以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係る自動変速機の制御方法および自動変速機の制御装置の一実施の形態を示す構成図である。
エンジン1には、エンジン1の回転数Neを計測するエンジン回転数センサ2、エンジントルクを調節する電子制御スロットル3が設けられており、エンジン1のトルクを高精度に制御することができるようになっている。すなわち、このエンジン1では、吸気管(図示しない)に設けられた電子制御スロットル3により吸入空気量が制御され、この吸入空気量に見合う燃料量が燃料噴射装置(図示しない)から噴射される。また、エンジン1においては、この空気量および燃料量から決定される空燃比、エンジン回転数Neなどの信号から点火時期が決定され、点火装置(図示しない)により点火するようになっている。この燃料噴射装置には、燃料が吸気ポートに噴射される吸気ポート噴射方式あるいはシリンダ内に直接噴射される筒内噴射方式があるが、エンジンに要求される運転域(エンジントルク、エンジン回転数で決定される領域)を比較して燃費が低減でき、かつ排気性能が良い方式のエンジンを用いるのが有利である。
エンジン1のエンジン出力軸4には、第1のクラッチ5が設けられており、エンジン1のトルクを入力軸11に伝達することが可能である。第1のクラッチ5には、一般に乾式単板方式が用いられるが、湿式多板クラッチや電磁クラッチなどすべての摩擦クラッチを用いることも可能である。この入力軸11には、第1のドライブギヤ6、第2のドライブギヤ7、第3のドライブギヤ8および第4のドライブギヤ9が設けられている。この第1のクラッチ5の押付け力(クラッチトルク)の制御には、油圧によって駆動するアクチュエータ25が用いられており、この第1のクラッチ5の押付け力(クラッチトルク)を調節することで、エンジン1のエンジン出力軸4から入力軸11への動力伝達の断、接を行うことができるようになっている。
また、第1のドライブギヤ6、第2のドライブギヤ7、第3のドライブギヤ8および第4のドライブギヤ9は、入力軸11に固定されている。第4のドライブギヤ9は前記入力軸11の回転数Ninを検出するのにも用いられ、第4のドライブギヤ9の近傍に、第4のドライブギヤ9の回転数を検出して入力軸11の回転数Ninを検出するセンサ10が設けられている。
一方、変速機の駆動輪出力軸12には、第1のドリブンギヤ13、第2のドリブンギヤ14、第3のドリブンギヤ15、第4のドリブンギヤ16が回転自在に設けられている。この第1のドリブンギヤ13は、第1のドライブギヤ6と噛合しており、第2のドリブンギヤ14は、第2のドライブギヤ7と噛合しており、第3のドリブンギヤ15は、第3のドライブギヤ8と噛合しており、第4のドリブンギヤ16は、第4のドライブギヤ9と噛合している。
そして、第1のドリブンギヤ13と第2のドリブンギヤ14の間には、第1のドリブンギヤ13を駆動輪出力軸12に係合させたり、第2のドリブンギヤ14を駆動輪出力軸12に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第2のクラッチ(噛み合いクラッチ、又はドッグクラッチと呼ばれる)18が設けられている。この第1のドリブンギヤ13および第2のドリブンギヤ14には、駆動輪出力軸12の軸方向に移動しないようストッパー(図示しない)が設けられている。また、第2のクラッチ18は、駆動輪出力軸12に設けられた複数の溝(図示しない)と噛み合う溝(図示しない)が設けられており、駆動輪出力軸12の軸方向には移動可能になっているが、駆動輪出力軸12の回転方向への移動は制限されるように構成されている。したがって、第1のドライブギヤ6又は第2のドライブギヤ7から第1のドリブンギヤ13又は第2のドリブンギヤ14に伝達された回転トルクは、第2のクラッチ18に伝達され、第2のクラッチ18を介して駆動輪出力軸12に伝達されることになる。
また、第3のドリブンギヤ15と第4のドリブンギヤ16の間には、第3のドリブンギヤ15を駆動輪出力軸12に係合させたり、第4のドリブンギヤ16を駆動輪出力軸12に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第3のクラッチ(噛み合いクラッチ、又はドッグクラッチと呼ばれる)19が設けられている。この第3のドリブンギヤ15および第4のドリブンギヤ16には、駆動輪出力軸12の軸方向に移動しないようストッパー(図示しない)が設けられている。また、第3のクラッチ19は、駆動輪出力軸12に設けられた複数の溝(図示しない)と噛み合う溝(図示しない)が設けられており、駆動輪出力軸12の軸方向には移動可能になっているが、駆動輪出力軸12の回転方向への移動は制限された構成されている。したがって、第3のドライブギヤ8又は第4のドライブギヤ9から第3のドリブンギヤ15又は第4のドリブンギヤ16に伝達された回転トルクは、第3のクラッチ19に伝達され、第3のクラッチ19を介して駆動輪出力軸12に伝達されることになる。
このように、入力軸11の回転トルクを第2のクラッチ18に伝達するためには、第2のクラッチ18を駆動輪出力軸12の軸方向に移動させ、第2のクラッチ18を第1のドリブンギヤ13又は第2のドリブンギヤ14と締結する必要があり、第1のドリブンギヤ13又は第2のドリブンギヤ14と駆動輪出力軸12とを締結するには、第2のクラッチ18を移動する訳であるが、この第2のクラッチ18を移動するには、油圧によって駆動するアクチュエータ24が用いられている。この第2のクラッチ18を第1のドリブンギヤ13又は第2のドリブンギヤ14に締結させることで、入力軸11の回転トルクを第2のクラッチ18を介して駆動輪出力軸12へと伝達することができる。また、第2のクラッチ18は駆動輪出力軸12の回転数Noを検出するのに用いられており、駆動輪出力軸12の回転数を検出するセンサ17が第2のクラッチ18の近傍に設けられている。
また、入力軸11の回転トルクを第3のクラッチ19に伝達するためには、第3のクラッチ19を駆動輪出力軸12の軸方向に移動させ、第3のクラッチ19を第3のドリブンギヤ15又は第4のドリブンギヤ16と締結する必要があり、第3のドリブンギヤ15又は第4のドリブンギヤ16と駆動輪出力軸12とを締結するには、第3のクラッチ19を移動する訳であるが、この第3のクラッチ19を移動するには、油圧によって駆動するアクチュエータ23が用いられている。この第3のクラッチ19を第3のドリブンギヤ15又は第4のドリブンギヤ16に締結させることで、入力軸11の回転トルクを第3のクラッチ19を介して駆動輪出力軸12へと伝達することができる。
このように第1のドライブギヤ6、第2のドライブギヤ7、第3のドライブギヤ8、第4のドライブギヤ9から、第1のドリブンギヤ13、第2のドリブンギヤ14、第3のドリブンギヤ15、第4のドリブンギヤ16を介して駆動輪出力軸12に伝達された入力軸11の回転トルクは、ディファレンシャルギヤ20を介して車軸21に伝えられ、駆動輪22を回転させる。
これら第1のクラッチを駆動するアクチュエータ25、第2のクラッチを駆動するアクチュエータ24、第3のクラッチを駆動するアクチュエータ23は、油圧制御ユニット26によって各アクチュエータに加える油圧を制御し、各アクチュエータに設けられた油圧シリンダ(図示せず)のストローク量を調節して、各クラッチの制御を行っている。また、電子制御スロットル3は、エンジン制御ユニット27によってスロットル開度を制御するようになっている。そして、油圧制御ユニット26とエンジン制御ユニット27は、パワートレイン制御ユニット100によってコントロールされている。
このパワートレイン制御ユニット100は、図2に示す如く、車速検出手段101と、発進・変速指令生成手段102と、ドッグクラッチ制御手段103と、発進クラッチ制御手段104と、エンジントルク制御手段105と、運転者意志検出手段110とによって構成されている。
この車速検出手段101は、センサ17から出力される駆動輪出力軸12の回転数Noを取り込み車速を検出するためのものである。また、運転者意志検出手段110は、Pレンジ・Rレンジ・Nレンジ・Dレンジ等、シフトレバーの位置を示す信号と、アクセルペタル踏込み量αと、ブレーキが踏み込まれているか否かを検出するブレーキスイッチからのオン・オフ信号と、ブレーキマスタのシリンダ圧値を取り込み、運転者の走行希望意志を検出するものである。すなわち、この運転者意志検出手段110は、例えば、運転者がシフトレンジをDレンジ等にしてアクセルペダルを踏み込んだときは運転者に発進・加速の意志があると判断して、発進・加速の意志有りを検出し、また、運転者がブレーキペダルを踏み込んだときは運転者に減速・停止の意志があると判断し、減速・停止の意志有りを検出するものである。
また、発進・変速指令生成手段102は、運転者意志検出手段110から出力される運転者の意志(発進・加速の意志か、減速・停止の意志か)を示す信号と、道路勾配検出センサによって検出される道路勾配を示す信号値と、車速検出手段101から出力される車速値と、第2のクラッチ18、第3のクラッチ19の位置が何処にあるかを検出するセンサからのドッグクラッチ位置信号を取り込み、発進・変速の指令信号を出力するものである。この発進・変速指令生成手段102から発進・変速の指令が出力されると、この指令値は、ドッグクラッチ制御手段103と、発進クラッチ制御手段104と、エンジントルク制御手段105に入力される。
また、ドッグクラッチ制御手段103は、第2のクラッチ18、第3のクラッチ19の位置がどこにあるかを検出するセンサから出力されるドッグクラッチ位置信号と、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の位置(油圧シリンダのストローク量)を示す信号を取り込み、発進・変速指令生成手段102から出力される発進指令又は変速指令に基づいて第2のクラッチ18、第3のクラッチ19を駆動するアクチュエータ24、23に油圧を制御する油圧制御指令値を出力するものである。このドッグクラッチ制御手段103は、発進・変速指令生成手段102から出力される発進指令又は変速指令に基づいてアクチュエータ24、23を駆動し、第2のクラッチ18、第3のクラッチ19の締結・解放を制御している。
発進クラッチ制御手段104は、発進・変速指令生成手段102から出力される指令信号が、発進指令の場合は、第2のクラッチ18、第3のクラッチ19の位置がどこにあるかを検出するセンサから出力されるドッグクラッチ位置信号と、センサ10から出力される変速機の入力軸11の回転数Niと、スロットル開度センサから出力されるスロットル開度値と、エンジン回転数センサ2から出力されるエンジン1の回転数Neと、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の位置(油圧シリンダのストローク量)を示す信号を取り込み、これらの入力値から発進時における発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結・スリップ・解放の制御を行うアクチュエータ25の駆動油圧指令値を出力するものである。また、この発進クラッチ制御手段104は、発進・変速指令生成手段102から出力される指令信号が、変速指令の場合は、第2のクラッチ18、第3のクラッチ19の位置がどこにあるかを検出するセンサから出力されるドッグクラッチ位置信号と、センサ10から出力される変速機の入力軸11の回転数Niと、スロットル開度センサから出力されるスロットル開度値と、エンジン回転数センサ2から出力されるエンジン1の回転数Neと、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の位置(油圧シリンダのストローク量)を示す信号を取り込み、これらの入力値から変速時における発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結・スリップ・解放の制御を行うアクチュエータ25の駆動油圧指令値を出力するものである。
そして、エンジントルク制御手段105は、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の位置と、エンジン回転数センサ2から出力されるエンジン1の回転数Neと、スロットル開度センサから出力されるスロットル開度値と、発進・変速指令生成手段102から出力される発進時か変速時かの発進指令又は変速指令に基づいて、目標スロットル開度を求めて出力するものである。
次に、発進時における発進クラッチ(第1のクラッチ5)を締結するときの制御について図3〜図6を用いて説明する。
図3は発進時における発進クラッチ(第1のクラッチ5)を締結するときの制御のタイムチャート、図4は発進時における発進クラッチ(第1のクラッチ5)を締結するときの制御のフローチャート、図5は発進クラッチ(第1のクラッチ5)の目標位置を検出する手法を示す説明図、図6は発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結のときのスロットルバルブの制御のフローチャートである。
図3において、シフトレバーがドライブレンジ(D)にあり、第1のドリブンギヤ13(1速ドリブンギヤ)に第2のクラッチ18を締結した状態にある。このとき発進クラッチ(第1のクラッチ5)は解放状態にある。この状態から、いま、アクセルペタルが踏み込まれ、アクセルペタルの踏込量が所定値(αSTA)に達するaの時点で、スロットルバルブの開度を目標スロットル開度(θRef1)になるように制御すると共に、発進クラッチ(第1のクラッチ5)を締結駆動させるストロークが移動(発進クラッチ位置の移動)し始める。このスロットルバルブの開度を目標スロットル開度(θRef1)に保持している状態で、発進クラッチ(第1のクラッチ5)が締結(スリップ係合)し始める(bの時点)と、発進クラッチ伝達トルクは上昇し始める。これと同時に、駆動輪出力軸12の出力トルクToutが上昇し始める。
このように発進クラッチ(第1のクラッチ5)が締結(スリップ係合)し始める(bの時点)と、再度スロットルバルブを開き始め、所定開度まで開く。図のb点からc点(入力軸11の回転数Niが所定値cNiに達した時点)までの間は、エンジン1のトルクに基づき発進クラッチ(第1のクラッチ5)の伝達トルクを制御する。すなわち、エンジン回転数センサ2から入力されるエンジン回転数Neとスロットル開度θとに基づき、図5に示す如きスロットル開度によって決まるエンジン回転数Neに対する推定エンジントルク値を示す推定エンジントルクマップ501から、そのときの推定エンジントルク値を求める。この推定エンジントルク値によって、図5に示す如き推定エンジントルクに対する発進クラッチ位置(第1のクラッチ5のストローク位置)を示す特性マップ502から、推定エンジントルク値を示す推定エンジントルクマップ501から求めた推定エンジントルク値に基づいて発進クラッチ目標位置(第1のクラッチ5のストローク目標位置)を求め、このストローク目標位置になるようにアクチュエータ25の油圧を制御して第1のクラッチ5のストロークを移動する。
図のc点からd点(エンジン回転数Neと入力軸回転数Niとの差が所定値に達した時点)までの間は、エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの差に基づくフィードバック制御により発進クラッチの伝達トルクを制御し、この発進クラッチ伝達トルクに基づいてエンジントルクを制御(エンジントルク制御手段105)する。すなわち、エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの差をフィードバック値として、発進クラッチ伝達トルクを制御して、エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの回転数の差を所定値になるように制御する。このフィードバック制御は、入力軸11の回転数Niをエンジン回転数Neに近づくように発進クラッチ(第1のクラッチ5)のストロークの移動制御(発進クラッチ位置制御)をエンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの差の回転数が所定値になるまで行う。ここで,このフィードバック制御は,エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの回転数差が大きいときは発進クラッチの伝達トルクの増加量を大きく、回転数差が小さいときは発進クラッチの伝達トルクの増加量を小さくするよう制御する。
この制御は、エンジン回転数センサ2から入力されるエンジン回転数Neとセンサ10から入力される入力軸11の回転数Niとの差の回転数を求め、エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの差の回転数が所定値になる(dの時点)まで行う。このときのエンジン回転数Neは、スロットルバルブが開き始めるので高くなっていく筈であるが、このとき第1のクラッチ5の締結が徐々に行われ、エンジンに負荷が掛かるため、略同じ回転数に保たれる。また、入力軸11の回転数Niは、第1のクラッチ5が締結されていくにしたがって徐々に上がっていく。この入力軸11の回転数Niの上がりに比例して車速Vspも上がっていく。また、駆動輪出力軸12の出力トルクToutは、第1のクラッチ5が締結され始めた時点(bの時点)から上昇し始め、エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの差の回転数がある値になる頃に安定してくる。
この回転数差によるフィードハック制御によって、エンジン回転数Neと入力軸11の回転数Niとの差が所定値になる(dの時点)と、発進クラッチ伝達トルクが所定範囲内になるように発進クラッチの締結を制御する。この発進クラッチ伝達トルクの制御は、発進クラッチ(第1のクラッチ5)を駆動するストローク量を制御することにより行うことができる。あるいは、発進クラッチ(第1のクラッチ5)を駆動するアクチュエータ25の油圧を制御することにより行うことができる。上記制御は、第1のクラッチ5が締結状態になったことが確認される(eの時点)まで行い、この第1のクラッチ5が締結状態になったことの確認は、エンジン回転数Neと入力軸の回転数Niとが同一回転数になったことで行う。
第1のクラッチ5が締結状態になったことを確認した(eの時点)後、第1のクラッチ5を完全に締結させて(油圧を解放して)、発進時の制御は終了となる。
次に、図3に図示のタイムチャートに基づく第1のクラッチ5を締結するときの制御を図4に図示のフローチャートを用いて説明する。
図において、ステップ401において、シフトレバーがドライブレンジ(D)にあり、第1のドリブンギヤ13(1速ドリブンギヤ)が第2のクラッチ18によって締結されている状態で、アクセルペタルが踏み込まれ、発進・変速指令生成手段102から発進の指令が出力されると、ステップ402において、発進クラッチ目標位置STARefをSTARef=STARef1として演算する。
このステップ402において発進クラッチ目標位置が演算されると、ステップ403において、ステップ402で求めた発進クラッチ目標位置に基づいて第1のクラッチ5のストローク量を制御するアクチュエータ25の油圧指令値(TSTAP)を出力する。このアクチュエータ25の油圧指令値(TSTAP)に基づいて第1のクラッチ5のストロークが制御される。
このステップ403においてアクチュエータ25の油圧指令値(TSTAP)が出力されると、ステップ404において、発進クラッチ(第1のクラッチ5のストローク)位置(STAPos)が、発進クラッチ目標位置(STARef1)になったか否かを判定し、発進クラッチ(第1のクラッチ5のストローク)位置(STAPos)が、発進クラッチ目標位置(STARef1)になるまで待ち、ステップ404において発進クラッチ(第1のクラッチ5のストローク)位置(STAPos)が、発進クラッチ目標位置(STARef1)になったと判定すると、ステップ405において、入力軸の回転数Niをセンサ10から取り込み、ステップ406において、エンジン回転数センサ2からエンジン回転数Neを取り込み、ステップ407において、スロットル開度θを取り込む。
そして、ステップ408において、エンジン回転数Neと、スロットル開度θから発進クラッチ目標位置(第1のクラッチ5のストローク目標位置)を演算し、ステップ409において、このステップ408において演算した発進クラッチ目標位置の値を油圧制御ユニット26に出力する。そして、ステップ410において、入力軸の回転数Niが所定の回転数(cNi)になったか否かを見ており、入力軸の回転数Niが所定の回転数(cNi)になったと判定すると、ステップ411において、入力軸の回転数Niをセンサ10から取り込み、ステップ412において、エンジン回転数センサ2からエンジン回転数Neを取り込む。そして、ステップ413において、入力軸の回転数Niとエンジン回転数Neとの差の回転数(EN)を演算し、ステップ414において、この差の回転数(EN)から発進クラッチ目標位置(STARef1)を演算して求める。エンジン回転数Neと入力軸の回転数Niとの回転数差(EN)が大きいときは発進クラッチ目標位置(STARef1)の増加量を大きく、回転数差が小さいときは発進クラッチ目標位置(STARef1)の増加量を小さくする。このステップ414において発進クラッチ目標位置が演算されると、ステップ415において、ステップ414で求めた発進クラッチ目標位置に基づいて第1のクラッチ5のストロークを制御するアクチュエータ25の油圧指令値(TSTAP)を出力する。このアクチュエータ25の油圧指令値(TSTAP)に基づいて第1のクラッチ5を駆動するアクチュエータ25が制御され、ストローク量が制御される。
次に、ステップ416において、差の回転数(EN)が第1の設定回転数(cEN1)より小さくなったか否かを判定し、ステップ416において、差の回転数(EN)が所定の回転数(cEN1)より小さくなったと判定すると、ステップ417において、第1のクラッチを駆動するストローク位置の目標位置を演算し、ステップ418において、この演算結果を出力する。そして、ステップ419において、差の回転数(EN)が第2の設定回転数(cEN2)より小さくなったか否かを判定し、ステップ419において、差の回転数(EN)が第2の設定回転数(cEN2)より小さくなったと判定すると、ステップ420において、第1のクラッチ5を駆動するストローク位置を制御するアクチュエータ25の油圧指令値(TSTAP)として「0」(油圧を解放)を出力する。
図6には、第1のクラッチ5の締結が行われる際のスロットルバルブの制御のフローチャートが示されている。
図において、ステップ601において、シフトレバーがドライブレンジ(D)にあり、第1のドリブンギヤ13(1速ドリブンギヤ)が第2のクラッチ18によって締結されている状態で、アクセルペタルが踏み込まれ、発進・変速指令生成手段102から発進の指令が出力されると、ステップ602において、スロットルバルブの第1の開度を演算し、目標スロットル開度θRef(θRef1)をエンジントルク制御手段105で設定し、ステップ603において、ステップ602で設定した目標スロットル開度θRefをエンジントルク制御手段105から電子制御スロットル3に出力する。そして、ステップ604において、発進クラッチ(第1のクラッチ5のストローク)位置(STAPos)が、発進クラッチ目標位置(STARef1)になったか否かを判定し、発進クラッチ(第1のクラッチ5のストローク)位置(STAPos)が、発進クラッチ目標位置(STARef1)になったと判定すると、ステップ605において、アクセルペタルの踏込量αを読み込む。さらに、ステップ606において、目標スロットル開度θRefに所定のスロットル開度dθを加算した第2の目標スロットル開度θRef(k)をエンジントルク制御手段105でθRef(k)=θRef(k−1)+dθとして演算し、このステップ606において演算した第2の目標スロットル開度θRef(k)を電子制御スロットル3に出力する。ただし、θRef(k)は、パワートレイン制御ユニット100内で一定周期毎に演算を実行する場合の目標スロットル開度の現在計算値、θRef(k−1)は目標スロットル開度の前回計算値であり、dθは一定周期毎のたし込み量である。このように演算することで、目標スロットル開度θRef(k)をランプ状に制御する(一定の傾きで上昇させる)ことが可能となる。その後、ステップ608において、スロットル開度θが第2の目標スロットル開度F(α)になったか否かを判定し、スロットル開度θが第2の目標スロットル開度F(α)になれば、このフローを終了する。
次に、変速時における第1のクラッチ5を締結するときの制御について図7を用いて、1速から2速に変速する場合を例にとって説明する。
変速時は、第1のドリブンギヤ13(1速ドリブンギヤ)に第2のクラッチ18を締結した状態で、1速から2速への変速要求があると、まず、aの時点で発進クラッチ(第1のクラッチ5)を解放(発進クラッチ伝達トルクが「0」になる)する。このとき、スロットルバルブの開度を目標スロットル開度に下げる。
この発進クラッチの解放によって出力軸トルクも下がってくる。その後、bc間で、第2のクラッチ(噛み合いクラッチ)18を第1のドリブンギヤ13(1速のドリブンギヤ)との締結を解除し、第2のクラッチ(噛み合いクラッチ)18を第2のドリブンギヤ14(2速のドリブンギヤ)に締結する。
しかる後、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結制御を行うわけであるが、このときの発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結制御は、図3で説明した制御と同様に行う。
図8には、本発明に係る自動車の制御装置の第2の実施の形態が示されている。本実施の形態が、図1に図示の実施の形態と異なる点は、図1に図示の実施の形態が4速変速の自動MTでドリブンギヤの切替クラッチを噛み合いクラッチで構成しているのに対し、本実施の形態が5速変速の自動MTで、1速ドリブンギヤと2速ドリブンギヤとの切替と、4速ドリブンギヤと5速ドリブンギヤとの切替に噛み合いクラッチを用い、3速ドリブンギヤの締結・解放に摩擦方式(例えば、湿式多板方式)のクラッチを用いている点である。その他は、図1に図示の実施の形態と異なる点はない。
すなわち、駆動輪出力軸12に、第2のドリブンギヤ14と第3のドリブンギヤ15の間に第5のドリブンギヤ802が回転自在に設けられており、この第5のドリブンギヤ802に噛合する第5のドライブギヤ801が入力軸11に固着されている。この第5のドリブンギヤ802と駆動輪出力軸12との係合は、摩擦方式の第4のクラッチ803で行っている。この第4のクラッチ803の制御は、アクチュエータ804によって制御される。
図9には、本発明に係る自動車の制御装置の第3の実施の形態が示されている。
本実施の形態が、図1に図示の実施の形態と異なる点は、図1に図示の実施の形態が第一のクラッチ5でエンジントルクを入力軸11に伝達するように構成されているのに対し、本実施の形態がツインクラッチで構成している点である。すなわち、901は乾式単板方式の第2クラッチであり、第2入力軸902に直結されている。903は乾式単板方式の第1クラッチであり、入力軸11に直結されている。この第2入力軸902は中空になっており、入力軸11は、その第2入力軸902の中空部分を貫通し、第2入力軸902に対し回転方向への相対運動が可能な構成となっている。この第2入力軸902には、第1のドライブギヤ6と第2のドライブギヤ7が固定されており、入力軸11に対しては、回転自在となっている。この乾式単板方式の第2クラッチ901の制御は、アクチュエータ905によって、乾式単板方式の第1クラッチ903の制御は、アクチュエータ904によって行われる。
図10には本発明の他の実施形態によるパワートレイン制御ユニット100の構成が示されている。この図10に図示のパワートレイン制御ユニット100は、図2に図示のパワートレイン制御ユニット100と同様で、図10に図示のパワートレイン制御ユニット100が、図2に図示のパワートレイン制御ユニット100と異なる点は、図2に図示のパワートレイン制御ユニット100が発進クラッチ位置をドッグクラッチ制御手段103と、発進クラッチ制御手段104と、エンジントルク制御手段105に入力しているのに対し、図10に図示のパワートレイン制御ユニット100は、発進クラッチ油圧値をドッグクラッチ制御手段103と、発進クラッチ制御手段104と、エンジントルク制御手段105に入力している点である。制御動作については、図10に図示のパワートレイン制御ユニット100と大差ない。
図11には、図10に示したパワートレイン制御ユニット100を用いたときの第1のクラッチ5を締結するときの制御のタイムチャートが示されている。
図11に図示のタイムチャートが図3に図示のタイムチャートと異なる点は、図3に図示のタイムチャートが(C1)発進クラッチ位置信号により(C2)発進クラッチ伝達トルクを制御しているのに対し、図11に図示のタイムチャートは、(C1)発進クラッチ油圧信号により(C2)発進クラッチ伝達トルクを制御している点である。すなわち、この発進クラッチ油圧値(STAPrs)は、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結を大きくするにしたがって下げることになる。これによって発進クラッチ伝達トルク(STATq)は、発進クラッチ油圧値(STAPrs)を下げるにしたがって上がっていく。
次に、クリープトルク制御について、図12〜図29を用いて説明する。
図12はブレーキスイッチを用いたクリープトルク制御の実行要求判定のフローチャート、図13はブレーキマスタシリンダ圧を用いたクリープトルク制御の実行要求判定のフローチャート、図14は目標クリープトルク値を演算するフローチャート、図15は目標クリープトルク値を求めるマップ、図16は発進クラッチの位置を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープ制御のタイムチャート、図17は発進クラッチの油圧を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープ制御のタイムチャート、図18は目標クラッチ伝達トルク値を演算するフローチャート、図19は発進クラッチの位置を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープ実行要求があったときの発進クラッチ位置の演算処理フローチャート、図20は目標クラッチ伝達トルクから発進クラッチ目標位置を求める制御マップ、図21は発進クラッチの油圧を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープ実行要求があったときの発進クラッチ目標油圧値の演算処理フローチャート、図22は目標クラッチ伝達トルクから発進クラッチ目標油圧値を求める制御マップ、図23はクリープ実行要求があったときのスロットル開度の制御フローチャート、図24はエンジン回転数と目標エンジントルクとから目標スロットル開度を求める制御マップ、図25はクリープ実行要求があったときのスロットル開度の別な制御フローチャート、図26はエンジン回転数と目標エンジントルクとから目標スロットル開度を求める制御マップ、図27はクリープ実行要求があったときのクリープ実行完了までの処理フローチャート、図28はクリープ実行要求があったときのクリープ実行完了までの別な処理フローチャート、図29はクリープ実行要求があったときのクリープ実行完了までの別な処理フローチャートである。
図12には、ブレーキスイッチを用いたクリープトルク制御の実行要求判定のフローチャートが示されている。
図において、ステップ1201において、レンジレバーがDレンジやRレンジなどの駆動レンジにあり、発進・変速指令生成手段102から発進の指令が出力されると、ステップ1202において、発進・変速指令生成手段102から出力された指令が発進指令(アクセルペタルが踏み込まれている)か否かを判定し、発進指令(アクセルペタルが踏み込まれている)であると判定すると、ステップ1208において、クリープ実行要求をオフし、図3記載の発進制御を実行する。
また、ステップ1202において発進・変速指令生成手段102から出力された指令が発進指令(アクセルペタルが踏み込まれている)でないと判定すると、ステップ1203において、エンジン回転数センサ2から入力されるエンジン回転数Neの取り込みを行い、ステップ1204において、読み込まれたエンジン回転数Neが設定回転数Nstpより小さいか否かを判定し、読み込まれたエンジン回転数Neが設定回転数Nstpより小さいと判定すると、ステップ1208において、クリープ実行要求をオフする。また、ステップ1204において、読み込まれたエンジン回転数Neが設定回転数Nstpより大きいと判定すると、ステップ1205において、ブレーキスイッチBrkSWの状態を読み込む。このステップ1205においてブレーキスイッチBrkSWの状態を読み込むと、ステップ1206において、運転者意志検出手段110によって検出される減速・停止要求があったか否かの判定を行い、減速・停止要求がなかったと判定すると、ステップ1207において、クリープ実行要求をONにする。また、ステップ1206において運転者意志検出手段110によって検出される減速・停止要求があったと判定すると、ステップ1208において、クリープ実行要求をオフする。
図13には、ブレーキマスタシリンダ圧を用いたクリープトルク制御のフローチャートが示されている。
図13に示されるブレーキマスタシリンダ圧を用いたクリープトルク制御のフローチャートのステップ1301〜ステップ1304は、図12に示すブレーキスイッチを用いたクリープトルク制御のフローチャートのステップ1201〜ステップ1204と同一で、図13に示されるブレーキマスタシリンダ圧を用いたクリープトルク制御のフローチャートのステップ1307〜ステップ1308は、図12に示すブレーキスイッチを用いたクリープトルク制御のフローチャートのステップ1207〜ステップ1208と同一である。
図13に示されるブレーキマスタシリンダ圧を用いたクリープトルク制御のフローチャートが、図12に示すブレーキスイッチを用いたクリープトルク制御のフローチャートと異なる点は、図12に示すブレーキスイッチを用いたクリープトルク制御のフローチャートのステップ1204において、読み込まれたエンジン回転数Neが設定回転数Nstpより大きいと判定した後、ステップ1205において、ブレーキスイッチBrkSWの状態を読み込み、ステップ1206において、運転者意志検出手段110によって検出される減速・停止要求があったか否かの判定を行っているのに対し、図13に示されるブレーキマスタシリンダ圧を用いたクリープトルク制御のフローチャートが、ステップ1304において、読み込まれたエンジン回転数Neが設定回転数Nstpより大きいと判定した後、ステップ1305において、ブレーキマスタシリンダ圧Pbrkを読み込み、ステップ1306において、運転者意志検出手段110によって検出される減速・停止要求があったか否かの判定を行っている点である。
図14には、目標クリープトルク値を演算するフローチャートが示されている。
図において、ステップ1401において、車速Vspの読み込みを行い、ステップ1402において、この読み込んだ車速Vspから図15に図示の特性マップを用いて目標クリープトルク基本値の算出する。また、ステップ1403において、ブレーキマスタシリンダ圧Pbrkを読み込み、ステップ1404において、この読み込んだブレーキマスタシリンダ圧Pbrkから図15に図示の特性マップを用いて目標クリープトルクブレーキ倍率値演算を行う。さらに、ステップ1405において、道路勾配θLを読み込み、ステップ1406において、この読み込んだ道路勾配θLから図15に図示の特性マップを用いて目標クリープトルク勾配倍率値演算を行い、ステップ1407において、これら目標クリープトルク基本値、目標クリープトルクブレーキ倍率値、目標クリープトルク勾配倍率値から目標クリープトルク値を演算する。
この道路勾配の検出手段としては、下記に示すトルクのバランス式をベースに道路勾配を推定演算する手法がある。
Tθ = TD−(TRL+Tα)
TD:駆動トルク(エンジン特性により算出可能)
TRL:平地走行抵抗トルク(車速により算出可能)
Tα:加速抵抗トルク(車両加速度により算出可能)
Tθ:勾配抵抗トルク(sinθが不明)
また、この他、ナビゲーションシステム(図示していない)に組み込まれた地図情報の道路勾配の値を用いる手法などが挙げられる。
図16には、発進クラッチの位置を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープトルク制御のタイムチャートが示されている。
図において、アクセルペタルの踏み込み量αが「0」で、第3のクラッチ(噛み合いクラッチ)19が第4のドリブンギヤ16に締結された状態で、ブレーキスイッチがONの状態のときは、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の位置は、断状態となっている。また、このときのスロットル開度θは一定値を保持し、エンジン回転数Neは、一定の回転数を保持し、車速Vspはブレーキが踏まれている状態であるから「0」、クラッチ伝達トルクSTATqは発進クラッチ(第1のクラッチ5)が断状態であるから「0」である。
このブレーキスイッチがONの状態から、aの時点で、ブレーキスイッチがOFFになると、発進クラッチ(第1のクラッチ5)は、断状態から締結を開始し、滑り締結状態になり、徐々に締結していく。この発進クラッチ(第1のクラッチ5)の滑り締結の開始によって、クラッチ伝達トルクSTATqは所定傾斜で上昇していく。このクラッチ伝達トルクSTATqの上昇は、エンジン負荷となり、エンジン回転数Neが低下させる。そこで、このエンジン回転数Neを一定の回転数に保持するため、スロットル開度θが発進クラッチ(第1のクラッチ5)位置による締結力の上昇に合わせて大きくなる。これによって、エンジン回転数Neが一定の回転数に保持される。この発進クラッチ(第1のクラッチ5)の滑り締結によって、車は走行し始め、徐々に車速Vspが上昇していく。この車速Vspが設定値に達する(bの時点)と、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結を徐々に解除していき、cの時点で発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結を完全に解放する。このbc間では、スロットル開度θは、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結の解除に合わせて所定値まで制御する。また、クラッチ伝達トルクSTATqは、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の締結の解除に合わせて{0}まで制御する。そして、車は惰性で走行し、時間と共に「0」に集束していく。
図17には、発進クラッチの油圧を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープトルク制御のタイムチャートが示されている。本実施の形態が図16に図示の実施の形態と異なる点は、図16に図示の実施の形態が、ブレーキスイッチがONの状態からOFFになったとき、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の位置を制御して断状態から発進クラッチ(第1のクラッチ5)を締結状態に移行するのに対し、本実施の形態は、ブレーキスイッチがONの状態からOFFになったとき、発進クラッチ(第1のクラッチ5)の油圧を減圧する制御をして発進クラッチ(第1のクラッチ5)を締結状態に移行する点で、他の制御は、図16に図示の実施の形態と同一である。
図18には、目標クリープトルクから目標クラッチ伝達トルクを算出する演算処理フローチャートが示されている。
図において、ステップ1801において、図14のフローチャートで求めた目標クリープトルクを読み込み、ステップ1802において、この読み込んだ目標クリープトルクから目標クラッチ伝達トルクを演算する。そして、ステップ1803において、この演算した目標クラッチ伝達トルクが、設定したクラッチ伝達トルクより大きいか否かを判定し、ステップ1803において演算した目標クラッチ伝達トルクが設定したクラッチ伝達トルクより大きいと判定すると、ステップ1804において、上限値を設定したクラッチ伝達トルク値に設定し、ステップ1805に移り、クリープが完了したか否かを判定する。また、ステップ1803において演算した目標クラッチ伝達トルクが設定したクラッチ伝達トルクより小さいと判定すると、ステップ1805において、クリープが完了したか否かを判定する。
このステップ1805においてクリープが完了していないと判定すると、ステップ1801に戻り、このステップ1805においてクリープが完了したと判定すると、ステップ1806において、目標クラッチ伝達トルクを演算し、ステップ1807において、この演算した目標クラッチ伝達トルクが「0」に等しいか、又は「0」よりも小さいかを判定し、演算した目標クラッチ伝達トルクが「0」に等しいか、又は「0」よりも小さいと判定すると、ステップ1808において、目標クラッチ伝達トルク値の下限値を「0」とする。
図19には、発進クラッチの位置を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープ実行要求があったときの発進クラッチ位置の演算処理フローチャートが示されている。
図において、ステップ1901において、クリープ実行要求があると、ステップ1902において、目標クラッチ伝達トルクを読み込み、ステップ1903において、図20に示す制御マップ2001から発進クラッチ位置の目標位置を演算してステップ1905に移る。また、ステップ1901において、クリープ実行要求がない場合は、ステップ1904において、図20に示す制御マップ2001から発進クラッチ位置の目標位置を演算し、ステップ1905において、演算した発進クラッチ位置の目標位置を出力する。
図21には、発進クラッチの油圧を制御することで発進クラッチ伝達トルクを制御する場合のクリープ実行要求があったときの発進クラッチ油圧の演算処理フローチャートが示されている。
図において、ステップ2101において、クリープ実行要求があると、ステップ2102において、目標クラッチ伝達トルクを読み込み、ステップ2103において、図22に示す制御マップ2201から発進クラッチ油圧の目標値を演算してステップ2105に移る。また、ステップ2101において、クリープ実行要求がない場合は、ステップ2104において、図22に示す制御マップ2201から発進クラッチ油圧の目標値を演算し、ステップ2105において、演算した発進クラッチ油圧の目標値を出力する。
図23には、クリープ実行要求があったときのスロットル開度の制御フローチャートが示されている。
図において、ステップ2301において、クリープ実行要求があると、ステップ2302において、目標エンジン回転数NeRefを読み込み、ステップ2303において、エンジン回転数センサ2から入力されるエンジン回転数Neを読み込む。ステップ2303においてエンジン回転数Neを読み込むと、ステップ2304において、エンジン回転数センサ2から入力されるエンジン回転数Neと目標エンジン回転数NeRefとの偏差を演算し、ステップ2305において、目標エンジントルクを演算し、ステップ2307に移る。
一方、ステップ2301において、クリープ実行要求がない場合には、ステップ2306において、目標エンジントルクを演算し、ステップ2307において、エンジン回転数Neと演算した目標エンジントルクに基づいて、図24に示す制御マップ2401とから目標スロットル開度を求め、ステップ2308において、求めた目標スロットル開度の値を電子制御スロットル3に出力する。
図25には、クリープ実行要求があったときのスロットル開度の別な制御フローチャートが示されている。
図において、ステップ2501において、クリープ実行要求があると、ステップ2502において、目標クラッチ伝達トルクを読み込み、ステップ2503において、この読み込んだ目標クラッチ伝達トルクから目標エンジントルクを演算しステップ2505に移る。
また、ステップ2501において、クリープ実行要求がない場合は、ステップ2504において、目標エンジントルクを演算すると、ステップ2505において、エンジン回転数センサ2から入力されるエンジン回転数Neを読み込み、ステップ2506において、エンジン回転数Neと目標エンジントルクに基づいて、図26に示す制御マップ2601とから目標スロットル開度を求め、ステップ2507において、求めた目標スロットル開度の値を電子制御スロットル3に出力する。
図27には、クリープ実行要求があったときのクリープ実行完了までの処理フローチャートが示されている。
図において、ステップ2701において、クリープ実行要求があると、ステップ2702において、目標クリープトルク値を読み込み、ステップ2703において、目標クラッチ伝達トルク値を読み込み、ステップ2704において、読み込んだ目標クリープトルク値と目標クラッチ伝達トルク値が一致しているか否かを判定する。このステップ2704において、読み込んだ目標クリープトルク値と目標クラッチ伝達トルク値が一致していると判定すると、ステップ2705において、クリープ完了フラグを立てる。また、ステップ2704において、読み込んだ目標クリープトルク値と目標クラッチ伝達トルク値が一致していないと判定すると、ステップ2706において、クリープ完了フラグをオフする。
図28には、クリープ実行要求があったときのクリープ実行完了までの別な処理フローチャートが示されている。
図において、ステップ2801において、クリープ実行要求があると、ステップ2802において、車速Vspを読み込み、ステップ2803において、読み込んだ車速Vspがクリープ車速VspCrpと同一か又は大きいかを否かを判定する。このステップ2803において読み込んだ車速Vspがクリープ車速VspCrpと同一か又は大きいと判定すると、ステップ2804において、クリープ完了フラグを立てる。また、ステップ2803において読み込んだ車速Vspがクリープ車速VspCrpよりも小さいと判定すると、ステップ2805において、クリープ完了フラグをオフする。
図29には、クリープ実行要求があったときのクリープ実行完了までの別な処理フローチャートが示されている。
図において、ステップ2901において、クリープ実行要求があると、ステップ2902において、クリープ実行要求がONである継続時間を示すクリープ実行継続時間tを読み込み、ステップ2903において、読み込んだ継続時間tがクリープ継続時間tCrpと同一か又は大きいか否かを判定する。このステップ2903において読み込んだクリープ実行継続時間tがクリープ継続時間tCrpと同一か又は大きいと判定すると、ステップ2904において、クリープ完了フラグを立てる。また、ステップ2903において読み込んだクリープ実行継続時間がクリープ継続時間tCrpよりも小さいと判定すると、ステップ2905において、クリープ完了フラグをオフする。
なお、クリープ制御完了の判定は、クラッチの位置、クラッチの油圧、クラッチの電流、変速機の出力軸(駆動輪出力軸)回転数等によっても構成することができる。
なお、図1、図8、図9には図示しないが、車両を後退させるための後退ギアを設け、図3から図6に示す発進制御、図12から図29に示すクリープ制御を後退時にも実行するように構成することができる。