JP2007237127A - 塗布方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅方向の塗膜厚み分布が発生することを防止できる塗布方法及び装置を提供する。
【解決手段】塗布装置10は、ダイ14の先端のリップ部28を保温するための保温配管34を備える。リップ部28の温度は、ダイ本体部30の温度に対して±0.5℃以内の温度に保温される。
【選択図】 図2

Description

本発明は塗布方法及び装置に係り、特に、有機溶剤系の塗布液を、減圧チャンバを用いたビード塗布によって塗布を行う塗布方法及び装置に関する。
感光材料や磁気記録材料等の製造工程では、連続走行する長尺状支持体(ウエブ)に塗布液を塗布する方法として、スライド塗布やエクストルージョン塗布等のビード塗布が一般に用いられている。ビード塗布は、ダイ(塗布ヘッドとも言う)の先端とウエブとの間に、ビードと称する塗布液溜まりを形成し、このビードを介して塗布が行われる。
このようなビード塗布は、塗布精度を向上させるために、ビードを安定させる必要がある。そこで、ダイの上流側に減圧チャンバを設け、ビードの安定性を高めることが一般に行われている。
また、ビードの安定性には、塗布液物性(粘度、表面張力、濃度等)や塗布条件(速度、流速等)等の因子が関わっており、それらの因子のうち、薄層塗布を行う場合には、ダイの先端部であるリップとバックアップローラとの隙間(以下、リップクリアランス:リップCLという)の真直度が重要になる。リップCLの真直度が低下すると、幅方向に塗布量分布が発生し、塗膜の厚み分布が発生するという問題が生じる。このため、ダイやバックアップローラを高い寸法精度で加工することによって、リップCLの真直度を得ることが一般に行われている。
ところで、ダイは一般に金属によって製造されている。このため、ダイの周辺温度が変動すると、ダイが熱膨張、或いは熱収縮し、リップCLの真直度が低下するという問題が発生する。そこで、特許文献1は、ダイを室温度±2℃の範囲内に保温することによって、ダイの熱変形を抑制している。また、特許文献2では、熱膨張率の低い素材でダイを構成することによって、ダイの熱変形を抑制している。
特開2003−285343号公報 特開平7−328509号公報
しかしながら、特許文献1、2は、ウェット膜厚で10μm以下の塗布を行う場合に、幅方向の塗膜厚み分布を十分に抑制することができないという問題があった。
特に、リップCLの真直度を得るために、ダイ先端のリップ部を超硬素材で形成し、ダイ本体とは別素材にした場合には、幅方向の塗膜厚み分布が発生しやすいとい問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、幅方向の塗膜厚み分布が発生することを防止できる塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、連続走行するウエブに対してダイの先端のリップ部を150μm未満の位置に配置し、該リップ部から塗布液を吐出することによって、ウェット膜厚20μm以下の塗膜を形成する塗布方法において、前記リップ部を保温することによって、該リップ部の温度をダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内に制御することを特徴とする。
本発明の発明者は、幅方向の塗膜の厚み分布が発生する要因として、ダイの先端から吐出された塗布液が揮発することによって、ダイの先端のリップ部が熱変形するためであるという知見を得た。また、本発明の発明者は、ダイ本体を保温しても、塗布液の揮発によるリップ部の熱変形を防止することができず、リップ部を保温する必要があるという知見を得た。さらに、本発明の発明者は、ダイのリップCLを150μm未満とし、ウェット膜厚20μm以下の塗布を行う場合には、リップ部をダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内に制御することによって、膜厚分布が2%以内の製品が得られるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づいて成されたもので、請求項1の発明はリップ部の温度をダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内に制御するようにしたので、リップ部から吐出された塗布液が揮発しても、リップ部の温度が変化することがなく、リップ部の熱変形することを防止できる。これにより、リップCLの真直度が常に得られるので、幅方向に均一な塗膜を形成することができる。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記塗布液は有機溶剤系の塗布液であることを特徴とする。請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記リップ部の近傍を減圧することを特徴とする。
請求項2のように揮発性が高い有機溶剤系の塗布液を塗布する場合や、請求項3のようにリップ部近傍が減圧される場合には、塗布液の揮発量が多くなり、リップ部が熱変形しやすい。しかし、本発明はリップ部をダイの温度に対して±0.5℃の範囲に保温するようにしたので、塗布液が有機溶剤系の場合やリップ近傍を減圧した場合であっても、リップ部の熱変形を確実に防止できる。
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1の発明において、前記ダイはエクストルージョン型であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は前記目的を達成するために、塗布装置において、連続走行するウエブに対して先端のリップ部が近接して配置され、該リップ部から塗布液を吐出することによって前記ウエブに塗膜を形成するダイと、前記リップ部を前記ダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内の温度に保温する保温手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、保温手段によってリップ部の温度をダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内に保温するようにしたので、リップ部から吐出された塗布液の揮発によってリップ部が熱変形することを防止できる。これにより、リップCLの真直度が得られるので、幅方向に均一な塗膜を形成することができる。
請求項6に記載の発明は請求項5の発明において、前記リップ部に対して前記ウエブの走行方向の上流側に減圧チャンバを設けたことを特徴とする。減圧チャンバを設けた場合には、塗布液の揮発量が増加してリップ部が熱変形しやすいという問題を生じるが、本発明を適用することによって、リップ部の熱変形を防止することができる。
請求項7に記載の発明は請求項5又は6の発明において、前記ダイは、前記リップ部と前記ダイ本体部とが異なる素材で形成されることを特徴とする。リップ部とダイ本体部とを別素材で形成した場合には、リップ部の熱容量が小さくなって熱変形しやすくなるが、本発明を適用することによって、リップ部の熱変形を防止することができる。
請求項8に記載の発明は請求項5〜7のいずれか1の発明において、前記保温手段は、前記リップ部の内部又は周囲に熱媒体を流すことによって該リップ部を保温することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は請求項5〜7のいずれか1の発明において、前記保温手段は、前記リップ部に赤外線等の電磁波を照射することによって、該リップ部を保温することを特徴とする。
なお、本発明において、保温する部分は、ダイの先端(たとえばオーバーバイト形状の場合にはウエブの走行方向に対して下流側のリップエッジ)から10mm以内が好ましく、8mm以内がより好ましく、5mm以内がさらに好ましい。これは、塗布液の蒸発潜熱がダイの先端表面で発生するためであり、上記の範囲よりも離れた部分、たとえばダイ本体の先端部(ダイの先端から40mm程度の位置)を保温しても熱変形の防止効果が得られないためである。
本発明によれば、リップ部の温度をダイの温度に対して±0.5℃以内に保温するようにしたので、リップ部から吐出された塗布液の揮発によってリップ部が熱変形することを防止でき、幅方向により均一な塗膜を形成することができる。
以下添付図面に従って本発明に係る塗布方法及び装置の好ましい実施形態について説明する。
図1は本発明が適用された第1の実施形態の塗布装置の構成を模式的に示す断面図である。図1に示す塗布装置10は、ウエブ12に薄い塗膜を形成するエクストルージョン型の塗布装置であり、主としてダイ14とバックアップローラ16で構成される。
バックアップローラ16には、矢印方向に連続して走行するウエブ12が巻きかけられて支持されており、バックアップローラ16は、このウエブ12の速度と同じ速度で回転するようになっている。なお、バックアップローラ16は、たとえば鉄等の金属の表面にHCrメッキ等を施すことによって製造される。
ダイ14は、バックアップローラ16側の先端のリップ部28、28と、このリップ部28、28が支持されるダイ本体部30とによって構成される。ダイ本体部30は、ステンレス等の金属によって形成されており、リップ部28、28は、シリコンカーバイトやタングステンカーバイト等の超硬素材によって形成されている。リップ部28、28は幅方向に長い板状に形成されており、その先端は鋭角に形成されている。また、リップ部28、28は、ダイ本体部30にねじ(不図示)によって固定される。
ダイ14の内部には、スロット18とポケット20が形成されている。スロット18は、ポケット20からダイ14の先端へ塗布液を送り出すための流路であり、ダイ14の幅方向に形成されたスリット状になっている。スロット18の幅方向の長さは、幅規制板(不図示)によって塗布幅と略等しい寸法に設定される。
ポケット20は、ダイ14の幅方向に形成された塗布液の液溜空間であり、その断面形状は台形に形成される。また、ポケット20の幅方向の長さは、塗布幅と同じか若干長めに設定される。さらにポケット20は、ダイ14の側面に設けた塗布液の供給口(不図示)に連通されており、この供給口からポケット20に塗布液が供給されるようになっている。なお、ポケット20の形状は台形に限定されるものではなく、円形や楕円形など任意の形状に設定される。
ポケット20に供給される塗布液としては、有機溶剤系の塗布液が使用される。有機溶剤系の塗布液とは有機溶剤を主体とするものであり、有機溶剤としては例えば任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン−等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもよい。
上記の如く構成されたダイ14は、リップ部28の先端がバックアップローラ16に対して所定のリップCL、たとえば150μm未満のリップCLで配置され、架台22に固定される。架台22は、直交する基準面22a、22bを有し、この基準面22a、22bにダイ14が当接することによって、ダイ14が位置決めされて固定される。なお、基準面22a、22bに複数の凹条溝を幅方向に形成し、熱を逃がす構造としてもよい。また、架台22の内部を中空のリブ構造とすることによって熱がこもらない構造としてもよい。
ダイ14に対して、ウエブ12の走行方向の上流側には、チャンバ24が設けられる。チャンバ24は、たとえばステンレス等の金属材によって、上面が開口された箱型に形成される。このチャンバ24は、図1の塗布運転状態で、バックアップローラ16に巻きかけ支持されたウエブ12に対して隙間が小さくなるように配置されている。
チャンバ24には、バックアップローラ16の下方位置にバックアッププレート32が取り付けられる。バックアッププレート32は、その高さ位置を調節できるようになっており、バックアップローラ16に巻きかけ支持されたウエブ12に対する隙間量を調節できるようになっている。
チャンバ24には、吸引管26が接続されている。吸引管26は真空ポンプ等の負圧発生源(不図示)に接続されており、チャンバ24内を所定の減圧度に調節できるようになっている。
図2は、ダイ14の先端部分を拡大した断面図である。同図に示すように、ダイ14には、その先端部(具体的には下流リップエッジDから10mm以内の部分)を保温するために、保温配管34、34が設けられている。保温配管34、34は、肉厚の薄い金属管から成り、ダイ14の幅方向に配置され、リップ部28に当接した状態に取りつけられている。また、保温配管34、34は、一方の端部が熱媒体の供給ライン(不図示)に接続され、他方の端部が熱媒体の排出ライン(不図示)に接続されており、所望の温度に制御された熱媒体が常時、保温配管34、34に供給されるようになっている。これにより、リップ部28、28の先端部分(ウエブ12側の端部)を所望の温度に保温することができる。なお、熱媒体の種類は特に限定するものではないが、たとえば水または温水が使用される。また、保温配管34、34は、ゴムなどのチューブを用いてもよい。
熱媒体の温度(すなわちリップ部28、28の温度)は、ダイ本体部30の温度に基づいて制御される。具体的には、リップ部28、28の温度がダイ本体部30の温度に対して±0.5℃、好ましくは±0.3℃となるように制御される。ダイ本体部30の温度は、熱電対等の温度測定手段によって、ダイ本体部30の側面上のA点(図2参照)や、先端傾斜面上のB点で測定される。
なお、ダイ本体部30に別の保温手段を設けてダイ本体部30の温度を制御するとともに、その保温温度をダイ本体部30の温度として、リップ部28、28の温度を制御するようにしてもよい。この場合、ダイ本体部30の保温温度は、塗布液、室温、ダイ製作温度から大きく外れない値に設定するとよい。
また、熱媒体は、保温配管34、34に常時、供給することが好ましいが、リップ部28、28の先端温度が低下した時のみ、熱媒体を保温配管34、34に供給し、リップ部28、28を上記の温度に制御するようにしてもよい。その場合、リップ部28、28の先端温度は、熱電対等の測定手段によってダイ14の幅方向に複数の測定点(たとえばC点)で測定し、最も低い温度に基づいて熱媒体の供給を開始するとよい。
次に上記の如く構成された塗布装置10の作用について説明する。
塗布運転時、ダイ14のポケット20に供給された塗布液は、スロット18内を圧送されてダイ14の先端から吐出され、ダイ14の先端とウエブ12との間でビードを形成する。その際、塗布液はダイ14の先端から吐出されることによって、吐出位置では局所的に減圧される。特に、本実施の形態のように減圧用のチャンバ24を設けた場合には、吐出位置で大きく減圧される。その結果、吐出位置すなわちリップ部28、28の位置で、塗布液の揮発成分が多量に揮発し、塗布液の温度が大きく低下する。
従来の場合、塗布液の温度が低下することによって、リップ部28、28の温度が低下し、リップ部28は図3(B)に示すように変形する。このため、リップCLの真直度が低下するので、塗膜の幅方向の膜厚分布が発生するという問題が生じる。
これに対して、本実施の形態では、保温配管34、34を設けてリップ部28、28を所定の温度範囲内に保温している。このため、ダイ14から吐出された直後の塗布液の温度が低下しても、リップ部28、28の温度を一定に保つことができる。また、リップ部28、28の温度をダイ本体部30の温度に対して±0.5℃以内に制御することによって、リップ部28、28がダイ本体部30との温度差によって熱変形することを防止することができる。これにより、リップCLは図3(A)に示すように、常に高い真直度を維持することができる。
このように本実施の形態によれば、リップ部28、28を保温してリップ部28、28の温度をダイ本体部30の温度に対して±0.5℃となるように制御したので、リップ部28、28の熱変形を防止することができる。これにより、リップCLの幅方向分布が生じることを防止できるので、常に一定の膜厚分布の塗膜を形成することができる。
また、本実施の形態は、リップ部28、28の外側に保温配管34、34を設けるだけでよいので、大きな設備変更が不要であり、低コストで塗布精度を向上させることができる。
なお、上述した実施形態は、熱媒体の流路となる保温配管34、34をリップ部28、28の外側に設けたが、これに限定するものではなく、図4に示すように、リップ部28、28の内部に熱媒体の流路を形成してもよい。図4に示すリップ部28、28は、その内部に貫通孔28A、28Aが幅方向に形成されており、この貫通孔28A、28Aに熱媒体が供給されて、リップ部28、28が保温される。
また、図5に示すように、リップ部28とダイ本体部30との間に熱媒体の流路を形成するようにしてもよい。図5に示すダイ本体部30には、リップ部28に接する面に溝30A、30Aが形成されており、この溝30A、30Aに熱媒体が供給されることによって、リップ部28、28が保温される。
なお、ダイ本体部30の先端部(すなわち、リップ部28の近傍)に貫通孔(不図示)を幅方向に形成し、この貫通孔に熱媒体を供給してリップ部28を保温するようにしてもよい。
図6は、別の保温手段を設けた実施形態である。図6に示すリップ部28、28の外側には電熱線36、36が設けられている。電熱線36、36の外側には反射板38、38が設けられており、電熱線36、36からの輻射熱がリップ部28、28の露出面に伝わるようになっている。電熱線36、36は、リップ部28、28の温度の測定値がダイ本体部30の温度の測定値に対して−0.5℃よりも低くなった際に電源がオンになり、+0.5℃よりも高くなる前に電源がオフになるように制御される。このような保温手段を用いてもリップ部28、28を所望の温度範囲に保温することができる。なお、電熱線36、36の代わりに赤外線灯を設け、赤外線によってリップ部28、28を温めて保温するようにしてもよい。
なお、上述した塗布方法に合わせて、塗布液ビードの周辺をケーシング(不図示)で囲い、揮発成分のガス濃度を上げることで塗布液の揮発を抑制する方法を併用するとよい。これにより、塗布液の揮発による温度低下を抑制することができるので、リップ部28、28の温度変動をより確実に防止することができる。また、そのケーシングの内圧を上げて揮発量を抑制する方法を併用してもよく、これによって、塗布液の揮発による温度低下を抑制できるので、リップ部28、28の熱変形をさらに確実に防止できる。
なお、上述した実施形態は、ダイ14が、材質の異なるリップ部28、28とダイ本体部30によって構成された例であるが、ダイ14を一つの素材で形成してもよい。この場合にも上述した様々の保温方法を用いることでダイ14の先端部の熱変形を抑制することができる。
また、上述した実施形態は、有機溶剤系の塗布液を用いて塗布を行ったが、塗布液の種類はこれに限定するものではなく、塗布運転状態で揮発する成分を有する塗布液であれば、本発明の効果が得られる。
また、本発明に係る塗布方法及び装置の用途は特に限定するものではないが、光学フィルムのなかで特に薄層である反射防止膜の塗布に適している。反射防止膜は、乾膜での厚さが約100nmと非常に薄層であり、それを塗布するためには、有機溶剤にて希釈された塗布液を薄層で塗布・乾燥する必要があり、塗布液の揮発性も高く、蒸発潜熱の影響も大きい。また、薄層塗布なので、リップCL自体を狭くする必要があり、リップCL分布の悪化の影響を受けやすい。したがって、反射防止膜の塗布は、リップCLが変化して膜厚分布を生じやすいという問題があるが、本発明を適用することによって、これを防止することができる。
なお、上述した実施形態は、エクストルージョン塗布の例で説明したが、塗布方法はこれに限定するものではなく、塗布液の揮発によってダイ先端が熱変形する塗布方式であれば本発明を適用することによって塗布精度が向上するという効果が得られる。特に、減圧チャンバを用いて塗布液ビードを安定させる塗布方法、たとえば、多層同時塗布のエクストルージョン塗布や、スライドビード塗布などにおいて本発明を適用すると特に大きな効果が得られる。
反射防止膜の液を塗布する試験1、2を行った。反射防止膜用の塗液としては、屈折率が1.42であり、熱架橋性含フッ素ポリマーの6重量%のメチルエチルケトン溶液(JN−7228、JSR(株)製)93gに、MEK−ST(平均粒径10nm〜20nm、固形分濃度30重量%のSiOゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)8g、メチルエチルケトン94g及びシクロヘキサノン6gを添加、攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタ(PPE−01)で濾過し、低屈折率層用塗布液を調製した。塗布液の粘度、表面張力を0.7CP、23dynとした。
ダイはエクストルージョン型を使用し、リップ部が超硬素材であり、本体がステンレスのものを使用した。ダイ幅は1500mm、塗布幅は1400mmとした。リップCLはテーパーゲージにて測定することで確認した。テーパーゲージの精度は分解能0.5μmのものを用いて幅方向に50点の測定からリップ形状を測定した。そして、測定値の(MAX−MIN)を求めて変形量とした。
なお、他の影響でダイが変形をしないように、塗布液、ダイ、室温の差は、±1℃以下とした。温度はダイが製作された23℃を基本とした。室温は、空調で管理し、ダイは室温になるように23℃の塗布室に長時間置いた。また、温調用に保温孔を設け、23℃の保温水をダイに通液した。塗布液は送液ライン配管に恒温層に設け、二重配管にすることで室温と同じにした。
リップ部の保温に関しては、上記保温系とは別の恒温槽を使用し、リップの変形に合わせて適宜温度を変えた。温水温度は、保温用の保温配管の圧力を上げないようにレギュレータにて調整した。保温配管は、内径6mm、肉厚1.2mmをダイ先端(超硬使用時には超硬部に、ステンレス製のダイの場合には、リップ先端から10mmの部分)に取りつけた。
ダイの温度変化は複数箇所で測定した。具体的には、図2の下流側リップエッジDから5mmのC点、50mmのB点、ダイ上ブロックエッジ部のA点において、幅方向の3箇所(ダイを幅方向に均等に3分割した点)の計9箇所で測定した。以下、A点の位置における測定点を、幅方向に順に1−A、2−A、3−Aとする。同様に、B点の位置における測定点を1−B、2−B、3−Bとし、C点の位置における測定点を1−C、2−C、3−Cとする。
塗布後、塗膜の厚み分布を幅方向に測定した。厚み測定に関しては光干渉型膜厚測定器(大塚電子社製瞬間マルチ測光システムMCPD)を使用し、幅方向にわたり100点測定した。幅方向の分布に関しては、測定した値の(MAX−MIN)/AVEを求め分布値とした。
(試験1)
リップの保温手段がなく、且つ、単一素材から成る従来のダイを用いるとともに、リップCLの値を変えて試験を行った。塗布条件は、塗布量が10cc/m、塗布速度が10m/minとした。この結果を図7に示す。
同図から分かるように、リップCLが150μm以上になると、塗布膜の幅方向の厚み分布が、製品としての許容範囲である2%以下となる。これに対して、リップCLが150μm未満になると、厚み分布が2%を超えるので、製品として問題が生じる。本発明は、リップCLが150μm未満の塗布を行うための方法であり、塗布膜の幅方向の厚み分布の発生を2%以下にすることを目的としている。
(試験2)
ダイの条件は、リップCL(塗布前設定、中心値)50μm、スリットCL150μmに設定した。下記の実施例1、2及び比較例1、2において、塗布速度を30、40、50m/minの場合において、ウェット塗布量5cc/mで塗布を行った。塗布後、各測定点の温度、リップCL変形量、塗膜の幅方向の厚み分布を調べた。その結果を図8に示す。
なお、実施例1は、単一素材(ステンレス)から成るダイを用い、リップ部を保温した試験例であり、比較例1は実施例1と同じダイで保温をしない試験例である。また、実施例2は、超硬素材のリップ部と別素材(ステンレス等)のダイ本体とから成るダイを用い、リップ部を保温した試験例であり、比較例2は実施例2と同じダイで保温をしない試験例である。
実施例1、2、比較例1、2についてそれぞれ、塗布速度を30m/min、40m/min、50m/minの場合で試験した。
図8から分かるように、保温のない比較例1、2では、リップ先端の測定点(1−C、2−C、3−C)において温度が大きく低下した。その結果、リップCLの変形量が5μm以上と大きくなり、膜厚分布が2%を超えるという不具合が発生した。特にリップ部がダイ本体と別素材である比較例2は、リップCL変形量が大きく、膜厚分布が大きくなった。
これに対して、保温を行った実施例1、2では、リップ先端を保温したことによって、リップCLの変形量は2μm以下に抑制することができ、その結果、塗膜の膜厚分布を2%以下に抑制することができた。
(試験3)
保温温度を変化させることにより、リップ温度とダイ本体温度との差を変えて試験を行った。なお、試験3は上記の実施例2と同様に、リップ部とダイ本体部が別素材のダイを使用した。その試験結果を図9に示す。
図9から分かるように、リップとダイ本体の温度差が0.5℃を超えた場合(すなわち、温度差が1.5℃以上、1.5〜1℃、1〜0.5℃の場合)は、リップCLの変形量が4μmを超えてしまい、塗膜の膜厚分布は2%を超えるという結果になった。これに対して、リップとダイ本体との温度差が0.5℃以下である場合は、塗膜の膜厚分布を2%以下に抑制することができた。
本発明が適用された塗布装置の構成を模式的に示す断面図 ダイの先端部分の構成を示す断面図 本実施の形態の塗布装置の作用を示す説明図 図2の保温手段の変形例を示すダイの先端部分の断面図 図2の保温手段の変形例を示すダイの先端部分の断面図 図2と異なる保温手段を有するダイの先端部分を示す断面図 試験1の結果を示す表図 試験2の結果を示す表図 試験3の結果を示す表図
符号の説明
10…塗布装置、12…ウエブ、14…ダイ、16…バックアップローラ、18…スロット、20…ポケット、22…架台、24…チャンバ、26…吸引管、28…リップ部、34…保温配管

Claims (9)

  1. 連続走行するウエブに対してダイの先端のリップ部を150μm未満の位置に配置し、該リップ部から塗布液を吐出することによって、ウエット膜厚20μm以下の塗膜を形成する塗布方法において、
    前記リップ部を保温することによって、該リップ部の温度をダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内に制御することを特徴とする塗布方法。
  2. 前記塗布液は有機溶剤系の塗布液であることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 前記リップ部の近傍を減圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布方法。
  4. 前記ダイはエクストルージョン型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の塗布方法。
  5. 連続走行するウエブに対して先端のリップ部が近接して配置され、該リップ部から塗布液を吐出することによって前記ウエブに塗膜を形成するダイと、
    前記リップ部を前記ダイ本体部の温度に対して±0.5℃以内の温度に保温する保温手段と、
    を備えたことを特徴とする塗布装置。
  6. 前記リップ部に対して前記ウエブの走行方向の上流側に減圧チャンバを設けたことを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
  7. 前記ダイは、前記リップ部と前記ダイ本体部とが異なる素材で形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の塗布装置。
  8. 前記保温手段は、前記リップ部の内部又は周囲に熱媒体を流すことによって該リップ部を保温することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載の塗布装置。
  9. 前記保温手段は、前記リップ部に赤外線等の電磁波を照射することによって、該リップ部を保温することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載の塗布装置。
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