JP2007237486A - 液体吐出ヘッドユニット、及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドユニット、及び液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】構成を複雑にしたり幅や大きさを大きくすること無く液供給経路を設けることができ、効率よく冷却が可能となる液体吐出ヘッドユニット及び液体吐出装置を提供する。
【解決手段】複数の吐出エネルギ発生部が設けられた素子基板と、この素子基板を支持する支持基板4とを含み、素子基板には吐出エネルギ発生部に対応する個別液室、これら個別液室の一端側に接続してこれら個別液室に液体を供給するための液供給口が貫通して形成され、個別液室の他端に連通する複数のノズルを有し、支持基板4には液供給口に連通する貫通穴26が形成され、ノズルから素子基板と垂直方向に液滴を吐出する液体吐出ヘッドユニットにおいて、支持基板4は、素子基板と反対側に設けられる水冷ユニット19を備え、この水冷ユニット19には内部に液供給口に連通する液供給経路23が設けられている貫通穴24を設けている。
【選択図】図2

Description

本発明は、エネルギを液体に作用させることによって液体を吐出する液体吐出ヘッド、及びその液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、圧力室、加圧液室、流路等とも称される。)と、この液室内のインクを加圧するための駆動手段(圧力発生手段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。
なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
プリントデータ信号に基づき、熱エネルギなどを利用して複数の吐出口からインクなどの液体を吐出するインクジェットヘッドにおいては、液体の吐出特性がこの液体の粘度やインクジェットヘッド温度などの環境により左右され、プリント品位に影響を及ぼす。
このようなことから、インクジェットヘッドの温度を制御することにより、プリント時の温度変化を抑制することが一般に行われている。これらのうち、とくに発熱量の大きなインクジェットヘッドに適した方法は、インクジェットヘッド内に冷却媒体を流し、インクジェットヘッドを所定の温度に維持するものである。
インクジェットヘッドは、一般に、それぞれ液滴を吐出するための複数の吐出エネルギ発生部が設けられた発熱素子基板と、この素子基板を支持する支持体とを貼り合わせた構造を採用しているが、この支持体に対して発熱素子基板の反対側に冷却通路を設け、ここに冷却媒体を流すことによって、素子基板を所定温度に調整している(例えば、特許文献1乃至3参照)。
特許文献1の開示によれば、ヘッドとの伝熱により熱交換を行う第1熱交換部と、第1熱交換部の熱を大気との間で熱交換する第2熱交換部とを備えて構成されるヒートパイプを有し、ヒートパイプは内部が中空になっており、内部に注入されたフロン液よりなる作動液によって熱輸送される。
紙面上の各色インク滴の着弾位置精度は画像品質に大きく左右する。着弾位置を制御するには各ノズルの位置精度をよく作製する必要がある。そのためには、1つのヘッドに複数色分のノズルを配列し、ヘッド内で各色ノズルの位置を精度よく配置することができるサイドシュータ方式が有効である。
特許文献2では、ヘッド周りに冷却水を供給するようにして、ヘッドを冷却することが開示されている。特許文献3では、インク滴が記録紙に付着する時のブリード、フェザリングによる画質劣化を防ぐため、インクを冷却してインクの粘度を増加させることが開示されている。
この技術によれば、記録紙を搬送ベルトの内側に設置されている冷却装置によって冷却し、ヘッドを加熱ヒータによって加熱し、インク粘度を低下して噴射するためのエネルギを小さくしている。
特許第3007116号 特許第3382445号 特開2004−167969公報
しかしながら、公知文献に示した構成はいずれもエッジシュータ方式であり、そのため各色のヘッドユニットを別体にして、各色ヘッドユニットを整列して配置しなければならない。各色のヘッドユニットのアライメント(整列)も限界があり、1200dpi以上の高密度に画像を印写する場合、各色ヘッドユニット間のアライメントずれによる色ずれが目立つようになる。
サイドシュータ方式によって、各色ノズルを同一ヘッドに形成することにより、色間のアライメント精度は飛躍的に向上する。しかしながら、サイドシュータ方式では、インクの供給は各ヘッドの裏側から供給することになる。一方、ヘッドを冷却するための水冷ユニットもヘッドの裏側が最適であり、インク供給と水冷ユニットの干渉が問題となる。
また、ヘッドのメンテナンス・修理交換などでヘッドユニットを本体から取り外す場合、水冷ユニットの冷却水パイプを外すと、水冷システムの液漏れ信頼性が低下して好ましくない。
そこで、本発明の目的は、液体吐出ヘッドユニットの構成を複雑にすることなく、また幅や大きさを大きくすること無く、液供給経路を設けることができ、効率よく冷却が可能となる液体吐出ヘッドユニット及びこれを備えた液体吐出装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液滴を吐出するための複数の吐出エネルギ発生部が設けられた素子基板と、この素子基板を支持する支持基板とを含み、前記素子基板には、前記吐出エネルギ発生部に対応する個別液室、これら個別液室の一端側に接続してこれら個別液室に液体を供給するための液供給口が貫通して形成され、そして、前記個別液室の他端に連通する複数のノズルを有し、前記支持基板には、前記液供給口に連通する貫通穴が形成され、前記ノズルから前記素子基板と垂直方向に液滴を吐出する液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記支持基板は、前記素子基板と反対側に設けられる水冷ユニットを備え、この水冷ユニットには、その内部に前記液供給口に連通する液供給経路が設けられている貫通穴を設けている液体吐出ヘッドユニットを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記水冷ユニットには切り欠きが設けられており、この切り欠き部に前記液供給口に連通する液供給経路が設けられている請求項1記載の液体吐出ヘッドユニットを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記1つの支持基板には、複数個の前記素子基板が配列されている請求項1又は2記載の液体吐出ヘッドユニットを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記支持基板が固定されるフレームを備え、前記素子基板はフレキシブルプリント基板を介してプリント基板と接続されており、プリント基板は取り外し/取り付け可能な手段によりフレームに固定されている請求項2又は3記載の液体吐出ヘッドユニットを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記水冷ユニットを前記支持基板側に押圧する押圧手段を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドユニットを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記水冷ユニットと前記支持基板の間に柔軟熱伝導材が設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドユニットを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドユニットを備えた液体吐出装置を特徴とする。
本発明によれば、水冷ユニットには貫通穴が形成されているので、液体吐出ヘッドユニットの構成を複雑にすることなく、また幅や大きさを大きくすること無く、液供給経路を設けることができ、効率よく冷却が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明による液体吐出ヘッドユニットの第1の実施の形態を示す外観図である。図2は図1の分解図である。
図1及び図2を参照して、本実施の形態の液体吐出ヘッドユニット1はカラープリンタ用のフルラインタイプの液体吐出ヘッドユニットであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクを吐出するノズル3を備えたヘッドチップ2がセラミックスなどの支持基板4上に千鳥状に図では6個配置され、液体吐出ヘッドユニットを構成している。
液体吐出ヘッドユニット1はヘッドチップ2の冷却のための水冷ユニット19を有している。各ヘッドチップ2はサイドシュータ型の液体吐出ヘッドである。
図3はサイドシュータ型液体吐出ヘッドのインク吐出面を示す平面図である。図4は図3の裏面を示す背面図である。図5は図3の破線aで四角に囲んだ部分を、ノズル板を取り除いて内部を示す拡大図である。図6はノズル板も示している図5のA−A断面矢視図である。
図3に示すヘッドチップ2は、1つの素子基板、例えば、シリコン基板6上にノズル列7を8列備えた印字ヘッドである。これら8列のノズル列7は、それぞれイエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)又はブラックインク(Bk)のインクを吐出するように構成されている。
図3乃至図6に示すように、ヘッドチップ2は、シリコン基板6の上面に駆動回路8がLSI形成処理技術により形成され、インク供給口9が、例えばウェットエッチングによりシリコン基板6を貫通して形成されている。
シリコン基板6にはフォトリソ技術等による薄膜形成技術により、駆動回路8と発熱抵抗体の発熱部(発熱素子)10が形成されて、さらに、これらの発熱素子10に、配線電極として共通電極と個別配線電極とが接続され、その個別配線電極に駆動回路8の電極端子が接続され、シリコン基板6の端部に外部との接続用電極端子11が形成されている。
そして、これらの上には、上記の接続用電極端子11部分を除く全面に、隔壁12が積層されている。隔壁12は、一方で共通液室13のインクを外部から遮断するインクシール壁を形成し、他方では個別配線電極及び駆動回路8上で同じくインクを外部から遮断するインクシール壁を形成する。
隔壁12を仕切り壁として、発熱素子10が位置する箇所に発熱素子10の数だけ区画・形成されて個別液室14が形成されている。さらに、これらの上にノズル板5が形成され、このノズル板5の、発熱素子10に対向する位置に、多数のノズル3が穿設されて、8列のノズル列7を形成している。
このような構成のヘッドチップ2は、メタル配線が形成された配線基板16(図1)とともに支持基板4上に固定されている。配線基板16はフレキシブルプリント基板(FPC)などが好ましい。
ヘッドチップ2の接続端子部11と配線基板16とはワイヤーボンディングで電気的に接続されている。ヘッドチップ2と配線基板16との接続部分は、封止樹脂により被覆された状態となっている。また、配線基板16には電気コネクタが設けられている。
電気コネクタは端子部25(図1)が設けられたプリント基板18(図1)へ接続される。液滴吐出ヘッドユニット1を記録装置本体にセットするとプリント基板18の端子部25は記録装置本体側の端子と接触し、記録装置本体からヘッドチップへ電気信号を送ることができる。
液体吐出ヘッドユニット1を分解図で示している図2に戻って、支持基板4には後で示すヘッドチップ2のインク供給口9(図6)に連通する貫通穴26がインク色数だけ4個設けられている。貫通穴26はフレーム21に設けられたインク供給部23と連通する。
フレーム21の裏側から図示しないインクチューブあるいはインクタンクよりインクが供給され、ヘッドチップ2までインクを送ることができる。支持基板4の下側には水冷ユニット19が設けられている。
次いで、本発明に係る水冷ユニット19について説明する。シリコン基板6は発熱素子10および駆動回路8の発熱により温度が上昇する。シリコン基板6の熱は、支持基板4に放熱されるが、支持基板4の温度が高くなると放熱が間に合わなくなる。そのため支持基板4の下に水冷ユニット19が備えられている。
水冷ユニット19は熱伝導性の高い銅やアルミニウムからなるボディと、その中空の内部に注入された水、不凍液、フロン液などの液体とによって構成される。水冷ユニット19には液体の流出入のためのチューブ20が取り付けられ、ポンプによって液体が循環される(図1、図2)。
水冷ユニット19にはフレーム21に設けられたインク供給部23に対応する位置に貫通穴24が設けられている。各ヘッドチップ2へのインク供給はヘッドチップ裏面からまっすぐに供給する構成が好ましい。
水冷ユニット19がヘッドチップ2および支持基板4を効率よく冷却するためには、支持基板4の裏面に接触させるのが良い。インク供給部23および水冷ユニット19の両方を支持基板4の裏面に設けると、両者のレイアウトが干渉する。
水冷ユニット19を回避するために横方向へ供給経路を設けると、供給経路が複雑になり、部品点数が増加してコストが上昇する。また、液体吐出ヘッドユニット1の幅も供給系のために大きくなり、そのため液体吐出装置本体も大きくなることになる。
そのため、本発明の液体吐出ヘッドでは、水冷ユニット19に貫通穴24を設け、この貫通穴24にインク供給部23を通すことによって、液体吐出ヘッド1の構成を複雑にすることなく、また幅や大きさを大きくすること無く、効率よく冷却が可能となる。
液体吐出ヘッドユニット1はそのメンテナンスのために液体吐出装置本体から取り外すことがある。水冷ユニット19を含む水冷循環システムは、非常に高い液経路の信頼性が要求される。
液体吐出ヘッドユニット1を本体から取り外すために、水冷システムの液経路を取り外すと、再び液経路を繋いだ場合の信頼性が低下してしまう。液経路の信頼性が低下すると、液漏れなどが生じ、液体吐出装置の故障の原因となる。
本発明の液体吐出ヘッドユニット1では、図2に示すように、ヘッドチップ2は1枚の支持基板4上に配置され、フレーム21には切り欠き22が設けられているので、支持基板4を液体吐出ヘッドユニット1から外すことによって、液経路を取り外すことなく液体吐出ヘッドユニット1から水冷ユニット19を取り外すことができる。それぞれのヘッドチップ2間の位置精度は非常に高いものが要求される。
ヘッドチップ(複数個の素子基板)2が1枚の支持基板4上に配置されることによって、水冷ユニット19を取り外しても、ヘッドチップ2間の位置精度は維持したままであり、再び液体吐出ヘッドユニット1に組み上げた場合にも、ヘッドチップ2間の位置ずれなどによる画質の劣化がない。
前述のように各ヘッドチップ2はサイドシュータ方式の液体吐出ヘッドである。このサイドシュータ方式の液体吐出ヘッドについて詳細に説明する。サイドシュータ方式の液体吐出ヘッドユニット1は、ノズル板5にノズル3用の穴を設け、図6中の一点鎖線で示されたように個別液室14内の吐出エネルギ発生素子10へのインクの流れ方向と、ノズル3の開口中心軸とを直角となした構成を有する。
このような構成とすることによって、吐出エネルギ発生素子10からのエネルギをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有し、吐出エネルギ発生素子10に発熱素子を用いた場合にとくに効果的である。
また、エッジシュータにおいて問題となる気泡が消滅する際の衝撃により吐出エネルギ発生素子10を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象をサイドシュータであれば回避することができる。
つまり、サイドシュータにおいて気泡が成長し、その気泡がノズル3に達すれば気泡が大気に通じることになり、温度低下による気泡の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。
図7、図8、図9はサイドシュータ製造例の基本的な態様を示すための模式図である。次に、図7、図8、図9に基づきサイドシュータ方式の液体吐出ヘッドの製造例の一例を説明する。図7、図8、図9には(a)から(j)の夫々に、本発明の方法に係わる液体吐出ヘッドの構成とその製作手順の一例が示されている。
まず、本態様においては、例えば、図7(a)に示されるように結晶面方位が<100>もしくは<110>のシリコン基板6上(表面)に酸化シリコンもしくは窒化シリコン層27を介して電気熱変換素子等のインク吐出エネルギ発生素子10が所望の個数だけ配置される。
酸化シリコンもしくは窒化シリコン層27は、後述の異方性エッチングのストップ層として機能する。インク吐出エネルギ発生素子10によって記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギがインク液に与えられ、記録が行われる。
ちなみに、例えば、インク吐出エネルギ発生素子10として発熱素子が用いられる時には、この発熱素子近傍の記録液を加熱することにより、吐出エネルギを発生する(この場合は、前記酸化シリコンあるいは窒化シリコン層27は蓄熱層を兼ねても良い)。
なお、発熱素子10には、これらの発熱素子を動作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続されている。また、一般には、これら吐出エネルギ発生素子の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能層が設けられるが、もちろん、本発明においてもこのような機能層を設けることは一向にさしつかえない。ここで、前記保護層に前述の異方性エッチングのストップ層である酸化シリコンもしくは窒化シリコン層27を用いることもできる(図7の(a)参照)。
次に図7の(b)においてインク供給口9(図6)を形成するためのマスクとなる膜状の部材29を基板6のインク吐出圧発生素子10が形成されていない面(裏面)に設ける。
この部材29は、シリコンの異方性エッチングのマスクとなるもので酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などが好適に用いられる。ここで、部材29は必要に応じて基板の表面にも設置することが可能で、前述の保護層などを兼用しても構わない。
次いで、部材29のインク供給口9となる部分9aを通常のフォトレジストをマスクとして用い、CF4ガスを用いたドライエッチングにより除去する。ここで、両面マスクアライナ等の手段を用いることによってインク供給口9の位置は表面のインク吐出圧発生素子10に対して正確に決定される(図7(c))。
次に、基板6を強アルカリ溶液に代表されるシリコン異方性エッチング液に浸漬し、インク供給口9を形成する(図7の(d))。ここで、基板表面は必要に応じて保護される。
また、シリコンの異方性エッチングは、アルカリ性エッチング液に対する結晶方位の溶解度の差を利用したもので、ほとんど溶解度を示さない<111>面でエッチングは停止する。従って、基板6の面方位によってインク供給口9の形状が異なる。
面方位<100>を用いた場合には、図7の(d)中のθは、θ=54.7となり、面方位<110>を用いた場合は、θ=90°(基板表面に対して垂直)となる(図7の(d)は面方位<100>を用いた場合を示す)。
酸化シリコンあるいは窒化シリコン層27はアルカリ性エッチング液に耐性を持つためエッチングはここで停止する(図7の(e)参照)。従って、エッチングの正確な終点検知は必要としない。
次に、基板6上のノズル部の形成工程を説明する。ここでは、特定の溶剤に溶解可能な樹脂層を用いた製造方法で説明する。ここで、基板6はインク供給口9上も酸化シリコンあるいは窒化シリコン膜27で覆われていて平面となっている。
この被覆には、スピンコートあるいはロールコート等の塗布手段を用いることができることよって、a)およそ50μm以下の膜厚であれば、任意の膜厚で高精度に成膜できる、b)ドライフィルム化できない材料(被覆性に乏しい材料)も使用できる、などの利点を有する。
このようにして、スピンコートあるいはロールコートで溶解可能な樹脂層を基板6上に成膜し、パターニングし個別液室および共通液室のパターン31を形成する(図8の(f))。
次に、図8の(g)に示すように、被覆樹脂層30を形成する。この樹脂層30は液体吐出ヘッドユニットの構造材料となるため、高い機械的強度、耐熱性、基板6に対する密着性及びインク液に対する耐性やインク液を変質せしめない等の特性が要求される。被覆樹脂層30は光又は熱エネルギの付与により重合、硬化し基板6に対して強く密着するものが好適に用いられる。
被覆樹脂層30が硬化された後、シリコン基板6の裏面よりCF4などでプラズマドライエッチングすることで、インク供給口9上の酸化シリコンあるいは窒化シリコン膜27を除去し、インク供給口9を貫通させる。
ここで、酸化シリコンあるいは窒化シリコン膜27のエッチング終点は正確に検知する必要はなく、溶解可能な樹脂層で形成された個別液室および共通液室のパターン31中の任意の点をもって終点とすれば良い(図8の(h)参照)。
ここで、インク供給口9上の酸化シリコンあるいは窒化シリコン膜27の除去は後述のインク吐出口形成後に行っても構わないが、個別液室および共通液室のパターン31を除去する前に行うことが好ましい。
次いで、被覆樹脂層30上にノズル3を形成する(図9の(i)参照)。ノズル3の形成方法としては、被覆樹脂層30が感光性の場合は、フォトリソ技術によってパターニングしても構わない。さらに、硬化した樹脂層を加工する場合には、エキシマレーザによる加工、酸素プラズマによるエッチング等の手法が挙げられる。
次に、図9の(j)に示すように、溶解可能な樹脂パターン31を溶解する。このようにして形成した個別液室14、共通液室13及びノズル3を形成した基板6に対して、インク供給のための部材及びインク吐出圧発生素子10を駆動するための電気的接合を行って液体吐出ヘッドが形成できる。
さらに、前記液体吐出ヘッドの作成手順では異方性エッチング→ノズル工程→異方性エッチングストップ層の除去工程の場合で説明したが、ノズル工程→異方性エッチング工程→異方性エッチングストップ層除去工程の順番で行ってももちろん構わない。すなわち、基板6の裏面にマスク部材29を形成し(図7の(b)もしくは図7の(c)の状態)、次いで、ノズル部の形成工程を行った後で、異方性エッチング工程を行う手順である。
ただし、この場合には、多くのノズル形成部材が異方性エッチング液に対して耐性を持たないためノズルが形成された基板表面に異方性エッチング液が回り込まないように適宜保護する必要がある。
図10は本発明による液体吐出ヘッドユニットの第2の実施の形態を示す外観図である。図10の第2の実施の形態では水冷ユニット19には、フレーム21のインク供給部23に位置するところに切り欠き32が設けられている。
プリント基板18は図示してないネジあるいは爪などの取り外し/取り付け可能な手段によってフレーム21に固定されている。従って、ネジあるいは爪を外すことにより、プリント基板18はフレーム21から外れる。
プリント基板18は配線基板16に接続されているが、配線基板16はフレキシブルに曲げられるので、水冷ユニット19は摺動させて液体吐出ヘッドユニット1から取り外すことができる。その時、水冷ユニット19に接続されているチューブ20は取り外す必要はない。
本実施の形態では、ヘッドチップ2が配置された支持基板4もフレーム21から外すことなく、水冷ユニット19を取り外すことができる。よって、メンテナンスでヘッドを取り外す作業が少なくて済み、また、ヘッドチップ2間の位置関係とフレーム21とヘッドチップ2の位置関係は、水冷ユニット19の取り外しによってずれることはない。従って、水冷ユニット19を取り付けた場合には完全に元の状態に戻すことができる。
このように、プリント基板18は取り外し/取り付け可能な手段によりフレーム21に固定されているので、ヘッドチップ2が配置された支持基板4もフレーム21から外すことなく、水冷ユニット19を取り外すことができる。
図11は水冷ユニットと支持基板との間に柔軟熱伝導材を介した場合の断面を示す概略断面図である。水冷ユニット19と支持基板4の間に隙間が空くと効率よく熱交換ができなくなる。水冷ユニット19は取り外す必要があるために接着剤などは使用できない。
そのため、図11に示すように、水冷ユニット19と支持基板4との間に、柔軟な熱伝導部材34(例えば、Siゴムに酸化アルミなどの熱伝導性のフィラーを混入した部材)を介すことによって、隙間無く密着することができ、熱交換を効率よく行うことができる。あるいは、シリコンゲルに代表される粘弾性樹脂に金属、酸化アルミなどの熱伝導性のフィラーを混入したものも使用できる。
シリコンゲルは非常に柔らかいので、密着性がよく、より効率的に熱交換が可能である。また、水冷ユニット19と支持基板4との間の温度差あるいは熱膨張率差によって両者の長さが僅かに変わる。その場合でもシリコンゲルの柔軟な性質により、両方の面に密着を保ちつつ、両者の膨張差による応力も緩和することができ、液体吐出ヘッドユニットの撓みをも防止することができる。
柔軟熱伝導部材を介すと一般的に摩擦が大きくなり、図10に示したような摺動による取り外しが困難なことがある。図11では、水冷ユニット19を支持基板4の方向へ押圧して押し出す押圧手段33を設けた。
押圧手段33としては、例えば、ネジなどのように緩めることによって押圧力を取り去ることのできる手段が適する。押圧手段33を緩めることによって、水冷ユニット19を摺動して取り外すことができる。また、押圧手段33を締めることによって、水冷ユニット19と柔軟熱伝導材34と支持基板4が密着し、効率よく熱交換が可能となる。
このように、水冷ユニット19を支持基板4側に押圧する押圧手段を有するので、水冷ユニット19と支持基板4の熱交換を効率的に行うことができ、水冷ユニット19を取り外す時は容易に外すことができる。本実施の形態では、必ずしも柔軟熱伝導材34を介していなくても適用できるが、柔軟熱伝導材34を備えたほうがより効率よく熱交換が可能となる。
本発明の液体吐出ヘッドの説明でヘッドチップは千鳥状に2列で6個配列した構成を例として説明してきたが、これに限るものではなく、1列のもの、3列以上のものでも適用可能である。また、ヘッドチップは分割されておらず1個からなるものでも適用可能である。
図12は本発明による構造の液体吐出ヘッドユニットを搭載した液体吐出装置であるインクジェット装置の実施の形態を示す概略斜視図である。上述した構造の液体吐出ヘッドユニット1を搭載した液体吐出装置であるインクジェット装置を図12に示す。
すなわち、本実施の形態のインクジェット装置は、フルラインタイプのカラープリンタであり、イエロー色インク、マゼンタ色インク、シアン色インク、ブラック色インクをそれぞれ蓄えた4つのインクタンク41Y,41M,41C,41B(以下、これらをまとめてインクタンク41と記述する)にそれぞれ接続配管55を介して液体吐出ヘッドユニット1の取り付け部を有し、各インクタンク41は、接続配管55に対して交換可能に連結される。
図12中、符号52は記録用紙(プリント用紙)37をストックするための給紙トレイ、53は印字が完了した記録用紙37が排出される排紙トレイである。制御装置56に接続するヘッドドライバ57によって各発熱素子に対する通電のオン/オフがそれぞれ切り換えられる液体吐出ヘッドユニット1は、図1〜図9に示した実施の形態のものと基本的な構造は全く同じである。
この液体吐出ヘッドユニット1は無端の搬送用ベルト35と対向するように、この搬送用ベルト35の搬送方向に沿って設置している。そして、制御装置56によって作動が制御される回復処理のためのヘッド移動手段36により、搬送用ベルト35との対向方向に昇降し得るようになっている。
液体吐出ヘッドユニット1の側方には、プリント媒体であるプリント用紙37に対するプリント作業に先立ち、インク路内に介在する古いインクを吐出口から吐出して液体吐出ヘッドユニット1の回復処理を行うためのヘッドキャップ38が配置されている。
制御装置56によって作動が制御されるキャップ移動手段39により、それぞれ液体吐出ヘッドユニット1の直下に移動し、ノズルから吐出される廃インクを受けるようになっている。
プリント用紙37を搬送する搬送用ベルト35は、ベルト駆動モータ40に連結された駆動ローラ42に巻き掛けられ、制御装置56に接続するモータドライバ47によってその作動が切り換えられる。
また、搬送用ベルト35の上流側には、この搬送用ベルト35を帯電することにより、プリント用紙37を搬送用ベルト35に密着させるための帯電器44が設けられており、この帯電器44は、制御装置56に接続する帯電器ドライバ43によって、その通電のオン/オフが切り換えられる。
搬送用ベルト35の上にプリント用紙37を供給するための1対の給紙ローラ45には、これら1対の給紙ローラ45を駆動回転させるための給紙用モータ46が連結され、この給紙用モータ46は、制御装置56に接続するモータドライバ47によって作動が切り換えられる。
従って、プリント用紙37に対するプリント作業に先き立ち、液体吐出ヘッドユニット1が搬送用ベルト35から離れるように上昇し、次いでヘッドキャップ38がこれら液体吐出ヘッドユニット1の直下に移動して液体吐出ヘッドユニット1の回復処理を行った後、ヘッドキャップ38を元の待機位置へ移動させ、さらに液体吐出ヘッドユニット1をプリント位置まで搬送用ベルト35側に移動する。
そして、帯電器44を作動させると同時に搬送用ベルト35を駆動し、さらに、給紙ローラ45によってプリント用紙37を搬送用ベルト35上に載置し、液体吐出ヘッドユニット1によって所定の色画像がプリント用紙37にプリントされる。
次に、水冷ユニット19(図1、図2)を用いた水冷システムの構成を説明する。図12に示す水冷システムは、液体駆動手段であるポンプ48が設置されている。
このポンプ48を含め液滴吐出ヘッドユニット1に備えた水冷ユニット19、放熱フィン51が設けられた放熱部材49、タンク50のそれぞれは、図示してない金属パイプあるいはフレキシブルチューブで接続され、ポンプ48によって内部に封入した冷媒液が循環する。
タンク50は、フレキシブルチューブからの液体透過などによって液体が減少したとしても十分に循環路内の冷却が可能となるような水量が確保できる容積にしておかなければならない。
放熱部材49と、ポンプ48と、タンク50との間の配管には金属パイプを用い、少なくとも、水冷ユニット19とポンプ48、及び水冷ユニット19と放熱部材49の間は金属パイプと一部フレキシブルチューブで接続し、配管全体に占める金属配管部分の割合をできるだけ大きくしておけば、配管からの水分透過を抑えることが可能かつ、液滴吐出ヘッドユニット1との着脱が容易となる。
これらのポンプ48と放熱部材49とタンク50と循環経路は水冷ユニット19とフレキシブルチューブを除き、固定プレートに固定されることでユニット化され、メンテナンス時の着脱を飛躍的に容易にしている。
本水冷システムは、循環経路を開放することなく液体吐出ヘッドユニット1から水冷ユニット19を着脱可能な構成とすることが可能となっている。また、この構成の接続部分には、適当な継手、抜け防止用の締め付けバンド(板状、コイルバネ状)が用いられる。
さらに、接続部分は、漏水防止のために樹脂でコーティングしてもよい。水透過の少ないフレキシブルチューブについては、ブチルゴムが最も適している。さらに、フレキシブルチューブに保護パイプを取り付けると座屈対策として有効である。
また、放熱効果をより高めるため、放熱フィン51近傍の空気の流れが生じるようにファンを設けても良い。本発明によれば、信頼性の高い水冷システムが実現可能であり、液体吐出ヘッドの不良交換やメンテナンスが容易に行うことができる。
なお、本発明は、とくにインクジェットプリント方式の中でも熱エネルギを利用して飛翔的液滴を形成し、プリントを行うインクジェット方式の液体吐出ヘッド、液体吐出装置において、優れた効果をもたらすものである。
インクジェット記録装置としてインクジェットプリンタを例として説明したが、インクジェット複写機、インクジェットファックス、あるいはそれらの複合型記録装置にも適用できる。
なお、上述した本発明における「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を被記録媒体に付与することをも意味するものである。
そこで、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対して記録を行うプリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる。
従って、本発明は、インクジェット記録装置以外にも、インクジェット技術を用いたカラーフィルタ製造装置、金属配線製造装置、捺染装置、DNAチップ製造装置などの工業用製造装置にも適用できる。工業用製造装置では、家庭やオフィスでのインクジェットプリンタよりも、連続して長時間使用されるので、より熱の発生の問題が大きくなり、本発明の効果はより大きくなる。
本発明による液体吐出ヘッドユニットの第1の実施の形態を示す外観図である。 図1の分解図である。 サイドシュータ型液体吐出ヘッドのインク吐出面を示す平面図である。 図3の裏面を示す背面図である。 図3の破線aで四角に囲んだ部分を、ノズル板を取り除いて内部を示す拡大図である。 ノズル板も示している図5のA−A断面矢視図である。 サイドシュータ製造例の基本的な態様を示すための模式図(その1)である。 サイドシュータ製造例の基本的な態様を示すための模式図(その2)である。 サイドシュータ製造例の基本的な態様を示すための模式図(その3)である。 本発明による液体吐出ヘッドユニットの第2の実施の形態を示す外観図である。 水冷ユニットと支持基板の間に柔軟熱伝導材を介した場合の断面を示す概略断面図である。 本発明による構造の液体吐出ヘッドユニットを搭載した液体吐出装置であるインクジェット装置の実施の形態を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 液体吐出ヘッドユニット
2 ヘッドチップ(液体吐出ヘッド)
3 ノズル
4 支持基板
5 ノズル板
6 素子基板(シリコン基板)
9 液供給口(インク供給口)
10 吐出エネルギ発生部(インク吐出エネルギ発生素子、発熱素子)
13 共通液室
14 個別液室
18 プリント基板
19 水冷ユニット
21 フレーム
23 インク供給部(液供給経路)
24 (水冷ユニットの)貫通穴
26 (支持基板の)貫通穴
32 切り欠き
33 押圧手段
34 柔軟熱伝導材

Claims (7)

  1. 液滴を吐出するための複数の吐出エネルギ発生部が設けられた素子基板と、この素子基板を支持する支持基板とを含み、前記素子基板には、前記吐出エネルギ発生部に対応する個別液室、これら個別液室の一端側に接続してこれら個別液室に液体を供給するための液供給口が貫通して形成され、前記個別液室の他端に連通する複数のノズルを有し、前記支持基板には、前記液供給口に連通する貫通穴が形成され、前記ノズルから前記素子基板と垂直方向に液滴を吐出する液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記支持基板は、前記素子基板と反対側に設けられる水冷ユニットを備え、この水冷ユニットには、その内部に前記液供給口に連通する液供給経路が設けられている貫通穴を設けていることを特徴とする液体吐出ヘッドユニット。
  2. 前記水冷ユニットには切り欠き部が設けられており、この切り欠き部に前記液供給口に連通する液供給経路が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッドユニット。
  3. 前記1つの支持基板には、複数個の前記素子基板が配列されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出ヘッドユニット。
  4. 前記支持基板が固定されるフレームを備え、前記素子基板はフレキシブルプリント基板を介してプリント基板と接続されており、該プリント基板は取り外し/取り付け可能な手段により前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項2又は3記載の液体吐出ヘッドユニット。
  5. 前記水冷ユニットを前記支持基板側に押圧する押圧手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドユニット。
  6. 前記水冷ユニットと前記支持基板の間に柔軟熱伝導材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドユニット。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドユニットを備えたことを特徴とする液体吐出装置。
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