JP2007238784A - プロピレン系樹脂製浴室用防水パン - Google Patents

プロピレン系樹脂製浴室用防水パン Download PDF

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Shigenobu Kawai
重信 河合
Masaru Inoue
勝 井上
Akira Ohata
晃 尾畑
Akihiro Wakayama
昭大 若山
Hirokazu Tanaka
宏和 田中
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Abstract

【解決手段】MFRが10〜60g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が4以上の高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)100重量部と、平均粒径が160μm以下、平均アスペクト比が5以上の板状フィラー(成分b)35〜55重量部と、繊維状フィラー(成分c)3〜15重量部とを含有し、成分bと成分cとの重量比(成分b/成分c)が4〜20であるプロピレン系樹脂組成物を成形してなるプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
【効果】良好な成形品外観で、特に反りが目立ち難く、良好な成形性、及び高水準な剛性と反りバランスを有しているばかりでなく、優れた寸法安定性も有しているので、浴室用防水パンとして実用十分な性能を有している。この防水パンを用いたユニットバスは外観がよく、環境問題対応に有望とされ、軽量化にも対応しやすく実用性が大きい。

Description

本発明は、良好な成形性、良好な成形品外観、及び、高度な機械的強度バランスを備えたプロピレン系樹脂組成物を成形してなるプロピレン系樹脂浴室用防水パンに関する。プロピレン系樹脂組成物の成形には特に射出成形が適しており、剛性と反りとのバランスに優れた浴室用防水パンを提供する。
浴室用防水パンなど平板面を基本形状として、リブや立ち壁部を有する樹脂製大型部品には、剛性、耐反り変形などの観点から熱硬化性樹脂を使用した繊維強化プラスチックス(FRP)が広く用いられている。近年、環境問題等より環境にやさしい、リサイクルし易い材料、及び製品が求められている。
ポリプロピレン樹脂は軽量で、成形性がよく、リサイクル性に優れるため、金属、熱硬化性樹脂製の各種部品への適用が試みられている。しかしポリプロピレン樹脂は結晶性樹脂であるため、反り変形しやすいという欠点がある。更に剛性、耐熱剛性を向上させるためにガラス繊維等繊維状フィラーを配合することが試みられているが、このようなガラス繊維強化ポリプロピレンは、一段と反り変形が増大してしまう問題があった。反り変形の低減手法として、ガラス繊維とエラストマーを組み合わせる方法(特許文献1参照)、ガラス繊維とマイカを組み合わせる方法(特許文献2、3参照)、過酸化物等でポリプロピレン樹脂を減成することにより分子量分布を狭くする方法(特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、ガラス繊維とエラストマーを組み合わせる方法では、剛性や耐熱剛性が低下する欠点があった。ガラス繊維とマイカを組み合わせる方法では、衝撃強度が低下する問題があった。また、過酸化物等でポリプロピレン樹脂を減成することにより分子量分布を狭くする方法では、成形性(流動性)が損なわれ、部品形状が大きくなると射出成形では射出圧力を高める必要が生じ、反り変形の低減は全く不十分であった。
特開昭59−226041号公報 特開平2−238038号公報 特開平3−223356号公報 特開平4−25541号公報
本発明は、上記事情を踏まえて、環境問題対応に有望とされるプロピレン系樹脂を使用して、高剛性で反りの少ない、実用上満足できる浴室用防水パンを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、種々の研究を重ねた結果、特定の高結晶性プロピレン系樹脂と特定の板状フィラー及び特定の繊維状フィラーの各成分を特定の割合で配合することで、高水準な成形性及び剛性と反りバランスに優れた良好な浴室用防水パン成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の要旨は、MFRが10〜60g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が4以上の高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)100重量部と、平均粒径が160μm以下、平均アスペクト比が5以上の板状フィラー(成分b)35〜55重量部と、繊維状フィラー(成分c)3〜15重量部とを含有し、成分bと成分cとの重量比(成分b/成分c)が4〜20であるプロピレン系樹脂組成物を成形してなるプロピレン系樹脂製浴室用防水パンに存する。
また、本発明の他の要旨は、成分bが、平均粒径が1.5〜6μm、平均アスペクト比が5以上のタルクである前記のプロピレン系樹脂製浴室用防水パンに存する。
また、本発明の他の要旨は、成分bが、平均粒径が8〜100μmで、平均アスペクト比が10〜80のマイカである前記のプロピレン系樹脂製浴室用防水パンに存する。
また、本発明の他の要旨は、成分cが、平均繊維径が6μm以上、平均アスペクト比が5以上の繊維状フィラーである前記のプロピレン系樹脂製浴室用防水パンに存する。
また、本発明の他の要旨は、成分cが、平均繊維径6〜20μmのガラス繊維である前記のプロピレン系樹脂製浴室用防水パンに存する。
また、本発明の他の要旨は、成分aが、プロピレン単独重合体又はα−オレフィン重合単位を3重量%以下含むプロピレン共重合体である結晶性ポリプロピレン部[A単位部]とエチレン・プロピレンランダム共重合体部[B単位部]とを含有するプロピレンブロック共重合体である前記のプロピレン系樹脂製浴室用防水パンに存する。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、良好な成形品外観(特に反りが目立ち難く)、良好な成形性、及び高水準な剛性と反りバランスを有しているばかりでなく、優れた寸法安定性も有しているので、浴室用防水パンとして実用十分な性能を有している。この防水パンを用いたユニットバスは外観がよく、環境問題対応に有望とされ、軽量化にも対応しやすく実用性が大きい。
[1]プロピレン系樹脂組成物の構成成分
(1)高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)
本発明において用いられる成分aの、高結晶性プロピレン系樹脂としては、(i)プロピレン単独重合体、(ii)α−オレフィン重合単位を3重量%以下含むプロピレン共重合体、(iii)プロピレン単独重合体若しくはα−オレフィン重合単位を3重量%以下含むプロピレン共重合体である結晶性ポリプロピレン部[A単位部]とエチレン・プロピレンランダム共重合体部[B単位部]とを含有するプロピレンブロック共重合体などが挙げられる。
なお、ここでいうエチレン等のα−オレフィン含量は赤外線吸収スペクトル分析法により得られる値である。また、高結晶性プロピレン系樹脂とは、沸騰ヘプタン不溶部が60重量%以上、好ましくは65重量%以上であって、該沸騰ヘプタン不溶部のアイソタクチックペンタッド分率(13C−NMR分析による)が好ましくは97%以上であり、更に好ましくは98%以上のものを指す。
高結晶性プロピレン系樹脂がプロピレンブロック共重合体である場合、ここでA単位部の割合は、特に剛性の点で75〜95重量%であることがより好ましい。また、上記B単位部の割合は、特に耐衝撃性の点で5〜25重量%であることが好ましい。B単位部のエチレン含量は耐衝撃性の点で好ましくは20〜80重量%、より好ましくは25〜50重量%の割合を占めているものが良い。
なお、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体のB単位部の含量は、2gの試料を沸騰キシレン300g中に20分間浸漬して溶解させた後、室温まで冷却して、それによって析出した固相をガラスフィルターで濾過・乾燥して求めた、固相重量から逆算した値である。
本発明の高結晶性プロピレン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、10〜60g/10分、好ましくは20〜60g/10分、より好ましくは20〜50g/10分である。10g/10分未満のときは成形時の流動性が悪く、60g/10分を越えると衝撃強度が低下してくるので好ましくない。高結晶性プロピレン系樹脂のMFRは、重合時に使用する水素等の分子量調整剤を調節することにより行うことができる。ここでMFRはJIS−K7210(230℃、21.2N)に準拠して測定したものである。
本発明の高結晶性プロピレン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は4以上、好ましくは4.5〜15、より好ましくは5.2〜12である。4未満では流動性が損なわれ、成形性が低下する。浴槽用防水パンのようなリブつき大型容器では充填不足が顕在化する。なお、ここで分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatgraphy)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比として算出したものである。
高結晶性プロピレン系樹脂の分子量分布の調整は、重合触媒の選定(活性種が不均一であるほど、各活性点で形成されるポリマーの分子量が散るので、分子量分布は広くなりやすい)、各段の重合条件を調整した多段重合などにより行うことができる。過酸化物などで減成することにより分子量分布を狭く調整することもできるが、成形性を損なう恐れがあるので避けることが好ましい。
高結晶性プロピレン系樹脂は、チーグラー触媒、メタロセン触媒などの高立体規則性触媒を用いて、プロピレン又はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンを重合又は共重合することにより製造することができる。重合様式としては、スラリー重合法、気相重合法或いは液相塊状重合法などが挙げられる。重合方式としてはバッチ重合、連続重合どちらの方式をも採用することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を製造するに際しては、最初にプロピレンの単独重合によって結晶性ポリプロピレン部[A単位部]を形成し、次にプロピレンとエチレンとのランダム共重合によってエチレン・プロピレンランダム共重合部[B単位部]を形成したものが品質上から好ましい。具体的な製造方法としては、塩化マグネシウムに四塩化チタン、有機ハライド及び有機珪素化合物を接触させて形成した固体成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒を用いてプロピレンの単独重合を行ない、次いで、プロピレンとエチレンとのランダム共重合を行なうことによって製造することができる。
また、このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲内で他の不飽和化合物、例えば、結晶性ポリプロピレン部[A単位部]を形成する際に、少量のエチレン等を、エチレン・プロピレンランダム共重合部[B単位部]を形成する際にブテン−1等のα−オレフィン、酢酸ビニルエステル、無水マレイン酸等の不飽和有機酸又はその誘導体を含有させて、或いは、これらの混合物を使用して三元以上の共重合体とすることもできる。
(2)板状フィラー(成分b)
本発明の成分bは、平均粒径が160μm以下で、かつ平均アスペクト比が5以上の板状フィラーである。具体的には、タルク、マイカ、ガラスフレーク、金属フレークなどが挙げられる。なかでもタルク、マイカが好ましく、とりわけマイカが好ましい。これらは単独で用いても、複数種を組み合わせて用いてもよい。板状フィラーの平均アスペクト比は、好ましくは6以上、特に好ましくは10以上である。該平均アスペクト比が上記範囲未満のものは、機械的強度のバランスが不良で不適当である。
平均粒径は、好ましくは100μm以下であり、更に好ましい平均粒径はフィラーの種類により異なり、適宜に選択することが重要である。例えば、平均粒径が1.5〜6μmで、アスペクト比が5以上であるものが好ましい。また、平均粒径が8〜100μmで、平均アスペクト比が10〜80のマイカも、本発明の成分bとして好ましいものである。これらフィラーの長さや平均アスペクト比や平均粒径は、成形品の外観(反り変形の量)や機械的強度のバランス及びプロピレン系樹脂組成物中への分散の容易さ等の点から好ましい範囲が選ばれたものである。
上記のような平均粒径と平均アスペクト比を有するタルクは、例えば、タルク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粗粉砕し、次いで、ミクロンミル、ジェット型粉砕機で微粉砕することによって得られたものを、更に、サイクロンやミクロンセパレーター等で分級調整することによって製造することができる。上記タルク原石に中国産のものを使用すれば、金属不純物成分が少ないので好ましい。
上記マイカとしては、白マイカ、金マイカ、黒マイカ等のように、その種類や製造法等によって若干性質の異なるものもあるが、本発明においてはいずれのものも使用可能である。これらマイカの中では白マイカや金マイカを使用することが好ましい。特に、湿式粉砕や湿式分級された白マイカや金マイカを使用することが好ましい。
これらフィラーは、界面活性剤、カップリング剤、金属石鹸等で表面処理を施したものを使用することができる。表面処理したフィラーは、成形品の成形外観や機械的強度のバランス、寸法安定性等をより一層向上させるのに有効である。
なお、板状フィラーの平均粒径は、レーザー光散乱方式粒度分布計を用いて測定した50%通過分積算量の値であり、例えば、堀場製作所製LA−500型測定装置により測定することができる。板状フィラーのアスペクト比は平均粒径/平均厚さにより算出する。ここで、平均厚さ(単位μm)は顕微鏡で拡大観察し、視野中の50粒の粒子の厚さを計測し、算術平均した値である。
(3)繊維状フィラー(成分c)
本発明の繊維状フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、硼酸アルミニウム繊維、チタン酸カリウム繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、炭酸カルシウム繊維等の無機繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテルケトン繊維等の融点が200℃以上である有機合成樹脂繊維等を挙げることができる。なかでも、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、とりわけガラス繊維が好ましい。
繊維状フィラーの平均繊維径は、製造の難度及び製品外観から、通常6μm以上、好ましくは6〜20μm、特に9〜15μmが好適である。また、繊維状フィラーのアスペクト比は、剛性の観点から5以上が好ましく、より好ましくは100以上である。
なお、ここで繊維径は、繊維を繊維長さ方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の数平均を算出することにより求める。また、繊維状フィラーのアスペクト比は、平均繊維長/平均繊維径により算出する。ここで、平均繊維長(単位μm)は顕微鏡で拡大観察し、視野中の50粒の粒子の厚さを計測し、算術平均した値である。
繊維状フィラーは、界面活性剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤、金属石鹸等で表面処理を施したものを使用することができる。これにより、高結晶性プロピレン系樹脂と繊維状フィラーとの接着性・相溶性を向上させることができる。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−グリシキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(2,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシランが好ましい。これらのカップリング剤は単独で用いても、複数種組み合わせて用いてもよい。
また、繊維状フィラーは、通常、サイジング剤(集束剤)により集束処理されている。集束剤の繊維状フィラー表面への最終付着量は、繊維の解繊性及び製品外観から一般に0.01〜1.5重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%である。集束成分としては、通常、ウレタン系樹脂、変性又は未変性のオレフィン樹脂等のフィルム形成性を有する樹脂等が使用される。
ガラス繊維は、一例として、次の様な方法で製造することができる。まず、溶解したガラスをマーブルと称する所定の大きさのガラス玉に成形し、それをブッシングと称する成形炉にて加熱軟化せしめ該炉テーブルの多数のノズルから流下させ、この素地を高速度で延伸しながら、その途中に設けた集束剤塗布装置にて浸漬で集束剤を付着させて集束し、乾燥させて回転ドラムで巻き取る。このときのノズル径寸法と引取速度を調節してガラス繊維の平均繊維径を所定寸法にする。同時に、集束剤濃度・種類・塗布時間を調節して乾燥後の最終集束剤付着量を上記範囲に収める。
ガラス繊維の長さは、特に限定されず、ロービング、チョップドストランド、ストランド等いずれの形態でもよいが、高結晶性プロピレン系樹脂との混練作業上1〜8mm程度のチョップドストランドが好ましい。このときの集束本数は、通常、100〜5000本が好ましく、特に500〜2000本が好適である。なお、高結晶性プロピレン系樹脂への混練後の平均長さが0.1mm以上得られるならば、いわゆるミルドファイバー、ガラスパウダーと称せられるストランドの粉砕品でも良く、また、連続短繊維系のスライバー状のものでも良い。原料ガラスの組成は、無アルカリのものが好ましく、一例にEガラスがある。
(4)その他の成分(成分d)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)、板状フィラー(成分b)及び繊維状フィラー(成分c)を必須成分として含有するものであるが、必要に応じてその他の成分(成分d)を配合することができる。かかる成分として、下記(i)〜(iii)が例示できる。
(i)変性ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性したものであり、ポリオレフィン系樹脂中にカルボキシル基、無水カルボン酸基等の官能基を有するものである。変性されるポリオレフィン系樹脂の例としては、上述したポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が挙げられ、変性ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。尚、変性ポリプロピレン系樹脂には、上述のポリプロピレン系樹脂と同様に、変性されたプロピレン単独重合体、変性されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、変性されたプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体等を含む。
ポリオレフィン系樹脂の変性方法としては、例えば、グラフト変性や共重合化が挙げられる。変性に用いる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、フタル酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水フタル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸又は無水フタル酸が好適である。変性ポリオレフィン系樹脂の好適なカルボン酸付加量は、0.1〜14重量%であり、より好ましくは0.8〜8重量%である。酸付加量は、変性処理後の樹脂のIRスペクトルを測定し、1,670〜1,810cm-1のピークの面積から決定する。
ポリオレフィン系樹脂の変性化は、樹脂組成物の製造に先立って予め行ってもよいし、樹脂組成物製造の際の溶融混練過程において行ってもよい。樹脂組成物の製造に先立って予め行う場合は、繊維強化樹脂ペレットを作製するときに、ポリオレフィン系樹脂に酸変性したポリオレフィン系樹脂を適量添加する。このとき、反応性官能基を有するポリオレフィン系樹脂を0.1〜50重量%、より好ましくは1〜25重量%添加するのが好ましい。
溶融混練過程で行う際は、ポリオレフィン系樹脂と不飽和カルボン酸又はその誘導体を、有機過酸化物を用いて押出機中で混練することにより、不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフト共重合し変性化する。上記有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等を挙げることができる。
(ii)エラストマー
エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物含有ゴム、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴム等が挙げられる。
<ビニル芳香族化合物含有ゴム>
ビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体等が挙げられ、その共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているものが好ましく、さらに好ましくは85%以上水素添加されているものである。また、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法による分子量分布(Q値=Mw/Mn)が2.5以下であるものが好ましく、さらに好ましくは2.3以下のものである。また、ビニル芳香族化合物含有ゴム中のビニル芳香族化合物の平均含有量が10〜30重量%であるものが好ましく、さらに好ましくは12〜20重量%のものである。また、ビニル芳香族化合物含有ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃、21.2N)が1〜15g/10分であるものが好ましく、さらに好ましくは2〜13g/10分のものである。比重は通常0.91g/cm3以下である。
ビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン・ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン・ブタジエン・スチレン系ゴム(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等を挙げることができる。また、エチレン・プロピレン・非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。また、2種類以上のビニル芳香族化合物含有ゴムを併用しても良い。
ビニル芳香族化合物含有ゴムの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
<エチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴム>
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴムとは、エチレンとα−オレフィンからなるランダム共重合体ゴムであり、そのようなゴムであれば特に制限はない。α−オレフィンは炭素数3以上のα−オレフィンであり、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン等が挙げられ、好ましくは、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1であり、2種以上のα−オレフィンを併用してもよい。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン・ヘキセン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン・オクテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体等が挙げられ、好ましくは、エチレン・オクテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体ゴム又はエチレン・ヘキセン−1ランダム共重合体ゴムである。また、2種類以上のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴムを併用しても良い。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴムのMFR(190℃、21.2N)は0.1〜40g/10分であり、好ましくは、0.5〜30g/10分、さらに好ましくは、0.5〜20g/10分である。また、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴムの比重は0.89g/cm3以下であり、好ましくは0.88g/cm3以下、さらに好ましくは、0.875g/cm3以下である。
(iii)各種の添加剤成分
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、或いは、更に性能の向上を計るために、以下に示す任意の添加剤や配合材成分を配合することができる。具体的には、ポリプロピレン樹脂と相溶性を向上させる変性プロピレン系重合体、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、分散剤、光安定剤等の各種添加剤、上記成分a〜成分c以外の各種の樹脂、各種エラストマー、各種フィラー等の各種配合材を挙げることができる。
[2]プロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のプロピレン系樹脂組成物の構成成分は、前記[1]で説明した通り、成分a、成分b及び成分cを必須成分とし、更に必要に応じて、成分dを含有するものであるが、以下、それらの配合割合及び製造法について説明する。
<配合割合>
高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)100重量部に対して、板状フィラー(成分b)は、通常、35〜55重量部、好ましくは40〜50重量部の量で配合される。上記成分bの配合量が上記範囲未満では成形品の剛性や反り安定性が劣り、また、上記範囲を超えると成形品外観や成形性が著しく劣り実用性がない。また、繊維状フィラー(成分c)は、高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)100重量部に対して、通常、3〜15重量部、好ましくは3〜10重量部の量で配合される。上記成分cの配合量が上記範囲未満では成形品の剛性や衝撃強度が劣り、また、上記範囲を超えると成形品外観が著しく劣り実用性がない。更に加えて、板状フィラー(成分b)と繊維状フィラー(成分c)との重量比(成分b/成分c)は4〜20、好ましくは4〜16である。4未満であると剛性が不足し、20を超えると反りが著しく大きくなる。任意的な配合成分である成分dは、使用目的により一義的ではないが、変性ポリオレフイン樹脂の場合は、成分a100重量部に対して0〜20重量部、エラストマーの場合は成分a100重量部に対して0〜30重量部、酸化防止剤など各種の添加剤の場合は、成分a〜成分cの合計量を100重量部として、0〜2重量部程度配合する。
<組成物の製造(混練・造粒)>
上記成分a〜成分c、場合により成分dを上記配合割合で配合して、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって本発明のプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが好ましく、通常は二軸押出機を用いて混練・造粒が行なわれる。この混練・造粒の際には、上記成分a〜成分c、場合により成分dを含む全ての配合物を同時に混練しても良く、また性能の向上を計るべく各成分を適宜に分割することができる。例えば、先ず成分aと成分bの一部又は全部を混練し、得られた溶融樹脂に対して、サイドフィーダ等で残りの成分を混練・造粒することもできる。
[3]プロピレン系樹脂製浴室用防水パンの製造
<組成物の成形>
このようにして得られたプロピレン系樹脂組成物を用い、各種成形方法、すなわち、射出成形、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、圧縮成形、等で成形して浴室用防水パンを得る。これらの中でも射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)により成形することが好ましい。
次に、本発明の防水パンを射出成形により製造する例について述べる。雌雄一対からなる金型が使用され、該金型は開閉可能なように雌雄いずれか一方がプレス装置に取り付けられている。この金型はそれぞれキャビティ面を有しており、一方の金型(例えば、雄型)のキャビティ面が意匠面となり、他方の金型(例えば、雌型)は裏面となる。意匠面側のキャビティ面には所望の凹凸模様が加工されており、裏面側のキャビティ面は補強用のリブが形成し得る形状となっている。
雌型のキャビティ面には、キャビティ内に溶融樹脂を供給するための溶融樹脂供給口が開口し、該溶融樹脂供給口は金型内の溶融樹脂通路を介して金型外の射出機に接続され、射出機で溶融状態にされた熱可塑性樹脂がキャビティ内に供給できるようになっている。このような金型を使用し、両金型間が所定のキャビティクリアランスになるまで雄型を下降させて型締し、溶融樹脂を両キャビティ面間に供給する。このとき、型締動作は一時停止してもよいし、型締動作と溶融樹脂の供給を平行して行なってもよい。供給する樹脂量は最終製品の体積に応じて予め決定される。型締動作を一時停止して溶融樹脂を供給する場合は、溶融樹脂の供給が完了する直前または完了とほぼ同時に型締を再開する。型締は、溶融樹脂がキャビティ内に完全に充填されるまで続行され、溶融樹脂がキャビティ内に充填された状態で所定圧で保圧される。
キャビティ内の溶融樹脂が冷却、固化するまでこの保圧状態を維持し、冷却完了後、両金型を開放して固化した成形体を取り出し防水パンを得ることができる。尚、先の溶融樹脂の供給を完了した後に、射出機内に溶融樹脂を蓄え、次の製造に備えておくことにより、短い成形サイクルで目的とする防水パンを製造することができる。また、溶融樹脂の供給前に、予め意匠面側の金型キャビティ面に表面層となる材料例えば樹脂シ−トを固定しておき、それ以外は先に述べたと同様の方法で、溶融樹脂の供給、型締、冷却操作を行うことにより、表面層を有する防水パンを製造することもできる。
尚、上記においては雄型を下降させて型締めする方式を例示したが、雄型、雌型の上下は限定されず、上記とは逆に、上を雌型、下を雄型としてもよい。
<防水パン>
本発明において浴室用防水パンとは、浴槽設置部の防水パン、洗い場部の防水パンを含む概念であり、浴槽設置部の防水パン、洗い場部の防水パン、浴槽設置部の防水パンと洗い場部の防水パンが接合された防水パン、浴槽設置部と洗い場部が一体的に形成された防水パンなどが挙げられる。成形される浴室用防水パンの形状は特に制限されるものではなく、公知のいかなる形状であってもよい。
<ユニットバス>
防水パンは、下記のような部材と共に組み立てられユニットバスを構成する。ユニットバスの一般的な組み立て施工順序を述べれば、まず防水パンを設置し、防水パン下のボルト脚高さを調節する。次いで、防水パンの壁パネル載置面に専用固定金具、ビス、ボルトナットなどで壁パネルを固定する。次いで、壁パネルの上に天井パネルを設置、更に浴槽を設置、更にドア、カウンター、収納棚、水栓、鏡、照明などを取り付けて完成する。
本発明の浴室用防水パン用プロピレン系樹脂組成物を更に詳細に説明するために、以下に実験例を示して本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り係る具体例に限定されるものではない。
[I]原材料
(1)高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)
<PP−1> 日本ポリプロ社製ノバテックPP「BC03C」として市販されているプロピレン・エチレンブロック共重合体。即ち、沸騰ペプタン不溶分のアイソタクチックペンタド分率が98%の結晶性ポリプロピレン部[A単位部]を94重量%、エチレン含量が40重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部分[B単位部]を6重量%各々含有し、重合体全体のMFRが30g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が6.0であるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
<PP−2>日本ポリプロ社製ノバテックPP「BC3M」として市販されているプロピレン・エチレンブロック共重合体の過酸化物減成品。即ち、沸騰ペプタン不溶部のアイソタクチックペンタド分率が98%の結晶性ポリプロピレン部[A単位部]を91重量%、エチレン含量が50重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部分[B単位部]を9重量%各々含有し、重合体全体のMFRが10g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が4.5であるプロピレン・エチレンブロック共重合体の過酸化物減成品。
該ブロック共重合体100重量部に対して、有機過酸化物としてα,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンを0.03重量部加えて、タンブラーミキサーでよく混合した後、押出機で混練し造粒、ペレット化した。減成後のプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは30g/10分、分子量分布(Mw/Mn)は3.2であった。
(2)板状フィラー(成分b)
<b−1>実質的に平均粒径が90μmであって、平均アスペクト比が50のマイカ(クラレ社製のクラライト・マイカ200HK)
<b−2>実質的に平均粒径が230μmであって、平均アスペクト比が65のマイカ(クラレ社製のクラライト・マイカ150SHK)
(3)繊維状フィラー(成分c)
<c−1>繊維平均径13μm、繊維長さ3mm、集束剤付着量0.3重量%、アミノシランで表面処理されたガラス繊維
[II]評価方法
縦1690mm×横750mm×高さ190mm×肉厚5mm(底部、立ち壁部とも)の寸法で底部外面にリブを有する箱型成形品を射出成形(シリンダ温度230℃、金型温度45℃)にて成形した。得られた成形品について、下記の要領で評価判定を行った。
(i)成形性の評価
○:実用上問題なく成形できるもの。
△:製品の一部に充填不足が認められ、成形に差し支えが出る程度のもの。
×:充填不足が生じ実用に適さないもの。
(ii)外観の評価
○:銀条痕・スジ状のような欠点が殆どないもの。
△:銀条痕・スジ状のような欠点がやや見られるもの。
×:銀条痕・スジ状のような欠点が多くよく目立つもの。
(iii)反りの評価
得られた成形品を用いてユニットバス床を組み立てる際に、接合する浴室壁面部材との隙間や取り付け状態を目視で確認した。
○:防水パンの接合部・底部の隙間が殆ど目立たなく実用に差し支えがないもの。
△:防水パンの接合部・底部の隙間がわずかに目立ち、実用に差し支えが出る程度のもの。
×:防水パンの接合部・底部の隙間がくっきりと見え、実用に適さないもの。
(iv)剛性の評価
JIS−A4416(床に対する衝撃強度試験、床に対するたわみ強度試験)に準拠して行った。
○:たわみがなく、実用に差し支えがないもの。
△:わずかたわみが生じ、実用に差し支えが出る程度のもの。
×:たわみが生じ、実用に適さないもの。
(v)曲げ弾性率
JIS−K7203に準拠した形状の試験片を作成し、JIS−K7203に準拠して、温度は23℃、湿度50%の条件下で測定した。なお、試験片の作成に際して東芝製射出成形機EC100(射出圧100t)を使用した。
(vi)アイゾット衝撃強度
JIS−K7110に準拠した形状の試験片を作成し、JIS−K7110に準拠して、温度は23℃、湿度50%の条件下で測定した。なお、試験片の作成に際して東芝製射出成形機EC100(射出圧100t)を使用した。
[III]実験例
<実施例1〜4>
タンブラーミキサーを用いて、上記の成分a〜成分cを表1に示す割合で配合した。更に成分a〜成分cの合計量100重量部換算で、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリテイケミカルズ社製のイルガノックス1010)を0.1重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバスペシャリテイケミカルズ社製のイルガホス168)を0.1重量部、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート(吉冨製薬社製のDMTP)を0.10重量部、無水マレイン酸で処理された変性ポリプロピレンを2重量部及び酸化チタンを1重量部を各々配合し、ミキサーにてこれらを充分に混合させた。但し、上記のタンブラーミキサーでの混合に際して、繊維状フィラー成分cを加えることなく、後段押出機にてサイドフィーダにより途中より供給を行なった。得られた混合物を神戸製鋼社製KTX押出機を用いて、210℃の温度条件下にて混練造粒した後、ペレット化した。このペレットを上記の評価用の射出成形機へ供給して成形し、また物性測定用試験片を作成して各種の評価を行なった。その評価結果を表1に示す。
<比較例1〜7>
実施例1〜4と同様に、表2に示す配合で各成分を混合、混練造粒及びペレット化した。このペレットを上記の評価用の射出成形機へ供給して成形し、また物性測定用試験片を作成して各種の評価を行なった。その評価結果を表2に示す。
表1、表2から次の事項が認められる。
(1)本発明の要件を全て具備する実施例1〜4は、成形性が良好であり、剛性、反り、外観も良好であり、防水パンとして実用上問題のないレベルであった。
(2)繊維状フィラーを含まない比較例1は、剛性が劣り実用上問題がある。
(3)板状フィラーが過大な比較例2は、わずかに反りが見られ実用上問題がある。
(4)板状フィラーが過少な比較例3は、剛性感が乏しく、反りも見られ実用上問題がある。
(5)分子量分布の狭いプロピレン系樹脂を用いた比較例4は、充填不足で成形性に劣る。また、反りも見られ実用上問題がある。
(6)板状フィラーの粒径が過大な比較例5は、反りが見られ外観上も問題がある。
(7)板状フィラーを加えず繊維状フィラーだけで所定の剛性を満足させるように配合を設定した比較例6は、充填不足気味で大きく反りが発生し、外観も悪くなる。
(8)板状フィラー/繊維状フィラーの重量比が過少な比較例7は、反りが発生し外観も不充分となる。

Claims (6)

  1. MFRが10〜60g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が4以上の高結晶性プロピレン系樹脂(成分a)100重量部と、平均粒径が160μm以下、平均アスペクト比が5以上の板状フィラー(成分b)35〜55重量部と、繊維状フィラー(成分c)3〜15重量部とを含有し、成分bと成分cとの重量比(成分b/成分c)が4〜20であるプロピレン系樹脂組成物を成形してなるプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
  2. 成分bが、平均粒径が1.5〜6μm、平均アスペクト比が5以上のタルクである請求項1に記載のプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
  3. 成分bが、平均粒径が8〜100μmで、平均アスペクト比が10〜80のマイカである請求項1に記載のプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
  4. 成分cが、平均繊維径が6μm以上、平均アスペクト比が5以上の繊維状フィラーである請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
  5. 成分cが、平均繊維径6〜20μmのガラス繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
  6. 成分aが、プロピレン単独重合体又はα−オレフィン重合単位を3重量%以下含むプロピレン共重合体である結晶性ポリプロピレン部[A単位部]とエチレン・プロピレンランダム共重合体部[B単位部]とを含有するプロピレンブロック共重合体である請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂製浴室用防水パン。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013067789A (ja) * 2011-09-08 2013-04-18 Japan Polypropylene Corp 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP2015517597A (ja) * 2012-05-22 2015-06-22 ボルージュ コンパウンディング シャンハイ カンパニー リミテッド 低反り成形物品

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