JP2007231169A - 油中水型エマルションインキ、並びに、これを用いた孔版印刷方法及び孔版印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低インキ浸透性記録媒体を含めた記録媒体に対し、定着性及び乾燥性(乾燥速度)に優れた油中水型エマルションインキを提供し、また、低インキ浸透性記録媒体を含めた記録媒体に対して、定着性及び乾燥性(乾燥速度)に優れた孔版印刷(インキ印刷)ができる孔版印刷方法及び孔版印刷装置を提供する。
【解決手段】油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなり、前記油相が、定着成分としてポリスチレン換算での質量平均分子量が20,000〜150,000である油性樹脂25〜65質量%と、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤25質量%以上とを含有する油中水型エマルションインキ、並びに、前記油中水型エマルションインキを利用する孔版印刷方法及び孔版印刷装置。
【選択図】なし
【解決手段】油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなり、前記油相が、定着成分としてポリスチレン換算での質量平均分子量が20,000〜150,000である油性樹脂25〜65質量%と、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤25質量%以上とを含有する油中水型エマルションインキ、並びに、前記油中水型エマルションインキを利用する孔版印刷方法及び孔版印刷装置。
【選択図】なし
Description
本発明は、油中水型エマルションインキ、並びに、これを用いた孔版印刷方法及び孔版印刷装置に関する。
孔版印刷は、周知のように、孔版印刷原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側へインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に行なわれる印刷である。例えば、孔版印刷を行う印刷機の一つとして輪転孔版印刷機がある。近年では、この輪転孔版印刷機は、マイクロコンピューターなどによる自動化が進み、操作も簡単になり、国内外での孔版印刷の一般利用が増加している。
従来より、このような孔版印刷においては、油中水型エマルションインキ(以下、「W/Oエマルションインキ」と称することがある)が用いられている。前記W/Oエマルションインキは、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤などを含んでいる。
従来より、このような孔版印刷においては、油中水型エマルションインキ(以下、「W/Oエマルションインキ」と称することがある)が用いられている。前記W/Oエマルションインキは、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤などを含んでいる。
しかしながら、前記輪転孔版印刷機などによる孔版印刷の前記W/Oエマルションインキの乾燥原理は、浸透乾燥に頼るものであることから、浸透性に劣る記録媒体(低インキ浸透性記録媒体)に対しては、定着性に劣り、乾燥性も劣る。このため、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れによってインキが脱落しやすいという問題や、印刷直後の積み重ねによって、未乾燥のインキが別の印刷物の裏面に移行するという、いわゆる裏移りが発生するという問題があった。
そこで、かかる問題を解消するため、例えば、水相中に一価の陽イオンを有する電解質が含有させて水不溶成分の凝集を防ぎ、定着性を向上させるW/Oエマルションインキが提案されている(特許文献1参照)。
また、分散用樹脂と、皮膜形成性能を有する線状アクリル系樹脂からなる樹脂粒子とを、該分散用樹脂を溶解せず、該樹脂粒子を溶解可能な溶剤の存在下で使用して定着性を向上させるインキが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらのインキの場合、いずれも、低インキ浸透性記録媒体への定着性については、さらなる改良、開発の余地があり、乾燥性については、未だ向上できていないというのが現状であった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低インキ浸透性記録媒体を含めた各種記録媒体に対して定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れた油中水型エマルションインキを提供することを目的とする。また、本発明は、低インキ浸透性記録媒体を含めた各種記録媒体に対し、定着性、乾燥性(乾燥速度)により優れた孔版印刷(インキ印刷)を行うことができる孔版印刷方法及び孔版印刷装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなり、前記油相が、定着成分としてポリスチレン換算での質量平均分子量が20,000〜150,000である油性樹脂25〜65質量%と、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤25質量%以上とを含有することを特徴とする油中水型エマルションインキである。
<2> 油性樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量が、25,000〜145,000である前記<1>に記載の油中水型エマルションインキである。
<3> 油性樹脂の含有量が、30〜60質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の油中水型エマルションインキである。
<4> 油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.6〜1.6である前記<1>から<3>のいずれかに記載の油中水型エマルションインキである。
<5> 油乃至溶剤の含有量が、30〜60質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の油中水型エマルションインキである。
<6> 前記<1>に記載の油中水型エマルションインキを用いて記録媒体に印刷することを少なくとも含むことを特徴とする孔版印刷方法である。
<7> 油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が1.0以上であり、油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低い定着液を、印刷がされた記録媒体の表面に対して塗布することを含む前記<6>に記載の孔版印刷方法である。
<8> 記録媒体が、低インキ浸透性記録媒体である前記<6>から<7>のいずれかに記載の孔版印刷方法である。
<9> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.0〜5.5である前記<7>から<8>のいずれかに記載の孔版印刷方法である。
<10> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.5〜6.0である<7>から<9>のいずれかに記載の孔版印刷方法である。
<11> 前記<1>に記載の油中水型エマルションインキを用いて記録媒体に印刷する印刷手段を少なくとも有することを特徴とする孔版印刷装置である。
<12> 油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が1.0以上であり、油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低い定着液を、印刷がされた記録媒体の表面に対して塗布する塗布手段を有する前記<11>に記載の孔版印刷装置である。
<13> 記録媒体が、低インキ浸透性記録媒体である前記<11>から<12>のいずれかに記載の孔版印刷装置である。
<14> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.0〜5.5である前記<11>から<13>のいずれかに記載の孔版印刷装置である。
<15> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.5〜6.0である<11>から<14>のいずれかに記載の孔版印刷装置である。
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなり、前記油相が、定着成分としてポリスチレン換算での質量平均分子量が20,000〜150,000である油性樹脂25〜65質量%と、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤25質量%以上とを含有することを特徴とする油中水型エマルションインキである。
<2> 油性樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量が、25,000〜145,000である前記<1>に記載の油中水型エマルションインキである。
<3> 油性樹脂の含有量が、30〜60質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の油中水型エマルションインキである。
<4> 油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.6〜1.6である前記<1>から<3>のいずれかに記載の油中水型エマルションインキである。
<5> 油乃至溶剤の含有量が、30〜60質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の油中水型エマルションインキである。
<6> 前記<1>に記載の油中水型エマルションインキを用いて記録媒体に印刷することを少なくとも含むことを特徴とする孔版印刷方法である。
<7> 油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が1.0以上であり、油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低い定着液を、印刷がされた記録媒体の表面に対して塗布することを含む前記<6>に記載の孔版印刷方法である。
<8> 記録媒体が、低インキ浸透性記録媒体である前記<6>から<7>のいずれかに記載の孔版印刷方法である。
<9> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.0〜5.5である前記<7>から<8>のいずれかに記載の孔版印刷方法である。
<10> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.5〜6.0である<7>から<9>のいずれかに記載の孔版印刷方法である。
<11> 前記<1>に記載の油中水型エマルションインキを用いて記録媒体に印刷する印刷手段を少なくとも有することを特徴とする孔版印刷装置である。
<12> 油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が1.0以上であり、油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低い定着液を、印刷がされた記録媒体の表面に対して塗布する塗布手段を有する前記<11>に記載の孔版印刷装置である。
<13> 記録媒体が、低インキ浸透性記録媒体である前記<11>から<12>のいずれかに記載の孔版印刷装置である。
<14> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.0〜5.5である前記<11>から<13>のいずれかに記載の孔版印刷装置である。
<15> 定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、3.5〜6.0である<11>から<14>のいずれかに記載の孔版印刷装置である。
本発明によると、従来における上記問題を解決することができ、低インキ浸透性記録媒体を含めた各種記録媒体に対して定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れた油中水型エマルションインキを提供することができる。
また、本発明によると、低インキ浸透性記録媒体を含めた各種記録媒体に対し、定着性、乾燥性(乾燥速度)により優れた孔版印刷(インキ印刷)を行うことができる孔版印刷方法及び孔版印刷装置を提供することができる。
また、本発明によると、低インキ浸透性記録媒体を含めた各種記録媒体に対し、定着性、乾燥性(乾燥速度)により優れた孔版印刷(インキ印刷)を行うことができる孔版印刷方法及び孔版印刷装置を提供することができる。
(油中水型(W/O)エマルションインキ)
本発明のW/Oエマルションインキ(以下、「インキ」と称することがある)は、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなる。
〔油相〕
前記油相は、定着成分として、油性樹脂及び油乃至溶剤の両方(以下、前記油乃至溶剤を、「油溶剤」又は「油溶剤成分」と称することがある)を含有している。前記油相としては、前記油性樹脂と前記油乃至溶剤を含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜にその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分としては、例えば、着色剤、乳化剤、着色剤分散剤、ゲル化剤、酸化防止剤、体質顔料、ワックスなどが挙げられる。
本発明のW/Oエマルションインキ(以下、「インキ」と称することがある)は、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなる。
〔油相〕
前記油相は、定着成分として、油性樹脂及び油乃至溶剤の両方(以下、前記油乃至溶剤を、「油溶剤」又は「油溶剤成分」と称することがある)を含有している。前記油相としては、前記油性樹脂と前記油乃至溶剤を含有していれば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜にその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分としては、例えば、着色剤、乳化剤、着色剤分散剤、ゲル化剤、酸化防止剤、体質顔料、ワックスなどが挙げられる。
−油性樹脂−
前記油性樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができ、例えば、20,000〜150,000が好ましく、25,000〜145,000がより好ましい。
前記油性樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量が、20,000未満であると、樹脂分子の絡み合いに由来する膜強度が低く、定着性や乾燥性に劣ることがあり、150,000を超えると、高密度な樹脂分子の絡み合いによって油性樹脂から溶剤の分離が妨げられ、インキの塑性粘度が高くなり、定着性や乾燥性に劣ることがあり、また、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性に問題が生じることがある。
前記油性樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができ、例えば、20,000〜150,000が好ましく、25,000〜145,000がより好ましい。
前記油性樹脂のポリスチレン換算での質量平均分子量が、20,000未満であると、樹脂分子の絡み合いに由来する膜強度が低く、定着性や乾燥性に劣ることがあり、150,000を超えると、高密度な樹脂分子の絡み合いによって油性樹脂から溶剤の分離が妨げられ、インキの塑性粘度が高くなり、定着性や乾燥性に劣ることがあり、また、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性に問題が生じることがある。
前記油相中の前記油性樹脂の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができ、例えば、25〜65質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
前記油相中の前記油性樹脂の含有量が、25質量%未満であると、前記油性樹脂の分子の絡み合いに由来する膜強度が低く、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがあり、65質量%を超えると、高密度な前記油性樹脂の分子の絡み合いによって、前記油性樹脂から溶剤の分離が妨げられ、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがある。
前記油相中の前記油性樹脂の含有量が、25質量%未満であると、前記油性樹脂の分子の絡み合いに由来する膜強度が低く、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがあり、65質量%を超えると、高密度な前記油性樹脂の分子の絡み合いによって、前記油性樹脂から溶剤の分離が妨げられ、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがある。
本発明における前記油性樹脂としては、上記の通り、前記質量平均分子量が、20,000〜150,000の範囲内であれば、特に制限はなく、任意のものを適宜に使用することができる。
また、前記油相中の前記油性樹脂の含有量は、25〜65質量%の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記油相中の前記油性樹脂の含有量は、25〜65質量%の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記油性樹脂の具体例としては、例えば、ロジン系樹脂、ロジン変性樹脂、ゴム誘導体樹脂、テルペン樹脂、アルキド樹脂、重合ひまし油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステルなどが挙げられる。前記ロジン変性樹脂としては、例えば、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。前記ゴム誘導体樹脂としては、例えば、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、環化ゴムなどが挙げられる。
また、前記ロジン変性フェノール樹脂の市販品としては、例えば、荒川化学社製:タマノル353、タマノル403、タマノル361、タマノル387、タマノル340、タマノル400、タマノル396、タマノル354、KG836、KG846、KG1834、KG1801などが挙げられる。
前記ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステルなどが挙げられる。前記ロジン変性樹脂としては、例えば、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。前記ゴム誘導体樹脂としては、例えば、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、環化ゴムなどが挙げられる。
また、前記ロジン変性フェノール樹脂の市販品としては、例えば、荒川化学社製:タマノル353、タマノル403、タマノル361、タマノル387、タマノル340、タマノル400、タマノル396、タマノル354、KG836、KG846、KG1834、KG1801などが挙げられる。
前記W/Oエマルションインキにおいては、上記の通り、前記油性樹脂として、前記アルキド樹脂を含有させることもできる。また、前記アルキド樹脂は、例えば、後述する着色剤の分散安定性にも効果があり、後述する着色剤分散剤として使用することもできる。前記アルキド樹脂は、油脂と多塩基酸と多価アルコールとから構成されている。前記油脂中の脂肪酸が、トリグリセライドで存在したときの樹脂中質量%を油長という。
前記アルキド樹脂の油長としては、特に制限はないが、色剤分散能が大きいという点から、60〜90が好ましい。
前記アルキド樹脂のヨウ素価としては、特に制限はないが、前記油長の場合と同様に、色剤分散能が大きいという点から、80以下が好ましい。
前記アルキド樹脂の質量平均分子量としては、特に制限はないが、前記油長及びヨウ素価の場合と同様に、色剤分散能が大きいという点から、10,000以下が好ましい。このようなアルキド樹脂は、常温流動性に富んでおり、その性状は油溶剤成分といえる。
また、前記アルキド樹脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油等のヨウ素が80以下の不乾性油又は半乾性油及びこれらの脂肪酸が挙げられる。また、大豆油、アマニ油、キリ油等の乾性油もアルキド樹脂のヨウ素価が80以下の範疇であれば一部使用してもよい。
前記アルキド樹脂の油長としては、特に制限はないが、色剤分散能が大きいという点から、60〜90が好ましい。
前記アルキド樹脂のヨウ素価としては、特に制限はないが、前記油長の場合と同様に、色剤分散能が大きいという点から、80以下が好ましい。
前記アルキド樹脂の質量平均分子量としては、特に制限はないが、前記油長及びヨウ素価の場合と同様に、色剤分散能が大きいという点から、10,000以下が好ましい。このようなアルキド樹脂は、常温流動性に富んでおり、その性状は油溶剤成分といえる。
また、前記アルキド樹脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油等のヨウ素が80以下の不乾性油又は半乾性油及びこれらの脂肪酸が挙げられる。また、大豆油、アマニ油、キリ油等の乾性油もアルキド樹脂のヨウ素価が80以下の範疇であれば一部使用してもよい。
前記アルキド樹脂を構成する前記多塩基酸としては、例えば、飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸などが挙げられる。前記飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸などが挙げられる。前記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
前記アルキド樹脂を構成する前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビットなどが挙げられる。
前記アルキド樹脂を構成する前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビットなどが挙げられる。
−油乃至溶剤−
前記油乃至溶剤(油溶剤)の溶解度パラメーターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができるが、例えば、前記油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.5以上が好ましく、0.6〜1.6がより好ましい。
前記油乃至溶剤(油溶剤)の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.5未満であると、前記油性樹脂と前記油溶剤の親和性が高いために前記油性樹脂からの前記油溶剤の分離が妨げられ、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがある。
前記油乃至溶剤(油溶剤)の溶解度パラメーターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができるが、例えば、前記油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.5以上が好ましく、0.6〜1.6がより好ましい。
前記油乃至溶剤(油溶剤)の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.5未満であると、前記油性樹脂と前記油溶剤の親和性が高いために前記油性樹脂からの前記油溶剤の分離が妨げられ、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがある。
前記油相における前記油溶剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができるが、例えば、25質量%以上が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
前記油相における前記油溶剤の含有量が、25質量%未満であると、前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が0.5を超えていても、前記油性樹脂と前記油溶剤の親和性が高いために前記油性樹脂からの前記油溶剤の分離が妨げられ、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがある。
前記油相における前記油溶剤の含有量が、25質量%未満であると、前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が0.5を超えていても、前記油性樹脂と前記油溶剤の親和性が高いために前記油性樹脂からの前記油溶剤の分離が妨げられ、定着性に劣ることがあり、また、乾燥性にも劣ることがある。
本発明における前記油溶剤としては、上記の通り、前記油性樹脂と溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、0.5以上異なるのであれば、特に制限はなく、任意のものを適宜に使用することができる。また、前記油相中の前記油溶剤の含有量は、25質量%以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記油溶剤の具体例としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物油、鉱物油などが挙げられる。前記油溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記植物油としては、例えば、あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、ヤシ油などが挙げられる。前記鉱物油としては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油などが挙げられ、これらの中でも、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、石油系溶剤が好ましい。
前記ナフテン系オイルの市販品としては、例えば、モービル石油社製:ガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ライト、Cヘビー等;出光興産社製:ダイアナプロセスオイルNP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NM−280、ダイアナフレシアN−28、N−90、N−17.0、U−46、U−56、U−68、U−130、U−170、U−260等;日本サン石油社製:サンセンオイル410,420,47.0,480,3125,4240等が挙げられる。前記パラフィン系オイルの市販品としては、例えば、モービル石油社製:ガーゴオイルアークティック1010、1022、1032、1046、1068、1100、3032、3046、3068等;日本石油社製:日石スパーオイルB、C、D、E等;出光興産社製:ダイアナプロセスオイルPX−32、PX−90、PW−32、PW−90、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430、ダイアナフレシアS−32、S−90、P−32、P−90、P−17.0、P−180、P−430等が挙げられる。前記石油系溶剤の市販品としては、例えば、エクソン化学社製:アイソパーC、E、G、H、L、M、エクソールD30、D40、D80、D110、D130等;日本石油社製:AFソルベント4号、5号、6号、7号等が挙げられる。
前記植物油としては、例えば、あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、ヤシ油などが挙げられる。前記鉱物油としては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油などが挙げられ、これらの中でも、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、石油系溶剤が好ましい。
前記ナフテン系オイルの市販品としては、例えば、モービル石油社製:ガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ライト、Cヘビー等;出光興産社製:ダイアナプロセスオイルNP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NM−280、ダイアナフレシアN−28、N−90、N−17.0、U−46、U−56、U−68、U−130、U−170、U−260等;日本サン石油社製:サンセンオイル410,420,47.0,480,3125,4240等が挙げられる。前記パラフィン系オイルの市販品としては、例えば、モービル石油社製:ガーゴオイルアークティック1010、1022、1032、1046、1068、1100、3032、3046、3068等;日本石油社製:日石スパーオイルB、C、D、E等;出光興産社製:ダイアナプロセスオイルPX−32、PX−90、PW−32、PW−90、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430、ダイアナフレシアS−32、S−90、P−32、P−90、P−17.0、P−180、P−430等が挙げられる。前記石油系溶剤の市販品としては、例えば、エクソン化学社製:アイソパーC、E、G、H、L、M、エクソールD30、D40、D80、D110、D130等;日本石油社製:AFソルベント4号、5号、6号、7号等が挙げられる。
これらの鉱物油としては、製品安全性などを考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用することが好ましい。前記多環芳香族成分としては、例えば、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジンなどが挙げられる。また、前記鉱物油としては、変異原性指数MIが1.0未満、アロマ分(%CA)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全質量基準で前記多環芳香族の含有量が、それぞれ10質量ppm以下であり、かつ合計含有量が、50質量ppm以下であるのが好ましい。
−その他の成分−
−−着色剤−−
色調節のための前記着色剤としては、各種色調の公知の顔料(例えば、不溶性着色剤など)、分散染料などが挙げられる。前記着色剤(染顔料類)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−着色剤−−
色調節のための前記着色剤としては、各種色調の公知の顔料(例えば、不溶性着色剤など)、分散染料などが挙げられる。前記着色剤(染顔料類)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料としては、例えば、カーボンブラック類、金属粉、無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなどが挙げられる。前記金属粉としては、例えば、アルミニウム粉、ブロンズ粉などが挙げられる。前記無機顔料としては、例えば、弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタンなどが挙げられる。前記アゾ系顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などが挙げられる。前記フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。前記縮合多環系顔料としては、例えば、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、前記油相に添加する場合には、特に制限はないが、pH5未満の酸性のカーボンブラック類が好ましい。代表的な前記カーボンブラック類としては、例えば、三菱化学社製のMA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44などが挙げられ、コロンビヤンカーボン社製のRaven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなどが挙げられる。前記金属粉としては、例えば、アルミニウム粉、ブロンズ粉などが挙げられる。前記無機顔料としては、例えば、弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタンなどが挙げられる。前記アゾ系顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などが挙げられる。前記フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。前記縮合多環系顔料としては、例えば、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、前記油相に添加する場合には、特に制限はないが、pH5未満の酸性のカーボンブラック類が好ましい。代表的な前記カーボンブラック類としては、例えば、三菱化学社製のMA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44などが挙げられ、コロンビヤンカーボン社製のRaven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410などが挙げられる。
前記分散染料としては、例えば、有機顔料、油溶性染料、蛍光顔料などが挙げられる。前記有機顔料としては、酸性又は塩基性染料のレーキなどが挙げられる。前記油溶性染料としては、例えば、ジアゾ染料、アントラキノン系染料などが挙げられる。前記蛍光顔料は、染料である前記蛍光顔料を担持する合成樹脂を塊状重合する際又は重合した後に、様々な色相を発色する前記蛍光染料を溶解又は染着し、得られた着色塊状樹脂を粉砕して微細化した、いわゆる、合成樹脂固溶体タイプのものとして使用することができる。前記合成樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
また、前記油相に分散された前記着色剤(不溶性着色剤)の平均粒径としては、特に制限はないが、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
前記着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜に調節して選択することが可能であるが、前記油相において2〜15質量%が好ましい。また、前記着色剤が、相互に性質の近い場合は、2種以上の前記着色剤を同相に添加してもよい。
前記着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜に調節して選択することが可能であるが、前記油相において2〜15質量%が好ましい。また、前記着色剤が、相互に性質の近い場合は、2種以上の前記着色剤を同相に添加してもよい。
−−乳化剤−−
前記乳化剤は、W/Oエマルションを形成する目的で使用される。前記乳化剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられるが、これらの中でも、非イオン界面活性剤が好ましい。前記乳化剤は、W/Oエマルションの保存安定性などを阻害しないのであれば、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記乳化剤の含有量は、前記保存安定性などを阻害しなければ、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、高級アルコールなどが挙げられる。
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレートなどが挙げられる。前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどが挙げられる。前記(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレートなどが挙げられる。前記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記乳化剤は、W/Oエマルションを形成する目的で使用される。前記乳化剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられるが、これらの中でも、非イオン界面活性剤が好ましい。前記乳化剤は、W/Oエマルションの保存安定性などを阻害しないのであれば、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記乳化剤の含有量は、前記保存安定性などを阻害しなければ、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、高級アルコールなどが挙げられる。
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレートなどが挙げられる。前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどが挙げられる。前記(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレートなどが挙げられる。前記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステルなどが挙げられる。
−−着色剤分散剤−−
前記油相に使用する前記着色剤分散剤(以下、「分散剤」と称することがある)としては、エマルションの形成を阻害しないものであれば、特に制限はなく、任意のものを適宜に使用することができ、例えば、前記乳化剤用の非イオン界面活性剤、水溶性ポリマーなどが挙げられる。また、インキの保存安定性を阻害しない範囲のものであれば、任意のものを適宜に使用することができ、例えば、イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記分散剤の含有量は、特に制限はないが、前記着色剤の質量(例えば、2〜15質量%)に対して40質量%以下が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
前記分散剤の具体例としては、例えば、アルキルアミン系ポリマー化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン‐無水マレイン酸系共重合ポリマー化合物、ポリカルボン酸エステル型ポリマー化合物、脂肪族系多価カルボン酸、ポリマーポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドとポリマー酸ポリエステルとの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α‐オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、不溶性着色剤分散能を有する樹脂(例えば、アルキド樹脂等)などが挙げられる。
また、前記不溶性着色剤の分散安定性のために、例えば、前記アルキド樹脂を添加してもよい。この場合の前記アルキド樹脂の含有量は、特に制限はないが、前記不溶性着色剤1質量部に対して0.05質量部以上が好ましい。
前記油相に使用する前記着色剤分散剤(以下、「分散剤」と称することがある)としては、エマルションの形成を阻害しないものであれば、特に制限はなく、任意のものを適宜に使用することができ、例えば、前記乳化剤用の非イオン界面活性剤、水溶性ポリマーなどが挙げられる。また、インキの保存安定性を阻害しない範囲のものであれば、任意のものを適宜に使用することができ、例えば、イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記分散剤の含有量は、特に制限はないが、前記着色剤の質量(例えば、2〜15質量%)に対して40質量%以下が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
前記分散剤の具体例としては、例えば、アルキルアミン系ポリマー化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン‐無水マレイン酸系共重合ポリマー化合物、ポリカルボン酸エステル型ポリマー化合物、脂肪族系多価カルボン酸、ポリマーポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドとポリマー酸ポリエステルとの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α‐オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、不溶性着色剤分散能を有する樹脂(例えば、アルキド樹脂等)などが挙げられる。
また、前記不溶性着色剤の分散安定性のために、例えば、前記アルキド樹脂を添加してもよい。この場合の前記アルキド樹脂の含有量は、特に制限はないが、前記不溶性着色剤1質量部に対して0.05質量部以上が好ましい。
−−ゲル化剤−−
前記ゲル化剤は、前記油相に含まれる前記油性樹脂をゲル化して、インキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割を持つ。
前記ゲル化剤としては、前記油性樹脂と配位結合する化合物が好ましく、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属を含む有機酸塩、金属石鹸オリゴマー、有機キレート化合物などが挙げられる。前記ゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ゲル化剤の含有量は、特に制限はないが、前記油性樹脂の15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
前記有機酸塩としては、例えば、オクチル酸金属塩、ナフテン酸金属塩などが挙げられる。前記金属石鹸オリゴマーとしては、例えば、ステアリン酸塩などが挙げられる。前記有機キレート化合物としては、例えば、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
前記オクチル酸金属塩としては、例えば、オクチル酸アルミニウムなどが挙げられる。前記ナフテン酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸マンガンなどが挙げられる。前記ステアリン酸塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。
前記ゲル化剤は、前記油相に含まれる前記油性樹脂をゲル化して、インキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割を持つ。
前記ゲル化剤としては、前記油性樹脂と配位結合する化合物が好ましく、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属を含む有機酸塩、金属石鹸オリゴマー、有機キレート化合物などが挙げられる。前記ゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ゲル化剤の含有量は、特に制限はないが、前記油性樹脂の15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
前記有機酸塩としては、例えば、オクチル酸金属塩、ナフテン酸金属塩などが挙げられる。前記金属石鹸オリゴマーとしては、例えば、ステアリン酸塩などが挙げられる。前記有機キレート化合物としては、例えば、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
前記オクチル酸金属塩としては、例えば、オクチル酸アルミニウムなどが挙げられる。前記ナフテン酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸マンガンなどが挙げられる。前記ステアリン酸塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。
−−酸化防止剤−−
前記酸化防止剤の添加によって、前記油相中の樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇等を防止することができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。前記酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記酸化防止剤の含有量は、特に制限はないが、前記油性樹脂の2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
前記酸化防止剤の添加によって、前記油相中の樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇等を防止することができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。前記酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記酸化防止剤の含有量は、特に制限はないが、前記油性樹脂の2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
−−体質顔料−−
また、前記W/Oエマルションインキ中には、滲み防止又は粘度調整のために前記体質顔料を添加してもよい。
前記体質顔料としては、例えば、無機微粒子、有機微粒子、これらの共重合体からなる微粒子などが挙げられる。前記体質顔料は、前記油相及び前記水相のいずれか、又は両相に添加してもよい。また、前記体質顔料の含有量は、特に制限はないが、前記W/Oエマルションインキの質量に対して0.1〜7.0質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
前記無機微粒子としては、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。前記有機微粒子としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記体質顔料の市販品としては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジル200、アエロジルR972などが挙げられ、白石工業社製のNEW D ORBENなどが挙げられ、豊順洋行社製のBEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなどが挙げられ、日産ガードラー触媒社製のTIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ‐100等)、OPTIGELなどが挙げられる。
また、前記W/Oエマルションインキ中には、滲み防止又は粘度調整のために前記体質顔料を添加してもよい。
前記体質顔料としては、例えば、無機微粒子、有機微粒子、これらの共重合体からなる微粒子などが挙げられる。前記体質顔料は、前記油相及び前記水相のいずれか、又は両相に添加してもよい。また、前記体質顔料の含有量は、特に制限はないが、前記W/Oエマルションインキの質量に対して0.1〜7.0質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
前記無機微粒子としては、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。前記有機微粒子としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記体質顔料の市販品としては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジル200、アエロジルR972などが挙げられ、白石工業社製のNEW D ORBENなどが挙げられ、豊順洋行社製のBEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなどが挙げられ、日産ガードラー触媒社製のTIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ‐100等)、OPTIGELなどが挙げられる。
−−ワックス−−
さらに、前記W/Oエマルションインキにおいては、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離をよくするため、又は、印刷用紙の卷き上がり防止のために、前記油相に前記ワックスを添加することができる。
前記ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタラインワックス、フィッシャートロプシュワックスなどが挙げられる。前記ワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ワックスの添加量としては、前記油相において1〜5質量%が好ましく、2〜3質量%がより好ましい。
さらに、前記W/Oエマルションインキにおいては、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離をよくするため、又は、印刷用紙の卷き上がり防止のために、前記油相に前記ワックスを添加することができる。
前記ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタラインワックス、フィッシャートロプシュワックスなどが挙げられる。前記ワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ワックスの添加量としては、前記油相において1〜5質量%が好ましく、2〜3質量%がより好ましい。
〔水相〕
前記W/Oエマルションインキにおける前記水相としては、特に制限はなく、通常は、例えば、水、水蒸発防止剤、凍結防止剤、着色剤、着色剤分散剤(不溶性着色剤)、水性樹脂、電解質、防腐・防黴剤などを含有している。
また、前記水相には、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、防錆剤、消泡剤などを添加してもよい。また、前記水溶性ポリマー添加による高粘度化を増進させるため、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。
前記の通り、前記水相には、体質顔料の分散及び固着のために、水性樹脂などを添加してもよい。前記水性樹脂としては、例えば、水溶性ポリマー、O/W樹脂エマルションなどが挙げられる。
前記W/Oエマルションインキにおける前記水相としては、特に制限はなく、通常は、例えば、水、水蒸発防止剤、凍結防止剤、着色剤、着色剤分散剤(不溶性着色剤)、水性樹脂、電解質、防腐・防黴剤などを含有している。
また、前記水相には、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、防錆剤、消泡剤などを添加してもよい。また、前記水溶性ポリマー添加による高粘度化を増進させるため、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。
前記の通り、前記水相には、体質顔料の分散及び固着のために、水性樹脂などを添加してもよい。前記水性樹脂としては、例えば、水溶性ポリマー、O/W樹脂エマルションなどが挙げられる。
−水溶性ポリマー−
前記水溶性ポリマーとしては、例えば、天然ポリマー、半合成ポリマー、中和物、ポリN-アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、これらをアルキル基で部分的に疎水したポリマーなどが挙げられる。前記水溶性ポリマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記水溶性ポリマーの含有量は、前記W/Oエマルションインキに含まれる水の25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
前記天然ポリマーとしては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼインなどが挙げられる。前記半合成ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプンなどが挙げられる。前記中和物としては、例えば、アクリル酸樹脂、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。前記ポリN-アルキル置換アクリルアミドとしては、例えば、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN-アクリロイルピロリジン、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
ここで、上記のアクリルアミド系ポリマー及びアクリル系ポリマーに関しては、置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレンとポリプロピレンとのブロックコポリマー、ポリエチレンとポリブチレンとのブロックコポリマーも挙げられる。
前記水溶性ポリマーとしては、例えば、天然ポリマー、半合成ポリマー、中和物、ポリN-アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、これらをアルキル基で部分的に疎水したポリマーなどが挙げられる。前記水溶性ポリマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記水溶性ポリマーの含有量は、前記W/Oエマルションインキに含まれる水の25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
前記天然ポリマーとしては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼインなどが挙げられる。前記半合成ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプンなどが挙げられる。前記中和物としては、例えば、アクリル酸樹脂、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。前記ポリN-アルキル置換アクリルアミドとしては、例えば、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN-アクリロイルピロリジン、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
ここで、上記のアクリルアミド系ポリマー及びアクリル系ポリマーに関しては、置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレンとポリプロピレンとのブロックコポリマー、ポリエチレンとポリブチレンとのブロックコポリマーも挙げられる。
−O/W樹脂エマルション−
前記O/W樹脂エマルションとしては、特に制限はなく、合成ポリマーでもよいし、天然ポリマーでもよい。前記O/W樹脂エマルションは、目的に応じて、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記O/W樹脂エマルションの分散方法としては、特に制限はなく、例えば、分散剤、保護コロイド、界面活性剤、ソープフリー乳化重合によって合成したものなどを使用して分散させてもよい。前記O/W樹脂エマルションの最低造膜温度は、特に制限はないが、40℃以下が好ましい。
前記合成ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタンなどが挙げられる。前記天然ポリマーとしては、例えば、前記油相に添加できるポリマー(例えば、前記植物油)などが挙げられる。
前記O/W樹脂エマルションとしては、特に制限はなく、合成ポリマーでもよいし、天然ポリマーでもよい。前記O/W樹脂エマルションは、目的に応じて、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記O/W樹脂エマルションの分散方法としては、特に制限はなく、例えば、分散剤、保護コロイド、界面活性剤、ソープフリー乳化重合によって合成したものなどを使用して分散させてもよい。前記O/W樹脂エマルションの最低造膜温度は、特に制限はないが、40℃以下が好ましい。
前記合成ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタンなどが挙げられる。前記天然ポリマーとしては、例えば、前記油相に添加できるポリマー(例えば、前記植物油)などが挙げられる。
−防腐・防黴剤−
前記水相に添加される前記防腐・防黴剤は、エマルションを長期保存するために添加する。また、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加する。
前記防腐・防黴剤としては、例えば、サリチル酸、フェノール類、p‐オキシ安息香酸メチル、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、芳香族ヒドロキシ化合物(p−オキシ安息香酸エチル等)、その塩素化合物などが挙げられる。前記防腐・防黴剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記防腐・防黴剤の含有量は、特に制限はないが、前記インキ中に含まれる水相の3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
前記水相に添加される前記防腐・防黴剤は、エマルションを長期保存するために添加する。また、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加する。
前記防腐・防黴剤としては、例えば、サリチル酸、フェノール類、p‐オキシ安息香酸メチル、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、芳香族ヒドロキシ化合物(p−オキシ安息香酸エチル等)、その塩素化合物などが挙げられる。前記防腐・防黴剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記防腐・防黴剤の含有量は、特に制限はないが、前記インキ中に含まれる水相の3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
−水蒸発防止剤及び凍結防止剤−
また、前記水蒸発防止剤は、水の蒸発防止のための薬品である。前記凍結防止剤は、凍結防止のための薬品である。前記水蒸発防止剤及び凍結防止剤は、兼用可能である。
前記薬品(前記蒸発防止剤及び凍結防止剤)としては、例えば、グリコール、低級飽和一価アルコール、多価アルコールなどが挙げられる。前記薬品は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記薬品の含有量は、特に制限はないが、前記インキに含まれる水相の15質量%以下が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。
前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。前記低級飽和一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノールなどが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
また、前記水蒸発防止剤は、水の蒸発防止のための薬品である。前記凍結防止剤は、凍結防止のための薬品である。前記水蒸発防止剤及び凍結防止剤は、兼用可能である。
前記薬品(前記蒸発防止剤及び凍結防止剤)としては、例えば、グリコール、低級飽和一価アルコール、多価アルコールなどが挙げられる。前記薬品は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記薬品の含有量は、特に制限はないが、前記インキに含まれる水相の15質量%以下が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。
前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。前記低級飽和一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノールなどが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
−pH調整剤−
前記W/Oエマルションインキにおいては、製品安定性のために、前記水相に前記pH調整剤を添加して、前記水相のpHを6〜8に保つことが好ましい。前記水相のpHが、前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性ポリマーが添加されている場合に、その効果が損なわれる等の問題が生じることがある。
前記pH調整剤としては、例えば、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミンなどが挙げられる。
前記W/Oエマルションインキにおいては、製品安定性のために、前記水相に前記pH調整剤を添加して、前記水相のpHを6〜8に保つことが好ましい。前記水相のpHが、前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性ポリマーが添加されている場合に、その効果が損なわれる等の問題が生じることがある。
前記pH調整剤としては、例えば、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミンなどが挙げられる。
−電解質−
前記電解質は、エマルションの保存安定性を高めるために添加されるものであるが、この電解質の投入により影響を受ける材料が水相中に存在しないか注意する必要がある。
前記電解質としては、例えば、陰イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンを含むものなどが挙げられる。
前記陰イオンとしては、例えば、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられる。前記アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びフランシウムイオンが挙げられる。前記アルカリ土類金属イオンとしては、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオン、ベリリウムイオン及びマグネシウムイオンが挙げられる。また、前記アルカリ金属イオンを含むものとしては、例えば、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。前記アルカリ土類金属イオンを含むものとしては、例えば、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。前記電解質の含有量は、特に制限はなく、例えば、前記硫酸マグネシウムの場合、前記水相の0.1〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
前記電解質は、エマルションの保存安定性を高めるために添加されるものであるが、この電解質の投入により影響を受ける材料が水相中に存在しないか注意する必要がある。
前記電解質としては、例えば、陰イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンを含むものなどが挙げられる。
前記陰イオンとしては、例えば、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられる。前記アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びフランシウムイオンが挙げられる。前記アルカリ土類金属イオンとしては、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオン、ベリリウムイオン及びマグネシウムイオンが挙げられる。また、前記アルカリ金属イオンを含むものとしては、例えば、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。前記アルカリ土類金属イオンを含むものとしては、例えば、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。前記電解質の含有量は、特に制限はなく、例えば、前記硫酸マグネシウムの場合、前記水相の0.1〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
−防錆剤−
前記水相に、添加剤として前記防錆剤を添加することで、印刷の際に印刷機がインキによって錆び付くことを防止することができる。前記防錆剤は、孔版印刷用インキに添加されている従来品を、目的に応じて添加することができる。また、その含有量は、従来品の場合と同程度でよい。
前記防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記水相に、添加剤として前記防錆剤を添加することで、印刷の際に印刷機がインキによって錆び付くことを防止することができる。前記防錆剤は、孔版印刷用インキに添加されている従来品を、目的に応じて添加することができる。また、その含有量は、従来品の場合と同程度でよい。
前記防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
−消泡剤−
前記水相に、添加剤として前記消泡剤を添加することで、インキが泡立つことを防止することができる。前記消泡剤は、前記防錆剤と同様に、孔版印刷用インキに添加されている従来品を、目的に応じて添加することができる。また、その含有量は、従来品の場合と同程度でよい。
前記消泡剤としては、例えば、フッ素系消泡剤、シリコ−ン系消泡剤などが挙げられる。
前記水相に、添加剤として前記消泡剤を添加することで、インキが泡立つことを防止することができる。前記消泡剤は、前記防錆剤と同様に、孔版印刷用インキに添加されている従来品を、目的に応じて添加することができる。また、その含有量は、従来品の場合と同程度でよい。
前記消泡剤としては、例えば、フッ素系消泡剤、シリコ−ン系消泡剤などが挙げられる。
〔W/Oエマルションインキの調製〕
本発明のW/Oエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相を調製し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。即ち、前記着色剤、前記乳化剤及び目的に応じて添加される各樹脂等の添加物を十分に分散させた油相を調製し、これに前記着色剤、前記防腐・防黴剤、前記水溶性ポリマーなどが、目的に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すればよい。
なお、上記に例示した以外の構成成分としては、エマルションの形成を阻害しない公知のものを適宜に含有してもよい。
本発明のW/Oエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相を調製し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。即ち、前記着色剤、前記乳化剤及び目的に応じて添加される各樹脂等の添加物を十分に分散させた油相を調製し、これに前記着色剤、前記防腐・防黴剤、前記水溶性ポリマーなどが、目的に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すればよい。
なお、上記に例示した以外の構成成分としては、エマルションの形成を阻害しない公知のものを適宜に含有してもよい。
〔インキ粘度〕
また、前記W/Oエマルションインキの粘度は、インキ製造時の攪拌条件によっても調節可能であり、システムにあった粘度であればよく、特に制限はないが、ずり速度20s−1の時の粘度が、10〜40Pa・sが好ましく、15〜25Pa・sがより好ましい。
また、前記W/Oエマルションインキの粘度は、インキ製造時の攪拌条件によっても調節可能であり、システムにあった粘度であればよく、特に制限はないが、ずり速度20s−1の時の粘度が、10〜40Pa・sが好ましく、15〜25Pa・sがより好ましい。
以上の通り、本発明のW/Oエマルションインキは、低インキ浸透性記録媒体、及びその他各種の記録媒体に対して定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れた孔版印刷用のW/Oエマルションインキである。したがって、本発明のW/Oエマルションインキを用いることで、前記低インキ浸透性記録媒体をはじめとする各種の記録媒体、例えば、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、上質紙、色上質紙、中質紙、再生紙等の紙類などに対して定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れた孔版印刷(インキ印刷)を行うことができる。
(孔版印刷方法及び孔版印刷装置)
〔W/Oエマルションインキの印刷工程〕
本発明の孔版印刷方法は、上記の本発明のW/Oエマルションインキを用いて、これを上記の通りの各種記録媒体に印刷する印刷工程を少なくとも含み、また、目的に応じて、乾燥工程などの各種工程をさらに含む。
本発明の孔版印刷装置(例えば、輪転孔版印刷装置など)は、上記の本発明のW/Oエマルションインキを用い、これを各種記録媒体に印刷する印刷手段を少なくとも有してなり、目的に応じて、ローラーなどによる搬送手段、乾燥手段などの各種手段をさらに有してなる。本発明の孔版印刷装置は、上記の孔版印刷方法を好適に実施することができる。
なお、本発明の孔版印刷装置は、本発明の孔版印刷方法の説明を通じて明らかにする。
〔W/Oエマルションインキの印刷工程〕
本発明の孔版印刷方法は、上記の本発明のW/Oエマルションインキを用いて、これを上記の通りの各種記録媒体に印刷する印刷工程を少なくとも含み、また、目的に応じて、乾燥工程などの各種工程をさらに含む。
本発明の孔版印刷装置(例えば、輪転孔版印刷装置など)は、上記の本発明のW/Oエマルションインキを用い、これを各種記録媒体に印刷する印刷手段を少なくとも有してなり、目的に応じて、ローラーなどによる搬送手段、乾燥手段などの各種手段をさらに有してなる。本発明の孔版印刷装置は、上記の孔版印刷方法を好適に実施することができる。
なお、本発明の孔版印刷装置は、本発明の孔版印刷方法の説明を通じて明らかにする。
〔定着液の塗布工程〕
前記孔版印刷方法においては、前記印刷工程後の前記W/Oエマルションインキが印刷された記録媒体(以下、前記W/Oエマルションインキが印刷された記録媒体を「印刷物」と称することがある)の表面に対して、定着液をさらに塗布する工程を含んでもよく、目的に応じて、乾燥工程などの各種工程をさらに含んでいてもよい。
前記孔版印刷装置においては、前記印刷物の表面に対して、定着液をさらに塗布する手段を含んでもよい。本発明の孔版印刷装置は、上記の孔版印刷方法における定着液の塗布を好適に実施することができる。
前記印刷物の表面に前記定着液を塗布する工程は、前記塗布手段により行なうことができる。前記塗布手段としては、例えば、ローラー法、グラビア印刷法、スプレー法などを適宜に使用することができる。
前記孔版印刷方法においては、前記印刷工程後の前記W/Oエマルションインキが印刷された記録媒体(以下、前記W/Oエマルションインキが印刷された記録媒体を「印刷物」と称することがある)の表面に対して、定着液をさらに塗布する工程を含んでもよく、目的に応じて、乾燥工程などの各種工程をさらに含んでいてもよい。
前記孔版印刷装置においては、前記印刷物の表面に対して、定着液をさらに塗布する手段を含んでもよい。本発明の孔版印刷装置は、上記の孔版印刷方法における定着液の塗布を好適に実施することができる。
前記印刷物の表面に前記定着液を塗布する工程は、前記塗布手段により行なうことができる。前記塗布手段としては、例えば、ローラー法、グラビア印刷法、スプレー法などを適宜に使用することができる。
−定着液−
前記定着液としては、例えば、前記定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、1.0以上が好ましく、3.0〜5.5がより好ましい。
前記定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油相中の油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、1.0未満であると、前記定着液と前記油性樹脂の親和性が高いために、前記油性樹脂からの前記油乃至溶剤の分離が妨げられ、乾燥性に劣ることがあり、また、定着性に劣ることがある。さらには、前記W/Oエマルションインキの定着性や乾燥性(乾燥速度)に悪影響を与えることがある。
前記定着液としては、例えば、前記定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、1.0以上が好ましく、3.0〜5.5がより好ましい。
前記定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油相中の油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、1.0未満であると、前記定着液と前記油性樹脂の親和性が高いために、前記油性樹脂からの前記油乃至溶剤の分離が妨げられ、乾燥性に劣ることがあり、また、定着性に劣ることがある。さらには、前記W/Oエマルションインキの定着性や乾燥性(乾燥速度)に悪影響を与えることがある。
また、前記定着液としては、前記油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、7.0以内が好ましく、3.5〜6.0がより好ましい。
前記定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、7.0を超えると、前記定着液と前記油乃至溶剤の親和性が低いために、前記定着液が前記溶剤乃至油と溶解相溶せず、即ち、前記油乃至溶剤の低粘度化、又は、前記油性樹脂との分離を促進せず、乾燥性に劣ることがあり、また、定着性に劣ることがある。さらには、前記W/Oエマルションインキの定着性や乾燥性(乾燥速度)に悪影響を与えることがある。
前記定着液の溶解度パラメーター(SP値、δ)と前記油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が、7.0を超えると、前記定着液と前記油乃至溶剤の親和性が低いために、前記定着液が前記溶剤乃至油と溶解相溶せず、即ち、前記油乃至溶剤の低粘度化、又は、前記油性樹脂との分離を促進せず、乾燥性に劣ることがあり、また、定着性に劣ることがある。さらには、前記W/Oエマルションインキの定着性や乾燥性(乾燥速度)に悪影響を与えることがある。
さらに、前記定着液としては、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低いことが好ましい。前記定着液の粘度については、前記油相中の油乃至溶剤の粘度よりも低ければ、特に制限はなく、使用する前記油相中の油乃至溶剤の粘度を考慮して、前記油相中の油乃至溶剤の粘度よりも低い粘度の定着液を、目的に応じて、適宜に選択することができる。
前記定着液の粘度が、前記油相中の油乃至溶剤に比して高い場合、前記油乃至溶剤への前記定着液の相溶による低粘度化が発現せず、即ち、前記油乃至溶剤の油性樹脂からの分離が促進されず、乾燥性に劣る結果となり、また、定着性に劣ることがある。さらに、前記W/Oエマルションインキの定着性や乾燥性(乾燥速度)に悪影響を与えることがある。
上記の通り、前記定着液をさらに塗布することで、インキの定着性、乾燥性(乾燥速度)が、さらに優れた孔版印刷(インキ印刷)を行うことができる。
前記定着液の粘度が、前記油相中の油乃至溶剤に比して高い場合、前記油乃至溶剤への前記定着液の相溶による低粘度化が発現せず、即ち、前記油乃至溶剤の油性樹脂からの分離が促進されず、乾燥性に劣る結果となり、また、定着性に劣ることがある。さらに、前記W/Oエマルションインキの定着性や乾燥性(乾燥速度)に悪影響を与えることがある。
上記の通り、前記定着液をさらに塗布することで、インキの定着性、乾燥性(乾燥速度)が、さらに優れた孔版印刷(インキ印刷)を行うことができる。
前記定着液の具体例としては、特に制限はなく、任意のものを適宜に選択することができ、例えば、水溶性有機溶剤の類であるグリコール類、低級飽和一価アルコール類、多価アルコール類などが挙げられる。前記定着液は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記定着液に、目的に応じて、界面活性剤、樹脂成分、体質顔料などを加えてもよい。
前記グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。前記低級飽和一価アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノールなどが挙げられる。前記多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
前記グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。前記低級飽和一価アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノールなどが挙げられる。前記多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
上記の通り、前記W/Oエマルションインキが、前記油相中に定着成分として、質量平均分子量(ポリスチレン換算)20,000〜150,000の前記油性樹脂を25〜65質量%含有し、かつ、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤を25質量%以上含有する場合、前記W/Oエマルションインキが、低インキ浸透性記録媒体に接触転移すると、前記W/Oエマルションインキ中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)は、前記油性樹脂と0.5以上異なるため、速やかに前記油性樹脂と分離されて低インキ浸透性記録媒体に吸収される。これは、低インキ浸透性記録媒体上に高濃度の油性樹脂層が形成されることを意味し、この結果、低インキ浸透性記録媒体などの記録媒体への定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れるという効果が発現する。
また、前記定着液を塗布することで、定着性、乾燥性(乾燥速度)がさらに向上し、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れによってインキが脱落しにくくなり、別の印刷物に裏移りする問題も減少、解消することができる。
また、前記定着液を塗布することで、定着性、乾燥性(乾燥速度)がさらに向上し、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れによってインキが脱落しにくくなり、別の印刷物に裏移りする問題も減少、解消することができる。
−記録媒体−
前記記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、上質紙、色上質紙、中質紙、再生紙等の紙類が挙げられる。また、インキの浸透性に劣る低インキ浸透性記録媒体であってもよい。即ち、前記孔版印刷方法及び前記孔版印刷装置は、前記低インキ浸透性記録媒体であっても、定着性及び乾燥性よく印刷することができる。また、上記の通り、前記定着液をさらに塗布することで、定着性及び乾燥性がさらに向上する。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、上質紙、色上質紙、中質紙、再生紙等の紙類が挙げられる。また、インキの浸透性に劣る低インキ浸透性記録媒体であってもよい。即ち、前記孔版印刷方法及び前記孔版印刷装置は、前記低インキ浸透性記録媒体であっても、定着性及び乾燥性よく印刷することができる。また、上記の通り、前記定着液をさらに塗布することで、定着性及び乾燥性がさらに向上する。
したがって、前記孔版印刷方法によって、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れなどによるインキの脱落の問題、印刷直後の積み重ねによって未乾燥のインキが別の印刷物の裏面に移行(裏移り)するなどの問題が減少、解消した印刷物、即ち、前記W/Oエマルションインキが印刷された記録媒体を簡単に得ることができる。
以上の通りの前記孔版印刷方法は、前記孔版印刷装置によって、好適に行うことができる。したがって、前記孔版印刷装置は、上記の通りの各種の記録媒体に対して、定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れた孔版印刷(インキ印刷)を容易に行うことができる。また、前記定着液をさらに塗布することで、定着性、乾燥性(乾燥速度)がさらに向上し、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れによってインキが脱落しにくくなり、別の印刷物に裏移りする問題も減少、解消することができる。
図1は、本発明の孔版印刷装置の一実施形態を模式的に例示した側断面図である。
この図1に例示した孔版印刷装置1では、手差しトレイ2に収納されている記録媒体である印刷用紙3は、ローラー、無端ベルトなどからなる印刷用紙搬送ユニット4によって、矢印Aに示した方向に沿って排出トレイ5へと搬送される。この搬送過程において、W/Oエマルションインキ6が、W/Oエマルションインキ塗布ローラー7(前記印刷手段に相当)によって印刷用紙3に塗布される。次いで、定着液8が、定着液塗布ローラー9(前記塗布手段に相当)によってさらに塗布される。これによって、印刷用紙3に、定着性及び乾燥性(乾燥速度)ともに良好に、孔版印刷(インキ印刷)することができる。
この図1に例示した孔版印刷装置1では、手差しトレイ2に収納されている記録媒体である印刷用紙3は、ローラー、無端ベルトなどからなる印刷用紙搬送ユニット4によって、矢印Aに示した方向に沿って排出トレイ5へと搬送される。この搬送過程において、W/Oエマルションインキ6が、W/Oエマルションインキ塗布ローラー7(前記印刷手段に相当)によって印刷用紙3に塗布される。次いで、定着液8が、定着液塗布ローラー9(前記塗布手段に相当)によってさらに塗布される。これによって、印刷用紙3に、定着性及び乾燥性(乾燥速度)ともに良好に、孔版印刷(インキ印刷)することができる。
なお、本発明において、各成分の溶解性パラメーター(SP値、δ)は、例えば、溶解法、即ち、各成分を溶解する溶媒のSP値から推定する方法(例えば、H.Burrell,OfficialDigest,27(369),726(1950)参照)によって求めることができる。溶解性パラメーター(SP値、δ)は、分子の凝集力をもとに決められた因子であり、一般的にSP値が近い樹脂と溶媒とは溶解しやすく、樹脂同士では相溶しやすい。
次に、本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に記す「%」は、特段の説明がない限り、質量基準(質量%、mass%)である。
(実施例1〜10、比較例1〜6、参考例1〜3)
<製法・処方>
各実施例、比較例、参考例について、各インキは各表の組成に従って、以下のように調製した。
油溶性樹脂(樹脂)と油溶剤成分(溶剤)とを、秤量、攪拌装置、温度計、及び冷却管のついた4つ口フラスコに投入、180℃で20分間加熱攪拌し、ワニスを作製した。次いで、このワニスと着色剤、着色剤分散剤を秤量混合3本ロールで練肉、色剤分散体を作製した。次いで、この色剤分散体と乳化剤、追加油溶剤成分を秤量混合、油相を作製した。次いで、この油相に水、凍結防止剤、抗菌剤、電解質、水溶性樹脂などからなる水相を秤量混合乳化することにより、本発明の孔版印刷機用のW/Oエマルションインキとした。また、目的に応じて、体質顔料などの他の成分を加えた。
<製法・処方>
各実施例、比較例、参考例について、各インキは各表の組成に従って、以下のように調製した。
油溶性樹脂(樹脂)と油溶剤成分(溶剤)とを、秤量、攪拌装置、温度計、及び冷却管のついた4つ口フラスコに投入、180℃で20分間加熱攪拌し、ワニスを作製した。次いで、このワニスと着色剤、着色剤分散剤を秤量混合3本ロールで練肉、色剤分散体を作製した。次いで、この色剤分散体と乳化剤、追加油溶剤成分を秤量混合、油相を作製した。次いで、この油相に水、凍結防止剤、抗菌剤、電解質、水溶性樹脂などからなる水相を秤量混合乳化することにより、本発明の孔版印刷機用のW/Oエマルションインキとした。また、目的に応じて、体質顔料などの他の成分を加えた。
なお、定着液の塗布処理を行った場合については、実施例8〜10及び参考例1〜3に示した。各例で使用する定着液は、各表に示す各種溶剤を適宜秤量混合することによって得た。前記定着液の塗布処理は、図1の例のように孔版印刷装置1内に定着液塗布ローラー7を組み込み実施した。
<評価方法>
また、各インキを用いた定着性、及び乾燥性の評価は、以下のようにして行った。
1)定着性の評価方法
市販の孔版印刷機(株式会社リコー製、Satelio A67.0)で十分印刷を行って、インキを印刷機内に行き渡らせ、ベタ画像を形成、当該印刷サンプルを24時間放置した。その後、印刷サンプルのベタ部をクロックメータ(東洋精機製作所製)で摩擦、摩擦部と非摩擦部の画像濃度を反射分光濃度計(エックスライト社製/エックスライト939)を用いて測定し、摩擦部画像濃度と非摩擦部画像濃度の差が小さい、即ち、定着性に優れるものから5段階にランク分けした。即ち、最も定着性に優れたものを「5」と評価し、最も定着性に劣ったものを「1」と評価した。使用した印刷試験用紙は、Type6200(株式会社リコー製)であった。評価環境は、温度23±0.5℃、湿度55±5%RHであった。
また、各インキを用いた定着性、及び乾燥性の評価は、以下のようにして行った。
1)定着性の評価方法
市販の孔版印刷機(株式会社リコー製、Satelio A67.0)で十分印刷を行って、インキを印刷機内に行き渡らせ、ベタ画像を形成、当該印刷サンプルを24時間放置した。その後、印刷サンプルのベタ部をクロックメータ(東洋精機製作所製)で摩擦、摩擦部と非摩擦部の画像濃度を反射分光濃度計(エックスライト社製/エックスライト939)を用いて測定し、摩擦部画像濃度と非摩擦部画像濃度の差が小さい、即ち、定着性に優れるものから5段階にランク分けした。即ち、最も定着性に優れたものを「5」と評価し、最も定着性に劣ったものを「1」と評価した。使用した印刷試験用紙は、Type6200(株式会社リコー製)であった。評価環境は、温度23±0.5℃、湿度55±5%RHであった。
2)乾燥性(=乾燥速度)の評価方法
市販のリコー製孔版印刷機(Satelio A67.0)で十分印刷を行ってインキを印刷機内にいきわたらせ、ベタ画像を形成、当該印刷サンプルを10秒間放置する。その後、印刷サンプルのベタ部をクロックメータ(東洋精機製作所製)で摩擦、摩擦部と非摩擦部の画像濃度を反射分光濃度計(エックスライト社製/エックスライト939)を用いて測定し、摩擦部画像濃度と非摩擦部画像濃度の差が小さい、即ち、乾燥性に優れるものから5段階にランク分けし、乾燥性の評価とした。即ち、最も乾燥性に優れたものが「5」であり、最も乾燥性に劣ったものが「1」である。用いた印刷試験用紙は、Type6200(株式会社リコー製)であった。評価環境は、温度23±0.5℃、湿度55±5%RHであった。
市販のリコー製孔版印刷機(Satelio A67.0)で十分印刷を行ってインキを印刷機内にいきわたらせ、ベタ画像を形成、当該印刷サンプルを10秒間放置する。その後、印刷サンプルのベタ部をクロックメータ(東洋精機製作所製)で摩擦、摩擦部と非摩擦部の画像濃度を反射分光濃度計(エックスライト社製/エックスライト939)を用いて測定し、摩擦部画像濃度と非摩擦部画像濃度の差が小さい、即ち、乾燥性に優れるものから5段階にランク分けし、乾燥性の評価とした。即ち、最も乾燥性に優れたものが「5」であり、最も乾燥性に劣ったものが「1」である。用いた印刷試験用紙は、Type6200(株式会社リコー製)であった。評価環境は、温度23±0.5℃、湿度55±5%RHであった。
なお、後述する各例において表中で使用される略号の説明を、表1に示した。また、後述する各例に使用される成分の物性を表2に示した。また、各成分のSP値は各メーカーのカタログ、文献等の値をそのまま使用し、分子量及び粘度の値についても、各メーカーのカタログ、文献等の値を使用した。なお、後述する各例において、各成分の溶解性パラメーター(SP値、δ;分子の凝集力をもとに決められた因子であり、一般的にSP値が近い樹脂と溶媒とは溶解しやすく、樹脂同士では相溶しやすい)は、溶解法、即ち、樹脂を溶解する溶媒のSP値から推定する方法(例えば、H.Burrell,OfficialDigest,27(369),726(1950)参照)によって求めた。
1.実施例1〜3と、比較例1〜2
実施例1〜3、比較例1〜2では、W/Oエマルションインキに含有する油性樹脂分子量の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表3及び表4に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
実施例1〜3、比較例1〜2では、W/Oエマルションインキに含有する油性樹脂分子量の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表3及び表4に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
結果は、表4に示した通りであった。実施例1〜3はいずれも、比較例1及び2よりも、定着性及び乾燥性に優れていた。特に実施例2においては、その効果は顕著であった。
2.実施例2、4及び5と、比較例3及び4
実施例2、4及び5、比較例3及び4では、前記W/Oエマルションインキに含有する油性樹脂量の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表5及び表6に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
実施例2、4及び5、比較例3及び4では、前記W/Oエマルションインキに含有する油性樹脂量の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表5及び表6に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
結果は、表6に示した通りであった。実施例2、4及び5はいずれも、比較例3及び4よりも、定着性に優れていた。特に実施例2においては、その効果は顕著であり、定着性だけでなく、乾燥性にも優れていた。
3.実施例2及び6と、比較例5
実施例2及び6、比較例5では、前記W/Oエマルションインキに含有する溶剤と樹脂とのSP値差の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表7及び表8に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
実施例2及び6、比較例5では、前記W/Oエマルションインキに含有する溶剤と樹脂とのSP値差の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表7及び表8に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
結果は、表8に示した通りであった。実施例2及び6はいずれも、比較例5よりも、定着性に優れていた。特に実施例2においては、その効果は顕著であり、定着性だけでなく、乾燥性にも優れていた。
4.実施例2及び7と、比較例6
実施例2及び7、比較例6では、W/Oエマルションインキに含有する定着能保有溶剤量の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表9及び表10に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
実施例2及び7、比較例6では、W/Oエマルションインキに含有する定着能保有溶剤量の変更における評価を行った。各処方及び実施条件は、表9及び表10に示した。なお、ここでは定着液処理は行っていない。
結果は、表10に示した通りであった。実施例2及び7はいずれも、比較例6よりも、定着性に優れていた。特に実施例2においては、その効果は顕著であり、定着性だけでなく、乾燥性にも優れていた。
5.実施例8〜10及び参考例1〜2
実施例8〜10及び参考例1〜2では、前記インキ印刷後に定着液の塗布処理を行った場合の評価を行った。評価方法としては、定着液溶剤−インキ樹脂(油性樹脂)、及び定着液溶剤−溶剤(油溶剤)それぞれのSP値差の変更による評価を行った。各処方及び実施条件は、表11及び表12に示した。なお、実施例8〜10及び参考例1〜2は、前記インキを印刷した印刷物に、さらに塗布する定着液の評価を行ったものであるので、「インキ処方に関わる項目」は、実施例2と同じものを用い、前記定着液の粘度については、前記油相中の油乃至溶剤より低い条件で統一した。また、表11では、前記SP値差は、「定着液溶剤−(インキ樹脂/溶剤)」で示し、「/」の左側が、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差、「/」の右側が、定着液溶剤−溶剤のSP値差である。
実施例8〜10及び参考例1〜2では、前記インキ印刷後に定着液の塗布処理を行った場合の評価を行った。評価方法としては、定着液溶剤−インキ樹脂(油性樹脂)、及び定着液溶剤−溶剤(油溶剤)それぞれのSP値差の変更による評価を行った。各処方及び実施条件は、表11及び表12に示した。なお、実施例8〜10及び参考例1〜2は、前記インキを印刷した印刷物に、さらに塗布する定着液の評価を行ったものであるので、「インキ処方に関わる項目」は、実施例2と同じものを用い、前記定着液の粘度については、前記油相中の油乃至溶剤より低い条件で統一した。また、表11では、前記SP値差は、「定着液溶剤−(インキ樹脂/溶剤)」で示し、「/」の左側が、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差、「/」の右側が、定着液溶剤−溶剤のSP値差である。
表11に示した通り、実施例8〜10では、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差は、1.0以上であり、かつ、定着液溶剤−溶剤のSP値差は、7.0以内であった。一方、参考例1では、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差は、1.0以上であったが、定着液溶剤−溶剤のSP値差は、7.0を越えており、参考例2では、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差は、1.0未満であった。
結果は、表12に示した通りであった。実施例8〜10はいずれも、参考例1〜2よりも、定着性及び乾燥性に優れていた。特に、実施例9においては、その効果は顕著であった。
結果は、表12に示した通りであった。実施例8〜10はいずれも、参考例1〜2よりも、定着性及び乾燥性に優れていた。特に、実施例9においては、その効果は顕著であった。
6.実施例8と、参考例3
実施例8、参考例3では、インキ印刷後に定着液の塗布処理を行った場合の評価を行った。評価方法としては、定着液の溶剤粘度の変更による評価を行った。各処方及び実施条件は、表13及び表14に示した。なお、実施例8及び参考例3は、前記インキを印刷した印刷物に、さらに塗布する定着液の評価を行ったものであるので、「インキ処方に関わる項目」は、実施例2と同じものを用い、前記定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差は1.0以上に、前記定着液溶剤−溶剤のSP値差は、7.0以内に設定した。また、表13では、前記SP値差は、「定着液溶剤−(インキ樹脂/溶剤)」で示し、「/」の左側が、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差、「/」の右側が、定着液溶剤−溶剤のSP値差である。
実施例8、参考例3では、インキ印刷後に定着液の塗布処理を行った場合の評価を行った。評価方法としては、定着液の溶剤粘度の変更による評価を行った。各処方及び実施条件は、表13及び表14に示した。なお、実施例8及び参考例3は、前記インキを印刷した印刷物に、さらに塗布する定着液の評価を行ったものであるので、「インキ処方に関わる項目」は、実施例2と同じものを用い、前記定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差は1.0以上に、前記定着液溶剤−溶剤のSP値差は、7.0以内に設定した。また、表13では、前記SP値差は、「定着液溶剤−(インキ樹脂/溶剤)」で示し、「/」の左側が、定着液溶剤−インキ樹脂のSP値差、「/」の右側が、定着液溶剤−溶剤のSP値差である。
表13に示した通り、実施例8の定着液(MA)の粘度は、0.59であり、前記油相中の油溶剤(AF5、粘度:4.2)の粘度よりも低かった。一方、参考例9の定着液(EG)の粘度は、25.70であり、前記油相中の油溶剤(AF5、粘度:4.2)の粘度よりも高かった。即ち、実施例8では、油相中の油溶剤の粘度>定着液の粘度、という関係が成立している。
結果は、次の表14に示した通りであった。前記油溶剤である前記AF5よりも粘度が低い実施例8は、前記AF5よりも粘度が高い比較例9よりも、定着性及び乾燥性に優れていた。
結果は、次の表14に示した通りであった。前記油溶剤である前記AF5よりも粘度が低い実施例8は、前記AF5よりも粘度が高い比較例9よりも、定着性及び乾燥性に優れていた。
以上のように、本発明のW/Oエマルションインキによって、低インキ浸透性記録媒体であっても、優れた定着性及び乾燥性を実現できる印刷が可能となる。
具体的には、実施例1〜7と比較例1〜6の結果から、本発明のW/Oエマルションインキを構成する前記油相中に、前記定着成分として、質量平均分子量(ポリスチレン換算)20,000〜150,000の油性樹脂を25〜65質量%含み、かつ、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤を25質量%以上含んでいることによって、前記低インキ浸透性記録媒体などの各種記録媒体に対して優れた定着性、乾燥性(乾燥速度)の効果が明らかになった。
また、実施例8〜10と参考例1〜3の結果から、前記油相中の油性樹脂に対して溶解度パラメーター(SP値、δ)が1.0以上異なり、前記油相中の油乃至溶剤に対して、溶解度パラメーター(SP値、δ)の差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤に対して粘度の低い定着液を、前記W/Oエマルションインキを印刷した記録媒体の表面(即ち、前記印刷物の表面)に塗布することによって、前記低インキ浸透性記録媒体などの各種記録媒体に対して優れた定着性、乾燥性(乾燥速度)の効果が明らかになった。
本発明は、低インキ浸透性記録媒体であっても定着性、乾燥性(乾燥速度)に優れた、W/Oエマルションインキであるため、インキの定着性及び乾燥性(乾燥速度)が良好な印刷物の印刷に好適に使用される。
また、本発明の孔版印刷方法及び孔版印刷装置は、低インキ浸透性記録媒体への孔版印刷(インキ印刷)であっても、定着性に優れ、また、乾燥性(乾燥速度)にも優れていることから、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れによってインキが脱落しにくく、また、印刷直後の積み重ねによって未乾燥のインキが上の別の印刷物の裏面に移行(裏移り)することなどがない印刷物を得るために好適に使用される。
また、本発明の孔版印刷方法及び孔版印刷装置は、低インキ浸透性記録媒体への孔版印刷(インキ印刷)であっても、定着性に優れ、また、乾燥性(乾燥速度)にも優れていることから、印刷後のハンドリングや製本加工時の擦れによってインキが脱落しにくく、また、印刷直後の積み重ねによって未乾燥のインキが上の別の印刷物の裏面に移行(裏移り)することなどがない印刷物を得るために好適に使用される。
1 孔版印刷装置
2 手差しトレイ
3 印刷用紙
4 印刷用紙搬送ユニット
5 排出トレイ
6 W/Oエマルションインキ
7 W/Oエマルションインキ塗布ローラー
8 定着液
9 定着液塗布ローラー
2 手差しトレイ
3 印刷用紙
4 印刷用紙搬送ユニット
5 排出トレイ
6 W/Oエマルションインキ
7 W/Oエマルションインキ塗布ローラー
8 定着液
9 定着液塗布ローラー
Claims (5)
- 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%からなり、前記油相が、定着成分としてポリスチレン換算での質量平均分子量が20,000〜150,000である油性樹脂25〜65質量%と、溶解度パラメーター(SP値、δ)が前記油性樹脂と0.5以上異なる油乃至溶剤25質量%以上とを含有することを特徴とする油中水型エマルションインキ。
- 請求項1に記載の油中水型エマルションインキを用いて記録媒体に印刷することを少なくとも含むことを特徴とする孔版印刷方法。
- 油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が1.0以上であり、油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低い定着液を、印刷がされた記録媒体の表面に対して塗布することを含む請求項2に記載の孔版印刷方法。
- 請求項1に記載の油中水型エマルションインキを用いて記録媒体に印刷する印刷手段を少なくとも有することを特徴とする孔版印刷装置。
- 油性樹脂の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が1.0以上であり、油相中の油乃至溶剤の溶解度パラメーター(SP値、δ)との差が7.0以内であり、かつ、前記油相中の油乃至溶剤よりも粘度が低い定着液を、印刷がされた記録媒体の表面に対して塗布する塗布手段を有する請求項4に記載の孔版印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006055029A JP2007231169A (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | 油中水型エマルションインキ、並びに、これを用いた孔版印刷方法及び孔版印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006055029A JP2007231169A (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | 油中水型エマルションインキ、並びに、これを用いた孔版印刷方法及び孔版印刷装置 |
Publications (1)
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JP2007231169A true JP2007231169A (ja) | 2007-09-13 |
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ID=38552085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006055029A Pending JP2007231169A (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | 油中水型エマルションインキ、並びに、これを用いた孔版印刷方法及び孔版印刷装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007231169A (ja) |
-
2006
- 2006-03-01 JP JP2006055029A patent/JP2007231169A/ja active Pending
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