JP2007226932A - ディスク製造方法、ディスク記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーベル印刷面を梨地状としたディスク基板を生成する基板生成工程と、上記情報読出面側に層形成を行う層形成工程と、上記層形成工程を経たディスク基板を複数枚積み重ねて保管する保管工程とを備える。レーベル印刷面2が梨地状とされていることで、保管工程において多数のディスク基板が積み重ねられて保管されても、上下に重ねられたディスク基板同志が張り付いてしまうことはなく、このため次の工程で1枚づつディスク基板を容易に取り出すことができるようにする。
【選択図】図3
Description
例えば図12のように保管軸31を備えた基板搬送台30を使用し、製造途中のディスク基板1のセンターホールを保管軸31に通していくことで、多数のディスク基板1を積み重ねた状態で保管し、次工程に搬送する。
図13に製造工程途中のディスク基板101を断面構造で示している。ディスク基板101は例えばポリカーボネート樹脂で形成され、その中心はセンターホール104とされている。ディスク基板101の一方の面はレーベル印刷面102、他方の面が情報読出面103とされる。この図13は、ディスク基板101の情報読出面103側には、情報を記録したピットパターン103aが形成され、そのピットパターン側に反射層、カバー層、ハードコートなどの層構造106が形成されている。
そして、センターホール104の周囲には、プロテクションリング105が形成されている。
このとき、重ねられるディスク基板101どうしは、プロテクションリング105とレーベル印刷面2が接触することになる。即ちプロテクションリング105により、一方のディスク基板101のレーベル印刷面と、重ねられたディスク基板101の情報読出面103が全面において密着しないようにすることで、ディスク基板同志が張り付いてしまうことの防止と、情報読出面103の保護が期待される。
また、レーベル印刷面は、できるだけ広い面積にきれいに印刷することが求められる為、このレーベル印刷面にプロテクションリング等の凸部を形成することはディスクの商品価値を落とすことになり、実施しにくいという事情もある。
またさらに、上記保管工程で複数枚が積み重ねられた各ディスク基板を取り出した後、ディスク基板の上記レーベル印刷面側に印刷を行う印刷工程とを備える。
また上記基板生成工程において生成されるディスク基板のレーベル印刷面側の梨地の最大粗さは0.5μmから5μmの範囲内であるとする。
また上記基板生成工程では、ディスク基板のレーベル面側に対応する内面が梨地状の面とされた金型を用いてディスク基板を生成する。
この場合、上記金型の上記梨地状の面は、ブラスター加工により略球体物を衝突させて形成された面であるとする。
また上記層形成工程では、さらに、梨地状とされた上記レーベル印刷面に防湿膜を形成する。
また上記ディスク基板のレーベル印刷面側は、略球体衝突形状による梨地状の面とされている。
また梨地状の上記ディスク基板のレーベル印刷面側には防湿膜が形成されている。
また上記ディスク基板のレーベル印刷面側の梨地の最大粗さは0.5μmから5μmの範囲内である。
なお「梨地」とはJIS(Japan Industrial Standard)における定義(「梨地仕上げ」)のように、表面に機械的又は科学的処理によって微細な凹凸を均一に形成させた状態をいう。
梨地の最大粗さは0.5μm〜5μmとするが、0.5μmは、張り付き防止効果を得るための最低限の粗さであり、また、5μmは、印刷工程を経た後のレーベル面の美観を維持する最大限の粗さである。
またディスク基板における梨地を、ブラスター加工により略球体物を衝突させて形成された梨地面を備えた金型で製造することで、略球体衝突形状による梨地状の面とすると、防湿膜を形成した場合の適切な防湿効果が発揮できる。
また梨地状とされているレーベル印刷面側には、印刷工程において、例えばホワイトコートで梨地面を平坦化し、印刷を行うことで、通常の平坦面状のレーベル印刷面の場合と同様の美観を維持でき、商品価値を維持できる。
実施の形態のディスク製造方法は、ステップF101の基板成形工程、ステップF102の反射膜形成工程、ステップF103のカバー層形成工程、ステップF104のハードコート工程、ステップF105の検査工程、ステップF106の保管工程、ステップF107のレーベル印刷工程を有する。
ディスク基板成形は、ポリカーボネート樹脂の射出成形で行う。図2(a)はディスク基板を成形する金型を概略的に示している。この金型は、下キャビティ20と上キャビティ22から成り、下キャビティ20には、情報ピットを転写するためのスタンパ21が配置される。スタンパ21には、情報ピットの凹凸パターン25や、ディスクの内周側となるリング状の領域としてプロテクションリングを形成するためのリング状凹部24が形成されている。
なお、再生専用ディスクの製造工程では、エンボスピットとして情報ピットの凹凸パターン25を形成したスタンパ21が配置されるが、記録可能型ディスク(例えばライトワンスディスクやリライタブルディスク)の製造工程では、記録トラックとなるグルーブ(ウォブリンググルーブ)を形成するための凹凸パターンが形成されたスタンパが配置されることになる。
この梨地面23は、エッチングや、或いはアルミナ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ等を衝突させるブラスター法などより形成することができる。
梨地面23の梨地は、図2(b)に示すように、その凹凸の最も高低差のある部分のサイズとしての最大粗さは、例えば0.5μm〜5μmの範囲とする。実際には2〜3μmとすることが実施上、好適である。
即ちポリカーボネート樹脂によるディスク基板1は、その中心はセンターホール4とされるとともに、情報読出面3側は、金型内のスタンパ21に形成された凹凸が転写された情報ピット3aのパターンとなる。なお、情報ピットではなく、グルーブ(連続溝)が形成される場合もある。また内周側のセンターホール4の周囲にはプロテクションリング5としてのリング状の凸部が形成される。
またディスク基板1のレーベル印刷面2側は、その全面が金型の梨地面23が転写された梨地面11となる。即ちレーベル印刷面2は、例えば最大粗さが0.5μm〜5μm(例えば2〜3μm)の梨地面となる。
まずステップF102で、情報ピットパターンが形成された信号読出面3側に例えばAg合金の反射膜7を形成する。
次にステップF103で、ポリカーボネートフィルムの貼付又は紫外線硬化型樹脂によるスピンコートなどの手法でカバー層6を形成する。
そしてステップF104で、信号読出面3側の表面処理としてハードコート層8を形成する。なお、ハードコート層8については形成しない場合もある。
この印刷工程では、いわゆるオフセット印刷として、梨地状とされたレーベル印刷面2側の全面に、ホワイトコートを施して平坦化した上に例えばカラー印刷を行い、図5に示すように印刷層9が形成される。これにより、印刷後のレーベル印刷面2側は梨地面11が表出しない、平坦な印刷面となる。
特に、梨地の最大粗さは2〜3μm程度(少なくとも0.5μm以上)とされていることで、張り付き防止効果を良好に得ることができる。
そしてこのため、次の印刷工程で1枚づつディスク基板を取り出すときに「2枚取り」が生ずることはなく、効率の良いディスク製造を実現できる。
特に梨地の最大粗さは2〜3μm程度(少なくとも5μm以下)とされていることで、ホワイトコートによるレーベル印刷面2の平坦化は容易に可能である。
なお、ホワイトコートは、印刷時のインクの良好な発色性や定着性を得るためなどに、通常の印刷工程でも実施されているもので、特に本例の梨地面11を埋めるために特別に実行するものではない。つまり本例において印刷工程における処理の手間が増加するものではない。
ここで近年開発されている、より高密度の光ディスクであるブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))では、ピット列のトラックピッチが0.32μmと、DVDの約半分となっており、ピットの幅、長さ、深さも小さくなっているが、その為、スタンパを用いてディスク基板を成形するときに、成形基板上でのピット変形(以下ピットずれと記載)が発生しやすく、また僅かなピットずれであっても、再生信号に大きな影響を与えてしまう。
ところが、特にディスク内周側では、図6(b)のように内周側にピット3aが流れたような形状となるピットずれが生じたり、またディスク外周側の図6(c)のように外周側にピット3aが流れたような形状となるピットずれが生じやすい。
このピットずれは、成形時のスタンパとディスク基板との密着性に依存する。例えばスタンパとディスク基板の密着が弱いと、金型内で樹脂が冷却される際の収縮や、型締め力の脱圧時にピットずれが発生しやすい。逆に、密着が強すぎると、スタンパからのディスク基板剥離時に、ピットずれが発生しやすい。
よって、適度な密着性が必要となるが、ブルーレイディスクなどの高密度光ディスクのように、ピット自体のサイズが小さくなると、成形時のスタンパとディスク基板との十分な密着性を得られにくく、ピットずれが発生しやすくなっているものである。
実際に、このようにして成形された再生専用光ディスクでは、それを再生させてジッターを計測したところ、ディスク全周で5.5%以下と良好な結果が得られた。つまり、ピットずれによる再生信号特性の悪化は認められなかった。さらに成形安定性を確認する上で、10000枚連続成形した中で、抜き取り評価を行った場合も、ジッターの悪化は見られなかった。
このようにピットずれの発生が防止できピット転写精度が向上されることで、製造される光ディスクは、安定した再生信号特性の得られる光ディスクとすることができる。
実際の製造で確認した結果、梨地の最大粗さは0.5μm以上とすることが、上記の張り付き防止効果だけでなく、ピットずれの防止という意味でも好適であることがわかった。
ここで、ポリカーボネートのディスク基板1の信号読出面2側に形成するカバー層6を、ディスク基板1と同一材料(ポリカーボネート)により形成するか、異なる材料(紫外線硬化型樹脂)により形成するかによって、異なる事情が発生する。
例えばこの図7(a)又は図7(b)の状態で、ディスク基板1は検査、保管、搬送工程に進むわけであるが、ここで図7(b)の場合、ディスク基板1のソリの問題が発生しやすい。
そこで、図7(b)のようにディスク基板1とカバー層6が異なる材料の場合は、図7(c)のようにディスク基板1のレーベル印刷面2側に防湿膜10を形成するようにすることが考えられる。例えば防湿膜10としてはスパッタにより無機酸化膜などを形成する。
防湿膜10としては例えばSiO2を50〜100nm程度形成する必要があるが、通常行われているアルミナによるブラスターで形成された梨地面11ではその表面のミクロ的傾きや状況により防湿膜10が均一に形成できず、防湿機能が損なわれディスク基板1に反りが生じるという状況となる。
図8(a)は図9(a)のように球状体であるガラスビーズをもちいたブラスター加工により金型の上キャビティ22の梨地面23を形成した場合、図8(b)は図9(b)のように略球状体ではないアルミナを用いたブラスター加工により金型の上キャビティ22の梨地面23を形成した場合について、それぞれ示したものである。
ブラスター加工において図9(a)のような球状体(或いは楕円状の球体のような略球状体)を用いた場合は、図8(a)のように梨地面11(梨地面23)の表面はなだらかな状態となる。一方、図9(b)のように表面の尖りの多いアルミナを用いてブラスター加工を行った場合は、梨地面11(梨地面23)の表面は、図8(b)のように先鋭的でささくれ立ったような状態となる。
即ち、図8(b)のようにアルミナを用いたブラスター加工によって金型に梨地面23を形成し、それをディスク基板1の梨地面11として転写した場合は、図7(c)のように防湿膜10を形成しても、防湿効果、即ちソリ防止効果が十分に得られないが、図8(a)のように略球体物を衝突させて形成された面(略球体物衝突形状)として梨地面11が形成された場合は、図7(c)のように防湿膜10を形成することで十分な防湿効果が得られ、ディスク基板1のソリを防止できるというものである。
この場合のディスク製造方法は、ステップF201の基板成形工程、ステップF202の反射膜形成工程、ステップF203のカバー層形成工程、ステップF204のハードコート工程、ステップF205の防湿膜形成工程、ステップF206の検査工程、ステップF207の保管工程、ステップF208のレーベル印刷工程を有する。
なお、この場合も梨地面23の梨地の最大粗さは、例えば0.5μm〜5μmの範囲とし、実際には2〜3μmが好適である。
成形されるディスク基板1は、図3で説明したようになるが、その梨地面11は、最大粗さは0.5μm〜5μmの範囲であって、図8(a)のように表面がなだらかな略球体物衝突形状となる。
即ちステップF202で、情報ピットパターンが形成された信号読出面3側に例えばAg合金の反射膜7を形成する。
次にステップF203で、紫外線硬化型樹脂によるスピンコートによりカバー層6を形成する。
そしてステップF204で、信号読出面3側の表面処理としてハードコート層8を形成する。なお、ハードコート層8については形成しない場合もある。
なお、ステップF205の防湿膜10の成膜は、ステップF202、F203、F204の処理の前、或いは途中で行っても良い。
基板搬送台30に積み重ねられて搬送された多数のディスク基板1は、次にステップF208の印刷工程において、1枚づつ取り出されてレーベル印刷面2側に印刷が行われる。
この印刷工程では、例えばオフセット印刷として、梨地面11及び防湿膜10が形成されたレーベル印刷面2側の全面に、ホワイトコートを施した上に例えばカラー印刷を行う。
以上の工程により光ディスクが完成する。
図11にソリ防止効果を示す。
図11は横軸が時間、縦軸がソリ量であり、湿度が変化したときのソリの変化の様子を表している。それぞれポリカーボネートのディスク基板1に紫外線硬化型樹脂によるカバー層6を形成した場合であり、□はアルミナによるブラスター加工に基づく梨地面11を有するディスク基板1であって防湿膜10を形成しなかった場合、■は同じくアルミナによるブラスター加工に基づく梨地面11を有するディスク基板1であって防湿膜10を形成した場合を示している。また▲はガラスビーズによるブラスター加工に基づく梨地面11を有するディスク基板1であって防湿膜10を形成した場合である。
この図11には、アルミナブラストによる梨地面11を有する場合、防湿膜10を形成しても、殆どソリ防止効果が得られないことが表れている。
一方、ガラスビーズブラストにより、ディスク基板1の梨地面11が略球体物衝突形状とされることで、防湿膜10が機能し、ソリが低減されていることがわかる。
まず、ディスク基板1のレーベル印刷面2側が梨地面11とされることにより、保管、搬送時のディスク基板1同志の張り付きが防止され、製造工程の効率化が実現される。
また、ディスク基板1のレーベル印刷面2側が梨地面11とされること(金型の上キャビティ22の内面側が梨地面23とされること)により、ディスク基板1でのピット成型精度が向上され、これにより高品質な光ディスクを製造できる。
また、ディスク基板1とカバー層6を異なる材料で形成する場合は、ディスク基板1の梨地面11が略球体物衝突形状となるようにして、梨地面11上に防湿膜10を形成することで、ディスク基板1のソリを低減させ、製造歩留まりを向上させることができる。
またブルーレイディスク、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスク、CD(Compact Disc)方式のディスクなど、多様なディスクに本発明を適用できる。
Claims (10)
- 一方の面がレーベル印刷面、他方の面が情報読出面とされるディスク記録媒体の製造方法であって、
上記レーベル印刷面側を梨地状としたディスク基板を生成する基板生成工程と、
上記情報読出面側に層形成を行う層形成工程と、
上記層形成工程を経たディスク基板を、複数枚積み重ねて保管する保管工程と、
を備えることを特徴とするディスク製造方法。 - さらに、上記保管工程により複数枚が積み重ねられた各ディスク基板を取り出した後、ディスク基板の上記レーベル印刷面側に印刷を行う印刷工程を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスク製造方法。
- 上記基板生成工程において生成されるディスク基板のレーベル印刷面側の梨地の最大粗さは0.5μmから5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のディスク製造方法。
- 上記基板生成工程では、ディスク基板のレーベル面側に対応する内面が梨地状の面とされた金型を用いてディスク基板を生成することを特徴とする請求項1に記載のディスク製造方法。
- 上記金型の上記梨地状の面は、ブラスター加工により略球体物を衝突させて形成された面であることを特徴とする請求項4に記載のディスク製造方法。
- 上記層形成工程では、さらに、梨地状とされた上記レーベル印刷面に防湿膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のディスク製造方法。
- 一方の面がレーベル印刷面、他方の面が情報読出面とされるディスク記録媒体であって、
上記レーベル印刷面側が梨地状とされたディスク基板の、上記情報読出面側に層形成を行い、上記レーベル印刷面側に印刷を施して成ることを特徴とするディスク記録媒体。 - 上記ディスク基板のレーベル印刷面側は、略球体衝突形状による梨地状の面とされていることを特徴とする請求項7に記載のディスク記録媒体。
- 梨地状の上記ディスク基板のレーベル印刷面側には防湿膜が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のディスク記録媒体。
- 上記ディスク基板のレーベル印刷面側の梨地の最大粗さは0.5μmから5μmの範囲内であることを特徴とする請求項7に記載のディスク記録媒体。
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