本発明の第1実施形態に係る車両側部構造について、図1〜図6に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印INは、それぞれ本発明が適用された自動車の車体前方向、車体上方向、及び車幅方向内側方向を示している。
図6に示される如く、本実施形態における自動車の車体10の側部(図6では、車体右側部を車室内側から示している)には、フロントドア開口部12とリヤドア開口部14とが形成されている。フロントドア開口部12にはフロントサイドドア16がフロントドア開口部12を開閉可能に取付けられており、リヤドア開口部14にはリヤサイドドア18がリヤドア開口部14を開閉可能に取付けられている。
なお、フロントドア開口部12は、フロントドア開口部12の周縁部を構成する車体側ピラーとしてのフロントピラー23、ルーフサイドレール24、車体側ピラーとしてのセンタピラー22、ロッカ(サイドシル)26に囲まれて構成されており、リヤドア開口部14は、リヤドア開口部14の周縁部を構成する車体側ピラーとしてのセンタピラー22、ルーフサイドレール24、車体側ピラーとしてのクォータピラー28、ロッカ(サイドシル)26に囲まれて構成されている。また、以下、前後方向、車幅方向を用いて説明する場合には、リヤサイドドア18がリヤドア開口部14を閉止している状態における各方向を示すものとする。
図3には、図6の3−3線断面に沿った拡大断面図が示されている。図3に示される如く、クォータピラー28は、クォータピラー28の車幅方向外側部を構成するクォータピラーアウタパネル30を備えている。クォータピラーアウタパネル30の車幅方向外側壁部30Aの前部30Bからは車幅方向内側へ向かって前壁部30Cが形成されており、前壁部30Cの車幅方向内側端30Dからは車両前方へ向かって車幅方向内側壁部30Eが形成されている。
リヤサイドドア18は、リヤサイドドア18の車外側を構成し車外に露出するドアアウタパネル38と、リヤサイドドア18の車内側を構成するドアインナパネル40とを周縁部で互いに結合した中空状のドア本体を有する構造となっている。また、ドア本体内には図示を省略したドアガラスやドアガラス昇降装置等が配置されており、ドアアウタパネル38の外周縁部38Aとドアインナパネル40の外周縁部40Aはヘミング加工によって結合されている。
リヤサイドドア18の後端部(外周縁部)18Aは、クォータピラー28の前部を車幅方向外側から覆うようになっている。より具体的に説明すると、ドアインナパネル40の後端部には、リヤサイドドア18によるリヤドア開口部14の閉止状態で、クォータピラーアウタパネル30の前壁部30Cと対向する後壁部40Bが形成されており、後壁部40Bの車幅方向内側端から車両前方へ延びる側壁部40Cが、クォータピラーアウタパネル30の車幅方向内側壁部30Eに対向していいる。
図6に示される如く、リヤサイドドア18におけるドアベルトライン42の後端部42Aにはドアロック補強部材としてのロックリインフォースメント44が設けられている。
図3に示される如く、ロックリインフォースメント44は板材で構成されており、ドアインナパネル40におけるドアアウタパネル38側に溶接等によって接合されている。
図1にはロックリインフォースメントを車両内側斜め後方から見た斜視図が示されている。図1に示される如く、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aにおける車両前側面にはドアロック46が、3本のビス等の締結部材47によって取付けられている。
図2には図3の2−2線断面に沿った拡大断面図が示されている。図2に示される如く、締結部材47はドアインナパネル40に形成された取付孔41と、ロックリインフォースメント44に形成した取付孔45とを挿通し、ドアロック46に螺合されている。なお、ドアロック46はラッチ46Aを有する周知の構成であるため説明を省略する。
図3に示される如く、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aはドアインナパネル40の後壁部40Bの車両前側面に接合されている。また、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの車幅方向内側端からは、車両前方へ向って内側壁部としての車幅方向内側壁部44Bが形成されており、車幅方向内側壁部44Bは側壁部40Cの車幅方向外側面に接合されている。一方、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの車幅方向外側端からは、車両後方へ向って外側壁部としての車幅方向外側壁部44Cが形成されており、車幅方向外側壁部44Cの後端からは、車幅方向外側後方へ向ってフランジ44Dが形成されている。
図1に示される如く、ロックリインフォースメント44の上下方向中間部にはドアロック取付壁部44Aと車幅方向内側壁部44Bとに跨って矩形状のドアロック開口部48が形成されている。
図3に示される如く、ロックリインフォースメント44のドアロック開口部48には、クォータピラーアウタパネル30の前壁部30Cに設けられたドアロックストライカ50が車両後方側から車両前方側に向って挿入されている。ドアロックストライカ50はU字状に屈曲された丸棒材によって構成されており、ドアロック46に内臓されたラッチ46Aと噛み合ってリヤサイドドア18を閉止状態に保持するようになっている。
図1に示される如く、ロックリインフォースメント44におけるドアロック取付壁部44Aの下端縁部には、応力分散手段としてのフランジ44Eがドアロック46の取付け側(車両前方側)に向かって屈曲により一体形成されている。また、ロックリインフォースメント44における車幅方向内側壁部44Bの下端縁部には、ドアロック46の取付け側(車幅方向外側)の下方へ向かって傾斜したフランジ44Fが屈曲形成されており、ロックリインフォースメント44における車幅方向外側壁部44Cの下端縁部には、車幅方向外側の下方へ向かって傾斜したフランジ44Gが屈曲形成されている。なお、各フランジ44F、44Gはフランジ44Eの両端から延長されており、各フランジ44E、44F、44Gは互いに連結されている。
図2に示される如く、ロックリインフォースメント44におけるドアロック取付壁部44Aのフランジ44Eは、ドアインナパネル40の後壁部40Bと反対側となる車両前方下側に向って傾斜している。
図4には本実施形態の車両側部構造の車両側突状態を示す図2に対応する断面図が示されている。図4に示される如く、他車両等がリヤサイドドア18に車幅方向外側から車幅方向内側に向って衝突し、側突荷重(図4の矢印F1)によって、リヤサイドドア18の中央部が車幅方向内側へ変形して、リヤサイドドア18の後端部18Aがドア中央方向且つ車幅内側方向(図4の矢印F2方向)へ引っ張られる場合には、ドアロック46のラッチ46Aとドアロックストライカ50との噛み合いによって、ドアロック46及びドアロック46が固定されたロックリインフォースメント44は、矢印F2方向の移動が阻止される。この結果、ドアインナパネル40の後壁部40Bが、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aに対して矢印F2方向へ移動する。
この際、図2に示される如く、ドアインナパネル40の後壁部40Bにおける下部40Dが図2に実線で示される変形前の位置から、図2に二点鎖線で示すように車両前方へ変形するが、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端縁部に形成したフランジ44Eが、ドアインナパネル40の後壁部40Bと反対側となる車両前方下側に向って傾斜している。このため、ドアインナパネル40の後壁部40Bにおける下部40Dのフランジ44Eと当たる部位40Eがフランジ44Eの後面44Hに沿って屈曲するようになっている。この結果、車幅方向に延びるフランジ44Eの後面44Hで、ドアインナパネル40から作用する側突荷重を支持できるようになっている。
即ち、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eのエッジ(先端角部)にドアインナパネル40が当たるのを防止でき、フランジ44Eのエッジによってドアインナパネル40が破断するのを防止できるようになっている。
よって、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をロックリインフォースメント44の車幅方向に延びるフランジ44Eによってロックリインフォースメント44へ効率良く伝達することができるようになっている。この結果、ロックリインフォースメント44に伝達された側突荷重がドアロック46を介してドアロックストライカ50が取付けられたクォータピラーアウタパネル30に効率良く伝達されるようになっている。
即ち、側突荷重がリヤサイドドア18からドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ確実に伝達され、リヤサイドドア18の変形が抑制されるようになっている。
また、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端に形成したフランジ44Eが、ドアインナパネル40の後壁部40Bと反対側となる車両前方下側に向って傾斜しており、ドアインナパネル40の後壁部40Bにおける下部40Dから離間している。この結果、フランジ44Eとドアインナパネル40との間に電着塗装の塗料が入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上するようになっている。
また、フランジ44Eを形成したことでロックリインフォースメント44におけるドアロック46を支持するドアロック取付壁部44Aの剛性が向上するため、ドアロック46のリヤサイドドア18への組付け精度が向上するようになっている。更に、図1に示される如く、ロックリインフォースメント44におけるドアロック取付壁部44Aの上部にドアフレーム49が接合されているため、ドアフレーム49の支持剛性が向上し、ドアフレーム49の車幅外側方向(図5に矢印A方向)等の揺れを防止できるようになっている。
また、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aにフランジ44Eを形成したことで、ドアインナパネル40のドアロック取付壁部44Aにおけるドアロック46を取付けた部位の周囲の剛性が向上する。この結果、ドア閉時にドアロック46の揺れ(不要な動き)を低減することができるようになっている。また、ドア開閉時にドアロック46の揺れを低減することができるため、ドアロック46を取付けた部位のドア開閉に対する耐久性能も向上できるようになっている。
また、ドアロック46をリヤサイドドア18に組付ける際に、取付け方向に傾斜したフランジ44Eがガイドとなるため、ドアロック46の組付け作業性が向上するようになっている。
また、図1に示される如く、ロックリインフォースメント44における車幅方向内側壁部44Bの下端縁部に形成したフランジ44Fと、ロックリインフォースメント44における車幅方向外側壁部44Cの下端縁部に形成したフランジ44Gとが、長手方向を車両前後方向に沿って配置されている。この結果、車両前方からの荷重に対してこれらのフランジ44F、44Gが突っ張ることで、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bと車幅方向外側壁部44Cとの変形を抑制できる。このため、車両前方からの荷重をドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ効率良く伝達されるようになっている。
また、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eは、フランジ44Fまたはフランジ44Gに連結されており、各フランジの連結部44J、44Kは平面視(車両上下方向から見た状態)でく字状に屈曲されている。この結果、各フランジの連結部44J、44Kはく字状の内側方向へ潰れ難くなっている。このため、側突荷重(図4の矢印F1)や前突荷重(図3の矢印F3)に対して、ロックリインフォースメント44が曲げ変形し難くなり、荷重F3、F4がドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ効率良く伝達されるようになっている。
また、ドアロック46をリヤサイドドア18に組付ける際に、傾斜したフランジ44F、44Gがガイドとなるため、ドアロック46の組付け作業性が更に向上するようになっている。
また、フランジ44E、44F、44Gを形成したことで、ロックリインフォースメント44の形状が安定するようになっている。この結果、ドアインナパネル40におけるロックリインフォースメント44の取付部の形状も安定し、リヤサイドドア18のドアロック46を取付けた部位のクォータピラー28に対する位置精度が向上するようになっている。
図5にはリヤサイドドア18のドアロック取付部を車両後方から見た正面図が記載されている。図5に示される如く、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端部は、下方へ凸の三角形状となっており、フランジ44Eは車両後方から見た形状がV字状に屈曲し下端44Lを有している。
従って、フランジ44Eの車両後方から見た形状をV字状に屈曲することで、フランジ44Eの長さL1が長くなっている。この結果、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をフランジ44Eによって更に効率良くロックリインフォースメント44へ伝達することができるようになっている。
また、フランジ44E上に浸入した水(図5の矢印W1)がフランジ44Eの傾斜に沿って下方に流れ、フランジ44Eの下端44Lから排水されるようになっている。この結果、フランジ44Eに水が溜まり難く、防錆性能が向上するようになっている。
図2に示される如く、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eは、ドアロック46に形成された側突時係合手段としての突起46Bの車両後方上側に配置されている。即ち、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eは、ドアロック46に形成された突起46Bに対して、ドアロックストライカ50を取付けたクォータピラーアウタパネル30の前壁部30C側に配置されている。
従って、車両側突時のリヤサイドドア18の変形によって、ドアインナパネル40とともにロックリインフォースメント44のフランジ44Eが車両前側下方(図2の矢印B方向)へ移動しようとした場合には、フランジ44Eが突起46Bに係合するようになっている。この結果、ドアインナパネル40に作用する引張り荷重が、ドアインナパネル40の取付孔41の周縁部に集中するのを抑制できるようになっている。このため、ドアインナパネル40における取付孔41の周縁部の変形を抑制でき、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をフランジ44Eによって更に効率良くロックリインフォースメント44へ伝達することができるようになっている。
また、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eと、ドアロック46の突起46Bとの隙間を小さくすることができる。この結果、この隙間から水がロックリインフォースメント44とドアロック46との間に入り難くなるため、防錆性能が向上するようになっている。
図1に示される如く、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48の上方にはドアロック取付壁部44Aと車幅方向内側壁部44Bとに跨る補強凸ビードとしての凸ビード52がプレス形成されており、凸ビード52は略水平方向に配置されている。凸ビード52はドアインナパネル40側(図1の紙面手前側)へ突出しており、凸ビード52の長手方向から見た形状は台形状となっている。
なお、補強凸ビードとは、板状部を補強するためにプレス加工等によって凸形状に屈曲した長尺形状の凸部である。
従って、車両側突時にドアインナパネル40が車両前方へ変形した場合に、ドアインナパネル40からの荷重をドアインナパネル40に当接する凸ビード52で支持し、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aと車幅方向内側壁部44Bとに分散できるようになっている。この結果、ドアインナパネル40からの荷重をロックリインフォースメント44の広い面で受け、ドアインナパネル40のフランジ44Eに応力が集中するのを防止できるようになっている。よって、側突荷重がリヤサイドドア18からドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ確実に伝達され、リヤサイドドア18の変形が抑制されるようになっている。また、凸ビード52自体がドアインナパネル40を挟んでクォータピラーアウタパネル30へ側突荷重を伝達することができるため、側突荷重がリヤサイドドア18から車体側へ効率的に伝達され、リヤサイドドア18の変形が更に抑制されるようになっている。
また、ロックリインフォースメント44に凸ビード52を形成したことで、ロックリインフォースメント44の剛性及び強度が更に向上するようになっている。
また、図5に示される如く、ロックリインフォースメント44に凸ビード52を略水平方向へ配置したことで、車両側突時に作用する車幅方向の荷重(図5の矢印F1)をロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aに形成した凸ビード52の軸力で支持することができると共に、車両前突時に作用する荷重を、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bに形成した凸ビード52の軸力で支持することができる。このため、これらの荷重を車体側へ効率良く伝達できるようになっている。
また、ロックリインフォースメント44の凸ビード52がドアロック開口部48の上方においてドアインナパネル40側(図1の紙面手前側)へ突出しているため、凸ビード52によってドアロック開口部48の上方に水を流れ難くする狭い隙間が形成される。この結果、ドアロック開口部48からの水漏れを低減できるようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の本実施形態では、図4に示される如く、他車両等がリヤサイドドア18に車幅方向外側から車幅方向内側に向って衝突し、側突荷重(図4の矢印F1)によって、リヤサイドドア18の中央部が車幅方向内側へ変形して、リヤサイドドア18の後端部18Aがドア中央方向且つ車幅内側方向(図4の矢印F2方向)へ引っ張られた場合には、ドアロック46のラッチ46Aとドアロックストライカ50との噛み合いによって、ドアロック46及びドアロック46が固定されたロックリインフォースメント44は、矢印F2方向の移動が阻止される。この結果、ドアインナパネル40の後壁部40Bが、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aに対して矢印F2方向へ移動する。
この際、図2に示される如く、ドアインナパネル40の後壁部40Bにおける下部40Dが図2に実線で示される変形前の位置から、図2に二点鎖線で示すように車両前方へ変形するが、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端に形成したフランジ44Eが車両前方下方側に向って傾斜しているため、ドアインナパネル40の後壁部40Bにおける下部40Dのフランジ44Eと当たる部位40Eが、フランジ44Eの後面44Hに沿って湾曲する。
この結果、車幅方向に延びるフランジ44Eの後面44Hで、ドアインナパネル40から作用する側突荷重を支持できる。このため、フランジ44Eのエッジ(先端角部)にドアインナパネル40が当たることを防止でき、フランジ44Eのエッジによってドアインナパネル40が破断するのを防止できる。
従って、本実施形態では、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をロックリインフォースメント44の車幅方向に延びるフランジ44Eによって、ドアインナパネル40からロックリインフォースメント44へ効率良く伝達することができる。この結果、ロックリインフォースメント44に伝達された側突荷重がドアロック46を介してドアロックストライカ50が取付けられたクォータピラーアウタパネル30に効率良く伝達される。このため、側突荷重がリヤサイドドア18からドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ確実に伝達され、リヤサイドドア18の変形が抑制される。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端に形成したフランジ44Eが、ドアインナパネル40の後壁部40Bと反対側となる車両前方下側に向って傾斜しており、ドアインナパネル40の後壁部40Bにおける下部40Dから離間している。この結果、フランジ44Eとドアインナパネル40との間に電着塗装の塗料が入り易く塗装し易いため、防錆性能が向上する。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aにフランジ44Eを形成したことでロックリインフォースメント44におけるドアロック46を支持するのドアロック取付壁部44Aの剛性が向上する。このため、ドアロック46のリヤサイドドア18への組付け精度が向上する。更に、ロックリインフォースメント44にドアフレーム49が接合されているため、ドアフレーム49の支持剛性が向上し、ドアフレーム49の揺れを防止できる。
また、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aにフランジ44Eを形成したことで、ドアインナパネル40におけるドアロック46を取付けた部位の周囲の剛性が向上する。この結果、ドア閉時にドアロック46の揺れ(不要な動き)を低減することができる。また、ドア開閉時にドアロック46の揺れを低減することができるため、ドアロック46を取付けた部位のドア開閉に対する耐久性能も向上できる。
また、本実施形態では、ドアロック46をリヤサイドドア18に組付ける際に、傾斜したフランジ44Eがガイドとなるため、ドアロック46の組付け作業性が向上する。
また、図1に示される如く、ロックリインフォースメント44における車幅方向内側壁部44Bの下端縁部に形成したフランジ44Fと、ロックリインフォースメント44における車幅方向外側壁部44Cの下端縁部に形成したフランジ44Gとが、長手方向を車両前後方向に沿って配置されている。この結果、車両前方からの荷重に対してこれらのフランジ44F、44Gが突っ張ることで、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bと車幅方向外側壁部44Cとの変形を抑制できる。このため、車両前方からの荷重をドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ効率良く伝達できる。
また、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eは、フランジ44Fまたはフランジ44Gに連結されており、各フランジの連結部44J、44Kは平面視(車両上下方向から見た状態)でく字状に屈曲されている。この結果、各フランジの連結部44J、44Kはく字状の内側方向へ潰れ難くなっている。このため、側突荷重(図4の矢印F1)や前突荷重(図3の矢印F3)に対して、ロックリインフォースメント44が変形し難くなり、荷重をドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ効率良く伝達できる。
また、ドアロック46をリヤサイドドア18に組付ける際に、傾斜したフランジ44F、44Gがガイドとなるため、ドアロック46の組付け作業性が更に向上する。
また、フランジ44E、44F、44Gを形成したことで、ロックリインフォースメント44の形状が安定する。この結果、ドアインナパネル40におけるロックリインフォースメント44の取付部の形状も安定し、リヤサイドドア18におけるドアロック46を取付けた部位のクォータピラー28に対する位置精度が向上する。
また、本実施形態では、図5に示される如く、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端部が下方凸の三角形状となっており、フランジ44Eは車両後方から見た形状がV字状に屈曲している。この結果、フランジ44Eの長さL1が長くなり、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をフランジ44Eによって更に効率良くロックリインフォースメント44へ伝達することができる。
また、本実施形態では、フランジ44E上に浸入した水(図5の矢印W1)がフランジ44Eの傾斜に沿って下方に流れ、フランジ44Eの下端44Lから排水されるため、フランジ44Eに水が溜まり難く、防錆性能が向上する。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eが車両前側下方(図2の矢印B方向)へ移動しようとした場合に、フランジ44Eがドアロック46の突起46Bに係合し、ドアインナパネル40に作用する荷重が取付孔41の周縁部に集中するのを抑制できる。この結果、ドアインナパネル40における取付孔41の周縁部の変形を抑制できる。このため、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をフランジ44Eによって更に効率良くロックリインフォースメント44へ伝達することができる。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eと、ドアロック46の突起46Bとの隙間が小さくなる。この結果、この隙間から水がロックリインフォースメント44とドアロック46との間に入り難くなるため、防錆性能が向上する。
また、本実施形態では、車両側突時にドアインナパネル40が車両前方へ変形した場合に、ドアインナパネル40からの荷重をロックリインフォースメント44に形成した凸ビード52で支持し、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aと車幅方向内側壁部44Bとに分散できる。この結果、ドアインナパネル40からの荷重をロックリインフォースメント44の広い面で受け、ドアインナパネル40のフランジ44Eに応力が集中するのを防止できる。このため、側突荷重がリヤサイドドア18からドアロック46とドアロックストライカ50を介して車体側へ確実に伝達され、リヤサイドドア18の変形が抑制される。また、凸ビード52自体がドアインナパネル40を挟んでクォータピラーアウタパネル30へ荷重を伝達することができるため、側突荷重がリヤサイドドア18から車体側へ確実に伝達され、リヤサイドドア18の変形が抑制される。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に凸ビード52を形成したことで、ロックリインフォースメント44の剛性及び強度が更に向上する。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に凸ビード52を略水平方向へ配置したことで、車両側突時に作用する車幅方向の荷重(図5の矢印F1)をロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aに形成した凸ビード52の軸力で支持することができると共に、車両前突時に作用する荷重を、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bに形成した凸ビード52の軸力で支持することができる。このため、これらの荷重を車体側へ効率良く伝達できる。
また、本実施形態では、ロックリインフォースメント44の凸ビード52がドアロック開口部48の上方においてドアインナパネル40側(図1の紙面手前側)へ突出しているため、凸ビード52によってドアロック開口部48の上方に水を流れ難くする狭い隙間が形成される。この結果、ドアロック開口部48からの水漏れを低減できる。
また、本実施形態では、応力分散手段をロックリインフォースメント44の下端縁部にドアロック側に向かって屈曲したフランジ44Eとすることで、ロックリインフォースメント44への応力分散手段の形成が容易になる。
なお、上記第1実施形態では、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの下端部が下方へ凸の三角形状となっており、フランジ44Eは車両後方から見た形状がV字状に屈曲しているが、フランジ44Eの車両後方から見た形状は少なくとも一つ以上の凸部を有し、フランジ44Eの長さL1を長くする形状であればW字形状、波形状等の他の形状としても良い。
次に、本発明の第2実施形態に係る車両側部構造について図7に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図7には図1に対応する斜視図が示されている。図7に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に形成したドアロック開口部48の下方に補強凸ビードとしての凸ビード53が形成されており、凸ビード53はビード52と同様な構成になっている。また、凸ビード53は車幅方向外側壁部44Cへ延長されており、凸ビード53の後端部53Aはフランジ44Dに達している。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に凸ビード52に加えて凸ビード53を形成したことでロックリインフォースメント44の剛性及び強度を更に向上できる。
次に、本発明の第3実施形態に係る車両側部構造について図8に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図8には図1に対応する斜視図が示されている。図8に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に形成した凸ビード52が車幅方向内側壁部44Bにおける前後方向中間部において補強凸ビードとしての前凸ビード60と後凸ビード62とに2分割されている。また、前凸ビード60と後凸ビード62とは前後方向に所定距離L2離間していると共に、前凸ビード60が後凸ビード62に対して下方に所定距離離間している。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、前凸ビード60と後凸ビード62とが前後方向に所定距離L2離間しているため、電着塗装の際に、前凸ビード60と後凸ビード62との隙間からエア抜きができ、ロックリインフォースメント44とドアインナパネル40との間に塗料が入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上する。また、前凸ビード60と後凸ビード62との隙間をドアロック開口部48の上方から車両前方へ外れた位置にすることで、ドアロック開口部48からの水漏れを低減できる。
次に、本発明の第4実施形態に係る車両側部構造について図9に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図9には図1に対応する斜視図が示されている。図9に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に形成した凸ビード52が長手方向中間部において前凸ビード60と後凸ビード62に2分割されている。また、前凸ビード60は車両前方下側から車両後方上側に向かって傾斜しており、前凸ビード60の後端部60Aはロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの車幅方向内側部まで延長されている。一方、後凸ビード62は車幅方向外方下側から車幅方向内方上側に向かって傾斜しており、車幅方向内側端部62Aが、車幅方向内側壁部44Bの後部まで延長されている。また、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48の上方において、後凸ビード62の車幅方向内側端部62Aが前凸ビード60の後端部60Aの上方に上下方向に所定の間隔を開けて重なっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48の上方において、後凸ビード62の車幅方向内側端部62Aが前凸ビード60の後端部60Aの上方に上下方向に所定の間隔を開けて重なっているため、ドアインナパネル40とロックリインフォースメント44との間に上方から流れ込んだ水が、図9に矢印W1に示される如く、前凸ビード60と後凸ビード62とに沿ってドアロック開口部48の上方から外れる方向へ流れる。この結果、前凸ビード60と後凸ビード62との下方にあるドアロック開口部48からの水漏れを防止できる。また、前凸ビード60と後凸ビード62とが上下方向に所定距離離間しているため、電着塗装の際に、前凸ビード60と後凸ビード62との隙間からエア抜きができ、ロックリインフォースメント44とドアインナパネル40との間に塗料が入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上する。
また、前凸ビード60の後端部60Aと後凸ビード62の車幅方向内側端部62Aとが上下方向に所定の間隔を開けて重なっており、前凸ビード60と後凸ビード62との全長が長くなっている。この結果、側突荷重を前凸ビード60と後凸ビード62とを介してリヤサイドドア18から車体側へ更に効率良く伝達できる。
次に、本発明の第5実施形態に係る車両側部構造について図10及び図11に基づいて説明する。
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図10には図9に対応する斜視図が示されており、図11には図10の11−11断面線に沿った拡大断面図が示されている。図10に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eが略水平方向に延びる直線となっており、フランジ44Eの下端縁部には折れ部44Mが形成されている。
図11に示される如く、フランジ44Eの折れ部44Mは、フランジ44Eの先端から車両下方へ延びており、ドアロック46に形成されたドアロック46の側突時係合手段としての突起46Cと係合可能となっている。なお、ドアロック46の突起46Cは車両側面視において後端部が上方へ突出したL字状となっており、フランジ44Eの折れ部44Mと係合し易い構成となっている。
従って、本実施形態においても第4実施形態と同様の作用効果が得られると共に、フランジ44Eに折れ部44Mを形成したことで、フランジ44Eが変形し難くなり、ロックリインフォースメント44の剛性を更に向上できる。また、車両側突時にロックリインフォースメント44のフランジ44Eが車両前側下方(図2の矢印B方向)へ移動しようとした場合には、フランジ44Eの折れ部44Mが突起46Cに容易に係合し、ドアインナパネル40に作用する荷重が取付孔41の周縁部に集中するのを抑制できる。この結果、ドアインナパネル40における取付孔41の周縁部の変形を抑制できるため、ドアインナパネル40に作用した側突荷重をフランジ44Eによって更に効率良くロックリインフォースメント44へ伝達することができる。
次に、本発明の第6実施形態に係る車両側部構造について図12に基づいて説明する。
なお、第5実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図12には図11に対応する断面図が示されている。図12に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aにおけるフランジ44Eの上方近傍に、ドアロック46の突起46Bが挿入されたスリット66が形成されている。また、スリット66の上周縁部にはフランジ68が車両前方下側に向かって形成されており、スリット66の下周縁部にはフランジ70が車両前方上側に向かって形成されている。
従って、本実施形態においても第5実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ドアロック46の突起46Bを挟んで上下にドアロック46側へ傾斜したフランジ68、70を形成したため、これらのフランジ68、70とドアロック46との隙間が小さくなる。この結果、車両下方からの水(図12の矢印W1)の浸入を防止できる。
次に、本発明の第7実施形態に係る車両側部構造について図13に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図13には図1に対応する斜視図が示されている。図13に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44のフランジ44Eの一部が、締結部材47の外周部の下方を囲む円弧状に湾曲された湾曲部44Nとなっており、フランジ44Fの一部が、ドアインナパネル40とロックリインフォースメント44との接合部P1の外周部の下方を囲む円弧状に湾曲された湾曲部44Pとなっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ドアインナパネル40からの側突荷重を湾曲部44N、44Pを有するフランジ44E、44Fの広い面で受けることができる。このため、ドアインナパネル40のドアロック取付部やロックリインフォースメント44との接合部P1に応力が集中するのを防止できる。
次に、本発明の第8実施形態に係る車両側部構造について図14に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図14には図4に対応する断面図が示されている。図14に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bにおけるドアロック開口部48にフランジ44Qが車幅方向外側に向かって形成されており、車両側突時に、リヤサイドドア18の後端部18Aがドア中央方向且つ車幅内側方向(図14の矢印F2方向)へ引っ張られる場合に、フランジ44Qがドアロック46と係合するようになっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ドアインナパネル40からの荷重をフランジ44Qを介してドアロック46で受けることができる。このため、側突荷重をドアロック46を介してリヤサイドドア18から車体側へ更に効率良く伝達できる。
次に、本発明の第9実施形態に係る車両側部構造について図15に基づいて説明する。
なお、第3実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図15には図8に対応する斜視図が示されている。図15に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bに形成した補強凸ビードとしての前凸ビード72が、ドアロック開口部48の車両前方側に設けられており、長手方向を車両上下方向に沿って配置されている。また、前凸ビード72の上端部72Aが後凸ビード62の車両前方に達しており、前凸ビード72の下端部72Bがドアロック開口部48より下方へ達している。更に、後凸ビード62はドアロック開口部48より車両前方側へ延長されており、前凸ビード72と後凸ビード62とは前後方向に所定距離L2離間している。
従って、本実施形態においても第3実施形態と同様の作用効果が得られると共に、車両上方からの水(図15の矢印W1)の流れを前凸ビード72と後凸ビード62との間を通すことで、水がドアロック開口部48に長手込むのを抑制できる。
次に、本発明の第10実施形態に係る車両側部構造について図16に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図16には図1に対応する斜視図が示されている。図16に示される如く、本実施形態では、第1実施形態の凸ビード52に代えて、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48の上方に補強凸ビードとしての上凸ビード76、中凸ビード78、下凸ビード80が上下方向に所定の間隔を開けて3本形成されている。上凸ビード76と下凸ビード80はロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aを車幅方向に横断し、車幅方向内側端部76A、80Aが車幅方向内側壁部44Bの後部に延長されている。一方、中凸ビード78は車幅方向内側壁部44Bに車両前後方向に沿って形成されており、後端部78Aが上凸ビード76の車幅方向内側端部76Aと下凸ビード80の車幅方向内側端部80Aとの間に挿入され、車両上下方向に対して所定の間隔を開けて重なっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48の上方において、上凸ビード76、中凸ビード78、下凸ビード80が上下方向に所定の間隔を開けて重なっているため、電着塗装の際に、上凸ビード76、中凸ビード78、下凸ビード80の各隙間からエア抜きができ、ロックリインフォースメント44とドアインナパネル40との間に塗料が入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上する。
なお、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に3本の凸ビードを形成したが、4本以上の凸ビードをロックリインフォースメント44に形成した構成としても良い。
次に、本発明の第11実施形態に係る車両側部構造について図17に基づいて説明する。
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図17には図9に対応する斜視図が示されている。図17に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44に形成した前凸ビード60の後端部60Aが車両上方へ向かって屈曲されており、後凸ビード62の車幅方向内側端部62Aも車両上方へ向かって屈曲されている。
従って、本実施形態においても第4実施形態と同様の作用効果が得られると共に、上下方向に所定の間隔を開けて重なっているロックリインフォースメント44に形成した前凸ビード60の後端部60Aと、後凸ビード62の車幅方向内側端部62Aとがそれぞれ車両上方へ向かって屈曲されているため、ドアインナパネル40とロックリインフォースメント44との間に上方から流れ込んだ水が、図17に矢印W1に示される如く、前凸ビード60と後凸ビード62とに沿ってドアロック開口部48の上方から外れる方向へ流れ易くなる。この結果、前凸ビード60と後凸ビード62との下方にあるドアロック開口部48からの水漏れを防止できる。
次に、本発明の第12実施形態に係る車両側部構造について図18に基づいて説明する。
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図18には図9に対応する斜視図が示されている。図18に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bに形成した前凸ビード60の下方に、補強凸ビードとしての凸ビード82が車両前方上側から車両後方下側へ向かって直線状に形成されており、凸ビード82は車幅方向内側壁部44Bにおけるドアロック開口部48の車両前方側に形成されている。凸ビード82の上端部82Aは、ドアロック開口部48の前方において前凸ビード60の前端部60Bの近傍に達しており、凸ビード82の下端部82Bは、ドアロック開口部48の下方においてフランジ44Fの近傍に達している。
従って、本実施形態においても第4実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ロックリインフォースメント44に形成した前凸ビード60、後凸ビード62及び凸ビード82をロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48の上方と前方に形成したため、これらの各ビードによって、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48を形成した部位の剛性及び強度の低下を防止できる。この結果、車両側突時や車両前突時にドアインナパネル40やドアアウタパネル38からの荷重をロックリインフォースメント44を介してにドアロック46に効率良く伝達でき、ドアロック46を介してドアロックストライカ50が取付けられたクォータピラーアウタパネル30に効率良く伝達できる。
次に、本発明の第13実施形態に係る車両側部構造について図19に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図19には図1に対応する斜視図が示されている。図19に示される如く、本実施形態では、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48を囲むように補強凸ビードとしての4本の上凸ビード84、後凸ビード86、下凸ビード88及び前凸ビード90が形成されている。
上凸ビード84はロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bを車両前方下側から車両後方上側に向かって傾斜しており、上凸ビード84の後端部84Aはロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの車幅方向内側部まで延長されている。一方、後凸ビード86はロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aを車幅方向内方上側から車幅方向外方下側に向かって傾斜しており、車幅方向内側端部86Aが、車幅方向内側壁部44Bの後部まで延長されている。また、後凸ビード86の車幅方向内側端部86Aは上凸ビード84の後端部84Aの上方に所定の間隔を開けて重なっている。
下凸ビード88はロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aを車幅方向内方下側から車幅方向外方上側に向かって傾斜しており、後凸ビード86の車幅方向外側端部86Bが下凸ビード88の車幅方向外側端部88Aの上方に所定の間隔を開けて重なっている。一方、前凸ビード90はロックリインフォースメント44の車幅方向内側壁部44Bを車両前方上側から車両後方下側に向かって傾斜しており、前凸ビード90の後端部90Aはロックリインフォースメント44のドアロック取付壁部44Aの車幅方向内側部まで延長されている。また、下凸ビード88の車幅方向内側端部88Bは前凸ビード90の後端部90Aの上方に所定の間隔を開けて重なっており、上凸ビード84の前端部84Bは前凸ビード90の前端部90Bの上方に所定の間隔を開けて重なっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48を囲むように4本の上凸ビード84、後凸ビード86、下凸ビード88及び前凸ビード90が互いに端部が上下方向において所定の間隔を開けて重なる形成されているため、これらの各ビードによって、ロックリインフォースメント44におけるドアロック開口部48を形成した部位の剛性及び強度の低下を防止できる。この結果、車両側突時や車両前突時にドアインナパネル40やドアアウタパネル38からの荷重をロックリインフォースメント44を介してにドアロック46に効率良く伝達でき、ドアロック46を介してドアロックストライカ50が取付けられたクォータピラーアウタパネル30に効率良く伝達できる。
また、ドアインナパネル40とロックリインフォースメント44との間に上方から流れ込んだ水が、後凸ビード86と上凸ビード84とに沿ってドアロック開口部48の上方から外れる方向へ流れる。この結果、後凸ビード86と上凸ビード84との下方にあるドアロック開口部48からの水漏れを防止できる。
また、各凸ビードの端部が上下方向に所定距離離間しているため、電着塗装の際に、各凸ビードの端部間の隙間から、ロックリインフォースメント44とドアインナパネル40との間に塗料(図19の矢印D)が入る。更に、各隙間からの塗料の流れ方向が、ドアロック開口部48の周囲を同方向(図19の矢印D)に流れるため、4つの隙間から流れ込んだ塗料が互いに流れを邪魔することがない。この結果、電着塗装が確実に行われ防錆性能が向上する。
なお、図20に示される如く、ドアロック開口部48を囲むように4本の上凸ビード84、後凸ビード86、下凸ビード88、前凸ビード90をドアロック開口部48を中心とする円状に配置し、各ビードの端部の隙間から流れ込む塗料(図20の矢印D)の流れがより円滑になるようにしても良い。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、ロックリインフォースメント44におけるドアロック取付壁部44Aの下端縁部に応力分散手段としてのフランジ44Eを一体成形したが、これに代えて、ロックリインフォースメント44におけるドアロック取付壁部44Aの上端縁部に応力分散手段としてのフランジ44Eを一体成形した構成としても良い。
また、応力分散手段はフランジ44Eに限定されず、折り返し部等の他の構成としても良い。
また、応力分散手段はロックリインフォースメント44と別部材で構成しても良い。
また、上記各実施形態では、ロックリインフォースメント44に形成した凸ビード52等の各凸ビードをドアインナパネル40側へ突出させたが、これに代えて、各凸ビードをドアロック46側へ突出させた構成としても良い。なお、この場合には、ドアロック46とロックリインフォースメント44との間に水が落ち難くなり、ドアロック開口部48からの水漏れを低減できる。
また、上記各実施形態において、各凸ビード沿い又は各凸ビード上に接着剤やシール材を設け、ドアインナパネル40とロックリインフォースメント44との間又はドアロック46とロックリインフォースメント44との間をシールした構成としても良い。なお、この場合には、ドアインナパネル40とロックリインフォースメント44との間又はドアロック46とロックリインフォースメント44との間をシールすることによって、リヤサイドドア18におけるドアロック取付部の剛性及び強度が更に向上する。また、シール部よって水の浸入を防止できると共にシール部に沿って電着塗装の溶剤の流れが円滑になり塗装が確実に行われるため、防錆性能が向上する。更に、ロックリインフォースメント44を鉄、ドアインナパネル40をアルミ等で構成し、異種金属接合となった場合にも、異種金属間に配置した接着剤またはシール材によって電食(接触腐食)を防止できる。
また、上記各実施形態においては、後席乗員用のリヤドア開口部14を開閉するためのリヤサイドドア18に本発明が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フロントサイドドア16等に適用されても良い。