JP2007239731A - クローズドインペラ及びそれを備えたウォータポンプ - Google Patents

クローズドインペラ及びそれを備えたウォータポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】隣り合う羽根部と羽根部との隙間が良好に確保されているクローズドインペラ、及び、それを備えたウォータポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るクローズドインペラ25は、互いに対向する第一円盤部60A及び第二円盤部60Bを備えている。第一円盤部60Aには、円盤内面側から延び出している複数枚の第一羽根部62Aが配置され、第二円盤部60Bには、円盤内面側から延び出している複数枚の第二羽根部62Bが配置されている。第一羽根部62Aは、隣り合う第二羽根部62Bの間に配置されている。また、第一羽根部62Aの厚みは第二羽根部62Bに比べて厚く、第二羽根部62Bの厚みは従来よりも薄い。
【選択図】図3

Description

本発明は、2枚の円盤部の間に羽根部が配置されたクローズドインペラ及びそれを備えたウォータポンプに関する。
渦巻きポンプなどのウォータポンプが広く使用されている。このウォータポンプは、円盤に複数枚の羽根を配置した羽根車(インペラ)を回転させることにより、水を加圧して送流するポンプである(例えば特許文献1〜3参照)。以下、ウォータポンプとして渦巻きポンプの一例を挙げ、従来技術について説明する。
従来の渦巻きポンプは、上記の羽根車により液体(水)を加速、加圧して、羽根車の外周側に形成された渦巻き室に送給することにより、加圧された水を吐出口(アウトレット)から送り出すポンプである。
ここで、上記の羽根車には、羽根の両サイド側に円盤部が設けられたクローズドインペラと、羽根の片サイド側にのみ円盤部が設けられたオープンドインペラと、に分類される。一般的には、クローズドインペラの方が、水洩れがないため高効率で送給することができる。
ところで、クローズドインペラでは、通常、何れか一方の円盤部の内面側に羽根部を形成しておき、この羽根部の縁部を他方の円盤部の内面側に溶着や接着により固定している。
しかし、羽根部の枚数を増やすなどして隣り合う羽根部と羽根部との隙間を小さくすると、型抜き等で製造する上で、この隙間をうまく確保することができない場合がしばしば生じていた。
この対策として羽根部の厚みを薄くすると、羽根部と円盤部との固定強度が弱くなってしまう。
特開平9−242692号公報 登録実用新案第3111526号公報 特開平11−247788号公報
本発明は、上記事実を考慮して、隣り合う羽根部と羽根部との隙間が良好に確保されているクローズドインペラ、及び、それを備えたウォータポンプを提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、2枚の円盤部と、この2枚の円盤部の間に配置された複数枚の羽根部と、を備えたクローズドインペラであって、一方の円盤部には、円盤内面側から延び出している複数枚の第一羽根部が配置され、他方の円盤部には、円盤内面側から延び出している複数枚の第二羽根部が配置され、前記一方の円盤部と前記他方の円盤部との相互位置が固定され、前記一方の円盤部と前記他方の円盤部との間に全ての羽根部が配置されていることを特徴とする。
第一羽根部、第二羽根部は、通常、何れも複数箇所にわたって形成されている。羽根部と円盤部との固定では、必要な固定強度が得られていれば良く、固定形態は、接着、溶着、嵌合など、特に限定はしない。また、一方の円盤部に更に他の羽根部が設けられていてもよく、他方の円盤部にも更に他の羽根部が設けられていてもよい。
このように、請求項1に記載の発明では、両円盤部から羽根部がそれぞれ延び出している。従って、隣り合う第一羽根部の間に第二羽根部を配置することや、隣り合う第二羽根部の間に第一羽根部を配置することができるので、隣り合う羽根部と羽根部との隙間が良好に確保されたクローズドインペラとし易い。
請求項2に記載の発明は、前記第一羽根部の厚みが前記第二羽根部の厚みよりも厚く、少なくとも、前記第一羽根部と前記他方の円盤部とが互いに固定されていることを特徴とする。
これにより、第一羽根部と上記他方の円盤部との固定強度を高くすることができる。このように、厚いほうの羽根部とそれに対向する円盤部とを相互に固定することによって、必要な固定強度の大部分又は全部を得ることができる。
請求項2に記載の発明では、第二羽根部が上記一方の円盤部に固定されていてもいなくてもよい。
なお、請求項2に記載の発明では、第二羽根部の厚みを従来よりも薄くすることによって液体の流れの乱れを低減させることができ、ポンプ効率を向上させることができる。これにより、羽根部と円盤部との固定強度を維持しつつ、ポンプ効率を大幅に向上させることができるクローズドインペラを実現させることができる。
請求項3に記載の発明は、前記第一羽根部及び前記第二羽根部は、根元から先端にかけて厚みが徐々に薄くなっていることを特徴とする。
クローズドインペラの使用中に第一羽根部及び第二羽根部に加えられる力は、第一羽根部及び第二羽根部の根元で最も高く、先端にかけて徐々に低くなっている。従って、請求項3に記載の発明のように、第一羽根部及び第二羽根部を根元から先端にかけて厚みが徐々に薄くなっている形状にしても、第一羽根部及び第二羽根部に必要な強度を確保することができる。
請求項3に記載の発明では、このように、第一羽根部及び第二羽根部を根元から先端にかけて厚みを徐々に薄くした形状にすることにより、クローズドインペラの使用中に液体の流れが乱れることを抑えることができるので、ポンプ効率を良くすることができる。また、第一羽根部及び第二羽根部の体積を軽減することができるので、クローズドインペラの重量を軽減することができる。
請求項4に記載の発明は、前記第一羽根部と前記第二羽根部とは、前記2枚の円盤部の周方向に交互に配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、根元から先端にかけて厚みが徐々に薄くなっている第一羽根部と第二羽根部とがこのように周方向に交互に配置されている。従って、第一羽根部同士、第二羽根部同士が隣り合うことがないので、一方の円盤部から他方の円盤部にかけて、隣り合う第一羽根部と第二羽根部との間隔の変動を抑えることができる。
請求項5に記載の発明は、隣り合う前記第一羽根部と前記第二羽根部との間隔を、前記一方の円盤部から前記他方の円盤部にかけて一定にしたことを特徴とする。
これにより、液体がクローズドインペラ内を通過する際、よりスムーズに通過する。
請求項6に記載の発明は、前記第一羽根部の厚みを前記第二羽根部よりも厚くして、前記第一羽根部の先端部に嵌合凸部を形成するとともに前記他方の円盤部に前記嵌合凸部が嵌入する嵌合凹部を形成したことを特徴とする。
これにより、クローズドインペラを組み立てる際、第一羽根部の先端部の嵌合凸部を他方の円盤部の嵌合凹部に嵌入するという単純な作業で、一方の円盤部と他方の円盤部との相互位置を固定することができる。また、請求項2の発明と同様の効果を奏することができる。
請求項7に記載の発明は、ウォータポンプであって、請求項1〜6のうち何れか1項に記載のクローズドインペラを備え、前記クローズドインペラを回転させることによって水を送給することを特徴とする。
これにより、隣り合う羽根部と羽根部との隙間が良好に確保されたクローズドインペラを設けたウォータポンプとすることができる。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るエンジン冷却ウォータポンプ装置10は、エンジンに直付けされる装置である。エンジンの構成部材であるタイミングチェーンカバー(エンジンチェーンケース)12の内側(エンジン側)には、タイミングチェーン14とオイルポンプ16とが収容されている。本実施形態では、このタイミングチェーンカバー12の外側にエンジン冷却ウォータポンプ装置10が取付けられる。
図2に示すように、エンジン冷却ウォータポンプ装置10は、ステータ20及びロータ22を有するモータ部24が設けられている。ロータ22の先端側には、本実施形態に係るクローズドインペラ25が取付けられている。
また、エンジン冷却ウォータポンプ装置10は、モータ部24を駆動させるための回路部26を備えている。
更に、エンジン冷却ウォータポンプ装置10は、モータ部24及び回路部26を保持するハウジング部30を備えている。
また、エンジン冷却ウォータポンプ装置10は、防振シール部44と防振ブッシュ部46とを備えている。
(ハウジング部)
ハウジング部30は、ポンプケース34の一部を構成するとともに、エンジンの被固定部に固定される構成になっている。この被固定部は、タイミングチェーンカバー12に形成された凹部32であり、エンジン冷却ウォータポンプ装置10を取付けると凹部32の中にクローズドインペラ25が収容される構成になっている。
ハウジング部30の内側(ロータ22を収容している側)には、コア(固定子)38と、コア38を覆うようにシールしているコアシール部40(図3も参照)と、が設けられている。そして、ハウジング部30と、コアシール部40と、凹部32とによって、冷却用の液体が流れるポンプ室42が形成されている。ポンプ室42内には上記のロータ22が収容される。
(ロータ)
ロータ22には、コア38からの回転力を受けるためのマグネット(回転子)52が内蔵されている。更に、ロータ22には、回転軸54と、回転軸54を保持する回転軸保持部56とが設けられている。回転軸54はステータ20によって回転自在に保持されており、ロータ22は片持ち構造で保持されている。
(クローズドインペラ)
モータ部24の開放側はエンジン側であり、エンジン冷却ウォータポンプ装置10をタイミングチェーンカバー12から取り外すことによってクローズドインペラ25が露出する構成になっている。
図3〜図5に示すように、クローズドインペラ25は、互いに対向する2枚の第一円盤部60A及び第二円盤部60Bと、この2枚の円盤部の間に配置される複数枚の羽根部と、を備えている。
第一円盤部60Aには、円盤内面側から延び出している複数枚の第一羽根部62Aが渦巻状に形成されている。そして、第二円盤部60Bには、円盤内面側から延び出している複数枚の第二羽根部62Bが渦巻状に配置されている。
図5に示すように、第一羽根部62Aは3枚、第二羽根部62Bは6枚、それぞれ配置されていて、第一羽根部62Aは隣り合う第二羽根部62Bの間に配置されている。
また、本実施形態では、第一羽根部62Aは第一円盤部60Aに高い強度で一体的に連続しており、第二羽根部62Bは第二円盤部60Bに高い強度で一体的に連続している。
更に、本実施形態では、第一羽根部62Aの厚みが第二羽根部62Bに比べて厚くされ、第二羽根部62Bの厚みは、同等の性能を有する従来のエンジン冷却ウォータポンプ装置の羽根部よりも薄い。
各第一羽根部62Aの突出側の縁部には凸部64が突設され、第二円盤部60Bには、各凸部64と嵌入する複数の孔部66が形成されている。凸部64を孔部66に挿入して嵌合状態とすることにより、第一円盤部60Aと第二円盤部60Bとの相互位置が固定され、第一円盤部60Aと第二円盤部60Bとの間に全ての羽根部(すなわち全ての第一羽根部62Aと全ての第二羽根部62B)が配置されているようになっている。
(回路部)
回路部26は、回路基板70と、回路基板70を保持する回路蓋72とを有する。回路蓋72はハウジング部30に着脱自在に取付けられている。また、凹部32にエンジン冷却ウォータポンプ装置10が取付けられた状態では、モータ部24の開放可能な側がエンジン側で、回路部26の開放可能な側(すなわち回路蓋72が取付けられている側)がエンジン側とは反対側になっている。これにより、回路部26に故障が生じても、エンジン冷却ウォータポンプ装置10を取り外すことなくメンテナンスすることが可能になっている。
回路部26は、更に、回路基板70に配置された素子(制御素子などの電子部品)74が収容される回路室76を備えている。なお、コア38は、ハウジング部30を貫通する配線39によって回路基板70に接続されている。
この回路室76は、モータ部24の回転軸方向側(回転軸縦側)ではなく、モータ部24のサイド側(回転軸横側)に並設されている。これにより、ポンプケース34の厚みが大幅に低減しており、薄型のエンジン冷却ウォータポンプ装置10となっている。
また、回路室76は、凹部32にエンジン冷却ウォータポンプ装置10が取付けられた状態ではモータ部24よりも上側に位置するように、モータ部24に対して並設されている。これにより、仮に防振シール部44などのシールが不十分となって液体が漏出することがあっても、この液体は下方に移動するので、この液体が回路部26に到達することはなく、回路部26がこの液体によって故障することが完全に回避されている。
(防振シール部及び防振ブッシュ部)
防振シール部44は、ロータ22の外周側に設けられており、ポンプ室42のシールを行うとともに防振機能を有している。防振ブッシュ部46は、ハウジング部30を凹部32へ固定するとともに防振機能を有している。そして、防振シール部44と防振ブッシュ部46とは、互いの弾性力が釣り合うように配置位置や強度などが設定されている。
本実施形態では、ハウジング部30は、防振シール部44の外周側に、エンジン冷却ウォータポンプ装置10をエンジンに取付けるためのフランジ部31を有している。そして、防振シール部44及び防振ブッシュ部46は、このフランジ部31に配置されている。また、防振シール部44と防振ブッシュ部46とが、エンジン冷却ウォータポンプ装置10の重心位置を通る仮想平面Sの上に配置されるように、フランジ部31の配置位置が予め設定されている。
防振シール部44は、オーリング状ゴム80と、フランジ部31に形成され、このオーリング状ゴム80を収容する溝82と、を備えている。
フランジ部31には複数の貫通孔84が形成されている。貫通孔84の本数は、フランジ部31でエンジン冷却ウォータポンプ装置10を凹部32に固定するのに必要な雄ねじ86の本数と同数にされている。防振ブッシュ部46は、内側にカラー88を保持するブッシュ状ゴム90を備えている。
そして、オーリング状ゴム80とブッシュ状ゴム90との弾性力(車両搭載時の反力)が互いに釣り合っている。すなわち、ブッシュ状ゴム90が受ける反力F1と、オーリング状ゴム80が受ける反力F2と、が同じ大きさになっている。
このように、防振シール部44と防振ブッシュ部46との互いの弾性力(車両搭載時の反力)を釣り合わせることにより、防振シール部44及び防振ブッシュ部46を大掛かりな構成にすることなく、防振シール部44に防振とシールとの両機能を果たさせることができる。従って、構造の簡素化を図ったエンジン冷却ウォータポンプ装置10とすることができる。
また、防振シール部44と防振ブッシュ部46とが、エンジン冷却ウォータポンプ装置10の重心位置を通る仮想平面Sの上に配置されている。これにより、エンジン冷却ウォータポンプ装置10をエンジンに直付けにしても振動の影響を低減し易い。従って、クローズドインペラ25が先端側に取付けられたロータ22を、ハウジング部30のステータ20での片持ち構造にすることができ、より簡素で小型にされている。
以上説明したように、本実施形態では、第一円盤部60Aには、円盤内面側から延び出している複数枚の第一羽根部62Aが渦巻状に形成され、第二円盤部60Bには、円盤内面側から延び出している複数枚の第二羽根部62Bが渦巻状に配置されている。そして、図5に示すように、第一羽根部62Aは隣り合う第二羽根部62Bの間に配置されている。すなわち、第一羽根部62A、第二羽根部62Bを同一の円盤部に形成せずに第一羽根部62Aと第二羽根部62Bとを隣り合わせに配置することができている。これにより、隣り合う第一羽根部62Aと第二羽根部62Bとの隙間を狭くしても、この隙間が良好に確保されている。なお、隣り合う第一羽根部62Aと第二羽根部62Bとの隙間が狭くなる場合は、例えば、第一円盤部62A及び第二円盤部62Bの径を変更することなく羽根部の枚数を増大させた場合である。
また、第一羽根部62Aと第二羽根部62Bとでは厚みが互いに異なっており、第一羽根部62Aは第二羽根部62Bよりも厚く、第二羽根部62Bの厚みは従来よりも薄くされている。従って、第一羽根部62Aと第二円盤部60Bとの結合強度(嵌合強度)を充分に高くすることができるので、第二羽根部62Bの厚みを薄くして第二羽根部62Bと第一円盤部60Aとを非固定としても、クローズドインペラ25の充分な強度が維持される。しかも、第二羽根部62Bの厚みが従来よりも薄いので、クローズドインペラ25を回転させて水を送給した際、クローズドインペラ25における水の流れの乱れを大きく低減させることができる。従って、ポンプ効率が大きく向上したエンジン冷却ウォータポンプ装置10とすることができる。また、このように第二羽根部62Bと第一円盤部60Aとを非固定とすることにより固定箇所を大幅に低減させることができるので、製造時間、製造コストを大幅に低減させることができる。
また、回路室76は、モータ部24の回転軸方向側(回転軸縦側)ではなく、モータ部24の回転軸横側(サイド側)に並設されている。これにより、ポンプケース34の厚みを大幅に低減させることができ、薄型のエンジン冷却ウォータポンプ装置10とすることができる。このことは、メカポンプの跡地(メカ式のエンジン冷却ウォータポンプ装置を配置していたゾーン)でモータ軸方向のスペースの余裕があまりない場合、搭載性を向上させる上で特に大きな効果を奏する。
更に、ロータ22を、ハウジング部30のステータ20での片持ち構造にすることができるので、軸短化された回転軸54とすることができ、装置の更なる薄型化に寄与している。
また、凹部32にエンジン冷却ウォータポンプ装置10が取付けられた状態では、モータ部24の開放可能な側がエンジン側で、回路部26の開放可能な側すなわち回路蓋72が取付けられている側がエンジン側とは反対側になっている。そして、回路蓋72はハウジング部30に着脱自在である。これにより、回路部26に故障が生じても、エンジン冷却ウォータポンプ装置10を取り外すことなくメンテナンスすることができ、メンテナンス作業を短時間で効率的に行うことができる。しかも、モータ部24の開放側はエンジン側であるので、回路蓋72を開ける際にモータ部24を開放させる必要がない。このことは、メンテナンス作業をより短時間で効率的に行う上で有効である。
また、回路部26は、凹部32にエンジン冷却ウォータポンプ装置10が取付けられた状態ではモータ部24よりも上側に位置する。これにより、仮にポンプ室などのシールが不十分となって液体(例えばLLC)が漏出することがあっても、この液体は下方に移動するので、この液体が回路部26に到達することはなく、回路部26がこの液体によって故障することが回避されている。
また、凹部32をポンプケース34の一部として利用しており、しかも、凹部32にクローズドインペラ25が収容される構成になっている。すなわち、車両側から見れば、タイミングチェーンカバー(エンジンチェーンケース)12に設定してある既存のポンプ室をそのまま流用することが可能になる。従って、車両構造の大幅な変更を行うことなくコンポーネントの置き換え(エンジン冷却ウォータポンプ装置10への置き換え)を行うことができ、トータル的な観点からコストが大幅に低減される。その上、ポンプ室42を構成するハウジング部材の量を大幅に低減させることができる。
また、エンジン冷却ウォータポンプ装置10をフランジ部31でタイミングチェーンカバー12に取付けている。これにより、共振を緩和し易く、しかも、エンジン直付けによる振動の影響が更に小さくなっている。従って、ロータ22を片持ち支持構造にし易くなっている。
また、図1、図2では、ハウジング部30に形成する冷却フィンを省略しているが、ハウジング部30に形成する冷却フィンの位置は特に限定しない。例えば、図6に示すように、モータ部、ポンプ室や回路室の配置を変更してエンジン側に冷却フィン94を突出させたエンジン冷却ウォータポンプ装置100としてもよい。
本実施形態では、第一羽根部62Aを第二羽根部62Bよりも厚くした形態として説明したが、第二羽根部62Bを第一羽根部62Aよりも厚くした形態としても、同様の効果を奏することができる。
また、ポンプケースの一部がエンジン壁で構成される直付け構造で説明したが、ポンプケース壁がエンジン壁に直付けされた直付け構造としても良い。
更に、凸部64の個数は、図3、図4では1枚の第一羽根部62Aに1個として描いているが、1枚の第一羽根部62Aに複数個形成されていて、結合強度(嵌合強度)をより強固にしてもよい。
また、本実施形態では、図5に示したように、第一羽根部62Aを3枚、第二羽根部62Bを6枚配置しているが、ポンプに要求される性能に応じてこの枚数を適宜変更することが可能である。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係るエンジン冷却ウォータポンプ装置では、第1実施形態に比べ、クローズドインペラ25(図2〜図4参照)に代えて、図7、図8に示すようなクローズドインペラ125が設けられている。本実施形態では、クローズドインペラ125以外の基本的な構成は第1実施形態と同じであるので、クローズドインペラ125以外の基本的な説明を省略する。また、第1実施形態で既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
クローズドインペラ125は、互いに対向する2枚の第一円盤部160A及び第二円盤部160Bと、この2枚の円盤部の間に配置される複数枚の羽根部と、を備えている。
第一円盤部160Aには、円盤内面側から延び出している複数枚の第一羽根部162Aが渦巻状に形成されている。そして、第二円盤部160Bには、円盤内面側から延び出している複数枚の第二羽根部162Bが渦巻状に配置されている。第一円盤部160Aの中央には開口円161Aが形成され、第二円盤部160Bの中央には開口円161Aよりも径の大きい開口円161Bが形成されている
第一羽根部162A及び第二羽根部162Bの枚数は同数とされており、第一羽根部162Aと第二羽根部162Bとは、第一円盤部160Aや第二円盤部160Bの周方向U(図8参照)に互い違い(交互)となるように配置されている。本実施形態では、第一羽根部162Aは3枚、第二羽根部162Bも3枚、それぞれ配置されている。また、第二円盤部160Bの内面側には、各第一羽根部162Aの先端部163Aが入る溝163Bが形成されている。
図8(B)に示すように、第一羽根部162A及び第二羽根部162Bは、根元から先端にかけて厚みが徐々に薄くなっている。第一羽根部162Aの根元厚みTAは第1実施形態で説明した第一羽根部162Aと同じであり、第二羽根部162Bの根元厚みTBも第1実施形態で説明した第二羽根部162Bと同じである。本実施形態では、クローズドインペラ125の使用中に第一羽根部162Aや第二羽根部162Bが変形や破損をしないような充分な羽根強度を確保できる範囲内で、第一羽根部162Aの根元厚みTA及び先端厚みtA、第二羽根部162Bの根元厚みTB及び先端厚みtBをそれぞれ設定し、第一羽根部162A及び第二羽根部162Bの何れについても、厚みを根元から先端にかけて徐々に薄くしている。
また、図8に示すように、クローズドインペラ125の中心線Cの回りの同心円上では、第一円盤部160Aと第二円盤部160Bとの間のどの位置であっても、第一円盤部160A及び第二円盤部160Bに平行な平面H上で、第一羽根部162Aのほうが第二羽根部162Bよりも厚い。そして、図7に示すように、第一羽根部162Aの先端部163Aには凸部164が突設されており、第二円盤部160Bには、各凸部164が嵌入する孔部166が形成されている。凸部164を孔部166に挿入して嵌合状態とすることにより、第一円盤部160Aと第二円盤部160Bとの相互位置が固定される構造になっている(図8(A)参照)。本実施形態では、エンジン冷却ウォータポンプ装置の使用中に凸部164が受ける力(主に平面Hに沿った方向のせん断力)に第一羽根部162Aの先端部163Aが耐え得る強度となるように、先端部163Aの先端厚みTAが予め設定されている。
また、図8(B)に示すように、中心線Cに対する第一羽根部162Aの羽根車面168Aの傾斜角度θ、及び、中心線Cに対する第二羽根部162Bの羽根車面168Bの傾斜角度θは、何れも同じで一定にされている。この結果、クローズドインペラ125の中心線Cの回りの同心円上では、第一円盤部160Aと第二円盤部160Bとの間のどの位置であっても、上記の平面H上で、隣り合う第一羽根部162Aと第二羽根部162Bとの各間隔dが一定である。
クローズドインペラ125を組み立てるには、図7に示すように、第二円盤部160Bの孔部166が第一円盤部160Aの凸部164の上方位置となるように第二円盤部160Bを第一円盤部160Aに重ね合わせる。そして、第一円盤部160Aと第二円盤部160Bとを互いに近づける方向に押圧することにより、凸部164を孔部166に嵌入させて嵌合状態とする。このような単純な作業でクローズドインペラ125を組み立てることができる。
以上説明したように、本実施形態では、第一円盤部160Aから第一羽根部162Aが、第二円盤部160Bから第二羽根部162Bが、それぞれ延び出しており、第一羽根部162A及び第二羽根部162Bの厚みは、根元から先端にかけて徐々に薄くなっている。
ここで、図9に示すように、クローズドインペラ125の使用中に第一羽根部162A及び第二羽根部162Bに加えられる力Fは、第一羽根部162A及び第二羽根部162Bの根元で最も高く、先端にかけて徐々に低くなっている。
従って、図10、図11に示すように、一方の円盤部180から全て延び出すように羽根部182を設けて、一方の円盤部180から対向する他方の円盤部にかけて羽根部182の厚みを均一にした場合に比べ、クローズドインペラ125の使用中に水の流れが乱れることを抑えることができるので、ポンプ効率を大幅に上げることができる。また、第一羽根部162A及び第二羽根部162Bの体積を軽減することができるので、クローズドインペラ125の重量を軽減することができる。
また、凸部164が形成されていない第二羽根部162Bの先端部163Bの先端厚みTBは、凸部164が形成された先端部163Aの先端厚みTAに比べて薄くされており、このことは、上記効果を一層顕著なものとしている。
また、図12、図13に示すように、一方の円盤部190Aから全て延び出すように羽根部192を設けて、各羽根部192の厚みを根元から先端にかけて徐々に薄くしたクローズドインペラ195とした場合では、一方の円盤部190Aから他方の円盤部190Bにかけて、隣り合う羽根部192の間隔dが大きく変動してしまう。すなわち、羽根部192の先端側の間隔d2は、根元側の間隔d1に比べて大幅に広くなっている。従って、エンジン冷却ウォータポンプ装置の使用中に水がクローズドインペラ125内をスムーズに流れ難い。本実施形態では、図8(B)に示したように、隣り合う第一羽根部162Aと第二羽根部162Bとの間隔dが、第一円盤部160Aから第二円盤部160Bにかけて一定である。従って、エンジン冷却ウォータポンプ装置の使用中にクローズドインペラ125内を水がスムーズに流れる。
なお、本実施形態は、遠心ポンプに限らず斜流ポンプでも適用可能である。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
第1実施形態に係るエンジン冷却ウォータポンプ装置がエンジンに取付けられることを示す展開図である。 第1実施形態に係るエンジン冷却ウォータポンプ装置の構成を示す模式的な側面断面図である。 第1実施形態に係るクローズドインペラの模式的な展開図である。 第1実施形態に係るクローズドインペラの模式的な斜視図である。 図4の矢視5−5の断面図である。 第1実施形態に係るエンジン冷却ウォータポンプ装置の一例を示す斜視図である。 第2実施形態に係るクローズドインペラの部品構成、及び、クローズドインペラの組み立てを示す模式図である。 図8(A)及び(B)は、それぞれ、第2実施形態に係るクローズドインペラの模式的な斜視図、及び、同心円における模式的な部分断面図である。 第2実施形態に係るクローズドインペラで、使用中に羽根部に加えられる力の分布を示す模式的な側面断面図である。 比較例として示すクローズドインペラの片側の円盤部の斜視図である。 比較例として示すクローズドインペラで、使用中に羽根部に加えられる力の分布を示す模式的な側面断面図である。 比較例として示すクローズドインペラの部品構成、及び、クローズドインペラの組み立てを示す模式図である。 図13(A)及び(B)は、それぞれ、比較例として示すクローズドインペラの模式的な斜視図、及び、同心円における模式的な部分断面図である。
符号の説明
10…エンジン冷却ウォータポンプ装置(ウォータポンプ)、25…クローズドインペラ、60A…第一円盤部(一方の円盤部)、60B…第二円盤部(他方の円盤部)、62A…第一羽根部、62B…第二羽根部、100…エンジン冷却ウォータポンプ装置(ウォータポンプ)、125…クローズドインペラ、160A…第一円盤部、160…第二円盤部、162A…第一羽根部、162B…第二羽根部、164…凸部、166…孔部、195…クローズドインペラ

Claims (7)

  1. 2枚の円盤部と、この2枚の円盤部の間に配置された複数枚の羽根部と、を備えたクローズドインペラであって、
    一方の円盤部には、円盤内面側から延び出している複数枚の第一羽根部が配置され、
    他方の円盤部には、円盤内面側から延び出している複数枚の第二羽根部が配置され、
    前記一方の円盤部と前記他方の円盤部との相互位置が固定され、前記一方の円盤部と前記他方の円盤部との間に全ての羽根部が配置されていることを特徴とするクローズドインペラ。
  2. 前記第一羽根部の厚みが前記第二羽根部の厚みよりも厚く、
    少なくとも、前記第一羽根部と前記他方の円盤部とが互いに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のクローズドインペラ。
  3. 前記第一羽根部及び前記第二羽根部は、根元から先端にかけて厚みが徐々に薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のクローズドインペラ。
  4. 前記第一羽根部と前記第二羽根部とは、前記2枚の円盤部の周方向に交互に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のクローズドインペラ。
  5. 隣り合う前記第一羽根部と前記第二羽根部との間隔を、前記一方の円盤部から前記他方の円盤部にかけて一定にしたことを特徴とする請求項4に記載のクローズドインペラ。
  6. 前記第一羽根部の厚みを前記第二羽根部よりも厚くして、前記第一羽根部の先端部に嵌合凸部を形成するとともに前記他方の円盤部に前記嵌合凸部が嵌入する嵌合凹部を形成したことを特徴とする請求項5に記載のクローズドインペラ。
  7. 請求項1〜6のうち何れか1項に記載のクローズドインペラを備え、前記クローズドインペラを回転させることによって水を送給することを特徴とするウォータポンプ。
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