WO2022196425A1 - 情報処理方法、プログラム、情報処理装置及びモデル生成方法 - Google Patents

情報処理方法、プログラム、情報処理装置及びモデル生成方法 Download PDF

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Abstract

磁性管の状態を好適に推定することができる情報処理方法等を提供する。情報処理方法は、磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得し、前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する処理をコンピュータが実行する。好適には、前記磁気特性値は、磁場を発生させる磁石と、該磁石に対して前記磁性管とは反対側に配置されるヨークと、前記ヨーク及び磁性管の間に配置され、前記ヨーク、磁石及び磁性管を通過する磁束密度を測定する磁気センサとを備える検査プローブを用いて測定した測定値であって、前記磁束密度が大きいほど低くなる前記磁気センサの出力電圧である。

Description

情報処理方法、プログラム、情報処理装置及びモデル生成方法
 本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理装置及びモデル生成方法に関する。
 磁性管における減肉等の欠陥を非破壊で検査する方法として、リモートフィールド渦電流探傷試験(RFECT;Remote Field Eddy Current Testing)、漏洩磁束法(MFL;Magnetic Flux Leakage)等が知られている。
 例えば特許文献1では、磁束抵抗法(MFR;Magnetic Flux Resistance)による磁性体部材の欠陥測定方法が開示されている。
特許第6514592号公報
 ところで、これらの検査方法では予め用意されたモデル式に測定値を適用することで磁性管の肉厚等を予測している。そのため、肉厚等を予測する上でのモデル式を人手で作成する必要がある。
 一つの側面では、磁性管の状態を好適に推定することができる情報処理方法等を提供することを目的とする。
 一つの側面に係る情報処理方法は、磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得し、前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する処理をコンピュータが実行する。
 一つの側面では、磁性管の状態を好適に推定することができる。
欠陥推定システムの構成例を示す説明図である。 測定装置に関する説明図である。 測定装置に関する説明図である。 サーバの構成例を示すブロック図である。 端末の構成例を示すブロック図である。 ユーザDB、モデルDB、及び測定DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。 実施の形態1の概要を示す説明図である。 データ拡張処理に関する説明図である。 測定データの補正処理に関する説明図である。 画像変換処理に関する説明図である。 推定モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。 肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。 変形例1の概要を示す説明図である。 変形例1に係る推定モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。 変形例1に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。 変形例2の概要を示す説明図である。 変形例2に係る推定モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。 変形例2に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。 変形例3の概要を示す説明図である。 変形例3における学習の重みづけを示す図である。 変形例3に係る推定モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。 変形例3に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。 MFR方式における磁束の乱れに伴うホール素子電圧の影響を示すための説明図である。 変形例4における動的時間伸縮法の概要を示す説明図である。 変形例4における動的時間伸縮法の概要を示す説明図である。 変形例4における検出電圧と推定した肉厚情報とを示す図である。 変形例5におけるデータ拡張処理に関する説明図である。 測定データのアップロード画面の一例を示す説明図である。 肉厚情報の表示画面の一例を示す説明図である。 実施の形態2に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。
 以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
 図1は、欠陥推定システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、機械学習モデルを用いて、磁性管の磁気特性値を測定した測定データから、減肉等の欠陥を推定する欠陥推定システムについて説明する。欠陥推定システムは、情報処理装置1、ユーザ端末2、測定装置3、検査プローブ4を含む。情報処理装置1及びユーザ端末2は、インターネット等のネットワークNを介して通信接続されている。
 本実施の形態において測定対象とする磁性管は、例えば炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、フェライト相及びオーステナイト相から成る二相ステンレス鋼等の磁性体で形成された管材である。なお、炭素鋼等は磁性体の一例であり、磁性管を形成する部材(磁性体)はこれらに限定されるものではない。
 測定装置3は、磁性管の磁気特性値を測定する測定装置であり、出願人が提案する磁束抵抗法による磁性管の減肉検査を行うための装置である。測定装置3は、検査プローブ4を磁性管内に挿入して管内を移動させることにより、磁性管内の各位置における磁気特性値(磁束密度)を測定する。測定装置3として、例えば特許第6579840号公報、特許第6514592号公報、及び/又は特開2019-100850号公報に開示の欠陥測定装置を採用することができる。
 図2A,Bは、測定装置3に関する説明図である。図2Aは、磁性管の長手方向(軸方向)に直交する断面図であって、検査プローブ4が挿入された磁性管の断面図を概念的に図示している。図2Bは、磁性管の短手方向(径方向)に直交する断面図であって、減肉が生じている磁性管の欠陥部位(以下、「減肉部」と呼ぶ)の磁束密度を測定する様子を概念的に図示している。図2A,Bに基づき、磁束抵抗法について簡単に説明する。
 検査プローブ4は、ヨーク41、磁石42、及びホール素子43(磁気センサ)を備える。ヨーク41は、中空円筒状の磁性体部材であり、例えば炭素鋼等の高透磁率金属である。なお、ヨーク41の形状は中空円筒状に限定されず、例えば棒状、板状、円柱状等であってもよい。
 磁石42及びホール素子43は、ヨーク41の外周面に沿って等間隔で取り付けられている。例えば磁石42及びホール素子43は、ヨーク41の外周に8箇所設けられている。磁石42は、一方の磁極がヨーク41と対向し、かつ、他方の磁極が磁性管と対向するように配置されており、磁性管と対向する方向に分極している。
 図2A、Bに矢印で示すように、ヨーク41及び磁石42は磁気回路を構成する。ホール素子43は当該磁気回路上に設けられており、ホール素子43を通過する磁束密度に比例した出力電圧を出力する。具体的には、ホール素子43は、磁気抵抗が減少し、ホール素子43を通過する磁束密度が大きくなるほど、高い出力電圧を出力する。
 具体的には、図2Bの(a)に示すように、磁性管外に磁石42及びホール素子43が配置された状態では、磁気抵抗が大きいため磁束密度は小さくなり、ホール素子43の出力電圧は低くなる。一方で、図2Bの(c)に示すように、磁性管の健全部(減肉が生じていない部分)に磁石42及びホール素子43が配置された状態では、磁気抵抗が小さいため磁束密度は大きくなり、ホール素子43の出力電圧は高くなる。図2Bの(b)に示すように、減肉部に磁石42及びホール素子43が配置された状態では、健全部と比較して磁性管の肉厚が薄くなるため磁気抵抗が大きくなり、磁束密度が小さくなる。従って、ホール素子43の出力電圧は低くなる。
 このように、測定装置3は、磁束密度の大小をホール素子43の出力電圧の高低で測定する。ホール素子43の出力電圧は、磁性管の肉厚に応じて変化し、減肉が生じているほど低くなる。
 磁束抵抗法は、超音波を用いた水浸回転式超音波厚さ測定法IRIS;Internal Rotary Inspection System)と比較して磁性管一本当たりの検査時間が短く、多数の磁性管を検査することができるという特長がある。また、磁束抵抗法と同様に磁気を利用した検査方法としてリモートフィールド法(RFECT)、漏洩磁束法(MFL)等があるが、これらの測定方法は磁束抵抗法と比較して測定精度が低い。
 本実施の形態では、上記の磁束抵抗法による測定データから磁性管の肉厚を推定する際に、機械学習モデルを用いて肉厚を推定する。
 なお、磁束抵抗法に係る検査プローブ4には、図2Bに示すようにヨーク41及びホール素子43の間に隙間があるP型(特許第6514592号公報)と、ヨーク41及びホール素子43の間に隙間が無く、ヨーク41及びホール素子43が密着したPR型(特開2019-100850号公報)とがある。両者とも出力電圧は磁束密度に比例するが、P型では磁気抵抗が大きいほど出力電圧が低くなり、PR型では磁気抵抗が大きいほど出力電圧が高くなる。上記では説明の単純化のためにP型を一例に磁束抵抗法の測定原理を説明したが、以下で説明する形態では、PR型の検査プローブ4を用いて測定する場合について説明する。なお、P型、PR型のいずれを利用しても良いことは勿論である。
 また、本実施の形態では測定データが磁束抵抗法による測定データであるものとして説明するが、測定データはこれに限定されるものではない。例えば測定データとして、RFECTにより測定される渦電流値を用いてもよい。また、測定データとして、MFLにより測定される漏洩磁束(減肉部を通過する磁束)を用いてもよい。すなわち、測定データは、磁性管の磁気特性を表す値であればよく、磁束抵抗法による測定データに限定されない。
 図1に戻って説明を続ける。情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。サーバ1は、所定の訓練データを学習することで、磁性管の磁気特性値の測定データを入力した場合に、磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定する推定モデル50(図6参照)を生成する。そしてサーバ1は、測定対象の磁性管の測定データをユーザ端末2から取得し、推定モデル50に入力することで、磁性管の肉厚情報を推定する。後述するように、肉厚情報は磁性管の肉厚(厚さ)であるが、肉厚以外にも、磁性管の減肉幅、減肉率、減肉範囲等であってもよい。
 ユーザ端末2は、本システムのユーザが使用する端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末等である。以下では簡潔のため、ユーザ端末2を端末2と読み替える。本システムのユーザは、例えば磁性管の非破壊検査を実施する検査会社であるが、特に限定されるものではない。なお、図1では端末2を一台しか図示していないが、複数のユーザそれぞれの端末2、2、2…がサーバ1に接続されているものとする。端末2は測定装置3に接続されており、測定装置3により測定された磁性管の測定データをサーバ1に送信し、推定モデル50に基づき推定された肉厚情報をサーバ1から取得する。
 なお、本実施の形態ではクラウド上のサーバ1が推定モデル50に基づく肉厚情報の推定を行うものとするが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばローカルの端末2が、サーバ1から予め推定モデル50のデータをインストールしておき、測定装置3から取得した測定データを推定モデル50に入力することで肉厚情報を推定してもよい。このように、推定モデル50を生成する装置と、推定モデル50に基づく肉厚情報の推定を行う装置とは異なっていてもよい。
 図3は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出し実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が情報処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
 補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、推定モデル50、ユーザDB141、モデルDB142、測定DB143を記憶している。推定モデル50は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、磁性管の磁気特性値を測定した測定データを入力した場合に、磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するモデルである。推定モデル50は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
 ユーザDB141は、本システムのユーザの情報を格納するデータベースである。モデルDB142は、減肉形態(減肉部の形状パターン)、磁性管の寸法等に応じて用意される複数の推定モデル50それぞれの情報を格納するデータベースである。後述するように、本実施の形態では、推定対象とする磁性管の減肉形態、寸法等に応じて、複数の推定モデル50が用意される。測定DB143は、端末2から取得した磁性管の測定データを格納するデータベースである。
 なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
 また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体1aを読み取る読取部を備え、記録媒体1aからプログラムP1を読み込んでもよい。また、プログラムP1は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
 図4は、端末2の構成例を示すブロック図である。端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、補助記憶部26を備える。制御部21は、一又は複数のCPU、MPU等の演算処理装置であり、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が情報処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
 表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、キーボード、マウス等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。補助記憶部26は、ハードディスク、大容量メモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2、その他のデータを記憶している。
 なお、端末2は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体2aを読み取る読取部を備え、記録媒体2aからプログラムP2を読み込んでもよい。また、プログラムP2は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
 図5は、ユーザDB141、モデルDB142、及び測定DB143のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。ユーザDB141は、ユーザID列、ユーザ名列、利用履歴列、利用料列を含む。ユーザID列は、各ユーザを識別するためのユーザIDを記憶している。ユーザ名列、利用履歴列、及び利用料列はそれぞれ、ユーザIDと対応付けて、ユーザ名、ユーザによる推定モデル50の利用履歴(肉厚情報の推定履歴)、及び利用履歴に応じて定められる推定モデル50の利用料(システム利用料)を記憶している。利用料について、詳しくは実施の形態2で説明する。
 モデルDB142は、モデルID列、モデル名列、対象列を含む。モデルID列は、磁性管の減肉形態等に応じて用意される各推定モデル50を識別するためのモデルIDを記憶している。モデル名列、及び対象列はそれぞれ、推定モデル50のモデル名、及び推定対象となる磁性管に関する磁性管情報を記憶している。例えば対象列には、磁性管の減肉形態、寸法、及び材質が記憶されている。
 測定DB143は、データID列、日時列、提供ユーザ列、対象列、測定データ列、第2測定データ列を含む。データID列は、各ユーザから提供された測定データを識別するためのデータIDを記憶している。日時列、提供ユーザ列、対象列、測定データ列、及び第2測定データ列はそれぞれ、データIDと対応付けて、測定データの提供日時(取得日時)、提供元のユーザのユーザ名、測定対象となった磁性管に関する磁性管情報(減肉形態等)、磁性管の測定データ、及び第2測定データを記憶している。第2測定データは、磁束抵抗法による測定データとは測定方法が異なる磁性管の肉厚の測定データであり、例えば水浸回転式超音波厚さ測定法(IRIS;Internal Rotary Inspection System)による測定データである。第2測定データについて、詳しくは実施の形態2で説明する。
 図6は、実施の形態1の概要を示す説明図である。図6では、測定装置3(検査プローブ4)により測定した磁性管の磁気特性値の測定データを推定モデル50に入力した場合に、磁性管の各部分の肉厚が推定される様子を概念的に図示している。図6に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
 上述の如く、サーバ1は、所定の訓練データを学習することにより、磁気特性値の測定データを入力した場合に肉厚情報を推定する推定モデル50を生成する。本実施の形態に係る推定モデル50は、深層学習により生成されるニューラルネットワークであり、例えばCNN(Convolutional Neural Network;畳み込みニューラルネットワーク、ResNet等)である。
 なお、推定モデル50はCNN以外のニューラルネットワークであってもよい。また、後述する変形例1、2のように、推定モデル50は、kNN(k-Nearest Neighbor Algorithm;k近傍法)、SVM(Support Vector Machine)、ランダムフォレスト、決定木など、ニューラルネットワーク以外の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
 本実施の形態に係る推定モデル50は、測定装置3を用いて測定された、磁束抵抗法に基づく測定データを入力とする。既に述べたように、測定データは、検査プローブ4に備わるヨーク41及び磁石42と、磁性管とから形成される磁気回路を通過する磁束密度をホール素子43により測定した値であり、磁束密度に比例するホール素子43の出力電圧である。
 磁性管を測定する際、ユーザは検査プローブ4を磁性管の開口から挿入し、反対側の開口まで移動(掃引)させる。これにより、長手方向に沿う磁性管の各位置における磁気特性値が測定される。上述の如く、検査プローブ4のヨーク41には複数のホール素子43が取り付けられており、測定装置3は長手方向の各位置において、長手方向と直交する断面上の各位置の磁気特性値を測定する。具体的には、複数のホール素子43が円筒状のヨーク41の外周上に周期的に取り付けられており、測定装置3は、円筒状の磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置の磁気特性値を測定する。
 なお、本実施の形態では磁性管が円筒状の管であるものとして説明するが、磁性管の断面形状は円形に限定されず、例えば四角形などであってもよい。すなわち、測定装置3は、検査プローブ4に備わる複数のホール素子43によって、磁性管の長手方向と直交する断面上の各位置の磁気特性値を測定可能であればよく、その「断面上の各位置」は、円筒状の磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置に限定されない。
 以下の説明では適宜、磁気センサとして機能するホール素子43を「チャンネル」と呼び、各ホール素子43にチャンネル番号を割り当てて、「CH1」、「CH2」、「CH3」、…「CH8」と記載する。
 上述の如く磁性管の測定が行われることで、図6左側に示すように、磁性管の長手方向に沿って連続する各チャンネルの磁気特性値(出力電圧)の波形データが観測される。なお、波形データの横軸は磁性管の長手方向(軸方向)の位置を、縦軸はホール素子43の出力電圧を表す。サーバ1は、当該波形データを推定モデル50の入力に用いる。
 推定モデル50は、上記の測定データが入力された場合に、磁性管の肉厚情報を出力(推定)する。具体的には、推定モデル50は、磁性管の肉厚(厚さ)を推定する。本実施の形態では推定モデル50が取り扱う問題を分類問題と定義し、推定モデル50は、所定数値範囲(例えば1.0~2.3mm)で、所定長刻み(例えば0.1mm刻み)で磁性管の肉厚を分類する。なお、推定モデル50を回帰モデルとしてもよいことは勿論である。
 また、本実施の形態では推定モデル50は磁性管の肉厚を推定するものとするが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば推定モデル50は、磁性管の肉厚ではなく、健全部の肉厚から減肉部の肉厚を差し引いた減肉幅を推定してもよい。また、例えば推定モデル50は、減肉部の肉厚を健全部の肉厚で除算した減肉率を推定してもよい。また、例えば推定モデル50は、磁性管内の減肉部の位置、減肉範囲(長手方向及び/又は周方向に沿う減肉部の幅)、減肉形態(減肉の形状パターン)等を推定してもよい。
 また、本実施の形態では磁性管の減肉を推定対象とするが、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、錆等による肉厚の増加を推定対象としてもよい。
 このように、推定モデル50から出力される肉厚情報は、磁性管の肉厚に関連する情報であればよい。推定される肉厚情報は磁性管の肉厚自体に限定されず、また、推定対象とする欠陥は減肉に限定されない。
 例えば推定モデル50は、磁性管を長手方向に沿って一定長毎に分けた部分毎に、磁性管の肉厚を推定する。図6右側に、肉厚の推定結果を概念的に図示する。推定モデル50は、磁性管を一定長(例えば3cm)毎に区切り、各部分の肉厚の最小値を推定する。なお、推定モデル50は一定長毎に区切らず連続的に肉厚を推定してもよく、最小値以外の値(例えば各部分の肉厚の最大値、平均値等)を推定してもよい。また、推定モデル50は、チャンネル毎に肉厚の最大値を推定してもよく、全てのチャンネルを合わせた肉厚の最小値を代表値として推定してもよい。
 なお、上記では磁性管の長手方向の各位置における断面上の各位置(各チャンネル)の磁気特性値を推定モデル50に入力するものとしたが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、磁性管の長手方向において単一の位置(断面)の磁気特性値のみを推定モデル50に入力し、当該位置の肉厚情報を推定するようにしてもよい。また、例えばサーバ1は、磁性管の断面上において単一の位置(チャンネル)の磁気特性値のみを推定モデル50に入力し、当該位置の肉厚情報を推定するようにしてもよい。
 サーバ1は、訓練用の測定データ群に対し、肉厚情報の正解値(ラベル)が対応付けられた訓練データを用いて、推定モデル50を生成する。訓練用の測定データは、測定装置3による一又は複数の磁性管の実測データであり、長手方向の各位置で磁気特性値を測定した各チャンネルの波形データである。具体的には、訓練用の測定データは、ある径方向(断面上の位置)を0°として、CH1がおよそ0°、90°、180°、及び270°となるように周方向における検査プローブ4の相対位置を変化させながら、磁性管の両端から検査プローブ4を挿入して測定したデータである。つまり、磁性管一本当たり4×2=8通りの測定を行ったデータである。正解値は、3D形状測定器を用いて磁性管の肉厚を測定したデータであり、磁性管の管端から0.2mmピッチで、約23μm刻みで肉厚を測定したデータである。サーバ1は、訓練用の測定データに対し、各部分の肉厚の正解値が付与された訓練データを用いて推定モデル50を生成する。
 図7は、データ拡張処理に関する説明図である。サーバ1は、検査プローブ4で測定した生の測定データのみを推定モデル50の入力に用いてもよいが、本実施の形態では肉厚情報の推定精度を向上させるべく、生の測定データに一定の前処理を施し、前処理後の測定データを推定モデル50の入力に用いる。また、サーバ1は、上述の訓練データ(実測データ)のみを学習するようにしてもよいが、本実施の形態では学習データ数を増やすため、訓練用の測定データ(実測データ)を拡張する。サーバ1は、拡張した訓練データを学習し、推定モデル50を生成する。図7の(a)~(d)では、前処理後の測定データが拡張されていく様子を概念的に図示している。
 図7の(a)では、訓練用の測定データに、平均値、標準偏差等の要約統計量が追加されると共に、磁気特性値を正規化及び補正したデータが追加された、前処理後のデータを概念的に図示している。図7に基づき、測定データの前処理について説明する。
 サーバ1は、生の測定データとして、磁気特性値を測定した長手方向の位置と、各チャンネルの生の測定値(図7の(a)の「CH1」、「CH2」、…「CH8」)とを用いる。なお、測定値だけでなく長手方向の位置を用いるのは、磁性管の管端(出入口)ではホール素子43の出力電圧が激しく変化するため、管端の位置も説明変数とするためである。生の測定データに対し、サーバ1はまず、最大値となる磁性管外(空気中)での磁気特性値と、最小値となる健全部での磁気特性値とが全てのチャンネル(周方向に沿う全ての位置)で一致するように、各チャンネルの磁気特性値を正規化する(図7の(a)の中段)。具体的には、サーバ1は、磁性管外でのホール素子43の出力電圧が1Vとなり、健全部での出力電圧が0Vとなるように補正する。なお、P型では磁性管外で最小となり、健全部で最大となる。磁気特性値を正規化することで、各ホール素子43に固有の感度のばらつきを是正すると共に、ホール素子43に対する温度の影響を是正することができる。
 次にサーバ1は、検査プローブ4のリフトオフ(及び全面減肉部)の影響を最小限にするため、各チャンネルの測定データを補正する(図7の(a)の下段)。
 図8は、測定データの補正処理に関する説明図である。図8左側には補正前の測定データを、図8右側には補正後の測定データを図示している。測定時において検査プローブ4が磁性管の中心軸を通ることが望ましいが、実際には図8左側に示すように、磁性管内の検査プローブ4の位置はユーザの操作に依存し、各チャンネルCH1、CH2、CH3…と管壁との間の間隔は異なる場合が多い。そこでサーバ1は、各チャンネルの磁気特性値を、検査プローブ4が磁性管の中心軸を通ったと仮定した場合のデータに補正することで、リフトオフの影響を最小限に抑える。
 具体的には、サーバ1は、チャンネル毎に長手方向の移動平均を取ることで測定データを平滑化し、各チャンネルのベースラインを特定する。そしてサーバ1は、各チャンネルのベースラインの平均値が一致するように、各チャンネルの値を補正する。すなわち、サーバ1は、平滑化した各チャンネルの波形形状がほぼ一致するように、波形の高さを調整する。なお、移動平均を取る長手方向の長さ及び平均化数は磁性管の長さ(全長)に応じて調整される。
 更にサーバ1は測定データから、出力電圧がなだらかに変化する部分、すなわち全面減肉部のデータを除去することで、局所的な減肉部のみのデータに補正すると好適である。なお、全面減肉部とは、ホール素子43の出力電圧(磁気特性値)の変化が一定以下の部分を指す。例えばサーバ1は、全チャンネルのベースラインの平均値を求めることで全面減肉部が存在する長手方向の範囲を特定し、当該範囲の出力電圧を健全部の値(すなわち0V)に置換することで、全面減肉部のデータを除去する。これにより、全面的な減肉部の電圧変化がカットされ、局所減肉部(出力電圧の変化が一定以上の部分)のみのデータに調整することができる。
 図7に戻って説明を続ける。上述の如くサーバ1は、生の測定データを正規化したデータと、リフトオフ(及び全面減肉部)の影響を除去した補正データとを生成する。サーバ1は、正規化データ及び/又は補正データのみを推定モデル50の入力に用いてもよいが、本実施の形態では、生の測定データ、正規化データ、及び補正データの3種類のデータ全てを入力に用いる。
 サーバ1は、3種類の各データに、所定の要約統計量を加えたデータを推定モデル50に用いる。要約統計量は、平均値、標準偏差、歪度及び/又は尖度であるが、これらに限定されるものではない。サーバ1は、長手方向及び/又は周方向の各位置における磁気特性値から、長手方向及び/又は周方向に沿う平均値、標準偏差、歪度及び/又は尖度を算出し、データに加える。
 すなわち、サーバ1は、磁性管の周方向に沿う各位置(チャンネル)の平均値、標準偏差、歪度及び尖度を算出し、データに加える。また、サーバ1は、磁性管の長手方向に沿う複数位置(例えば10点、20点、30点、40点及び50点)の移動平均、移動標準偏差、移動歪度及び移動尖度を算出し、データに加える。図7の表では、「平均値」、「標準偏差」、「歪度」及び「尖度」が周方向の要約統計量に相当し、「10点移動平均」及び「20点移動平均」が長手方向の要約統計量(移動平均)に相当する。図示の便宜上、図7では移動標準偏差、移動歪度及び移動尖度を図示していない。これらの要約統計量を加えることで、肉厚情報の推定精度を向上させることができる。特に本願発明者の研究に依れば、歪度及び尖度を加えることで、推定誤差を小さくすることができた。
 このように、サーバ1は生の測定データに一定の前処理を施し、前処理後の測定データを推定モデル50の入力に用いる。最終的な前処理後の測定データは、N行×275列(Nは長手方向に沿う測定点数)の行列データとなる。実際に磁性管の測定データから推定モデル50により肉厚情報を推定する場合も同様に、サーバ1は、端末2から取得する測定データに前処理を施し、前処理後のデータを推定モデル50に入力する。
 学習時においてサーバ1は、学習データ数を増加させるため、図7の(a)に示す測定データを拡張していく。サーバ1は、第1のデータ拡張処理として、磁気特性値を測定した磁性管の断面上の位置を周方向に沿ってずらすことで、複数パターンの測定データを生成する。具体的には、サーバ1は、各チャンネルの測定データのチャンネル番号をずらすことで測定データを生成する。図7の(b)に、第1のデータ拡張処理を概念的に図示する。サーバ1はまず、チャンネル番号を一つずらし、CH1のデータをCH2に、CH2のデータをCH3に、…CH8のデータをCH1にした測定データを生成する。次にサーバ1は、チャンネル番号を2つずらし、CH1のデータをCH3に、CH2のデータをCH4に、…CH8のデータをCH2にした測定データを生成する。以下同様にして、サーバ1はチャンネル番号をずらし、データ数を8倍にする。これにより、CH1で減肉部を検出した場合の測定データを元に、CH2で減肉部を検出した場合の測定データ、CH3で減肉部を検出した場合の測定データ、…を生成することができ、減肉部を検出したチャンネル(磁性管の断面上の位置)の偏りを是正することができる。
 次にサーバ1は、第2のデータ拡張処理として、測定データに複数パターンの所定のノイズを付加することで、複数パターンの測定データを生成する。図7の(c)に、第2のデータ拡張処理を図示する。例えばサーバ1は、測定データに10パターンのガウシアンノイズ(平均0、分散0.02)を付加することで、データ数を10倍にする。これにより、図7の(c)右側に示すように、一のチャンネルと他のチャンネルとの間に減肉部が位置する場合のように、微小な減肉部の位置ずれを再現し、推定モデル50に学習させることができる。
 サーバ1は、第3のデータ拡張処理として、磁気特性値を測定する際のサンプリングレートを変更した測定データを生成する。図7の(d)に、第3のデータ拡張処理を図示する。サーバ1は、訓練用の測定データに対し、長手方向において連続する2点の間の線形補間を行い、2点間の位置の磁気特性値を近似する。例えばサーバ1は、サンプリングレートが1倍~6倍の測定データを生成すべく、1点補間、2点補間、…20点補間したデータを生成する。これにより、検査プローブ4の移動速度(掃引速度)の変化を再現し、推定モデル50に学習させることができる。
 なお、図7の(b)~(d)の表では便宜上、各チャンネルの測定値(「CH1」、「CH2」、…)のみを図示しているが、上述の要約統計量等を含めてデータを拡張することは勿論である。
 サーバ1は、第1~第3のデータ拡張処理を行うことで、測定データのデータ数を8×10×6=480倍に拡張する。これにより、学習データ数を増やすことができると同時に、チャンネルの偏り、微小な減肉部の位置ずれ、移動速度の変化などを推定モデル50に学習させることができる。
 図6に戻って説明を続ける。サーバ1は、拡張後の測定データを訓練データに用いて推定モデル50を生成する。サーバ1は、測定データ(磁気特性値)を推定モデル50の入力としてもよいが、図6に示すように、本実施の形態では測定データを画像に変換し、当該画像を推定モデル50の入力とする。
 図9は、画像変換処理に関する説明図である。図9では、測定データを画像に変換する様子を図示している。本実施の形態においてサーバ1は、磁性管内の各位置の磁気特性値を各画素の画素値で表現した画像を生成し、推定モデル50の入力として用いる。
 具体的には、サーバ1は、各位置の磁気特性値を各画素の色(例えばRGB)で表現した画像を生成する。当該画像は、画像の縦軸(第1軸)が磁性管の長手方向の位置に相当し、横軸が長手方向と直交する磁性管の断面上の位置、すなわちチャンネルに相当する。例えばサーバ1は、磁性管の長手方向に沿う各位置を行、各チャンネルの生の測定値、正規化した値、補正値、及び要約統計量を列で表す行列形式の測定データ(図7参照)を所定行数(例えば224行)ずつで区切る。そしてサーバ1は、画像の左端から1~224行目の測定データ、225~448行目の測定データ、…を順次格納することで、各位置での測定データを画像内の各画素に割り当てていく。最終的に画像内の画素に残余がある場合、サーバ1は残余部分のR、G、Bの値を0に設定する。なお、第3のデータ拡張時のサンプリングレートによっては、大部分が0になる場合もある。
 サーバ1は、訓練用の測定データからR、G、Bの各色相の色相画像を生成し、各色相画像を合成することで最終的な入力画像を生成する。具体的には、サーバ1は測定データから、乗指数が互いに異なる複数パターンの磁気特性値のべき乗値を算出し、各パターンのべき乗値を各色相に割り当てることで、各色相画像を生成する。
 例えばサーバ1は、磁性管内の各位置の磁気特性値について、0乗値、1乗値、及び2乗値を算出する。そしてサーバ1は、各べき乗値をR、G、Bに割り当てる。図9では、1乗値がRに、2乗値がGに、0乗値がBに割り当てられる場合を図示している。サーバ1は、各位置の磁気特性値のべき乗値を、その位置に応じた画素の画素値として格納することで、各色相画像を生成する。サーバ1は、各色相画像を合成し、最終的な入力画像を生成する。
 以下の説明では、各色相画像を合成した画像を「合成画像」と呼ぶ。
 なお、上記の画像変換方法は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、最終的な合成画像をRGB画像ではなくCMYK画像として、0~4乗値を各色相に割り当てて合成画像を生成するようにしてもよい。また、べき乗値を割り当てる色相は原色(RGB)に限定されない。また、べき乗値の乗指数は自然数に限定されず、自然数以外の実数(例えば1.5乗)であってもよい。また、サーバ1は、べき乗値を算出することなく、磁性管内の各位置の磁気特性値を各画素に格納しただけの単色の画像を生成するようにしてもよい。また、サーバ1は、磁気特性値を色ではなく他の画素値(例えばグレースケール)で表現してもよい。このように、サーバ1は、磁性管内の各位置の磁気特性値に応じて各画素の画素値を割り当てた画像を生成可能であればよく、その生成方法は特に限定されない。
 学習時においてサーバ1は、色相による過学習を防止すべく、各べき乗値を各色相に割り当てる際の全ての組み合わせについて合成画像を生成する。すなわち、サーバ1は、0乗値をRに、1乗値をGに、2乗値をBに割り当てた合成画像以外に、0乗値をGに、1乗値をBに、2乗値をRに割り当てた合成画像、0乗値をBに、1乗値をRに、2乗値をGに割り当てた合成画像、…というように、6パターンの合成画像を生成する。サーバ1は、各組み合わせの合成画像を推定モデル50に学習させることで、色相による過学習を防止する。
 図6に戻って説明を続ける。サーバ1は、訓練用に与えられた各測定データについてデータ拡張を行い、拡張後の各測定データを合成画像に変換する。そしてサーバ1は、各合成画像と、各合成画像に対応する肉厚情報の正解値とを訓練データに用いて、推定モデル50を生成する。
 すなわち、サーバ1は、訓練用の合成画像を推定モデル50に入力することで肉厚情報の推定値を取得し、推定値を正解値と比較する。サーバ1は、推定値と正解値とが近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを更新する。サーバ1は、合成画像及び正解値の各ペアを用いて順次学習を行い、最終的に重み等を最適化した推定モデル50を生成する。
 本実施の形態においてサーバ1は、訓練用の測定データにおいて測定対象となった磁性管に応じて測定データを学習し、各種磁性管に応じた複数の推定モデル50を生成する。具体的には、サーバ1は、測定対象の磁性管に関する磁性管情報に応じて測定データを別々に学習し、磁性管情報に応じた複数の推定モデル50を生成する。
 磁性管情報は、磁性管の状態又は属性を示す情報であり、例えば磁性管の減肉形態、寸法、及び材質である。なお、これらは磁性管情報の一例であって、その他の情報であってもよい。減肉形態は磁性管の減肉部の状態であり、減肉部の形状パターン(例えば減肉部の断面形状が矩形状であるか、半球状であるか等)で規定される。寸法は磁性管の径及び長さで規定される。材質は磁性管を形成する磁性体の種類で規定される。
 サーバ1は、これらの磁性管情報に応じて訓練データを別々に学習し、磁性管の減肉形態、寸法等に応じた推定モデル50を生成する。なお、本実施の形態では複数の推定モデル50を生成するものとするが、磁性管情報の相違に関わらず訓練データを一の推定モデル50に学習させ、単一の推定モデル50で肉厚情報を推定するようにしてもよい。
 実際に推定モデル50を用いて肉厚情報を推定する場合、サーバ1は、ユーザが測定した磁性管の測定データを端末2から取得し、推定モデル50に測定データを入力することで肉厚情報を推定する。具体的には、サーバ1は測定データを取得すると共に、端末2を介して、測定対象の磁性管に関する磁性管情報の指定入力をユーザから受け付ける。サーバ1は、指定された磁性管情報に応じて複数の推定モデル50からいずれかを選択する。サーバ1は、取得した測定データから各色相の色相画像を生成し、各色相画像を合成した合成画像を生成する。サーバ1は、上記で選択した推定モデル50に合成画像を入力することで、磁性管を長手方向に沿って一定長毎に分けた各部分の肉厚を推定する。サーバ1は、推定した肉厚情報を端末2に返信し、表示させる。
 なお、肉厚情報を推定する際の端末2の動作(表示画面等)について、詳しくは実施の形態2で説明する。
 以上より、本実施の形態によれば、推定モデル50を用いることで磁性管の減肉状態(肉厚情報)を好適に推定し、ユーザに提示することができる。
 図10は、推定モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。図10に基づき、機械学習により推定モデル50を生成する処理内容について説明する。サーバ1の制御部11は、磁性管の磁気特性値を測定した測定データ群に対し、磁性管の肉厚に関する肉厚情報の正解値が対応付けられた訓練データを取得する(ステップS11)。測定データは、磁性管の長手方向に沿う各位置において、長手方向と直交する断面上の各位置(円筒状の磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置)を測定したデータである。磁気特性値は、磁場を発生させる磁石42と、磁石42に対して磁性管とは反対側に配置されるヨーク41と、ヨーク41及び磁性管の間に配置され、ヨーク41、磁石42及び磁性管を通過する磁束密度を測定するホール素子43(磁気センサ)とを備える検査プローブ4を用いて測定した測定値であって、磁束密度に比例するホール素子43の出力電圧である。肉厚情報は、例えば磁性管を長手方向に沿って一定長毎に分けた各部分の肉厚(厚さ)である。
 制御部11は、訓練用の測定データに対し、前処理を施す(ステップS12)。具体的には、制御部11は、磁性管外での磁気特性値と、健全部での磁気特性値とが各チャネルで一致するように、磁気特性値を正規化する。また、制御部11は、長手方向に沿って磁気特性値の移動平均を取ることで各チャネルのベースラインを特定し、各チャネルのベールラインの平均値が一致させることで、検査プローブ4が磁性管の中心軸を通る場合の磁気特性値に補正する。また、制御部11は、平均値、標準偏差等の要約統計量を測定データに追加する。
 制御部11は、測定データのデータ数を拡張する(ステップS13)。具体的には、制御部11は、各チャンネルで測定したデータのチャンネル番号をずらすことで、複数パターンの測定データを生成する。また、制御部11は、複数パターンの所定のノイズ(ガウシアンノイズ等)を測定データに付加することで、複数パターンの測定データを生成する。また、制御部11は、長手方向において連続する2点間の線形補間を行うことで、複数パターンの測定データを生成する。
 制御部11は、データ数を拡張した測定データを、画像の縦軸(第1軸)を長手方向に沿う位置とし、横軸(第2軸)を断面上の位置として、磁性管内の各位置の磁気特性値に応じて各画素の画素値を割り当てた画像に変換する(ステップS14)。具体的には、制御部11は、乗指数が互いに異なる複数パターンの磁気特性値のべき乗値を算出し、各べき乗値を互いに異なる色相に割り当てて、各色相の色相画像を生成する。そして制御部11は、各色相画像を合成した合成画像を生成する。制御部11は、各べき乗値を各色相に割り当てる際の全ての組み合わせについて合成画像を生成し、訓練データとする。
 制御部11は、生成した合成画像と、肉厚情報の正解値とに基づき、測定データを入力した場合に肉厚情報を推定する推定モデル50を生成する(ステップS15)。例えば制御部11は、CNN等のニューラルネットワークを推定モデル50として生成する。制御部11は、ステップS14で生成した合成画像を推定モデル50に入力することで肉厚情報の推定値を取得し、取得した推定値を正解値と比較して、両者が近似するように推定モデル50の重み等のパラメータを最適化する。制御部11は一連の処理を終了する。
 図11は、肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。図11に基づき、推定モデル50を用いて肉厚情報を推定する処理内容について説明する。サーバ1の制御部11は、端末2から、肉厚情報の推定に用いる推定モデル50の選択入力を受け付ける(ステップS31)。具体的に、制御部11は、磁性管の減肉形態、寸法、及び材質を指定する指定入力を受け付ける。制御部11は、指定された磁性管情報に対応する推定モデル50を選択する。
 制御部11は、磁性管の測定データを端末2から取得する(ステップS32)。制御部11は、取得した測定データに対して前処理を施す(ステップS33)。制御部11は、前処理後の測定データを画像に変換する(ステップS34)。具体的には、制御部11は、乗指数が互いに異なる磁気特性値のべき乗値を各色相に割り当て、各色相画像を合成した合成画像を生成する。
 制御部11は、ステップS34で変換した画像を推定モデル50に入力することで、磁性管の肉厚情報を推定する(ステップS35)。例えば制御部11は、磁性管を長手方向に沿って一定長毎に分けた各部分の肉厚を推定する。制御部11は、推定した肉厚情報を端末2に送信し(ステップS36)、一連の処理を終了する。
 以上より、本実施の形態1によれば、磁性管の状態を好適に推定することができる。
(変形例1)
 実施の形態1では、磁性管の測定データを画像に変換し、推定モデル50に入力する形態について説明した。変形例1では、元の測定データをそのまま推定モデル50の入力に用いる形態について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
 図12は、変形例1の概要を示す説明図である。図12では、磁性管の測定データから減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出し、ピーク部分のデータを推定モデル50に入力することで肉厚情報を推定する様子を図示している。図12に基づき、本変形例の概要を説明する。
 本変形例においてサーバ1は、推定モデル50として、画像ではなく元の測定データ(磁性管内の各位置の磁気特性値)をそのまま取扱い可能なモデルを構築する。例えばサーバ1は、kNN(k近傍法)に係るモデルを推定モデル50として構築する。
 なお、本変形例では推定モデル50がkNNに係るモデルであるものとして説明するが、推定モデル50は元の測定データを取扱い可能なモデルであればよく、例えばSVM、ランダムフォレスト、線形分類器(Linear Classifier)等であってもよい。
 サーバ1は、実施の形態1と同様の訓練データに基づき、推定モデル50を生成する。なお、サーバ1は、訓練用の測定データに対して主成分分析等を行い、次元数を削減すると好適である。推定モデル50に入力する測定データの次元数を削減することで、サーバ1の処理負荷を軽減することができる。なお、次元数の削減(主成分分析)を行うか否かはユーザが任意に選択可能としてもよい。
 ここでサーバ1は、長手方向に沿う全ての位置の磁気特性値をそのまま推定モデル50に入力するようにしてもよいが、本実施の形態では、一部分の測定データのみを抽出して推定モデル50の入力とする。具体的には、サーバ1は、減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出し、推定モデル50の入力とする。
 図12に、元の測定データからピーク部分のデータを抽出する様子を図示する。サーバ1は、測定データに相当するホール素子43の出力電圧の波形から、出力電圧が変化している部分、すなわちピーク部分のデータを抽出する。
 ピーク部分のデータの抽出方法は特に限定されないが、例えばサーバ1は、出力電圧の移動平均を取ることでベースライン(平波形)を特定し、当該ベースラインに応じてピーク部分を特定する。具体的には、サーバ1は、ベースラインとの差分が所定の閾値以上になる部分をピーク部分として特定する。なお、図12に示すように、ホール素子43が減肉部に差し掛かった場合、出力電圧は正の値に上昇した後に負の値へ下降するが、本変形例では、出力電圧が正の値を取り、波形が上に凸となる部分のみをピーク部分として特定する。
 サーバ1は、特定したピーク部分のデータを磁性管全体の測定データから抽出し、推定モデル50の入力とする。これにより、推定モデル50が処理するデータ量を減らしつつ、減肉部の肉厚情報を好適に推定することができる。
 なお、本変形例におけるピーク部分のデータ抽出を実施の形態1に適用し、ピーク部分のデータのみを入力画像を変換し、実施の形態1に係る推定モデル50の入力としてもよい。
 サーバ1は、訓練用の測定データからピーク部分のデータを抽出し、抽出したピーク部分のデータと、当該ピーク部分に相当する位置の肉厚情報の正解値とに基づき、推定モデル50を生成する。すなわち、サーバ1は、肉厚情報の正解値(正解の肉厚を示す正解ラベル)を付与したピーク部分のデータを特徴量空間にマッピングする。そしてサーバ1は、k近傍法に係る任意の値kを設定することで、ピーク部分のデータから肉厚情報を推定するためのデータセットを構築する。
 肉厚情報を推定する場合、サーバ1は、端末2から取得した測定データからピーク部分のデータを抽出し、特徴量空間にマッピングする。そしてサーバ1は、マッピングした位置の近傍に位置するk個のデータ(正解ラベルが付与されたピーク部分のデータ)を識別し、当該k個のデータに付与されている肉厚情報の正解値から、推定対象の磁性管の肉厚情報を推定する。
 図13は、変形例1に係る推定モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。測定データのデータ数を拡張した後(ステップS13)、サーバ1は以下の処理を実行する。サーバ1の制御部11は、磁性管の長手方向に沿う各位置の磁気特性値の測定データから、減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出する(ステップS201)。具体的には、制御部11は、磁性管全体の測定データからベースラインを特定し、ベースラインとの差分が所定の閾値以上となるピーク部分のデータを抽出する。
 制御部11は、ステップS201で抽出したピーク部分のデータと、肉厚情報の正解値とに基づき、推定モデル50を生成する(ステップS202)。具体的には、制御部11は、kNNに係るモデルを生成する。制御部11は、肉厚情報の正解値(正解ラベル)を付与したピーク部分のデータを特徴量空間にマッピングし、任意の値kを設定することで、ピーク部分のデータから肉厚情報を推定するためのデータセットを推定モデル50として生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
 図14は、変形例1に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。測定データに対して前処理を施した後(ステップS33)、サーバ1は以下の処理を実行する。サーバ1の制御部11は、磁性管の長手方向に沿う各位置の磁気特性値の測定データから、減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出する(ステップS221)。具体的には、制御部11は、磁性管全体の測定データからベースラインを特定し、ベースラインとの差分が閾値以上となるピーク部分のデータを抽出する。制御部11は、抽出したピーク部分のデータを推定モデル50に入力することで、減肉部の肉厚情報を推定する(ステップS222)。具体的には、制御部11は、ピーク部分のデータを特徴量空間にマッピングし、近傍に位置するk個のデータの肉厚情報の正解値から、推定対象の磁性管の減肉部の肉厚情報を推定する。制御部11は処理をステップS36に移行する。
 以上より、変形例1によれば、測定データを画像化せず、元の測定データのままで肉厚情報を推定することもできる。特に本変形例では、減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出することで、減肉部の肉厚情報を好適に推定することができる。
(変形例2)
 本変形例では、アンサンブル学習の手法を用いて推定モデル50を生成する形態について説明する。
 図15は、変形例2の概要を示す説明図である。図15では、変形例1で説明したピーク部分のデータから更に、所定長のデータ区間を磁性管の長手方向に沿って少しずつずらした複数のデータ区間のデータを抽出し、各区間のデータを推定モデル50に入力することで肉厚情報を推定する様子を図示している。図15に基づき、本変形例の概要を説明する。
 本変形例においてサーバ1は、アンサンブル学習の手法を用いて推定モデル50を生成する。具体的には、サーバ1は勾配ブースティングの手法を用いて、決定木(例えばLightGBM)に係るモデルを推定モデル50として生成する。
 勾配ブースティングはアンサンブル学習の一種であり、複数の弱識別器(モデル)を逐次生成することで最終的なモデルを生成する手法である。サーバ1は、訓練データを用いて一の弱識別器(決定木)を生成し、生成した弱識別器による推定値と正解値との残差に基づいて次の弱識別器を生成する。サーバ1は、前の弱識別器の学習結果を考慮するように、推定値と正解値との誤差によって定義される損失関数の勾配を参照して弱識別器を逐次生成し、最終的な識別器、すなわち推定モデル50を生成する。
 なお、本変形例ではアンサンブル学習として勾配ブースティングを用いるが、例えば複数の弱識別器を並列的に生成するバギングなど、他のアンサンブル学習の手法を用いてもよい。また、変形例1に係る推定モデル50にアンサンブル学習を適用し、kNN、SVM等のモデルを生成する際にアンサンブル学習を実施するようにしてもよい。
 サーバ1は、変形例1で説明したピーク部分のデータ(あるいは磁性管全体の測定データ)を推定モデル50の入力としてもよいが、本変形例では更に、ピーク部分を所定長のデータ区間毎に分け、各データ区間のデータを推定モデル50に入力する。
 図15に、ピーク部分のデータから、複数のデータ区間のデータを抽出する様子を図示している。当該データ区間は、磁性管の長手方向に沿う測定点の区間であって、ピーク部分の一部を構成する区間である。例えばサーバ1は、連続する10点の測定点を一のデータ区間とする。なお、データ区間を構成する測定点の数は10点に限定されない。
 サーバ1は、抽出対象とするデータ区間を長手方向に沿って逐次ずらし、各データ区間のデータをピーク部分から抽出する。例えばサーバ1は、ベースラインとの差分が閾値以上となるピーク部分の開始点から10点分のデータを最初のデータ区間のデータとして抽出する。サーバ1は、抽出対象とするデータ区間の開始点を所定数(例えば一つ)ずつずらし、各データ区間のデータを抽出していく。これによりサーバ1は、一のピーク部分のデータから複数のデータ区間のデータを抽出する。
 サーバ1は、一のピーク部分について肉厚情報を推定する際、抽出した複数のデータ区間のデータを推定モデル50に入力することで肉厚情報を推定する。これにより、減肉部の肉厚をより好適に推定することができる。
 図16は、変形例2に係る推定モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。測定データを拡張した後(ステップS13)、サーバ1は以下の処理を実行する。サーバ1の制御部11は、長手方向に沿って測定された磁性管全長の測定データから、減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出する(ステップS301)。更に制御部11は、ピーク部分のデータから、複数のデータ区間のデータを抽出する(ステップS302)。具体的には、制御部11は、抽出対象とする所定長のデータ区間をピーク部分の開始点から長手方向に沿って逐次ずらし、各データ区間のデータを抽出する。
 制御部11は、ステップS302で抽出した複数のデータ区間のデータと、ピーク部分(減肉部)における肉厚情報の正解値とに基づき、推定モデル50を生成する(ステップS303)。具体的には、制御部11は、勾配ブースティングの手法を用いて決定木を生成する。制御部11は、訓練データ(複数のデータ区間のデータ及び肉厚情報の正解値)を用いて一の弱識別器(決定木)を生成し、生成した弱識別器による肉厚情報の推定値と正解値との残差に基づき、次の弱識別器を生成する。制御部11は、推定値と正解値との残差によって定義される損失関数の勾配に応じて弱識別器を逐次生成し、最終的な識別器、すなわち推定モデル50を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
 図17は、変形例2に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。測定データに対して前処理を施した後(ステップS33)、サーバ1は以下の処理を実行する。サーバ1の制御部11は、長手方向に沿う各位置の磁気特性値の測定データから、減肉部に相当するピーク部分のデータを抽出する(ステップS321)。制御部11は、ピーク部分のデータから、複数のデータ区間のデータを抽出する(ステップS322)。制御部11は、抽出した複数のデータ区間のデータを推定モデル50に入力することで、減肉部の肉厚情報を推定する(ステップS323)。制御部11は処理をステップS36に移行する。
 以上より、変形例2によれば、勾配ブースティングに係るアンサンブル学習を用いて推定モデル50を生成することもできる。また、ピーク部分のデータを複数のデータ区間のデータに分けて推定モデル50に入力することで、ピーク部分(減肉部)の肉厚情報をより好適に推定することができる。
(変形例3)
 変形例2とは異なるアンサンブル学習の手法を用いる例について説明する。一般的なアンサンブル学習としては、同一のデータセットを、学習機構が異なる複数のモデルに入力し、これらの複数のモデルからの出力の平均、または、これらの複数のモデルからの多数決出力を、学習結果とすることが知られている。
 変形例3では、このような学習とは異なり、入力すべきデータを複数のセットに分割し、分割された各セットを異なる各対応モデルにそれぞれ入力し、各対応モデルの出力を更に別のモデルに入力し、その別のモデルの出力を学習結果としている。
 図18は、変形例3の概要を示す説明図である。図18に示すように、変形例3における推定モデルには、測定データ及び磁性管の残存肉厚が所定値より薄い肉厚情報に主に基づいて学習された薄肉特化型モデル50a(Bag Tree-A)と、測定データ及び磁性管の残存肉厚が所定値より厚い肉厚情報に主に基づいて学習された厚肉特化型モデル50b(Bag Tree-B)と、薄肉特化型モデル50a及び厚肉特化型モデル50bの出力を入力とする最終モデル50c(Bag Tree-C)とが含まれている。
 例えば、薄肉特化型モデル50aは、全データのうち、肉厚が0.1~0.8mmであるデータの90%と肉厚が0.8mmを超えるデータの10%とを対象としたモデルであり、厚肉特化型モデル50bは、全データのうち、薄肉特化型モデル50aで使用していない残りのデータを対象としたモデルである。このような例における両モデル50a、50bに対する重みづけの関係を図19に示す。
 なお、薄肉特化型モデル50aと厚肉特化型モデル50bとを分ける基準の肉厚を0.8mmとしたが、この基準の肉厚値は、一例に過ぎず、他の数値を採用しても良い。また、薄肉特化型モデル50aの対象として肉厚が所定値以下であるデータの90%と肉厚が所定値を超えるデータの10%とを採用することとしたが、この90%:10%という割合は一例に過ぎず、他の割合でも良い。
 図20は、変形例3における推定モデル(薄肉特化型モデル50a、厚肉特化型モデル50b及び最終モデル50c)の生成処理の手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、磁性管の測定データのうち、上述したような主に薄肉での測定データと、測定データに対応付けられた肉厚情報の正解値とを含む第1訓練データを取得する(ステップS401)。制御部11は、取得した第1訓練データ(測定データと肉厚情報の正解値)に基づき、測定データを入力した場合に第1肉厚情報を推定して出力する薄肉特化型モデル50aを生成する(ステップS402)。
 制御部11は、磁性管の測定データのうち、上述したような主に厚肉での測定データと、測定データに対応付けられた肉厚情報の正解値とを含む第2訓練データを取得する(ステップS403)。制御部11は、取得した第2訓練データ(測定データと肉厚情報の正解値)に基づき、測定データを入力した場合に第2肉厚情報を推定して出力する厚肉特化型モデル50bを生成する(ステップS404)。
 制御部11は、薄肉特化型モデル50aから出力される第1肉厚情報及び厚肉特化型モデル50bから出力される第2肉厚情報と、対応付けられた肉厚情報の正解値とを含む第3訓練データを取得する(ステップS405)。制御部11は、取得した第3訓練データ(第1及び第2肉厚情報と肉厚情報の正解値)に基づき、第1肉厚情報及び第2肉厚情報を入力した場合に肉厚情報を推定して出力する最終モデル50cを生成する(ステップS406)。
 図21は、変形例3における肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、端末2から、肉厚情報の推定に用いる推定モデル(薄肉特化型モデル50a、厚肉特化型モデル50b及び最終モデル50c)の選択入力を受け付ける(ステップS411)。具体的に、制御部11は、薄肉モデルと厚肉モデルとを分ける肉厚の境界値、薄肉モデルに含まれる厚肉の割合などを指定する指定入力を受け付ける。制御部11は、指定入力に対応する推定モデル(薄肉特化型モデル50a、厚肉特化型モデル50b及び最終モデル50c)を選択する。
 制御部11は、磁性管の測定データを端末2から取得する(ステップS412)。制御部11は、取得した測定データを、薄肉特化型モデル50aと厚肉特化型モデル50bとに入力する(ステップS413)。次いで、制御部11は、薄肉特化型モデル50aからの出力及び厚肉特化型モデル50bからの出力を、最終モデル50cに入力することで、磁性管の肉厚情報を推定する(ステップS414)。制御部11は、推定した肉厚情報を端末2に送信し(ステップS36)、一連の処理を終了する。
 なお、変形例3にあって、最終モデル50cを用いずに、薄肉特化型モデル50aからの出力と厚肉特化型モデル50bからの出力との平均を求め、求めた平均値を磁性管の推定した肉厚情報とするようにしても良い。
 変形例3によれば、薄肉側と厚肉側とで異なる適切なモデルを適用するようにしたので、より正確な肉厚情報を推定することが可能である。一般的に、薄肉側ではデータ量が少ない場合が多いが、このような場合でも、データ量が少ない薄肉側における肉厚情報の推定精度の向上を図れる。
(変形例4)
 変形例4は、MFR方式における磁束の乱れに伴うホール素子電圧の影響を低減するために、動的時間伸縮法を用いて、推定モデルの学習に使用される測定データを補正する手法に関する例である。
 まず、上記のMFR方式における磁束の乱れに伴うホール素子電圧の影響について説明する。図22は、この影響を説明するための説明図である。図22での磁性管の断面図に示すように、磁性管に深い局部減肉Aが生じているとする。このような磁性管内をNFR方式による検査プローブ4で走査した場合、減肉形状の変化に応じて、ホール素子43で検出されるべきMFR波形は理想的には波形Bとなるべきである。しかしながら、実際に検出されるMFR波形は波形Cのようになり、肉厚に非依存の箇所(特に、○で囲まれた箇所)が減肉部近傍に発現することがある。これは、磁性管の断面図に示すように、減肉部周辺で磁力線が歪んで磁力線の空白領域(破線Eで囲まれた領域)が発生するからである。
 上記のような問題点を解消するために、動的時間伸縮法を用いて、推定モデルの学習に使用される測定データを補正する。図23A,Bは、変形例4における動的時間伸縮法の概要を示す説明図である。図23A,Bにおいて、aは測定データ(検出電圧)の時系列波形を示しており、具体的には、3peak法による値(8チャンネルの場合、検出電圧が最大であるチャンネルの電圧値とそのチャンネルの両側の2つのチャンネルの電圧値との合計を8で除した値)の時系列波形を示す。bは、実測された目標変数としての肉厚値の時系列波形を示している。
 変形例4では、図23Bに示すように、3ピーク値(測定データ)と実測肉厚値(肉厚情報)とのユークリッド距離の和が最小となるように、3ピーク値(波形a)の時系列点と実測肉厚値(波形b)の時系列点とを結び付ける。例えば、波形bの時系列点iは、波形aの2点だけ移動した時系列点i+2への対応に変化する。
 図24は、上記のように補正された測定データを用いて学習した推定モデルに測定データを入力して肉厚情報を推定した結果を示す図である。図24において、波形Aは実際の測定データ(MFR波形)を示し、減肉形状Bは推定された肉厚情報(減肉形状)を示す。なお、図24では、動的時間伸縮法が用いられない場合の実際のMFR波形(図22の波形Cに相当)を波形Aに重ねて破線にて図示し、また、実際の減肉形状(図22に示す減肉形状に相当)を推定された減肉形状Bに重ねて破線にて図示している。
 変形例4にあっては、動的時間伸縮法を用いて、推定モデルの学習に使用される測定データを補正するようにしたので、上述したようなMFR方式における磁束の乱れに伴うホール素子電圧の影響を低減できて、高い精度にて磁性管の減肉形状を推定することができる。
(変形例5)
 変形例5は、主成分分析の手法を利用してデータ数を増加させる例である。図25は、変形例5におけるデータ拡張処理に関する説明図である。
 サーバ1は、8個のチャンネル(CH1~CH8)を有する検査プローブ4で測定した生の測定データ、及び、この生の測定データに対して演算処理を含む前処理を施して得られる第1グループデータ(図25に示す例では、磁性管の長手方向に沿う複数位置(10~50点)の移動平均、移動標準偏差、移動歪度、移動尖度、及び移動差分を含む)を推定モデル50の入力に用いてもよいが(図25(a)参照)、変形例5では、肉厚情報の推定精度を向上させるべく、これらの生の測定データと第1グループデータとに加えて、生の測定データ及び第1グループデータに対し主成分分析を実行して得られる第2グループデータを、推定モデル50の入力に用いる(図25(b)参照)。
 なお、図25に示す例では、第1グループデータ及び第2グループデータは、移動平均、移動標準偏差、移動歪度、移動尖度、及び移動差分としたが、これらに限定されるものではない。また、第2グループデータは第1グループデータと同種のデータ構成としたが、両グループのデータ構成が異なっていても良い。
 変形例5にあっては、主成分分析結果も加えてデータ数を増加させる図25に示す例では169変数から338変数に増加)ようにしたので、肉厚情報の推定精度を向上させることができる。
(実施の形態2)
 実施の形態1では、推定モデル50を用いて、磁性管の減肉等の欠陥を推定する欠陥推定システムについて説明した。本実施の形態では、ユーザが実際に本システムを利用して磁性管の欠陥を検査する際の実施形態について述べる。
 図26は、測定データのアップロード画面の一例を示す説明図である。図26では、端末2がサーバ1に測定データを送信(アップロード)する際の表示画面を図示している。アップロード画面は、モデル選択欄171、アップロードボタン172、提供可否選択欄173を含む。
 モデル選択欄171は、肉厚情報の推定に用いる推定モデル50を選択するための入力欄であり、推定対象(測定対象)の磁性管に関する磁性管情報の指定入力を受け付けるための入力欄である。例えばモデル選択欄171は、減肉形態指定欄1711、寸法指定欄1712、材質指定欄1713を含む。端末2は、各選択欄を介して磁性管の減肉形態、寸法、及び材質の指定入力を受け付ける。
 アップロードボタン172は、サーバ1に測定データを送信(アップロード)するためのボタンである。アップロードボタン172への操作入力を受け付けた場合、端末2は測定データをサーバ1に送信する。
 提供可否選択欄173は、本システムへの測定データの提供(利用)の可否を選択するための入力欄である。端末2は、提供可否選択欄173への操作入力に応じて、測定データの提供の可否に係る選択入力を受け付ける。測定データを提供する旨の選択入力を受け付けた場合、サーバ1は、端末2から取得した測定データを測定DB143に記憶する。後述するように、ユーザから提供された測定データは推定モデル50の再学習(更新)に用いられる。
 なお、提供可否の選択の有無に関わらず、各端末2から取得する測定データを全て推定モデル50の再学習に用いてもよい。
 図27は、肉厚情報の表示画面の一例を示す説明図である。図27では、推定モデル50に基づき推定された肉厚情報の表示画面を図示している。当該画面は、磁性管選択欄181、肉厚グラフ182、断面画像184、ダウンロードボタン185、第2測定データアップロードボタン186を含む。
 磁性管選択欄181は、肉厚情報を表示する磁性管を選択するための入力欄である。端末2は、磁性管選択欄181において選択された磁性管の肉厚情報を表示する。
 肉厚グラフ182は、推定モデル50に基づき推定された、磁性管の各部分の肉厚を示すグラフである。肉厚グラフ182は、横軸が磁性管の長手方向の位置を表し、縦軸が肉厚を表す。例えば端末2は、各チャンネルの肉厚の平均値を肉厚グラフ182に表示する。なお、端末2はチャンネル毎の肉厚を肉厚グラフ182に表示してもよい。
 断面画像184は、磁性管の長手方向と直交する断面を模擬した画像であり、肉厚情報に応じて断面上の各位置の肉厚を再現した画像である。上述の如く、サーバ1は、磁性管の長手方向に沿う各位置における各チャンネル(断面上の各位置)の肉厚を推定する。サーバ1は、推定した各チャンネルの肉厚を健全部の肉厚(肉厚グラフ182のベースライン)と比較することで、健全部よりも肉厚が薄い減肉部を検出する。そしてサーバ1は、健全部と減肉部との肉厚の差分である減肉幅を算出する。例えば端末2は、CH1を0時方向にした磁性管の断面を表示すると共に、減肉部が検出されたチャンネル(図27ではCH1)に対応する位置に、算出された減肉幅に応じた減肉部(凹部)を再現して表示する。
 例えば端末2は、肉厚グラフ182上にライン183を表示する。端末2は、ライン183を横軸に沿って移動させる操作を受け付けることで、断面画像184を表示する磁性管の長手方向の位置を指定する指定入力を受け付ける。端末2は、ライン183の位置に対応する磁性管の断面画像184を表示する。
 その他、端末2は、肉厚情報に基づき検出された減肉部の個数、減肉幅の最大値、平均値等を表示する。
 なお、図27に示す肉厚情報の表示画面は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば端末2は、肉厚グラフ182のように、磁性管内の各位置の肉厚を表示するのみであってもよい。また、例えば端末2は、肉厚グラフ182等において磁性管内の各位置の肉厚を表示する際に、推定モデル50による該当位置の肉厚の推定結果の信頼度(推定結果の確からしさを表す確率値)に応じて、各位置の肉厚の表示態様(例えば表示色)を変更してもよい。また、例えば端末2は、複数の減肉部を肉厚情報から検出した場合、各減肉部に対応する複数の断面画像184、184、184…を一覧表示してもよい。このように、肉厚情報の表示態様は図19に示す態様に限定されない。
 また、本実施の形態では端末2が専用画面に肉厚情報を表示するものとしたが、端末2は肉厚情報の推定結果を格納したファイル(例えばCSVファイル)をダウンロードするのみで、肉厚情報を表示せずともよい。
 ダウンロードボタン185は、肉厚情報の推定結果を格納したファイルをダウンロードするためのボタンである。ダウンロードボタン185への操作入力を受け付けた場合、端末2は、肉厚情報の推定結果を格納したファイルをサーバ1から取得する。
 第2測定データアップロードボタン186は、上述の測定データ(磁束抵抗法に基づく測定データ)以外の測定データである第2測定データをサーバ1にアップロードするボタンである。第2測定データアップロードボタン186への操作入力を受け付けた場合、端末2は第2測定データとして、水浸回転式超音波厚さ測定法(IRIS)による測定データをサーバ1に送信する。第2測定データについては後述する。
 上述の如く、サーバ1は、各ユーザの端末2から磁性管の測定データを取得し、肉厚情報を推定する。そしてサーバ1は、測定データの取得元である端末2に肉厚情報を送信し、表示させる。本実施の形態においてサーバ1は、各端末2から取得した測定データに基づき再学習を行い、推定モデル50を更新する。
 具体的には、サーバ1は、提供可否選択欄173により測定データを提供する旨の選択入力を受け付けた場合、端末2から取得した測定データを測定DB143に記憶しておく。サーバ1は、測定DB143に記憶された測定データを再学習用の訓練データとして用いる。サーバ1は、測定DB143に記憶した測定データと、当該測定データに対応する肉厚情報の正解値とに基づき、推定モデル50を更新する。
 再学習時の肉厚情報の正解値は、例えば図27の画面を介してユーザが手動で設定する等してもよいが、本実施の形態では、ユーザから提供される第2測定データを正解値として用いる。第2測定データは、磁性管内の各位置の肉厚を測定したデータであって、例えばIRISに係る測定データである。
 IRISは、超音波を用いてチューブ(磁性管)の肉厚を検査する手法であり、水を充填させたチューブに超音波探触子を備えたプローブを挿入し、プローブから発生させる超音波ビームの反射波を超音波探触子が検知することで、肉厚を測定する。IRIS自体は公知であるため、本実施の形態では詳細な説明を省略する。IRISは、本実施の形態に係る磁束抵抗法や、RFECT、MFL等のように磁気特性を利用した検査手法と比べて検査速度が遅いが、測定精度が比較的高いという特長を有する。
 本実施の形態においてサーバ1は、ユーザからIRISに係る測定データの提供を受けた場合、当該データを肉厚情報の正解値として用いる。すなわち、サーバ1は、磁束抵抗法に基づく測定データと、IRISに基づく第2測定データとのペアを再学習用の訓練データとする。
 サーバ1は、ユーザから提供された測定データに基づく肉厚情報の推定値を、第2測定データが示す肉厚、すなわち正解値と比較する。そしてサーバ1は、両者が近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを更新する。サーバ1は、ユーザから提供された各磁性管の測定データについて再学習を行い、推定モデル50を更新する。
 サーバ1は、全てのユーザの測定データを一の推定モデル50に再学習させてもよいが、各ユーザの端末2から取得した測定データを別々に学習し、ユーザ別に推定モデル50に更新すると好適である。すなわち、サーバ1は、各ユーザから提供された測定データを推定モデル50に別々に与え、各ユーザ用の推定モデル50を構築していく。これにより、各ユーザが測定(検査)する磁性管の傾向に応じて、推定モデル50を個別にチューニングすることができる。
 以上より、本システムの運用を通じて推定モデル50の推定精度を向上させることができる。
 サーバ1は、本システムを利用する各ユーザに対し、推定モデル50の利用料(料金)を課す。利用料は、例えば一定期間毎に定額(サブスクリプション)としてもよいが、本実施の形態では、推定モデル50に基づく肉厚情報の推定処理の計算量に応じて決定される。利用料決定の基準となる計算量は、例えば肉厚情報の推定回数(磁性管の本数)であるが、推定処理に要した計算時間、測定データのデータ量等であってもよい。サーバ1は、端末2から測定データを取得して肉厚情報を推定した場合、推定時の計算量に応じて、ユーザに課す利用料を決定する。サーバ1は、決定した利用料をユーザDB141に記憶し、最終的にユーザへ利用料を請求する。
 本実施の形態においてサーバ1は、測定データの提供(利用)の有無に応じて、当該利用料を変更する。具体的には、サーバ1は、肉厚情報推定の元となった測定データ(磁束抵抗法に基づく測定データ)を提供した場合、利用料を減算する。また、サーバ1は、当該測定データに対応する第2測定データ(IRISに基づく測定データ)を提供した場合、更に利用料を減算する。これにより、再学習用の訓練データの収集を効率良く行うことができる。
 図28は、実施の形態2に係る肉厚情報の推定処理の手順を示すフローチャートである。図28に基づき、本実施の形態に係るサーバ1及び端末2の処理内容について説明する。
 端末2の制御部21は、肉厚情報の推定に用いる推定モデル50の選択入力を受け付ける(ステップS501)。具体的には、制御部21は、磁性管の減肉形態、寸法、材質など、推定対象とする磁性管に関する磁性管情報の指定入力を受け付ける。また、制御部21は、推定モデル50の更新に係る測定データの利用(提供)の可否の選択入力を受け付ける(ステップS502)。制御部11は、ステップS501、S502の選択内容と共に、磁性管の測定データをサーバ1に送信する(ステップS403)。端末2から測定データを取得した場合、サーバ1の制御部11はステップS33~S35の処理を実行し、推定モデル50に基づき推定した肉厚情報を端末2に送信する(ステップS36)。
 サーバ1から肉厚情報を取得した場合、端末2の制御部21は、推定された肉厚情報を表示部24に表示する(ステップS504)。具体的には、制御部21は、磁性管の長手方向に沿う各位置(部分)の肉厚を肉厚グラフ182等で表示すると共に、長手方向の任意の位置における断面上の各位置(チャンネル)の肉厚を断面画像184等で表示する。
 制御部21は、ユーザからの操作入力に応じて、磁束抵抗法以外の方法で磁性管の肉厚を測定した第2測定データをサーバ1に送信する(ステップS505)。第2測定データは、例えばIRISに係る測定データであり、水を充填させた磁性管に超音波探触子を備えたプローブを挿入することで、プローブから発生させる超音波ビームの反射波を超音波探触子が検知したデータである。
 ステップS36の処理を実行後、サーバ1の制御部11は、ユーザに課す利用料(料金)を決定する(ステップS506)。具体的には、制御部11は、推定モデル50に基づく肉厚情報の推定処理の計算量(計算回数、計算時間、測定データのデータ量等)に応じて利用料を決定する。さらに制御部11は、測定データ及び第2測定データの提供(利用乃至取得)の有無に応じて、利用料を減算する。
 制御部11は、測定データを提供可能である旨の選択入力をユーザから受け付けた場合、ステップS403で送信された測定データを測定DB143に記憶する(ステップS507)。さらに制御部11は、ステップS405で第2測定データが送信された場合、第2測定データを測定データと対応付けて測定DB143に記憶する。
 制御部11は、測定DB143に記憶された測定データ及び第2測定データに基づき、推定モデル50を更新する(ステップS508)。すなわち、制御部11は、ユーザが測定した測定データを訓練用の入力データとし、第2測定データにおける肉厚の測定値を肉厚情報の正解値として用い、ニューロン間の重み等のパラメータを更新する。例えば制御部11は、各ユーザの端末2から取得した測定データを個別に学習し、ユーザ別に推定モデル50を更新する。制御部11は一連の処理を終了する。
 以上より、本実施の形態2によれば、本システムを好適に実施可能であると共に、本システムの運用を通じて推定モデル50を最適化していくことができる。
 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
 1   サーバ(情報処理装置)
 11  制御部
 12  主記憶部
 13  通信部
 14  補助記憶部
 P1  プログラム
 142 モデルDB
 143 測定DB
 2   端末(ユーザ端末)
 21  制御部
 22  主記憶部
 23  通信部
 24  表示部
 25  入力部
 26  補助記憶部
 P2  プログラム
 3   測定装置
 4   検査プローブ
 41  ヨーク
 42  磁石
 43  ホール素子(磁気センサ)
 50  推定モデル
 50a 薄肉特化型モデル
 50b 厚肉特化型モデル
 50c 最終モデル
 

Claims (35)

  1.  磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得し、
     前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する
     処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
  2.  前記磁気特性値は、磁場を発生させる磁石と、該磁石に対して前記磁性管とは反対側に配置されるヨークと、前記ヨーク及び磁性管の間に配置され、前記ヨーク、磁石及び磁性管を通過する磁束密度を測定する磁気センサとを備える検査プローブを用いて測定した測定値であって、前記磁束密度に比例する前記磁気センサの出力電圧である
     請求項1に記載の情報処理方法。
  3.  前記測定データは、前記ヨークの外周上に周期的に前記磁石及び磁気センサが取り付けられた前記検査プローブを用いて、円筒状の前記磁性管の長手方向に沿う各位置において、前記磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記磁性管外での前記磁気特性値が前記周方向に沿う全ての位置で一致し、かつ、減肉が生じていない前記磁性管の健全部での前記磁気特性値が前記周方向に沿う全ての位置で一致するように、前記磁気特性値を正規化し、
     前記磁気特性値を正規化した前記測定データを前記モデルに入力することで、前記肉厚情報を推定する
     請求項2に記載の情報処理方法。
  4.  前記測定データは、前記ヨークの外周上に周期的に前記磁石及び磁気センサが取り付けられた前記検査プローブを用いて、円筒状の前記磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記各位置の磁気特性値を、前記検査プローブが前記磁性管の中心軸を通る場合の値に補正し、
     前記磁気特性値を補正した前記測定データを前記モデルに入力することで、前記各位置における前記肉厚情報を推定する
     請求項2又は3に記載の情報処理方法。
  5.  前記測定データは、前記ヨークの外周上に周期的に前記磁石及び磁気センサが取り付けられた前記検査プローブを用いて、円筒状の前記磁性管の長手方向に沿う各位置において、前記磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記長手方向又は周方向の各位置の前記磁気特性値から、前記長手方向又は周方向に沿う前記磁気特性値の平均値、標準偏差、歪度又は尖度を算出し、
     前記平均値、標準偏差、歪度又は尖度を追加した前記測定データを前記モデルに入力することで、前記肉厚情報を推定する
     請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  6.  前記測定データは、前記磁性管の長手方向に沿う各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記測定データを前記モデルに入力することで、前記磁性管を前記長手方向に沿って一定長毎に分けた各部分の前記肉厚情報を推定する
     請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  7.  前記長手方向に沿って前記磁気特性値の移動平均を取ることで、前記測定データのベースラインを特定し、
     前記測定データから、前記ベースラインと前記磁気特性値との差分が所定の閾値以上であるピーク部分のデータを抽出し、
     抽出した前記ピーク部分のデータを前記モデルに入力することで、前記ピーク部分の前記肉厚情報を推定する
     請求項6に記載の情報処理方法。
  8.  前記測定データから、所定長のデータ区間を前記長手方向に沿って互いにずらした各データ区間のデータを抽出し、
     抽出した前記各データ区分のデータを前記モデルに入力することで、前記ピーク部分の肉厚情報を推定する
     請求項7に記載の情報処理方法。
  9.  前記測定データは、前記磁性管の長手方向に沿う各位置において、前記長手方向と直交する断面上の各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記測定データを、画像の第1軸を前記長手方向に沿う位置とし、第2軸を前記断面上の位置として、前記磁性管の各位置の前記磁気特性値に応じて各画素の画素値を割り当てた画像に変換し、
     前記画像を前記モデルに入力することで前記肉厚情報を推定する
     請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  10.  前記測定データから、乗指数が互いに異なる複数パターンの前記磁気特性値のべき乗値を、互いに異なる色相に割り当てた複数の色相画像を生成し、
     前記複数の色相画像を合成した合成画像を生成し、
     生成した前記合成画像を前記モデルに入力することで前記肉厚情報を推定する
     請求項9に記載の情報処理方法。
  11.  前記測定データにおける測定対象の前記磁性管に関する磁性管情報を取得し、
     前記磁性管情報に応じて異なる訓練データを学習済みの複数の前記モデルの内、取得した前記磁性管情報に対応する前記モデルを選択し、
     選択した前記モデルに前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する
     請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  12.  前記モデルは、測定データ及び前記磁性管の残存肉厚が所定値より薄い肉厚情報に主に基づいて学習された第1モデルと、測定データ及び前記磁性管の残存肉厚が前記所定値より厚い肉厚情報に主に基づいて学習された第2モデルと、前記第1モデルから出力される肉厚情報及び前記第2モデルから出力される肉厚情報を入力した場合に肉厚情報を出力するよう学習された第3モデルとを含み、
     取得した測定データを前記第1モデル及び第2モデルに入力し、前記第1モデル及び第2モデルからの出力を前記第3モデルに入力することで前記肉厚情報を推定する
     請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  13.  前記測定データは、該測定データと該測定データに対応する肉厚情報とのユークリッド距離の和が最小となるよう補正されており、
     前記モデルは、補正後の測定データおよび肉厚情報に基づき学習されている
     請求項1~12のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  14.  前記測定データは、前記磁性管の周方向に設けられた複数のセンサから得られたセンサデータ、該センサデータに対して演算処理を含む前処理を施して得られる第1グループデータ、及び、前記センサデータ及び第1グループデータに対し主成分分析を実行して得られる第2グループデータを含み、
     前記センサデータ、第1グループデータ及び第2グループデータを、前記モデルに入力することで前記肉厚情報を推定する
     請求項1~13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  15.  磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得し、
     前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する
     処理をコンピュータに実行させるプログラム。
  16.  磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得する取得部と、
     前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する推定部と
     を備える情報処理装置。
  17.  磁性管の磁気特性値を測定した測定データに対し、前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報の正解値が対応付けられた訓練データを取得し、
     前記訓練データに基づき、前記測定データを入力した場合に前記肉厚情報を推定する学習済みモデルを生成する
     処理をコンピュータが実行するモデル生成方法。
  18.  前記測定データは、円筒状の前記磁性管の断面を周方向に沿って等分した各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記磁気特性値を測定した前記磁性管の断面上の位置を前記周方向に沿ってずらすことで、前記訓練データから複数パターンの測定データを生成し、
     前記複数パターンの測定データを用いて、前記学習済みモデルを生成する
     請求項17に記載のモデル生成方法。
  19.  複数パターンの所定のノイズを付加することで、前記訓練データから複数パターンの測定データを生成し、
     前記複数パターンの測定データを用いて、前記学習済みモデルを生成する
     請求項17又は18に記載のモデル生成方法。
  20.  前記測定データは、前記磁性管の長手方向に沿う各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記長手方向に沿って連続する2点間の磁気特性値の線形補間を行うことで、前記訓練データから複数パターンの前記測定データを生成し、
     前記複数パターンの測定データを用いて、前記学習済みモデルを生成する
     請求項17~19のいずれか1項に記載のモデル生成方法。
  21.  測定データ及び前記磁性管の残存肉厚が所定値より薄い肉厚情報を主に含む第1訓練データを取得し、
     取得した第1訓練データに基づき、測定データを入力した場合に第1肉厚情報を出力する第1モデルを生成し、
     測定データ及び前記磁性管の残存肉厚が前記所定値より厚い肉厚情報を主に含む第2訓練データを取得し、
     取得した第2訓練データに基づき、測定データを入力した場合に第2肉厚情報を出力する第2モデルを生成し、
     前記第1モデルから出力される第1肉厚情報及び前記第2モデルから出力される第2肉厚情報と、肉厚情報とを含む第3訓練データを取得し、
     取得した第3訓練データに基づき、第1肉厚情報及び第2肉厚情報を入力した場合に肉厚情報を出力する第3モデルを生成する
     請求項17~20のいずれか1項に記載のモデル生成方法。
  22.  測定データと該測定データに対応する肉厚情報を取得し、
     取得した測定データと肉厚情報とのユークリッド距離の和が最小となるよう前記測定データを補正し、
     補正後の測定データおよび肉厚情報に基づき前記モデルを学習する
     請求項17~21のいずれか1項に記載のモデル生成方法。
  23.  ネットワークを介して通信可能に接続された各ユーザ端末から、磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得し、
     前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定し、
     推定した前記肉厚情報を、前記測定データの取得元である前記ユーザ端末に送信する
      処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
  24.  前記磁気特性値は、磁場を発生させる磁石と、該磁石に対して前記磁性管とは反対側に配置されるヨークと、前記ヨーク及び磁性管の間に配置され、前記ヨーク、磁石及び磁性管を通過する磁束密度を測定する磁気センサとを備える検査プローブを用いて測定した測定値であって、前記磁束密度が大きいほど低くなる前記磁気センサの出力電圧である
     請求項23に記載の情報処理方法。
  25.  測定対象の前記磁性管に関する磁性管情報の指定入力を受け付け、
     前記磁性管情報に応じて異なる訓練データを学習済みの複数の前記モデルの内、取得した前記磁性管情報に対応する前記モデルを選択し、
     選択した前記モデルに前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する
     請求項23又は24に記載の情報処理方法。
  26.  各ユーザ端末から取得した前記測定データを記憶部に記憶し、
     前記測定データに対応する前記肉厚情報の正解値を取得し、
     前記記憶部に記憶された前記測定データと、前記正解値とに基づき、前記モデルを更新する
     請求項23~25のいずれか1項に記載の情報処理方法。
  27.  前記測定データの取得元であるユーザ別に、該ユーザのユーザ端末から取得した前記測定データを用いて前記モデルを更新する
     請求項26に記載の情報処理方法。
  28.  前記肉厚情報を推定した場合、前記モデルを利用した前記肉厚情報の推定処理の計算量に応じて、ユーザに課す前記モデルの利用料を決定する
     請求項26又は27に記載の情報処理方法。
  29. 前記ユーザ端末から前記測定データを取得する場合に、前記モデルの更新に係る前記測定データの利用の可否の選択入力をユーザから受け付け、
     前記測定データを利用可能である旨の選択入力を受け付けた場合、前記測定データを前記記憶部に記憶し、
     前記測定データの利用の可否に応じて、前記ユーザに課す前記モデルの利用料を減算する
     請求項28に記載の情報処理方法。
  30.  前記ユーザ端末から、前記正解値を表す第2測定データであって、前記測定データとは異なる測定方法で前記磁性管の肉厚を測定した第2測定データを取得し、
     前記測定データ及び第2測定データに基づいて前記モデルを更新し、
     前記第2測定データの取得の有無に応じて、前記ユーザに課す前記モデルの利用料を減算する
     請求項28又は29に記載の情報処理方法。
  31.  前記第2測定データは、水浸回転式超音波厚さ測定法による測定データである
     請求項8に記載の情報処理方法。
  32.  ネットワークを介して通信可能に接続された各ユーザ端末から、磁性管の磁気特性値を測定した測定データを取得する取得部と、
     前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルに、取得した前記測定データを入力することで前記肉厚情報を推定する推定部と、
     推定した前記肉厚情報を、前記測定データの取得元である前記ユーザ端末に送信する送信部と
     を備える情報処理装置。
  33.  磁性管の磁気特性値を測定した測定データを測定装置から取得し、
     前記測定データを、前記測定データを入力した場合に前記磁性管の肉厚に関する肉厚情報を推定するよう学習済みのモデルを用いて前記肉厚情報を推定する情報処理装置に送信し、
     前記測定データを前記モデルに入力することで推定された前記肉厚情報を前記情報処理装置から取得し、
     取得した前記肉厚情報を表示部に表示する
     処理をコンピュータに実行させるプログラム。
  34.  前記肉厚情報の正解値を表す第2測定データであって、前記測定データとは異なる測定方法で前記磁性管の肉厚を測定した第2測定データを前記情報処理装置に送信し、
     前記測定データ及び第2測定データに基づき更新される前記モデルを用いて推定された前記肉厚情報を前記情報処理装置から取得する
     請求項11に記載のプログラム。
  35.  前記測定データは、前記磁性管の長手方向に沿う各位置において、前記長手方向と直交する断面上の各位置の前記磁気特性値を測定したデータであり、
     前記長手方向に沿う各位置における前記断面上の各位置の肉厚を示す前記肉厚情報に基づき、前記長手方向に沿う各位置の肉厚を示すグラフを表示し、
     前記グラフ上で、前記長手方向に沿う位置を指定する指定入力を受け付け、
     指定された位置における前記断面上の各位置の肉厚を再現した前記磁性管の断面画像を表示する
     請求項33又は34に記載のプログラム。
     
     
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