JP2007216053A - 電気搬送式薬剤投与装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の薬剤投与装置は、第1の鏡像異性体とこれより好ましくない第2の鏡像異性体とのラサミ酸混合物である薬剤組成物を有し、生体の皮膚に当てるのに適した投与電極と、生体の皮膚に当てるのに適した対抗電極と、制御装置と、投与電極と対抗電極とに電気接続された電源とを備える。制御装置は、投与された量の半分が第1の鏡像異性体で、投与された量の半分が第2の鏡像異性体であったならば有効な治療結果を得るのに必要であったであろう投与量より少ない有効治療投与量の薬剤を投与するような所定の電流値で、電源から電流を供給することを制御する。薬剤は、電気搬送される第1の鏡像異性体の流入率が第2の鏡像異性体より高い特性を有する。
【選択図】図1
Description
また、ガオらに付与された米国特許第5,442,118号(特許文献2)は、アミノケトンから(R)および(S)アリルエタノールアミンの非対称的合成方法についてクレームしている。この方法は、キラル1、3、2−オキサザボリデンを触媒のもとに臭水素酸(ボラン)還元剤を用い、反応薬を特定の順序で加えることにより、アルブテロール、テルブタリン、イソプロテレノールやソタロールといった薬剤を生成するのに有用である。
また、ガオらに付与された米国特許第5,516,943号(特許文献3)では、アミノ基をアシル化した後に強酸で処理することにより、トランス−1−アミノ−2−ヒドロキシシクロアルカンをシス異性体に立体選択的に変化させることが記載されている。また、同米国特許には、新規なキラル触媒を用いて、インデンからアミノインダノールの特定の異性体を直接的に生成することが記載されている。
また、エヴァンスらに付与された米国特許第5,498,625号(特許文献4)では、y−ラクタムラセミ酸を立体特異性ラクタマーゼと反応させることによりラクタムの1つの鏡像異性体を酵素反応的に生成することが記載されている。
また、マトソンらに付与された米国特許第4,800,162号(特許文献5)は、ラセミ酸混合物を分析する方法をクレームしており、その方法は、混合物を含んだ溶液を、フィルタ体の第1面に立体選択性酵素を付着させた濾過装置を通過させる。すなわち、この方法では、酵素が1つの異性体と選択的に反応し、反対方向に流動する非混和性溶液に溶け易い生成物がフィルタ体の反対面に形成される。この生成物は、フィルタ体に分散し、これの反対面に鏡像異性生成物の純粋溶液を生成し、第1面に非反応性の鏡像異性体の純粋溶液を生成する。
健康な者を被験者として、受動的経皮投与および電気搬送式投与を用いてケトロラックのR−およびS−異性体の搬送について評価した。24mgのラセミ酸ケトロラックの静脈注射(IV)による投薬を基準的治療とした。下記の受動的経皮投与(TTS)および電気搬送による経皮投与(ETS)により吸収されるR−およびS−ケトロラックの相対量は、静脈投与によるR−およびS−ケトロラックの排出率(クリアランス)に基づいて決定した(ラセミ酸ケトロラックにはR−異性体とS−異性体とが同量含まれていることを前提とした。)。受動的経皮投与により吸収されたR−およびS−ケトロラックの平均量は、5.0mgと4.8mg(全平均量9.8mg)であった。電気搬送による経皮投与では、7.9mgと11.7mg(全平均量19.6mg)であった。受動的経皮投与によると、R−ケトロラックの吸収量は、S−ケトロラックの吸収量と近似していた(p>0.5)。これに対して、電気搬送による経皮投与では、R−ケトロラックの吸収量は、S−ケトロラックの吸収量よりも低い値を示していた。吸収量のS/R比は0.8から1.43の範囲であった(平均は1.15で、中央値は1.18)。
鏡像異性体の混合物を含む薬剤を評価して、好適な異性体を決定する。精製された異性体と、複数の異性体を含む混合物とが被験者に投与され、その異性体の効能、薬力学および薬効学的な特性を決定する。好適な異性体は、複数の異性体の混合物と比較して、効能があり、かつ有益な特性を示すことが確認される。これらの有益な特性とは、例えば、治療指数の改善、活性度の向上、半減期の改善、有効投薬量の減少、低毒性、副作用の低下、または電気搬送装置を介して、許容できるパッチサイズで有効な治療レベルを与える投薬能力などである。
薬剤の異性体形態の混合物が、電気搬送装置に充填される。この電気搬送装置が、被験者に装着され、処置中およびその前後において、被験者から血液を様々な時間間隔で継続的に採取した。好適な異性体、およびあまり好適でない異性体の血漿濃度を求める。電気搬送装置により摂取量が増加する好適な異性体の薬剤を特定する。一般に、好適な異性体は、少なくとも20%増加するように、生体内投与されることが好ましい。しかしながら、例えば、薬剤が特に高価な場合には、約5ないし10%の投与増加率であってもよい。
ケトロラックのラセミ性混合物の静脈投与、受動的経皮投与、および電気搬送式投与した後に、R−およびS−ケトロラックの薬力学的パラメータを比較する調査を行った。
予備段階実験において、20人の健康な男性被験者について調査した。これらの被験者に対して、本調査の調査基準に合致するかどうかを判断するために、予備調査スクリーニングを行うことが必要であった。
このスクリーニング調査は、被験者に対する臨床的経緯(問診)、体力検査、心電図、および臨床試験を含む。
調査方針:
記名公示式かつ無作為で、3つの処置法に関する薬力学的研究を行なった。これは、24時間の処置養生で血漿ケトロラック濃度を電気搬送による経皮投与(ETS)の場合、受動的経皮投与(TTS)の場合、および静脈注射(IV)によるケトロラック投薬の場合とを比較した。
ケトロラックによる処置法は下記の通りである。被験者の処置は、少なくとも6日の洗出期間をあけて行った。
順序 被験者番号
ETS、TTS、静脈注射 103、106、107、110
TTS、静脈注射、ETS 101、104、108、112
静脈注射、ETS、TTS 102、105、109、111
ETSの処置を行っている間は、各被験者は、電気搬送で負電極の全面積18cm2から体外流入率60μg/cm2/hで26mgのケトロラックの遊離酸を24時間にわたって受けた。
電気搬送投薬システムにあっては、ALZA型6443電流源(ESC)を用い、負電極には活性ゲルを含み、正電極には薬学的に不活性なゲルを含んだ電気搬送台を備えている。
電流制御装置の電流および電圧の管理は、ETSの試験中は0時、2時、4時、8時、12時および24時に電圧計を用いて行われた。
TTSの処置を行っている間は、各被験者は、受動経皮投薬により全適用面積75cm2、かつ体外流入率25〜30μg/cm2/hで50mgのケトロラックの遊離酸を24時間にわたって受けた。
このTTSシステムは、面積を25cm2とする補助および保護用裏地とともに作製された。このシステムでは、薬剤(遊離酸)、エチレンビニールアセテート(40%ビニールアセテート)、グリセロールモノラウリン酸塩およびCeraphyl31(登録商標)を含むように調製している。三個のTTSの一体構造体は、全表面積を75cm2として135mgのケトロラック遊離酸を含み、薬剤投与に利用した。このシステムは、自己接着形ではないので、接着性被覆部を用いて皮膚への接触状態を維持した。
静脈注射によるケトロラック薬の投与時には、各被験者は全量で24mgのケトロラックの遊離酸(36mgのケトロラックトロメタミン塩)を受けた。静脈注射により、24mgのケトロラック遊離酸(18mgのケトロラックトロメタミン塩)が0時および12時に投与された。注射器の調製直後および注入直前には、ケトロラック溶液の1mlづつが保存された。
ETSあるいはTTSが最初に行われるか、あるいは1回目の静脈注射による投薬が行なわれた。ETSおよびTTSによる処置は、24時間継続し静脈投与は12時の2回目の投与で完了した。ケトロラック処置の開始から48時間の間隔を置いて血液と尿のサンプルが採取された。
処置開始から48時間の間隔を置いて各被験者から7mlの血液が抽出された。ケトロラックの血漿レベルは、インディアナ州、インディアナポリス、ウイッシャード記念病院、インディアナ大学医学部臨床薬学科によりHPLC試験を行って決められた。
電気搬送システムの正負両電極の箇所およびTTS(ケトロラック)システムが当てられた箇所で、時間を置いて皮膚の適用箇所評価が行われた。
全ての演算には、実際の血液採取回数が用いられ、資料は名目的な採取回数により纏められた。血漿ケトロラック濃度が試験容認限度(20ng/ml)を下回る場合は、ゼロの値とした。
D=静脈投与量
d1=投薬番号(i=投薬1、2)
R=継続的投薬量
t=投薬開始からの経過時間
K1=投与率定数
K2=排出率定数
K21=周辺分室から中央分室への搬送率定数
V=中央分室の投与容量
Ka=経皮吸収率定数
T=Tlag遅れ時間、 θ=t<Tのときはtで、t>TのときはTである。
変数解析(ANOVA)を用いて全ての統計的な比較が行われた。各処置を比較することにより下記の効果が得られた。
参加した被験者
本実験では12名の被験者が参加し、11名が本実験を全うした。
健康診断書、診察、臨床試験および心電図によれば全員の被験者が健康であった。
R−およびS−ケトロラックの静脈投与、ETSおよびTTS投与につづく各血漿濃度対時間関係は表3、4に記す。平均(SD)血漿濃度対時間関係は図2、3に示す。ケトロラックの静脈投与につづいて、投与の0.5時間後にR−およびS−ケトロラックに対して872および404ng/mlという平均Cmax値がそれぞれ観察された。ETSおよびTTS投与時におけるR−ケトロラックの血漿濃度は、投与後1時間および4〜8時間経過して始めて検出できた。TTS投与時に観察したR−ケトロラックの血漿濃度は、ETS投与時に観察されたものよりも低い値であった。ETSおよびTTS投与におけるR−ケトロラックのCmax値は、それぞれ195および132ng/mlであり、Tmax値は、22および23時間であった。ETSおよびTTS投与におけるS−ケトロラックのCmax値は、それぞれ82および60ng/mlであり、Tmax値は、22および23時間であった(表A、B、3、4参照)。
Claims (12)
- 電気搬送により生体へ薬剤を投与する装置(10)であって、
第1の鏡像異性体とこれより好ましくない第2の鏡像異性体とのラサミ酸混合物である薬剤組成物を有し、生体の皮膚に当てるのに適した投与電極(22、24)と、
生体の皮膚に当てるのに適した対抗電極(22、24)と、
制御装置と、
投与電極と対抗電極とに電気接続された電源(32)とを備え、
a)制御装置は、投与された量の半分が第1の鏡像異性体で、投与された量の半分が第2の鏡像異性体であったならば有効な治療結果を得るのに必要であったであろう投与量より少ない有効治療投与量の薬剤を投与するような所定の電流値で、電源から電流を供給することを制御し、
前記薬剤は、電気搬送される第1の鏡像異性体の流入率が第2の鏡像異性体より高い特性を有する電気搬送式薬剤投与装置。 - b)投与電極(22、24)の大きさは、前記有効治療投与量を投与するには十分であり、かつ投与された量の半分が第1の鏡像異性体で、投与された量の半分が第2の鏡像異性体であったならば有効な治療結果を得るのに必要であったであろう大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- c)薬剤の濃度は、前記有効治療投与量を投与するには十分であり、かつ投与された量の半分が第1の鏡像異性体で、投与された量の半分が第2の鏡像異性体であったならば有効な治療結果を得るのに必要であったであろう濃度より低いことを特徴とする請求項1に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- d)薬剤組成物量は、前記有効治療投与量を投与するには十分であり、かつ投与された量の半分が第1の鏡像異性体で、投与された量の半分が第2の鏡像異性体であったならば有効な治療結果を得るのに必要であったであろう薬剤組成物量より少ないことを特徴とする請求項1に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 電気搬送により生体へ薬剤組成物を投与する装置であって、
生体の皮膚上に配設可能で、薬剤組成物を貯蔵する薬剤貯蔵部と、
薬剤貯蔵部に電気的に接続された投与電極と、
投与電極と、
薬剤貯蔵部および生体の皮膚を介して、投与電極と投与電極との間に電流が流れるように電圧を印加する電源とを備え、
薬剤貯蔵部に貯蔵された薬剤組成物は、第1および第2の鏡像異性体からなるラサミ酸混合物を含み、第1の鏡像異性体は、第2の鏡像異性体に比して、薬理学的により有効で、電気搬送されたときの流入率が高いことを特徴とする装置。 - 薬剤組成物は、これを電気搬送するとき、薬剤に対する生体表面の電気抵抗を低減することにより、薬剤が生体内に浸透する速度を促進するために有効な量の浸透促進剤を含むことを特徴とする請求項1または5に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 薬剤は、アセブトロール、アセノクマロール、アルブテロール/サルブタモール、アルプレノロール、アモスロロール、アモキシシリン、アムピシリン、アンサイド、アステミゾール、アテノロール、バクロフェン、ベナゼプリル、グルタミン酸ベンジル、ベータクソロール、ベータネコール、ビスプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブタクラモール、ブトコナゾール、ブトフィロロール、カルシトニン、カマゼパム、カプトプリル、カラキソロール、カルベディロール、セファドキシル、シクロプロフェン、シプロフロキサシン、コルティコステロイド、クロマカリム、クルテオロール、シトラビン、デプレニール、デクスフェンフルラミン、ジヒドロキシテバイン、ジルティアゼム、ディソピラマイド、ドブタミン、エナラプリル、エフェドリン、エストラディオール、エタムブトール、フェンブフェン、フェンフルラミン、フェノプロフェン、フルオロジェステロン、フルオキセティン、フルールビプロフェン、ゴナドレリン、ヘキソバルビタール、イブプロフェン、イモバン、インデノロール、インドプロフェン、ケタミン、ケトデソジェストレル/エストロジェン、ケトプロフェン、ケトロラック、リシノプリル、ロラゼンパム、ロバスタティン、ロバスタチン、メクリジン、メピンドロール、メタプロテラノール、メタドン、メチルドーパ、メティプラノドール、メトプロロール、ミノキシプロフェン、3-ヒドロキシル−N−メチルモルフィナン、ナドロール、ナプロキセン、ネビボロール、ニカルディピン、ニコチン、ニルバディピン、ニタノール、ノルフロキサシン、ノルジェストレル、オフロキサシン、オルディス、オキサプロティリン、オキサプロノロール、オキシブティニン、ペリンドプリル、フェンプロクモン、フェニールプロパノールアミン、ピンドロール、ピルプロフェン、ポリクロラム−フェタミン、プリロカイン、プロジェスティンプロパノロール、プロポキシフェン、セルトラリン、ソタロール、ステロイド、スプロフェン、テノルミン、テルブタリン、テルフェナディン、テストステロン、シオリダジン、ティモロール、トカイニド、トリプロロール、トロキサトン、トモキセティン、トリアムシノロン、ヴェラパミール、ヴィオキサジン、ウオルファリン、キシベノロール、ザコプリドおよび1、4−ジヒドロピリジンキラル化合物、ならびに薬剤として容認される塩およびエステルのいずれか1以上の薬剤であることを特徴とする請求項1または5に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 前記薬剤は、抗炎症性であることを特徴とする請求項1または5に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 前記抗炎症性の薬剤は、NSAIDであることを特徴とする請求項8に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 前記抗炎症性の薬剤は、ケトロラックあるいは薬剤として容認される塩およびエステルであることを特徴とする請求項9に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 第1の鏡像異性体はS−異性体であることを特徴とする請求項10に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
- 前記薬剤はケトロラックトロメタミンであることを特徴とする請求項11に記載された電気搬送式薬剤投与装置。
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