JP2007214455A - 太陽電池の製造方法および太陽電池製造用スクリーンマスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコン基板の裏面における周縁部をマスクする周縁マスク部13および接続電極形成領域をマスクする内方マスク部14を有する第1スクリーンマスクMを用いて、集電用電極形成材料であるアルミニウムペーストをシリコン基板の裏面に印刷する第1スクリーン印刷工程と、第2スクリーンマスクを用いて、接続電極形成用ペーストを接続電極形成領域に印刷する第2スクリーン印刷工程とを備え、第1スクリーンマスクMはスクリーンメッシュ19と、このスクリーンメッシュ19の印刷面側に設けられたマスク部材13a、14aとから構成され、周縁マスク部13におけるスクリーンメッシュ19の厚み領域を含まないマスク部材13aの厚みを20〜70μmに設定する。
【選択図】図2
Description
まず、図8(a)に示すように、例えばワイヤーソーなどを用いて多結晶のp型シリコンインゴットを250μm程度の厚さに切り出すことによって、p型シリコン基板2を形成する。このとき、p型シリコン基板2の表面にはワイヤーソーなどによってダメージ層1が形成されている。
そして、図8(d)に示すように、p型シリコン基板2の受光面の全面に、拡散源としてP2O5(五酸化二リン)を含むドーパント液がスピンコータにより塗布されドーパン塗布膜4が形成される。続いて、このp型シリコン基板2を拡散炉で800〜900℃程度に加熱することによって、p型シリコン基板2の受光面にドーパントが拡散して、図8(e)に示すようにp型シリコン基板2の受光面に不純物拡散層であるn+層5が形成される。このとき、p型シリコン基板2の裏面のマスク部材3が塗布された領域にはマスク部材3が加熱されて生じたTiO2(二酸化チタン)とSiO2(二酸化シリコン)とが混在したマスク膜が形成されており、p型シリコン基板2の裏面にはn+層が形成されていないため、pn接合分離が行われていることになる。
このようにして作製された太陽電池の裏面を図11(a)に、また図11(a)におけるX1−X2線の断面を図11(b)に示す。
(1)スクリーンマスクもしくはシリコン基板(ウエハも含む)を設置するステージを傾斜させる方法。
(2)シリコン基板の周辺のステージ上にスペーサを設ける方法。
(3)プレスによりスクリーンマスクを部分的に薄くする方法。
(4)アルミニウムペーストを部分的に2回印刷する方法。
前記(3)の方法では、スクリーンマスクを部分的にプレスすることにより、プレスした部位のメッシュが押し潰されて目が細かくなり、それによってアルミニウムペーストの塗布量を部分的に変える手法であるが、プレスによりスクリーン強度が低下するため破れ易くなり、スクリーン寿命が短いため大量生産には適していない。また、プレス加工を要するため製造コストが増加する問題もある。
前記(4)の方法では、アルミニウムペーストを部分的に2回印刷することによってアルミニウム電極の周縁部のみを厚くする手法であるが、印刷工程が増加したり、一部のみ印刷条件を変更する必要があるため、大量生産には適していない。
また、本発明の別の観点によれば、シリコン基板の裏面における周縁部をマスクする周縁マスク部および接続電極形成領域をマスクする内方マスク部を有し、スクリーン印刷法によって集電用アルミニウム電極形成材料であるアルミニウムペーストを前記シリコン基板の裏面に印刷するためのスクリーンマスクであって、前記第1スクリーンマスクは、スクリーンメッシュと、このスクリーンメッシュの印刷面側に設けられたマスク部材とを有してなり、前記周縁マスク部における前記スクリーンメッシュの厚み領域を含まない前記マスク部材の厚みが20〜70μmである太陽電池製造用スクリーンマスクが提供される。
また、アルミニウム電極を全体的に薄膜化することができるため、シリコン基板を薄型化してもアルミニウム電極との熱膨張差による反りを抑制することができると共に、シリコン基板およびアルミニウム電極の両方の材料費を低減することができる。よって、コストダウンしながら薄型太陽電池を製造することができる。
また、スキージ印圧、スキージ速度、スキージ角度、クリアランスといった印刷条件の変更や追加工程が無く、スクリーンマスクのマスク部材の厚み調整のみでアルミニウム電極の厚み制御が行なえるため、生産タクトを一切落とすことがなく、太陽電池の大量生産に好適である。
ここで、本発明において、印刷面側とは、スクリーン印刷状態でのシリコン基板側を意味する。また、マスク部材の厚みとは、前記のようにスクリーンメッシュの厚み領域(縦線と横線の合計厚み領域)を含まないシリコン基板側のマスク部材部分のみの厚さを意味する。よって、マスク部材の材料(例えば乳剤)が、スクリーンメッシュの目に詰まっている場合には、マスク部材におけるスクリーンメッシュの厚み領域の部分は厚みとして含まれない。
pn接合型太陽電池を製造する場合、シリコン基板にはpn接合が形成されている。例えば、p型の半導体基板の表面にn型の拡散層が形成されることによりpn接合を有していることが好ましく、p型半導体基板及びn型拡散層の不純物濃度、p型半導体基板及びn型拡散層の厚みは、通常太陽電池として機能し得るもののなかから適宜選択することができる。
また、シリコン基板は、単結晶、多結晶、いわゆるマイクロクリスタルと呼ばれる微結晶、アモルファスおよびこれらが混在するものであってもよいが、単結晶および多結晶シリコン基板が好ましい。
本発明において、第1スクリーン印刷工程での集電用アルミニウム電極の形成に際しては、アルミニウムペーストをシリコン基板の裏面のアルミニウム電極形成領域に印刷し、
150〜200℃で乾燥した後、700℃程度で焼成することにより形成することができ、シリコン基板裏面における周縁部および接続電極形成領域を除くほぼ全面に形成されることが好ましい。
したがって、アルミニウム電極を形成するためのアルミニウムペーストとしては、アルミニウムを主体とした導電性粒子を含有したものが好ましく、当該分野で一般的に使用されている市販品を用いてもよい。
内方マスク部のマスク部材が周縁マスク部のマスク部材と同等の厚みである場合は、形成されたアルミニウム電極における接続電極の近傍周辺部の厚みが周縁部の厚みと同等になる。
一方、内方マスク部のマスク部材が周縁マスク部のマスク部材よりも薄い場合は、形成されたアルミニウム電極における接続電極の近傍周辺部の厚みが周縁部の厚みよりも薄くなり、アルミニウム電極を全体的により薄膜化することができる。その結果、アルミニウムの使用量をより低減することができると共に、アルミニウム電極が薄くなる分接続電極の材料(例えば高価な銀)の使用量も低減され、コストダウンを図ることができる。この場合、内方マスク部のマスク部材の厚みは5〜20μm程度が好ましく、5μm程度がさらに好ましい。
また、本発明における太陽電池は、複数個を直列又は並列に接続してモジュール化されていてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1の太陽電池を、集電用アルミニウム電極の形成工程が異なる以外は従来技術の図8で説明した方法と同様にして製造した。以下、従来技術の製造方法とは異なる点を主に説明する。
まず、図8(a)〜(g)で説明した方法と同様にして、幅155mm×長さ155mm×厚さ250μmの多結晶p型シリコン基板2の受光面側に表面抵抗率が約50Ωの不純物拡散層であるn+層5を形成し、さらにn+層5上に厚さ70nm〜100nmの窒化シリコン膜6を形成した。
本実施例1の第1スクリーンマスクM(メッシュ株式会社製)には、スクリーンメッシュを1平方インチ当り150メッシュ(厚さ120μm)で一定とし、マスク部材13a、14aの各厚みを20μm(実施例1−1)、50μm(実施例1−2)、70μm(実施例1−3)と変えた3種類が用いられ、スキージ印圧0.15Mpa、スキージ速度90mm/sec、スキージ角度70度、クリアランス2.0mmの印刷条件で、アルミニウムペースト36を約2.0g印刷した。
最後に、はんだディップ処理を行うことで、図8(j)に示すように銀電極9、10の表面をはんだ11で被覆し、太陽電池を完成させた。
このように、第1スクリーンマスクMのマスク部材の厚みを従来よりも厚くすることによって、アルミニウム電極8aの周縁部を面内部よりも厚くできることを調べるために、図8(h)の乾燥後のアルミニウム膜の周縁部および面内部の厚み測定を行った。この結果、図6に示すように、実際にアルミニウム膜の周縁部が面内部よりも厚く形成されていることが分った。なお、図6において、横軸はアルミニウム膜の周縁部の端面から面内への距離を示している。
実施例2では、シリコン基板2の裏面へアルミニウムペースト36を印刷する第1スクリーン印刷工程において、第1スクリーンマスクMの周縁マスク部13および内方マスク部14の各マスク部材13a、14aの厚みT1、T2を20μmで一定とし、メッシュ部17のメッシュ数を120(実施例2−1)、100(実施例2−2)、80(実施例2−3)とする以外は、実施例1と同様にして太陽電池を形成した。
製造された実施例2の太陽電池において、アルミニウム電極の面内部アルミ厚、周縁部アルミ厚および周縁部に発生したAl−Si合金粒の個数を測定し、その結果を表1に示した。
比較例1では、シリコン基板2の裏面へアルミニウムペースト36を印刷する第1スクリーン印刷工程において、第1スクリーンマスクMの周縁マスク部13および内方マスク部14の各マスク部材13a、14aの厚みT1、T2を5μmで一定とし、メッシュ部17のメッシュ数を150(比較例1−1)、120(比較例1−2)、100(比較例1−3)、80(比較例1−4)とする以外は、実施例1と同様にして太陽電池を形成した。このようにして作製した太陽電池は、図11(b)に示すように、裏面アルミニウム電極8は、周縁部と面内部との膜厚差が小さく全面的にほぼ平坦に形成されている。
製造された比較例1の太陽電池において、アルミニウム電極の面内部アルミ厚、周縁部アルミ厚および周縁部に発生したAl−Si合金粒の個数を測定し、その結果を表1に示した。
実施例3では、シリコン基板2の裏面へアルミニウムペースト36を印刷する第1スクリーン印刷工程において、図7に示すように、内方マスク部114のマスク部材114a(厚みT2:5μm)を周縁マスク部113のマスク部材113a(厚みT1:50μm)よりも薄くしたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池を形成した。なお、第1スクリーンマスクMは、先ず、スクリーンメッシュ19における周縁マスク部113および内方マスク部114に対応する領域に膜厚5μmの乳剤を成膜した後、周縁マスク部113に対応する部位上にのみ再度乳剤を45μmの膜厚で積層して形成されたものが使用された。なお、乳剤の代わりに、金属箔を用いてもよい。
このようにして作製した実施例3の太陽電池は、図5に示すように、裏面のアルミニウム電極41は、その周縁部のみ厚く形成され、裏面の接続用銀電極9の近傍周辺部は面内部とほぼ同じ厚みで平坦に形成された。
製造された実施例3の太陽電池において、アルミニウム電極の面内部アルミ厚、周縁部アルミ厚および周縁部に発生したAl−Si合金粒の個数を測定し、その結果を表1に示した。
メッシュ数が同一(150メッシュ)である実施例1−1〜1−3および比較例1−1の結果から、アルミニウム電極の面内部の厚みはそれぞれ同じであるが、マスク部材の厚みが薄くなるほどアルミニウム電極の周縁部の厚みも薄くなってAl−Si合金粒が増加する傾向にあり、5μmとなると合金粒の発生個数が顕著に多くなる。よって、マスク部材の厚みを20μm以上とすることでAl−Si合金粒の発生が抑制されることが確認された。また、マスク部材の厚みが70μmを越えると、アルミニウム電極の周縁部が厚くなり過ぎることが予想され、アルミニウム電極形成後の裏面銀電極や受光面銀電極の印刷工程において、Al電極の厚い周縁部が割れの起点となり易いため、マスク部材の厚みとしては70μm以下が最適である。
また、マスク部材の厚みが同一(20μm)である実施例1−1および実施例2−1〜2−3の結果から、メッシュ数が小さくなる(目が大きくなる)ほどアルミニウム電極の面内部および周縁部の厚みが厚くなってAl−Si合金粒が減少する傾向にあるが、80メッシュでは面内部の膜厚が厚くなるため、シリコン基板の反りを抑制しつつAl−Si合金粒を低減できる観点から100メッシュ以上が最適である。
また、マスク部材の厚みが同一(5μm)である比較例1−1〜1−4の結果から、上述のようにメッシュ数が小さくなるほどアルミニウム電極の面内部および周縁部の厚みが厚くなってAl−Si合金粒が減少する傾向にあるが、実施例(1−1、2−1〜2−3)ほどの合金粒低減効果は得られなかった。これは、比較例のマスク部材厚が5μmと薄いため、実施例に比してアルミニウム電極の周縁部が薄く形成される(周縁部アルミ厚と面内部アルミ厚との膜厚差が小さくなる)ことに起因していると考えられる。
実施例1では図3に示すように、第1スクリーンマスクの内方マスク部近傍に印刷されるアルミニウムペーストの塗布量が周縁マスク部近傍と同様に多くなるため、アルミニウム電極の銀電極形成領域周辺は段差となり、そのため銀電極9を形成するための銀ペーストの印刷が難しく、また、アルミニウム電極の厚みの厚い部分以上の厚みで銀ペーストを印刷するため、高価な銀ペーストの使用量も増えるということがある。
これに対し実施例3では、表1に示すように、Al−Si合金粒の低減効果は実施例1と同程度でありながら、アルミニウム電極における裏面銀電極の近傍周辺部には段差がなく平坦であるため、裏面銀電極形成時の銀ペーストの印刷が安定し、銀ペースト印刷量は比較例1−1と同程度に抑えることができた。
よって、第1スクリーンマスクの周縁マスク部のマスク部材の厚みは、実施例1のように20〜70μmであり、かつ内方マスク部のマスク部材の厚みは5〜20μmが好ましいと言える。
5 n+層
6 反射防止膜(SiNx膜)
7 p+層
8 アルミニウム電極
9 接続電極(銀電極)
10 受光面銀電極
11 はんだ
12 スクリーン枠
13 周縁マスク部
13a マスク部材
14 内方マスク部
14a マスク部材
17 メッシュ部
19 スクリーンメッシュ
35 スキージ
36 アルミニウムペースト
36a アルミニウムペースト膜
M 第1スクリーンマスク
Claims (7)
- シリコン基板の裏面における周縁部をマスクする周縁マスク部および接続電極形成領域をマスクする内方マスク部を有する第1スクリーンマスクを用いて、集電用アルミニウム電極形成材料であるアルミニウムペーストを前記シリコン基板の裏面に印刷する第1スクリーン印刷工程と、
第2スクリーンマスクを用いて、接続電極形成用ペーストを前記第1スクリーン印刷工程にて形成されたアルミニウム膜の一部に重なるように前記接続電極形成領域に印刷する第2スクリーン印刷工程とを備え、
前記第1スクリーンマスクは、スクリーンメッシュと、このスクリーンメッシュの印刷面側に設けられたマスク部材とを有してなり、前記周縁マスク部における前記スクリーンメッシュの厚み領域を含まない前記マスク部材の厚みが20〜70μmに設定されることを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記内方マスク部におけるスクリーンメッシュの厚み領域を含まないマスク部材の厚みが、周縁マスク部の前記マスク部材の厚みよりも薄い請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記内方マスク部の前記マスク部材の厚みが5〜20μmである請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記スクリーンメッシュのメッシュ数が、1平方インチ当り100〜150である請求項1〜3のいずれか1つに記載の太陽電池の製造方法。
- 前記マスク部材が乳剤または金属箔からなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の太陽電池の製造方法。
- シリコン基板の裏面における周縁部をマスクする周縁マスク部および接続電極形成領域をマスクする内方マスク部を有し、スクリーン印刷法によって集電用アルミニウム電極形成材料であるアルミニウムペーストを前記シリコン基板の裏面に印刷するためのスクリーンマスクであって、
前記第1スクリーンマスクは、スクリーンメッシュと、このスクリーンメッシュの印刷面側に設けられたマスク部材とを有してなり、前記周縁マスク部における前記スクリーンメッシュの厚み領域を含まない前記マスク部材の厚みが20〜70μmであることを特徴とする太陽電池製造用スクリーンマスク。 - 前記内方マスク部におけるスクリーンメッシュの厚み領域を含まないマスク部材の厚みが、周縁マスク部の前記マスク部材の厚みよりも薄い請求項6に記載の太陽電池製造用スクリーンマスク。
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