JP2007214396A - 金属用研磨液及び化学的機械的研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シラノール基を有する複素環化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液。シラノール基を表面に有する粒子と併用することがより好ましい。尚、前記粒子はコロイダルシリカ又はコロイダルシリカを含む複合粒子であって、平均一次粒子径が5〜90nmの粒子であることが好ましい。また、前記複素環化合物が金属研磨液に0.001〜1.0重量%の範囲で含まれることが好ましい。
【選択図】なし
Description
配線用の金属としては従来からタングステンおよびアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅配線を形成する方法としては、例えば、特許文献2に記載されている、ダマシン法が知られている。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。この銅配線用のターゲット材には、ファイブナイン以上の高純度銅ターゲットが採用されてきた。しかしながら、近年は更なる高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子特性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に第3成分を添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。銅金属の研磨においては、特に軟質の金属であるがため、後述するディッシング、エロージョンやスクラッチが発生しやすく、益々高精度の研磨技術が要求されてきている。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段をもたない化学研磨方法としては、特許文献3に記載されている方法が知られている。しかしながら化学的溶解作用のみによる化学研磨方法は、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨するCMPに比べ、凹部の削れ込み、即ちディッシングなどの発生によりその平面性に大きな課題が残っている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が皿状にたわむ現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面が皿状にたわむ現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、研磨後に、半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行われる洗浄工程において、固体砥粒を含有する研磨液を用いることによって、その洗浄工程が複雑となり、さらにその洗浄後の液(廃液)を処理するには固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
したがって、本発明の目的は、プロセス変動しても高い研磨速度が安定して得られ、ディッシングの発生の低減された金属用研磨液を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、前記金属用研磨液を用いた化学的機械的研磨方法を提供することである。
<1> シラノール基を有する複素環化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液、
<2> シラノール基を表面に有する粒子をさらに含有する<1>に記載の金属用研磨液、
<3> 前記粒子は、比表面積から真球状粒子モデルへ換算したときの平均一次粒子径が5〜90nmの範囲にあるコロイダルシリカ、又は、少なくともコロイダルシリカを含む複合粒子である<2>に記載の金属用研磨液、
<4> 酸化剤を含む<1>〜<3>いずれか1つに記載の金属用研磨液、
<5> 前記複素環化合物が0.001〜1.0重量%の範囲で含まれる<1>〜<4>いずれか1つに記載の金属用研磨液、
<6> <1>〜<5>いずれか1つに記載の金属用研磨液を、被研磨面と接触させ、被研磨面と研磨面を相対運動させて研磨する工程を含むことを特徴とする化学的機械的研磨方法。
なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明の金属用研磨液(以下、単に「研磨液」ともいう。)は、構成成分としてシラノール基を有する複素環化合物を有する。
本発明の研磨液は、さらに他の成分を含有してもよく、好ましい成分として、シラノール基を表面に有する粒子、酸化剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、他の砥粒及び添加剤を挙げることができる。
研磨液が含有する各成分は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
本発明において「研磨液」とは、研磨に使用する際の研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液)のみならず、研磨液の濃縮液をも包含する意である。
(シラノール基を有する複素環化合物)
本発明の金属用研磨液は、シラノール基を有する複素環化合物を含有する。
シラノール基を有する複素環化合物は不動態膜形成剤として機能するものである。
本発明の金属用研磨液は、シラノール基を有する複素環化合物を含有することにより、ディッシングを抑制しつつも高い研磨速度を得ることができる。
本発明で用いる複素環化合物の複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物あっても縮合環を有する多環化合物であっても良い。単環の場合の員数は、好ましくは3〜8であり、さらに好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5、及び6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2または3である。
これらの複素環として具体的に、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。
本発明で用いる複素環化合物に使用できる置換基は、例えば以下のものが挙げられる。
但し、これらに限定されるものではない。
ケイ素原子が有する水酸基以外の他の置換基は特に限定されないが、好ましい置換基として、アルキル基、アリール基を挙げることができる。
また、本発明において、シラノール基を有する複素環化合物が任意の結合基により結合した構造を取ることもでき、具体的には後述する(A−2)が例示できる。
シラノール基を有する複素環化合物としては、以下の化合物が例示できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
シラノール基を有する複素環化合物の含有量が上記範囲内であると、研磨速度、ディッシング量、コストのバランスが良好である点で好ましい。
金属用研磨液のpHを上記範囲内とすることにより、分散安定性及び、含有する粒子や化合物の安定性が良好であるので好ましい。
また、本発明において、金属用研磨液のpHは後述する酸やアルカリなどにより適宜調製することができる。
なお、本発明の金属用研磨液は水を含まない形態であってもよい。この場合、pH1〜11である金属用研磨液とは、本発明の金属用研磨液を水に溶かした場合に上記pHを示すものを表す。
本発明の金属用研磨液に用いる粒子は、好ましい形態として、少なくともその表面の一部にシラノール基を有している粒子を含む。また、シラノール基を表面に有する粒子は、金属用研磨液に分散されていることが好ましい。
シラノール基を表面に有する粒子としては、コロイダルシリカやヒュームドシリカ、粒子表面がコロイダルシリカに被覆されたコアシェル粒子、コロイダルシリカとその他の材料が均一にポリマー化された複合粒子、酸化物粒子の表面にシランカップリング処理やシラノールのグラフト化によってシラノール基が導入された粒子が例示できる。
上記コアシェル粒子、複合粒子、酸化物粒子において、酸化ケイ素以外の材料としては、酸化アルミニウムや酸化セリウム等の無機ポリマーでも良いし、ポリスチレンおよびスチレン共重合体、ポリメタクリレート等のメタクリル樹脂あるいはアクリル樹脂およびこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィンなどの有機ポリマーでも良く、少なくとも最終形態の粒子表面にシラノール基が存在していれば良い。
上記粒子に用いるコロイダルシリカは、珪酸ソーダから作製することもできるが、アルコキシシランの加水分解法により作製することが好ましい。使用するアルコキシシランは好ましくはテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブトキシシランであり、特に好ましくはテトラエトキシシラン、テトラメトキシシランである。
シラノール基を有する複素環化合物を含有する金属用研磨液に、表面にシラノール基を有する粒子を含有させることによって、より高い研磨速度を得ることができる。即ち、シラノール基以外の水酸基を表面に有する粒子を含有させた場合も、シラノール基を有する複素環化合物を含有することによって高い研磨速度が得られるが、表面にシラノール基を有する粒子を含有させることによって、より一層高い研磨速度が得られるという点で好ましい。また、前記シラノール基を表面に有する粒子は、シラノール基を0.1〜14個/(nm)2で含有することが好ましく1〜10個/(nm)2で含有することがより好ましい。
含有量が上記範囲内であると、適切な研磨性を発揮することができるので好ましい。
平均一次粒子径が5nm以上90nm以下であると、適切な研磨速度が得られ、ディッシング発生量を低くできる点で好ましい。
また、前記平均一次粒子径とは、正規分布に近い連続した粒度分布を持つ1つの粒子群でも良いし、正規分布に近い連続した粒度分布を持つ粒子群を2つ以上合わせた粒子でも良い。2つ以上の粒子群を合わせた粒子を含有する場合は、その粒子群の中で最も大きい平均一次粒子径を持つ粒子群の平均一次粒子径は200nm以下であることが望ましく、90nm以下であることがより好ましい。また最も小さな平均一次粒子径を持つ粒子群の平均一次粒子径は、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。
表面にシラノール基を有する粒子の平均二次粒子径は5〜220nmであることが好ましく、5〜95nmであることがより好ましい。平均二次粒子径が5nm以上、95nm以下であると適切な研磨速度が得られ、ディッシング発生量を低くできる点で好ましい。
すなわち、平均一次粒子径は、BET法による比表面積値から真球状粒子モデルへ換算したときの粒子径であり、比表面積値は市販の測定装置(島津製作所製、ジェミニV2380)により簡便に測定することができる。また、平均二次粒子径とは、動的光散乱法によって得られる平均粒子径(D50値)であり、これは市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製、LB−500)によって簡便に測定することができる。
表面にシラノール基を有する粒子以外に含まれる粒子の平均一次粒子径は、表面にシラノール基を有する粒子の平均一次粒子径の1/10倍以上2倍以下であることが好ましい。平均一次粒子径が1/10倍より小さいと、表面にシラノール基を有する粒子以外の粒子として含まれる砥粒の研磨への寄与が急激に減少し、また、2倍を超えると研磨効率が低下してしまうため、上記範囲であることが好ましい。
本発明の金属用研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有することが好ましい。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水および銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
酸化剤の中でも過酸化水素、過硫酸塩、並びに鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)の錯体が最も好ましい。
本発明の金属用研磨液は、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを含有することが好ましい。界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤及び/又は親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
その他に、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類の活性剤を併用することもできる。
本発明の金属用研磨液は、研磨対象の金属表面に不動態膜を形成する化合物として、上記のシラノール基を有する複素環化合物の他に、シラノール基を有さない複素環化合物を含有することができる。
「複素環化合物」は、上記「シラノール基を有する複素環化合物」で述べた複素環化合物と同じ意であり、また、好ましい複素環及び置換基も同様である。
本発明で用いる複素環化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、本発明で用いる複素環化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
本発明において、シラノール基を有する複素環化合物と併用可能な上記の複素環化合物の添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、水または水溶液で希釈する場合は希釈後の金属用研磨液。)1L中、0.0001〜1.0molが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.5mol、更に好ましくは0.0005〜0.05molである。
添加量が上記範囲内であると、研磨速度、ディッシング量のバランスが良好である点で好ましい。
本発明の金属用研磨液は4級アルキルアンモニウム化合物を含有することができる。4級アルキルアンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウム、硝酸ステアリントリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に好ましくは水酸化トリメチルアンモニウムである。4級アルキルアンモニウム化合物の含有量としては、好ましくは0.01重量%以上20重量%以下であり、更に好ましくは0.1重量%以上5重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以上2重量%以下である。
本発明の研磨液は更に酸を含有することが好ましい。ここでいう酸は、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。ここでの酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
酸の例として、その範囲で、例えば、無機酸、有機酸が挙げられる。
無機酸としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などが挙げられ、無機酸の中では燐酸、硝酸が好ましい。
有機酸としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸乳酸、アジピン酸、リンゴ酸、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。これらの中ではギ酸、酢酸、グリコール酸が好適である。
また、本発明の研磨液には、以下の添加剤を用いることが好ましい。
アンモニア;
ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;
ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;
ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;
ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン、
その他、テトラゾール、キナルジン酸などが挙げられる。
これらの中でも、キトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
本発明の研磨液は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、更にはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
その中でも、特に好ましいアルカリ剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
本発明の化学的機械的研磨方法(以下、「CMP方法」又は「研磨方法」ともいう。)本発明の金属用研磨液を、被研磨面と接触させ、被研磨面と研磨面を相対運動させて研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう。)を含むことを特徴とする。
本発明の化学的機械的研磨方法は、シラノール基を有する複素環化合物を含有する本発明の金属用研磨液を用いることにより、CMPにおいて研磨速度、コロージョン及び面内均一性に優れる。
本発明においては、研磨する対象は、例えばLSI等の半導体における金属配線であり、好ましくは銅金属及び/又は銅合金からなる配線、特には銅合金からなる配線が好ましい。更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40重量%以下が好ましく、特には10重量%以下、さらには1重量%以下が好ましく、0.00001〜0.1重量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。なお、前記のように本発明の金属用研磨液は、LSI等の半導体における金属配線の研磨に好適に用いることができる研磨液であるが、該金属配線の研磨に付随して酸や砥粒等の効果により、シリコン基板や酸化シリコン、窒化シリコン、樹脂等を一部研磨するものであってもよいことは言うまでもない。
本発明において、研磨面と被研磨面との接触部分にかかる力を、その接触面積で除した値を接触圧力とする。例えば、径がφ200mmの被研磨面全面をφ600mmの研磨面に400Nの力で押し付けた場合は、接触面積は(0.1)2π=3.14・10-2m2であるので、接触圧力は400/(3.14・10-2)=12,732Paである。
本発明のCMP方法に適用される接触圧力は、1,000〜25,000Paであることが好ましく、2,000〜17,500Paであることがより好ましく、3,500〜14,000Paであることがさらに好ましい。
本発明のCMP方法について、さらに説明する。
本発明の研磨工程において、研磨している間、研磨パッドには金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
本発明の研磨方法では、希釈する水溶液は、次ぎに述べる水溶液と同じである。
水溶液は、予め金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水で、水溶液中に含有した成分と希釈される金属用研磨液の成分を合計した成分が、金属用研磨液を使用して研磨する際の成分となるようにする。水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より金属用研磨液を濃縮することができる。
また、溶解度の低い添加剤成分を2つの構成成分(A)と(B)に分け、酸化剤、添加剤及び界面活性剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水または水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合してその配管内で混合する方法や、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合する方法が用いられる。
本発明においては、半導体が銅金属及び/又は銅合金からなる配線を用いている場合、配線と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐためのバリア層を設けることが好ましい。バリア層としては低電気抵抗のメタル材料が好ましく、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNがより好ましく、Ta、TaNが特に好ましい。
層間絶縁膜としては、低誘電率の絶縁性物質の薄膜が好ましく、好適な絶縁性物質としては比誘電率が3.0以下である物質であり、より好ましくは2.8以下の物質である。好ましい低誘電率物質として具体的には、BlackDiamond(アプライドマテリアルズ社製)、FLARE(Honeywell Electronic Materials社製)、SILK(Dow Chemical社製)、CORAL(Novellus System社製)、LKD(JSR(株)製)及びHSG(日立化成工業(株)製)を挙げることができる。
本発明に用いられる研磨用のパッドは、大きくは無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
本発明の金属用研磨液を用いてCMPを行うウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
濃度25重量%のアンモニア水 100重量部
イオン交換水 125重量部
エタノール 230重量部
テトラエトキシシラン 35重量部
上記の成分を反応器に仕込み、この反応器をバススターラーで回転速度130rpmで撹拌しながら60℃に昇温させ、反応器の温度を一定に維持しながら撹拌を4時間継続した後、大量のエタノールでクエンチすることにより、コロイダルシリカを含むアルコール分散体を得た。
次いで、セラミックスフィルターを用いて、得られた分散体の溶媒をイオン交換水に置換することにより、コロイダルシリカ粒子が分散する水系分散体(B−1)(固形分濃度が20重量%)を調製した。
この水系分散体(B−1)を構成するコロイダルシリカの平均一次粒子径は34nmであり、平均二次粒子径は48nmであった。
スチレンジビニルベンゼン共重合ポリマー(シード粒子) 2重量部
(JSR製 SX8743)
濃度25重量%のアンモニア水 50重量部
イオン交換水 90重量部
エタノール 75重量部
テトラエトキシシラン 10重量部
上記の成分を反応器に仕込み、この反応器をバススターラーで回転速度130rpmで撹拌しながら60℃に昇温させ、反応器の温度を一定に維持しながら撹拌を4時間継続した後、大量のエタノールでクエンチすることにより、スチレンジビニルベンゼン共重合体ポリマーをコア粒子にコロイダルシリカをシェルとするコアシェル粒子を含むアルコール分散体を得た。
次いで、セラミックスフィルターを用いて、得られた分散体の溶媒をイオン交換水に置換することにより、前記コアシェル粒子の水系分散体(B−2)(固形分濃度が20重量%)を調製した。
この水系分散体(B−2)を構成するコアシェル粒子の平均一次粒子径は45nmであり、平均二次粒子径は63nmであった。
シード粒子としてアクリルポリマー(積水化学製)を用いる以外は水系分散体(B−2)を作製したときと同様の操作を行い、水系分散体(B−3)(固形分濃度15重量%)を調整した。
この水系分散体(B−3)を構成するコアシェル粒子の平均一次粒子径は39nmであり、平均二次粒子径は68nmであった。
すなわち、平均一次粒子径は、BET法による比表面積値から真球状粒子モデルへ換算したときの粒子径であり、比表面積値は市販の測定装置(島津製作所製、ジェミニV2380)によって測定した。また、平均二次粒子径とは、動的光散乱法によって得られる平均粒子径(D50値)であり、これは市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製、LB−500)によって測定した。
シラノール基を有する本発明の複素環化合物は、Liebigs Annalen der Chemie, 2, 145 (1994)、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8, 51 (1998)、Tetrahedron Letters, 21, 2689 (1980)、及びJournal of Organometallic Chemistry, 13, 323 (1968)、Journal of Organometallic Chemistry, 9, 251 (1967)、Chemische Berichte, 115, 5, 1694 (1982)、Zhurnal Obschei Khimii, 67, 5, 859 (1997)、Heterocycles, 34, 7, 1365, (1992)およびJournal of Organometallic Chemistry, 247, 351 (1983)、Journal of Physical Chemistry, 95, 15, 5910 (1991)に記載の合成法を参考に合成することができる。
前記化合物(A−1)〜(A−5)などのシラノール基を有する複素環化合物および、前記水系分散体(B−1)〜(B−3)に含まれる表面にシラノール基を有する粒子を含む、本実施例で用いた金属用研磨液の内容および配合量を表1に示す。pHの調整はアンモニアおよび硝酸で行い、各実施例・比較例とも研磨実験の直前に過酸化水素水を1%添加した。時間の経過につれて凝集が見られた研磨用組成液については、前記水溶性ポリマーを添加し、分散性を確保した。
研磨装置としてラップマスター社製CMP装置「LGP−612」を使用し、下記の条件で、表1に示す金属用研磨液を供給しながら各ウエハに設けられた膜を研磨した。
基板:銅メッキ膜付き8inchシリコンウエハ
テ−ブル回転数:50rpm
ヘッド回転数:50rpm
研磨圧力:168hPa
研磨パッド:ローム&ハース社製 品番IC-1400
スラリー供給速度:200ml/分
研磨速度の測定:研磨前後の電気抵抗から膜圧を換算した。具体的には、
研磨速度(nm/分)
=(研磨前の銅膜の厚さ−研磨後の銅膜の厚さ)/研磨時間 で測定した。
電気抵抗は、四探針測定法にて求めた。
段差の測定:触針式の段差測定計を用い、100μm/100μmのL/Sでの段差測定を行った。
評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- シラノール基を有する複素環化合物を含有することを特徴とする金属用研磨液。
- シラノール基を表面に有する粒子をさらに含有する請求項1に記載の金属用研磨液。
- 前記粒子は、比表面積から真球状粒子モデルへ換算したときの平均一次粒子径が5〜90nmの範囲にあるコロイダルシリカ、又は、少なくともコロイダルシリカを含む複合粒子である請求項2に記載の金属用研磨液。
- 酸化剤を含む請求項1〜3いずれか1つに記載の金属用研磨液。
- 前記複素環化合物が0.001〜1.0重量%の範囲で含まれる請求項1〜4いずれか1つに記載の金属用研磨液。
- 請求項1〜5いずれか1つに記載の金属用研磨液を、被研磨面と接触させ、被研磨面と研磨面を相対運動させて研磨する工程を含むことを特徴とする化学的機械的研磨方法。
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