。
本実施形態で採用されている支持台98は、鉄鋼等の比重が大きい材料によって形成されており、全体として矩形ブロック形状を呈している。また、支持台98には、U字断面でストレートに延びる溝状の凹所100が上面及び両側面に開口するように形成されている。そこにおいて、本実施形態では、かかる溝状の凹所100の上側開口部分において、溝幅方向内方に向かって突出するストッパ片102,102が設けられており、特に本実施形態では、かかるストッパ片102,102は凹所100の長さ方向(紙面に垂直な方向)の全体に亘って形成されている。そして、基台70が凹所100の側面開口からスライドされて凹所100内に収容位置せしめられることにより、基台70の底面69が凹所100の内面104に対して傾動可能に当接せしめられるようになっている。
このような構造とされた姿勢矯正用運動器具96は、支持台98が机等に載置された状態で、椅子等に腰掛けた使用者が使用するようになっている。そして、基台70の底面69が凹所100の内面104に対して当接せしめられていることから、第一の実施形態と同様に、従来から公知の牽引と同様な効果を得ることが出来る。また、基台70の底面69が凹所100の内面104に対して傾動可能とされていることから、円背や凹円背を矯正して背骨を正しい状態にすると共に、正しい状態とされた背骨を維持するための筋肉を鍛えて、背骨にかかる負担を軽減することが可能となる。
そこにおいて、本実施形態では、ストッパ片102,102が設けられていることから、基台70がストッパ片102に当接することによって、基台70の可動範囲、即ち、姿勢矯正用運動器具96の傾動可能な範囲が制限されるようになっている。これにより、姿勢矯正用運動器具96を用いた運動に際して、姿勢矯正用運動器具96の過度な傾動を防止して、姿勢矯正用運動器具96の傾動状態の安定化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、支持台98の重量が大きく確保されていることから、姿勢矯正用運動器具96を傾動させた際に支持台98が動いてしまうことを有利に回避することが可能となる。その結果、姿勢矯正用運動器具96を用いた運動に際して、姿勢矯正用運動器具96の傾動状態の安定化を図ることが可能となる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一の実施形態において、第二の外側凸状湾曲面28は必ずしも必要なものではない。また、前記第一の実施形態において、凹所20やパッド22は必ずしも必要なものではない。そこにおいて、凹所20を設けない場合、使用者は、姿勢矯正用運動器具10の幅方向中央部分に形成された幅狭面14の中心を確認することにより、顎を載せる位置を確認することになる。また、前記第一の実施形態において、湾曲形成された傾斜面12の代わりに、平坦な傾斜面が形成されていても良い。更に、前記第一の実施形態において、凹溝32は必ずしも必要なものではない。更にまた、前記第一の実施形態において、凹溝32は、V字断面で延びる形状に限定されるものではなく、例えば、矩形断面やU字断面で延びる形状であっても良い。
また、前記第二の実施形態において、ハンドル50,50は、第一のロッド構成部材52や第二のロッド構成部材54に設けられていても良い。
更にまた、前記第三乃至第五の実施形態において、係合溝80と係合突起78は必ずしも必要なものではない。
また、前記第四の実施形態において、底面88における凸状湾曲部分の数は三つ以上であっても良い。
さらに、前記第六の実施形態において、ストッパ片102,102は必ずしも必要なものではない。また、ストッパ片102,102に対して支持柱72が当接することによって、姿勢矯正用運動器具96の傾動可能な範囲が制限されるようになっていても良い。更に、溝状の凹所100は、矩形断面でストレートに延びる形状であっても良い。更にまた、凹所は、穴状に形成されていても良い。また、支持台の形成材料は、鉄鋼等の高比重な材料に限定されることはなく、例えば、合成樹脂等で形成されていても良い。この場合、支持台を中空にして、その内部に水や砂,砂利等を入れることにより、支持台の重量を確保することが望ましく、それによって、支持台を安定させることが可能となる。
また、姿勢矯正用運動器具の形状や構造は、前記第一乃至第六の実施形態の形状や構造に限定されるものではない。
なお、上述の説明から明らかなように、テーブルの高さ方向に延びて上端面に顎載せ部が形成されると共に下端がテーブルに対して傾動可能な支持部とされた本体部材は、図1に示された第一の実施形態において姿勢矯正用運動器具10の全体で構成されており、図11に示された第二の実施形態においてロッド46で構成されており、図13に示された第三の実施形態において姿勢矯正用運動器具68の全体で構成されており、図15に示された第四の実施形態において姿勢矯正用運動器具84の全体で構成されており、図16に示された第五の実施形態において姿勢矯正用運動器具90の全体で構成されており、図18に示された第六の実施形態において規制矯正用運動器具の本体部分70,72,74によって構成されている。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。