JP2007232314A - ステンレス鋼板製貯湯タンク - Google Patents

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Abstract

【課題】ステンレス鋼材料の使用量が最小で、放熱ロスが少ない形状の長期使用に耐えるステンレス鋼板製貯湯タンクを提供する。
【解決手段】プレス加工性、溶接性、耐応力腐食割れ性に優れたステンレス鋼板を、プレス成形による絞り加工や張り出し加工、またはスピニング加工などの手段によって半球形に成形し、その半球形に成形した半球殻2個を溶接などの接合手段で接合することにより全体を球形に組み立てて、ステンレス鋼板製貯湯タンクを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種の貯湯式温水器に備えた貯湯タンクの中で、特に、耐食性の点で有利なステンレス鋼板を用いて製造される貯湯タンクに関する。
従来、この種の貯湯タンクの多くは、材料として、長期の使用における湯中の塩素イオンに対する耐食性を考慮し、その点に優れたステンレス鋼板を用いて製造され、たとえば図2に示すように、管状のタンク本体1の図中上下両端にそれぞれ椀状の鏡板2・2を溶接などの接合手段で接合し、全体を円筒形に組み立てている。このように形状として円筒形が選定されているのは、製造が比較的容易であり、耐圧強度も補強材が不要な程度に高いので構造が単純化され、設置投影面積も比較的狭くて済むからである。
斯かるステンレス鋼板製貯湯タンクにおいて、タンク本体1は、長方形のステンレス鋼板を巻いて、その両側縁を溶接などの接合手段で接合して管状に成形する一方、鏡板2・2は、ステンレス鋼板をスピニング成形や絞り成形などの加工方法によって回転半楕円体殻形状、即ち椀状に成形し、これら椀状の鏡板2・2を管状のタンク本体1の両端に溶接などの接合手段で接合することにより、全体を円筒形に製造するが一般的である。
ところで、従来のステンレス鋼板製貯湯タンクには、このような製造方法に起因し、溶接や成形に伴う残留応力が存在し、且つ出湯するための内圧による応力が作用している。したがって、前記した長期使用における湯中の塩素イオンによる腐食環境下にあって、これらの応力が作用していると、ステンレス材料には応力腐食割れが発生する場合があり、この応力腐食割れが原因で貯湯タンクが湯洩れを起すことがあった。
そこで、このような応力腐食割れが原因で貯湯タンクに湯漏れが発生するのを避けるため、従来の貯湯タンクは、その材料として、同じステンレス鋼の中でも応力腐食割れを起こし難いとされるSUS444など、Moを添加したフェライト系ステンレス鋼が一般に使用されている。
しかしながら、形状が円筒形の従来のステンレス鋼板製貯湯タンクでは、内容積当たりの表面積が最小とは言えないので、同じ量の湯を貯めるタンクとして他種形状のものと比較すると、使用するステンレス鋼板の量が多いいために、材料費の点で製造コストが高くなると共に、貯められた湯からの放熱によるエネルギーのロスも多くなるという課題がある。加えて、円筒形の貯湯タンクは、各種形状の貯湯タンクの中でも耐圧強度が最高であるとは言えないので、その分だけ使用する材料厚さも厚くなり、そのためステンレス鋼板の使用量の増大を招いて、やはり製造コストが高くなるという課題があった。
一方で、従来、構成材料として、応力腐食割れに強いとされるフェライト系ステンレス鋼板を使用した従来の貯湯タンクでは、フェライト系ステンレス鋼板が、オーステナイト系ステンレス鋼板と比較すると、プレス成形性や溶接性が悪く、それらが原因で、貯湯タンクの形状の選択範囲に制限を受けると共に、溶接コストや溶接工数の増大を招いて、製造コストが高くなるという課題があった。
そこで、本発明者は、上記課題を解決すべく、従来円筒式であったステンレス鋼板製貯湯タンクの形状構造に特に着目し、これを球形にすると、体積当たりの表面積が小さくなり、それによって、同一内容量の湯を貯めるのに必要な貯湯タンクを構成するステンレス鋼板の使用量が著しく減少するため、それだけ材料費の点で製造コストが低減されると共に、貯湯タンクが使用される時に放熱面積が小さくなるため、内容物の湯が冷め難く、エネルギーのロスが少なくなることを見い出し、以下のように本発明を完成するに至った。
そこで、ステンレス鋼板製貯湯タンクの形状構造について、請求項1に記載の発明は、ステンレス鋼板製貯湯タンクにおいて、ステンレス鋼板を半球形に成形し、その半球殻2個を接合して球形に組み立ててなることを特徴としている。
一方、ステンレス鋼板製貯湯タンクの構成材料について、請求項2に記載の発明は、ステンレス鋼板製貯湯タンクにおいて、重量%で、Cが0.08%以下、Siが1%以下、Mnが1.2%以上かつ2%以下、Pが0.04%以下、Sが0.03%以下、Niが7.5%以上かつ16%以下、Crが15%以上かつ20%以下、Moが0.5%以下、Cuが2%以上かつ4%以下、Nが0.05%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなる、ステンレス鋼板を所望形状に成形して組み立ててなることを特徴としている。
さらに、ステンレス鋼板製貯湯タンクを構成する材料がステンレス鋼板の鋼種に関し、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のステンレス鋼板製貯湯タンクにおいて、前記ステンレス鋼板がオーステナイト系ステンレス鋼板であることを特徴としている。
さらに、ステンレス鋼板製貯湯タンクを構成する材料がオーステナイト系ステンレス鋼板の合金組成に関し、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のステンレス鋼板製貯湯タンクにおいて、前記オーステナイト系ステンレス鋼板が、重量%で、Cが0.08%以下、Siが1%以下、Mnが1.2%以上かつ2%以下、Pが0.04%以下、Sが0.03%以下、Niが7.5%以上かつ16%以下、Crが15%以上かつ20%以下、Moが0.5%以下、Cuが2%以上かつ4%以下、Nが0.05%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、(1)従来は円筒形状であったステンレス鋼板製貯湯タンクを球形にするため、体積当たりの表面積が小さくなり、それによって、同一内容量の湯を貯めるのに必要な貯湯タンクを製造するステンレス鋼板の使用量が著しく減少し、それだけ材料費の点で製造コストを低減することができる。しかも、球形タンクでは、周知のとおり、内圧によって薄肉球殻に発生する最大応力が薄肉円筒の場合の半分であるため、それだけ使用する材料厚さも薄くて済み、この材料厚さの点からもタンクを構成するステンレス鋼板材の使用量が減少して材料費を節減することができ、その結果、上記表面積による材料費の節減と併せて、少ない量のステンレス鋼板で貯湯タンクを構成して製造コストを飛躍的に低減することができる。また、(2)体積当たりの表面積が小さいため、貯湯タンクが使用される時に放熱面積が小さくなり、その結果、内容物である湯が冷めにくく、使用中の放熱ロスが少なくしてエネルギー効率を著しく向上させることができる。更に、(3)球形の貯湯タンクを製造する手段として、ステンレス鋼板を半球形に成形し、その半球殻を2個接合して球形に組み立てるため、従来の円筒形タンクの製造と比較してみると、成形加工工程が単純で、且つ組み立ても容易で、しかも、成形後の接合組立てに溶接手段を用いるとすれば、溶接線が短くて済むなど、溶接等のタンク製造工数が削減され、量産化を容易にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、例えばSUS444のように高価なMoを添加しない一方で、ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性を確保する上で重要なMnとNiとCuを含有した特定合金組成のステンレス鋼板を材料として、所望形状の貯湯タンクを成形する構成であるため、長期使用の間に応力腐食による割れの発生に伴う漏水の問題がなく、長期使用に耐える所望形状のステンレス鋼板製貯湯タンクを安価に提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、球形な貯湯タンクの構成材料としてオーステナイト系ステンレス鋼板を用いる構成であるため、プレス成形性が良好で、半球形への成形も容易となり、成形工数も短くすることができる。しかも、少なくともフェライト系より溶接が容易であるので、それだけ溶接シールドガスの使用量が削減され、また、溶接速度の増大によって溶接工数が削減され、その結果、溶接コストを大幅に節減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、加えて、ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性を確保する上で重要なMnとNiとCuを含有した特定合金組成のオーステナイト系ステンレス鋼板を材料として、球形な貯湯タンクを構成するため、応力腐食割れの問題のない長期使用に耐える、球形のステンレス鋼板製貯湯タンクを安価に提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。
図1は、請求項1に係る発明の実施の形態であるステンレス鋼板製貯湯タンクの形状構造を示す断面図である。本発明の図示ステンレス鋼板製貯湯タンクTは、例えば貯湯式温水器に備える貯湯タンクとする。なお、本発明のステンレス鋼板製貯湯タンクTを適用する貯湯式温水器は、水から湯を作るための熱源が電気・太陽熱・ガス・石油・各種ヒートポンプ・ボイラー排熱・エンジン排熱・燃料電池排熱など、いずれの方式の温水器であるかを問わない。
さて、ステンレス鋼板製貯湯タンクTは、従来円筒形であったステンレス鋼板製貯湯タンクの形状構造に着目し、これを図1に示すように球形としてなる。即ち、ステンレス鋼板を半球形に成形し、それぞれ図中符号10で示す、その半球殻2個を接合して球形に組み立ててなることを特徴とする。
以下に、そのように球形状とするステンレス鋼板製貯湯タンクTの形状や構造上の特徴について、更に詳しく説明する。
そもそも、幾何学的によく知られているように、立体の体積当たりの表面積は球が最小である。また、材料力学において、内圧の作用する薄肉球殻に発生する最大応力は、薄肉円筒の場合の半分であることが知られている。そこで、本発明者は、これらの知識を応用し、上述のとおり従来円筒形であったステンレス鋼板製貯湯タンクを球形にすると、体積当たりの表面積が小さくなり、それによって、同一内容量の湯を貯めるのに必要な貯湯タンクを製造するステンレス鋼板の使用量が著しく減少し、それだけ製造コストが低減されることが判った。また、体積当たりの表面積が小さくなるということは、貯湯タンクが使用される時に、放熱面積が小さくなることを意味し、その結果、内容物である湯が冷め難く、エネルギーのロスが少なくなることを見い出すことができた。
加えて、本発明者は、この球形な貯湯タンクTを製造する手段として、ステンレス鋼板を半球形に成形し、その2個の半球殻10・10を接合して球形に加工することが、従来の円筒形タンクの製造方法と比較して、成形加工工程が単純で、且つ成形後の接合組立てに溶接の手段を用いるとすれば、溶接線が短くて済むことから、溶接等のタンク製造工数が削減され、量産化が容易になることが判った。
そこで、本発明において、ステンレス鋼板製貯湯タンクTは、ステンレス鋼板を、プレス成形による絞り加工や張り出し加工、またはスピニング加工などの手段によって半球形に成形し、その成形した2個の半球殻10・10を溶接などの接合手段で接合して全体を球形に製造する。
次に、請求項2に係る発明の実施の形態として、ステンレス鋼板製貯湯タンクの構成材料について説明する。
本発明者は、貯湯タンクの構成材料として、SUS444等のフェライト系ステンレス鋼板と比較すると成形や溶接の点で貯湯タンクの製造に有利なオーステナイト鋼板の範囲において、ステンレス鋼の合金組成と応力腐食割れとの関係を鋭意研究した。その結果、ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性を確保する上では、MnとNiとCuが重要な元素であり、それらMnとNiとCuを含有する所定の合金組成とすれば、SUS444のように高価なMoをわざわざ添加しなくても、応力腐食割れを起こし難くできることを見い出し、斯かる合金組成の構成材料が、応力腐食割れの問題がなく長期使用に耐えるステンレス鋼板製貯湯タンクを所望形状に成形して組み立てるのに好適であることが判った。
そこで、本発明の貯湯タンクは、構成材料としてステンレス鋼板を用いるが、該ステンレス鋼板が、重量%で、Cが0.08%以下、Siが1%以下、Mnが1.2%以上かつ2%以下、Pが0.04%以下、Sが0.03%以下、Niが7.5%以上かつ16%以下、Crが15%以上かつ20%以下、Moが0.5%以下、Cuが2%以上かつ4%以下、Nが0.05%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなり、この合金組成からなステンレス鋼板を用いて、所望形状に成形して組み立てることを特徴とする。
ステンレス鋼板の合金組成範囲を、上述のごとく限定する理由は、下記の通りである。Cは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト組織安定化の働きを有するが、含有量が0.08%を超えると結晶粒界に炭化物が析出しやすくなり、その結果、耐食性や加工性の劣化を招いてしまう。従って、含有量の上限を0.08%とした。
Siは、溶製時の脱酸剤の役割をすると同時に、耐食性を増加させる効果もある。しかし、フェライト生成元素でもあり、熱間加工性を阻害する元素であるため、オーステナイト安定化と生産の歩留まり向上のために、上限を1%とした。
Mnは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト組織安定に有効であり、1.2%以上の添加でCu及びNiとの相互作用で応力腐食割れに効果があるが、含有量が2%を超えると、却って耐食性を劣化させる。従って、含有量の下限を1.2%、上限を2%とした。
Pは、鉄鋼に通常含有される不純物であるが、0.04%を超えると耐食性や熱間加工性を阻害するので、含有量の上限を0.04%とした。
Sも、通常含有される不純物であるが、0.03%を超えると介在物が増加して耐食性の低下をもたらす他、熱間加工の割れ感受性を高める。よって、含有量の上限を0.03%とした。
Niは、オーステナイト組織を安定し、プレス加工性を高め、応力腐食割れを抑制するためには必須の元素である。そのためには、少なくとも7.5%以上の添加を必要とするが、16%を超えて添加してもその効果の増加はほとんどない。過剰な添加は、却って製造コストの増加を招いて経済性を阻害する。従って、含有量の下限を7.5%、上限を16%とした。
Crは、ステンレス鋼の耐食性を高めるのに最も有効な元素であるが、そのためには、少なくとも13%以上の添加が必要で、実用上、好ましくは15%以上が望まれる。しかし、20%を超えると、フェライト生成や熱間加工性の低下をもたらし好ましくない。従って、含有量の下限を15%とし、上限を20%とした。
Moは、ステンレス鋼の耐食性を著しく向上させ、応力腐食割れにも効果があるが、高価な元素であり、貯湯タンク用材に多く含有させることは非現実的である。従って、含有量の上限を0.5%とした。
Cuは、オーステナイト生成元素であり、ステンレス鋼板の加工性の増大効果がある。また、Mnとの複合的効果によって、応力腐食割れを抑制する。このような効果を得るためには、含有量が2%以上必要であるが、4%を超える過剰な添加は熱間加工性を低下させる。従って、含有量の下限を2%、上限を4%とした。
Nは、Cと同様のオーステナイト生成元素であるが、固溶強化機能が大きいので、過剰添加は材料のプレス加工性に有害であり、含有量の上限を0.05%とした。
なお、本発明は、以上のように応力腐食割れの問題がなく長期使用に耐える上記所定合金組成からなステンレス鋼板を用いて、貯湯タンクを、例えば球形に成形して組み立てるような場合に限られず、円筒形に成形して組み立てる場合の他、各種の所望形状に成形して組み立てることができ、タンク形状の選択範囲に制限を受けることはない。即ち、タンク形状の如何を問うことなく、応力腐食割れの問題のない長期使用に耐えるステンレス鋼板製貯湯タンクを提供することができる。
次に、請求項3に係る発明の実施の形態として、球形なステンレス鋼板製貯湯タンクの構成材料として、好ましいステンレス鋼板の鋼種について説明する。
本発明者は、貯湯タンクを構成する材料のステンレス鋼板の鋼種についても、鋭意考察した結果、従来のSUS444等のフェライト系ステンレス鋼ではなく、オーステナイト系ステンレス鋼を使用することが、球形な貯湯タンクを成形して組み立てる上で、より有効であるとの結論に至った。
即ち、図1に示したような球形の貯湯タンクを製造する場合、ステンレス鋼板を半球形に成形することが必須要件となるが、従来のSUS444などのフェライト系ステンレス鋼板によっては、半球形の成形性が不十分で、この半球形への成形は困難であり、成形できたとしても、非常に長いプレス工数を必要とする。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は、プレス成形性が良く、半球形への成形も容易で工数も短い。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、フェライト系より溶接が容易であるので、球形貯湯タンクの構成材料として、オーステナイト系ステンレス鋼板を使用すれば、溶接シールドガスの使用量削減や、溶接速度増大による溶接工数削減を通じて溶接コストが削減されることが判った。
そこで、本発明は、特に球形な貯湯タンクを構成する材料としてステンレス鋼板を用いるが、この場合には、鋼種がオーステナイト系のステンレス鋼板を用いて球形に成形し組み立てることが望ましい。
次に、請求項4に係る発明の実施の形態として、球形の貯湯タンクを構成する材料が上述の如くオーステナイト系ステンレス鋼板とするとき、その好ましいステンレス鋼板の合金組成について説明する。
本発明者は、ステンレス鋼板製の球形貯湯タンクが応力腐食割れを起さずに、長期の使用に耐えるためには、同じオーステナイト系ステンレス鋼の中でも、上述のようにMnとNiとCuを含有する合金組成のオーステナイト系ステンレス材料であることが適当であることを見い出し、その材料でステンレス鋼板製貯湯タンクを構成することが好ましいとの結論に至った。
そこで、本実施の形態において、本発明の貯湯タンクは、構成材料としてオーステナイト系ステンレス鋼板を用いるが、その場合、該オーステナイト系ステンレス鋼板が、重量%で、Cが0.08%以下、Siが1%以下、Mnが1.2%以上かつ2%以下、Pが0.04%以下、Sが0.03%以下、Niが7.5%以上かつ16%以下、Crが15%以上かつ20%以下、Moが0.5%以下、Cuが2%以上かつ4%以下、Nが0.05%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなり、この合金組成からなステンレス鋼板を用いて、球形状に成形して組み立てるとよい。なお、オーステナイト系ステンレス鋼板の合金組成を上述のごとく限定する理由は、各含有元素別に上述した通りである。
さて次に、以下に示す実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、請求項1に係る発明の実施例を、家庭用の温水器に備える一般的な内容積200リットルのステンレス鋼板製貯湯タンクを例にとって以下に説明する。
球の体積と表面積の計算から、球形貯湯タンクであれば、その形状は直径726mmとなり、その表面積は1.65mである。一方、円筒形貯湯タンクの場合、一般的な高さである1500mmの貯湯タンクを例にとれば、そのタンクの直径は412mmであり、表面積は2.21mと計算される。従って、球形の貯湯タンクは、円筒形の貯湯タンクの場合より25%も表面積が少なく、その分、タンクを構成するステンレス鋼板の材料費を節減することができる。また、貯湯タンクを使用している間のタンク表面から周囲への放熱によるエネルギーのロスに関しても、球形タンクは円筒タンクより25%も少なく、その分、電気やガスなどの熱源からの熱供給が少なくて済む。
この球形の貯湯タンクを実際にステンレス鋼板で構成するには、ステンレス鋼板をプレス成形による絞り加工や張り出し加工、またはスピニング加工などの加工方法によって半球殻に成形し、それを2個接合して球形とする方法が最適である。他に加工方法として、扇型の小片、三角形の小片、または五角形と六角形小片の組合せなどを接合して球形を形成する方法もあり得るが、溶接などによる接合の工数が多く、現実的でない。
一方、この200リットル貯湯タンクの内部における湯の圧力を0.4MPaとし、内圧によってタンク材料に発生する応力の許容量を103N/mmとした場合、材料力学の示すところによれば、上記円筒形タンクでは、0.8mmの厚さが必要であるのに対し、球形タンクでは、0.7mmで十分である。従って、この材料厚さの点からもタンクを構成するステンレス鋼材の材料費を節減することができ、上記面積による節減と併せて、球形ならば円筒よりも35%も少ない量のステンレス鋼板で貯湯タンクを構成することができる。
次に、請求項2に係る発明の実施例を以下に示す。下記の表1に示すとおり、本発明鋼(No.1−No.4)及び比較鋼(No.5−No.9)の各供試材を用意した。比較鋼のうち、No.5はSUS304L、No.6はSUS316L、No.7はSUS315J、No.8はSUS315J2、No.9は304J1の規定の範囲に入る合金組成のステンレス鋼である。これらの試験片に対して、JIS G 0576「ステンレス鋼の応力腐食割れ試験方法」に規定されているU字曲げ試験を、A法(42%塩化マグネシウム試験)及びB法(30%塩化カルシウム試験)とも実施して耐応力腐食割れ性を評価した。下記の表2はその試験結果を示すものである。
Figure 2007232314
Figure 2007232314
いずれの試験方法でも、本発明の合金組成に係るステンレス鋼の耐応力腐食割れ性は、非常に優れており、このステンレス鋼板によって貯湯タンクを構成すれば、長期使用の間に腐食による割れの発生に伴う漏水のないステンレス鋼板製貯湯タンクを提供できることが判った。なお、比較鋼の供試材No.6も耐応力腐食割れ性が優れてはいるが、多量のMoを含む合金組成であり、本発明鋼に比較して高価である。
次に、請求項3に係る発明の実施例を以下に示す。従来の貯湯タンク用ステンレス鋼板であるフェライト系のSUS444で、厚さ0.7mmのものを用い、3工程の深絞りプレス加工によって直径726mmの半球殻成形を試みたところ、材料破断やしわの発生により、成形ができなかった。一方、引張試験において伸び値が優れているオーステナイト系ステンレス鋼である、SUS304L、SUS316L及びSUS315J1については、同じ工程で容易に半球殻成形ができた。これにより、オーステナイト系ステンレス鋼を構成要件とすれば、ステンレス鋼板製の球形貯湯タンクを容易に提供できることが判った。
最後に、請求項4に係る発明の実施例を以下に示す。上記表1のNo.3鋼は、本発明の合金組成の範囲内であり、その化学組成のステンレス鋼板で、厚さ0.7mmのものを用い、前記したと同様に3工程の深絞りプレス加工によって直径726mmの半球殻成形をし、これを2個溶接により接合して球形となし、必要な配管部材などを取り付ければ、応力腐食割れの問題がない長期使用に耐える200リットルのステンレス鋼板製球形貯湯タンクとして、各種熱源の貯湯型温水器に提供することができる。
本発明の一例であるステンレス鋼板製貯湯タンクの形状構造を示す断面図である。 従来のステンレス鋼板製貯湯タンクの形状構造を示す断面図である。
符号の説明
T ステンレス鋼板製貯湯タンク
10 半球殻

Claims (4)

  1. ステンレス鋼板を半球形に成形し、その半球殻2個を接合して球形に組み立ててなることを特徴とする、ステンレス鋼板製貯湯タンク。
  2. 重量%で、Cが0.08%以下、Siが1%以下、Mnが1.2%以上かつ2%以下、Pが0.04%以下、Sが0.03%以下、Niが7.5%以上かつ16%以下、Crが15%以上かつ20%以下、Moが0.5%以下、Cuが2%以上かつ4%以下、Nが0.05%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなる、ステンレス鋼板を所望形状に成形して組み立ててなることを特徴とする、ステンレス鋼板製貯湯タンク。
  3. 前記ステンレス鋼板がオーステナイト系ステンレス鋼板であることを特徴とする、請求項1に記載のステンレス鋼板製貯湯タンク。
  4. 前記オーステナイト系ステンレス鋼板が、重量%で、Cが0.08%以下、Siが1%以下、Mnが1.2%以上かつ2%以下、Pが0.04%以下、Sが0.03%以下、Niが7.5%以上かつ16%以下、Crが15%以上かつ20%以下、Moが0.5%以下、Cuが2%以上かつ4%以下、Nが0.05%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなる、請求項3に記載のステンレス鋼板製貯湯タンク。
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