JP4956270B2 - 樹脂成形方法及び樹脂成形装置 - Google Patents
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Description
ところで、熱可塑性樹脂の種類、成形品の形状によっては、成形中に熱可塑性樹脂の温度が低下することにより溶融粘度が高くなり、目的とする成形品を得ることが困難となることがある。これを改良するため、成形品を成形する成形型(金型)をヒーター等によって加熱する方法が知られている。
また、特許文献1においては、シリコーンゴムの耐熱温度は、例えば200℃程度であり、樹脂の温度の低下を防ぐためにヒーター等の加熱温度を上げると、シリコーンゴム製の成形型が劣化し、この成形型により成形する成形品の表面外観が低下するおそれがある。
なお、例えば、特許文献3には、真空注型法により、熱可塑性樹脂の充填成形を行う方法が開示されている。
上記型合わせ面において上記キャビティの周辺に型締め用空間を形成し、上記成形型を圧力容器内に収容しておき、
該圧力容器内を減圧して上記キャビティ内及び上記型締め用空間内を真空状態にする真空工程と、上記真空状態のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程と、上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを行うに際し、
上記充填工程の前後又は上記充填工程中に上記圧力容器内を真空状態から増圧して、該圧力容器内の圧力を上記型締め用空間内の圧力よりも高くすることによって、上記複数の型部の型開きを防止し、
また、上記充填工程中には、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項1)。
次いで、充填工程として、真空状態のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する。そして、充填工程を行う前後又は充填工程を行っているときに圧力容器内を真空状態から増圧して、圧力容器内の圧力を型締め用空間内の圧力よりも高くする。このとき、圧力容器内の圧力と型締め用空間内の圧力との差により、複数の型部には、型合わせ面が開かないようにする型締め力が作用する。これにより、型締め用空間を利用して複数の型部の型締め(型開きの防止)を簡単に行うことができ、この型締め状態を充填工程及び冷却工程を行っている間維持することができる。
その後、冷却工程として、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却したときには、充填不良がほとんどない良好な樹脂成形品を得ることができる。
すなわち、ゴム製の成形型の表面に照射された0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波は、成形型に吸収される割合に比べて、成形型を透過して熱可塑性樹脂に吸収される割合が多いと考える。そのため、0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波による光のエネルギーが熱可塑性樹脂に優先的に吸収されて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができると考える。
0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を出射する電磁波発生手段と、
上記成形型を収容するための圧力容器と、
該圧力容器内を真空にするための真空手段とを有しており、
上記複数の型部の上記型合わせ面における上記キャビティの周辺には、型締め用空間が形成してあり、
上記真空手段によって上記圧力容器内を減圧して上記キャビティ内及び上記型締め用空間内を真空状態にする真空動作と、上記真空状態のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填動作とを行うよう構成してあり、
上記充填動作の前後又は上記充填動作中に上記圧力容器内を真空状態から増圧して、該圧力容器内の圧力を上記型締め用空間内の圧力よりも高くすることによって、上記複数の型部の型開きを防止し、
また、上記充填動作中には、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項12)。
そして、本発明においても、第1の発明における真空工程及び充填工程と同様に、上記真空動作及び充填動作を行い、その後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して、充填不良がほとんどない良好な樹脂成形品を得ることができる。
なお、上記0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波により、上記ゴム製の成形型に比べて、上記熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由は、上記第1の発明と同様である。
第1、第2の発明において、上記真空状態とは、絶対真空状態のみを意味するのではなく、通常は、1Torr(1.33×102Pa)以下の中真空状態であればよく、好ましくは10-3Torr(1.33×10-1Pa)以下、さらに好ましくは10-4Torr(1.33×10-2Pa)以下とすることができる。
また、ピン、ボルト、平板等を用いた複数の型部の型開きの防止は、上記冷却工程を行う際に、保圧力として複数の型部に作用させておくことができる。また、上記圧力容器内と上記型締め用空間内との圧力差による複数の型部の型開きの防止は、上記冷却工程中も継続することができる。
また、複数の型部は、成形型を3つ以上に分割して形成することもできる。この場合は、特に、上記キャビティの形状により、成形後の樹脂成形品を取り出すことが困難な場合に有効である。また、この場合においては、各型部同士の間に、キャビティ及び型締め用空間を形成することができる。
また、上記圧力容器内を真空状態から増圧するタイミングは、上記充填工程(動作)後とすることもでき、この場合には、上記複数の型部を挟持して型開きを防止する構成を兼用することによって、充填工程中における複数の型部の型開きを防止することができる。
また、上記充填工程中又は充填工程後において、上記型締め用空間内を水等の冷却媒体で満たし、上記キャビティ内に成形する樹脂成形品の冷却効率を向上させることも可能である。
また、上記電磁波発生手段等の電磁波発生源は、1個だけではなく、複数個用いることができる。また、上記成形型には、一方向からだけではなく、多方向から電磁波を照射することができる。
また、第2の発明において、上記電磁波発生手段は、0.78〜4μmの波長領域を含む電磁波を出射するものであり、上記電磁波発生手段と上記成形型との間には、2μmを超える波長領域の電磁波の透過量を減少させるフィルターが配置してあり、上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射して、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成することが好ましい(請求項13)。
この場合には、圧力容器内と、複数の型部における型締め用空間内との間に、より確実に型締め力を作用させることができる。
この場合には、充填工程(動作)において、キャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する際には、真空状態にある型締め用空間からキャビティに対して、熱可塑性樹脂を吸入する力(充填させる力)を作用させることができる。これにより、キャビティへの熱可塑性樹脂の充填時間の短縮、充填不良の減少等、充填性能を向上させることができる。
また、キャビティを経由して型締め用空間の一部まで充填された熱可塑性樹脂の部分は、樹脂成形品の成形後に切除することができる。
なお、上記型締め用空間は、上記キャビティから独立して、上記型合わせ面に形成することもできる。
この場合には、充填工程(動作)において、キャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する際に、型締め用空間内へ流入する熱可塑性樹脂の量をできるだけ少なくすることができ、真空状態にある型締め用空間からキャビティに対して、より効果的に熱可塑性樹脂を吸入する力を作用させることができる。
この場合には、種々の形状のキャビティを容易に形成することができる。また、複数の型部に跨って形成した型締め用空間により、複数の型部の両側からできるだけ均等に上記型締め力を作用させることができると考える。
この場合には、複数の型部に作用させる上記型締め力を容易に大きくすることができる。
この場合には、電磁波発生手段等の電磁波発生源として、出射する電磁波の波長に所定の分布特性を有するハロゲンヒータ、赤外線ランプ等を用いることができる。
この場合には、上記真空工程(動作)等の上記型締め力を作用させる前の状態において、複数のピンによって複数の型部が不意に開いてしまわないようにすることができる。また、充填工程(動作)を行う際には、より強い型締め力を複数の型部に作用させることができる。
この場合には、上記熱可塑性樹脂を注入する際に生じたゴム製の成形型の弾性変形が回復するまで、上記0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波の照射を継続する。このとき、成形型に比べて熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができるため、成形型の弾性変形をできるだけ短時間で回復させることができる。その後、冷却後の樹脂成形品を複数の型部から取り出したときには、より寸法精度に優れた樹脂成形品を得ることができる。
この場合には、成形型の作製が容易であると共に、上記電磁波により、成形型をほとんど加熱することなく上記ABS系樹脂を選択的に加熱することができる。
また、シリコーンゴムの硬度は、JIS−A規格測定において25〜80であることが好ましい。
ところで、熱可塑性樹脂の冷却速度は比較的遅くすることが多い。そのため、冷却中に熱可塑性樹脂の結晶性が高くなることがあり、これによって、樹脂成形品の寸法精度が低下したり、樹脂成形品の耐衝撃性が低下したりすることがある。これに対し、熱可塑性樹脂を非晶性熱可塑性樹脂にしたことにより、上記樹脂成形品の寸法精度の低下及び耐衝撃性の低下等を防止することができる。
上記ゴム質重合体としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本例の樹脂成形方法及び樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型2における一対の型部2Aを組み合わせ、この型部2A同士の間の型合わせ面(型割り面)20に形成したキャビティ21内に熱可塑性樹脂3を充填し、この熱可塑性樹脂3を冷却して樹脂成形品を得るものである。
本例の樹脂成形装置1は、図1〜図3に示すごとく、一対の型部2Aを備えたゴム製の成形型2と、0.78〜4μmの波長領域を含む電磁波を出射する電磁波発生手段4と、成形型2を収容するための圧力容器61と、この圧力容器61内を真空にするための真空ポンプ(真空手段)62とを有している。
樹脂成形装置1は、真空ポンプ62によって圧力容器61内を減圧してキャビティ21内及び型締め用空間22内を真空状態にする真空動作と、真空状態のキャビティ21内に溶融状態の熱可塑性樹脂3を充填する充填動作とを行うよう構成してある。この真空動作及び充填動作は、シーケンサ、プログラマブルコントローラ等の制御コンピュータを用いて行うことができる。
本例においては、熱可塑性樹脂3として、非晶性熱可塑性樹脂3であると共にゴム変性熱可塑性樹脂3であるABS樹脂を用いる。
また、本例の成形型2は、シリコーンゴムからなる。この成形型2は、成形する樹脂成形品のマスターモデル(手作りの現物等)を液状のシリコーンゴム内に配置し、このシリコーンゴムを硬化させ、硬化後のシリコーンゴムを切り開いて、このシリコーンゴムからマスターモデルを取り出すことによって作製することができる。
また、本例においては、溶融した状態の熱可塑性樹脂3を成形型2のキャビティ21内に注入し、成形型2に上記電磁波を照射することにより、上記溶融した状態の熱可塑性樹脂3の粘度が5000Poise以上になることを防止して、樹脂成形品を得る。
また、ガラス製フィルター52は、電磁波発生手段4と成形型2との間に配置してあり、ゴム製フィルター51は、ガラス製フィルター52と成形型2との間において、成形型2の外面に対して、スペーサ511によって所定の間隙210を形成して配置してある。
本例の電磁波発生手段4としては、近赤外線領域内の約1.2μmの付近に光強度のピークを有する近赤外線ハロゲンヒータを用いる。
また、圧力容器61内は、真空ポンプ62によって真空状態にすることが可能であると共に、圧力容器61に設けた空気導入口611等を大気開放することによって、真空状態から大気圧状態に戻すことが可能である。
なお、型締め用空間22は、注入口23を形成した辺においても、第2空間部223から注入口23に対して左右に位置する部分まで形成することもできる。
本例においては、以下の準備工程、真空工程、充填工程及び冷却工程を行って樹脂成形品を得る。
本例の樹脂成形方法においては、まず、準備工程として、一対の型部2Aを型合わせ面20において互いに組み合わせ、一対の型部2Aにおける複数の連通貫通穴24にそれぞれピン25を嵌入して、一対の型部2Aを一体化する。そして、この一体化した一対の型部2Aを、圧力容器61内に収容する。
そのため、キャビティ21内に熱可塑性樹脂3の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
なお、上記電磁波の照射により、キャビティ21への熱可塑性樹脂3の充填圧力を軽減することもできる。
そのため、成形型2に変形が生ずることを抑制することができ、この変形に伴って、成形する樹脂成形品の寸法精度が低下してしまうことを抑制することができる。また、成形型2の耐久性を向上させることができる。
また、成形後の樹脂成形品は、一対の型部2Aを開けて取り出すことができる。このとき、一対の型部2Aは、ゴム製であるため、型部2Aを弾性変形させながら樹脂成形品を取り出すことも可能である。また、成形後の樹脂成形品からは、キャビティ21を経由して型締め用空間22の一部まで充填された熱可塑性樹脂3の部分301を切除する。
また、本例においては、成形型2の温度を低く維持することができることにより、成形型2の劣化を抑制することができ、成形型2の耐久性をより向上させることができる。
例えば、図6、図7に示すごとく、一対の型部2Aの両側を、スチール板、硝子板等の平板26によって挟持することにより、一対の型部2Aの型締めを行うことができる。この場合において、ボルト、ピン等の軸部材27を用いて、一対の型部2Aを挟持する一対の平板26同士を接近させることにより、一対の型部2Aを挟持する力を付与することができる。なお、スチール板26Aを用いる場合には、図6に示すごとく、一対の型部2Aを複数箇所において部分的に挟持することができ、硝子板26Bを用いる場合には、図7に示すごとく、一対の型部2Aの全体を挟持することができる。
また、図9に示すごとく、成形型2を、この成形型2の一部29Aが繋がった状態で切り開いて、複数の型部2Aを形成することもできる。この場合には、切り開いた状態の型部2Aにキャビティ21及び型締め用空間22を形成し、この切り開いた状態の型部2A同士を型締めすることができる。
すなわち、成形型2のキャビティ21の表面には、上記0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を吸収することができる離型剤又は塗料の被膜を形成することができる。より具体的には、離型剤又は塗料を成形型2のキャビティ21の表面に塗布し、上記電磁波発生手段4による電磁波を照射して揮発成分を排出し、不揮発成分からなる被膜とする。そして、上記0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波により、成形型2を介してキャビティ21内の熱可塑性樹脂3を加熱する際には、上記被膜が選択的に加熱されて、熱可塑性樹脂3を一層効果的に加熱することができる。なお、上記キャビティ21の表面に塗料の被膜を形成した場合には、この被膜が成形後の樹脂成形品の表面に付着して、塗装された樹脂成形品を得ることができる。
2 成形型
2A 型部
20 型合わせ面
21 キャビティ
22 型締め用空間
23 注入口
3 熱可塑性樹脂
4 電磁波発生手段
51 ゴム製フィルター
52 ガラス製フィルター
61 圧力容器
62 真空ポンプ
Claims (22)
- ゴム製の成形型における複数の型部を組み合わせ、該型部同士の間の型合わせ面に形成したキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填し、該熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る樹脂成形方法であって、
上記型合わせ面において上記キャビティの周辺に型締め用空間を形成し、上記成形型を圧力容器内に収容しておき、
該圧力容器内を減圧して上記キャビティ内及び上記型締め用空間内を真空状態にする真空工程と、上記真空状態のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程と、上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して樹脂成形品を得る冷却工程とを行うに際し、
上記充填工程の前後又は上記充填工程中に上記圧力容器内を真空状態から増圧して、該圧力容器内の圧力を上記型締め用空間内の圧力よりも高くすることによって、上記複数の型部の型開きを防止し、
また、上記充填工程中には、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。 - 請求項1において、上記充填工程においては、0.78〜4μmの波長領域を含む電磁波を出射する電磁波発生手段と、2μmを超える波長領域の電磁波の透過量を減少させるフィルターとを用い、上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射して、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1又は2において、上記型締め用空間は、上記型合わせ面において、上記キャビティを囲むよう該キャビティの周囲の少なくとも3辺に形成してあることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記型締め用空間は、上記キャビティに連通して形成しておき、
上記充填工程においては、上記熱可塑性樹脂を、上記キャビティを経由して上記型締め用空間の一部まで充填することを特徴とする樹脂成形方法。 - 請求項4において、上記型締め用空間は、上記キャビティ内へ上記熱可塑性樹脂を注入するための注入口の形成部位とは反対側の部位において上記キャビティに連通していることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記キャビティ及び上記型締め用空間は、上記型合わせ面において、上記複数の型部に跨って形成してあることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記充填工程中又は上記充填工程後に、上記圧力容器内を真空状態から増圧して、該圧力容器内の圧力を大気圧以上の圧力状態にすることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、上記電磁波は、0.78〜2μmの波長領域に強度のピークを有していることを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項において、上記複数の型部には、該複数の型部を連続して貫通する連通貫通穴を複数形成し、該複数の連通貫通穴内に上記複数の型部に跨ってピンを嵌入しておくことにより、上記真空工程、上記充填工程及び上記冷却工程において、上記複数の型部を組み合わせた状態を維持することを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項において、上記充填工程においては、上記キャビティ内へ該キャビティの容積を満たす量の上記熱可塑性樹脂を注入した後、該熱可塑性樹脂の充填圧力を減少させた状態で、上記0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波の照射を継続することを特徴とする樹脂成形方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項において、上記成形型は、透明又は半透明のシリコーンゴムからなり、上記熱可塑性樹脂は、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリロニトリル樹脂)等のABS系樹脂であることを特徴とする樹脂成形方法。
- 熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを、複数の型部同士の間の型合わせ面に形成してなるゴム製の成形型と、
0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を出射する電磁波発生手段と、
上記成形型を収容するための圧力容器と、
該圧力容器内を真空にするための真空手段とを有しており、
上記複数の型部の上記型合わせ面における上記キャビティの周辺には、型締め用空間が形成してあり、
上記真空手段によって上記圧力容器内を減圧して上記キャビティ内及び上記型締め用空間内を真空状態にする真空動作と、上記真空状態のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填動作とを行うよう構成してあり、
上記充填動作の前後又は上記充填動作中に上記圧力容器内を真空状態から増圧して、該圧力容器内の圧力を上記型締め用空間内の圧力よりも高くすることによって、上記複数の型部の型開きを防止し、
また、上記充填動作中には、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項12において、上記電磁波発生手段は、0.78〜4μmの波長領域を含む電磁波を出射するものであり、
上記電磁波発生手段と上記成形型との間には、2μmを超える波長領域の電磁波の透過量を減少させるフィルターが配置してあり、
上記電磁波発生手段から出射させた上記電磁波を上記フィルターを透過させ、該フィルターを透過させた後の透過電磁波を、上記成形型を介して上記熱可塑性樹脂に照射して、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項12又は13において、上記型締め用空間は、上記型合わせ面において、上記キャビティを囲むよう該キャビティの周囲の少なくとも3辺に形成してあることを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項12〜14のいずれか一項において、上記型締め用空間は、上記キャビティに連通して形成してあり、
上記充填動作においては、上記熱可塑性樹脂を、上記キャビティを経由して上記型締め用空間の一部まで充填するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項15において、上記型締め用空間は、上記キャビティ内へ上記熱可塑性樹脂を注入するための注入口の形成部位とは反対側の部位において上記キャビティに連通していることを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項12〜16のいずれか一項において、上記キャビティ及び上記型締め用空間は、上記型合わせ面において、上記複数の型部に跨って形成してあることを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項12〜17のいずれか一項において、上記充填動作中又は上記充填動作後に、上記圧力容器内を真空状態から増圧して、該圧力容器内の圧力を大気圧以上の圧力状態にするよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項12〜18のいずれか一項において、上記電磁波は、0.78〜2μmの波長領域に強度のピークを有していることを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項12〜19のいずれか一項において、上記複数の型部には、該複数の型部を連続して貫通する連通貫通穴が複数形成してあり、
該複数の連通貫通穴内に上記複数の型部に跨ってピンを嵌入しておくことにより、上記真空動作及び上記充填動作において、上記複数の型部を組み合わせた状態を維持するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。 - 請求項12〜20のいずれか一項において、上記充填動作においては、上記キャビティ内へ該キャビティの容積を満たす量の上記熱可塑性樹脂を注入した後、該熱可塑性樹脂の充填圧力を減少させた状態で、上記0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波の照射を継続することを特徴とする樹脂成形装置。
- 請求項12〜21のいずれか一項において、上記成形型は、透明又は半透明のシリコーンゴムからなり、上記熱可塑性樹脂は、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリロニトリル樹脂)等のABS系樹脂であることを特徴とする樹脂成形装置。
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