JP2007231530A - 樋管の止水壁構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】底樋などの樋管の周囲における有害な水みちの発生を防止できるようにする。
【解決手段】樋管12の外周につば状の止水板13を取り付ける。樋管12における止水板13を取り付けた部分を、粘性土22で形成した止水壁23の内部に埋設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樋管の止水壁構造に関する。
樋管として、ため池からの取水を目的として、このため池の堤体を水平方向に貫通して設置される管路構造物が知られている。この管路構造物は、底樋と呼ばれている。また、樋管として、河川からの取水を目的として、堤防を貫通した状態で敷設されるものもある。このような樋管として、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
ため池からの取水用の底樋として、コンクリート構造物にて構成されたものが知られている。このような底樋の例を、図4および図5を参照して説明する。
図4において、51はため池を示し、52はその堤体、53は、ためられている水である。54は底樋で、堤体52の底部を水平方向に貫通した状態で敷設されている。55は、底樋54への通水を制御するためのゲートである。堤体52には、底樋54に連通する斜樋56が設置されている。底樋54は、上記のようにコンクリート構造物にて構成されている。57は、そのコンクリート継ぎ目である。
底樋54と、堤体52においてこの底樋54を埋設している土砂との間に隙間が生じると、この隙間は、水みちとなって、ため池51の内部の水53が堤体の外部へ漏れ出すことになる。このような漏れ出しを防止するために、堤体52の内部における底樋54の長さ方向に沿った適当位置には、コンクリート製の止水壁58が、底樋54の外面に密着した状態で設けられている。
図5は、底樋54および止水壁58の詳細構造を示す。底樋54は、管本体を構成するヒューム管59をコンクリートブロック60の内部に埋設したもので、コンクリートブロック60には、底樋54の長さ方向の鉄筋61が配されている。継ぎ目57の部分においては、底樋54の長さ方向に隣り合うコンクリートブロック60、60どうしの隙間に目地材62が充填されている。そして、一方のコンクリートブロック60から目地材62を貫通して底樋54の長さ方向に伸びるダウエルバー63が設けられている。このダウエルバー63の先端部は、他方のコンクリートブロック60に形成された凹部64の中に入り込んでいる。65は止水板である。止水壁58は、底樋54のコンクリートブロック60の外面に密着している。
特開平7−331631号公報
底樋54が敷設されている部分の地盤が軟弱な場合には、底樋54を敷設した後に堤体を構築するための盛土を施すと、それに伴って沈下が生じる。このとき、図4に示すように堤体52は一般に底樋54の軸心方向に台形状の断面をなし、よって底樋54への上乗せ荷重が不均一であるため、底樋54の沈下量も不均一すなわち不同沈下となる。特に、腹付け盛土や嵩上げ盛土などを行う場合には、新たに上載荷重が作用するため、非常に大きな局部沈下を生じる場合がある。
ところが、図5に示すように、コンクリートブロック60、60どうしの継ぎ目57では、ダウエルバー63がせん断抵抗力を受けながら、ダウエルバー63と凹部64との口径差によって段差や隙間を生じるだけの構造であるため、大きな変位には対応できない。すなわち、底樋54は、全体として剛な構造体であり、不同沈下に十分に対応できない。これにより、沈下した周囲の地盤と底樋54との間に隙間が生じて、水漏れの原因となる水みちを形成するおそれがある。また、不同沈下に十分に対応できないと、地盤における亀裂発生の起点になるとともに、地盤内に亀裂が進展して水みちの形成を助長するおそれがある。
これに対処するために、沈下が予測される場合には地盤改良を行って地盤変位を拘束することが一般に行われているが、十分ではない。また止水壁58もコンクリート製であるため、周辺地盤との重量差や剛性差があり、これによって地盤への追従性が損なわれるおそれがある。
そこで本発明は、底樋などの樋管の周囲における有害な水みちの発生を防止できるようにすることを目的とする。
この目的を達成するため本発明は、樋管の外周につば状の止水板を取り付け、樋管における前記止水板を取り付けた部分を、粘性土で形成した止水壁の内部に埋設したものである。
本発明によれば、粘性土は、樋管の外周および止水板に密着するとともに、それ自体が水を通しにくいため、良好な止水壁を形成することができる。また、樋管の外周面と粘性土で形成した止水壁の内周面との間にわずかな隙間が生じても、つば状の止水板の張り出し面が止水壁の粘性土内に密着状態で嵌入しているため、連続した水みちの形成を阻止して、確実な止水効果を達成することができる。
図1において、11はため池を構築するための堤体で、この堤体11の底部において、この堤体11を貫通して、樋管としての水平方向の底樋12が敷設されている。底樋12としては、鋳鉄管や樹脂管などが用いられる。その敷設に際しては、たとえば図示のように堤体11を開削したうえで、底樋12を設置し、その後に土砂の埋め戻しを行う。底樋12の長さ方向に沿った複数位置の外周には、つば状の止水板13が取り付けられている。
図2および図3は、止水板13の詳細構造を示す。図示のように、止水板13は周方向に沿って複数に分割された構成であり、その分割部14がボルト・ナットなどの締結手段15によって締結されることで、敷設現場において環状に形成して底樋12に取り付け可能である。止水板13は、金属材料などによって形成されており、底樋12の外周に沿って配置される筒状部16と、筒状部16から径方向の外向きに配置されるつば状部17とが一体化された構成である。筒状部16は、底樋12の外面との間に板状のエラスティックフィラー18を挟み込んだ状態で、底樋12の外周に固定されている。エラスティックフィラー18としては、ゴム板などを用いることができる。
図1に示すように、底樋12を敷設するための堤体11の開削部20は、上向きに広がる逆台形状の断面形状を有するように形成されている。この開削部20において、底樋12における止水板13の取り付け部に対応した部分には、底樋12の周囲に、他の部分よりも断面積の大きな、すなわち他の部分よりも横向きに広くかつ下向きに深く形成された、拡大部21が、底樋12の長さ方向に沿った一定範囲に形成されている。そして、この拡大部21に粘性土22が充填されることで、底樋12の周囲に止水壁23が構築されている。この止水壁23は、粘性土22が、止水板13を内部に埋め込むとともに止水板13の筒状部16とつば状部17との表面に密着し、かつ止水板13以外の部分では底樋12の外周面に密着している。
粘性土22は、水を通しにくく、しかも止水板13との密着性が良好なものを用いることが必要であるとともに、堤体11の一部を構築するものであるために、締まりの良いものすなわち軟弱でないものであることが必要である。この条件を満たせば、適宜のものを利用できる。底樋12を設置して止水壁23を構築した後に、開削部20には土砂24が埋め戻される。
このような構成であると、従来のようなコンクリート製のブロックを用いるものではなく、底樋12を構成する管体の外周に止水板13を取り付けただけであるので、底樋12を柔構造とすることができる。このため、地盤への追従性を高めることができて、それにもとづく水みち形成防止効果を得ることができる。また、止水壁23は粘性土によって形成されており、底樋12を構成する管体との密着性が良好であるとともに土粒子の移動を抑制する効果があるため、その管体の外周面に沿った水みちの形成を良好に防止することができる。粘性土自体の水を通しにくい性質によって、止水壁23自体による止水効果を得ることができる。止水板13を設けたことによる水みち形成防止効果も得ることができる。しかも、底樋12の管体の周囲と止水壁23の粘性土との間にわずかな隙間が生じても、止水板13のつば状部17が密着状態で止水壁23の粘性土の中に入り込んでいるため、連続した水みちの形成を阻止することができる。
また、従来のコンクリート構造物に比べて大幅に施工性を向上させることができるとともに、軟弱地盤上のため池の改修や耐震性の向上に適用することができる。
止水板13は、エラスティックフィラー18を介して底樋12に取り付けられているため、底樋12を構成する管体に対し隙間なく密着することができるうえに、周辺地盤への底樋12の追従性を妨げないようにすることができる。
本発明の実施の形態の樋管の止水壁構造を示す図である。 図1における止水板の構成を示す図である。 図2の止水板の断面構造を示す図である。 従来の底樋が敷設された堤体の断面構造を示す図である。 図4における底樋の構成を示す図である。
符号の説明
11 堤体
12 底樋
13 止水板
22 粘性土
23 止水壁

Claims (1)

  1. 樋管の外周につば状の止水板を取り付け、樋管における前記止水板を取り付けた部分を、粘性土で形成した止水壁の内部に埋設したことを特徴とする樋管の止水壁構造。
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