本発明の第1実施形態に係る車両側部構造について、図1〜図4に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印INは、それぞれ本発明が適用された自動車の車体前方向、車体上方向、及び車幅方向内側方向を示している。
図4に示される如く、本実施形態における自動車の車体10の側部(図4では、車体右側部を車室内側から示している)には、フロントドア開口部12とリアドア開口部14とが形成されている。フロントドア開口部12にはフロントサイドドア16がフロントドア開口部12を開閉可能に取付けられており、リアドア開口部14にはリアサイドドア18がリアドア開口部14を開閉可能に取付けられている。
なお、フロントドア開口部12は、フロントピラー23、ルーフサイドレール24、センタピラー22、ロッカ(サイドシル)26に囲まれて構成されており、リヤドア開口部14は、センタピラー22、ルーフサイドレール24、クォータピラー28、ロッカ(サイドシル)26に囲まれて構成されている。また、以下、前後方向、車幅方向を用いて説明する場合には、リヤサイドドア18がリヤドア開口部14を閉止している状態における各方向を示すものとする。
図2には、図4の2−2線断面に沿った車体側部の拡大断面図が示されている。図2に示される如く、クォータピラー28は、クォータピラー28の車幅方向外側部を構成するクォータピラーアウタパネル30を備えている。クォータピラーアウタパネル30の車幅方向外側壁部30Aの前部には車幅内側方向へ凹んだ段部30Bが形成されている。また、段部30Bの前端からは車幅内側方向へ向かって前壁部30Cが形成されており、前壁部30Cの車幅方向内側端30Dからは車両前方へ向かって車幅方向内側壁部30Eが形成されている。
リヤサイドドア18は、リヤサイドドア18の車内側を構成するドアインナパネル36と、リヤサイドドア18の車外側を構成し車外に露出するドアアウタパネル38とを周縁部で互いに結合した中空状のドア本体を有する構造となっている。また、ドア本体内には図示を省略したドアガラスやドアガラス昇降装置等が配置されており、ドアアウタパネル38の外周縁部38Aとドアインナパネル36の外周縁部36Aはヘミング加工によって結合されている。
リヤサイドドア18の後端部(外周縁部)18Aは、前後方向中間部(外周縁部の内側部)18Bに比べて車幅方向に対して薄く形成されており、クォータピラー28の前部を車幅方向外側から覆うようになっている。具体的には、ドアインナパネル36の後端部には、リヤドア開口部14の閉止状態で、クォータピラーアウタパネル30の段部30Bと対向するインパクトビーム取付壁部36Bが形成されている。取付壁部36Bの後端からは車幅方向外側へ向かって後壁部36Cが形成されており、後壁部36Cの車幅方向外側端に車両後方へ向かって外周縁部36Aが形成されている。
ドアインナパネル36における取付壁部36Bの前端からは車幅内側方向へ向かって前壁部36Dが形成されており、前壁部36Dはクォータピラーアウタパネル30の前壁部30Cと対向している。また、前壁部36Dの車幅方向内側端からは車両前方へ向かって車幅方向内側壁部36Eが形成されている。
図4に示される如く、リヤサイドドア18のドア本体内となるドアインナパネル36の車幅方向外側(図4における紙面裏側)の上下方向中間部には、図4に破線で示すように、インパクトビーム40が車両前後方向に沿って配設されている。インパクトビーム40の後端部40Aにはインパクトビーム取付部材としてのインパクトビームエクステンション(以下、エクステンションという)42が固定されている。また、インパクトビーム40の後端部40Aは、エクステンション42の前端部に形成されたインパクトビーム固定部42Aに溶接等によって結合されている。
なお、インパクトビーム40の前端部もエクステンション43を介してドアインナパネル36の後部に結合されている。
図1にはリヤサイドドア18の後部を車両斜め後方から見た斜視図が示されている。なお、図1では図2に示すウエザストリップ34を省略している。
図1に示される如く、インパクトビーム40は、例えば、断面円形のパイプ材で構成されている。また、エクステンション42におけるインパクトビーム固定部42Aの車両上下方向中央部の車両前後方向から見た断面形状は、開口部を車幅方向外側へ向けた円弧状となっており、インパクトビーム40の後端部40Aはエクステンション42のインパクトビーム固定部42Aの円弧状内周部に挿入された状態で接着、溶接等によって固定されている。
図2に示される如く、インパクトビーム40における車幅方向外側の外周部はドアアウタパネル38に接着剤41によって接着されている。また、エクステンション42におけるインパクトビーム固定部42Aより車両後方側の部位は平板状のドア固定部42Bとなっており、ドア固定部42Bの後端部には、インパクトビーム取付部材折れ防止手段としてのフランジ42Cが車幅方向外側に向かって屈曲形成されている。即ち、インパクトビーム取付部材折れ防止手段としてのフランジ42Cはエクステンション42と一体(同一部材)となっている。
なお、エクステンション42の上端と下端には、車幅外側方向へ向かってフランジ42G、42Hが形成されており、これらのフランジ42G、42Hの後端はフランジ42Cの上端と下端に連結されている。
図1に示される如く、フランジ42Cは、エクステンション42の後端縁部の全域に長手方向を略車両上下方向に沿って配置されており、インパクトビーム40の長手方向である略車両前後方向に対して交差(略直交)している。
従って、車両側突時に、エクステンション42の上下方向中間部がインパクトビーム40によって押圧され、エクステンション42が上下方向中間部を起点に、車幅内側方向(図3の矢印F1方向)へ折れ曲がろうとする。この際、エクステンション42のフランジ42Cによって、エクステンション42に生じる曲げ力を支持し、この曲げ力を車両上下方向へ分散することで、エクステンション42の変形を防止できるようになっている。この結果、リヤサイドドア18に作用する側突荷重F1は、インパクトビーム40からエクステンション42のドア固定部42Bの全域を介して、ドアインナパネル36の取付壁部36Bに伝達され、ドアインナパネル36の取付壁部36Bからクォータピラーアウタパネル30の段部30Bに効率良く伝達されるようになっている。
また、ドアインナパネル36にエクステンション42のフランジ42Cが当ることで、ドアインナパネル36に作用する側突荷重F1をフランジ42Cに沿って車両上下方向へ分散できる。この結果、ドアインナパネル36の局部変形を抑制できるため、リヤサイドドア18に作用する側突荷重F1をドアインナパネル36の取付壁部36Bからクォータピラーアウタパネル30に更に効率良く伝達できるようになっている。
また、図2に示される如く、通常状態では、エクステンション42のフランジ42Cとドアインナパネル36の後壁部36Cとの間に隙間37が車両上下方向に沿って形成されている。この結果、この隙間37に沿って水が流れ易く、エクステンション42のフランジ42Cとドアインナパネル36との間に水が溜まり難くい。また、エクステンション42のフランジ42Cとドアインナパネル36との間に電着塗装の塗料が入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上するようになっている。
また、エクステンション42のフランジ42Cによってエクステンション42のドア固定部42Bの剛性が向上する。この結果、エクステンション42のドアインナパネル36への組付精度が向上するようになっている。更に、エクステンション42の剛性が向上するため、インパクトビーム40の慣性質量による運動エネルギーをドアインナパネル36の広い面に確実に伝達できるようになっている。この結果、リヤサイドドア18を閉める際に、インパクトビーム40の運動エネルギーによってドアインナパネル36に設けられたウエザストリップ34を効率良く撓ますことができ、ドアの閉まりが良くなるようになっている。
なお、図2に示される如く、ウエザストリップ34は、ドアインナパネル36における取付壁部36Bと前壁部36Dとの角部36Fに設けられており、リヤサイドドア18の閉止状態で、角部36Fとクォータピラーアウタパネル30の段部30Bと前壁部30Cとの角部30Fとの隙間をシールするようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の本実施形態では、図3に二点鎖線で示される如く、他車両等がリヤサイドドア18に車幅方向外側から車幅方向内側に向って衝突した場合に、エクステンション42の上下方向中間部がインパクトビーム40によって押圧され、エクステンション42が上下方向中間部を起点に、車幅内側方向(図3の矢印F1方向)へ折れ曲がろうとする。この際、インパクトビーム40の長手方向と交差する方向にエクステンション42のフランジ42Cを設定したため、フランジ42Cによって、エクステンション42におけるインパクトビーム固定部42Aに生じる曲げ力を支持し、この曲げ力を車両上下方向へ分散することで、エクステンション42の曲げを防止することができると共にドアインナパネル36の取付壁部36Bの変形を抑制できる。
この結果、リヤサイドドア18に作用する側突荷重F1が、インパクトビーム40からエクステンション42のドア固定部42Bの全域を介して、ドアインナパネル36の取付壁部36Bに伝達され、ドアインナパネル36の取付壁部36Bからクォータピラーアウタパネル30の段部30Bに効率良く伝達される。
また、エクステンション42のフランジ42Cがドアインナパネル36に当ることで、ドアインナパネル36に作用する側突荷重F1をフランジ42Cに沿って車両上下方向へ分散できる。このため、ドアインナパネル36の局部変形を抑制できるので、リヤサイドドア18に作用する側突荷重F1をドアインナパネル36の取付壁部36Bからクォータピラーアウタパネル30の段部30Bに更に効率良く伝達できる。
また、通常状態では、エクステンション42のフランジ42Cとドアインナパネル36の後壁部36Cとの間に隙間37が車両上下方向に沿って形成されている。この結果、この隙間37に沿って水が流れ易く、エクステンション42のフランジ42Cとドアインナパネル36との間に水が溜まり難くい。また、エクステンション42のフランジ42Cとドアインナパネル36との間に電着塗装の塗料が入り易く塗装し易い。このため、防錆性能を向上できる。
また、エクステンション42のフランジ42Cによってエクステンション42のドア固定部42Bの剛性が向上する。この結果、エクステンション42のドアインナパネル36への組付精度を向上できる。更に、エクステンション42の剛性が向上するため、インパクトビーム40の慣性質量による運動エネルギーをドアインナパネル36の広い面に確実に伝達できる。この結果、リヤサイドドア18を閉める際に、インパクトビーム40の運動エネルギーによってドアインナパネル36に設けられたウエザストリップを効率良く撓ますことができ、ドアの閉まりを良くできる。
また、本実施形態では、インパクトビーム取付部材折れ防止手段をエクステンション42の端部を屈曲したフランジ42Cとすることで、エクステンション42へのインパクトビーム取付部材折れ防止手段の形成が容易になる。
次に、本発明の第2実施形態に係る車両側部構造について図5〜図7に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図5には図1に対応する斜視図が示されており、図6には図2に対応する断面図が示されている。図6に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル36の取付壁部36Bにおける後部に車両側突時係合手段としての係合凸部44が、クォータピラーアウタパネル30の段部30B側となる車幅内側方向に向かってプレス成形等によって突出形成されている。また、係合凸部44の後端44Aは後壁部36Cに達している。即ち、係合凸部44の後端44Aは、ドアインナパネル36の外周縁部36Aに接合されたドアアウタパネル38の外周縁部38Aに接近している。
図5に示される如く、係合凸部44は車両上下方向へ所定の間隔を開けて複数形成されており、係合凸部44は矩形の台形状となっている。また、係合凸部44の一つは取付壁部36Bにおけるエクステンション42のドア固定部42Bの上下方向中央部に対向する部位に形成されている。
図7には図6の7−7断面線に沿った拡大断面図が示されている。図7に示される如く、係合凸部44の上壁部44Bは車幅方向外側上方から車幅方向内側下方へ向かって傾斜しており、係合凸部44の下壁部44Cは車幅方向外側下方から車幅方向内側上方へ向かって傾斜している。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、ドアインナパネル36に形成した係合凸部44の後端44Aが、ドアインナパネル36の外周縁部36Aに接合されたドアアウタパネル38の外周縁部38Aに接近している。この結果、車両側突時に、ドアアウタパネル38が受けた側突荷重(図7の矢印F1)を係合凸部44を介して、係合凸部44が当接するクォータピラーアウタパネル30の段部30Bに迅速に伝達することができる。このため、車両側突時の初期荷重を上げることができる。また、車両側突時に図6に二点鎖線で示すように、係合凸部44がクォータピラーアウタパネル30の段部30Bに食い込み、係合凸部44とクォータピラーアウタパネル30の段部30Bとが係合することで、リヤサイドドア18の車幅内側前方(矢印A方向)への変形を抑制することがきる。
また、本実施形態では、係合凸部44がウエザストリップ34によるシール面となるドアインナパネル36の取付壁部36Bに形成されている。この結果、係合凸部44によってドアインナパネル36の取付壁部36Bの剛性が向上する。このため、リヤサイドドア18を閉める際に、ドアインナパネル36の撓み変形によるロスを少なくして、ドアアウタパネル38の運動エネルギーを、ウエザストリップ34へ伝達することができ、リヤサイドドア18の閉まりが良くなる。また、洗車時の流水が係合凸部44に当たることで、流水がウエザストリップ34を直撃し難くなるため、防水性能が向上する。また、係合凸部44の後端44Aによってドアインナパネル36の後壁部36Cの面積が車幅方向内側へ拡大する。この結果、車両前突時にリヤサイドドア18に作用する前突荷重を、ドアインナパネル36の後壁部36Cを介してクォータピラーアウタパネル30に効率良く伝達できる。
また、車両側突時に、側突荷重F1をエクステンション42からのドアインナパネル36の取付壁部36Bに伝達する際に、図7に矢印F2で示される如く、係合凸部44の上壁部44Bと下壁部44Cとによって、側突荷重をドアインナパネル36の取付壁部36Bの広範囲に分散できる。この結果、ドアインナパネル36の取付壁部36Bとクォータピラーアウタパネル30との局部変形を更に抑制でき、更に効率良く荷重伝達を行うことができる。
また、ドアインナパネル36におけるエクステンション42との接合面に係合凸部44を形成し、エクステンション42によって係合凸部44の開口側を閉塞することで、車両側突時の係合凸部44の断面崩れ(潰れ)を抑制できる。この結果、係合凸部44をドアインナパネル36の取付壁部36Bに確実に係合させることができる。このため、エクステンション42が受けた側突荷重を係合凸部44を介して早期にドアインナパネル36の取付壁部36Bに伝達できる。
また、係合凸部44によってドアインナパネル36の剛性が向上する。この結果、ドアアウタパネル38との接合面に発生するドアインナパネル36の歪を低減でき、リヤサイドドア18とクォータピラー28との隙間や段差のばらつきを抑制できる。
次に、本発明の第3実施形態に係る車両側部構造について図8及び図9に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図8には図5に対応する斜視図が示されており、図9には図6に対応する断面図が示されている。図8に示される如く、本実施形態では、エクステンション42のドア固定部42Bの上下方向中央部に対向するドアインナパネル36の取付壁部36Bの部位に形成されている係合凸部44が、車両上下方向へ延長されている。また、係合凸部44の上壁部44Bはエクステンション42より車両上方へ位置しており、係合凸部44の下壁部44Cはエクステンション42より車両下方へ位置している。
図9に示される如く、本実施形態では、エクステンション42のフランジ42Cが車幅内側方向に向かって屈曲しており、係合凸部44の内側に挿入されている。即ち、係合凸部44はクォータピラーアウタパネル30の段部30Bに向かって凹陥された凹部となっており、凹部(係合凸部44)の内側にエクステンション42のフランジ42Cが挿入されている。
従って、本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果が得られる。また、エクステンション42のドア固定部42Bの上下方向中央部に対向するドアインナパネル36の取付壁部36Bの部位に形成されている係合凸部44を車両上下方向へ延長したため、車両側突時に、側突荷重を係合凸部44を介して、係合凸部44が当接するクォータピラーアウタパネル30の段部30Bの上下方向に沿った広範囲に伝達することができる。この結果、車両側突時にエクステンション42とドアインナパネル36との接合点(溶接点)に作用する応力を緩和できる。このため、エクステンション42の板厚やドアインナパネル36の板厚を薄くし軽量化が可能となると共に、エクステンション42とドアインナパネル36との接合点(溶接点)の削減によるコストダウンも可能になる。
また、エクステンション42のフランジ42Cが車幅内側方向に向かって屈曲しており、係合凸部44の内側に挿入されている。このため、車両側突時には、エクステンション42のフランジ42Cが、車両前方(図9の矢印B方向)へ移動し、係合凸部44の前壁部44Eの内側に当たることで荷重を効率良く伝達できる。
次に、本発明の第4実施形態に係る車両側部構造について図10及び図11に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図10には図5に対応する斜視図が示されており、図11には図6に対応する断面図が示されている。
図10に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル36の取付壁部36Bにおけるエクステンション42との接合部に、係合凸部44が車両上下方向へ所定距離離間して複数個(図10では3個)形成されている。また、エクステンション42には、係合凸部44と車両側面視において重なる部位に長尺状凸部としての3本の凸ビード50が、長手方向をインパクトビーム40の長手方向となる車両前後方向に沿って形成されており、各凸ビード50の上下においてエクステンション42のドア固定部42Bとドアインナパネル36の取付壁部36Bとが接合されている(溶接点P1)。
図11に示される如く、凸ビード50はプレス成形等によって車幅方向外側に向かって凸形状となっており、後部50Aが係合凸部44の前部44Dの車幅方向外側に重なっている。また、凸ビード50の前部50Bは、ドアインナパネル36における取付壁部36Bと前壁部36Dとの角部36Fより車両前方側へ達している。
従って、本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果が得られる。また、エクステンション42のドア固定部42Bに長手方向をインパクトビーム40の長手方向する凸ビード50を車幅方向外側へ突出形成し、凸ビード50の上下においてエクステンション42のドア固定部42Bとドアインナパネル36の取付壁部36Bとを接合する(溶接点P1)ことで、エクステンション42におけるドア固定部42Bのインパクトビーム40の長手方向に沿った曲げ剛性を向上できる。
また、各係合凸部44によって各凸ビード50の上側周縁部と下側周縁部とを連結することで凸ビード50の開きを抑制できる。このため、複数の凸ビード50を形成したことによる、エクステンション42における車両上下方向に沿った曲げ剛性の低下を防止できる。
また、凸ビード50の内部と係合凸部44の内部とが連結されるため、図11に矢印W1で示される水路が形成される。この結果、凸ビード50の内部や係合凸部44の内部に水が溜まるのを防止できると共に、電着塗装の塗料がエクステンション42とドアインナパネル36との間に入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上する。
次に、本発明の第5実施形態に係る車両側部構造について図12及び図13に基づいて説明する。
なお、第3実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図12には図8に対応する斜視図が示されており、図13には図9に対応する断面図が示されている。
図12及び図13に示される如く、本実施形態では、エクステンション42のフランジ42Cの車幅方向内側部が半円状に湾曲されており、湾曲部が係合凸部44の内部に入っている。また、フランジ42Cの先端部は、係合凸部44から車幅方向外側に向かって突出している。
従って、本実施形態においても第3実施形態と同様の作用効果が得られると共に、エクステンション42のフランジ42Cの車幅方向内側部を半円状に湾曲したことで、エクステンション42のドア固定部42Bの剛性を更に向上できる。
なお、エクステンション42のフランジ42Cを複数回曲げて他の断面形状としても良い。
次に、本発明の第6実施形態に係る車両側部構造について図14及び図15に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図14には図5に対応する斜視図が示されており、図15には図6に対応する断面図が示されている。
図14及び図15に示される如く、本実施形態では、係合凸部44の後端44Aがドアインナパネル36の後壁部36Cに延長されており、係合凸部44の後端44Aが後壁部36Cを車幅方向に沿って横断している。
従って、本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果が得られると共に、係合凸部44の後端44Aが後壁部36Cを車幅方向に沿って横断しているため、ドアインナパネル36の剛性を更に向上できる。
次に、本発明の第7実施形態に係る車両側部構造について図16及び図17に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図16には図5に対応する斜視図が示されており、図17には図6に対応する断面図が示されている。
図16及び図17に示される如く、本実施形態では、インパクトビーム40の後端部40Aの先端に延長部40Bが形成されており、延長部40Bは車幅方向に潰され長円形の断面形状となっている。また、インパクトビーム40の延長部40Bは、エクステンション42のドア固定部42Bにおける車幅方向外側面に接合されている。
図16に示される如く、インパクトビーム40の延長部40Bは、隣接する上下の係合凸部44の間に配置されている。また、エクステンション42のフランジ42Cの下端部42Eと下方側の係合凸部44とが車両側面視において重なっており、エクステンション42のフランジ42Cの上端部42Dと上側の係合凸部44とが車両側面視において重なっている。
従って、本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果が得られると共に、インパクトビーム40の延長部40B、とエクステンション42のフランジ42Cの上端部42Dと下端部42Eとに車両側面視において重なる係合凸部44によって、側突荷重をドアインナパネル36の取付壁部36Bの広範囲に分散できる。この結果、ドアインナパネル36の取付壁部36Bとクォータピラーアウタパネル30との局部変形を更に抑制でき、更に効率良く荷重伝達を行うことができる。
次に、本発明の第8実施形態に係る車両側部構造について図18〜図20に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図18には図5に対応する斜視図が示されており、図19には図6に対応する断面図が示されている。
図18及び図19に示される如く、本実施形態では、エクステンション42のドア固定部42Bにおけるフランジ42Cの近傍に車幅内側方向へ突出した凸部62が形成されており、凸部62は係合凸部44内に突出されている。
図20には凸部62の車両前方内側から見た斜視図が示されている。図20に示される如く、凸部62は、エクステンション42のドア固定部42Bに長手方向を車両上下方向とする切欠64を形成した後、プレス加工等によって車幅内側方向に突出形成されている。また、凸部62の突出高さH1は車両前方側から車両後方側に向かって低くなるように傾斜している。
従って、本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果が得られると共に、凸部62によってエクステンション42のドア固定部42Bからドアインナパネル36の取付壁部36Bへの荷重伝達が更に効率良くできる。
次に、本発明の第9実施形態に係る車両側部構造について図21〜図23に基づいて説明する。
なお、第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図21には図5に対応する斜視図が示されており、図22には図6に対応する断面図が示されている。
図21及び図22に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル36の取付壁部36Bにおけるエクステンション42との接合部に、係合凸部44が車両上下方向へ所定距離離間して複数個(図21では2個)形成されている。また、エクステンション42には、係合凸部44と車両側面視において重なる部位に長尺状凸部としての凸ビード56が、長手方向をインパクトビーム40の長手方向となる車両前後方向に沿って形成されている。
図22に示される如く、凸ビード56は車幅方向外側に向かって凸形状となっており、後部56Aが係合凸部44の前部44Dの車幅方向外側に重なっている。また、凸ビード56の前部56Bは、エクステンション42の前端42Fに達している。
図23には図20の23−23断面線に沿った拡大断面図が示されている。図23に示される如く、凸ビード56においてエクステンション42とインパクトビーム40とが溶接(溶接部P2)されている。
従って、本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果が得られる。また、エクステンション42に長手方向を車両前後方向に沿った複数の凸ビード56を形成し、凸ビード56にインパクトビーム40を溶接することで、インパクトビーム40からエクステンション42へ荷重を効率良く伝達できる。また、凸ビード56の内部と係合凸部44の内部とが連結されるため、図22に矢印W2で示される水路が形成される。この結果、凸ビード56の内部や係合凸部44の内部に水が溜まるのを防止できると共に、電着塗装の塗料がエクステンション42とドアインナパネル36との間に入り易く塗装し易い。このため、防錆性能が向上する。
次に、本発明でない参考例としての第10実施形態に係る車両側部構造について図24に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図24には本実施形態におけるエクステンション70の車幅方向内側前方から見た斜視図が示されている。
図24に示される如く、本実施形態では、エクステンション70が車両上下方向を長手方向とする板材によって構成されており、エクステンション70の上下方向中央部にはインパクトビーム取付部70Aが形成されている。また、エクステンション70のインパクトビーム取付部70Aは、断面形状が半円形状の車幅内側方向へ凹の溝部となっており、インパクトビーム40の後端部40Aはエクステンション70のインパクトビーム取付部70Aの円弧状内周部に挿入された状態で接着、溶接等によって固定されている。
エクステンション70の上部にはドアインナパネル36へのドア固定部70Bが形成されており、エクステンション70の下部にもドアインナパネル36へのドア固定部70Cが形成されている。
エクステンション70のドア固定部70Bの上端縁部には、車幅方向外側上方へ向かって傾斜したフランジ70Dが形成されており、エクステンション70のドア固定部70Cの下端縁部には、車幅方向外側下方へ向かって傾斜したフランジ70Eが形成されている。
エクステンション70のドア固定部70Bとフランジ70Dには、インパクトビーム取付部材折れ防止手段としての凸ビード72が車幅方向外側に向かって凸に形成されており、エクステンション70のドア固定部70Cとフランジ70Eには、インパクトビーム取付部材折れ防止手段としての凸ビード74が車幅方向外側に向かって凸に形成されている。
凸ビード72はエクステンション70のドア固定部70Bの全域とフランジ70Dの下部に長手方向を車両上下方向に沿って配置されており、インパクトビーム40の長手方向である車両上下方向に対して交差(略直交)している。なお、凸ビード72の上端部72Aは車両前後方向へ二股に分岐されている。
また、凸ビード74はエクステンション70のドア固定部70Cの全域とフランジ70Eの上部に長手方向を車両上下方向に沿って配置されており、インパクトビーム40の長手方向である車両上下方向に対して交差(略直交)している。
従って、本実施形態では、車両側突時に、エクステンション70がインパクトビーム40によって押圧され、エクステンション70のドア固定部70B、70Cがそれぞれの上下方向中間部を起点に、車幅内側方向へ折れ曲がろうとした場合に、エクステンション70のドア固定部70B、70Cに形成した凸ビード72と凸ビード74とによって、エクステンション70に生じる曲げ力を支持し、この曲げ力を車両上下方向へ分散することで、エクステンション70のドア固定部70B、70Cの曲げを防止することができる。この結果、リヤサイドドア18に作用する側突荷重は、インパクトビーム40からエクステンション70のドア固定部70B、70Cの全域を介して、ドアインナパネル36の取付壁部36Bに伝達される。このため、側突荷重をドアインナパネル36の取付壁部36Bからクォータピラーアウタパネル30に効率良く伝達できる。
また、エクステンション70に車幅方向外側へ傾斜したフランジ70D、70Eを形成し、フランジ70D、70Eの先端部とドアインナパネル36との間に隙間を形成したことで、車両側突時にフランジ70D、70Eの先端部のエッジとドアインナパネル36との接触を防止し、ドアインナパネル36の破損を防止できる。この結果、ドアインナパネル36の変形を抑制でき、ドアインナパネル36からクォータピラーアウタパネル30への側突荷重の伝達を効率良く行える。
なお、図25に示される如く、エクステンション70のフランジ70Eを、車幅外側上方に折り返した構成としても良い。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、図26及び図27に示される如く、上記第各実施形態におけるエクステンション42の周縁部に、エクステンション42の外周側に向かって補強用のフランジ42Jを形成した構成としても良い。
また、上記各実施形態においては、本発明をインパクトビーム40の後端部に設けられるエクステンション42に適用したが、本発明はインパクトビーム40の前端部に設けられるエクステンション43に適用しても良い。
また、上記各実施形態においては、後席乗員用のリヤドア開口部14を開閉するためのリヤサイドドア18に本発明が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フロントサイドドア16等に適用されても良い。