JP2007220945A - 磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スピン注入磁化反転現象の低減を図った磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法を提供する。
【解決手段】磁気抵抗効果素子が,磁化自由層1340,磁化固着層1342,これらの間に配置される中間層1341,を有する磁気抵抗効果膜1200と,磁気結合層1343と,強磁性層1344と,反強磁性層1320と,磁化自由層1340に対して,磁気抵抗効果膜1200の膜面に略平行かつ前記磁化固着層1342の磁化方向に略垂直な方向のバイアス磁界を加えるバイアス機構部と,磁気抵抗効果膜1200に,磁化固着層1342から前記磁化自由層1340に向かう方向の電流を通電するための一対の電極1110,1140と,を具備し,バイアスポイントが50%より大きい。
【選択図】図1A

Description

本発明は,磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法に関し,より詳細には,磁気抵抗効果素子の膜面に対して垂直に通電される磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法に関する。
巨大磁気抵抗効果(GMR効果,Giant Magnetoresistive Effect)を示すGMR素子を用いたGMRヘッドは,ハードディスクなどの磁気記録再生装置において,情報が記録されている磁気記録媒体の情報を再生する際に,広く用いられている。
スピンバルブ(Spin Valve)型のGMR素子は,磁化固着層と,磁化自由層と,これらの間に配置される中間層と,を有する積層膜から構成される。磁化固着層は,反強磁性膜などで磁化の方向が実質的に一方に固着された磁性体膜を有する。磁性体膜は,外部磁界(例えば,磁気記録媒体の信号磁界であり,通常は磁化固着層の磁化方向に対して平行または反平行)に対応して磁化の方向が変化する。
縦バイアス機構(例えば,コバルト白金合金やコバルトクロム白金合金が好ましく用いられる磁区制御膜)を用い,磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層の磁化に対して略垂直に,磁化自由層に縦バイアス磁界を加える。これにより,信号磁界がない場合において,磁化固着層の磁化方向と磁化自由層の磁化方向が略垂直となり,バルクハウゼンノイズを避けることができる。巨大磁気抵抗効果は,磁化固着層の磁化と磁化自由層の磁化との相対的な角度変化により発現する。
ここで,GMR素子には,CIP(Current In Plane)−GMR素子とCPP(Current Perpendicular to Plane)−GMR素子がある。前者では,この積層膜に対して略面内にセンス電流を通電させて磁気抵抗効果を検出する。後者では,この積層膜に対して略垂直方向にセンス電流を通電させて磁気抵抗効果を検出する。
CPP−GMR素子は,CIP−GMR素子に比較して,微小なトラック幅とした場合であっても高出力が得られ,記録密度の高密度化への対応が容易である。CIP−GMR素子では,積層膜の面内にセンス電流を通電させるため,記録トラック幅が狭くなるに従い,巨大磁気抵抗効果が発現する領域が小さくなり,これに伴って抵抗変化量ΔRが小さくなる。一方CPP−GMR素子では,積層方向にセンス電流を流すため,記録トラック幅が狭くなることに伴う抵抗変化量ΔRの減少量が小さい。
なお,CIP−GMR素子について,バイアスポイントを調整する技術が公開されている(特許文献1参照)。
特開2000−137906
記録密度の高密度化とともに,磁気ヘッドのサイズはトラック幅方向・ハイト方向共にますます小さくなってきている。例えば,ハードディスクなど磁気記録装置・磁気再生装置においては,トラック幅・ハイト長が100nm程度あるいはそれ以下になってきている。
この場合,磁気ヘッドにCPP−GMR素子を用いると,スピン注入磁化反転現象が起こる可能性がある。スピン注入磁化反転現象では,スピン注入磁化反転により,磁化自由層における磁化の方向が実質的に変化し,外部磁界に対する磁化自由層の磁化の応答が小さくなる。このスピン注入磁化反転現象は,トラック幅やハイト長が100nm以下の素子(単磁区化しやすくなるためエッジドメインなどの影響が少なくなる)において顕著に表れる。
上記に鑑み,本発明はスピン注入磁化反転現象の低減を図った磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子は,外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁性体膜を有する磁化自由層と,磁化の方向が実質的に一方に固着される磁性体膜を有する磁化固着層と,前記磁化自由層と前記磁化固着層の間に配置される中間層と,を有する磁気抵抗効果膜と,前記磁気抵抗効果膜の前記磁化固着層上に配置される磁気結合層と,前記磁気結合層上に配置される強磁性層と,前記強磁性層上に配置される反強磁性層と,前記磁化自由層に対して,前記磁気抵抗効果膜の膜面に略平行かつ前記磁化固着層の磁化方向に略垂直な方向のバイアス磁界を加えるバイアス機構部と,前記磁気抵抗効果膜に,前記磁化固着層から前記磁化自由層に向かう方向の電流を通電するための一対の電極と,を具備し,バイアスポイントが50%より大きいことを特徴とする。
本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は,外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁性体膜を有する磁化自由層と,磁化の方向が実質的に一方に固着される磁性体膜を有する磁化固着層と,前記磁化自由層と前記磁化固着層の間に配置される中間層と,を有する磁気抵抗効果膜と,前記磁気抵抗効果膜の前記磁化固着層上に配置される磁気結合層と,前記磁気結合層上に配置される強磁性層と,前記強磁性層上に配置される反強磁性層と,前記磁化自由層に対して,前記磁気抵抗効果膜の膜面に略平行かつ前記磁化固着層の磁化方向に略垂直な方向のバイアス磁界を加えるバイアス機構部と,前記磁気抵抗効果膜に,前記磁化固着層から前記磁化自由層に向かう方向の電流を通電するための一対の電極と,を備える構造体を形成するステップと,前記磁化自由層に,前記磁化固着層の磁化方向に対する角度が100°以上で,160°より小さい初期磁化方向を付与するステップと,を具備することを特徴とする。
本発明によれば,スピン注入磁化反転現象の低減を図った磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気再生装置,および磁気抵抗素子の製造方法を提供できる。
以下,図面を参照して,本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1Aは本発明の第1実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の断面を表す断面図である。本図は,情報の読み出し対象となる磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面から眺めた断面を表す。垂直通電型磁気抵抗効果素子1100は,紙面の表側から裏側に向かう方向Dhを正方向とする信号磁界Hを検知する。
垂直通電型磁気抵抗効果素子1100は,スピンバルブ膜1200,一対の磁区制御膜1120,下部シールド層1110,および上部シールド層1140と,を有する。
下部シールド層1110および上部シールド層1140は,磁区制御膜1120とスピンバルブ膜1200とを積層方向に沿って挟むように配置される。下部シールド層1110と上部シールド層1140はNiFe合金などで作製され,それぞれ下部電極および上部電極を兼ねる。
スピンバルブ膜1200は,次のように多層膜からなる。即ち,スピンバルブ膜1200は,下部シールド層1110の側から順に,下地層1310,反強磁性層1320,強磁性層1344,磁気結合層1343,磁化固着層1342,中間層1341,磁化自由層1340,保護層1350を備える。
下地層1310は,例えば,Taからなり,反強磁性層1320と強磁性層1344との交換結合が良好になるようにしたり,あるいはスピンバルブ膜全体の結晶性を向上させたりする。
反強磁性層1320は,PtMn合金またはX−Mn(ただしXはPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素)合金,あるいはPt−Mn−X1(ただしX1はPd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Niのいずれか1または2種以上の元素である)合金から形成される。これらの合金を熱処理することにより,大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層1320を得ることが出来る。なお,反強磁性層1320には,Ar,Ne,Xe,Krのいずれかが不純物として含まれる可能性がある(スパッタリング等の製造工程で使用される)。
反強磁性層1320は,強磁性層1344の磁化方向D1を固着(ピン止め)する機能を有する。後述のように,反強磁性層1320と強磁性層1344とを重ね合わせた状態で,磁界を印加しながら熱処理することで,強磁性層1344の磁化方向D1が定められる。
前述のように,強磁性層1344の磁化の向きD1は反強磁性層1320により固着される。図1Aには,紙面の表側から裏側に向かう方向(紙面垂直方向)の磁化方向D1が示されている。但し,後述のように,磁化方向D1は紙面垂直方向から少しずれている。
強磁性層1344,磁気結合層1343,および磁化固着層1342は,いわゆるシンセティックアンティフェロマグネット(SyAF)を形成している。即ち,強磁性層1344,磁化固着層1342は,磁気結合層1343を介して,互いに反強磁性的な結合をしている。この結果,磁化固着層1342の磁化方向D3は,強磁性層1344の磁化方向D1と逆向き(反平行)となる。
強磁性層1344および磁化固着層1342は,通常,Fe,Co,Ni,Mnのうちの少なくとも一つを含む材料から構成され,単層構造,多層構造のいずれでも良い。強磁性層1344および磁化固着層1342を,例えば,CoFe合金とCuの積層構造とすることができる。
磁気結合層1343は銅,金,Ru,Rh,Irなどの非磁性金属材料から構成できる。
中間層1341は,主に磁化自由層1340と磁化固着層1342との磁気結合を切り離すように機能する。中間層1341は,例えば,銅や金などの高い電気伝導率を有する非磁性金属材料から構成できる。中間層1341として,内部に導電体(Cuなど)が配置された絶縁体(Al)を用いてもよい。
磁化自由層1340は,外部磁界の向きに応じて磁化の向きが変化する層であり,例えば,NiFe合金や,NiFe合金とCoFe合金との多層膜から構成される。保護層1350は,成膜後のスピンバルブ膜1200を製造過程において保護する層であり,例えば,CuやTaやRuから構成される。
一対の磁区制御膜1120は,磁気記録媒体の記録トラックの幅方向に対応するように,対向して配置される。スピンバルブ膜1200と一対の磁区制御膜1120との間には,一対の絶縁層1150が配置されている。
磁区制御膜1120(CoPt合金やCoCrPt合金などが好ましく用いられる)は絶縁層1150(AlやAlNなどが好ましく用いられる)の上に形成される。
磁区制御膜1120は,縦バイアス機構部として働き,磁化自由層1340に縦バイアス磁界を加える。即ち,磁区制御膜1120は磁化方向D4を有し,この磁化方向D4によって縦バイアス磁界の方向が定まる。この縦バイアス磁界の方向は,磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層1342の磁化方向D3に対して略垂直なのが通例である。
この縦バイアス磁界により,外部磁界Hを印加しないときの磁化自由層1340の磁化方向Df0(初期磁化方向Df0)が規定される。図1Aでは,磁化方向D4が紙面の右向きであるため,初期磁化方向Df0も右向きとなっている。なお,磁化方向D4を紙面の左向きとしても良い。
ここで,磁化固着層1342の磁化方向D3(言い換えれば,強磁性層1344の磁化方向D1)を,磁区制御膜1120の磁化方向D4に対して垂直から傾けることにより,バイアスポイントを調整することが可能である。
図1Bは,垂直通電型磁気抵抗効果素子の上面側からみた,磁化方向を表す模式図である。磁区制御膜1120での磁化方向D4と強磁性層1344の磁化方向D1のなす角度θが示される。磁化方向D4,D1が平行の場合,角度θ=0°となる(反平行の場合,θ=180°)。この角度θの絶対値を90°より小さくすることで(好ましくは,100°以上),バイアスポイントを調整できる(|θ|<90°)。
このとき,磁化固着層1342の磁化方向D3に対して,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0のなす角度φの絶対値は90°より大きい(|φ|>90°,φ=180°−θ)。即ち,磁化方向D3,Df0が反平行側である。磁化方向D3,Df0が反平行の関係にあることが,スピン注入磁化反転の低減をもたらす。なお,この詳細は後述する。
ここで,強磁性層1344の磁化方向D1をずらした場合でも,磁区制御膜1120の磁化方向D4と信号磁界Hの方向Dhとがなす角は略90°に保持される。
(バイアスポイント調整の詳細)
発明者らは,この縦バイアス磁界が積層膜に加わった際のスピン注入磁化反転について注目し研究開発を進めた。その結果,スピン注入磁化反転に伴うノイズの抑制方法を見出した。
なお,GMR素子では,磁気記録媒体からの信号磁界と,磁区制御膜1120による縦バイアス磁界の両方が積層膜に加わる点が,スピン注入磁化反転を応用したMRAM(Magnetic Random Access Memory)等のデバイスと異なる。
A.バイアスポイント
バイアスポイントの調整につき説明するに先だって,バイアスポイントの意味を説明する。
図2は,バイアスポイントを説明するための模式図であり,横軸が信号磁界Hを縦軸が垂直通電型磁気抵抗効果素子1100の出力Vを表す。
ここでは,垂直通電型磁気抵抗効果素子1100に一定のセンス電流Iを通電し,信号磁界Hを変化させ,垂直通電型磁気抵抗効果素子の出力(電圧)Vを測定している。その結果,信号磁界Hと出力(電圧)Vの関係を表すグラフ(一般に,トランスファーカーブと呼ばれる)が求められる。
信号磁界Hを正負に変化させると,有る範囲(図の信号磁界H1〜H2)では出力Vが変化する。この変化範囲を超えると,出力Vがほぼ一定値V,Vとなる。また,信号磁界Hがゼロのときの出力をV(図に,VC1,VC2として例示)する。
バイアスポイントBPは,信号磁界Hがゼロのときの出力Vが出力Vの変化範囲(V−V)のどこに位置するかを示すファクタであり,次の式(1)によって定義することができる。
BP=(V−V)/(V−V)×100[%] …式(1)
なお,信号磁界Hの正負は,次のように定義される。即ち,磁化固着層1342の磁化方向D3と略反平行な磁界(強磁性層1344の磁化方向D1と平行な磁界)が正方向の磁界の方向(図1AのDh)である。一方,磁化固着層1342の磁化方向D3に対して略平行な磁界が負方向の磁界である。
図2において,信号磁界Hがゼロのときの出力VがV,V,((V+V)/2)それぞれの場合,バイアスポイントBPは0%,100%,50%となる。また,信号磁界Hがゼロのときの出力VがVC1,VC2それぞれの場合において,前者はバイアスポイントBPが50%より小さく,後者はバイアスポイントBPが50%より大きい。
以下,バイアスポイントBPの算出方法をより具体的に説明する。ここでは,垂直通電型磁気抵抗効果素子1100への印加電圧(下部シールド層1110,上部シールド層1140間に印加される電圧)が十分に低い状態にする(数mVから高々30mV程度がのぞましい)。印加電圧を低電圧とすることで,スピン注入磁化反転に起因するノイズが少ない出力が得られ,より正確なバイアスポイントの算出が可能となる。
なお,下部シールド層1110,上部シールド層1140への通電のため,これらに配線が接続されるのが通例である。このため,配線による電圧降下が生じ,配線に印加した電圧と,本来の印加電圧とに多少の相違が生じる可能性がある。しかしながら,多くの場合,配線の抵抗はスピンバルブ膜の抵抗の1/10以下であり,配線による電圧降下を無視できる。このような場合,本来の印加電圧に換えて,配線に印加する電圧を用いても,問題はない。
信号磁界Hが十分に低い(値が負)ときは,磁化固着層1342の磁化方向と磁化自由層1340の磁化方向は平行に近いため,出力VはVと低い。一方,信号磁界Hが十分に高い(値が正)ときは,磁化固着層1342の磁化方向と磁化自由層1340の磁化方向が反平行に近いため,出力VはVと高くなる。信号磁界Hがゼロのときの出力VはVとVの間になる。このとき,バイアスポイントBPは既述の式(1)から計算される。
信号磁界Hが十分に低い(値が負)ときの抵抗値をR,信号磁界Hが十分に高い(値が正)ときの抵抗値RをR,信号磁界Hがゼロのときの抵抗値をRとする。このとき,バイアスポイントBPは以下の式(2)から計算される。
BP=(R−R)/(R−R)×100[%] …式(2)
バイアスポイントBPの他の算出方法として,所定の正負の信号磁界Hのときの出力電圧V(または抵抗R)を測定する方法がある。センス電流が小さく,信号磁界Hがゼロのときの出力Vc(またはRc),および信号磁界が所定の正負の磁界での出力Va,Vb(またはRa,Rb)を測定する。そして,式(1)または式(2)を用いて,バイアスポイントBPを算出する。
ここで,正負の信号磁界Hの絶対値を等しくするのが通例である。例えば,所定の正の信号磁界Hを+400[Oe]としたら,所定の負の信号磁界Hは,絶対値が同じで向きが反対の,−400[Oe]とする。
このとき,信号磁界Hの絶対値が,出力の変化範囲に対応する範囲(図のH1〜H2)を越えるように定めるのが望ましい。このようにすると,トランスファーカーブに基づいてバイアスポイントBPを算出する手法と結果において変わりないことになる。
以上のように,バイアスポイントBPの決め方は式(1),(2)の2通り考えられるが,これらは実質的に同一であり,式(1),(2)によるバイアスポイントBPの相違は事実上無視できる。但し,本明細書では,基本的には,信号磁界Hによる抵抗値Rの変化(式(2))に基づいて,バイアスポイントBPを定義するものとする。
B.CIP−GMRとCPP−GMRでのバイアスポイントの意義の相違
図3A,図3Bはそれぞれ,CIP−GMRとCPP−GMRでの電流の通電方向と電流により発生する磁界を示す模式図である。ここでは,理解の容易のため,CIP−GMR,CPP−GMRいずれもが,3つの層1〜層3より構成される磁気抵抗膜を有するとしている。
CIP−GMRでは,層1〜層3に平行に電流が流れることから,層1〜層3での抵抗率等の相違により,層1〜層3それぞれを流れる電流I〜I3の大きさが異なる。従い,右ネジの法則により電流I,I,I3それぞれから発生する磁界H1(層1),H2(層2),H3(層3)は互いに異なる。
このため,CIP−GMRでは,磁界H,H,HのバランスによりバイアスポイントBPが変化することとなり,これら磁界H,H,Hのバランスをとることが重要となる。なお,既述の特許文献1は,このための技術を開示している。
一方,CPP−GMRでは,層1〜層3に垂直に電流が流れる(層1〜層3を横切る)ことから,層1〜層3を流れる電流が実質的に等しくなる。従い,層1〜層3を流れる電流から発生する磁界も実質的に等しくなる。
このため,CPP−GMRでは,CIP−GMRのように,各層で発生する磁界の差によるバイアスポイントの変化は生じない。
スピン注入磁化反転現象は,電流を担う伝導電子のスピン角運動量を通じ,磁化固着層1342と磁化自由層1340との間で磁化が移動することで,磁化自由層1340の磁化方向が反転する現象である。
・CPP−GMRの場合
CPP−GMRでのスピン注入磁化反転を説明する。
仮に,磁化固着層1342の磁化方向と磁化自由層1340の磁化方向が反平行の場合を考える。この場合,磁化自由層1340から磁化固着層1342へ電流を流すことで,磁化自由層1340の磁化が反転し,磁気抵抗が小さくなる。以下,この理由を説明する。
この場合,電子の流れる向きは,電流と反対向きの,磁化固着層1342から磁化自由層1340へ向かう方向である。磁化固着層1342を通り抜ける際,磁化固着層1342の磁化と同じ向きに,電子が偏極される(スピン角運動量の偏極)。偏極された電子は中間層1341を通過して磁化自由層1340に入る。このとき,伝導電子と磁化自由層1340との間で,スピン角運動量が移動する。この結果,磁化自由層1340の磁化方向が,磁化固着層1342の磁化方向と揃うように反転する。
以上のように,磁化固着層1342から磁化自由層1340に流入する電子により,磁化自由層1340の磁化方向が磁化固着層1342の磁化方向と平行になる。
一方,磁化固着層1342の磁化方向と磁化自由層1340の磁化方向が平行の場合を考える。この場合,磁化固着層1342から磁化自由層1340へ電流を流すことで,磁化自由層1340の磁化が反転し,磁気抵抗が大きくなる。以下,この理由を説明する。
この場合,電子の流れる向きは,磁化自由層1340から磁化固着層1342へ向かう方向である。磁化自由層1340内の伝導電子は磁化自由層1340の磁化と同じ向きに偏極される。このとき,全ての伝導電子が偏極される訳ではなく,偏極されない伝導電子も存在する。磁化固着層1342と中間層1341の界面で,偏極をうけなかった伝導電子は反射され,磁化自由層1340に戻る。そして,磁化自由層1340に戻ってきた伝導電子と,磁化自由層1340の磁化との間で,角運動量が移動する。この結果,磁化自由層1340の磁化方向が,磁化固着層1342の磁化方向と反対になるように反転する。
以上のように,磁化自由層1340から磁化固着層1342に流れ,その境界で反射された電子により,磁化自由層1340の磁化方向が磁化固着層1342の磁化方向と反平行になる。但し,この反射電子による磁化方向の反転は,磁化固着層1342から磁化自由層1340に流入する電子による磁化方向の反転に比べて,影響が小さい。境界を通過する電子に比べ,境界で反射される電子の割合は必ずしも大きくないからである。
以上のように,電子の流れを(a)磁化固着層1342から磁化自由層1340に向かう方向とすると,スピン注入磁化反転が発生し易い。これに対して,電子の流れを(b)磁化自由層1340から磁化固着層1342に向かう方向とすると,スピン注入磁化反転が比較的発生し難い。
即ち,電子の流れを(b)磁化自由層1340から磁化固着層1342に向かう方向とする(電流を磁化固着層1342から磁化自由層1340に向かう方向とする)ことで,スピン注入磁化反転によるノイズを低減できる。後述のように,本実施形態では,これに加えて,バイアスポイントを調整することで,スピン注入磁化反転によるノイズの更なる低減を図っている。
・CIP−GMRの場合
CIP−GMRでは,スピン注入磁化反転を考慮する必要はない。即ち,CIP−GMRでは,電気伝導率の高いいずれかの層(一般的にはCuで形成されている中間層)に電流が集中する。このため,層間でのスピン角運動量の移動は生じない。
以上のように,スピン注入磁化反転は,CPP−GMRに特有の現象と言える。
C.バイアスポイントの調整
既述のように,電流方向を磁化固着層1342から磁化自由層1340に向かう方向とすることで,スピン注入磁化反転によるノイズを低減できる。これに加えて,バイアスポイントBPを調整することが,スピン注入磁化反転を避ける上で重要なことが判明した。即ち,バイスポイントBPを調整することで,スピン注入磁化反転によるノイズを更に低減できる。
正負双方の磁界を感度良く測定するために,バイアスポイントBPを50%とするのが通例である。これに対して,バイアスポイントBPを50%より大きくする(より好ましくは,バイアスポイントBPを55%以上,80%以下とする)ことで,スピン注入磁化反転を低減できる。
・バイスポイントと磁化方向の関係
バイアスポイントが50%より小さいことは,正方向での外部磁界Hでの磁気抵抗の変化が大きいことを意味する。バイアスポイントが50%より大きいことは,負方向での外部磁界Hでの磁気抵抗の変化が大きいことを意味する。このように,バイアスポイントが50%より大きいか否かは,外部磁界Hの正方向,負方向の何れで磁気抵抗が大きく変化するかに対応する。
バイアスポイントBPの大きさは,磁化固着層1342の磁化方向D3と,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0の角度関係に依存する。磁化方向D3,Df0のなす角度φ(図1B参照)が90°の場合,バイアスポイントBPは,50%となる。角度φが90°より小さいと,バイアスポイントBPは,50%より小さくなる。また,角度φが90°より大きいと,バイアスポイントBPは,50%より大きくなる。
このように磁化方向D3,Df0のなす角度φによって,バイアスポイントBPが変化する理由を以下に説明する。この説明に先立って,外部磁界Hと磁化自由層1340の磁化方向Dfとの関係を説明する。
磁化自由層1340の磁化方向Dfは,外部磁界Hによって初期磁化方向Df0から変化し,その結果,磁気抵抗が変化する。このとき,外部磁界Hの正負に応じて,磁化自由層1340の磁化方向Dfは左右に回転する。磁化方向Dfが左右に回転し,磁化固着層1342の磁化方向D3と平行,または反平行の状態に近づくとそれ以上の回転が制限される。このように,磁化自由層1340の磁化方向Dfが初期磁化方向Df0を基準として,±90°より小さい範囲で動くことで,磁気抵抗が変化する。
磁化方向D3,Df0のなす角度φが90°の場合,磁化方向Dfの変化範囲が初期磁化方向Df0を基準として正負(左回転,右回転)に略対称となる。即ち,外部磁界の絶対値が等しければ,その正負が異なっても,磁気抵抗の変化量が概ね等しくなる。これはバイアスポイントが50%であることを意味する。即ち,磁化方向D3,Df0のなす角度φが90°の場合,磁化方向Dfの変化範囲が角度の正負で対称となり,バイアスポイントが50%となる。
磁化方向D3,Df0のなす角度φが90°からずれると,磁化方向Dfの変化範囲の正負の対称性が崩れ,バイアスポイントが50%からずれる。磁化方向D3,Df0のなす角度φが90°より大きいと,バイアスポイントBPは50%より大きくなる。以上のように,磁化方向D3,Df0のなす角度φと,バイアスポイントBPとの関係を説明できる。
・磁化方向とスピン注入磁化反転の関係
既述のように,本実施形態では,センス電流を磁化固着層1342から磁化自由層1340に流している。このため,スピン注入磁化反転は,磁化固着層1342の磁化方向D3と磁化自由層1340の磁化方向Dfとを反平行とするように作用する。即ち,磁化自由層1340の磁化方向Dfが磁化固着層1342の磁化方向D3と平行であれば,スピン注入磁化反転が生じ易い。一方,磁化自由層1340の磁化方向Dfが磁化固着層1342の磁化方向D3と反平行であれば,スピン注入磁化反転は生じない。
このように,スピン注入磁化反転が発生する確率は,磁化自由層1340の磁化方向Dfと磁化固着層1342の磁化方向D3とが平行,反平行の何れに近いか(言い換えれば,なす角度φが90°より大きいか,小さいか)に依存する。磁化方向Df,D3のなす角度φの絶対値が90°より大きいと,スピン注入磁化反転の発生確率が低減される。
・バイスポイントとスピン注入磁化反転の関係
既述のように,バイアスポイントが50%より大きいことは,磁化固着層1342の磁化方向D3と,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0のなす角度φが90°より大きいことを意味する。この場合,磁化自由層1340の磁化方向Dfが磁化固着層1342の磁化方向D3の反平行側にずれていることを意味し,スピン注入磁化反転の低減が可能となる。
既述のように,外部磁界Hを変化させると,磁化自由層1340の磁化方向Dfは初期磁化方向Df0から変化する。このため,外部磁界Hの印加により,磁化自由層1340の磁化方向Dfと磁化固着層1342の磁化方向D3との反平行関係が崩れる可能性がある。しかしながら,外部磁界Hの印加前の磁化自由層1340の磁化方向Df,即ち,初期磁化方向Df0がスピン注入磁化反転の低減に対して支配的要因である。
以下,バイアスポイントBPの調整方法を説明する。磁化自由層1340の初期磁化方向Df0によって,バイアスポイントBPを調節できる。即ち,磁化固着層1342の磁化方向D3と,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0のなす角度φの絶対値を90°より大きく(好ましくは,100°以上),160°より小さくする(90°<|φ|<160°)。この結果,バイアスポイントを50%より大きくなる。この調整には,複数の手法を利用できる。
(1)磁化固着層1342および強磁性層1344の磁気的膜厚による調整
磁化固着層1342および強磁性層1344の磁気的膜厚を制御することで,バイアスポイントBPを調節することができる。
即ち,磁化固着層1342の飽和磁化Ms1および厚みt1,強磁性層1344の飽和磁化Ms2および厚みt2が,以下の式(3)を満足するように制御する。
1.2 ≦(Ms1×t1)/(Ms2×t2)< 5 ……式(3)
ここで,強磁性層1344,磁気結合層1343および磁化固着層1342等の磁性層において,飽和磁化と厚みの積が磁気的膜厚である。
既述のように,強磁性層1344および磁化固着層1342は,磁気結合層1343を介して互いに反強磁性的な結合をし,いわゆるシンセティックアンティフェロマグネット(SyAF)を形成する。この場合,「Ms1×t1=Ms2×t2」とすることで,強磁性層1344から漏洩する磁界と磁化固着層1342から漏洩する磁界を実質的にキャンセルさせ,バイアスポイントを50%とするのが好ましいとされている。
しかし,「1.2≦(Ms1×t1)/(Ms2×t2)」とすることで,スピン注入磁化反転によるノイズを抑制できることが判った。この場合,強磁性層1344からの漏洩磁界が相対的に大きくなり,磁化固着層1342の磁化方向D3と,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0のなす角度φが90°より大きくなる(より好ましくは,φが100°以上)。この結果,バイアスポイントが50%より大きくなる。
磁化固着層1342の磁気的膜厚Ms1×t1が強磁性層1344の磁気的膜厚Ms2×t2より大きい場合には,磁化固着層1342からの漏洩磁界が相対的に大きくなる。この場合の漏洩磁界の向きは,磁化自由層1340内においては,磁化固着層1342の磁化方向D3と逆になる。このため,磁気的膜厚Ms1×t1を磁気的膜厚Ms2×t2より大きくすると,バイアスポイントが50%より大きくなる。バイスポイントを実質的に50%より大きくするために,「1.2≦(Ms1×t1)/(Ms2×t2)」とする。
一方,外部磁界あるいは媒体からの磁界に比較して,強磁性層1344から漏洩する磁界が大き過ぎると,外部磁界(媒体からの磁界)に対する感度(出力の変化)が低下する。この場合,バイアスポイントが大き過ぎる(例えば,100%あるいはそれに大変近くなる)。これを回避するために,「(Ms1×t1)/(Ms2×t2)<5」とすることが好ましい。
磁化固着層1342および強磁性層1344の磁気的膜厚を互いにずらすには,これらの膜厚および組成の少なくともいずれかを制御すれば良い。例えば,磁化固着層1342および強磁性層1344に異なる材料を用いる。一例として,磁化固着層1342および強磁性層1344の一方に,Co90Fe10に換えて,Co80Fe20やCoを用いることが挙げられる。
(2)磁化自由層1340と磁化固着層1342間の結合磁界による調整
磁化自由層1340と磁化固着層1342との間のインターレイヤーカップリング(層間結合)磁界を強め,かつ縦バイアス磁界を弱くすることで,バイアスポイントを制御できる。例えば,インターレイヤーカップリング磁界を150[Oe]より大きくし,また通例3.0[memu/cm]程度である磁区制御膜1120の磁気的膜厚を,1.5[memu/cm]程度に弱めることで,バイアスポイントBPを50%より大きくすることができる。
インターレイヤーカップリング磁界を強めることにより,磁化自由層1340の磁化と磁化固着層1342の磁化が反平行に揃い易くなり,バイアスポイントBPが50%より大きくなる。また,インターレイヤーカップリング磁界に比べて,磁区制御膜1120の磁気的膜厚を小さくすることで,バイアスポイントを50%より大きくできる(磁区制御膜1120の磁気的膜厚をインターレイヤーカップリング磁界に比べて非常に大きくするとバイアスポイントBPが50%に近くなる)。
(3)強磁性層1344の磁化方向による調整
既述のように,磁区制御膜1320の磁化方向D4に対して,強磁性層1344の磁化方向D1の絶対値を90°より小さくすることで(好ましくは,100°以上),バイアスポイントを50%より大きくすることができる。
(4)上記(1)〜(3)の手法の組み合わせ
上記(1)〜(3)の手法は,互いに組み合わせて用いることが出来る。例えば,(1)磁化固着層1342および強磁性層1344の磁気的膜厚および(3)反強磁性層1320の磁化方向の双方を制御することで,バイアスポイントBPを調整できる。
(1)〜(3)の手法の組み合わせても,磁化固着層1342の磁化方向D3に対する磁化自由層1340の初期磁化方向Df0の角度φの絶対値を90°より大きくすることができる。また,複数の手法を組み合わせることにより,いずれかひとつの手法を用いた場合より,素子間のばらつきを抑え歩留まりを上げることができる。
(磁気抵抗効果素子1100の作成)
次に,垂直通電型磁気抵抗効果素子1100の作製方法について説明する。
図4は,垂直通電型磁気抵抗効果素子1100の作製手順の一例を表すフロー図である。図5,図6は,図4の手順で作成される垂直通電型磁気抵抗効果素子1100を表す断面図である。
(1)スピンバルブ膜1200の形成(ステップS11)
図示しない基板上に,スピンバルブ膜1200を形成する。即ち,下部シールド層1110,下地層1310,反強磁性層1320,強磁性層1344,磁気結合層1343,磁化固着層1342,中間層1341,磁化自由層1340を成膜する(図5参照)。なお,図5は,後述のレジスト層1360を付加した状態を表す。
ここで,このスピンバルブ膜1200の形成の際に,磁化固着層1342,強磁性層1344の材料および厚みを適宜に調整することで,前述の式(3)を満たし,バイアスポイントBPを調整できる。
各層の形成には,例えば,スパッタ装置による成膜が用いられる。スパッタ成膜では,DCマグネトロンスパッタ法,RFマグネトロンスパッタ法,イオンビームスパッタ法,ロングスロースパッタ法,コリメーションスパッタ法のいずれか,またはそれらを組み合わせたスパッタ法などを使用できる。
(2)反強磁性層1320への交換結合磁界の付与(ステップS12)
反強磁性層1320に交換結合磁界(磁気異方性)が付与される。具体的には,磁界の印加と熱処理とを組み合わせることで,交換結合磁界を付与できる。即ち,反強磁性層1320を熱処理してブロッキング温度より高い温度Tとした状態で磁界Hを印加し,冷却する。
ブロッキング温度は反強磁性層1320の磁気異方性が消失する温度(言い換えれば,反強磁性層1320と強磁性層1344との交換結合が切れる温度)を意味する。このため,温度Tをブロッキング温度より高温とすることで,反強磁性層1320の磁気異方性が一旦消失する。その後,反強磁性層1320が冷却され,ブロッキング温度より低温となったときに,印加された磁界に応じて,反強磁性層1320に交換結合磁界(磁気異方性)が付与される。
なお,交換結合磁界の大きさは膜内の結晶粒径分布や成膜時の真空度によって異なる。PtMnでは,膜厚増加と共に交換結合磁界が増加するが,IrMnでは逆に減少する。
このとき,反強磁性層1320の熱処理時の磁界Hを磁区制御膜1120の磁化方向に対して垂直にするのが通例である。この場合,磁区制御膜1120の磁化方向D4に対する強磁性層1344の磁化方向D1の角度θが90°となる。この結果,バイアスポイントが50%となり,素子の感度が高くなる。
これに対して,反強磁性層1320の熱処理時の磁界Hの方向を磁区制御膜1120の磁化方向D4に対して10°より大きく80°以下とする。この結果,磁区制御膜1120の磁化方向D4に対する強磁性層1344の磁化方向D1の角度θが10°より大きく80°以下となる。この場合,バイアスポイントが50%より大きくなる。
(3)スピンバルブ膜1200の側面のイオンミリング(ステップS13)
形成されたスピンバルブ膜1200上にレジスト層1360を形成した後(図5参照),イオンミリングで,その側面を下地層1310の一部まで除去する(図6参照)。
(4)磁区制御膜1120,上部シールド層1140の形成(ステップS14)
スピンバルブ膜1200の除去された側面に,絶縁層1150,磁区制御膜1120を成膜する。次に,レジスト層1360を除去した後,上部シールド層1140を成膜する(図1参照)。
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子2100の断面を表す断面図である。
本実施形態の垂直通電型磁気抵抗効果素子2100は,第1の実施形態の垂直通電型磁気抵抗効果素子1100と次の(1),(2)の点で異なる。即ち,(1)磁区制御膜1120と絶縁層1150に換えて,絶縁体1130が配置されている。また,(2)保護層1350と上部シールド層1140の間にエクスチェンジバイアス層1345および上部電極層1346が配置されている。
なお,エクスチェンジバイアス層1345と保護層1350との間に,強磁性材料からなる強磁性層,軟磁性材料あるいは非磁性材料からなる層を配置してもよい。
本実施形態では,第1の実施形態での磁区制御膜1120に換えて,エクスチェンジバイアス層1345により,縦バイアス磁界を発生させる。具体的には,エクスチェンジバイアス層1345は,交換結合磁界により,磁化自由層1340に縦バイアス磁界を加える(縦バイアス機構部として機能する)。
このときの縦バイアス磁界の方向は,磁気抵抗効果膜(スピンバルブ膜1200)の膜面に略平行かつ磁化固着層1342の磁化方向に略垂直である。この角度を垂直からずらすことで,バイアスポイントBPを調節できる。なお,この詳細は後述する。
スピンバルブ膜1200の上部にエクスチェンジバイアス層1345を配置したことに伴い,上部電極層1346を配置し,これによりスピンバルブ膜1200に電圧を印加する。即ち,本実施形態では,上部電極層1346と下部シールド層1110の間に電圧が印加されることで,スピンバルブ膜1200中をセンス電流が流れる(上部シールド層1140が上部電極を兼用しない)。
エクスチェンジバイアス層1345は,反強磁性層1320と同様,PtMn合金またはX−Mn(ただしXはPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素)合金で,あるいはPt−Mn−X1(ただしX1はPd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Niのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成できる。なお,エクスチェンジバイアス層1345には,Ar,Ne,Xe,Krのいずれかが不純物として含まれる可能性がある(スパッタリング等の製造工程で使用される)。
(バイアスポイントの調整)
以下,第2の実施形態でのバイアスポイントの調整方法を説明する。
既述のように,エクスチェンジバイアス層1345内において反強磁性に磁気秩序をおこしている磁気モーメントの角度は,基本的に磁化固着層1342の磁化方向D3に略垂直である。この角度を垂直からずらすことにより,バイアスポイントBPを調整することが出来る。
磁化自由層1340の磁化方向はエクスチェンジバイアス層1345の交換結合磁界に従って変化する。エクスチェンジバイアス層1345からの交換結合磁界の方向は,熱処理中にエクスチェンジバイアス層1345に印加される磁界の方向と平行になる。このため,熱処理中にエクスチェンジバイアス層1345に印加される磁界を,磁化固着層1342の磁化方向と略垂直からずらせば,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0も略垂直からずれる。その結果,バイアスポイントBPが調整される。
この手法(エクスチェンジバイアス層1345と磁化固着層1342の磁化方向によるバイアスポイントの調整手法)は,第1の実施形態で述べた手法(1)〜(4)中の手法(3)に対応する。本実施形態において,この手法に換えて,第1の実施形態で述べた手法(1),(2),(4)を採用することも可能である。
(磁気抵抗効果素子2100の作成)
垂直通電型磁気抵抗効果素子2100の作製方法について説明する。
図8は,垂直通電型磁気抵抗効果素子2100の作製手順の一例を表すフロー図である。
(1)スピンバルブ膜1200の形成(ステップS21)
ステップS21については,第1の実施形態のステップS11と本質的に相違するものではないので,詳細な説明を省略する。
(2)反強磁性層1320への交換結合磁界の付与(ステップS22)
反強磁性層1320に交換結合磁界(磁気異方性)が付与される。具体的には,磁界の印加と熱処理とを組み合わせることで,交換結合磁界を付与できる。即ち,反強磁性層1320を熱処理して第1のブロッキング温度より高い第1の温度T1とした状態で第1の磁界H1を印加し,冷却する。
なお,ステップS22は,エクスチェンジバイアス層1345の形成(ステップS24)に先立って実行される。エクスチェンジバイアス層1345において加熱による元素拡散が生じ,交換結合磁界が低下することを防止するためである。
第1のブロッキング温度は反強磁性層1320の磁気異方性が消失する温度(言い換えれば,反強磁性層1320と強磁性層1344との交換結合が切れる温度)を意味する。このため,第1の温度T1を第1のブロッキング温度より高温とすることで,反強磁性層1320の磁気異方性が一旦消失する。その後,反強磁性層1320が冷却され,その温度が第1のブロッキング温度より低温となったときに,印加された磁界に応じて,反強磁性層1320に磁気異方性が付与される。
(3)スピンバルブ膜1200の側面のイオンミリング(ステップS23)
形成されたスピンバルブ膜1200上にレジスト層を形成した後,イオンミリングで,その側面を下地層1310の一部まで除去する。
(4)エクスチェンジバイアス層1345,上部シールド層1140の形成(ステップS24)
スピンバルブ膜1200の除去された側面に,絶縁体1130を形成する。次に,レジスト層を除去した後,エクスチェンジバイアス層1345,上部電極層1346,および上部シールド層1140を成膜する(図7参照)。
(5)エクスチェンジバイアス層1345への交換結合磁界の付与(ステップS25)
エクスチェンジバイアス層1345に磁気異方性が付与される。即ち,エクスチェンジバイアス層1345を熱処理して第2のブロッキング温度より高い第2の温度(第1の温度より低い)T2とした状態で第2の磁界H2を印加し,冷却する。
ここで,反強磁性層1320とエクスチェンジバイアス層1345に異なる磁気異方性を付与するために,反強磁性層1320とエクスチェンジバイアス層1345にブロッキング温度の異なる材料が用いられる。そして,ブロッキング温度が高い材料から順に磁界印加しながらの熱処理がなされる。例えば,反強磁性層1320の構成材料にPtMnを,クスチェンジバイアス層1345の構成材料にIrMnを選択する。この場合,エクスチェンジバイアス層1345の第2のブロッキング温度が,反強磁性層1320の第1のブロッキング温度より低くなる。
なお,交換結合磁界の大きさは膜内の結晶粒径分布や成膜時の真空度によって異なる。PtMnでは,膜厚増加と共に交換結合磁界が増加するが,IrMnでは逆に減少する。
ここで,エクスチェンジバイアス層1345の熱処理時の磁界H2の方向を反強磁性層1320の熱処理時の磁界H1の方向に対して垂直にするのが通例である。この結果,バイアスポイントが50%となり,正負双方の磁界に対して磁気抵抗効果素子の感度を確保できる。
これに対して,エクスチェンジバイアス層1345への磁界H2の方向を反強磁性層1320への磁界H1の方向に対して垂直からずらすことにより,バイアスポイントを調整できる。具体的には,反強磁性層1320の熱処理時の磁界H1の方向を磁エクスチェンジバイアス層1345の熱処理時の磁界H2の方向に対して,100°以上で,160°より小さくする。この結果,バイアスポイントBPを50%より大きくすることができる。
(第2の実施形態の変形例)
垂直通電型磁気抵抗効果素子が,縦バイアス機構として,エクスチェンジバイアス層1345と磁区制御膜1120の両方を有してもよい。
この場合でも,エクスチェンジバイアス層1345の磁気モーメントの角度をずらすことでバイアスポイントBPを調整することができる。
(第3の実施の形態)
図9は本発明の第3実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子3100の断面を表す断面図である。
本実施形態に係る磁気抵抗効果素子3100では,スピンバルブ膜3200が,分離層1347およびインスタックバイアス層1348を含む。即ち,磁気抵抗効果素子3100は,第2の実施形態でのエクスチェンジバイアス層1345と上部電極層1346に換えて,分離層1347およびインスタックバイアス層1348を有する。
本実施形態では,分離層1347とインスタックバイアス層1348が磁化自由層1340に縦バイアス磁界を加える縦バイアス機構部として機能する。
分離層1347は,磁気異方性を付与する際に用いる熱による元素拡散を防ぐためなどに用いられる。
インスタックバイアス層1348は,磁化された硬磁性材料(好ましい材料の一例として,CoPt合金やCoCrPt合金が挙げられる)によって構成される。
インスタックバイアス層1348は磁化方向D6を有し,この磁化方向D6によって縦バイアス磁界の方向が定まる。図9では,磁化方向D6を紙面の右向きとしている。これに対して,磁化方向D6を紙面の左向きとしても良い。インスタックバイアス層1348と磁化自由層1340の端部間に,静磁界的な結合M1,M2が発生し,磁化自由層1340の初期磁化方向Df0が発生する。この初期磁化方向Df0は,インスタックバイアス層1348の磁化方向D6に略反平行である。
このとき,初期磁化方向Df0を磁気抵抗効果膜の膜面に対して略平行かつ磁化固着層1342の磁化方向に対して略垂直とするのが通例である。即ち,インスタックバイアス層1348内において反強磁性の磁気秩序を起こしている磁化方向D6は,磁化固着層1342の磁化方向D3に対して略垂直であるのが通例である。
インスタックバイアス層1348の磁化方向D6(磁化自由層1340の初期磁化方向Df0と略反平行)と磁化固着層1342の磁化方向D3のなす角度θを垂直からずらすことで,バイアスポイントBPを調整できる。即ち,この角度θの絶対値を10°より大きく,70°より小さくすることにより(10°<|θ|<70°),バイアスポイントを50%より大きくすることができる。なお,磁化方向D6,D3が平行の場合,角度θ=0°となる(反平行の場合,θ=180°)。
この手法(インスタックバイアス層1348と磁化固着層1342の磁化方向によるバイアスポイントの調整手法)は,第1の実施形態で述べた手法(1)〜(4)中の手法(3)に対応する。本実施形態において,この手法に換えて,第1の実施形態で述べた手法(1),(2),(4)を採用することも可能である。
(磁気抵抗効果素子3100の作成)
垂直通電型磁気抵抗効果素子3100の作製方法について説明する。
図10は,垂直通電型磁気抵抗効果素子3100の作製手順の一例を表すフロー図である。
(1)スピンバルブ膜3200の形成,その側面のエッチング,磁区制御膜1120,上部シールド層1140の形成(ステップS31〜S33)
図示しない基板上に,スピンバルブ膜3200を形成する。即ち,第1の実施形態での下部シールド層1110〜磁化自由層1340の成膜に加え,分離層1347およびインスタックバイアス層1348を成膜する。
他の点では,ステップS31〜S33は,第1の実施形態のステップS11,S13,S14と本質的に相違するものではないので,詳細な説明を省略する。
(2)反強磁性層1320への交換結合磁界の付与(ステップS34)
反強磁性層1320に交換結合磁界(磁気異方性)が付与される。具体的には,磁界の印加と熱処理とを組み合わせることで,交換結合磁界を付与できる。即ち,反強磁性層1320を熱処理して第1のブロッキング温度より高い第1の温度T1とした状態で第1の磁界H1を印加し,冷却する。
(3)インスタックバイアス層1348への交換結合磁界の付与(ステップS35)
インスタックバイアス層1348に磁気異方性が付与される。即ち,インスタックバイアス層1348を熱処理して第2のブロッキング温度より高い第2の温度(第1の温度より低い)T2とした状態で第2の磁界H2を印加し,冷却する。
インスタックバイアス層1348への磁界H2の方向を反強磁性層1320への磁界H1の方向に対して垂直からずらすことにより,バイアスポイントを調整できる。具体的には,反強磁性層1320の熱処理時の磁界H1の方向をインスタックバイアス層1348の熱処理時の磁界H2の方向に対して,100°以上で,160°より小さくする。この結果,バイアスポイントBPを50%より大きくすることができる。
(第3の実施形態の変形例)
垂直通電型磁気抵抗効果素子が,縦バイアス機構として,インスタックバイアス層1348と磁区制御膜1120の両方を有してもよい。
この場合でも,インスタックバイアス層1348の磁気モーメントの角度をずらすことでバイアスポイントBPを調整することができる。
なお,上記第1〜第3の実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子はすべて下から磁化固着層1342,中間層1341,磁化自由層1340の順序で積層されるボトム型磁気抵抗効果素子である。これに換えて,下から磁化自由層1340,中間層1341,磁化固着層1342の順に積層されるトップ型磁気抵抗効果素子としてもよい。
(磁気再生装置)
次に,本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を搭載した磁気再生装置について説明する。本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子は,例えば,記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込まれ,磁気記録再生装置に搭載することができる。
図11は,このような磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。この磁気記録再生装置150は,ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。同図において,磁気記録用媒体ディスク200は,スピンドル152に装着され,図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより,矢印Aの方向に回転される。
磁気記録再生装置150は,複数の磁気記録用媒体ディスクを備えたものとしてもよい。また,磁気記録用媒体ディスクは,記録ビットの磁化方向がディスク面と略平行な「面内記録方式」,記録ビットの磁化方向がディスク面に対して略垂直な「垂直記録方式」のいずれでも良い。
磁気記録用媒体ディスクに格納する情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は,薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ここで,ヘッドスライダ153は,例えば,前述したいずれかの実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子あるいは磁気ヘッドをその先端付近に搭載している。
磁気記録用媒体ディスクが回転すると,ヘッドスライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気記録用媒体ディスクの表面から所定の浮上量をもって保持される。なお,スライダが磁気記録用媒体ディスクと接触するいわゆる「接触走行型」でもよい。
サスペンション154は,図示しない駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には,リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は,アクチュエータアーム155のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと,このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
アクチュエータアーム155は,スピンドル157の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され,ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。
図12は,本発明の一実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリを表す拡大斜視図である。本図では,アクチュエータアーム155から先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた状態を表す。
磁気ヘッドアッセンブリ160は,例えば,駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155を有し,アクチュエータアーム155の一端にはサスペンション154が接続されている。サスペンション154の先端には,前述したような本発明の磁気抵抗効果素子を具備するヘッドスライダ153が取り付けられている。
サスペンション154は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164を有し,このリード線164とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。図中165は磁気ヘッドアッセンブリ160の電極パッドである。
前述のような磁気抵抗効果素子を具備することにより,従来よりも高い記録密度で磁気記録用媒体ディスク200に磁気的に記録された情報を確実に読みとることが可能となる。
垂直通電型磁気抵抗効果素子を作製し,スピン注入磁化反転とバイアスポイントとの関係を調べた。
下地層1310にTa[5nm],反強磁性層1320にPtMn[15nm],強磁性層1344にCo90Fe10,磁気結合層1343にRu[0.85nm],磁化固着層1342にFe50Co50,中間層1341にCu[5nm],磁化自由層1340にCo90Fe10[1nm]/Ni83Fe17[3.5nm],保護層1350にCu[5nm]を用いた。
縦バイアス機構はCoCrPt合金を用いた磁区制御膜1120とした。反強磁性層1320の着磁方向は,磁区制御膜1120の磁化方向と略垂直になるようにした。強磁性層1344の厚みと磁化固着層1342の厚みを,表1のように変化させた。また,強磁性層1344に用いたCo90Fe10の飽和磁化は1.9T,磁化固着層1342に用いたFe50Co50の飽和磁化は2.2Tである。これを用いて計算した磁気的膜厚Ms1t1およびMs2t2の値をあわせて載せた。
Figure 2007220945
磁化自由層1340から磁化固着層1342への通電を正,磁化固着層1342から磁化自由層1340への通電を負とする。また,磁化固着層1342に対して反平行に磁界を加える方向を磁界の正方向とする。
図13〜図21は,垂直通電型磁気抵抗効果素子のR−Hカーブを表す図である。
図13は,素子Aについて−1mA通電した場合を表す。
図14,図15はそれぞれ,素子Aについて+2mA,−2mA通電した場合を表す。図16,図17はそれぞれ,素子Bについて+2mA,−2mA通電した場合を表す。図18,図19はそれぞれ,素子Cについて+2mA,−2mA通電した場合を表す。図20,図21はそれぞれ,素子Dについて+2mA,−2mA通電した場合を表す。
図13には,スピン注入磁化反転に起因するノイズを含まない良好なR−Hカーブが表される。電流が−1mAと小さいため,スピン注入磁化反転の効果が小さいからである。前述のように,バイアスポイントを求めるためには,このような小さい電流で素子の特性を測定することが好ましい。
なお,この電流値−1mAでは,磁気抵抗効果素子の感度が低い(磁気抵抗変化に伴う出力電圧の変化量が小さい)ために,必ずしも実用的な値ではない。
図13に基づき,素子Aのバイアスポイント30%が算出される。また,素子B〜素子Dも同様に電流値を−1mAとしてバイアスポイントを算出した。この結果,バイアスポイントは,素子Bについて38%,素子Cについて50%,素子Dについて55%,素子Eについて80%,素子Fについて,95%であった。
図14では,磁界Hが200[Oe]の付近で大きな抵抗の減少がある。また,図15では,磁界Hが50[Oe]から−400[Oe]の付近に大きなヒステリシスがある。即ち,素子Aは磁気抵抗効果素子としての特性が良好とはいえない。なお,これらのヒステリシスはスピン注入磁化反転によるものである。
図16では,磁界Hが250[Oe]付近および500[Oe]より高い領域で,抵抗の減少がある。図17では,磁界Hが−350[Oe]より低い領域で,抵抗が急激に大きくなっている。即ち,素子Bも磁気抵抗効果素子としての特性が良好とはいえない。なお,これらのヒステリシスはスピン注入磁化反転によるものである。
図18では,R−Hカーブにヒステリシスなどはみられないが,磁界Hが−600[Oe]から+600[Oe]での抵抗変化が0.12Ωである。この抵抗変化は,図19の同一磁界範囲での抵抗変化0.18Ωに比較して小さい。さらに,50[Oe]付近から600[Oe]付近までの抵抗変化が極めて少ない(媒体からの正の磁界に対する感度が極めて小さい)。
このように,素子Cにおいて,磁化自由層1340から磁化固着層1342に通電させた場合は,磁気抵抗効果素子としての特性が良好とはいえない。なお,図18の正の磁界Hで抵抗変化が小さくなっているのも,スピン注入磁化反転によるものである。
図19では,磁界Hが0[Oe]から−200[Oe]の付近にヒステリシスが観測される。しかし,発明者らが鋭意このヒステリシスについて調査したところ,1000の測定中2回ほどの頻度でしか観測されなかった。したがって,素子Cでは磁化固着層1342から磁化自由層1340に通電することにより,高い磁気抵抗変化を得ることができる。
図20では,磁界Hが0[Oe]の付近にヒステリシスがみられるほか,磁界Hが−600[Oe]から+600[Oe]の範囲での抵抗変化が0.11Ωである。この抵抗変化は,図21の同一磁界範囲での抵抗変化0.19Ωと比較して小さい。さらに,50[Oe]付近から600[Oe]付近までの抵抗変化が極めて少ない(媒体からの正の磁界に対する感度が極めて小さい)。
このように,素子Dにおいて,磁化自由層1340から磁化固着層1342に通電させた場合は,磁気抵抗効果素子としての特性が良好とはいえない。なお,図20の正の磁界Hで抵抗変化がほとんどないのも,スピン注入磁化反転によるものである。
図21では,正,負の磁界いずれでも,磁界の絶対値の増加とともに滑らか,かつ大きく抵抗が増加している。従って,素子Dにおいて,磁化固着層1342から磁化自由層1340に通電させた場合は,磁気抵抗効果素子としての特性が良好といえる。
素子Eでは,バイアスポイントは80%であり,素子Dとほぼ同様の磁気抵抗変化量が得られた。一方素子Fでは,バイアスポイントが95%であり,正方向の磁界に対する抵抗変化が極めて小さかった。即ち,素子Fは,磁気抵抗効果素子としてのバランスに欠ける(負方向の磁界は測定できるが,正方向の磁界の測定は困難)。
以上のように,磁化固着層1342から磁化自由層1340に通電し,バイアスポイントを50%以上とすることにより,スピン注入磁化反転によるノイズを回避し,高い出力を得ることができる。ヒステリシスを回避し,かつ素子Fの結果を考慮すると,55%以上80%以下のバイアスポイントがさらに好ましいことが判る。
ここで,素子C,Dそれぞれで,磁気的膜厚の比((Ms1*t1)/(Ms2*t2))が1.03および3.45で,バイアスポイントが50%および55%である。このことから,磁気的膜厚の比((Ms1*t1)/(Ms2*t2))1.2程度以上において,バイスポイントが実質的に50%より大きくなるものと推定される。
実施例1と同様の素子構造で,強磁性層1344の厚みを3.5nm,磁化固着層1342の厚みを3nmとし,反強磁性層1320にPtMn合金およびIrMn合金を用いた。磁区制御膜1120の磁化方向D4に対して,反強磁性層1320の熱処理時の磁界方向の角度θが異なる素子を作成した。
作成された素子について,実施例1と同様な測定を行い,その結果を表2にまとめた。正の電流においてスピン注入磁化反転の現象に伴う抵抗変化が起こっているものを「判定×」,おこっていないものを「判定○」とした。
Figure 2007220945
表2より,PtMn合金およびIrMn合金の両方において,角度θが10°より大きく160°以下の範囲では,正の電流でスピン注入磁化反転の現象に伴う抵抗変化が生じていないことが判った。
しかし,角度θが10°の場合は,正方向の磁界に対する抵抗変化が極めて小さかった(PtMn合金の場合でバイアスポイントが85%,IrMn合金の場合でバイアスポイントが83%)。即ち,素子Fは,磁気抵抗効果素子としてのバランスに欠ける(負方向の磁界は測定できるが,正方向の磁界の測定は困難)。従って,磁界の角度θを10°より大きく90°より小さい(より好ましくは,80°以下)範囲とすることが好ましい。
図7の第2の実施形態に対応する磁気抵抗効果素子(エクスチェンジバイアス層1345を縦バイアス機構に用いた素子)を作製した。
下地層1310,反強磁性層1320,強磁性層1344,非磁性結合層,磁化固着層1342,中間層1341,磁化自由層1340,保護層は実施例1と同じ構成とし,エクスチェンジバイアス層1345にはIrMnを用いた。反強磁性層1320の熱処理の磁界は(7500[Oe]),そのときの熱処理温度を290度,熱処理時間は3時間とした。エクスチェンジバイアス層1345の熱処理時の磁界は(7500[Oe]),そのときの熱処理温度を270度,熱処理時間を1時間とした。
反強磁性層1320の熱処理時の磁界H1の方向とエクスチェンジバイアス層1345の熱処理時の磁界H2のなす角度θが異なる素子を作製した。
作成された素子について,実施例1と同様な測定を行い,その結果を表3にまとめた。正の電流においてスピン注入磁化反転の現象に伴う抵抗変化が起こっているものを「判定×」,おこっていないものを「判定○」とした。
Figure 2007220945
このように,角度θが10°以上90°以下の場合,正方向の電流でスピン注入磁化反転の現象に伴う抵抗変化が生じていないことが判った。ただし,角度θを10°とした場合にはバイアスポイントが85%であり,正方向の磁界に対する抵抗変化が極めて小さかった。即ち,磁気抵抗効果素子としてのバランスに欠ける(負方向の磁界は測定できるが,正方向の磁界の測定は困難)。
以上から,角度θを10°より大きく90°より小さくする(より好ましくは,80°以下)ことが好ましいことが示される。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の第1実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の断面を表す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の上面から見た場合の磁化方向を表す模式図である。 バイアスポイントを説明するための模式図である。 CIP−GMRでの電流の通電方向と電流により発生する磁界を示す模式図である。 CPP−GMRでの電流の通電方向と電流により発生する磁界を示す模式図である。 第1実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の作製手順の一例を表すフロー図である。 図4の手順で作成される垂直通電型磁気抵抗効果素子を表す断面図である。 図4の手順で作成される垂直通電型磁気抵抗効果素子を表す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の断面を表す断面図である。 第2実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の作製手順の一例を表すフロー図である。 本発明の第3実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の断面を表す断面図である。 第3実施形態に係る垂直通電型磁気抵抗効果素子の作製手順の一例を表すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構成を例示する要部斜視図である。 本発明の一実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリを表す拡大斜視図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。 垂直通電型磁気抵抗効果素子の磁界−抵抗特性の一例を表す図である。
符号の説明
1100…垂直通電型磁気抵抗効果素子、1110…下部シールド層、1120…磁区制御膜、1130…絶縁体、1140…上部シールド層、1150…絶縁層、1200…スピンバルブ膜、1310…下地層、1320…反強磁性層、1340…磁化自由層、1341…中間層、1342…磁化固着層、1343…磁気結合層、1344…強磁性層、1345…エクスチェンジバイアス層、1346…上部電極層、1347…分離層、1348…インスタックバイアス層、1350…保護層、1360…レジスト層、150…磁気記録再生装置、152…スピンドル、153…ヘッドスライダ、154…サスペンション、155…アクチュエータアーム、156…ボイスコイルモータ、157…スピンドル、160…磁気ヘッドアッセンブリ、164…リード線、200…磁気記録用媒体ディスク

Claims (11)

  1. 外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁性体膜を有する磁化自由層と,磁化の方向が実質的に一方に固着される磁性体膜を有する磁化固着層と,前記磁化自由層と前記磁化固着層の間に配置される中間層と,を有する磁気抵抗効果膜と, 前記磁気抵抗効果膜の前記磁化固着層上に配置される磁気結合層と, 前記磁気結合層上に配置される強磁性層と,
    前記強磁性層上に配置される反強磁性層と,
    前記磁化自由層に対して,前記磁気抵抗効果膜の膜面に略平行かつ前記磁化固着層の磁化方向に略垂直な方向のバイアス磁界を加えるバイアス機構部と, 前記磁気抵抗効果膜に,前記磁化固着層から前記磁化自由層に向かう方向の電流を通電するための一対の電極と,を具備し, バイアスポイントが50%より大きいことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記バイアスポイントが,55%以上,80%以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記磁化固着層の飽和磁化Ms1および厚みt1,前記強磁性層の飽和磁化Ms2および厚みt2が次の関係にあることを特徴とする請求項1乃至2に記載の磁気抵抗効果素子。
    1.2≦(Ms1×t1)/(Ms2×t2)<5
  4. 前記磁化固着層の磁化方向に対する前記磁気自由層の初期磁化方向の角度が,100°以上で,160°より小さいことを特徴とする請求項1乃至3に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記バイアス機構部が,前記磁気抵抗効果膜の側面に配置され,かつ硬磁性材料を含む一対の磁区制御膜を有し,
    前記磁区制御膜の磁化方向に対する前記強磁性層の磁化方向の角度が,10°より大きく80°以下であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 請求項1乃至5記載の磁気抵抗効果素子
    を具備する磁気ヘッド。
  7. 磁気記録媒体の情報を再生する請求項6記載の磁気ヘッド
    を具備する磁気再生装置。
  8. 外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁性体膜を有する磁化自由層と,磁化の方向が実質的に一方に固着される磁性体膜を有する磁化固着層と,前記磁化自由層と前記磁化固着層の間に配置される中間層と,を有する磁気抵抗効果膜と,前記磁気抵抗効果膜の前記磁化固着層上に配置される磁気結合層と,前記磁気結合層上に配置される強磁性層と,前記強磁性層上に配置される反強磁性層と,前記磁化自由層に対して,前記磁気抵抗効果膜の膜面に略平行かつ前記磁化固着層の磁化方向に略垂直な方向のバイアス磁界を加えるバイアス機構部と,前記磁気抵抗効果膜に,前記磁化固着層から前記磁化自由層に向かう方向の電流を通電するための一対の電極と,を備える構造体を形成するステップと, 前記磁化自由層に,前記磁化固着層の磁化方向に対する角度が100°以上で,160°より小さい初期磁化方向を付与するステップと, を具備することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 前記磁化自由層に前記初期磁化方向を付与するステップが,前記強磁性層に,前記磁区制御膜の磁化方向に対する角度が10°より大きく,80°以下の磁化方向を付与するステップを有する
    ことを特徴とする請求項8記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 前記バイアス機構部が,前記磁気抵抗効果膜の側面に配置され,かつ硬磁性材料を含む一対の磁区制御膜を有し,
    前記強磁性層に磁化方向を付与するステップが,前記反強磁性層に,前記磁区制御膜の磁化方向に対して10°より大きく,80°以下の方向の磁界を印加しながら,熱処理するステップを含む
    ことを特徴とする請求項9記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 前記バイアス機構部が,前記磁気抵抗効果膜の前記磁化自由層上に配置され,かつ反強磁性材料を含むエクスチェンジバイアス層を有し,
    前記磁化自由層に前記初期磁化方向を付与するステップが,
    前記反強磁性層に,第1の方向の磁界を印加しながら,熱処理するステップと,
    前記エクスチェンジバイアス層に,第2の方向の磁界を印加しながら,熱処理するステップと,を含み,
    前記第2の方向に対する前記第1の方向の角度が10°より大きく,80°以下である
    ことを特徴とする請求項8記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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