JP2007237128A - 塗布方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度の塗布液を低塗布量で塗布する際に耳部で塗布欠陥が発生することを抑制でき、製品ロスとなる耳部の切除幅を減少させることのできる塗布方法及び装置を提供する。
【解決手段】塗布装置10は、連続走行するウエブ12にダイ14の先端から塗布液を押し出して塗布を行う。ダイ14のスロット28は、その幅寸法が先端にかけて連続して狭くなるように形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】塗布装置10は、連続走行するウエブ12にダイ14の先端から塗布液を押し出して塗布を行う。ダイ14のスロット28は、その幅寸法が先端にかけて連続して狭くなるように形成される。
【選択図】 図2
Description
本発明は塗布方法及び装置に係り、特に、エクストルージョン塗布法による塗布方法及び装置に関する。
写真感光液、磁性液、溶剤塗料など水や溶剤を溶媒とする塗布液をウエブ(帯状支持体)に塗布する装置として、エクストルージョン型の塗布装置が一般に用いられている。この塗布装置は、塗布ヘッド内のポケット部に送液した塗布液を、ポケット部に連通するスロット部を介して外部に押し出すことによって、連続走行するウエブに塗布する構成になっている。
エクストルージョン型の塗布装置では、塗布幅をウエブ幅に応じて変更する必要があり、一般にスロットの両端位置に塗布幅規制板(スペーサ)を液密状態で挿入配置することによって幅規制を行っている。たとえば特許文献1には、塗布幅規制板として、平面三角形のガイドを有するデッケル(スペーサ)をスロットの端部に挿入したことが記載されている。この特許文献1によれば、スロット幅はデッケルによってスロット出口付近で広がりながら塗布幅に規制される。同様に、特許文献2に記載の塗布ヘッドは、スロットの出口付近においてスロット幅が広がるように構成されている。また、特許文献3の塗布ヘッドは、スロット幅が二段階で広がるように構成されている。
上記の特許文献1〜3は、スロット幅がスロット出口付近において広がるように構成されるため、スロット出口付近での塗布液の流速が低下する。したがって、特許文献1〜3によれば、幅方向の端部(以下、耳部という)での厚塗りを防止できるとされている。
特開平7−68207号公報
特開昭62−241574号公報
特開2003−71357号公報
しかしながら、特許文献1〜3の塗布装置は、10mPa・s以下の低粘度の塗布液をウェット膜厚5〜30μmの低塗布量で塗布した際に、ビード(すなわち塗布ヘッドの先端とウエブとの間に形成される塗布液溜まり)が耳部において不安定になり、耳切れと呼ばれる未塗布の欠陥が生じるという問題があった。また、特許文献1〜3の塗布装置は、低粘度の塗布液を低塗布量で塗布した際に、スロット部の出口付近の耳部で塗布液の流速が低下し、耳落ちと呼ばれる膜厚低下が発生するという問題があった。
このため、従来の塗布装置で低粘度の塗布液を低塗布量で塗布した場合は、塗布後のウエブの耳部を30mmと非常に大きな範囲で切除しなければならず、製品ロスが大きいという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、低粘度の塗布液を低塗布量で塗布する際に耳部で塗布欠陥が発生することを抑制でき、製品ロスとなる耳部の切除幅を減少させることのできる塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、エクストルージョン型の塗布ヘッドのスロット部の先端から、粘度10mPa・s以下の塗布液を吐出することによって、走行するウエブにウェット膜厚5〜30μmの塗布膜を形成する塗布方法において、前記スロット部の幅がその先端にかけて連続的に減少する塗布ヘッドを用いて塗布を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記ウエブの速度を40〜60m/minの範囲に設定し、前記スロット部の先端での塗布液の平均流速Vm/s、前記スロット部の幅の減少面積をSmm2とした際に、(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)、の関係式を満たすことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記塗布液の表面張力が15〜30mPa・sであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は前記目的を達成するために、ウエブを連続走行させるウエブ走行手段と、前記ウエブに塗布液を押し出すとともに、その先端にかけてスロット幅が連続的に減少するスロット部を備えたエクストルージョン型の塗布ヘッドと、を備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は請求項4の発明において、前記スロット部は、幅方向の側面が平面状に形成され、前記スロット幅が一定の割合で減少することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は請求項4の発明において、前記スロット部は、幅方向の側面が円弧状に形成され、前記スロット幅の減少率が先端にかけて大きくなることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は請求項4〜6のいずれか1において、前記ウエブ走行手段は前記ウエブを40〜60m/minの速度範囲で走行させ、前記塗布ヘッドは、粘度が10mPa・s以下の塗布液をウェット膜厚5〜30μmで塗布するとともに、前記スロット部の先端での塗布液の平均流速Vm/sと、前記スロット幅の減少面積Smm2が、(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)、の関係式を満たすように構成されることを特徴とする。
本発明の発明者は、低粘度の塗布液を低塗布量で塗布した際に耳部の塗布欠陥が生じる原因は、スロット部の先端の耳部で塗布液の流れが不安定になるためであり、スロット幅を先端にかけて減少させて耳部での塗布液の流れを安定させることによって、耳部での塗布欠陥を抑制できるという知見を得た。さらに、本発明の発明者は、塗布試験を繰り返し行ってデータを集めることにより、ウエブの速度が40〜60m/minの範囲で、且つ、塗布液の粘度が10mPa・s以下、ウェット膜厚が5〜30μmの場合は、スロット部先端での塗布液の平均流速Vm/sと、スロット幅の減少面積Smm2が、次式:(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)、を満たすことによって、耳部での塗布欠陥を防止できるという知見を得た。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、スロット部の幅がその先端にかけて連続的に減少する塗布ヘッドを用いて塗布を行うようにしたので、スロット部の耳部での塗布液の流れを安定させることができ、耳部での塗布欠陥を抑制することができる。したがって、低粘度の塗布液を低塗布量で塗布した場合であっても、製品ロスとなる切除幅を減少させることができる。
また、本発明によれば、ウエブの速度が40〜60m/minの範囲において、スロット部先端での塗布液の平均流速Vm/s、スロット幅の減少面積Smm2が、次式:(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)、を満たすようにしたので、耳部での塗布欠陥をより確実に防止することができる。なお、スロット幅の減少面積とは、スロット幅が先端から一定幅で形成された場合に比べて減少した面積をいう。
本発明によれば、スロット幅がその先端にかけて連続的に減少する塗布ヘッドを用いて塗布を行うので、スロット部の耳部での塗布液の流れを安定させることができ、耳部での塗布欠陥を抑制することができる。
以下添付図面に従って本発明に係る塗布方法及び装置の好ましい実施形態について説明する。
図1は本発明に係る塗布装置10の構成を模式的に示す断面図である。同図に示す塗布装置10は、10mPa・s以下の低粘度の塗布液を帯状支持体(ウエブ)12の上に塗布し、ウェット膜厚5〜30μmである薄い塗膜を形成するエクストルージョン型の塗布装置である。
ウエブ(帯状支持体)としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、(TACなどの)セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムを挙げることができる。更にこれらの二種以上からなる複合材料も使用することができる。支持体の厚さは、2〜500μmが好ましく、平面均一性の優れていることが求められる。支持体は長尺支持体であることが好ましい。本発明の感光性転写シートを製造する際に使用する長尺支持体の長さは任意に決めればよいが、たとえば10m〜20000mの長さのものが使用可能である。
図1に示すように、塗布装置10は主として、ダイ(塗布ヘッド)14、バックアップローラ16、及び、減圧チャンバ18で構成される。バックアップローラ16は、たとえば鉄等の金属の表面にHCrメッキ等を施すことによって製造される。このバックアップローラ16には、矢印方向に連続して走行するウエブ12が巻きかけられて支持されており、バックアップローラ16は、このウエブ12と同じ方向に同じ速度で回転するようになっている。なお、ウエブ12は、不図示の走行手段(たとえばサクションローラやニップローラ等のフィードローラ)によって走行するように構成される。
減圧チャンバ18は、ウエブ12の走行方向に対してダイ14の上流側に設けられる。また、減圧チャンバ18は、たとえばステンレス等の金属材によって、上面が開口された箱型に形成される。この減圧チャンバ18は、バックアップローラ16に巻きかけ支持されたウエブ12に対して、接触せず、且つ、隙間が小さくなるように配置されている。減圧チャンバ18には、吸引管20が接続されており、吸引管20を介して真空ポンプ等の負圧発生源(不図示)に接続されている。この負圧発生源を駆動させることによって、減圧チャンバ18内が所定の減圧度に制御される。これにより、ダイ14の先端から塗布液を吐出した際に、ダイ14の先端とウエブ12との間に形成されるビードを安定させることができる。なお、減圧チャンバ18は、たとえばダイ14の架台22に固定されている。
ダイ14は、ステンレス等の金属材から成る上部本体24と下部本体26とを組み合わせることによって構成される。上部本体24と下部本体26との間には、ダイ14の幅方向にスリット状の隙間(以下、スロット28)が形成されている。スロット28の幅方向の両端部には、図2に示すスペーサ30、30が設けられており、スペーサ30、30によってスロット28が液封される。このスペーサ30、30によってスロット28の幅寸法が規制されており、その幅寸法はスロット28の先端(すなわち、バックアップローラ16側の端部であり、塗布液の吐出口となる端部)において塗布幅と略等しい寸法に設定される。
上部本体24と下部本体26との間には、スロット28に連続するポケット32が形成されている。ポケット32は、ダイ14の幅方向に形成された塗布液の液溜空間であり、その断面形状は台形に形成される。なお、ポケット32の断面形状は台形に限定するものではなく、たとえば円形や楕円形であってもよい。
図2に示すように、ポケット32の幅方向の一方側端部には、塗布液の供給ライン34が接続された栓部材38が液密状態で取りつけられ、他方側端部には栓部材36が液密状態で取りつけられている。なお、塗布液の供給ライン34の接続位置は、ダイ14の側面側に限定されるものではなく、ダイ14の幅方向の中央部において後端側(スロット28の反対側)に接続するようにしてもよい。この場合にはポケット32の幅方向の両端部に、対称形状の栓部材を液密状態で設けるとよい。
上記の如く構成されたダイ14は、その先端がバックアップローラ16に対して所定のリップクリアランス、たとえば130〜500μmの位置に配置され、架台22に固定される。
上記の如く構成された塗布装置10によれば、ダイ14のスロット28の先端から塗布液を吐出することによって、ダイ14とウエブ12との間にビードと呼ばれる塗布液溜まりが形成され、ウエブ12に塗布液が転移して塗膜が形成される。
次に本発明の特徴部分であるスロット28及びスペーサ30の形状について説明する。図2に示すように、スロット28の両端部には、台形のスペーサ30、30が設けられている。スペーサ30は、スロット28の先端になるほど、スロット28の内側に突出する傾斜面30A、30Aを有している。したがって、スロット28の幅寸法は、傾斜面30A、30Aに規制され、先端側にかけて連続的に且つ一定の割合で小さくなるように構成される。すなわち、スロット28の先端の幅寸法W1は後端の幅寸法W2よりも小さくなっている。なお、スロット28の先端の幅寸法W1は、塗布幅に設定される。ここで、スロット28を一定幅W1で形成する場合(図2に二点鎖線で示す場合)と比べて、スペーサ30が減少した三角形部分を欠損部28Sと称し、その面積を欠損面積Smm2とする。欠損面積Sは、スロット28の先端での塗布液の平均流速をVm/minとした際に、次式を満たすように設定される。
(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)・・・式(1)
(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)・・・式(1)
欠損面積Sと平均流速Vが式(1)を満たすことによって、耳部での塗布欠陥(耳落ちと呼ばれる膜厚低下、耳厚と呼ばれる膜厚増加、耳ぶれと呼ばれる耳端位置のふれ)が発生することを防止できる。
図2に示すように、ポケット32の幅方向端部に設けた栓部材36は、隣接するスペーサ30に対して逆の傾斜が設けられている。すなわち、ポケット32の幅寸法は先端側にかけて徐々に大きくなるように形成される。これにより、栓部材36の反対側の供給ライン34から供給された塗布液が栓部材36の付近で滞留することを防止でき、塗布液を先端側のスロット28にスムーズに送液することができる。なお、スロット28の側面(傾斜面30A)とポケット32の側面は、図2に示すように連続して形成することが好ましいがこれに限定するものではなく、不連続であってもよい。たとえば図3(A)に示すようにポケット32の側面をスロット28の側面位置の外側に配置したり、図3(B)に示すようにポケット32の側面をスロット28の側面位置の内側に配置したりしても良い。ただし、図3(A)のようにポケット部よりもスペーサーが液流路を塞ぐ場合は、エアー溜まり部になりやすく塗布直後に泡起因の故障が発生するケースがみられるため、ダイ装置への受液時は十分な注意が必要になる。
また、図2には、スロット28の側面(傾斜面30A)が平面で構成された例を示したが、スロット28(スペーサ30)の形状はこれに限定するものではない。たとえば、図4(A)に示すように、スペーサ30の側面の先端部のみに傾斜面30Bを設けることにより、欠損部28Sを台形状に形成し、スロット28の幅寸法が先端側で急激に狭くなるようにしてもよい。また、図4(B)に示すように、スペーサ30の先端側の側面を円弧状の曲面30Cとすることによって、スロット28の幅寸法が先端側で急激に狭くなるようにしてもよい。さらに、図4(C)に示すように、スペーサ30の側面に二段階の傾斜面30D、30Eを設け、スロット28の幅寸法が先端にかけて二段階で狭くなるように構成してもよい。
なお、上述した図1の塗布装置10は、バックアップローラ16に巻きかけ支持されたウエブ12に塗布を行う例であるが、塗布装置の構成はこれに限定するものではなく、エクストルージョン塗布法を用いた装置構成であればよい。したがって、図5に示すように、押圧ローラ40、40にガイドされたウエブ12に塗布を行うようにしてもよい。図5に示す塗布装置は、一定の間隔で平行に配置された押圧ローラ40、40を備え、この押圧ローラ40、40に走行中のウエブ12が巻きかけられて支持されている。塗布ヘッド16は、その先端部が押圧ローラ40、40間のウエブ12に押圧された状態になるように配置される。このような塗布装置の場合にも、図2または図4(A)〜図4(C)に記載されるように、スロット28の先端部においてスロット28の幅寸法が先端にかけて徐々に減少するように構成することによって、以下に示す効果が得られる。
次に上記の如く構成された塗布装置10の作用について、本発明の発明者が行った塗布試験の結果に基づいて説明する。
図6は、塗布後のウエブ12の耳部において膜厚を測定した結果であり、横軸は塗布耳端からの位置を示し、縦軸は膜厚の測定値を平均膜厚で割った値を示している。
同図において、実施例は、上述したダイ14を用いた場合(具体的には後述の試験例30)であり、従来例はスロット幅が一定であるダイ(すなわち欠損部28Sがなく欠損面積0mm2であるダイ)を用いた塗布試験の結果を示している。この試験では塗布条件として、ウェット膜厚を7.6μm、塗布液の粘度を1.3mPa・s、塗布液の表面張力を21mN/m、塗布液の比重を0.896g/ml、塗布ダイスロットクリアランスを150μmとした。
図6に示すように、スロット幅が一定である従来例は、耳端から2〜3mmのところで膜厚が大きく低下し、耳端から15μmまでの範囲では膜厚比が1%の許容誤差を超えるという結果になった。このため、従来の場合、製品とする際に、少なくとも耳端から約20μmまでの範囲を切除しなければならず、製品ロスが大きいという問題があった。
これに対して、スロット幅が先端にかけて減少する実施例は、耳端付近での膜厚の低下を減少させることができ、さらに、膜厚比1%の許容誤差内にすぐに収束させることができた。これは、スロット幅をスロット先端にかけて連続的に狭くしたことによって、スロット先端の耳部における塗布液の流速が増加し、ビードが耳部で安定するためであると考えられる。したがって、本実施の形態の塗布装置10によれば、低粘度の塗布液を低塗布液で塗布する場合にも耳部の塗布欠陥の発生を抑制することができ、切除が必要となる耳部の製品ロスを狭くする(たとえば耳端から約5μmまでの範囲とする)ことができる。よって、本発明によれば、製品ロスを少なくすることができ、コストを削減することができる。
図7〜図12は、上述した塗布装置10において様々な塗布条件(ウェット膜厚、塗布スピード(ウエブのスピード)、ダイスリットクリアランス、塗布液の比重、粘度、表面張力、ダイ先端での塗布液の平均速度V、欠損面積S)を変えて塗布試験を行った結果であり、塗布後の塗膜耳部について、耳落ち(耳部での膜厚の低下)、耳厚塗り(耳部での膜厚の増加)、耳ぶれ(塗布液ビードの不安定による耳端位置のふれの発生)の面で評価を行った。
図7の試験例1〜8は、Vを1.5m/min(ウェット膜厚を15μm)で固定して欠損面積Sを変化させた結果である。試験例1、2はSが小さいために耳落ちや耳ぶれの欠陥が発生し、反対に試験例8はSが大きいために耳厚塗りが発生した。
試験例9〜26はV(ウェット膜厚)を変更して同様の試験を行った結果である。すなわち、試験例9〜17はVを1.8m/min(ウェット膜厚を18μm)で固定し欠損面積Sを変化させ、試験例18〜26はVを2.30m/min(ウェット膜厚を23μm)で固定して欠損面積Sを変化させた。この結果から分かるように、欠損面積Sが小さい試験例9、10、18、19、20は耳落ちや耳ぶれが発生し、反対に欠損面積Sが大きい試験例17、26は、耳厚塗りが発生した。
さらに、同様の試験をダイスリットクリアランスを小さくすることによりV(ウェット膜厚)を変更して行った。すなわち、試験例27〜33は平均速度Vを2.53m/min(ウェット膜厚を7.6μm)で固定して欠損面積Sを変化させ、試験例40〜46はVを1.92m/min(ウェット膜厚を5μm)で固定して欠損面積Sを変化させた。この結果から分かるように、欠損面積Sが小さい試験例27、28は耳落ちや耳ぶれが発生し、反対に、欠損面積Sが大きい試験例39、46は耳厚塗りが発生した。
試験例34〜39は、ウェット膜厚が23μmを超えた場合の試験結果である。この結果から分かるように、ウェット膜厚が23μmを超えた場合には、欠損面積Sが0であっても、耳落ちや耳ぶれ故障は発生しない。したがって、ウェット膜厚が23μm以下において本発明の効果が得られる。
図8は上記の試験に対して塗布スピードを50m/minから40m/min、60m/minに変更して同様の試験を行った結果である。図8から分かるように、塗布スピードを変えた場合にも同じように、Sが小さい試験例47、53、59、64で耳落ちや耳ぶれが発生し、Sが大きい試験例52、58、63、69で耳厚塗りが発生するという結果になった。
図9は上記の試験に対して塗布液の物性(粘度、表面張力)を変更して塗布試験を行った結果である。試験例70〜72から分かるように、従来には耳部の塗布欠陥が生じていたような10mPa・s以下の低粘度の塗布液の場合にも耳部の塗布欠陥を発生させることなく塗布を行うことができる。また、試験例74〜77に示すように、表面張力が15〜30mN/mの範囲においては耳部の塗布欠陥のない塗布を行うことができた。
図10、図11、図12はそれぞれ、塗布幅(スペーサによる幅規制位置)、ダイへの塗布液供給位置(供給ラインの接続位置)、スロットの形状(スペーサの形状)を変えて試験を行った結果である。これらの図に示すように、塗布幅、塗布液供給位置、スロット形状を変えた場合にも、耳部の塗布欠陥のない塗布を行うことができた。
図13は、上述の試験例1〜86の結果から求めた欠損面積Sと塗布液速度Vとの関係を示したものである。同図に示す境界線Aよりも右側(あるいは上側)では耳厚塗りが発生し、境界線Bよりも左側(あるいは下側)では、耳落ちや耳ぶれが発生した。そして、境界線Aと境界線Bに挟まれる領域において、耳部の塗布欠陥の発生を防止することができた。この関係を式に表すと、SとVが、
(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)・・・式(1)
を満たす場合に、耳部の塗布欠陥を防止できるという効果が得られた。したがって、上述した塗布装置10によれば、式(1)を満たすようにSとVを設定したので、耳部の塗布欠陥を防止することができ、耳部での製品ロスを減少させることができる。
(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)・・・式(1)
を満たす場合に、耳部の塗布欠陥を防止できるという効果が得られた。したがって、上述した塗布装置10によれば、式(1)を満たすようにSとVを設定したので、耳部の塗布欠陥を防止することができ、耳部での製品ロスを減少させることができる。
以下は、上記の試験で用いた塗布液について説明である。粘度、表面張力変更には、溶媒量、界面活性剤量などを調整した。
・CFP−FF−775B(C.I.PB15:6分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 4.50部
・CFP−FF−293Y(C.I.PY139分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 3.37部
・CFP−FF−802V(C.I.PV23分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 4.16部
・CFP−FF−949K(カーボンブラック分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 11.9部
・MMPG−AC(プロピレングリコール モノメチルエーテルアセテート) 18.9部
・メチルエチルケトン 52.0部
・ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.0022部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.85部
・ビス〔4−〔N−〔4−(4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン−2−イル)フェニル〕カルバモイル〕フェニル〕セバケート 0.238部
・共重合体 (メチルイエルケトン30質量%溶液) 0.065部
・CFP−FF−775B(C.I.PB15:6分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 4.50部
・CFP−FF−293Y(C.I.PY139分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 3.37部
・CFP−FF−802V(C.I.PV23分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 4.16部
・CFP−FF−949K(カーボンブラック分散液 富士フイルムエレクトロマテリアル(株)製) 11.9部
・MMPG−AC(プロピレングリコール モノメチルエーテルアセテート) 18.9部
・メチルエチルケトン 52.0部
・ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.0022部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.85部
・ビス〔4−〔N−〔4−(4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン−2−イル)フェニル〕カルバモイル〕フェニル〕セバケート 0.238部
・共重合体 (メチルイエルケトン30質量%溶液) 0.065部
10…塗布装置、12…ウエブ、14…ダイ、18…減圧チャンバ、24…上部本体、26…下部本体、28…スロット、30…スペーサ、32…ポケット
Claims (7)
- エクストルージョン型の塗布ヘッドのスロット部の先端から、粘度10mPa・s以下の塗布液を吐出することによって、走行するウエブにウェット膜厚5〜30μmの塗布膜を形成する塗布方法において、
前記スロット部の幅がその先端にかけて連続的に減少する塗布ヘッドを用いて塗布を行うことを特徴とする塗布方法。 - 前記ウエブの速度を40〜60m/minの範囲に設定し、
前記スロット部の先端での塗布液の平均流速Vm/s、前記スロット部の幅の減少面積をSmm2とした際に、
(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)、
の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。 - 前記塗布液の表面張力が15〜30mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布方法。
- ウエブを連続走行させるウエブ走行手段と、
前記ウエブに塗布液を押し出すとともに、その先端にかけてスロット幅が連続的に減少するスロット部を備えたエクストルージョン型の塗布ヘッドと、
を備えたことを特徴とする塗布装置。 - 前記スロット部は、幅方向の側面が平面状に形成され、前記スロット幅が一定の割合で減少することを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
- 前記スロット部は、幅方向の側面が円弧状に形成され、前記スロット幅の減少率が先端にかけて大きくなることを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
- 前記ウエブ走行手段は前記ウエブを40〜60m/minの速度範囲で走行させ、
前記塗布ヘッドは、粘度が10mPa・s以下の塗布液をウェット膜厚5〜30μmで塗布するとともに、
前記スロット部の先端での塗布液の平均流速Vm/sと、前記スロット幅の減少面積Smm2が、
(100/1.5)<(−S/(V−3))<(700/1.5)、
の関係式を満たすように構成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1に記載の塗布装置。
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2006
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