JP2007236823A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像を取得した位置を容易に把握することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】音響カプラ30Aに所定のパターンを形成する。例えば、複数の領域に区分された2次元コードからなるパターンを形成する。超音波プローブ2に設置されている光学センサー23がそのパターンの一部を検出する。位置解析部12は、記憶部11に予め記憶されている音響カプラ30Aのパターンを参照することで、光学センサー23が検出したパターンの位置を特定する。この位置が音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置に相当する。表示制御部9は、表示部10に断層像を表示させるとともに、診断部位のボディマークを表示させ、そのボディマーク上であって、位置解析部12によって特定された位置に対応する位置にプローブマークを表示させる。
【選択図】図1

Description

この発明は超音波診断装置に関し、特に、超音波の走査によって取得した画像の位置を求める技術に関する。
超音波診断装置は、被検体の体表に超音波プローブを当てるだけの簡単な操作で、心臓の拍動や胎児の動きを表す画像をリアルタイムで得ることができる。また、安全性が高いため、繰り返して検査を行うことができ、さらに、X線診断装置、X線CT装置、又はMRI装置などの他の診断装置に比べてシステムの規模が小さいため、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなどの簡便さがある。さらに、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療などにおいても使用することができる。
ところで、超音波診断装置はX線マンモグラフィと同様に、乳癌の検診にも多く使用されている。X線マンモグラフィは微小石灰化の検出能力に優れているが、生体の軟組織の描写には超音波の方が優れているといわれている。また、X線マンモグラフィでは乳房を圧迫板で挟んで撮影するため、被検者によっては痛みを伴うが、超音波診断では痛みを伴わないため、その点においてもX線マンモグラフィよりも優れているといわれている。
ここで、超音波診断装置の構成について図12を参照して説明する。図12は、超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
超音波プローブ2には、複数の超音波振動子が所定方向(走査方向)に1例に配列された1次元超音波プローブや、超音波振動子がマトリックス(格子)状に配置された2次元超音波プローブが用いられる。
送信部3は、超音波プローブ2に電気信号を供給して超音波を発生させる。送信部3は、図示しないクロック発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路を備えている。クロック発生回路は、超音波信号の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生する回路である。送信遅延回路は、超音波の送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する回路である。パルサ回路は、各超音波振動子に対応した個別経路(チャンネル)の数分のパルサを内蔵し、遅延が掛けられた送信タイミングで駆動パルスを発生し、超音波プローブ2の各超音波振動子に供給するようになっている。
受信部4は、超音波プローブ2からの信号を受信する。受信部4は、図示しないプリアンプ回路、A/D変換回路、及び受信遅延・加算回路を備えている。プリアンプ回路は、超音波プローブ2の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換回路は、増幅されたエコー信号をA/D変換する。受信遅延・加算回路は、A/D変換後のエコー信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算する。その加算により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
Bモード処理部5は、受信部4から送られる信号に対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施すことで、信号強度が輝度の明るさで表されるデータを生成する。画像生成部8は、Bモード処理部5によって生成されたデータに基づいて、反射波の強度を輝度にて表したBモード断層像データを生成する。このBモード断層像データに基づく断層像が表示部10に表示される。
ドプラ処理部6は、受信部4から送られる信号に基づいて、平均速度、分散、パワーなどの血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成部8に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、又はこれらの組み合わせの画像として表示部10に表示される。
画像生成部8は、Bモード処理部5又はドプラ処理部6から出力された走査線信号列で表される信号処理後のデータを読み込んで、空間情報に基づいた座標系のデータに変換する(スキャンコンバージョン処理)。つまり、超音波走査に同期した信号列をテレビ走査方式の表示部10で表示できるようにするために、標準のテレビ走査に同期して読み出すことにより走査方式を変換している。画像生成部8は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後になって、検査中に記録した画像を呼び出すことが可能となっている。
画像メモリ7は、例えばフリーズする直前の複数フレームに対応する超音波画像データを保存するメモリである。この画像メモリ7に記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、断層像などの超音波動画像を表示することも可能である。
制御部13は超音波診断装置の全体の動作を制御する。制御部13は、図示しない記憶部に記憶されている画像の生成や表示などの処理を実行するための制御プログラムを読み込み、自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算や制御などの処理を実行する。
インターフェース部14は、入力部15、ネットワークN、又は新たな外部記憶装置(図示しない)を接続するためのインターフェースである。超音波画像データや解析結果などは、インターフェース14によって、ネットワークNを介して他の装置に転送することができる。
入力部15は、ジョイスティックやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチ、各種ボタン、マウス、キーボード又はTCS(Touch Command Screen)などで構成されている。操作者は、入力部15を用いて、各種指示、超音波の送受信条件、関心領域(ROI)の設定指示、又は画質条件の設定指示など装置に与えることができる。
また、超音波診断装置を用いた診断では、超音波プローブと被検体の体表面との間に設置する音響カプラが用いられる場合がある。
音響カプラを用いる主な理由として、以下の点が挙げられる。例えば、甲状腺や頚動脈などの部位を診断する場合において、体表面に存在する診断部位と超音波プローブの表面との距離を離すために音響カプラが用いられる。超音波プローブの直下においては、超音波ビームを収束させることが困難であり、超音波プローブの直下の領域では分解能が低下してしまう問題がある。そこで、超音波プローブと被検体の体表面との間に音響カプラを配置することで、体表面と超音波プローブの表面とを離し、体表面において超音波ビームを収束させることができるようになる。
また、自動診断システムにおいても音響カプラが用いられる場合がある(例えば特許文献1又は特許文献2)。例えば、乳房のように曲面を持った診断部位に超音波プローブを当てて自動走査する場合、その診断部位に超音波プローブを直接当てて曲面に沿って走査するよりも、音響カプラを介して直線的に走査した方が、自動制御や駆動機構が簡便になるからである。
ここで、超音波プローブの自動走査について図13を参照して説明する。図13は、超音波プローブの自動走査を説明するための側面図である。例えば、音響カプラとして水を利用する場合、水を溜めた水槽103に乳房Pを沈め、その音響カプラ(水)を介して超音波を送受信する。この場合、超音波プローブ100に可動ステージ102を接続し、モータ101によって可動ステージ102を移動させることで、超音波プローブ100を直線的に移動させる。このように、水(音響カプラ)を溜めた水槽103を介して超音波プローブ100を直線的に移動させることにより、簡便に自動走査することが可能となる。
また、音響カプラによる超音波の過度の減衰や多重反射に起因する画質の低下を防止するため、音響カプラの材料や製造方法について様々な工夫がなされている(例えば特許文献3〜5)。
また、超音波診断装置にはボディマーク機能が具備されている。ボディマークは、診断部位と超音波プローブの簡易図形で構成されている。断層像を取得した位置をボディマーク上に記して断層像と共に記録することで、読影時における診断部位の把握が容易になる。
図14にボディマークの1例を示す。図14(a)に主に肝臓用のボディマークを示し、図14(b)に乳房用のボディマークを示す。操作者は、超音波プローブの位置と向きを表すプローブマークPrを手動で任意の位置に動かすことができ、超音波画像を取得した位置にプローブマークPrを付して記録することができる。
ところで、肝臓や心臓を撮影する場合、ボディマークを使用しない場合もある。肝臓などの臓器を撮影した場合、門脈や胆嚢といった特徴的な構造が断層像に描出されるため、ボディマークを用いなくても、その断層像を取得した位置(走査を行った位置)が把握できる場合が多いからである。これに対して、乳房を撮影する場合は、ボディマークが用いられる。乳房は乳頭を中心とした対称形となっているため、断層像を見ただけでは、その断層像を取得した位置(走査を行った位置)の把握が困難だからである。なお、欧米では、学会などでボディマークの標準規定なども提唱されている。
特表2002−512835号 特公平4−4896号 特許第3288138号 特許第3272792号 特開平3−32652号
しかしながら、超音波診断装置は乳癌の検診用の診断装置として広く普及しているわけではない。その理由は、超音波による検査が検査技師の技量や経験に大きく依存するからである。一般的な超音波診断では、操作者(検査技師)が超音波プローブによって診断部位の断層像を取得し、医師が事後にその断層像を読影する。このとき、断層像は医師の読影に耐えられる正確さを持って取得される必要があるが、超音波によって取得される断層像は、超音波プローブの当て方や装置のゲインなどの設定によって画質が変わってしまうため、読影する医師が満足する画質が得られるまでの走査技術の習得が必要となる。
また、画質が良くても、断層像を読影するだけでは、乳房のどの領域を走査して得られた画像なのか分かり難く、また、全ての領域を走査したか否かの判断も困難である。ボディマークを断層像に付記して記録すれば良いが、従来においては、操作者(検査技師)が断層像を取得した位置(走査を行った位置)を特定し、ボディマーク上にその位置を手動で入力していたため、検査時間の増大や入力ミスなどが発生するおそれがある。実際の検査では短時間で多くの患者を撮影する必要があるため、断層像を取得した位置を入力する作業を省いたり、間違った位置を入力したりする場合がある。このように入力を省いたり、入力する位置を誤ったりすると、どの領域を走査して得られた断層像なのか分かり難い問題がある。
この発明は上記の問題を解決するものであり、画像を取得した位置を容易に把握することが可能な超音波診断装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、超音波プローブと、被検体側に設置され、所定のパターンが形成された音響カプラと、前記超音波プローブに設置され、前記超音波プローブが前記音響カプラ上に配置されたとき、前記音響カプラに形成されている所定のパターンの一部を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記音響カプラ上における前記超音波プローブの位置を特定する位置解析手段と、前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を表示手段に表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする超音波診断装置である。
請求項7に記載の発明は、超音波プローブと、被検体側に設置された音響カプラと、前記音響カプラに設置され、各々固有の識別情報を発信する複数の発信手段と、前記超音波プローブに設置され、前記超音波プローブが前記音響カプラ上に配置されたとき、対向する位置にある発信手段が発信する固有の識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した固有の識別情報に基づいて、前記音響カプラ上における前記超音波プローブの位置を特定する位置解析手段と、前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を表示手段に表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする超音波診断装置である。
この発明によると、所定のパターンが形成された音響カプラを用い、超音波プローブに設置された検出手段によってパターンの一部を検出して、音響カプラ上の超音波プローブの位置を特定することにより、超音波プローブの位置を自動的に特定することが可能となる。これにより、超音波プローブの位置を容易に把握することができ、その結果、超音波画像を取得した位置(超音波プローブによって走査した位置)を容易に把握することが可能となる。
また、この発明によると、固有の識別情報を発信する発信手段を備えた音響カプラを用い、超音波プローブに設置された受信手段によってその固有の識別情報を受信して、音響カプラ上の超音波プローブの位置を特定することにより、超音波プローブの位置を自動的に特定することが可能となる。これにより、超音波プローブの位置を容易に把握することができ、その結果、超音波画像を取得した位置(超音波プローブによって走査した位置)を容易に把握することが可能となる。
[第1の実施の形態]
(構成)
この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について図1を参照しつつ説明する。図1は、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
この実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体Pの体表面上に音響カプラ30Aを配置し、その音響カプラ30A上に超音波プローブ2を配置し、音響カプラ30Aを介して超音波の送受信を行う。超音波プローブ2には光学センサー23が設置され、音響カプラ30Aにはその光学センサー23によって読み取ることが可能なパターン(模様)が形成されている。そして、光学センサー23によって音響カプラ30Aに形成されたパターンの一部を読み取ることで、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を求め、被検体Pと超音波プローブ2の位置関係を表示部10に表示する。これにより、操作者は、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置、つまり、超音波画像を取得した位置を容易に把握することが可能となる。また、被検体Pと超音波プローブ2との位置関係を示す情報を記憶部11に記憶しておくことにより、読影時に超音波画像と位置を示す情報を表示部10に表示することで、超音波画像が取得された領域を容易に把握することができ、どの領域を走査して得られた超音波画像なのか判断しやすくなる。
なお、この実施形態に係る超音波診断装置は、図12に示す超音波診断装置と同様に、超音波プローブ2、送信部3、受信部4、Bモード処理部5、ドプラ処理部6、画像メモリ7、制御部13、インターフェース部14及び入力部15を備えて構成されている。これらは、図12に示す超音波診断装置と同じ機能を有するため、説明を省略する。
以下、音響カプラ、光学センサー23、位置解析部12、及び表示制御部9の構成及び機能について説明する。
[音響カプラ]
まず、音響カプラの形状について図2を参照して説明する。図2は、音響カプラを示す図であり、図2(a)及び(b)が音響カプラの断面図であり、図2(c)が音響カプラの斜視図である。この実施形態では、3種類の音響カプラ30A、30B及び30Cについて説明するが、この発明に係る音響カプラはこれらの例に限定されるものではない。また、この実施形態では、乳房を診断する際に用いられる音響カプラについて説明する。
音響カプラ30A、30B、及び30Cは、生体との適合性と超音波の透過性が良い材質で構成されている。音響カプラ30A、30B及び30Cは、柔軟で物理的強度を有し、超音波の透過性が良く、かつ、滅菌処理に耐えられる材料で生成されていることが望ましい。音響カプラ30A、30B及び30Cの材料としては、ウレタンゴムやシリコーンゴムなどの非含水ゲル物資、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレンオキサイド(PEO)などの高分子含水ゲルなどが用いられている。なお、柔軟で形状の保持が難しい材質の場合は、音響カプラ30A、30B及び30Cの表面をシリコーンゴムなどで覆うことで、形状を保持することができる。
音響カプラ30Aは、図2(a)の断面図に示すように、被検体(乳房)Pに密着させて用いられる。音響カプラ30Aは、被検体(乳房)Pと接する面が、乳房の形状と合致するように凹面状に形成され、被検体P(乳房)と密着するようになっている。この音響カプラ30Aは比較的薄型であり、例えば、シリコーン製ブラジャーのように、内側に粘着素材を用いることにより、音響カプラ30Aを被検体(乳房)Pに密着させることが可能となる。また、超音波診断において通常用いられているゲルを乳房と音響カプラ30Aとの間に塗布しても良い。この音響カプラ30A上に超音波プローブ2を配置することで、音響カプラ30Aを介して超音波の送受信を行う。
音響カプラの他の形態を図2(b)に示す。図2(b)に示す音響カプラ30Bは、比較的厚型であり、被検体(乳房)Pに接する面が、乳房の形状と合致するように凹面状に形成され、被検体(乳房)Pと密着するようになっており、さらに、被検体(乳房)Pに接する面の反対側の面(表面)が平坦な形状となっている。表面を平坦にすることにより、超音波プローブ2を音響カプラ30Bに垂直に当てることができるため、超音波プローブ2を走査しやすくなる。また、後述するパターンの印刷が比較的容易になるといった利点がある。
音響カプラの他の形態を図2(c)に示す。図2(c)に示す音響カプラ30Cには、肩ひも31が設けられており、患者はその肩ひも31に腕を通すことにより音響カプラ30Cを装着することができ、音響カプラ30Cによって両乳房を覆うことが可能となっている。このように音響カプラ30Cに肩ひも31を設けることで、音響カプラ30Cを肩掛けとして用いることができ、患者は座位で検査を受けることができる。また、更衣室などで音響カプラ30Cを着用すれば、乳房を露出しなくても検査を受けることが可能となるため、患者の負担を軽減することが可能となる。なお、この音響カプラ30Cは、両乳房を覆っているが、片方だけ肩掛けとしても良い。
なお、この実施形態では、乳房を診断する際に用いられる音響カプラについて説明したが、乳房以外の部位を診断する場合は、音響カプラの形状を、その音響カプラを密着させる体表面の形状に合わせれば良い。
[パターン]
音響カプラ30A、30B、及び30Cには、超音波プローブ2に設置されている光学センサー23によって読み取り可能なパターン(模様)が形成されている。このパターンについて、図3を参照して説明する。図3は、音響カプラに形成されたパターンを示す図である。この実施形態では、4種類のパターンについて説明するが、この発明はこれらの例に限定されるものではない。光学センサー23によって読み取り可能なパターン(模様)であって、位置の特定が可能なパターンであれば、この発明のパターンに含まれることになる。
音響カプラ30A、30B、及び30Cに形成されているパターン(模様)は、光学センサー23によって読み取り可能な形状、文字、又は色などを有している。超音波プローブ2が音響カプラ30A、30B、又は30Cを介して被検体(乳房)Pを走査する際、超音波プローブ2が配置されている箇所のパターンが光学センサー23によって読み取られ、後述する位置解析部12に出力され、位置解析部12によって超音波プローブ2の位置が特定される。
図3(a)に示すパターン32Aは、複数の領域に区分された2次元コードで構成されている。詳しく説明すると、パターン32Aは、白と黒の四角形からなるブロック状のコードパターンであり、白と黒の配列が位置(座標)によって異なっている。このように、位置(座標)によって白と黒の配列が異なるため、光学センサー23が読み取った局所的なパターンを、予め記憶部11に記憶しているパターン32Aとマッチングさせることで、パターン32A上における局所的なパターンの位置を一意的に特定することが可能となる。これにより、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を一意的に特定することが可能となる。なお、パターン32Aとして、商品ラベルなどに用いられているQRコード(2次元バーコード)などのパターンを用いても、読み取った局所的なパターンの位置を特定することができる。
図3(b)に示すパターン32Bは、複数の同心円と、その同心円の中心から径方向に放射状に伸びる複数の直線とから構成されている。これら複数の同心円と複数の直線は、それぞれ太さが異なっている。このように個々の線の太さが異なっているため、光学センサー23が読み取った局所的なパターンを、予め記憶部11に記憶しているパターン32Bとマッチングさせることで、パターン32B上における局所的なパターンの位置を一意的に特定することが可能となる。これにより、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を一意的に特定することが可能となる。
図3(c)に示すパターン32Cは、複数の同心円と、その同心円の中心から径方向に放射状に伸びる複数の直線と、複数の点との組み合わせで構成され、位置によってそれらの配置が異なっている。そのことにより、光学センサー23が読み取った局所的なパターンを、予め記憶部11に記憶しているパターン32Cとマッチングさせることで、パターン32C上における局所的なパターンの位置を一意的に特定することが可能となる。これにより、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を一意的に特定することが可能となる。
図3(d)に示すパターン32Dは複数の領域で構成され、個々の領域にはそれぞれ異なる色が着色されている。例えば、パターン32Dは領域A〜Iによって構成され、各領域A〜Iには、それぞれ異なる色が着色されている。そして、位置によって色の組み合わせや領域の形状を変えることで、光学センサー23が読み取った局所的なパターンを、予め記憶部11に記憶しているパターン32Dとマッチングさせることで、パターン32D上における局所的なパターンの位置を一意的に特定することが可能となる。これにより、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を一意的に特定することが可能となる。
なお、図3(d)に示すパターン32Dは、分割された領域の数が比較的少ないが、診断の目的や種類によっては、このような大まかな位置の把握であっても診断に十分な場合がある。また、パターン32Dの分割数を増やして多くの色を使用することで、位置の特定を詳細に行うことが可能となる。また、色が徐々に変化する(グラデーション)彩色パターンを用いれば、より詳細な位置情報が得られて、より詳細に超音波プローブ2の位置を特定することが可能となる。
上記パターン32A〜32Dは、音響カプラ30A〜30Cの表面に形成されていても良く、内部に形成されていても良い。
上記パターン32A〜32Dのデータは、記憶部11に予め記憶されている。なお、記憶部11には、診断部位の模式的な図形で構成されるボディマークのデータや、表示部10において、そのボディマーク上に表示するためのプローブマークのデータが記憶されている。また、記憶部11には、超音波の送受信の条件、画像の生成及び表示処理を実行するための制御プログラム、患者IDや医師の所見などの診断情報、診断プロトコルなどが記憶されている。この記憶部11は、画像メモリ7に記憶されている画像の保管にも使用される場合がある。
[光学センサー]
次に、超音波プローブ2に設置されている光学センサー23について図4及び図5を参照して説明する。図4は、超音波プローブと光学センサーの構成を示す斜視図である。図5は、超音波プローブと光学センサーの別の構成を示す図である。
図4に示すように、超音波プローブ2には、ケース21の側面に検出手段としての光学センサー23が設置されている。この光学センサー23は、CCD(電荷結合素子)などを使用した小型カメラ24を内蔵し、その小型カメラ24にて音響カプラに形成されたパターンの一部を読み取る。光学センサー23によって読み取られたパターンの情報は、ケーブル25を介して位置解析部12に出力される。ケーブル25を用いない場合は、無線によってパターンの情報を位置解析部12に送信しても良い。
この実施形態では、1個の光学センサー23が超音波プローブ2の側面に設けられている。より詳しく説明すると、光学センサー23は、超音波プローブ2のケース21の側面であって、超音波振動子22の配列方向(図中の走査方向)に直交する側面に設けられている。この光学センサー23が設置されている位置と、表示部10に表示されるプローブマークの位置とが対応することになる。
図4に示す例では、1個の光学センサー23のみを超音波プローブ2に設置したが、2個以上の光学センサーを超音波プローブ2に取り付けて、音響カプラに形成されたパターンを読み取っても良い。複数の光学センサーを設けて、複数箇所のパターンを読み取ることで、位置検出の精度を向上させることができる。
また、図5に示すように、2個の光学センサー26A、26Bを超音波プローブ2の側面に設けても良い。図5に示す例では、2個の光学センサー26A、26Bをケース21内に設けている。このように光学センサーをケース21内に設置することで、光学センサー26A、26Bからの信号を、超音波の送受信信号のためのケーブル中に含ませることができる。図4に示す光学センサー23と同様に、光学センサー26AはCCDなどを使用した小型カメラ27Aを内蔵し、光学センサー26BもCCDなどを使用した小型カメラ27Bを内蔵し、小型カメラ27A及び27Bにて音響カプラに形成されたパターンの一部を読み取る。
図5に示す例では、光学センサー26Aと光学センサー26Bは、超音波プローブ2の側面であって、互いに反対側の側面に設けられている。より詳しく説明すると、光学センサー26Aは、超音波振動子22の配列方向(図中の走査方向)に直交する側面に設けられ、光学センサー26Bは、光学センサー26Aが設けられている側面の反対側の側面に設けられている。光学センサー26Aが設置されている位置と、表示部10に表示されるプローブマークの一端の位置とが対応し、光学センサー26Bが設置されている位置と、その一端の反対側の端の位置とが対応することになる。
光学センサー26A及び26Bによって読み取られた局所的なパターンの情報は、ケーブル(図示しない)を介して位置解析部12に出力される。または、無線によってパターンの情報を位置解析部12に送信しても良い。図5に示す例では、光学センサー26Aが読み取ったパターンと、光学センサー26Bが読み取ったパターンとは模様が異なるため、位置解析部12によって光学センサー26A及び26Bのそれぞれの位置が特定されることになる。
[位置解析部]
図1に示す位置解析部12は、光学センサー23、又は光学センサー26A、26Bによって読み取られた局所的なパターンの情報を受け取り、さらに、記憶部11から音響カプラ30A、30B又は30Cに形成されているパターンの情報を読み込む。そして、位置解析部12は、記憶部11に記憶されているパターンを参照することで、光学センサー23によって検出された局所的なパターンの位置(座標)を特定する。つまり、位置解析部12は、光学センサー23などによって読み取られた局所的なパターンと、記憶部11に記憶されているパターンとをマッチングさせて、記憶部11に記憶されているパターン上における局所的なパターンの位置(座標)を求める。そして、位置解析部12は、パターン上の位置を示す情報(座標情報)を表示制御部9に出力する。また、表示部10に表示するボディマークの座標系と、音響カプラ30Aなどに形成されているパターンの座標系とを対応させておくことで、位置解析部12によって求められたパターン上の座標は、ボディマーク上の座標に対応することになる。
なお、位置解析部12は、ハードウェアで構成されて位置を特定する機能を実施しても良く、CPUなどの演算装置を備え、記憶部11に記憶されている位置解析用プログラムを読み込んで実行することで、位置を特定する機能を実施しても良い。
表示制御部9は、画像生成部8からBモード断層像データなどの超音波画像データを受け取り、その超音波画像データに基づく超音波画像を表示部10に表示させる。さらに、表示制御部9は、記憶部11からボディマークとプローブマークを読み込み、そのボディマーク上にプローブマークを重ねて表示部10に表示させる。このとき、表示制御部9は、ボディマーク上であって、位置解析部12によって求められた位置(座標)にプローブマークを重ねて表示部10に表示させる。
なお、表示制御部9は、文字情報や目盛などを超音波画像に重畳させて表示部10に表示させても良い。
[表示部]
表示部10には、例えば断層像とボディマークとが表示される。この表示例について図6を参照して説明する。図6は、表示部に表示される画像とボディマークの1例を示す図である。
表示部10には、診断部位の断層像40と、その診断部位を表すボディマーク41が表示される。例えば乳房を診断している場合、乳房を表すボディマーク41がモニタ画面10A上に表示され、さらに、超音波プローブ2の位置を示すプローブマークPrがボディマーク41上に表示される。ボディマーク41が被検体(乳房)Pを表し、プローブマークPrが超音波プローブ2を表しているため、ボディマーク41上にプローブマークPrを表示することで、被検体(乳房)Pと超音波プローブ2との位置関係が表示部10に表示されることになる。
この実施形態では、プローブマークPrは矩形状の形状を有しており、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を表している。表示制御部9は、位置解析部12からボディマーク41上の位置情報(座標情報)を受け取ると、その位置にプローブマークPrを表示させる。
プローブマークPrは音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を表している。音響カプラ30Aは被検体(乳房)P上に設置されているため、プローブマークPrは、被検体(乳房)P上における超音波プローブ2の位置を表していることになる。そして、ボディマーク41上におけるプローブマークPrの位置を参照することで、断層像40を取得した位置(超音波プローブ2によって走査した位置)を容易に把握することが可能となる。
超音波プローブ2を移動させることで、光学センサー23が読み取る局所的なパターンが異なるため、その局所的なパターンの情報に基づいて求められた位置にプローブマークPrが表示されることになる。つまり、超音波プローブ2の移動に伴って、ボディマーク41上のプローブマークPrの位置も移動することになる。これにより、モニタ画面10Aに表示されている断層像40などの超音波画像が取得された位置(超音波プローブ2が走査した位置)を容易に把握することが可能となる。
[プローブマーク]
また、図5に示すように、超音波プローブ2に2個の光学センサーを設けた場合、プローブマークPrの一方の端部の位置と一方の光学センサーの位置とが対応し、プローブマークPrの他方の端部の位置と他方の光学センサーの位置とが対応することになる。これにより、超音波プローブ2が向いている方向も特定することが可能となる。
例えば、図7に示すように、プローブマークPrのマーク端部PrAの位置が光学センサー26Aの位置に対応し、マーク端部PrBの位置が光学センサー26Bの位置に対応する。光学センサー26Aによって読み取られた局所的なパターンに基づいて、音響カプラ30A上における光学センサー26Aの位置を特定することができ、その位置がボディマーク41上におけるマーク端部PrAの位置に対応する。また、光学センサー26Bによって読み取られた局所的なパターンに基づいて、音響カプラ30A上における光学センサー26Bの位置を特定することができ、その位置がボディマーク41上におけるマーク端部PrBの位置に対応する。
以上のように、複数の光学センサーによって超音波プローブ2の位置を特定することで、超音波プローブ2の向きに合わせてプローブマークPrを表示部10に表示させることが可能となる。
また、音響カプラ30A、30B、及び30Cに形成されているパターンを、左右の乳房で異なるパターンにすることで、診断を行っている乳房を特定することが可能となる。例えば、右の乳房に装着する音響カプラには右用のパターンを形成し、左の乳房に装着する音響カプラには左用のパターンを形成し、右用と左用とで異なるパターンを形成する。右用のパターンを示す情報には、右用であることを示す識別情報を付して記憶部11に記憶しておき、左用のパターンを示す情報には、左用であることを示す識別情報を付して記憶部11に記憶しておく。
そして、位置解析部12は、光学センサー23によって読み取られた局所的なパターンと、記憶部11に記憶されているパターンとを比較することで、音響カプラ30A上の超音波プローブ2の位置を特定する。このとき、右用のパターンと左用のパターンとで異なるパターンにしておくことで、光学センサー23によって読み取られた局所的なパターンと、記憶部11に記憶されている右用又は左用パターンとを比較することで、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置とともに、乳房の左右も特定される。
このように、位置解析部12によって、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を示す情報(座標情報)と、診断対象となっている右の乳房又は左の乳房を示す情報が得られる。位置解析部12は、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置を示す情報(座標情報)とともに、右又は左の乳房を示す情報を表示制御部9に出力する。
そして、表示制御部9は、例えば、左の乳房を示す情報を位置解析部12から受けると、左の乳房用のボディマークを記憶部11から読み込み、左の乳房用のボディマークを表示部10に表示させ、さらに、位置解析部12によって求められた位置(座標)にプローブマークを重畳させて表示させる。また、表示制御部9は、右の乳房を示す情報を位置解析部12から受け取ると、右の乳房用のボディマークを記憶部11から読み込み、右の乳房用のボディマークを表示部10に表示させ、さらに、位置解析部12によって求められた位置(座標)にプローブマークを重畳させて表示させる。このように、右用のパターンと左用のパターンを用意することで、左右の特定も自動的に行うことが可能となる。
さらに、図6に示すように、位置解析部12によって特定された位置に基づいて、ボディマーク41上に超音波プローブ2を移動させた軌跡42を表示しても良い。例えば、表示制御部9は、ボディマーク41上でプローブマークPrを表示させた範囲の色を、未だ表示させていない範囲の色と異なる色に着色して表示部10に表示させる。これにより、超音波プローブ2が通過した範囲の色と、通過していない範囲の色とが区別されて表示されるため、超音波プローブ2が通過した範囲を容易に把握することができる。つまり、プローブマークPrが通過した範囲の色が、通過していない範囲と異なる色に着色されることにより、超音波プローブ2によって検査が行われた範囲と、未だ検査を行っていない範囲との区別が容易になるため、検査を行った範囲、又は未だ検査を行っていない範囲を容易に把握することが可能となる。
なお、操作者が不本意に超音波プローブ2を被検体(乳房)Pに当てたときも軌跡が表示されないようにするため、軌跡を描画するタイミングを制御可能としても良い。例えば、入力部15に検査ボタンを設け、操作者がその検査ボタンを押下することで、プローブマーク又は軌跡の描画開始又は描画終了の切り替えを行う。
具体的には、操作者が検査ボタンを押下すると、その押下に対応した信号が制御部13に出力される。制御部13はその信号を受けると、描画開始命令を表示制御部9に出力する。表示制御部9は、制御部13から描画開始命令を受けると表示部10にプローブマークと軌跡を表示させる。そして、再び検査ボタンが押下されると、制御部13は描画停止命令を表示制御部9に出力し、表示制御部9は、制御部13から描画停止命令を受けるとプローブマークと軌跡の描画を停止する。このように操作者が描画のタイミングを指示することで、意図しない軌跡の描画を防止することが可能となる。
また、操作者が検査ボタンを押下することで、光学センサー23によるパターンの読み取りを開始させたり、終了させたりしても良い。この場合、操作者によって検査ボタンが押下されると、制御部13は検査開始命令を光学センサー23に出力する。光学センサー23はその検査開始命令を受けると、音響カプラに形成されているパターンを読み込み、そのパターンの情報を位置解析部12に出力する。そして、位置解析部12によってマッチング処理が施されて超音波プローブ2の位置が特定され、表示部10にその位置が表示される。そして、再び検査ボタンが押下されると、制御部13は検査停止命令を光学センサー23に出力する。光学センサー23はその検査停止命令を受けると、パターンの読み込みを停止する。このように光学センサー23によるパターンの読み込みを制御することで、意図しない軌跡の描画を防止することが可能となる。
なお、フットスイッチを検査ボタンとし、足で操作したり、超音波プローブ2に検査ボタンを設けたりすることにより、操作者は容易に描画のタイミングを指示することが可能となり、検査を妨げられることなく、検査を実施することが可能となる。
(動作)
次に、この発明の実施形態に係る超音波診断装置の動作について図8を参照して説明する。図8は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置による一連の動作を説明するためのフローチャートである。
検査を行う前に、音響カプラ30A、30B又は30Cを患者に装着させる。乳房を診断する場合、音響カプラ30A、30B又は30Cを乳房に装着する。音響カプラ30Cのように、肩掛け可能な音響カプラを用いる場合は、患者は更衣室などで音響カプラ30Cを装着することができ、乳房を露出せずに診断を受けることができるという効果がある。
(ステップS01)
まず、診断を行う部位を表すボディマークを表示部10に表示させる。例えば、乳房を診断する場合、操作者は入力部15を用いて乳房を表すボディマークを指定すると、表示制御部9は記憶部11に記憶されているボディマークから乳房用のボディマークを読み込んで表示部10に乳房用のボディマークを表示させる。
(ステップS02)
次に、操作者は超音波プローブ2を音響カプラ30Aに接触させる。そして、超音波プローブ2によって超音波を送信し、受信した反射波に基づいてBモード断層像データを生成し、表示部10に断層像を表示させる。
(ステップS03)
そして、操作者は所望のタイミングで検査開始の指示を与える。例えば、入力部15に設置されている検査ボタンを押下することで、検査開始の指示を超音波診断装置に与える。
(ステップS04)
操作者によって検査開始の指示が与えられると、光学センサー23は音響カプラ30Aに形成されているパターンを読み込み、そのパターンを示す情報を位置解析部12に出力する。
なお、この実施形態では、検査開始の指示が与えられると、光学センサー23が音響カプラ30Aのパターンを検出し、そのパターン情報を位置解析部12に出力するが、この検査開始の指示を待たずに、光学センサー23によって音響カプラ30Aのパターンを検出して位置解析部12に出力しても良い。
(ステップS05)
位置解析部12は、光学センサー23からパターンを示す情報を受け取ると、記憶部11から音響カプラ30Aに形成されているパターンを示す情報を読み込み、光学センサー23から受け取ったパターンと、記憶部11に記憶されているパターンとをマッチングさせて、光学センサー23が読み取ったパターンの位置(座標)を特定する。この位置(座標)が、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置(座標)を表していることになる。位置解析部12は、その位置を示す情報(座標情報)を表示制御部9に出力する。
(ステップS06)
表示制御部9は、位置解析部12から超音波プローブ2の位置を示す情報(座標情報)を受けると、ボディマーク上であって、位置解析部12によって特定された位置(座標)にプローブマークを重ねて表示部10に表示させる。
例えば図6に示すように、表示制御部9は、表示部10のモニタ画面10A上に、断層像40とボディマーク41を表示させる。さらに、表示制御部9は、ボディマーク41上であって、位置解析部12によって求められた位置(座標)に、超音波プローブ2を表すプローブマークPrを表示させる。これにより、断層像を取得した位置が自動的に求められて表示部10に表示されることになる。
(ステップS07)
そして、検査を終了する場合、操作者は所望のタイミングで検査終了の指示を与える。例えば、入力部15に設置されている検査ボタンを再度、押下することで、検査終了の指示を超音波診断装置に与える。検査終了の指示が与えられると(ステップS07、Yes)、プローブマークPrの更新が停止する。一方、検査終了の指示が与えられない場合(ステップS07、No)、ステップS04〜ステップS06の動作が繰り返して実行され、超音波プローブ2の移動に伴って、プローブマークPrがボディマーク41上で移動して表示されることになる。
検査を終了しない場合(ステップS07、No)、光学センサー23によって新たに読み取られたパターンに基づいて、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置(座標)が特定され、その位置を示す情報(座標情報)に従って、ボディマーク41上にプローブマークPrが表示される。また、プローブマークPrの移動とともに、表示制御部9は、プローブマークPrが移動した範囲を、それ以外の範囲と異なる色に着色して表示部10に表示させる。これにより、超音波プローブ2によって走査した範囲と、未だに走査していない範囲とを容易に判別することが可能となる。
また、超音波プローブ2の位置を示す情報をプローブマークPrとしてボディマーク41上に表示する他、超音波画像を記録するとともに、超音波画像の付帯情報として超音波プローブ2の位置を示す情報(座標情報)を記録しても良い。例えば、図6のモニタ画面10A上に表示されているボディマーク41、プローブマークPr及び軌跡42を表す図形情報をそのまま記憶部11に記録する。これにより、読影するために超音波画像を読み出したときに、ボディマーク41上に超音波画像を取得した位置を示すプローブマークPrが表示され、超音波画像を取得した位置を容易に把握することが可能となる。
また、超音波プローブ2の位置を自動的に記録することで、ボディマーク41にプローブマークPrを付け忘れたり、プローブマークPrを付け加える位置を間違えたりすることを防止することが可能となる。さらに、プローブマークPrが自動的に付け加えられるため、操作者がプローブマークPrを付け加える時間を削減することが可能となる。これにより、多数の患者を検査する場合に、操作者の負担を軽減することができ、検査時間も短縮することが可能となる。
また、ボディマーク41上におけるプローブマークPrの座標情報を記憶部11に記憶しても良い。これにより、音響カプラ30A上における超音波プローブ2の位置が記憶されることになる。そして、読影するために超音波画像を読み出したときに、ボディマーク41上にその座標情報が表示され、超音波画像を取得した位置を容易に把握することが可能となる。なお、操作者によって位置情報を表示したり、表示しなかったり選択できるようにしても良い。
例えば、ボディマーク41の中心を極座標系の中心とし、プローブマークPrが表示されている角度(方向)と、中心からプローブマークPrまでの距離を記憶部11に記録しておく。ボディマーク41の中心は音響カプラ30Aの中心に対応するため、音響カプラ30Aの中心を極座標系の中心として、超音波プローブ2が設置されている角度(方向)と、中心から超音波プローブ2までの距離が記録されることになる。
具体的には、ボディマーク41の中心を時計の中心として、プローブマークPrが表示されている時間(方向)と、中心からプローブマークPrまでの距離を記録しておく。ボディマーク41の中心は音響カプラ30Aの中心に対応するため、音響カプラ30Aの中心を時計の中心として、超音波プローブ2が設置されている時間(方向)と、中心から超音波プローブ2までの距離が記録されることになる。
また、乳房を検査した場合は、超音波プローブ2の位置情報を記録するとともに、乳房の左右を示す情報を記憶部11に記録しても良い。
また、超音波プローブ2が受信した反射波のレベルに従って、プローブマークPrと軌跡の描画を停止しても良い。例えば、受信部4から出力される信号を受けて、超音波プローブ2が音響カプラから離れているか否かの判断を行う判断部(図示しない)を設ける。例えば、判断部は、受信部4から出力される信号が、予め設定された信号レベル以下、例えばノイズレベル以下になると、超音波プローブ2が音響カプラから離れていると判断する。
超音波プローブ2が音響カプラから離れていると判断した場合、判断部は、その判断結果を制御部13に出力する。制御部13はその判断結果を受けると、描画停止命令を表示制御部9に出力する。表示制御部9はその描画停止命令を受けると、プローブマークPrと軌跡の描画を停止する。これにより、意図しない軌跡の描画及び記録を防止することが可能となる。
また、制御部13は、判断部から判断結果を受けると、検査停止命令を光学センサー23に出力しても良い。光学センサー23はその検査停止命令を受けると、パターンの読み込みを停止する。これにより、意図しない軌跡の描画及び記録を防止することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置について図9及び図10を参照して説明する。図9は、この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。図10は、音響カプラを示す斜視図である。
この第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aは、第1の実施形態に係る音響カプラ30A〜30Cに代わって音響カプラ50を備え、また、位置解析部12に代わって別の位置解析部12Aを備えている。さらに、超音波プローブ2には、光学センサー23に代わって受信器52が設置されている。音響カプラ50、位置解析部12A、及び受信器52以外の構成については、第1の実施形態に係る超音波診断装置と同じ構成を有しているため、説明を省略し、以下、音響カプラ50の構成、位置解析部12Aの機能、及び受信器52の機能について説明する。
図10に示すように、この実施形態に係る音響カプラ50には、発信手段として小型の無線認識タグ(Radio Freqeuncy Identification:RFID)51が複数個、埋め込まれている。個々の無線認識タグ51には、それぞれ固有のID情報(識別情報)が記憶されており、そのID情報を発信する。記憶部11には、個々の無線認識タグ51のID情報(識別情報)と、音響カプラ50上における個々の無線認識タグ51の位置を示す情報(座標情報)とが対応付けられて記憶されている。
超音波プローブ2には、無線認識タグ51のID情報を検出する受信器52が設置されている。操作者が超音波プローブ2を音響カプラ50の表面上で走査すると、受信器52が、最も近接した位置に設置されている無線認識タグ51から発信されているID情報を受信する。受信器52によって受信されたID情報は、位置解析部12Aに出力される。
例えば、各無線認識タグ51は同じレベルの信号を発信している場合、受信器52は、複数の信号を受信したうち、最も高い信号レベルを発信した無線認識タグ51のID情報を位置解析部12Aに出力する。最も高い信号レベルを発信した無線認識タグ51は、超音波プローブ2に最も近接した位置に存在すると考えられ、その無線認識タグ51が超音波プローブ2の位置に対応すると考えられるからである。
位置解析部12Aは、受信器52からID情報を受けると、記憶部11に記憶されている無線認識タグ51のID情報と、位置を示す情報(座標情報)との対応付けを参照して、音響カプラ50上における、そのID情報が付された無線認識タグ51の位置(座標)を特定する。この位置(座標)が、音響カプラ50上における超音波プローブ2の位置(座標)に相当することになる。そして、位置解析部12Aは、超音波プローブ2の位置を示す情報(座標情報)を表示制御部9に出力する。
表示制御部9は、第1の実施形態と同様に、記憶部11からボディマークを読み込み、そのボディマーク上にプローブマークを重ねて表示部10に表示させる。このとき、表示制御部9は、ボディマーク上であって、位置解析部12Aによって求められた位置(座標)にプローブマークを重ねて表示部10に表示させる。表示部10には、第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様に、断層像などの超音波画像とボディマークが表示され、そのボディマーク上に超音波プローブ2の位置を示すプローブマークが表示される。
以上のように、固有のID情報(識別情報)を発信する無線認識タグ51を用いることにより、音響カプラ50上における超音波プローブ2の位置を特定することができるため、操作者は超音波画像が取得された位置を容易に把握することが可能となる。
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、左右の乳房で、無線認識タグ51の配置パターンを異なるパターンとすることで、診断を行っている乳房を特定することが可能となる。また、第1の実施形態と同様に、位置解析部12Aによって特定された超音波プローブ2の位置に基づいて、ボディマーク上に超音波プローブ2を移動させた軌跡を表示しても良い。さらに、超音波画像を記録するとともに、超音波画像の付帯情報として超音波プローブ2の位置を示す情報(座標情報)を記録しても良い。この場合、ボディマーク、プローブマーク及び軌跡を表す図形情報をそのまま記録しても良く、音響カプラ50上における超音波プローブ2の座標情報を記録しても良い。
(変形例)
次に、上記第1の実施形態及び第2の実施形態に係る超音波プローブの変形例について図11を参照して説明する。図11は、超音波プローブの変形例を示す側面図である。この変形例に係る超音波プローブ2には、第1又は第2の実施形態と同様に、光学センサー23又は受信器52が設置されている。さらに、音響カプラとして、第1又は第2の実施形態と同様に、音響カプラ30A、30B、30C、又は音響カプラ50が用いられている。図11には、一例として音響カプラ30Bを示す。
第1の実施形態と同様に、音響カプラとして所定のパターンが形成された音響カプラ30A、30B又は30Cが用いられている場合は、超音波プローブ2に光学センサー23を設置し、その光学センサー23によって音響カプラ30A、30B、又は30Cに形成されたパターンを読み取り、そのパターンを示す情報を図1に示す位置解析部12に出力する。位置解析部12は、第1の実施形態と同様に、音響カプラ30A、30B又は30C上における超音波プローブ2の位置(座標)を特定する。
一方、第2の実施形態と同様に、音響カプラとして、無線認識タグ51が設置された音響カプラ50を用いた場合は、超音波プローブ2に受信器52を設置し、その受信器52によって音響カプラ50に設置された無線認識タグ51のID情報を受信し、その受信したID情報を図9に示す位置解析部12Aに出力する。位置解析部12Aは、第2の実施形態と同様に、音響カプラ50上における超音波プローブ2の位置(座標)を特定する。
また、この変形例では、超音波プローブ2は保持部材60によって両側面を挟まれて保持されている。その保持部材60には、図示しない関節部材を介して機械式のアーム61が接続されている。そして、図示しない駆動手段によってアーム61を動かすことにより、保持部材60を任意の方向に移動させることができる。これにより、保持部材60に保持されている超音波プローブ2を、音響カプラ上で任意の方向に摺動させることが可能となる。
このアーム61の移動は、図1又は図9に示す制御部13によって制御される。このアーム61の移動速度、移動距離、及び移動方向などは予め設定され、所定のプログラムに従って移動させられる。そして、アーム61に移動に伴って超音波プローブ2が音響カプラ30B上で摺動させられることになる。音響カプラとして所定のパターンが形成された音響カプラ30Bが用いられている場合は、光学センサー23によって音響カプラ30Bのパターンが読み取られ、位置解析部12によって、音響カプラ30B上における超音波プローブ2の位置(座標)が特定される。
以上のように、所定のプログラムに従って機械的に移動するアーム61によって超音波プローブ2を自動的に走査することにより、患者が異なっても同じ動作を行うことが可能であるため、断層像を取得した位置を推定することができる。その上、音響カプラに所定のパターンを形成したり、無線認識タグを設けたりして超音波プローブ2の位置をリアルタイムに検出することで、超音波プローブ2の位置(超音波画像を取得した位置)をより容易に把握することが可能となる。
この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 音響カプラを示す図である。 音響カプラに形成されたパターンを示す図である。 超音波プローブと光学センサーの構成を示す斜視図である。 超音波プローブと光学センサーの別の構成を示す図である。 表示部に表示される画像とボディマークの1例を示す図である。 プローブマークと光学センサーとの位置関係を説明するための模式図である。 この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置による一連の動作を示すフローチャートである。 この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 音響カプラを示す斜視図である。 超音波プローブの変形例を示す断面図である。 超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 超音波プローブの自動走査を説明するための側面図である。 ボディマークを示す図である。
符号の説明
1、1A 超音波診断装置
2 超音波プローブ
9 表示制御部
11 記憶部
12 位置解析部
23、26A、26B 光学センサー
30A、30B、30C、50 音響カプラ
32A、32B、32C、32D パターン
40 断層像
41 ボディマーク
42 軌跡
51 無線認識タグ
52 受信器
60 保持部材
61 アーム
Pr プローブマーク

Claims (18)

  1. 超音波プローブと、
    被検体側に設置され、所定のパターンが形成された音響カプラと、
    前記超音波プローブに設置され、前記超音波プローブが前記音響カプラ上に配置されたとき、前記音響カプラに形成されている所定のパターンの一部を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に基づいて、前記音響カプラ上における前記超音波プローブの位置を特定する位置解析手段と、
    前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を表示手段に表示させる表示制御手段と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記音響カプラに形成された所定のパターンを予め記憶した記憶手段を更に有し、
    前記位置解析手段は、前記検出手段から検出結果を受けると、前記記憶手段に予め記憶されている所定のパターンを参照することで、前記所定のパターン上における前記検出した所定のパターンの一部の位置を特定し、
    前記表示制御手段は、前記検出した所定のパターンの一部の位置を前記超音波プローブの位置として、前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記所定のパターンは複数の領域で構成され、個々の領域にはそれぞれ異なる色が着色されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波診断装置。
  4. 前記所定のパターンは、部分的に太さと形状が異なる線で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波診断装置。
  5. 前記所定のパターンは、複数の領域に区分された2次元コードで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波診断装置。
  6. 前記音響カプラは前記被検体の乳房の上に設置され、前記乳房の左用と右用とで、異なるパターンが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の超音波診断装置。
  7. 超音波プローブと、
    被検体側に設置された音響カプラと、
    前記音響カプラに設置され、各々固有の識別情報を発信する複数の発信手段と、
    前記超音波プローブに設置され、前記超音波プローブが前記音響カプラ上に配置されたとき、対向する位置にある発信手段が発信する固有の識別情報を受信する受信手段と、
    前記受信手段が受信した固有の識別情報に基づいて、前記音響カプラ上における前記超音波プローブの位置を特定する位置解析手段と、
    前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を表示手段に表示させる表示制御手段と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  8. 前記音響カプラ上における個々の発信手段の位置を示す情報を、前記固有の識別情報に対応付けて予め記憶した記憶手段を更に有し、
    前記位置解析手段は、前記受信手段から固有の識別情報を受けると、前記記憶手段を参照することで前記音響カプラ上における前記超音波プローブの位置を特定することを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
  9. 前記表示制御手段は、前記超音波プローブによって取得された前記被検体の画像とともに、前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の超音波診断装置。
  10. 前記超音波プローブと前記被検体との位置関係を、前記超音波プローブによって取得された前記被検体の画像に対応付けて記憶する記憶手段を更に有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の超音波診断装置。
  11. 前記表示制御手段は、診断部位を表す模式的な図形を前記表示手段に表示させるとともに、前記診断部位を表す模式的な図形中であって、前記超音波プローブの位置に対応する位置に前記超音波プローブを表す模式的な図形を表示させることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の超音波診断装置。
  12. 前記表示制御手段は、前記位置解析手段によって特定された前記超音波プローブの位置に基づいて、前記超音波プローブの移動に伴う軌跡を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の超音波診断装置。
  13. 前記表示制御手段は、前記診断部位を表す模式的な図形中であって、前記超音波プローブを表す模式的な図形が表示された部分と、他の部分とを区分けして前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
  14. 前記表示制御手段は、前記診断部位を表す模式的な図形中であって、前記超音波プローブを表す模式的な図形が表示された部分を、他の部分と異なる色に着色することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
  15. 前記音響カプラは前記被検体に接して設置され、前記被検体に接触する面の反対側の面が平坦であり、前記平坦な面に前記超音波プローブが設置されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の超音波診断装置。
  16. 前記音響カプラは、前記被検体の乳房を覆う形状を有していることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の超音波診断装置。
  17. 前記音響カプラは肩ひもを備えていることを特徴とする請求項16に記載の超音波診断装置。
  18. 前記超音波プローブを前記音響カプラ上で摺動させる摺動手段を更に有することを特徴とする請求項1から請求項17のいずれかに記載の超音波診断装置。


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