JP5794927B2 - 浸炭深さ評価方法及び配管の寿命評価方法 - Google Patents

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本発明は、例えば回収ボイラ用伝熱管のように、高温高圧条件下で炭化物を含む燃焼ガスに曝される伝熱管において腐食原因となる浸炭の有無及びその深さを評価するための浸炭深さ評価方法、並びに、該評価した浸炭深さに基づいて伝熱管の余寿命を評価する伝熱管の寿命評価方法の技術分野に関する。
ボイラ伝熱管のように高温高圧条件下で稼働される伝熱管には、例えば高クロム鋼のように、優れたクリープ強度と熱的特性を備えた材料が使用されている。ところで、製紙過程で生成される黒液を燃焼する回収ボイラでは、その燃焼灰中に炭化物であるNaCOが含まれている。NaCOはボイラの稼働温度域である500〜550℃の温度領域にて熱分解され、該熱分解によって生成された炭素成分が高クロム鋼に含まれるクロムと化合物(クロムカーバイド)を形成し、浸炭が生じることがある。このように、高クロム鋼に浸炭が生じると、本来の耐食性が低下してしまい、伝熱管の減肉を促進し、伝熱管寿命が短くなってしまうという問題がある。現在、ボイラ伝熱管の老朽化に伴う延命化が課題となっており、このような浸炭による耐食性低下を予防するために、伝熱管における浸炭発生を正確に検知し、その結果に基づいて余寿命を評価することが求められている。
図7は従来の浸炭検査方法の検査過程を簡易的に示すフローチャートである。この検査方法によれば、まず配管に付着したスケールを除去した後(ステップS301)、研磨を行い(ステップS302)、超音波等を用いて伝熱管肉厚の現状を測定した後(ステップS303)、鏡面研磨により仕上げを行う(ステップS304)。その後、伝熱管の組織をエッチングによって取り出し(ステップS305)、レプリカフィルムに転写して、レプリカ作成を行う(ステップS306)。そして、このように作成したレプリカを組織観察(必要に応じて組織を撮影)し、組織の状態を視覚的に観察して浸炭の有無を判断する(ステップS307)。またその後,超音波硬さ計測を行い、組織硬度の変化に基づいて浸炭の有無を評価する(ステップS308)。
このように従来の浸炭検査方法では、組織を視覚的に観察したり、超音波測定による硬さ測定に基づいていたため、浸炭の有無は評価することができても、浸炭深さは判断することができなかった。また図7に示すように検査プロセスが煩雑であり、レプリカ作成といった部分的な検査であったために、被検体の広範囲に亘って検査を行うことが難しく、浸炭の発生状況を十分に評価できているとは言えなかった。
ところで、金属組織の亀裂や欠陥などの異常組織を検査する際に用いられる過流探傷法が知られている。例えば特許文献1には、過流探傷法を用いて鋼板の縦筋欠陥を検出する検査方法の一例が開示されている。過流探傷法はプローブを被検体に沿って走査することによって異常組織を検知する非破壊検査であるため、浸炭検査に利用することによって、その検査プロセスを簡略化できることが期待されている。
過流探傷法を用いた浸炭検査では、金属などの導電性を有する被検体を、交流磁界が印加されるコイルを内蔵したプローブで走査することにより、被検体に誘起された渦電流によるコイルのインピーダンス変化を検知して、被検体における探傷の有無及び深さを評価する。高クロム鋼を含むステンレス鋼はオーステナイト系であるため非磁性であるが、浸炭が生じると、磁性を有する非オーステナイト系に変質する。また、当初から磁性材料であるフェライト系鋼においても、浸炭によって磁性が強化される。また浸炭が生じると、組織の結晶粒の大きさも変化する。このように浸炭の有無によって渦電流の発生パターンが変化するので、過流探傷法を適用することにより浸炭評価を行うことができる。例えば特許文献2には過流探傷法による浸炭検査の一例が開示されており、特に、浸炭が被検体にスポット的に発生することに鑑み、配列されたコイルの間隔が所定範囲にあることを特徴としている。
特開2006−234535号公報 特開平8−178902号公報
特許文献2のように過流探傷法を用いて浸炭検査を行ったケースは存在するものの、その検査精度は十分とは言えないのが現状である。例えば、過流探傷法では検知したインピーダンス変化をリサージュ波形として表示した場合に、リサージュ波形の振幅から欠陥の範囲を評価し、一方で、リサージュ波形の位相から欠陥の位置(方向)を評価するとされている。しかしながら、実際のリサージュ波形の振幅及び位相にはそれぞれ欠陥の範囲、位置(方向)に関する情報が少なくとも含まれており、従来の方法では精度よく浸炭の有無及び深さを検知することが難しいという問題点がある。
また浸炭検査の結果次第によっては、ボイラなどの被検体のその後の運用変更を行う場合があるが、その際に将来的に渡って余寿命がいくらあるのかを浸炭深さに基づいて評価する方法が確立されていないのが現状である。
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、簡易且つ精度よく浸炭発生の有無及び深さを評価する浸炭深さ評価方法、及び、該浸炭深さ評価方法による評価結果を用いた寿命評価方法を提供することを目的とする。
本発明に係る浸炭深さ評価方法は上記課題を解決するために、被検体にプローブで交流磁場を印加しながら走査して誘起された渦電流による前記プローブのインピーダンス変化に基づいて、前記被検体における浸炭深さを評価する浸炭深さ評価方法であって、前記プローブのインピーダンス変化に基づいてリサージュ波形を作成する第1の工程と、該作成したリサージュ波形の振幅及び位相を特定する第2の工程と、予め浸炭深さとリサージュ波形の振幅及び位相との関係を対応付けてなるマップ(相関図)を予め用意しておき、前記特定した振幅及び位相と比較することにより、前記被検体における浸炭深さを求める第3の工程とを備え
前記第2の工程では、健全材に対応するリサージュ波形が対応するX軸と該X軸に直交するY軸とを備えるXY平面を予め規定しておき、前記振幅として前記XY平面における前記リサージュ波形のY振幅を求め、前記位相として前記X軸を基準とする位相を求め、
前記第3の工程では、前記マップの振幅及び位相をそれぞれ前記XY平面における前記リサージュ波形のY振幅及びX軸を基準とする位相として予め用意することを特徴とする。
本発明では、被検体における浸炭の有無及び深さが、インピーダンス変化に基づくリサージュ波形の振幅及び位相の双方に反映されるという特性に鑑み、予め被検体に対応するサンプル(少なくとも材料が同一であり、好ましくは形状も同一であるものがよい)等を用いて浸炭深さとリサージュ波形の振幅及び位相との関係を対応付けてなるマップ(相関図)を予め用意しておく。そして、過流探傷法によって得られた実測値に基づいたリサージュ波形の振幅及び位相と比較することにより、浸炭深さを求める。このように本発明では、浸炭深さをインピーダンス変化に基づくリサージュ波形の振幅だけでなく位相にも関連付けて評価できるので、良好な評価精度を得ることができる。
好ましくは、前記被検体は、外部に炭化物を含む燃焼ガス(媒体)が流れるボイラ伝熱管であるとよい。上述したように、この種のボイラ伝熱管では外部と接触する媒体に含まれる炭化物が熱分解されることにより、浸炭が生じやすいため、本発明を有効に利用可能である。
本発明に係る第1の配管の寿命評価方法は上記課題を解決するために、上述の浸炭深さ評価方法(前記各種態様を含む)で求めた浸炭深さが想定値より大きい場合、前記ボイラ伝熱管の運用温度を変更し、前記被検体について前記運用温度の変更後における浸炭不発生箇所の減肉速度と浸炭発生箇所の減肉速度とを予め求めておき、前記被検体の肉厚、及び、上述の浸炭深さ評価方法(前記各種態様を含む)で求めた浸炭深さに基づいて規定される重み付けで、前記予め求めた浸炭不発生箇所の減肉速度と浸炭発生箇所の減肉速度とを加算することによって減肉速度を算出する第4の工程と、前記算出した減肉速度で前記被検体の肉厚を割り算することで、前記被検体の余寿命を求める第5の工程とを備えたことを特徴とする。
これによれば上記評価方法の結果に基づいて被検体の運用変更などによって浸炭の進行を停止させた場合に、現状の浸炭深さに基づいて減肉速度を算出することによって、余寿命を精度よく評価することができる。
これによれば被検体の運用変更などが行われることなく浸炭の進行が継続した場合に、将来の浸炭深さの進行度合いを考慮した減肉速度を算出することによって、余寿命を精度よく評価することができる。
本発明では、被検体における浸炭の有無及び深さが、インピーダンス変化に基づくリサージュ波形の振幅及び位相の双方に反映されるという特性に鑑み、予め被検体に対応するサンプル(少なくとも材料が同一であり、好ましくは形状も同一であるものがよい)等を用いて浸炭深さとリサージュ波形の振幅及び位相との関係を対応付けてなるマップを予め用意しておく。そして、過流探傷法によって得られた実測値に基づいたリサージュ波形の振幅及び位相と比較することにより、浸炭深さを求める。このように本発明では、浸炭深さをインピーダンス変化に基づくリサージュ波形の振幅だけでなく位相にも関連付けて評価できるので、良好な評価精度を得ることができる。
また浸炭深さ評価方法による評価結果に基づいて被検体の運用変更の有無に応じて、将来の減肉速度を算出することにより、余寿命を精度よく評価することができる。
本実施例に係る浸炭深さ評価方法で用いられる渦流探傷試験装置の使用例を示す模式図である。 本体ユニットで得られるリサージュ波形の一例である。 互いに異なる浸炭深さを有する試料において得られたリサージュ波形を示している。 所定の浸炭深さを有する被検体において得られるリサージュ波形のY軸振幅及び位相を関連付けてなるマップの一例である。 本実施例に係る浸炭深さ評価方法の実施手順について詳細に説明する。 本実施例に係る配管の寿命評価方法の手順を示すフローチャートである。 従来の浸炭検査方法の検査過程を簡易的に示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本実施例では、製紙過程で生成される黒液を燃焼する回収ボイラに使用される高クロム鋼からなるボイラ配管を被検体とし、高温高圧条件下で稼働されることにより生じた浸炭を、本発明に係る浸炭深さ評価方法及び寿命評価方法を用いて評価する場合を例に説明する。
図1は、本実施例に係る浸炭深さ評価方法で用いられる渦流探傷試験装置10の使用例を示す模式図である。渦流探傷試験装置10は、被検体である管1の表面に交流磁場を印加すると共に該配管1の表面に誘起された渦電流を検知するプローブ11と、該プローブ11における検知信号を、信号ケーブル12を介して受信して処理する本体ユニット13とを備えてなる。プローブ11にはコイル(不図示)が内蔵されており、本体ユニット13によって交流電流が印加されることによって交流磁界が発生できるようになっている。そして発生した交流磁界を配管1の表面に作用させることによって、該表面に渦電流が誘起される。
渦流探傷試験装置10のオペレータはプローブ11を管1の表面に沿って走査することにより、本体ユニット13は管1の表面に誘起された渦電流の変化を、プローブ11に内蔵されたコイルのインピーダンスの変化として検知する。管1は非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼または、磁性を有するフェライト系鋼である高クロム鋼からなるため、浸炭によって磁性を有するクロムカーバイドが生成された箇所では、渦電流の変動に伴ってコイルのインピーダンスも変動する。このようなインピーダンス変化は本体ユニット13に送信され、解析される。
本体ユニット13では受信したインピーダンス変化をベクトル表示に変換することによって、リサージュ波形を求める。図2は、本体ユニット13で得られるリサージュ波形の一例である。図2(a)は浸炭が発生していない健全材で得られたリサージュ波形を示しており、図2(b)は浸炭が発生した材料で得られたリサージュ波形を示している。図2に示すように、浸炭発生の有無によってリサージュ波形の振幅及び位相が変化する。本体ユニット13では、プローブ11を操作することによって得られたリサージュ波形の振幅と位相を特定して、浸炭の有無及び深さを評価する。一般的には、図2に示すように渦流探傷法によって得られるリサージュ波形の振幅は欠陥の範囲を示し、位相は欠陥の管厚方向の位置を示すとされているが、実際にはこれらの情報は、それぞれ振幅と位相の双方に少なからず含まれている。
図3は互いに異なる浸炭深さを有する試料において得られたリサージュ波形を示している。図3において(i)から(iv)で示した試料A〜Dは、同じ材料である高クロム鋼から形成された同型の配管1である。(i)は浸炭深さが0μmである健全材であって研磨処理前の試料Aから得られたリサージュ波形、(ii)は浸炭深さが0μmである健全材であって研磨処理後の試料Bから得られたリサージュ波形、(iii)は浸炭深さが120μmである試料Cから得られたリサージュ波形、(iv)は浸炭深さが500μmである試料Dから得られたリサージュ波形である。
本願発明者の研究によれば、所定の浸炭深さを有する被検体から得られたリサージュ波形からは、特有のY軸振幅及び位相が得られることが判明した。そこで、本実施例に係る浸炭深さ評価方法では、このようなリサージュ波形の特性に鑑み、予め浸炭深さとリサージュ波形のY軸振幅及び位相とを対応付けるマップ20が用意される。図4は所定の浸炭深さを有する被検体において得られるリサージュ波形のY軸振幅及び位相を関連付けてなるマップ20の一例である。
図4では、リサージュ波形のY軸振幅と位相とをそれぞれ横軸と縦軸に表し、対応する浸炭深さを等高線状に示している。このようなマップ20は、配管1を構成する材料や形状によって異なるため、被検体の種類に応じて個別に用意しておくことが好ましい。また、マップ20は、本体ユニット13に内蔵又は外部接続されたメモリなどの記憶装置に予め格納されているとよい。
(浸炭深さ評価方法)
続いて図5を参照して、本実施例に係る浸炭深さ評価方法の実施手順について詳細に説明する。図5は、本実施例に係る浸炭深さ評価方法の手順を示すフローチャートである。
まず図1を参照して上述したように、渦流探傷試験装置10のオペレータはプローブ11を配管1の表面に沿って走査することにより渦流探傷試験を実施する(ステップS101)。本体ユニット13は、プローブ11におけるインピーダンス変化を、ケーブル12を介して取得し(ステップS102)、リサージュ波形に変換する(ステップS103)。このようにして得られたリサージュ波形は、図4に示すようにXY平面上において、浸炭深さに応じた振幅及び位相を有している。
続いて本体ユニット13はステップS103で変換したリサージュ波形についてY軸振幅及び位相を特定する(ステップS104)。ここで、本体ユニット13は予めメモリ等に記憶させておいたマップ20を読み出し(ステップS105)、ステップS104で特定した実測値であるY軸振幅及び位相と比較する(ステップS106)。そして、当該実測値であるY軸振幅及び位相に対応するマップ20上の点に基づいて、浸炭深さを求める(ステップS107)。
尚、図4に示すマップ20では50μm、100μm、300μm、500μmの境界ラインを特定しているため、ステップS107ではこれらの境界ライン間で規定される浸炭深さの範囲が求められる。より精度良く浸炭深さを求めるためには、図4に示すマップ20における境界ラインの間隔が狭くなるように事前試験における測定ポイント数を増やすとよい。また、境界ライン間を公知の補完処理によって求めるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施例に係る浸炭深さ評価方法によれば、浸炭の深さがリサージュ波形に特有な振幅と位相として現れる特性に鑑み、予め浸炭深さとリサージュ波形のY軸振幅及び位相との関係を対応付けてなるマップを予め用意しておき、実測値から特定したY軸振幅及び位相と比較することにより、前記被検体における浸炭深さを求めることができる。このように本実施例では、浸炭深さをリサージュ波形の振幅だけでなく位相とも関連付けて評価できるので、良好な評価精度を得ることができる。
(配管の寿命評価方法)
続いて上述した浸炭深さ評価試験によって得られた被検体である管1の浸炭深さを用いた寿命評価方法について説明する。図6は本実施例に係る管1の寿命評価方法の手順を示すフローチャートである。
まず管1について浸炭不発生箇所の腐食速度V1と、浸炭発生箇所の腐食速度V2をそれぞれ用意する(ステップS201&S202)。これらの腐食速度V1及びV2は、例えば材料の仕様として計画されているものを用いてもよいし、実際の計測値、または実際に試験を行って得られた実験値を用いてもよい。本実施例では、浸炭不発生箇所の腐食速度V1は0.2mm/年の材料を用いており、浸炭発生箇所の腐食速度V2はそのa倍(高クロム鋼の場合にはクロム含有率にもよるが、典型的には浸炭発生時の腐食速度は浸炭不発生時に比べて3〜6倍)である。
ここで上述した浸炭深さ評価方法によって伝熱管1の浸炭深さが求められると、その評価結果に応じて運用変更によって、ボイラの耐用年数を延命化する場合がある。つまり、求められた浸炭深さが想定以上に大きい場合には、ボイラの余寿命を延ばすために、例えば伝熱管1の運用温度を低下させることによって浸炭の進行を防止する措置を講じる場合がある。一方、求められた浸炭深さが想定内である場合には、特段の措置を講ずることなく、現状の運用形態を継続する。そこで、ステップS203ではこのような浸炭の進行を防止するための運用変更の有無を判定し、以下の処理を分岐する。
運用変更を実施することによって将来の浸炭の進行が防止される場合には(ステップS203:YES)、浸炭不発生箇所の腐食速度V1と浸炭発生箇所の腐食速度V2とを用いて、今後の伝熱管1の腐食速度Vは次式
V = (浸炭深さ/伝熱管の肉厚)×V2 + (1−浸炭深さ/伝熱管の肉厚)×V1 (1)
により求められる(ステップS204)。
一方、運用変更を実施しないことによって将来に亘って浸炭の進行が継続される場合には(ステップS203:NO)、今後の配管1の腐食速度Vは浸炭不発生箇所の腐食速度V1として求められる(ステップS205)。
このようにステップS204又はS205にて今後の腐食速度が求められると、配管1の余寿命は次式
余寿命 = (伝熱管の肉厚)/(今後の腐食速度) (3)
により求められる(ステップS206)。
以上説明したように、本実施例に係る寿命評価方法によれば、浸炭深さ評価方法による評価結果に基づいて被検体の運用変更の有無に応じて、将来の減肉速度を算出することにより、余寿命を精度よく評価することができる。
本発明は、例えば回収ボイラ用伝熱管のように、高温高圧条件下で炭化物を含む燃焼ガスなどの媒体に曝される配伝熱管において腐食原因となる浸炭の有無及びその深さを評価するための浸炭深さ評価方法、並びに、該評価した浸炭深さに基づいて配管の余寿命を評価する伝熱管の寿命評価方法の技術分野に関する。
に利用可能である。
1 配管(被検体)
10 渦流探傷試験装置
11 プローブ
12 信号ケーブル
13 本体ユニット(コントローラ)

Claims (3)

  1. 被検体にプローブで交流磁場を印加しながら走査して誘起された渦電流による前記プローブのインピーダンス変化に基づいて、前記被検体における浸炭深さを評価する浸炭深さ評価方法であって、
    前記プローブのインピーダンス変化に基づいてリサージュ波形を作成する第1の工程と、
    該作成したリサージュ波形の振幅及び位相を特定する第2の工程と、
    予め浸炭深さとリサージュ波形の振幅及び位相との関係を対応付けてなるマップを予め用意しておき、前記特定した振幅及び位相と比較することにより、前記被検体における浸炭深さを求める第3の工程と
    を備え
    前記第2の工程では、健全材に対応するリサージュ波形が対応するX軸と該X軸に直交するY軸とを備えるXY平面を予め規定しておき、前記振幅として前記XY平面における前記リサージュ波形のY振幅を求め、前記位相として前記X軸を基準とする位相を求め、
    前記第3の工程では、前記マップの振幅及び位相をそれぞれ前記XY平面における前記リサージュ波形のY振幅及びX軸を基準とする位相として予め用意することを特徴とする浸炭深さ評価方法。
  2. 前記被検体は、外部に炭化物を含む媒体が流れるボイラ伝熱管であることを特徴とする請求項に記載の浸炭深さ評価方法。
  3. 前記請求項に記載の浸炭深さ評価方法で求めた浸炭深さが想定値より大きい場合、前記ボイラ伝熱管の運用温度を変更し、
    前記被検体について前記運用温度の変更後における浸炭不発生箇所の減肉速度と浸炭発生箇所の減肉速度とを予め求めておき、
    前記被検体の肉厚、及び、請求項に記載の浸炭深さ評価方法で求めた浸炭深さに基づいて規定される重み付けで、前記予め求めた浸炭不発生箇所の減肉速度と浸炭発生箇所の減肉速度とを加算することによって減肉速度を算出する第4の工程と、
    前記算出した減肉速度で前記被検体の肉厚を割り算することで、前記被検体の余寿命を求める第5の工程と
    を備えたことを特徴とする伝熱管の寿命評価方法。
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