JP2007216447A - 樹脂成形方法及び樹脂成形装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャビティ21を形成してなるゴム製の成形型2と、キャビティ21内を真空状態にする真空手段61と、波長が0.78〜2μmの電磁波(近赤外線)を照射する電磁波発生手段4とを有する樹脂成形装置1を用いる。ゴム製の成形型2のキャビティ21内を真空状態にする真空工程と、真空状態のキャビティ21内に溶融状態の熱可塑性樹脂3を充填する充填工程と、キャビティ21内の熱可塑性樹脂3を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを行う。充填工程においては、成形型2を介して熱可塑性樹脂3に近赤外線を照射することにより、成形型2に対して熱可塑性樹脂3を選択的に加熱する。
【選択図】図1
Description
ところで、熱可塑性樹脂の種類、成形品の形状によっては、成形中に溶融状態の熱可塑性樹脂の温度が低下することにより溶融粘度が高くなり、目的とする成形品を得ることが困難となることがある。そのため、これを改良するため、成形品を成形する成形型(金型)をヒーター等によって加熱する方法が知られている。
また、特許文献1においては、シリコーンゴムの耐熱温度は、例えば200℃程度であり、樹脂の温度の低下を防ぐためにヒーター等の加熱温度を上げると、シリコーンゴム製の成形型が劣化し、この成形型により成形する成形品の表面外観が低下するおそれがある。
なお、例えば、特許文献3には、真空注型法により、熱可塑性樹脂の充填成形を行う方法が開示されている。
上記真空状態のキャビティ内に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程と、
上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを含み、
上記充填工程においては、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に波長が0.78〜2μmの電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項1)。
すなわち、樹脂成形品を成形するに当たっては、まず、真空工程として、ゴム製の成形型のキャビティ内を真空状態にする。次いで、充填工程として、真空状態のキャビティ内に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する。そして、この充填の際に、波長が0.78〜2μmの電磁波(以下、近赤外線という場合がある。)を、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する。このとき、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を大きく加熱することができる。
その後、冷却工程として、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る。
すなわち、ゴム製の成形型の表面に照射された上記近赤外線は、成形型の表面を反射又は成形型を透過する割合が多いのに対し、熱可塑性樹脂に吸収される割合が多いと考える。そのため、近赤外線による光のエネルギーが熱可塑性樹脂に優先的に吸収されて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができると考える。
上記真空状態のキャビティ内に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程と、
上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを含み、
上記充填工程においては、波長が0.78〜4μmの電磁波を出射する電磁波発生手段と、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させるフィルターとを用い、
上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射して、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項2)。
すなわち、樹脂成形品を成形するに当たっては、まず、真空工程及び充填工程を行う。そして、この充填工程の際に、電磁波発生手段から波長が0.78〜4μmの電磁波を出射し、フィルターを透過させた後の透過電磁波を、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する。このとき、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を大きく加熱することができる。
その後、冷却工程として、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る。
なお、上記波長が2μm以下の近赤外線により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由としては、上記第1の発明と同様に考える。
上記キャビティ内を真空状態にする真空手段と、
波長が0.78〜2μmの電磁波を出射する電磁波発生手段とを有しており、
上記真空手段により真空状態にした上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂を充填する際に、当該成形型を介して上記熱可塑性樹脂に上記電磁波を照射するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項13)。
すなわち、本発明の樹脂成形装置は、上記ゴム製の成形型と、上記真空手段と、上記波長が0.78〜2μmの電磁波を出射する電磁波発生手段とを有している。
これにより、上記キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填が完了するまでの間において、成形型の温度よりも、キャビティ内における熱可塑性樹脂の温度を高く維持することができる。
なお、上記近赤外線により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由としては、上記第1の発明と同様に考える。
上記キャビティ内を真空状態にする真空手段と、
波長が0.78〜4μmの電磁波を出射する電磁波発生手段と、
該電磁波発生手段と上記成形型との間に配置し、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させるフィルターとを有しており、
上記真空手段により真空状態にした上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂を充填する際には、上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項14)。
すなわち、本発明の樹脂成形装置は、上記ゴム製の成形型と、上記真空手段と、上記波長が0.78〜4μmの電磁波を出射する電磁波発生手段と、上記フィルターとを有している。
これにより、上記キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填が完了するまでの間において、成形型の温度よりも、キャビティ内における熱可塑性樹脂の温度を高く維持することができる。
なお、上記波長が2μm以下の近赤外線により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由としては、上記第1の発明と同様に考える。
上記第1〜第4の発明において、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射する電磁波としては、波長が0.78〜2μmの領域の電磁波だけでなく、これ以外の領域の電磁波も含まれていてもよい。この場合において、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する電磁波又は透過電磁波は、波長が0.78〜2μmの領域の電磁波を、これ以外の領域の電磁波よりも多く含むことが好ましい。
また、上記真空状態とは、絶対真空の状態である必要はなく、大気圧よりも圧力が低い状態とすることができる。
また、フィルターとしては、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させる性質を有するものであれば、石英ガラス以外のものにすることもできる。例えば、フィルターとしては、石英ガラス以外にも、多孔質ガラス(例えば、バイコール(登録商標)ガラスがある。)、珪ホウ酸ガラス(例えば、パイレックス(登録商標)ガラスがある。)等を用いることができる。
これらの場合には、波長が2μm以下の近赤外線により、熱可塑性樹脂を一層効果的に加熱することができる。
この場合には、キャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じることを一層効果的に防止することができる。
この場合には、熱可塑性樹脂の溶融粘度の増加を抑制して、成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じることを一層容易に防止することができる。
なお、上記キャビティ内において溶融した状態の熱可塑性樹脂の粘度が5000Poise以上になると、キャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じるおそれがある。
また、上記第1〜第4の発明において、上記圧力容器内に成形型を配置した場合には、上記電磁波発生手段等の電磁波発生源は、圧力容器内又は圧力容器外のいずれに配置してもよい。特に、電磁波発生源は、圧力容器外に配置することが好ましい。この場合には、発熱した電磁波発生源を効率よく冷却することができる。
ところで、ゴム製の成形型におけるキャビティ内に、熱可塑性樹脂のペレットを溶融させて注入するときには、キャビティ内にペレット同士の間の空気等の気体が混入するおそれがある。これに対し、キャビティ内に上記樹脂固形体を溶融させて充填することにより、キャビティ内に上記気体が混入してしまうことを防止することができる。
また、上記樹脂固形体を溶融させた熱可塑性樹脂は、この熱可塑性樹脂を上方から押さえるプッシャーの自重も利用して、キャビティ内に充填することができる。
この場合には、上記近赤外線の照射により、上記ゴム製の成形型及び熱可塑性樹脂を加熱する際に、熱可塑性樹脂を容易に選択的に加熱することができる。また、吸光度は、例えば、島津製作所製UV3100を用いて測定することができる。
ところで、上記第1、第2の発明においては、熱可塑性樹脂の冷却速度を比較的遅くすることが多い。そのため、冷却中に熱可塑性樹脂の結晶性が高くなることがあり、これによって、樹脂成形品の寸法精度が低下したり、樹脂成形品の耐衝撃性が低下したりすることがある。これに対し、熱可塑性樹脂を非晶性熱可塑性樹脂にしたことにより、上記樹脂成形品の寸法精度の低下及び耐衝撃性の低下等を防止することができる。
この場合には、上記電磁波により、ゴム製の成形型に対して熱可塑性樹脂を選択的に加熱することが一層容易である。
上記ゴム質重合体としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この場合には、成形型の作製が容易であると共に、上記電磁波により、成形型をほとんど加熱することなく熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる。
また、シリコーンゴムの硬度は、JIS−A規格測定において25〜80であることが好ましい。
なお、上記樹脂固形体は、上記キャビティの全体を充填できる容量であればよく、例えば、キャビティの容量の1〜1.5倍の容量に形成することができる。
この場合には、加熱保持容器において、樹脂固形体を効果的に加熱することができ、迅速に半溶融状態にすることができる。
(実施例1)
本例の樹脂成形方法は、図1〜図3に示すごとく、ゴム製の成形型2のキャビティ21内に真空注型法によって熱可塑性樹脂3を充填し、この熱可塑性樹脂3を冷却して樹脂成形品を得る方法である。また、本例の樹脂成形方法は、樹脂成形品を成形するに当たり、成形型2に対して、熱可塑性樹脂3を選択的に加熱することができる方法である。
本例においては、熱可塑性樹脂3として、非晶性熱可塑性樹脂であると共にゴム変性熱可塑性樹脂であるABS樹脂を用いる。
また、本例の成形型2は、シリコーンゴムからなる。この成形型2は、成形する樹脂成形品のマスターモデル(手作りの現物等)を液状のシリコーンゴム内に配置し、このシリコーンゴムを硬化させ、硬化後のシリコーンゴムからマスターモデルを取り出すことによって作製することができる。
また、波長が0.78〜2μmの電磁波(光)に対する吸光度(特定の波長の光に対する吸収強度を示す尺度)は、熱可塑性樹脂3として用いるABS樹脂の方が、ゴム製の成形型2として用いるシリコーンゴムよりも大きくなっている。
また、本例においては、溶融した状態の熱可塑性樹脂3を成形型2のキャビティ21内に注入し、成形型2に上記近赤外線を照射することにより、上記溶融した状態の熱可塑性樹脂3の粘度が5000Poise以上になることを防止して、樹脂成形品を得る。
また、同図に示すごとく、本例の成形型2は、減圧及び増圧が可能な圧力容器62内に配置してある。本例の圧力容器62は、真空注型を行うための容器である。また、上記真空手段61は、圧力容器62に配設した真空ポンプであり、圧力容器62内の真空引きを行うよう構成してある。
また、図1に示すごとく、成形型2におけるキャビティ21の上部には、熱可塑性樹脂3を挿入配置するための樹脂受入部22が形成してある。そして、成形型2においては、樹脂受入部22の下部とキャビティ21の上部とが、注入ゲート23によって連結してある。
容器外周部71には、樹脂固形体31の側壁部312の外周を加熱する外周ヒータ73が配設してあり、容器スライド部72の突出ピン部722には、樹脂固形体31の側壁部312の内周を加熱する内周ヒータ74が配設してある。
また、図1に示すごとく、上記樹脂受入部22の底部311には、樹脂固形体31の突起部313のテーパ形状に沿った絞り部221が形成してある。そして、図2に示すごとく、半溶融状態の樹脂固形体31を、その突起部313を下方に向けて樹脂受入部22内に落下させたときには、樹脂固形体31の突起部313が、絞り部221によって樹脂受入部22の中心へ導かれる。これにより、半溶融状態の樹脂固形体31を、位置決めを行った状態で安定して樹脂受入部22内に挿入配置することができる。
加熱保持容器7は、図1に示すごとく、樹脂受入状態701においては、樹脂固形体31を保持し、この樹脂固形体31を外周ヒータ73及び内周ヒータ74によって加熱して、半溶融状態にするよう構成してある。一方、加熱保持容器7は、図2に示すごとく、樹脂払出状態702においては、半溶融状態の樹脂固形体31を、キャビティ21の上部に設けた樹脂受入部22内に落下させるよう構成してある。
本例においては、以下の真空工程、予備加熱工程、充填工程及び冷却取出工程を行って、熱可塑性樹脂3から樹脂成形品を得る。
樹脂成形品を成形するに当たっては、まず、図1に示すごとく、真空工程として、上記真空手段61によって上記圧力容器62内の真空引きを行い、ゴム製の成形型2のキャビティ21内を真空状態にする。
次いで、同図に示すごとく、予備加熱工程として、熱可塑性樹脂3としての樹脂固形体31を樹脂受入状態701にある加熱保持容器7内に挿入配置し、外周ヒータ73及び内周ヒータ74によって樹脂固形体31を加熱して溶融状態にする。
また、予備加熱工程においては、上記電磁波発生手段4を用いて、成形型2に設けた樹脂受入部22を予備加熱しておくこともできる。
そして、図3に示すごとく、樹脂受入部22内に配置された熱可塑性樹脂3は、その自重によって、上記注入ゲート23を介してキャビティ21内に流下する。また、このとき、加熱保持容器7を上記樹脂受入状態701に再び反転させ、上記容器スライド部72における荷重部721によって熱可塑性樹脂3に対して荷重を加えることができる。
こうして、真空状態のキャビティ21内に、溶融状態の熱可塑性樹脂3を充填する。
そして、樹脂受入部22からキャビティ21内に流下する熱可塑性樹脂3は、近赤外線によって、温度が低下することが抑制される。
また、キャビティ21内に熱可塑性樹脂3を充填する際には、成形型2を構成するゴムと熱可塑性樹脂3との物性の違いにより、ゴム製の成形型2に比べて、熱可塑性樹脂3を大きく加熱することができる。
また、本例においては、成形した樹脂成形品は、成形型2のキャビティ21内において空冷することにより冷却した後、このキャビティ21内から取り出す。このとき、上記のごとく熱可塑性樹脂3を選択的に加熱できることにより、成形型2の温度は、熱可塑性樹脂3の温度よりも低く維持することができる。そのため、樹脂成形品を冷却するために要する冷却時間を短縮することができる。
また、成形型2の温度を低く維持できることにより、成形型2の劣化を抑制することができ、成形型2の耐久性を向上させることができる。
本例の樹脂成形装置1は、図6に示すごとく、0.78〜2μmの波長領域に強度のピークを有する電磁波を出射する電磁波発生手段4Aと、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させるフィルター5とを有して構成してある。このフィルター5は、電磁波発生手段4Aにおける電磁波の出射位置と成形型2との間に配設してある。本例のフィルター5は、スペーサ51を介して成形型2の表面に配置してある。また、本例のフィルター5は、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させる石英ガラスである。
本例の樹脂成形装置1におけるその他の構成は、上記実施例1と同様である。
ところで、上記0.78〜2μmの波長領域に強度のピークを有する電磁波の中には、波長が2μmを超える電磁波も含まれているものの、フィルター5を用いたことにより、波長が2μmを超える電磁波は、成形型2にできるだけ照射させないようにすることができる。
本例においても、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本確認試験1においては、上記実施例1に示した樹脂成形方法及び樹脂成形装置1による優れた作用効果の確認試験を行った。
本確認試験1においては、電磁波発生手段4としては、近赤外線ハロゲンヒータ(ウシオ電機製スポットヒータユニット UL−SH−01、定格電圧100V、消費電力500W、光強度のピーク波長;約1.2μm)を用いた。また、成形型2内に注入する前の熱可塑性樹脂3の可塑化を行うために、射出成形機(新潟鐵工所製NN30B)を用いた。また、成形型2の温度及び熱可塑性樹脂3の温度を測定するために、熱電対モニターを用いた。
また、本確認試験1においては、射出成形機から溶融状態(約250℃)の熱可塑性樹脂3を、室温(約25℃)の成形型2内に注入した。そして、この成形型2に電磁波発生手段4から上記近赤外線を照射し、3分経過時の成形型2の温度及び熱可塑性樹脂3の温度を測定した。なお、近赤外線の照射中に熱可塑性樹脂3の温度が250℃になったときには、照射を中止し、そのときの成形型2の温度を測定した。
(発明品1) 熱可塑性樹脂3;黒色不透明のABS樹脂、成形型2;近赤外線を照射する側の表面からキャビティ21までの厚みTが12mmである透明のシリコーンゴム。
(発明品2) 熱可塑性樹脂3;黒色不透明のABS樹脂、成形型2;上記厚みTが25mmである透明のシリコーンゴム。
(発明品4) 熱可塑性樹脂3;透明のABS樹脂、成形型2;上記厚みTが12mmである透明のシリコーンゴム。
また、発明品1〜4のシリコーンゴムとしては、JIS−A硬度が40である信越シリコーン製のものを用いた。
(比較品1) 熱可塑性樹脂3及び成形型2の構成は、上記発明品1と同じ。
(比較品2) 熱可塑性樹脂3及び成形型2の構成は、上記発明品2と同じ。
上記測定を行った結果を、表1に示す。
なお、成形型2のキャビティ21内に注入した直後の熱可塑性樹脂3の温度は、成形型2によって冷やされて150〜180℃まで下降した。
なお、シリコーンゴム製の成形型2が常温から170〜180℃まで上昇した理由は、成形型2が、そのキャビティ21内に充填した熱可塑性樹脂3から熱伝達によって熱エネルギーを受け取ったため、及び成形型2が近赤外線の一部を吸収して温度上昇したためであると考える。
本確認試験においては、上記実施例2に示した樹脂成形方法及び樹脂成形装置1による優れた作用効果の確認試験を行った。
本確認試験においては、以下の発明品5〜9について、上記電磁波発生手段4Aからフィルター5及び成形型2を介して熱可塑性樹脂3に照射し、熱電対モニターを用いて、成形型2の温度と、成形型2のキャビティ21内に充填した熱可塑性樹脂3の温度を測定した。
(発明品5) 熱可塑性樹脂3及び成形型2は発明品1に同じ。
(発明品6) 熱可塑性樹脂3及び成形型2は発明品2に同じ。
(発明品7) 熱可塑性樹脂3及び成形型2は発明品3に同じ。
(発明品8) 熱可塑性樹脂3及び成形型2は発明品4に同じ。
(発明品9) 熱可塑性樹脂3及び成形型2は発明品1に同じ。
また、発明品5〜9のシリコーンゴムとしては、JIS−A硬度が40である信越シリコーン製のものを用いた。
また、成形型2内に注入する前の熱可塑性樹脂3の可塑化を行うために、射出成形機(新潟鐵工所製NN30B)を用いた。
上記測定を行った結果を、表2に示す。
なお、成形型2のキャビティ21内に注入した直後の熱可塑性樹脂3の温度は、成形型2によって冷やされて150〜180℃まで下降した。
上記結果より、シリコーンゴム製の成形型2の表面にフィルター5を介して電磁波を照射すること(発明品5〜9)により、成形型2に対して、熱可塑性樹脂3を選択的に加熱できることがわかった。
なお、シリコーンゴム製の成形型2が常温から150〜180℃まで上昇した理由は、成形型2が、そのキャビティ21内に充填した熱可塑性樹脂3から熱伝達によって熱エネルギーを受け取ったため、及び成形型2が近赤外線の一部を吸収して温度上昇したためであると考える。
2 成形型
21 キャビティ
22 樹脂受入部
3 熱可塑性樹脂
31 樹脂固形体
4 電磁波発生手段
5 フィルター
61 真空手段
62 圧力容器
7 加熱保持容器
73 外周ヒータ
74 内周ヒータ
Claims (19)
- ゴム製の成形型のキャビティ内を真空状態にする真空工程と、
上記真空状態のキャビティ内に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程と、
上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを含み、
上記充填工程においては、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に波長が0.78〜2μmの電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。 - ゴム製の成形型のキャビティ内を真空状態にする真空工程と、
上記真空状態のキャビティ内に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程と、
上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを含み、
上記充填工程においては、波長が0.78〜4μmの電磁波を出射する電磁波発生手段と、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させるフィルターとを用い、上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射して、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。 - 請求項2において、上記フィルターは、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させる石英ガラスであることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記充填工程においては、0.78〜2μmの波長領域に強度のピークを有する電磁波を用いることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記充填工程においては、上記成形型よりも高い温度に上記熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記充填工程においては、上記成形型に上記電磁波を照射することにより、上記キャビティ内における溶融状態の熱可塑性樹脂の粘度が5000Poise以上になることを防止することを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記成形型は、減圧及び増圧が可能な圧力容器内に配置しておき、
上記真空工程においては、上記圧力容器内を減圧して、上記キャビティ内を真空状態にし、上記充填工程においては、上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂を注入した後、上記圧力容器内を上記真空状態から増圧することを特徴とする樹脂成形方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項において、上記キャビティ内に充填する前の上記熱可塑性樹脂は、上記キャビティを充填する容量以上に形成した樹脂固形体であり、
上記キャビティ内には、上記樹脂固形体を溶融させた熱可塑性樹脂を、該熱可塑性樹脂の自重を利用して充填することを特徴とする樹脂成形方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂の吸光度は、上記ゴム製の成形型の吸光度よりも大きいことを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂であることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項において、上記成形型は、シリコーンゴムからなることを特徴とする樹脂成形方法。
- 熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、
上記キャビティ内を真空状態にする真空手段と、
波長が0.78〜2μmの電磁波を出射する電磁波発生手段とを有しており、
上記真空手段により真空状態にした上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂を充填する際に、当該成形型を介して上記熱可塑性樹脂に上記電磁波を照射するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。 - 熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、
上記キャビティ内を真空状態にする真空手段と、
波長が0.78〜4μmの電磁波を出射する電磁波発生手段と、
該電磁波発生手段と上記成形型との間に配置し、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させるフィルターとを有しており、
上記真空手段により真空状態にした上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂を充填する際には、上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項14において、上記フィルターは、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させる石英ガラスであることを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項13〜15のいずれか一項において、上記電磁波発生手段は、0.78〜2μmの波長領域に強度のピークを有する電磁波を出射するものであることを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項13〜16のいずれか一項において、上記成形型は、減圧及び増圧が可能な圧力容器内に配置してあり、
該圧力容器内は、上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂の注入を行う前には上記真空手段により真空状態に減圧し、上記注入を行った後には大気圧以上の圧力状態に増圧するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項13〜17のいずれか一項において、上記キャビティ内に充填する前の上記熱可塑性樹脂は、上記キャビティを充填する容量以上に形成した樹脂固形体であり、
上記樹脂成形装置は、上記樹脂固形体を保持して加熱する加熱保持容器を有しており、該加熱保持容器内から半溶融状態の樹脂固形体を上記キャビティの上部に設けた樹脂受入部内へ挿入配置するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項18において、上記樹脂固形体は、底部と該底部から環状に立設した側壁部とによる中空形状を有しており、
上記加熱保持容器は、上記側壁部の外周を加熱する外周ヒータと、上記側壁部の内周を加熱する内周ヒータとを有していることを特徴とする樹脂成形装置。
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