JP2007225564A - 渦流探傷信号の評価方法及び装置 - Google Patents

渦流探傷信号の評価方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】渦流探傷により検出する欠陥深さの評価精度を向上させることができる渦流探傷信号の評価方法及び装置を提供する。
【解決手段】渦流探傷信号における波形特徴を入力として教師あり学習により推定した欠陥の評価深さと、異なる波形特徴を入力として推定した評価深さを比較することにより推定結果を検証し、最適な評価結果を採用するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は渦流探傷信号の評価方法及び装置に関し、特に、複数種類の評価方法による評価の結果を検証し、最適と考えられる評価結果を採用することで汎用性が高く、かつ精度のよい評価を実現する渦流探傷信号の評価方法及び装置に関するものである。
金属の非破壊検査方法としては、例えば非特許文献1に詳細に記載されている、渦流探傷試験(Eddy Current Test)が知られている。これは、励磁電流を供給したコイルが発生する磁束によって被検体に渦電流を発生させ、この渦電流により発生する磁束に基づく探傷信号を前記コイルの出力信号として得るもので、この探傷信号は被検体に傷があると、傷の位置、形状、深さ等を反映したものとなるから、この探傷信号に基づいて金属である被検体の非破壊検査を行うことができる。
図13は、この渦流探傷試験の概略を説明するための図であり、渦流探傷試験は、傷100を有する被検体101を、コイルを有したセンサ102に励磁電流を流しながら矢印103方向に走査し、被検体101に生じる渦電流の変化を検知(インピーダンス変化を計測)することでおこなう。(A)と(B)は、このセンサ100に100kHzの励磁信号を与えた場合(A)と、400kHzの励磁信号を与えた場合(B)のそれぞれにおける、センサ100から得られる信号波形を示した図である。
検査で得られる信号は、交流電圧を位相検波した信号の変化分で、信号は複素数値となり、渦電流を流すための励磁周波数が例えば100kHz(A)、400kHz(B)のように異なると、図のように違った信号が得られるため、2種類以上の複数周波数で検査するのが一般的である。得られる信号は、図上右側に示したようなリサージュ図形表示をすることができる。このリサージュ図形はX方向が実数部でY方向が虚数部であり、そのX軸に対する傾き(位相角)が傷の深さと相関があることが知られている。
そのため、予め図14(A)のように、評価対象信号の位相角(横軸)に対する傷の深さ(縦軸)との関係を示す評価曲線を用意しておき、渦流探傷試験において計測した位相角をこの評価曲線にマッピングし、傷の深さを推定する。しかしながら、位相角と傷の深さは必ずしも正確に対応していないこともあり、当該探傷の精度が実用上十分でない場合がある。すなわち、傷の深さが同じでも、傷の形(例えば、長さ、幅等)、傷とセンサ102との相対的な位置関係など、各種の要因によって位相角が異なってくるからである。そのため、図14(B)のように、位相角や振幅などの複数の特徴から、統計的手法(重回帰分析)や、ニューラルネットワークなどを用いて深さを推定することも行われている。
また、図15における(A)に示したように、被検体104が曲がったり形状が変化している場合、(B)に示したようにセンサ102Aが移動と共に被検体105に対して102Bのように傾いた場合、(C)に示したようにセンサ102Cの移動と共に被検体106との距離が102Dのように変化した場合、(D)に示したように被検体106に付着物があって渦流信号が変化した場合、(E)に示したように被検体107が支持物108で支えられ、その支持物108の影響が渦流信号に重畳している場合など、渦流探傷信号にノイズが載って、正確な計測が難しくなる。
このような渦流探傷試験装置については例えば特許文献1に、管の内部に挿入した検知プローブを移動させて管の外側に発生した傷を検査する方法として、管の長手方向の異なった位置に送信コイルと受信コイルを配置し、探傷信号における管軸方向の欠陥信号幅と欠陥信号強度幅とを検出し、欠陥信号幅で欠陥の開口径を推定すると共に、予め欠陥の開口径をパラメータとした欠陥信号強度幅と欠陥深さの指標を求めておき、この関係指標を参照して欠陥深さを推定するようにした方法が示されている。
また、本願出願人の出願になるものではあるが特許文献2には、傷の深さが既知の実測データである見本探傷信号に基づき、傷の深さと相関の高い位相角及び振幅とともに、深さ以外に見本探傷信号の波形に影響を与える2次要因と相関の高い特徴を特徴量生成手段で数値化し、見本探傷信号の正解データとの誤差が十分小さい値を出力するための評価パラメータを、上記特徴量を利用して学習手段で学習により生成して評価対象信号が表す傷の深さを推定するようにした、渦流探傷信号の評価装置が示されている。
特開平5−264512号公報 特開2002−22708号公報 (社)日本非破壊検査協会編「渦流探傷試験II」1989年刊
しかしながら、特許文献1に示された配管の検査方法は、振幅特性のみを用いて欠陥深さを推定するため性能が充分ではなく、また、特許文献2に示された渦流探傷信号の評価装置も、検証機能をもつ評価手法が提案されてはいるが具体的な検証手法が示されていない。
そのため本発明においては、渦流探傷により検出する欠陥の深さの評価精度を向上させることができる渦流探傷信号の評価方法及び装置を提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明になる渦流探傷信号の評価方法は、
導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2とを比較し、前記C1とC2の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定することを特徴とする。
そして、この渦流探傷信号の評価方法を実施する本発明になる渦流探傷信号の評価装置は、
導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた波形特徴と振幅特徴のそれぞれで作成した評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した評価パラメータと、前記欠陥検知手段が評価対象から検出した前記欠陥の波形特徴から推定した評価深さC1と、前記評価パラメータと振幅特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC2とを生成する評価結果生成手段と、該評価結果生成手段の生成した前記C1とC2の整合性を調べ、いずれの結果を採用するかを決定する検証手段とからなることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため本発明になる渦流探傷信号の評価方法は、
導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC3とを用い、
前記C1、C2、およびC3の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定するかを決定するようにしてもよい。
さらに、この渦流探傷信号の評価方法を実施する本発明になる渦流探傷信号の評価装置は、
導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた波形特徴、振幅特徴、及び位相角特徴のそれぞれで作成した評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した評価パラメータと、前記欠陥検知手段が評価対象から検出した前記欠陥の波形特徴から推定した評価深さC1と、前記評価パラメータと振幅特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、前記評価パラメータと位相角特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC3とを生成する評価結果生成手段と、該評価結果生成手段の生成した前記C1とC2とC3の整合性を調べ、いずれの結果を採用するかを決定する検証手段とからなることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため本発明になる渦流探傷信号の評価方法は、
導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC3と、前記複数周波数のうちの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比を用いて推定した前記欠陥の評価深さC4とを用い、
前記C1、C2、C3およびC4の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定するようにしてもよい。
そして、この渦流探傷信号の評価方法を実施する本発明になる渦流探傷信号の評価装置は、
導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた波形特徴、振幅特徴、位相角特徴、及び複数周波数のうちの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比のそれぞれで作成した評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した評価パラメータと、前記欠陥検知手段が評価対象から検出した前記欠陥の波形特徴から推定した評価深さC1と、前記評価パラメータと振幅特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、前記評価パラメータと位相角特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC3と、前記評価パラメータと複数周波数のうちの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC4とを生成する評価結果生成手段と、該評価結果生成手段の生成した前記C1とC2とC3とC4の整合性を調べ、いずれの結果を採用するかを決定する検証手段とからなることを特徴とする。
さらに、前記欠陥の評価深さC1は、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化により得られた波形特徴を入力として、教師あり学習を用いて作成した評価パラメータと評価対象信号の波形特徴から推定し、
前記欠陥の評価深さC2は、予め、相対した波面が非接触で、前記センサ径に対して充分長い学習用欠陥によって前記渦流探傷信号の振幅を波形特徴として用いて得られた評価パラメータと、評価対象信号の振幅特徴とから推定する。
また、前記欠陥の評価深さC3は、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化により得られた波形のうち、特定励磁周波数の波形の位相角を波形特徴として用いて得られた評価パラメータと、評価対象信号の前記特定励磁周波数の位相角とから推定する。
さらに、前記欠陥の評価深さC4は、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体に、2種類以上の周波数の励磁電流を与えて生じた渦電流の変化により得られた波形のうち、前記複数周波数のうちの2つの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比を波形特徴として用いて得られた評価パラメータと、評価対象信号のうち、前記2つの異なる周波数の信号の振幅比とから推定する。
通常、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化により得られた波形特徴を入力として教師あり学習を用いて作成した評価パラメータと、評価対象信号の波形特徴とを入力として推定した欠陥の評価深さC1は、精度は高いが前記図15に示して説明した、被検体104が曲がったり形状が変化している場合、センサ102Aが移動と共に被検体105に対して傾いたり被検体106との距離が変化した場合や、ノイズの影響を受けた場合、欠陥の深さを大きく誤評価する場合がある。それに対し、相対した波面が非接触で、前記センサ径に対して充分長い学習用欠陥によって前記渦流探傷信号の振幅特性を評価して得られた評価パラメータと、評価対象から検出した前記欠陥の振幅特徴とから推定したC2の場合は、自然に生じた欠陥が、深さが均一でない上に途中で接触が有って渦電流がその部分で流れてしまうため、実際の欠陥の深さより小さく評価されるのが普通である。そのため、C1とC2の整合性を調べることにより、誤評価を防止することができる。
そして、通常、欠陥の大きさが小さい場合はノイズなどの影響が顕著に出て、位相角の計測誤差が大きくなる。また、渦流探傷は、評価精度に或る程度の誤差があるため、このようにC2が位相計測可能な欠陥深さよりも小さい値の場合、位相角特徴を用いて推定した欠陥の評価深さC3を導入し、C1、C2、およびC3の整合性を調べることにより振幅が小さいときの評価精度を向上させることができる。
さらに、渦流探傷における誘導電流を生じさせる周波数は、高い周波数を用いると表皮効果で渦電流が深く潜ることができないが、逆に低い周波数では渦電流が深いところまで潜ることができるため、深い欠陥の探傷には低い周波数を用いることが有効である。得られる振幅は、渦電流の浸透深さが周波数で変わることで信号のボリュームが周波数によって異なり、高周波の方が深さが変わっても振幅変化が小さい。そのため、高い周波数では振幅変化幅が小さく、低い周波数では振幅変化幅が大きい。しかし、位相角は高い周波数を用いた場合の方が変化が大きく、低い周波数ではその変化が小さくなる。そのため、2つの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比を評価して推定した欠陥の評価深さC4を導入し、C1、C2、C3およびC4の整合性を調べることにより、深い欠陥の評価を行うときの評価精度を向上させることができる。
また、上記課題を解決するため本発明になる渦流探傷信号の評価方法は、
導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
予め欠陥性状を分類し、各分類毎に深さ評価用パラメータを作成しておき、検査時には、前記欠陥により生じる渦電流探傷信号波形によって当該欠陥がいずれの性状分類に属するかを判定し、該当する前記欠陥性状分類に対応した深さ評価用パラメータを用いて欠陥深さを推定することで、例えば減肉状欠陥の検知にも有効となる。
そして、前記欠陥深さの推定は、前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC3とを用い、前記C1、C2、およびC3の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定して行ってもよい。
また、この渦流探傷信号の評価方法を実施する本発明になる渦流探傷信号の評価装置は、
導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
予め欠陥性状を分類し、それぞれの性状を有する複数の既知の学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から各分類毎に評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、前記欠陥により生じる渦電流探傷信号波形によって当該欠陥がいずれの性状分類に属するかを判定し、該判定結果に対応した前記性状分類に属する前記評価パラメータを用いて欠陥深さを推定する評価結果生成手段とからなることを特徴とする。
前記した減肉状欠陥は、例えば支持構造物にこすられて被検体表面が減肉してできた欠陥であり、そのため、例えば予め学習用に作成した減肉性状を、矩形減肉、丸形減肉のように分類し、この分類した減肉性状を用いてそれぞれの減肉に対する評価用パラメータを作成し、そのパラメータを用いて減肉欠陥の深さ評価をすることで、減肉性状による深さ評価誤差の低減を回避し、評価精度を向上させることができる。また、波形特徴を用いて推定した評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した評価深さC3との整合性を調べることで、減肉が微小である場合に位相角計測誤差が大きくなることによる精度低下を回避し、評価精度を向上させることができる。
そのため以上述べてきた渦流探傷信号の評価方法は、前記欠陥が、われ状欠陥である場合や、前記欠陥が、減肉状欠陥である場合に有効である。
そして、溶接部に生じる欠陥の評価にあたっては、磁性体の溶金部と母材部のように物性値の異なる部位ではそれぞれの評価基準が異なる上、その境界位置は正確に特定できないため、境界近傍ではどちらの評価基準を採用するかの判断が困難である。
しかし、物性値の異なる部位を有する被検体の渦流探傷信号の評価方法において、
予め、前記物性値の異なる学習用被検体毎に設けた深さが既知の学習用欠陥を探傷した渦流探傷信号を教師として、それぞれに対して2種類以上の評価用パラメータを作成し、
評価用被検体から得られた渦電流探傷信号に対し、前記それぞれの物性値部位用の前記2種類以上の評価用パラメータを用いて欠陥深さ評価を行い、各物性値毎の2種類以上の評価結果の矛盾が少ない方の物性値の部位であると判断し、判断した結果の物性値の前記評価用パラメータを用いて評価した結果を採用することで、こういった問題も解決できる。
また、この渦流探傷信号の評価方法を実施する本発明になる渦流探傷信号の評価装置は、
導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して物性値の異なる部位を有する被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
予め、前記物性値の異なる学習用被検体毎に設けた深さが既知の学習用欠陥による渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた渦流探傷信号を教師として、それぞれに対して2種類以上の評価用パラメータを作成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した前記それぞれの物性値部位用の2種類以上の評価パラメータを用い、前記評価用被検体の欠陥深さ評価を行う評価結果生成手段と、該評価結果生成手段が評価した評価結果のうち、各物性値毎の2種類以上の評価パラメータによる評価結果の矛盾が少ない方が前記被検体に欠陥が存在する物性値の部位であると判断し、判断した結果の物性値の前記評価用パラメータを用いて評価した結果を採用する検証手段とからなることにより、溶接部の欠陥の評価も高精度に行うことができる。
さらに、評価パラメータ作成時には、前記渦電流探傷信号にフィルタを適用せずに処理を行って深さ評価用パラメータを作成しておき、
信号評価時には評価対象信号に対し、前記渦流探傷信号からフィルタリング信号を生成し、該生成したフィルタリング信号の特徴量に対し、前記評価用パラメータを用いて欠陥深さ評価を行うことで、信号に加算型のノイズが複合している可能性がある場合であっても、定量評価精度の低下を回避することができる。
また、評価パラメータ作成時には、前記渦流探傷信号に複数種類の多重周波数演算処理を適用することにより複数種類のフィルタリング信号を生成し、この複数種類のフィルタリング信号の特徴量を用いて深さ評価用パラメータを生成しておき、
信号評価時には、評価対象信号に対し、前記パラメータ作成に適用したのと同じ係数の複数の多重周波数演算を適用することにより複数のフィルタリング信号を生成し、この複数のフィルタリング信号の特徴量に対し、前記評価用パラメータを用いて多重周波数演算処理した被検体の欠陥深さ評価を行うことで、多重周波数演算を用いると、磁性体付着物や磁性体構造物などにより生じるノイズが複合していても、形状フィルタでは低減できないノイズや、ノイズ信号を引いただけでは欠陥信号に変化が生じるノイズ要因の影響を低減し、深さ評価精度の低下を回避することができる。
以上記載のごとく本発明になる渦流探傷信号の評価方法及び装置は、渦流探傷試験において生じる種々の誤評価要因を回避し、渦流探傷により検出する欠陥の深さの評価精度を向上させるとともに、被検体の減肉量の評価精度をも向上させることができる渦流探傷信号の評価方法及び装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法を実施する装置を示すブロック図である。この図1における入力端子1には、傷(欠陥)の深さが既知の被検体を実測して得る見本探傷信号P1を供給する。これは、例えばEDMノッチと称し、相対した波面が非接触で、渦流探傷試験用センサ径に対して充分長い学習用傷などを用いて実測した信号であり、傷の状態に応じ多種類のサンプルを用意しておき、これを順次実測して入力端子1に供給する。
この見本探傷信号P1は、必要に応じて既知の手法によってフィルタ2でノイズを低減し、特徴量生成手段3に供給される。特徴量生成手段3は、見本探傷信号P1に基づいて傷の深さと相関の高い位相角及び振幅とともに、例えば探傷信号の分布形状(分布の長さ、幅)、探傷信号の波形、探傷信号の振幅がピークである近傍の信号波形、励磁周波数が異なる信号の相関等、上記見本探傷信号P1の波形特徴を数値化した特徴量を生成する。
正解データ供給手段4は、上記標準試料の傷の深さを表す量として既知の正解データを供給する。この正解データとは、各見本探傷信号P1に対応づけられた、各見本探傷信号P1に基づく傷の深さの値の正解を表すデータである。学習手段5は、上記特徴量及び正解データを入力され、上記特徴量を利用して上記正解データとの誤差が十分小さい値を出力するためのパラメータである評価パラメータを、学習により生成するものである。具体的には、正解データが表す量との誤差が十分小さい値を出力するための各特徴量に対する、例えば重み係数である評価パラメータを学習により決定する等の操作をいう。このときの学習手法は、特に限定する必要はないが、例えばニューラルネットワークを利用する手法、重回帰分析等が考えられる。すなわち、この学習手段は、種々の見本探傷信号P1を用いて、この見本探傷信号P1から評価基準を求めるものである。
入力端子6には、測定対象の被検体を実測して得る評価対象信号P2を供給する。評価対象信号P2は、必要に応じ、既知の手法によりフィルタ7でノイズを低減した後、分類手段8に供給される。分類手段8では、評価対象信号P2に基づき上記傷の種類を峻別する。傷の種類に応じた評価パラメータを用いて当該評価を行うことにより、その精度をさらに向上させるためである。
特徴量生成手段9は、評価対象信号P2により、見本探傷信号P1と同様の特徴量を異なる特徴量の組毎に複数組生成する。評価結果生成手段10は、評価対象信号P2に基づく各特徴量と各特徴量にそれぞれ対応する上記各評価パラメータとに基づき、傷の深さを表すデータを、各評価パラメータの組毎に生成する。具体的には、各特徴量を評価パラメータを利用して処理する。例えば特徴要素に当該パラメータを掛け合わせる等、見本探傷信号P1に基づき正解データに辿り着いたのと同様の処理により、上記正解データに対応するデータを生成する。
検証手段11は、評価結果生成手段10の出力信号として得る傷の深さを表す各データを比較し、各データが表す傷の深さが所定の範囲に納まっているとき、この傷の深さを推定値として採用し、評価結果12として出力する。
次に、図2に基づいて以上説明した渦流探傷信号の評価装置を用いた評価方法を説明する。先ず、ステップS1で見本探傷信号P1を入力し、ステップS2で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS3で特徴量を生成する。その後、ステップS1の正解データを参照し、この正解データとの誤差が十分小さい値を出力するためのパラメータである評価パラメータを、上記特徴量を利用してステップS4で学習により生成する。この結果、一種類の評価パラメータAが生成される。
そして同様な処理を繰り返し、他の種類の評価パラメータB、さらに必要に応じてC、D、……の評価パラメータを生成する。なお、この評価パラメータA、B、C、D、……は、傷の種類毎に作成する。
次に、ステップS5で評価対象信号P2を入力し、ステップS6で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS7で傷の種類を分類するとともに、ステップS8でこの分類毎に見本探傷信号P1と同様の特徴量を生成する。さらに評価対象信号P2に基づく特徴量と、この特徴量にそれぞれ対応する評価パラメータAとに基づき、ステップS9、10で傷の深さを表すデータを生成する。そして以上の処理を、評価パラメータBについても行い、必要な場合はさらに評価パラメータC、D、……についても行う。
そして、得られた傷の深さを表す各データをステップS11で比較して検証し、それぞれが表す傷の深さが所定の範囲に納まっているとき、ステップS12でこの傷の深さを推定値として採用して評価結果として出力する。
以上が本発明になる渦流探傷信号の評価方法及び装置の概略であるが、次に図3乃至図12を用い、本発明の渦流探傷信号の評価方法及び装置を詳細に説明する。なお、以下の説明は図1における検証手段11、及び図2のフロー図のステップS11にそれぞれ相当する。
図3は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例1である。この実施例1では、使用する特徴(例えば位相角)が前記図15に示したような被検体表面形状などのノイズ要因による影響をうけた場合、深さの過小評価が生じるのを回避することができるようにした評価方法である。図中30、31は、前記図2にステップS9で示した評価対象信号P2(図1参照)に基づく特徴量と、この特徴量にそれぞれ対応する評価パラメータA(図1における学習手段5で生成)とに基づき、ステップS9で行われる傷の深さを表すデータ生成のための評価である。
まず評価30では、被検体に複数の異なった周波数で誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、得られたそれぞれの周波数に対応した渦流探傷信号における位相角、振幅、振幅比などの複数の波形特徴を入力として、あらかじめ、前記図2に「評価用パラメータA、B、…」として説明したニューラルネットワークまたは重回帰分析を用いて得られた評価パラメータを用い、図1における評価結果生成手段10によって傷の評価深さC1、32を推定する。また、評価31では、あらかじめ、前記したEDMノッチのように相対した波面が非接触で、渦流探傷試験に用いるセンサ径に対して充分長い学習用傷を探傷して得られた渦流探傷信号の振幅を入力として学習して得られた、前記図2に「評価用パラメータA、B、…」として説明した評価パラメータを用い、同様に、図1における評価結果生成手段10によって傷の評価深さC2、33を推定する。
ここで用いるEDMノッチは、前記したように、相対した波面が非接触で、センサ径に対して充分長い学習用傷であり、その振幅信号と傷(欠陥)の深さとは、図4に示したような特性のグラフになる。この図4のグラフにおいて、横軸は欠陥(傷)の深さ、縦軸は渦流探傷信号の振幅であり、○は上記EDMノッチに対する渦流探傷信号の振幅特性である。それに対して×は、応力腐蝕割れ (SCC:Stress Corrosion Crack)や疲労割れ、高温割れ、ひびなどのわれ状欠陥による渦流探傷信号の振幅特性を説明する概念図であり、こういったわれ状欠陥は傷幅が狭く、部分的に接触している部分もある。
すなわち、われ状欠陥(傷)は、深さが均一でない上に途中で接触が有って渦電流がその部分で流れてしまうため、この図4のグラフに示すように、実際の傷の深さより小さく評価されるのが普通である。そのため、前記評価31によって得られる評価深さC1は、通常、実際の傷深さを越えることがなく、小さく評価された値となる。
それに対し、位相角、振幅、振幅比の複数の波形特徴を入力としてニューラルネットワーク、または重回帰分析を用いて推定した傷の評価深さC1は、精度は高いが前記図15に示して説明した、被検体104が曲がったり形状が変化している場合、センサ102Aが移動と共に被検体105に対して傾いたり被検体106との距離が変化した場合や、ノイズの影響を受けた場合、傷の深さを大きく誤評価する場合がある。
そのため、評価30で得られた評価深さC1が、評価31で得られた評価深さC2より小さいということは、C1が上記した種々の要因で誤評価している可能性が高い。従ってこの実施例1では、ブロック34でC1からC2を減算し、その差が誤差程度の値Vよりも大きい値である場合、すなわち、C1に対してC2が小さい場合はブロック35に進んでC1を、大きい場合はブロック36に進んでC2を採用することで、誤評価を防止するようにしたものであり、この処理が前記図1における検証手段手段11によって行われる、前記図2にステップS11の検証とステップS12の評価結果に相当する。
図5は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例2である。この実施例2においては、欠陥(傷)が微小である場合に、位相角計測誤差が大きくなることによる精度低下を回避することができるようにしたものである。
図中30、31、32、33は、前記図3で説明した位相角、振幅、振幅比の複数の波形特徴を入力として得られた評価パラメータを用い、傷の評価深さC1、32を推定する評価と、あらかじめEDMノッチのような学習用傷を探傷して得られた評価パラメータを用い、傷の評価深さC2、33を推定する評価であり、以下の説明では、以上説明してきた番号と同じ番号を付したブロックの説明は省略する。また、以下の説明における評価パラメータの生成は図1における学習手段5で、この評価パラメータを用いた傷の評価深さの推定は図1における評価結果生成手段10で、推定した評価深さの検証は図1における検証手段11でそれぞれ行うため、これらの説明も省略する。
また40は、予め特定励磁周波数による評価対象信号の位相角(横軸)に対する傷(欠陥)の深さ(縦軸)との前記図14(A)に示したような関係から求めた、前記図2に「評価用パラメータA、B、…」として説明した評価パラメータを用いて行う、渦流探傷信号の評価であり、C3、41はその評価結果である。
渦流探傷は、一般的に評価精度にある程度の誤差があり、また、振幅が小さい場合はノイズなどの影響が顕著に出て、位相角の計測誤差が大きくなる。そのため、図5に示した実施例2においては、ブロック42においてまずC2が位相計測可能な欠陥深さV1よりも小さいかどうかを判断し、小さい場合は、C1とC2の差の絶対値とC2とC3の差の絶対値とにおける大きい方の値が、例えばV2で表した特定評価精度を越えている場合、評価精度が不一致と判断して、評価深さC1に対して評価深さC2が小さい場合はブロック44に進んでC2を採用する。
また、これらのうちのどれかの条件が合致していない場合、すなわち、C2が位相計測可能な欠陥深さV1よりも大きい場合、C1とC2の差の絶対値とC2とC3の差の絶対値とにおける大きい方の値が、例えばV2で表した特定評価精度を越えていない場合、評価深さC1に対して評価深さC2が大きい場合のいずれかの場合、ブロック43に進んでC1を採用するようにすることで、振幅が小さいときの評価精度を向上させるようにしたものであり、この処理が、前記図2にステップS11の検証とステップS12の評価結果に相当する。
図6は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例3である。この実施例3においては、厚肉の被検体を対象とした検査で、波面接触のある深い欠陥は、位相角も振幅も誤差が大きくなるため、深さ評価誤差を低減できるようにしたものである。
渦流探傷における誘導電流を生じさせる周波数は、高い周波数を用いると表皮効果で渦電流が深く潜ることができず、逆に低い周波数では渦電流が深いところまで潜ることができるため、得られる振幅は周波数によって異なり、高周波の方が深さが変わっても振幅変化率が小さい。
この実施例3では、例えば欠陥の開口面側からの検査の場合、波面接触のある深い欠陥は、位相角も振幅も誤差が大きくなるが、振幅比への深さ以外の要因の影響は小さいことを利用し、前記C1、C2、C3の他に、複数周波数のうちの2つの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比をブロック50で評価し、推定した傷の評価深さC4、51を導入したものである。なお、図中30、31、40と、32のC1、33のC2、41のC3は、前記図3、図5で説明した傷の評価方法と評価深さである。
この実施例3では、ブロック52において、C2が検出可能な傷深さV4より大きく、C4とC1との差の絶対値と、C4とC2との差の絶対値と、C4とC3の差の絶対値とにおける最も大きな値が前記評価精度V5を越えている場合、評価精度が不一致と判断してブロック56でC4を採用し、この2つの条件のいずれかに合致していない場合、C2が位相計測可能な欠陥深さV1よりも小さく、C1とC2の差の絶対値と、C2とC3の差の絶対値とにおける大きい方の値が前記評価精度V2を越えているとき、評価精度が不一致と判断して評価深さC1に対して評価深さC2が小さい場合はC2を採用し、これらのうちのどれかの条件が合致していない場合はC1を採用するようにして、深い傷の評価を行うときの評価精度を向上させたものである。なお、この処理が、前記図2にステップS11の検証とステップS12の評価結果に相当するのは前記と同様である。
図7は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例4である。この実施例4は、例えば被検体表面が支持構造物にこすられて減肉してできた減肉の場合の渦流探傷信号の評価方法であり、減肉が微小である場合、位相角の誤差が大きくなって精度低下するのを回避することができるようにしたものである。
図中60は、被検体に複数の異なった周波数で誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、得られたそれぞれの周波数に対応した渦流探傷信号における位相角、振幅、振幅比の複数の波形特徴を入力として、あらかじめニューラルネットワークまたは重回帰分析を用い、前記図2に「評価用パラメータA、B、…」として説明した評価パラメータを用いて減肉状欠陥の評価深さW1、63を推定する評価、61は、あらかじめ、学習用減肉状欠陥を探傷して得られた渦流探傷信号の振幅を入力として学習して得られた評価パラメータを用いて減肉状欠陥の評価深さW2、64を推定する評価、62は、位相角特徴を用いて減肉状欠陥の評価深さを推定する評価であり、W3、65はその評価結果である。なお、これらW1、W2、W3は、それぞれ前記図5における複数種類特徴を用いた推定結果C1、振幅特徴を用いた推定結果C2、位相角特徴を用いた推定結果C3に相当する値である。
図8は、実際の減肉深さ(横軸、単位:%)に対して渦流探傷試験(ECT)によって推定された減肉深さ(縦軸、単位:%)の特徴を概念的に説明したグラフであり、原点から45度の角度で引かれた線は、推定誤差が0を示す線で、この線に近い位置にプロットされるほど誤差が少ない。このグラフにおいて、○は上記複数の波形特徴を入力として推定した減肉状欠陥深さW1、△は上記渦流探傷信号の振幅特性により評価した減肉状欠陥深さW2を示している。
このグラフに示すように、W1(○)は微小減肉(グラフの原点に近い位置)を除き、W2(△)よりも推定誤差0を示す線近くに集まっており、評価誤差が小さい。ただし、微小減肉(振幅が小さい)の場合、W1(○)は位相角の誤差が大きくなるため、この場合はW2(△)を採用すると誤差が小さくなるが、位相角計測が困難な微小減肉では、減肉評価信号にノイズが加算されて誤差は過大評価側に出るため、W1よりW2が小さいときのみこれを採用するようにする。
すなわち、ブロック66において、W1またはW2が位相計測可能な減肉状欠陥深さV1よりも小さい値の場合、W1とW2の差の絶対値と、W2とW3の差の絶対値と、W3とW1の差の絶対値とにおける最も大きな値が、前記評価精度V2を越えて評価精度が不一致と判断され、W1に対して評価深さW2が小さい場合、ブロック67に進んでW2を、これらのうちのどれかの条件が合致していない場合はW1を採用するようにすることで、減肉が微小である場合に位相角計測誤差が大きくなることによる精度低下を回避し、評価精度を向上させることができる。なお、この処理が、前記図2にステップS11の検証とステップS12の評価結果に相当するのは前記と同様である。
図10は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例5である。この実施例5は、減肉性状による深さ評価誤差を低減することを目的としたもので、例えば図9にタイプAとして示した被検体120の減肉性状が断面が矩形である場合と、タイプBとして示した被検体121の減肉性状が断面円弧状である場合とでは、得られる渦流探傷信号が異なり、それによって深さ評価誤差が生じるのを低減できるようにしたものである。
この図9におけるタイプAとタイプBの減肉では、そのボリュームが違うために振幅等が異なる。そのためこの実施例5では、予め、矩形減肉(図9のタイプA)、丸形減肉(図9のタイプB)など、性状の異なる学習用減肉を用いてそれぞれの減肉に対する前記図2に「評価用パラメータA、B、…」として説明した評価用パラメータを作成し、検証の前に減肉パターンを判定して、この判定によって予め作成した評価用パラメータを選択し、評価と前記図2にステップS11として示した検証を行うようにしたものである。
図10において、図上、「学習時」と記した破線より上側にはこの評価用パラメータを作成するフローが示され、下側には減肉性状の判定と傷深さの評価フローが示されている。上側の評価用パラメータを作成するフローは、前記図2に示したステップS1〜ステップS4までと同じであり、ステップS20からステップS23までは減肉性状がタイプAの場合を、ステップS24からステップS27までは減肉性状がタイプBの場合を示している。
まずタイプAの場合は、前記したようにステップS20で減肉性状タイプAの見本探傷信号(教師信号)を入力し、ステップS21で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS22で前記図9で説明したような特徴量を生成する。その後、ステップS20の正解データを参照し、この正解データとの誤差が十分小さい値を出力するためのパラメータである評価パラメータAを、上記特徴量を利用してステップS23で学習により生成する。この結果、評価パラメータA(1)が生成される。そして、同様にして評価パラメータA(2)……を作成する。
これは、タイプBの場合も同様で、ステップS24で減肉性状タイプBの見本探傷信号(教師信号)を入力し、ステップS25で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS26で前記図9で説明したような特徴量を生成する。その後、ステップS24の正解データを参照し、この正解データとの誤差が十分小さい値を出力するためのパラメータである評価パラメータBを、上記特徴量を利用してステップS27で学習により生成する。この結果、評価パラメータB(1)が生成される。そして、同様にして評価パラメータB(2)……を作成する。
こうして評価用パラメータが用意できたら、次にステップS28で実際に減肉状欠陥の渦流探傷試験を行い、対象信号を得る。そしてステップS29で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS30において、前記図9で説明したようなタイプA、タイプBの信号における特徴によってどちらのタイプの減肉であるかを判定し、タイプAの場合はステップS31へ、タイプBの場合はステップS32へ進む。
そしてそれぞれのステップにおいて対応した評価パラメータを選択し、次のステップS33で先にステップS20またはステップS24に示した実測信号に基づく特徴量を生成し、この特徴量にそれぞれ対応する評価パラメータAまたはBとに基づき、ステップS34で傷の深さを表すデータS35、S36を生成する。
そして、得られた傷の深さを表す各データを、ステップS37で比較して検証し、それぞれが表す傷の深さが所定の範囲に納まっているとき、ステップS38でこの傷の深さを推定値として採用して出力する。
このステップS37における検証は、前記図7に示した本発明の実施例4と同じであり、位相角、振幅、振幅比の複数の波形特徴を入力とした減肉の評価深さW1、標準振幅を与えるような学習用減肉状欠陥によって渦流探傷信号の振幅特性を入力として学習したパラメータを用いて減肉状欠陥の深さを推定した評価深さW2、予め特定励磁周波数による評価対象信号の位相角を入力として学習したパラメータを用いて推定した評価深さW3とを用い、W1またはW2が位相計測可能な減肉状欠陥振幅深さV1よりも小さい値の場合、W1とW2の差の絶対値と、W2とW3の差の絶対値と、W3とW1の差の絶対値とにおける最も大きな値が、前記評価精度V2を越えて評価精度が不一致と判断され、W1に対して評価深さW2が小さい場合にW2を、これらのうちのどれかの条件が合致していない場合はW1を採用するようにし、減肉が微小である場合に位相角計測誤差が大きくなることによる精度低下を回避しながら、減肉状欠陥の評価深さを求めるわけである。
このようにすることにより、減肉性状(たとえば断面が矩形か、円弧状か)による深さ評価誤差を低減し、正確な評価結果を得ることができる。
図11は、本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例6である。この実施例6は、溶接部に生じた傷の検証に関するものである。溶接部に生じる傷の評価に当たっては、磁性体の溶金部と母材部は物性値が異なるために評価基準が異なる上、その境界位置は正確に特定できないため、境界近傍ではどちらの評価基準を採用するかの判断が困難である。そのため本発明においては、予め溶接母材部と溶金部のそれぞれに設けた学習用傷を用いそれぞれの物性値に応じた評価用パラメータを作成し、被検体が磁性体の溶接部やその近傍である場合、溶接母材部と溶金部のそれぞれの評価用パラメータを用いて傷の深さ評価を行い、それぞれの評価結果の矛盾が少ない方の値を採用して、溶接部の傷の評価も高精度に行うことができるようにしたものである。
図11において、図上、「学習時」と記した破線より上側には、予め実施しておくこの評価用パラメータを作成するフローが示され、下側には溶接部における傷深さの評価フローが示されている。上側の評価用パラメータを作成するフローは、前記図2に示したステップS1〜ステップS4までと同じであり、ステップS60からステップS63までは溶接部における母材部の場合を、ステップS64からステップS67までは溶接部における溶金部の場合を示している。
まず母材部の場合は、前記したようにステップS60で母材部の材質を用いた材質タイプAの見本探傷信号(教師信号)を入力し、ステップS61で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS62で母材部の特徴量を生成する。その後、ステップS60の正解データを参照し、この正解データとの誤差が十分小さい値を出力するためのパラメータである評価パラメータAを、上記特徴量を利用してステップS23で学習により生成する。この結果、評価パラメータA(1)が生成される。そして、同様にして評価パラメータA(2)……の複数の評価パラメータを作成する。
これは、溶金部の材質を用いた材質タイプBの場合も同様で、ステップS64で材質タイプBの見本探傷信号(教師信号)を入力し、ステップS65で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS66で溶金部の特徴量を生成する。その後、ステップS64の正解データを参照し、この正解データとの誤差が十分小さい値を出力するためのパラメータである評価パラメータBを、上記特徴量を利用してステップS67で学習により生成する。この結果、評価パラメータB(1)が生成される。そして、同様にして評価パラメータB(2)……の複数の評価パラメータを作成する。
こうしてあらかじめ評価用パラメータを用意しておき、実際の検査では、ステップS68で溶接部およびその近傍の渦流探傷試験を行い、対象信号を得る。そしてステップS69で所定のフィルタリング処理をした後、ステップS70からステップS72で母材部の材質タイプAの評価パラメータA(1)、A(2)、およびA(3)を用いた評価を、ステップS73からステップS75で溶金部の材質タイプBの評価パラメータB(1)、B(2)、およびB(3)を用いた評価をそれぞれ行う。
この評価は、前記図2におけるステップS8とステップS9の内容と同じであり、母材部においては、ステップS70で見本探傷信号と同様の特徴量を生成する。さらに評価対象信号に基づく特徴量と、この特徴量にそれぞれ対応する評価パラメータAとに基づき、ステップS71で傷の深さを表すデータをVA1、VA2、VA3、……を生成する。
また、溶金部についても、ステップS73で見本探傷信号と同様の特徴量を生成する。さらに評価対象信号に基づく特徴量と、この特徴量にそれぞれ対応する評価パラメータBとに基づき、ステップS74で傷の深さを表すデータVB1、VB2、VB3、……を生成する。
そして次に、それぞれステップS72、ステップS75で、得られた傷の深さを表す各データの矛盾度の評価を行う。矛盾度の式の例は、それぞれステップS72、ステップS75に記してあるように、母材部については例えば生成した傷の深さを表すデータVA1、VA2、VA3、……の差の絶対値の和、MA=Σ|VAi−VAj|を、溶金部についても生成した傷の深さを表すデータVB1、VB2、VB3、……の差の絶対値の和、MB=Σ|VBi−VBj|を用いる。
こうして矛盾度が算出されたら、次のステップS76で、MAとMBのどちらが大きいか判断し、例えば母材部の評価パラメータを用いて算出したMAの方が溶金部のパラメータを用いて算出したMBより小さければ母材部であると判定してステップS77に進み、逆の結果であれば溶金部と判定してステップS78に進む。
そしてステップS79で検証するわけであるが、この検証は、以上説明してきた実施例1から6のいずれかを使って行えばよいので説明は省略する。なお、矛盾度は、上記の例では生成した傷の深さを表すデータの差の絶対値の和を用いたが、この式は一例であって方法を限定するものではない。
このようにして溶接部に生じる傷を測定することにより、溶接部における磁性体の溶金部と母材部は物性値と評価基準が異なり、その境界位置が正確に特定できないために従来は難しかった溶接部の傷の評価を高精度に行うことができる。
なお、渦流探傷試験においては前記図15で説明したように、被検体104が曲がったり形状が変化している場合、センサ102Aが移動と共に被検体105に対して102Bのように傾いた場合、センサ102Cの移動と共に被検体106との距離が102Dのように変化した場合、被検体106に付着物があって渦流信号が変化した場合、被検体107が支持物108で支えられ、その支持物108の影響が渦流信号に重畳している場合など、信号にノイズが載って正確な計測を困難にしているケースがある。
前記図2に示した本発明の評価方法のフローにおいては、こういったノイズを軽減するため、ステップS2とステップS6にフィルタリング処理が設けられている。
まずステップS6におけるフィルタリング処理であるが、信号に加算型のノイズが複合している可能性がある場合、渦流探傷信号に、画像処理において一般的に用いられているバンドパスフィルタ、またはメディアンフィルタ引き去りのドリフト除去処理を適用したのち傷深さ評価を行うことで、定量評価精度の低下を回避することができる。この場合、評価用パラメータは、フィルタリング処理無しで学習したパラメータを使用する。
また同様に、渦流探傷信号に、画像処理において一般的に用いられているメディアンフィルタまたはローパスフィルタ、ハイパスフィルタまたはメディアンフィルタ引き去りの平滑化処理を適用したのち傷深さ評価を行うことで、パルス状ノイズ(たとえば電気パルス)が渦流探傷信号に重畳しても、影響を低減して定量評価精度の低下を回避することができる。この場合、評価用パラメータは、フィルタリング処理無しで学習したパラメータを使用する。
また、形状フィルタでは低減できないノイズや、ノイズ信号を引いただけでは欠陥信号に変化が生じる、例えば磁性体付着物や磁性体構造物などにより生じるノイズが複合している場合は、多重周波数演算をかけてフィルタリング処理することが有効であり、この場合の例を図12に示した。この図12の例は、多重周波数演算計数90をかける以外は前記図2に示した評価方法フローと同一であり、ここではステップS2とステップS6の両方で同じ多重周波数演算係数を用いてフィルタリング処理する。なお、こういった多重周波数演算については、前記した非特許文献第92頁「6.6 多重周波数を用いた渦流探傷装置」に詳細に述べられている。
すなわちまず、ステップS1で入力された見本探傷信号P1にステップS2で多重周波数演算計数90をかけ、フィルタリング処理をしてからステップS3で特徴量を生成し、評価用パラメータを生成するわけである。そしてステップS5で評価対象信号P2を入力したら、ステップS6で同様に多重周波数演算計数90をかけ、フィルタリング処理をした後、ステップS7で傷の種類を分類するとともに、ステップS8でこの分類毎に見本探傷信号P1と同様の特徴量を生成するわけである。
このようにすることにより、形状フィルタでは低減できないノイズや、ノイズ信号を引いただけでは欠陥信号に変化が生じるノイズ要因の影響を低減し、深さ評価精度の低下を回避することができる。なお、多重周波数演算をおこなうと、複数の探傷周波数の信号から1種類のフィルタリング信号が生成されるが、複数種類の多重周波数演算係数を用いて複数種類のフィルタリング信号を生成することにより、複数種類の信号の特徴量を計算できるようにすることで、前記した実施例1乃至6のいずれの方法にも適用できる。
以上種々述べてきたように本発明によれば、渦流探傷により検出する傷の深さの評価精度を、大きく向上させることができる。
本発明になる渦流探傷信号の評価方法を実施する装置を示すブロック図である。 渦流探傷信号の評価装置を用いた評価方法のフロー図である。 本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例1を示したフロー図である。 相対した波面が非接触で、渦流探傷試験に用いるセンサ径に対して充分長い学習用傷によって渦流探傷信号の振幅特性を評価した結果を表すグラフである。 本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例2を示したフロー図である。 本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例3を示したフロー図である。 本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例4を示したフロー図である。 実際の減肉深さ(横軸)に対し、渦流探傷試験(ECT)によって推定された減肉深さ(縦軸)を示したグラフである。 減肉状欠陥のタイプを説明するための図である。 本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例5を示したフロー図である。 本発明になる渦流探傷信号の評価方法の実施例6を示したフロー図である。 多重周波数演算を用いた渦流探傷信号の評価方法のフロー図である。 渦流探傷試験に用いられるセンサに100kHzの励磁信号を与えた場合(A)と、400kHzの励磁信号を与えた場合(B)に傷を有する被検体102から得られる信号を示した図である。 渦流探傷試験において計測した位相角により傷の深さを推定するために用いる、評価対象信号の位相角(横軸)に対する傷の深さ(縦軸)との関係を示す特性曲線である。 渦流探傷試験におけるノイズとなる要因を説明するための図である。
符号の説明
S1 見本探傷信号
S2 評価対象信号
1 入力端子
2 フィルタ
3 特徴量生成手段
4 正解データ供給手段
5 学習手段
6 入力端子
7 フィルタ
8 分類手段
9 特徴量生成手段
10 評価結果生成手段
11 検証手段

Claims (23)

  1. 導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
    前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2とを比較し、前記C1とC2の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定することを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  2. 導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
    前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC3とを用い、
    前記C1、C2、およびC3の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定することを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  3. 導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
    前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC3と、前記複数周波数のうちの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比を用いて推定した前記欠陥の評価深さC4とを用い、
    前記C1、C2、C3およびC4の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定することを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  4. 前記欠陥の評価深さC1は、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化により得られた波形特徴を入力として、教師あり学習を用いて作成した評価パラメータと評価対象信号の波形特徴から推定し、
    前記欠陥の評価深さC2は、予め、相対した波面が非接触で、前記センサ径に対して充分長い学習用欠陥によって前記渦流探傷信号の振幅を波形特徴として用いて得られた評価パラメータと、評価対象信号の振幅特徴とから推定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法。
  5. 前記欠陥の評価深さC3は、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化により得られた波形のうち、特定励磁周波数の波形の位相角を波形特徴として用いて得られた評価パラメータと、評価対象信号の前記特定励磁周波数の位相角とから推定することを特徴とする2乃至4のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法。
  6. 前記欠陥の評価深さC4は、予め、既知の欠陥を有する学習用被検体に、2種類以上の周波数の励磁電流を与えて生じた渦電流の変化により得られた波形のうち、前記複数周波数のうちの2つの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比を波形特徴として用いて得られた評価パラメータと、評価対象信号のうち、前記2つの異なる周波数の信号の振幅比とから推定することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法。
  7. 導体からなる被検体に、センサから誘導電流を与えて渦電流を生じさせ、該渦電流の変化によって欠陥を検知する渦流探傷信号の評価方法であって、
    予め欠陥性状を分類し、各分類毎に深さ評価用パラメータを作成しておき、検査時には、前記欠陥により生じる渦電流探傷信号波形によって当該欠陥がいずれの性状分類に属するかを判定し、該当する前記欠陥性状分類に対応した深さ評価用パラメータを用いて欠陥深さを推定することを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  8. 前記欠陥深さの推定は、前記渦流探傷信号における波形特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC1と、振幅特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、位相角特徴を用いて推定した前記欠陥の評価深さC3とを用い、前記C1、C2、およびC3の整合性を調べることにより、いずれの結果を採用するかを決定して行うことを特徴とする請求項7に記載した渦流探傷信号の評価方法。
  9. 前記欠陥が、われ状欠陥であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法。
  10. 前記欠陥が、減肉状欠陥であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法。
  11. 物性値の異なる部位を有する被検体の渦流探傷信号の評価方法において、
    予め、前記物性値の異なる学習用被検体毎に設けた深さが既知の学習用欠陥を探傷した渦流探傷信号を教師として、それぞれに対して2種類以上の評価用パラメータを作成し、
    評価用被検体から得られた渦電流探傷信号に対し、前記それぞれの物性値部位用の前記2種類以上の評価用パラメータを用いて欠陥深さ評価を行い、各物性値毎の2種類以上の評価結果の矛盾が少ない方の物性値の部位であると判断し、判断した結果の物性値の前記評価用パラメータを用いて評価した結果を採用することを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  12. 前記請求項1乃至11のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法において、
    評価パラメータ作成時には、前記渦電流探傷信号にフィルタを適用せずに処理を行って深さ評価用パラメータを作成しておき、
    信号評価時には評価対象信号に対し、前記渦流探傷信号からフィルタリング信号を生成し、該生成したフィルタリング信号の特徴量に対し、前記評価用パラメータを用いて欠陥深さ評価を行うことを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  13. 前記請求項1乃至11のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法において、
    評価パラメータ作成時には、前記渦流探傷信号に複数種類の多重周波数演算処理を適用することにより複数種類のフィルタリング信号を生成し、この複数種類のフィルタリング信号の特徴量を用いて深さ評価用パラメータを生成しておき、
    信号評価時には、評価対象信号に対し、前記パラメータ作成に適用したのと同じ係数の複数の多重周波数演算を適用することにより複数のフィルタリング信号を生成し、この複数のフィルタリング信号の特徴量に対し、前記評価用パラメータを用いて多重周波数演算処理した被検体の欠陥深さ評価を行うことを特徴とする渦流探傷信号の評価方法。
  14. 前記請求項1乃至13のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価方法を用いることを特徴とする渦流探傷検査。
  15. 導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
    予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた波形特徴と振幅特徴のそれぞれで作成した評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した評価パラメータと、前記欠陥検知手段が評価対象から検出した前記欠陥の波形特徴から推定した評価深さC1と、前記評価パラメータと振幅特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC2とを生成する評価結果生成手段と、該評価結果生成手段の生成した前記C1とC2の整合性を調べ、いずれの結果を採用するかを決定する検証手段とからなることを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
  16. 導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
    予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた波形特徴、振幅特徴、及び位相角特徴のそれぞれで作成した評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した評価パラメータと、前記欠陥検知手段が評価対象から検出した前記欠陥の波形特徴から推定した評価深さC1と、前記評価パラメータと振幅特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、前記評価パラメータと位相角特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC3とを生成する評価結果生成手段と、該評価結果生成手段の生成した前記C1とC2とC3の整合性を調べ、いずれの結果を採用するかを決定する検証手段とからなることを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
  17. 導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
    予め、既知の欠陥を有する学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた波形特徴、振幅特徴、位相角特徴、及び複数周波数のうちの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比のそれぞれで作成した評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した評価パラメータと、前記欠陥検知手段が評価対象から検出した前記欠陥の波形特徴から推定した評価深さC1と、前記評価パラメータと振幅特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC2と、前記評価パラメータと位相角特徴とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC3と、前記評価パラメータと複数周波数のうちの異なる周波数の渦流探傷信号における振幅の比とを用いて推定した前記欠陥の評価深さC4とを生成する評価結果生成手段と、該評価結果生成手段の生成した前記C1とC2とC3とC4の整合性を調べ、いずれの結果を採用するかを決定する検証手段とからなることを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
  18. 導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
    予め欠陥性状を分類し、それぞれの性状を有する複数の既知の学習用被検体により生じた渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から各分類毎に評価パラメータを生成する評価パラメータ生成手段と、前記欠陥により生じる渦電流探傷信号波形によって当該欠陥がいずれの性状分類に属するかを判定し、該判定結果に対応した前記性状分類に属する前記評価パラメータを用いて欠陥深さを推定する評価結果生成手段とからなることを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
  19. 前記欠陥が、われ状欠陥であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価装置。
  20. 前記欠陥が、減肉状欠陥であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価装置。
  21. 導体からなる被検体に誘導電流を与えるセンサと、該センサが与えた誘導電流によって生じた渦電流の変化を検出して物性値の異なる部位を有する被検体に存在する欠陥を検知する手段とを有する渦流探傷信号の評価装置であって、
    予め、前記物性値の異なる学習用被検体毎に設けた深さが既知の学習用欠陥による渦電流の変化を前記欠陥検知手段で検出し、該検出結果から得られた渦流探傷信号を教師として、それぞれに対して2種類以上の評価用パラメータを作成する評価パラメータ生成手段と、該評価パラメータ生成手段が生成した前記それぞれの物性値部位用の2種類以上の評価パラメータを用い、前記評価用被検体の欠陥深さ評価を行う評価結果生成手段と、該評価結果生成手段が評価した評価結果のうち、各物性値毎の2種類以上の評価パラメータによる評価結果の矛盾が少ない方が前記被検体に欠陥が存在する物性値の部位であると判断し、判断した結果の物性値の前記評価用パラメータを用いて評価した結果を採用する検証手段とからなることを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
  22. 前記請求項15乃至21のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価装置において、
    前記評価結果生成手段は、前記欠陥検知手段が検出した渦電流の変化分におけるフィルタを適用したフィルタリング信号生成手段を有し、前記フィルタリング信号生成手段が生成した前記渦流探傷信号の特徴量に対して前記評価用パラメータを用いて欠陥深さ評価を行うことを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
  23. 前記請求項15乃至21のいずれかに記載した渦流探傷信号の評価装置において、
    前記評価パラメータ生成手段は、前記被検体の欠陥深さ評価用パラメータ生成において前記渦流探傷信号に複数種類の多重周波数演算処理を適用する第1のフィルタリング信号生成手段を有し、
    前記評価結果生成手段は、前記第1のフィルタリング信号生成手段における多重周波数演算処理と同じ係数の複数種類の多重周波数演算処理を適用する第2のフィルタリング信号生成手段を有し、該第2のフィルタリング信号生成手段が生成した前記渦流探傷信号の特徴量に対して前記第1のフィルタリング信号生成手段が生成した評価用パラメータを用いて欠陥深さ評価を行うことを特徴とする渦流探傷信号の評価装置。
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