JP2007242807A - 導電性材料前駆体及びこれを用いた導電性材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性の高い導電性材料を得ることができる導電性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)支持体上に、少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有し、これに可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ、像様に金属銀を析出させることによって導電性材料を形成する導電性材料前駆体であって、前記ハロゲン化銀乳剤層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする導電性材料前駆体。
(2)上記(1)に記載の導電性材料前駆体を利用し、像様に析出させた金属銀を触媒核として金属をめっきすることを特徴とする導電性材料の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)支持体上に、少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有し、これに可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ、像様に金属銀を析出させることによって導電性材料を形成する導電性材料前駆体であって、前記ハロゲン化銀乳剤層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする導電性材料前駆体。
(2)上記(1)に記載の導電性材料前駆体を利用し、像様に析出させた金属銀を触媒核として金属をめっきすることを特徴とする導電性材料の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子回路、アンテナ回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途に用いることができる導電性材料前駆体、及びこれを用いた導電性材料の製造方法に関するものである。
近年、情報化社会が急速に発達するに伴って、情報関連機器に関する技術が急速に進歩し普及してきた。この中で、ディスプレイ装置は、テレビジョン用、パーソナルコンピューター用、駅や空港などの案内表示用、その他各種情報提供用に用いられている。特に、近年プラズマディスプレイが注目されている。
このような情報化社会の中にあって、これらのディスプレイ装置から放射される電磁波の影響が心配されている。例えば、周辺の電子機器への影響や人体への影響が考えられている。特に、人体の健康に及ぼす影響は無視することができないものになっており、人体に照射される電磁界の強度の低減が求められ、このような要求に対して様々の導電性材料が開発されている。例えば、特開平9−53030号、特開平11−126024号、特開2000−294980号、特開2000−357414号、特開2000−329934号、特開2001−38843号、特開2001−47549号、特開2001−51610号、特開2001−57110号、特開2001−60416号公報等に開示されている。
これらの導電性材料の製造方法としては、銀、銅、ニッケル、インジウム等の導電性金属をスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法によって樹脂フィルム上に金属薄膜を形成させる方法が一般的に用いられているが、これら従来方法では工法が極めて複雑になるため、高コストで生産性が悪いという問題が発生していた。
このような事情から、生産性の高い方法で、かつアディティブに導電性パタンを形成させる方法が求められてきた。ハロゲン化銀写真感光材料は解像力が高く、画像が金属銀であることから、このような応用に対して有力な候補と期待され、例えば国際公開第01/51276号パンフレット(特許文献1)では銀塩写真感光材料を導電性材料前駆体として用い、像露光、現像処理した後、金属めっき処理を施すことで透明導電性材料を製造する方法の提案がなされている。しかしながら、めっきの触媒となる銀画像は、親水性バインダー中に埋没しており、めっき液との接触が容易でないことや、汚染による触媒活性の低下により、金属めっき処理が困難であり、既存の方法に対する優位性を得るに至らなかった。
また特開2004−221564号公報(特許文献2)においては、特許文献1と同様に、物理現像やめっき処理により銀画像に外部から金属を供給することにより、導電性パタンを形成させるが、銀/ゼラチン体積比を高めることでそのめっきの効率が改善されることが開示されている。しかしながら同公報に開示されているような方法では外部からの金属の供給は必須であり、ハロゲン化銀感光材料中の銀のみでは、例えば電解めっきを行うための最低限の導電性を得るのも困難であった。
同じく銀塩感光材料を導電性材料前駆体として使う方法として銀塩拡散転写法を用いる方法も提案されており、例えば国際公開第2004/007810号パンフレット(特許文献3)などがある。この方法は銀は極微量のバインダーに、あるいは実質的にバインダーに覆われていないため、めっき液と現像銀との接触がし易く、また電解めっきを行うための最低限の導電性も得られる点から好ましい方法と言える。しかしながら電解めっきを均一に、効率的に行うためにはより高い導電性が求められていた。更には電磁波シールド材やタッチパネル等の用途においては、導電性材料には優れた導電性と光透過性が求められ、従って線幅を太くすることなく十分な導電性を持った微細な金属パタンを得る方法が求められていた。
特開2004−172041号公報(特許文献4)では、ハロゲン化銀乳剤層より支持体から遠い側に親水性ポリマーと共にポリマーラテックスを含有することが、また特開2004−207001号公報(特許文献5)では、ハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層との間に設けられる中間層に親水性ポリマーと共にポリマーラテックスを含有することが記載されているが、感光性層つまりハロゲン化銀乳剤層にポリマーラテックスを含有することは、記載されていない。
国際公開第01/51276号パンフレット(1頁)
特開2004−221564号公報(1〜5頁)
国際公開第2004/007810号パンフレット(1頁)
特開2004−172041号公報(1頁)
特開2004−207001号公報(10頁)
従って本発明の目的は、導電性が高い導電性材料を得ることができる導電性材料前駆体及び導電性材料の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
(1)支持体上に、少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有し、これに可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ、像様に金属銀を析出させることによって導電性材料を形成する導電性材料前駆体であって、前記ハロゲン化銀乳剤層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする導電性材料前駆体。
(2)上記(1)に記載の導電性材料前駆体を利用し、像様に析出させた金属銀を触媒核として金属をめっきすることを特徴とする導電性材料の製造方法。
(1)支持体上に、少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有し、これに可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ、像様に金属銀を析出させることによって導電性材料を形成する導電性材料前駆体であって、前記ハロゲン化銀乳剤層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする導電性材料前駆体。
(2)上記(1)に記載の導電性材料前駆体を利用し、像様に析出させた金属銀を触媒核として金属をめっきすることを特徴とする導電性材料の製造方法。
上記方法により、導電性が高い導電性材料を得ることができた。
以下本発明について説明をする。本発明における導電性材料前駆体は少なくとも物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層を支持体に近い方からこの順に有する。本発明における導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が支持体上に設けられる。本発明においてハロゲン化銀乳剤層にはバインダーとしてポリマーラテックスを用いる。ポリマーラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種のラテックスを用いることができる。共重合体としてはスチレン・ブタジエン、アクリル・スチレン、エチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトオキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等がある。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、本発明で用いるポリマーラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましい。
中でも好ましいポリマーラテックスは、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリル・スチレン共重合体、アクリル系ラテックスである。これらは例えば、日本エイアンドエル社からスチレン・ブタジエン共重合体としてスマーテックスPA−9281(平均粒径0.2ミクロン)がニチゴー・モビニール社からアクリル・スチレン共重合体としてモビニール880(平均粒径0.03ミクロン)が三井化学社からアクリル系ラテックスとしてS−498等が市販されており、利用することが出来る。これらポリマーラテックスをバインダーとしてハロゲン化銀乳剤層に添加することで、物理現像処理時にハロゲン化銀乳剤層の膨潤が低減することが出来、現像時に物理現像核近傍の銀錯塩濃度が高めることが可能となり、物理現像核に密度の高い金属銀が析出することで導電性が良化するものと考えられる。
ハロゲン化銀乳剤層には上記ポリマーラテックスとともに親水性ポリマーを用いることが好ましく、親水性ポリマーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。中でも好ましいのはゼラチンである。
本発明においてポリマーラテックスはその使用量が多過ぎると塗布性及び現像処理後不要となったハロゲン化銀乳剤層の除去性に悪影響を及ぼすため、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量の50質量%以下のポリマーラテックスが好ましく、さらに好ましくは、10〜30%のポリマーラテックス量である。又、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量としては0.4g〜5.0g/m2が好ましい。
ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀のハロゲン化物組成は、塩化物イオンのモル分率が50%以上であることが好ましく、特に塩化物イオンのモル分率が90%以上であることが好ましい。塩化物イオン以外には、臭化物イオン、ヨウ化物イオン及びフッ化物イオンが含まれていても良くこれらのいかなる組み合わせでもよい。
ハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、当業界では周知の方法が用いられる。なかでも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。また、導電性材料前駆体に含有されるハロゲン化銀の量は銀に換算して0.1g/m2以上、好ましくは0.3〜3g/m2である。本発明におけるハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができる。また、ハロゲン化銀粒子の構造も特に限定されるものではなく、例えば、臭化銀をコアとし塩化銀がそのコアを覆う構造でもよく、塩化銀をコアとして臭化銀がそのコアを覆う構造でも良い。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩若しくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。
本発明における物理現像核層の物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法によってプラスチック樹脂フィルム上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
本発明の導電性材料前駆体は、ハロゲン化銀乳剤層の上層に保護層を設けることが好ましい。この保護層とは、親水性ポリマーを主たるバインダーとする層である。ここでいう親水性ポリマーとは、後述するアルカリ処理液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層までアルカリ処理液を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。また本発明においては必要に応じて物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に中間層を設けても良い。この中間層はアルカリ処理液で銀錯塩拡散転写現像し、温水で水洗するときに物理現像核層上の不要になった層の除去を促進するのに好適である。この中間層も親水性ポリマーを主たるバインダーとするものである。保護層、中間層に用いる親水性ポリマーはゼラチンであることが好ましく、前述の特開2004−172041号公報、特開2004−207001号公報に記載されているようにポリマーラテックスを共に含んでも良い。
本発明における導電性材料前駆体には必要に応じて支持体のハロゲン化銀乳剤層とは反対面に裏塗り層を設けることができる。
導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料又は顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としてはハロゲン化銀乳剤層と支持体の間の中間層やあるいは裏塗り層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのがよい。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、たとえばハレーション防止剤として裏塗り層に含有させる場合、1平方メートル当たり、約20mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における光学濃度として、0.5以上である。
本発明の導電性材料前駆体に用いられる支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、ガラス板などが挙げられる。さらに本発明においては支持体上にハロゲン化銀乳剤層との接着性を向上させるための下引き層や帯電防止層などを必要に応じて設けることもできる。
上記導電性材料前駆体を用い、導電性材料を作製するための方法は、例えば網目状パタンの銀薄膜の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は網目状パタンに露光されるが、露光方法として、網目状パタンの透過原稿と導電性材料前駆体を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。上記したレーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることができる。
露光後、導電性材料をアルカリ処理液で銀錯塩拡散転写現像し、温水で水洗し、ハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層を除去する。このアルカリ処理液とは物理現像処理である銀錯塩拡散転写現像を行う際に用いる液である。物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ処理液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラ等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ処理液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物でり、これらの作用はアルカリ処理液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物が挙げられる。
次に、本発明に用いられる還元剤について説明する。還元剤は写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に支持体に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ処理液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよい。上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、少なくともアルカリ処理液中に含有させるのが好ましい。
アルカリ処理液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
アルカリ処理液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14が好ましい。本発明において銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ処理液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ処理液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた導電性材料前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ処理液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
本発明において、導電性及び金属光沢を向上させるための好ましい態様は、アルカリ処理液を適用するときのアルカリ処理液の温度を18℃〜22℃とすることが適当である。アルカリ処理液の適用時間は、20秒〜3分程度が適当である。この態様は、特に浸漬方式の場合に好適である。
本発明では、前記露光及び現像処理により形成された現像銀部に更に高い導電性を付与する目的で、現像処理の後にめっき処理を行うことも好ましい。本発明において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。
本発明における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術、例えば無電解ニッケルめっき,無電解コバルトめっき、無電解金めっき、銀めっきなどを用いることができるが、低コストにて十分な導電性と光透過性を得るためには無電解銅めっきを行うことが好ましい。
本発明における無電解銅めっき液には硫酸銅や塩化銅など銅の供給源、ホルマリンやグリオキシル酸、テトラヒドロホウ酸カリウム、ジメチルアミンボランなど還元剤、EDTAやジエチレントリアミン5酢酸、ロシェル塩、グリセロール、メソーエリトリトール、アドニール、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、イミノ2酢酸、t−1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸、1,3−ジアミノプロパンー2−オール,グリコールエーテルジアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の銅の錯化剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのpH調整剤などが含有される。さらにその他に浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジル、o−フェナントロリン、ネオクプロイン、チオ尿素、シアン化物などを含有させることも出来る。めっき液は安定性を増すためエアレーションを行う事が好ましい。
無電解銅めっきでは前述の通り種々の錯化剤を用いることができるが、錯化剤の種類により酸化銅が共析し、導電性に大きく影響したり、あるいはトリエタノールアミンなど銅イオンとの錯安定定数の低い錯化剤は銅が沈析しやすいため、安定しためっき液やめっき補充液が作り難いなどということが知られている。従って工業的に通常用いられる錯化剤は限られており、本発明においても同様の理由でめっき液の組成として特に錯化剤の選択は重要である。特に好ましい錯化剤としては銅錯体の安定定数の大きいEDTAやジエチレントリアミン5酢酸などが挙げられ、このような好ましい錯化剤を用いためっき液としては例えばプリント基板の作製に使用される高温タイプの無電解銅めっきがある。高温タイプの無電解銅めっきの手法については「無電解めっき 基礎と応用」(電気鍍金研究会編)p105などに詳しく記載されている。高温タイプのめっきでは通常60〜70℃で処理し、処理時間は無電解めっき後に電解めっきを施すかどうかで変わってくるが、通常1〜30分、好ましくは3〜20分無電解めっき処理を行うことで本発明の目的を達することが出来る。
本発明において銅以外の無電解めっき処理を行う場合は例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)p406〜432記載の方法などを用いる事ができる。
本発明においては無電解めっき以外にも電解めっきを施すこともできる。特に本発明では、ハロゲン化銀乳剤層にポリマーラテックスを含有させることで十分な導電性が得られるので無電解めっきを行わずとも、最初から電解めっきを行う事も十分可能である。電解めっきとしては銅めっきやニッケルめっき、亜鉛めっき、カドミウムめっき、錫めっき、合金めっきなど種々のめっき法が知られている、無電解めっき同様低コストで光透過性、導電性を確保するためには銅めっきを用いる事が好ましい。銅めっき法としては公知の硫酸銅めっき、ホウフッ化銅めっき、シアン化銅めっき、ピロリン酸銅めっきなどいずれの方法でも用いる事ができるが、廃液の簡便さから硫酸銅めっき、特にハイスロ−硫酸銅めっきを用いることが好ましい。これら電解めっき法の詳細は例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)p75〜112などに記載されている。
本発明では、めっき処理の前に金属銀部を無電解めっきを促進させる目的でパラジウムを含有する溶液で活性化処理することもできる。パラジウムとしては2価のパラジウム塩あるいはその錯体塩の形でも良いし,また金属パラジウムであっても良い。しかし、液の安定性、処理の安定性から好ましくはパラジウム塩あるいはその錯塩を用いることが良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
本発明における導電性材料を得るために、支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この支持体上に下記組成の裏塗り層を塗布、乾燥した。
<裏塗り層組成>
ゼラチン 2g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg/m2
界面活性剤(S−1) 400mg/m2
染料1 200mg/m2
ゼラチン 2g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg/m2
界面活性剤(S−1) 400mg/m2
染料1 200mg/m2
次に裏塗り層を有する支持体の裏塗り層と反対側に下記のようにして作製した硫化パラジウムからなる物理現像核層塗液を硫化パラジウムが固形分で0.4mg/m2になるように塗布、乾燥した。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核層塗液の調製>
前記硫化パラジウムゾル 50ml
1質量%の石灰処理ゼラチン溶液 20ml
2質量%のグルタルアルデヒド溶液 20ml
界面活性剤(S−1) 1g
水を加えて全量を2000mlとする。
前記硫化パラジウムゾル 50ml
1質量%の石灰処理ゼラチン溶液 20ml
2質量%のグルタルアルデヒド溶液 20ml
界面活性剤(S−1) 1g
水を加えて全量を2000mlとする。
続いて下記組成の中間層を物理現像核層上に塗布、乾燥した。
<中間層組成>
ゼラチン 0.25g/m2
界面活性剤(S−1) 3mg/m2
ゼラチン 0.25g/m2
界面活性剤(S−1) 3mg/m2
続いて、本発明におけるハロゲン化銀乳剤を作製する。ハロゲン化銀乳剤は写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法でpAgを7.5に保ち作製した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀90モル%と臭化銀10モル%であり、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い金イオウ増感を施した。続いて銀換算で2.54gのハロゲン化銀乳剤に対し、ゼラチン、ポリマーラテックスであるPA−9281、モビニール880,S−498をそれぞれ表1に記載した量(固形分量)を、また1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを3.0mg/m2、界面活性剤(S−1)を20mg/m2を添加した。
このように作製した、乳剤1から16をそれぞれ中間層の上に銀量で2.54g/m2になるように塗布、乾燥した。続いて下記組成の保護層を乳剤層の上に塗布、乾燥し導電性材料前駆体を得た。
<保護層組成>
ゼラチン 1g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm)15mg/m2
界面活性剤(S−1) 3mg/m2
ゼラチン 1g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm)15mg/m2
界面活性剤(S−1) 3mg/m2
このようにして得た導電性材料前駆体を、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介し、細線幅20μmで格子間隔250μmの網目パタンの透過原稿を密着させて露光した。
露光した導電性材料前駆体を下記組成のアルカリ処理液(銀錯塩拡散転写用現像液)で20℃で60秒の浸漬処理を行ったのち40℃温水で水洗し中間層、ハロゲン化銀乳剤層、保護層を除去して乾燥を行った。
<アルカリ処理液>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸ナトリウム 30g
モノメチルエタノールアミン 10g
全量を水で 1000ml
pH=13に調整する。
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸ナトリウム 30g
モノメチルエタノールアミン 10g
全量を水で 1000ml
pH=13に調整する。
上記のようにして得られた網目パタン状銀薄膜が形成された導電性材料の表面抵抗率は、(株)ダイアインスツルメンツ製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて、JIS K 7194に従い測定した。また塗布性に関しては、塗布後の塗布面、温水水洗後の銀薄膜面を観察し、塗布後、水洗後とも非常に良好なものを○とし、筋やムラがあるものを△とした。水洗除去性に関しては、5秒未満で除去できたものを○とし、5秒以上10秒未満で除去できたものを△とした。以上の結果を表2にまとめた。
表2から明らかなように表面抵抗率が低い導電性材料が得られた。
続いて、これらの1から16の試料を14インチ角に裁断し、下記配合の電気銅めっき液を用いて電解めっきを行った。
<電気銅めっき液>
水 全量が1000mlとなる量
硫酸銅五水和物 200g
濃硫酸 60g
塩化物イオン 50mg
めっき条件は25℃で2A/dm2で5分行った。めっき後、1から16の導電性材料の表面抵抗率は、(株)ダイアインスツルメンツ製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて、JIS K 7194に従い測定した。試料の中央部分と四隅の平均の表面抵抗率の測定結果を表3にまとめた。
<電気銅めっき液>
水 全量が1000mlとなる量
硫酸銅五水和物 200g
濃硫酸 60g
塩化物イオン 50mg
めっき条件は25℃で2A/dm2で5分行った。めっき後、1から16の導電性材料の表面抵抗率は、(株)ダイアインスツルメンツ製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて、JIS K 7194に従い測定した。試料の中央部分と四隅の平均の表面抵抗率の測定結果を表3にまとめた。
表3からも明らかなように本発明における導電性材料はめっき性も良好であるものが得られた。
Claims (2)
- 支持体上に、少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有し、これに可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ、像様に金属銀を析出させることによって導電性材料を形成する導電性材料前駆体であって、前記ハロゲン化銀乳剤層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする導電性材料前駆体。
- 請求項1に記載の導電性材料前駆体を利用し、像様に析出させた金属銀を触媒核として金属をめっきすることを特徴とする導電性材料の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2006061595A JP2007242807A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 導電性材料前駆体及びこれを用いた導電性材料の製造方法 |
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