JP2009087966A - 金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法 - Google Patents

金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】迅速なCMP速度を有し、ディッシングが少なく被研磨面の平坦性を向上させることが可能で、濃縮しても安定な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイス製造工程において、金属膜を化学的機械的に研磨する際に用いられ、下記(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)の各成分を含有する金属用研磨液である。
(1)下記一般式(I)で表されるアミノ酸誘導体
(2)グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アスパラギン酸、リシン、アントラニル酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびバリンからなる群より選択される少なくとも一種の有機酸
(3)酸化剤
(4)不動態膜形成剤
(5)砥粒
Figure 2009087966

〔一般式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法に関するものであり、より詳細には、半導体デバイス製造において配線工程に用いられる金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、適宜「LSI」と称する。)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術としては、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、適宜「CMP」と称する。)等の種々の技術が用いられてきている。CMPは、半導体デバイスの製造において、絶縁性薄膜(SiOなど)や配線に用いられる金属薄膜の研磨に用いられ、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う方法である(例えば、特許文献1参照。)。
CMPに用いる金属用研磨液は、一般には、砥粒(例えばアルミナ)と酸化剤(例えば過酸化水素)とを含むものである。CMPによる研磨のメカニズムとしては、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が平面状ではなく、中央のみがより深く研磨されて皿状のくぼみを生ずる現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面表面が皿状の凹部を形成する現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、固体砥粒を含有する金属用研磨液の使用は、研磨後に半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行なわれる洗浄工程において、その洗浄工程が複雑となり、さらにその洗浄後の液(廃液)を処理するには固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決するために、例えば、砥粒を含まない研磨液とドライエッチングとの組み合わせによる金属表面研磨方法が開示されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、砥粒を含まない金属用研磨液として、例えば、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム及び水からなる金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。これら文献に記載の研磨方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、充分な研磨速度が得難いという問題点がある。
一方、配線用の金属としては、従来からタングステン及びアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら、更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、「ダマシン法」が知られている(例えば、特許文献3参照。)。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。このような銅配線用のターゲット材としては、ファイブナイン以上の高純度銅ターゲット材が用いられてきた。しかしながら、近年は、更なる高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子特性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に第3成分を添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
また、最近は生産性向上のため、LSI製造時のウエハ径が大型化しており、現在は直径200mm以上が汎用されており、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めた。このようなウエハの大型化に伴い、ウエハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差が生じ易くなり、研磨の均一性を達成することが重要になってきている。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段を用いない化学研磨方法として、化学的溶解作用を利用した方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、化学的溶解作用のみによる化学研磨方法は、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、凹部の削れ込み、即ち、ディッシングなどの発生によりその平面性に大きな課題が残っている。
また、研磨パッドの劣化を抑える有機化合物を含有する化学機械研磨用水系分散体が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、この研磨用水系分散体によっても、配線部金属が過剰に研磨されて皿上に窪むディッシング現象に対する懸念が残る。
その他にも研磨面の平坦化を目的として、ウエハ表面を修正するのに有用なイミノニ酢酸とその塩から選ばれるキレート剤を含有する加工液(例えば、特許文献6参照。)、α−アミノ酸を含有する化学機械研磨組成物(例えば、特許文献7参照。)などが提案されている。これらの技術により、銅配線における研磨性能の向上が見られる。
米国特許4944836号公報 特開2001−127019号公報 特開平2−278822号公報 特開昭49−122432号公報 特開2001−279231号公報 特表2002−538284号公報 特開2003−507894号公報 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、1991年、第138巻、第11号、3460〜3464頁 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、2000年、第147巻、第10号、3907〜3913頁
本発明は、前記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、迅速なCMP速度を有し、ディッシングが少なく被研磨面の平坦性を向上させることが可能で、濃縮しても安定な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記の金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法により、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法は、以下の通りである。
<1> 半導体デバイス製造工程において、金属膜を化学的機械的に研磨する際に用いられ、下記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)に示される各成分を含有する金属用研磨液である。
(1)下記一般式(I)で表されるアミノ酸誘導体
Figure 2009087966
一般式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
(2)グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アスパラギン酸、リシン、アントラニル酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびバリンからなる群より選択される少なくとも一種の有機酸
(3)酸化剤
(4)不動態膜形成剤
(5)砥粒
<2> 前記(1)に示されるアミノ酸誘導体が、N−メチルグリシン、N−メチルアラニン、及びN−エチルグリシンからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記<1>に記載の金属用研磨液である。
<3> 前記(2)に示される有機酸が、グリシンであることを特徴とする前記<2>に記載の金属用研磨液である。
<4> さらに界面活性剤を含むことを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の金属用研磨液である。
<5> 前記界面活性剤が、スルホン酸又はスルホン酸塩であることを特徴とする前記<4>に記載の金属用研磨液である。
<6> 前記金属用研磨液中の鉄イオンの濃度が、1ppm未満であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の金属用研磨液である。
<7> 前記金属用研磨液中の鉄イオンの濃度が、0.3ppm未満であることを特徴とする前記<6>に記載の金属用研磨液である。
<8> 前記(4)不動態膜形成剤が、窒素原子を3つ以上含む複素環化合物を含有することを特徴とする前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載の金属用研磨液である。
<9> さらにセリア粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、および有機無機複合粒子の群から選ばれる少なくとも1種の砥粒を含むことを特徴とする前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載の金属用研磨液である。
<10> 半導体デバイスの製造工程において、研磨定盤上に貼付した研磨パッドに、前記<1>〜前記<9>のいずれか1つに記載の金属用研磨液を供給しながら、該研磨パッドと金属膜を有する基板の被研磨面とを相対的に移動させて当該被研磨面を研磨する研磨方法である。
本発明によれば、迅速なCMP速度を有し、ディッシングが少なく被研磨面の平坦性を向上させることが可能で、濃縮しても安定な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
〔金属用研磨液〕
本発明の金属用研磨液は、半導体デバイス製造工程において、金属膜を化学的機械的に研磨する際に用いられ、下記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)に示される各成分を含有する金属用研磨液である。
(1)下記一般式(I)で表されるアミノ酸誘導体
Figure 2009087966
一般式(I)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
(2)グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アスパラギン酸、リシン、アントラニル酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびバリンからなる群より選択される少なくとも一種の有機酸
(3)酸化剤
(4)不動態膜形成剤
(5)砥粒
以下、本発明の金属用研磨液について説明する。
本発明の金属用研磨液は、前記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の各成分を必須成分として含有し、通常、水を含んで構成される。本発明の金属用研磨液は、所望により、さらに他の成分を含有してもよい。好ましい他の成分としては、以下に詳述するように、-酸、アルカリ、緩衝剤等の添加剤を挙げることができる。金属用研磨液が含有する上記必須成分及び任意成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明において「金属用研磨液」とは、研磨に使用する際の研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液)のみならず、金属用研磨液の濃縮液をも包含する意である。
金属用研磨液の濃縮液とは、研磨に使用する際の研磨液よりも、溶質の濃度が高く調整された液を意味し、研磨に使用する際に、水又は水溶液などで希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
なお、本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
以下、本発明の金属用研磨液に含有される各構成成分について順次説明する。
まず、本発明の金属用研磨液における重要成分である(1)について説明する。
<(1)一般式(I)で表されるアミノ酸誘導体>
本発明の金属用研磨液は、下記一般式(I)で表されるアミノ酸誘導体(以下、適宜、「特定アミノ酸誘導体」と称する。)を含有する。
Figure 2009087966
一般式(I)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
は、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、これらの中でもメチル基,エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基が更に好ましい。
で表されるアルキレン基は直鎖であっても分岐状であってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基(イソブチレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン、s−ブチレン基、t−ブチレン基)が挙げられ、これらの中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基がより好ましく、メチレン基、エチレン基が更に好ましい。
は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、アルコキシ基等が挙げられる。
一般式(I)におけるR及びRの組み合わせとしては、Rがメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、Rがメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基(n−ブチレン基)である組み合わせが好ましく、Rがメチル基、エチル基、n−プロピル基であり、Rがメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基である組み合わせがより好ましく、Rがメチル基、エチル基であり、Rがメチレン基、エチレン基である組み合わせが更に好ましい。
以下、本発明における特定アミノ酸誘導体の具体例(例示化合物:A−1〜A−4、B−1〜B−4、C−1〜C−4)を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009087966
本発明における特定アミノ酸誘導体としては、研磨速度とディッシングのバランスの観点から、N−メチルグリシン、N−メチルアラニン、及びN−エチルグリシンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、これらの中でも、N−メチルグリシン,N−エチルグリシンがより好ましい。
特定アミノ酸誘導体は、公知の方法によりにより得ることができる。また、特定アミノ酸誘導体としては、市販品を用いることもでき、例えば、前記A−1は、和光純薬工業(株)製サルコシンとして得ることができ、前記A−2は、和光純薬工業(株)製N−エチルグリシンとして得ることができる。
本発明の金属用研磨液における特定アミノ酸誘導体の含有量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、水又は水溶液で希釈する場合は希釈後の研磨液を指す。以降の「研磨に使用する際の研磨液」も同義である。)において、好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
<(2)有機酸>
本発明の金属用研磨液は、前記特定アミノ酸誘導体のほかに、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アスパラギン酸、リシン、アントラニル酸、ルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびバリンからなる群より選択される少なくとも一種の有機酸(以下「特定有機酸」とも称する)を含有する。
上記特定有機酸を含有することで、研磨速度を高くし、ディフェクトを低減することができる。中でも、高研磨速度の点で、グリシンが特に好ましい。
前記特定有機酸は、公知の方法によりにより得ることができ、また、市販品を用いることもできき、例えば、前記グリシンは、和光純薬工業(株)製グリシンとして得ることができ、前記α−アラニンは、和光純薬工業(株)製DL−α−アラニンとして得ることができる。
また、本発明においては、前記特定アミノ酸誘導体と前記特定有機酸とを併用することで、ディッシングを低減し、エロージョンを低減することができる。前記特定アミノ酸誘導体と前記特定有機酸との好ましい組み合わせとしては、高研磨速度と低ディッシングの点で、前記A−2とグリシンの組み合わせ、前記A−1とα−アラニンの組み合わせ、前記A−1とアスパラギンの組み合わせ、前記A−1とグリシンの組み合わせが挙げられるが、中でも前記A−1とα−アラニンの組み合わせ、前記A−1とグリシンの組み合わせが特に好ましい。
本発明の金属用研磨液における特定有機酸の含有量は、総量として、研磨に使用する際の研磨液において、好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
また、特定アミノ酸誘導体と特定有機酸とのmol比(特定アミノ酸誘導体/特定有機酸)は、9.5/0.5〜3/7が好ましく、9/1〜5/5がより好ましい。
<(3)酸化剤>
本発明の金属用研磨液は、酸化剤(研磨対象の金属を酸化できる化合物)を含有する。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
アミノポリカルボン酸及びその塩としては、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン1−N,N’−ニ酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸など及びその塩が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
中でも、過酸化水素、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、鉄(III)の有機錯塩が好ましく、鉄(III)の有機錯塩を用いる場合の好ましい錯形成化合物は、クエン酸、酒石酸、アミノポリカルボン酸(具体的には、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸)を挙げることができる。
前記酸化剤の中でも、過酸化水素、過硫酸塩、並びに鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)の錯体が最も好ましい。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1Lあたり、0.003mol〜8molの範囲とすることが好ましく、0.03mol〜6molの範囲とすることがより好ましく、0.1mol〜4molの範囲とすることが特に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が充分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上であることが好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下であることが好ましい。
酸化剤は、研磨液を使用して研磨を行う際に、酸化剤以外の他の成分を含む組成物に混合して使用することが好ましい。
<(4)不動態膜形成剤>
本発明の金属用研磨液は、不動態膜形成剤を含有する。
前記不動態膜形成剤は、研磨対象の金属表面に不動態膜を形成する化合物として、少なくとも1種の複素環化合物を含有することが好ましく、また、窒素原子を3つ以上含む複素環化合物を含有することが好ましい。
ここで、「複素環化合物」とは、ヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、及び水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子であり、さらに好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、及びセレン原子であり、特に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子であり、最も好ましくは窒素原子、及び硫黄原子である。
不動態膜形成剤は、窒素原子を3つ以上含むことが低ディッシングの点で好ましい。
まず、母核となる複素環について述べる。
本発明で用いうる複素環化合物の複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物あっても縮合環を有する多環化合物であってもよい。単環の場合の員数は、好ましくは3〜8であり、さらに好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5及び6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2又は3である。
これらの複素環として、具体的には以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
例えば、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピラン環、チオピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、クロマン環、チオクロマン環、イソクロマン環、イソチオクロマン環、インドリン環、イソインドリン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、アンチリジン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾフロキサン環、ナフトイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラアザインデン環等が挙げられ、より好ましくはトリアゾール環、テトラゾール環が挙げられる。
次に、複素環が有しうる置換基について述べる。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていてもよいことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換又は無置換のアルキル基を意味する。
複素環化合物が有しうる置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシル基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えばN−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なお、ここで、「活性メチン基」とは、2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味する。「電子求引性基」とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。また、2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。また、「塩」とはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。
これらの中でも、複素環化合物における好ましい置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なおここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基が挙げられる。
さらに好ましくは、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)が挙げられる。
また、上記した置換基の2つが共同して環(芳香族又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環)これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができ、その例として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる)を形成することもできる。
複素環化合物の具体例としては、これらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
即ち、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1H−テトラゾール−5−酢酸、1H−テトラゾール−5−コハク酸、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、4−カルボキシ−1H−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジカルボキシ−1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール−4−酢酸、4−カルボキシ−5−カルボキシメチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−カルボキシ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジカルボキシ−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−酢酸、1Hベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸等である。
本発明において好適に用いることができる複素環化合物として挙げられる、(a)1,2,3,4−テトラゾール、(b)1,2,3−トリアゾール、(c)1,2,4−トリアゾールについて、その代表的な誘導体を以下に示す。
(a)1,2,3,4−テトラゾール誘導体として好ましくは、環を形成する窒素原子上に置換基を有さず、且つ5位に特定の置換基を有するものが挙げられる。
(b)1,2,3−トリアゾール誘導体として好ましくは、環を形成する窒素原子上に置換基を有さず、且つ4位及び/又は5位に特定の置換基を有するものが挙げられる。
(c)1,2,4−トリアゾール誘導体として好ましくは、環を形成する窒素原子上に置換基を有さず、且つ2位及び/又は5位に特定の置換基を有するものが挙げられる。
(a)1,2,3,4−テトラゾールが5位に有する置換基としては、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、及びスルホンアミド基からなる群より選択された置換基、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、及びスルホンアミド基からなる群より選択された少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル基を挙げることができる。より好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基及びカルバモイル基からなる群より選択された少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル基である。このアルキル基は、前述の置換基を少なくとも1つ有していれば、他の置換基を有していてもよい。
5位に置換基を有する(a)1,2,3,4−テトラゾール誘導体としてより好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシル基の少なくとも1つで置換されたアルキル基を置換基として含有することを特徴としたテトラゾール誘導体である。より好ましくは、少なくとも1つのカルボキシル基で置換されたアルキル基を置換基として含有することを特徴としたテトラゾール誘導体である。このような1,2,3,4−テトラゾール誘導体としては、例えば、1H−テトラゾール−5−酢酸、1H−テトラゾール−5−コハク酸が挙げられる。
1,2,3−トリアゾールが4位及び/又は5位に有しうる置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、及びスルホンアミド基からなる群より選択された置換基、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、及びスルホンアミド基からなる群より選択された少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル基又はアリール基を挙げることができる。より好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基及びアミノ基からなる群より選択された置換基、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基及びアミノ基からなる群より選択された少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル基である。このアルキル基及びアリール基は、前述の置換基を少なくとも1つ有していれば、他の置換基を有していてもよい。また、1,2,3−トリアゾールの4位と5位のいずれか一方に置換しているものがより好ましい。
4位及び/又は5位に置換基を有する(b)1,2,3−トリアゾール誘導体として好ましくは、ヒドロキシ基及びカルボキシル基からなる群より選択された置換基、又はそれらの置換基の少なくとも1つで置換されたアルキル基を置換基として含有することを特徴とした1,2,3−トリアゾール誘導体である。より好ましくは、カルボキシル基、又は少なくとも1つのカルボキシル基で置換されたアルキル基を置換基として少なくとも1つ含有することを特徴とした1,2,3−トリアゾール誘導体である。このような1,2,3−トリアゾール誘導体としては、例えば、4−カルボキシ−1H−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジカルボキシ−1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール−4−酢酸、4−カルボキシ−5−カルボキシメチル−1H−1,2,3−トリアゾールが挙げられる。
(c)1,2,4−トリアゾールが3位及び/又は5位に有しうる置換基としては、スルホ基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、及びスルホンアミド基からなる群より選択された置換基、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、及びスルホンアミド基からなる群より選択された少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル基又はアリール基を挙げることができる。より好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基及びアミノ基からなる群より選択された少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル基である。このアルキル基及びアリール基は、前述の置換基を少なくとも1つ有していれば、他の置換基を有していてもよい。また、(c)1,2,4−トリアゾールの3位と5位のいずれか一方に置換しているものがより好ましい。
3位及び/又は5位に置換基を有する(c)1,2,4−トリアゾール誘導体として好ましくは、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の少なくとも1つで置換されたアルキル基を置換基として含有することを特徴とした1,2,4−トリアゾール誘導体である。より好ましくは、少なくとも1つのカルボキシル基で置換されたアルキル基を置換基として少なくとも1つ含有することを特徴とした1,2,4−トリアゾール誘導体である。このような1,2,4−トリアゾール誘導体としては、例えば、3−カルボキシ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジカルボキシ−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−酢酸が挙げられる。
以下に、(a)1,2,3,4−テトラゾール誘導体の具体例として、例示化合物:(a−1)〜(a−26)を、(b)1,3,4−トリアゾール誘導体の具体例として、例示化合物:(b−1)〜(b−26)を、(c)1,2,4−トリアゾール誘導体の具体例として、例示化合物:(c−1)〜(c−19)を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2009087966
Figure 2009087966
Figure 2009087966
複素環化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、複素環化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
本発明の金属用研磨液は、上記に詳述した複素環化合物の中でも、金属配線における化学的溶解の抑制能に優れている観点から、テトラゾール又はその誘導体を含有することが特に好ましい。
本発明の金属用研磨液における複素環化合物の含有量としては、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、水又は水溶液で希釈する場合は希釈後の金属用研磨液)1L中、0.0001〜1.0molの範囲が好ましく、より好ましくは0.0005〜0.5molの範囲、更に好ましくは0.0005〜0.05molの範囲である。
<(5)砥粒>
本発明の金属用研磨液は、砥粒を含有する。
砥粒は、銅又は銅合金等の金属膜をスクラッチなど傷の発生を抑えて研磨できるものなら何でもよく、目的や用途によりこれに限定されるものではないが、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、セリア、アルミナ、チタニア、有機粒子、有機無機複合粒子等が好ましく挙げられる。中でもセリア粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、および有機無機複合粒子の群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、特に好ましくはコロイダルシリカである。
砥粒は、一般的には金属酸化物、中でもセリウム系やシリカ系のものがよく知られており、その中でもシリカ系のものが特に好ましく用いる事ができる。シリカ系でも、球状や球状の粒子が会合したコロイダルシリカやヒュームドシリカが知られており、中でもコロイダルシリカが好ましく用いられることが多い。また、砥粒としては、異なる砥粒を混合して使用することも可能であり、無機、有機問わず研磨できる砥粒であれば、単独及び/又は併用して使用可能である。
以下に、砥粒として特に好ましいコロイダルシリカに関し、詳述するが、本発明はこの砥粒に限定されるものではない。
コロイダルシリカの中でも、表面の珪素原子の少なくとも一部がアルミニウム原子で修飾されているコロイダルシリカ(以下、適宜「特定コロイダルシリカ」と称する。)は、本発明の金属用研磨液において、砥粒として好ましく機能するものである。
本発明において「表面の一部がアルミニウムで修飾されているコロイダルシリカ」とは、配位数4の珪素原子を含むサイトを有するコロイダルシリカ表面に、アルミニウム原子が存在している状態を意味するものであり、該コロイダルシリカ表面に4個の酸素原子が配位したアルミニウム原子が結合し、アルミニウム原子が4配位の状態で固定された新たな表面が生成した状態であってもよく、また、表面に存在する珪素原子が一旦引き抜かれて、アルミニウム原子と置き換わった新たな表面が生成した状態であってもよい。
特定コロイダルシリカの調製に用いられるコロイダルシリカとしては、粒子内部にアルカリ金属などの不純物を含有しない、アルコキシシランの加水分解により得たコロイダルシリカであることがより好ましい。一方、ケイ酸アルカリ水溶液からアルカリを除去する方法で製造したコロイダルシリカも用いることができるものの、この場合、粒子の内部に残留するアルカリ金属が徐々に溶出し、研磨性能に影響を及ぼす懸念があるため、そのような観点からは、前記アルコキシシランの加水分解により得られたものが原料としてはより好ましい。原料となるコロイダルシリカの粒径は、砥粒の使用目的に応じて適宜選択されるが、一般的には5〜200nm程度である。
このようなコロイダルシリカ粒子表面のケイ素原子をアルミニウム原子に修飾し、特定コロイダルシリカを得る方法としては、例えば、コロイダルシリカの分散液にアルミン酸アンモニウム等のアルミン酸化合物を添加する方法を好適に用いることができ、より具体的には、アルミン酸アルカリ水溶液を添加して得られたシリカゾルを80〜250℃で0.5〜20時間加熱し、陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に接触させる方法、酸性珪酸液とアルミニウム化合物水溶液をSiO含有アルカリ水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液に添加する方法、またはアルミニウム化合物が混在する酸性珪酸液をSiO含有アルカリ水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液に添加する方法、によって調製したアルミニウム化合物含有アルカリ性シリカゾルを陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリする方法が挙げられる。これらの方法は、特許第3463328号公報、特開昭63−123807号公報に詳細に記載され、この記載を本発明に適用することができる。
また、その他の方法として、コロイダルシリカの分散液にアルミニウムアルコキシドを添加する方法が挙げられる。ここで用いるアルミニウムアルコキシドはいかなるものでもよいが、好ましくは、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシドであり、特に好ましくはアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシドである。
特定コロイダルシリカは、4配位のアルミン酸イオンとコロイダルシリカ表面のシラノール基との反応によって生成したアルミノシリケイトサイトが負の電荷を固定し、粒子に負の大きなゼータポテンシャルを与えることによって、酸性においても分散性に優れている。したがって、前述の如き方法によって製造した特定コロイダルシリカは、アルミニウム原子が4個の酸素原子に配位された状態で存在することが重要である。
このような構造即ち、コロイダルシリカ表面においてケイ素原子とアルミニウム原子との修飾が生じていることは、例えば、砥粒のゼータ電位を測定することによって容易に確認することができる。
コロイダルシリカ表面の珪素原子をアルミニウム原子に修飾する場合の、アルミニウム原子への修飾量は、コロイダルシリカ分散液に添加するアルミン酸化合物、アルミニウムアルコキシドなどの添加量(濃度)を制御することにより、適宜制御することができる。
ここで、コロイダルシリカ表面へのアルミニウム原子の導入量(導入アルミニウム原子数/表面珪素原子サイト数)は、分散液中に添加したアルミニウム系化合物のうち、反応後に残存する未反応アルミニウム系化合物から消費されたアルミニウム系化合物の量を算出し、それらが100%反応したと仮定し、コロイダルシリカ直径から換算される表面積、コロイダルシリカの比重2.2、及び、単位表面積あたりのシラノール基数(5〜8個/nm)から見積もることができる。実際の測定は、得られた特定コロイダルシリカ自体を元素分析し、アルミニウムが粒子内部に存在せず、表面に均一に薄くひろがると仮定し、上記コロイダルシリカの表面積/比重、及び、単位表面積あたりのシラノール基数を用いて求める。
特定コロイダルシリカの具体的な製法例を挙げる。まず、コロイダルシリカを5〜25質量%の範囲で水に分散させた分散液を調製する。該分散液にpH調整剤を加えてpHを5〜11に調整し、その後、攪拌しながらAl濃度3.6質量%、NaO/Alモル比1.50のアルミン酸ナトリウム水溶液15.9gを数分以内にゆっくり添加し0.5時間攪拌する。その後、溶媒を除去して、特定コロイダルシリカを得る。
特定コロイダルシリカの一次粒子径は、5nm〜100nmが好ましく、5nm〜60nmが更に好ましい。即ち、特定コロイダルシリカ粒子の一次粒子径は、パッドの空孔における目詰まりを防ぎ、充分な研磨速度をえる観点から、5nm以上の粒子が好ましく、また、スクラッチなどの研磨傷・欠陥を減少させる観点から、100nm以下が好ましい。
ここで、本発明における特定コロイダルシリカ粒子の一次粒子径とは、コロイダルシリカ粒子の粒子径と、その粒子径を持つ粒子数を積算した累積度数と、の関係を示す粒度累積曲線を求め、この曲線の累積度数が50%のポイントでの粒子径を意味するものである。
なお、このコロイダルシリカ粒子の粒子径は、動的光散乱法から得られた粒度分布において求められる平均粒子径を表す。例えば、粒度分布を求める測定装置しては堀場製作所製LB−500等が用いられる。
また、特定コロイダルシリカは、スクラッチなどの研磨傷・欠陥を減少させる観点から、会合度が5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
ここで、会合度とは、一次粒子が凝集してなる二次粒子の径を一次粒子の径で除した値(二次粒子の径/一次粒子の径)を意味する。この凝集とは球状のコロイダルシリカが研磨液状態で凝集した場合と、コロイダルシリカそのものが最初から会合している場合どちらも含まれる。会合度が1とは、球状の凝集していないものを意味する。
上記のように、特定コロイダルシリカ粒子は、その一部あるいは全てが会合していてもよい。なお、特定コロイダルシリカ粒子のうち会合してなる二次粒子は、エロージョン及びスクラッチの発生を防ぐ点から、粒子径が300nm以下であることが好ましい。一方、十分な研磨速度を達成する点から、その下限値は、10nm以上であることが好ましい。また、特定コロイダルシリカ粒子の二次粒子径は、10〜200nmの範囲であることがより好ましい。
なお、二次粒子径は電子顕微鏡等で測定することができる。
本発明の金属用研磨液に含有される砥粒のうち、特定コロイダルシリカの質量割合は、好ましくは10%以上であり、特に好ましくは20%以上である。含有される砥粒の全てが特定コロイダルシリカであってもよい。
本発明の金属用研磨液における砥粒の含有量は、スクラッチなどの研磨傷・欠陥を減少させる観点から、研磨に使用する際の金属用研磨液の全質量に対して、1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.0001質量%以上0.9質量%以下であり、さらに好ましくは0.001質量%以上0.7質量%以下である。
また、特定コロイダルシリカ以外の砥粒のサイズは、特定コロイダルシリカと同等以上2倍以下であることが好ましい。
<他の成分>
以下、本発明の金属用研磨液が含有しうる他の成分について説明する。
−界面活性剤−
本発明の金属用研磨液は、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤としては、酸型が望ましく、塩構造をとる場合には、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
界面活性剤は、被研磨面への接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤としては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、(アルキル)ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルモノスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
その他に、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン直鎖を骨格とし、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレン基が付加した任意の化合物を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルポリシロキサン・ポリオキシプロピレンアルキルポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・アルキルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。特に、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤は、HLB値が8以上であることが好ましい。HLB値が8以上あれば、シリコーン由来の有機物残渣が異物として残りにくい。より好ましくはHLB値9以上20未満であり、さらに好ましくはHLB値10以上16未満である。
上述した界面活性剤の中でも、ディフェクト低減の観点からスルホン酸又はスルホン酸塩の界面活性剤を用いることが特に好ましい。
界面活性剤の添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液1L中、0.001〜1gとすることが好ましく、0.02〜0.1gとすることがより好ましく0.005〜0.05gとすることが特に好ましい。即ち、界面活性剤の添加量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。
また、界面活性剤の重量平均分子量としては、500〜100,000が好ましく、特には2,000〜50,000が好ましい。
界面活性剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−親水性ポリマー−
本発明の金属用研磨液は、前記界面活性剤に加えて、または前記界面活性剤に代えて親水性ポリマーを含有することもできる。
親水性ポリマーとしては、酸型が望ましく、塩構造をとる場合には、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
親水性ポリマーは、被研磨面への接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる親水性ポリマーとしては、以下の群より選ばれたものが好適である。
親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;アミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポ
リアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマー等が挙げられる。
但し、適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、親水性ポリマーは酸型であることが望ましく、塩構造をとる場合には、アンモニウム塩が望ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。
上記例示化合物の中でも、親水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液1L中、0.001〜1gとすることが好ましく、0.02〜0.1gとすることがより好ましく0.005〜0.05gとすることが特に好ましい。即ち、親水性ポリマーの添加量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。
また、親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100,000が好ましく、特には2,000〜50,000が好ましい。
親水性ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−多価金属イオン−
本発明の金属用研磨液は、金属用研磨液中の多価金属イオンの濃度が1ppm未満であることが好ましく、0.3ppm未満であることがさらに好ましい。
前記多価金属イオンとしてはコバルト、ニッケル、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、鉄イオンが挙げられ、中でも、研磨性能の低下抑止の点で、鉄イオンの金属用研磨液中への混入が少ないことが望ましい。金属用研磨液中の鉄イオンの濃度は、0.3ppm未満であることが好ましく、金属用研磨液中に鉄イオンが混入していないことが特に好ましい。
金属用研磨液中の多価金属イオン濃度を低減するためには、金属用研磨液を組成する各原料成分について、高純度のものを用いたり、原料の生産工程において多価金属イオン等の不純物を原料中に混入させない環境下におくことが好ましい。また、イオン交換することによっても金属用研磨液中の多価金属イオン濃度を低減することができる。
金属用研磨液中の多価金属イオンの濃度は、ICP−MS等を用いて測定することができる。
−キレート剤−
本発明の金属用研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤は必要に応じて2種以上併用してもよい。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、例えば、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molの範囲になるように添加する。
−pH調整剤−
本発明においては、効果を損なわない範囲において、目的に応じ、pH調整剤を添加することができる。前記pH調整剤は、単に金属用研磨液のpHを調整するものであり、アルカリ剤、緩衝剤、酸を適宜用いてpH調整することができる。以下に、アルカリ剤、緩衝剤、酸について説明する。
(アルカリ剤、緩衝剤)
また、本発明の金属用研磨液は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、さらにはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
アルカリ剤及び緩衝剤としては、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。
アルカリ剤及び緩衝剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)、水酸化アンモニウムなどを挙げることができる。
特に好ましいアルカリ剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
アルカリ剤及び緩衝剤の添加量としては、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molの範囲とすることが好ましく、0.003mol〜0.5molの範囲とすることがより好ましい。
(酸)
また、本発明の金属用研磨液は、必要に応じて、pH調整のために酸を含有することができる。ここにいう「酸」は、本発明に用いられる前記特定アミノ酸誘導体、前記特定有機酸及び前記酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。
有機系の酸としては、以下の群より選ばれたものがより適している。
即ち、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、及びそれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩等の塩、ならびにそれらの混合物等からなる群が挙げられる。
無機系の酸としては、以下の群より選ばれたものがより適している。
即ち、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸及びそれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩等の塩、ならびにそれらの混合物等からなる群が挙げられる。中でも硫酸が好ましい。
酸剤の好ましい添加量は、既述のアルカリ剤及び緩衝剤の好ましい添加量と同様である。
[金属用研磨液のpH]
本発明の金属用研磨液のpHとしては、4〜11の範囲であることが好ましく、より好ましくはpH5〜8の範囲、更に好ましくはpH6〜8の範囲である。前記pHが4〜11であると、本発明の金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。本発明の研磨液は、研磨に際し、水を含まない形態であってもよいし、水又は水溶液により希釈してもよい。水又は水溶液により希釈される場合、本発明におけるpHとは、水又は水溶液により希釈後の値を表す。
本発明における金属用研磨液のpHは、被研磨面へのアミノ酸誘導体の吸着性や反応性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性などを考慮して設定することできる。
金属用研磨液のpHは、例えば、前記pH調整剤の添加などにより調整することができる。
[金属用研磨液の比重]
本発明においては、液の流動性や研磨性能の安定性等の点から、金属用研磨液の比重は0.8〜1.5の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.35の範囲とすることが特に好ましい。
〔研磨方法〕
本発明の研磨方法は、半導体デバイスの製造工程において、研磨定盤上に貼付した研磨パッドに、本発明の金属用研磨液を供給しながら、該研磨パッドと金属膜を有する基板の被研磨面とを相対的に移動させて当該被研磨面を研磨することを特徴とする。
以下、この化学的機械的研磨方法について詳細に説明する。
(研磨装置)
まず、本発明の研磨方法を実施できる装置について説明する。
本発明に適用可能な研磨装置としては、被研磨面を有する被研磨体(半導体基板等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を備える一般的な研磨装置が使用でき、例えば、FREX300(荏原製作所)を用いることができる。
(研磨圧力)
本発明の研磨方法では、研磨圧力、即ち、被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が3000〜25,000Paで研磨を行うことが好ましく、6,500〜14,000Paで研磨を行うことがより好ましい。
(研磨定盤の回転数)
本発明の研磨方法では、研磨定盤の回転数が50〜200rpmで研磨を行うことが好ましく、60〜150rpmで研磨を行うことがより好ましい。
(研磨液供給方法)
本発明では対象金属を研磨する間、研磨定盤上の研磨パッドに金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
本発明の研磨方法には、濃縮された研磨液に水又は水溶液を加え希釈して用いることもできる。希釈方法としては、例えば、濃縮された研磨液を供給する配管と、水又は水溶液を供給する配管と、を途中で合流させて混合し、希釈された研磨液を研磨パッドに供給する方法などを挙げることができる。その場合の混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など、通常に行われている方法を用いることができる。
また、他の希釈方法としては、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とをそれぞれ独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法する方法も本発明に用いることができる。
更に、1つの容器に、所定量の濃縮された研磨液と水又は水溶液を入れて混合し、所定の濃度に希釈した後に、その混合液を研磨パッドに供給する方法も、本発明に適用することができる。
これらの方法以外に、研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨パッドに供給する方法も、本発明に用いることができる。この場合、酸化剤を含む成分と、本発明における有機酸を含有する成分と、に分割して供給することが好ましい。
具体的には、酸化剤を1つの構成成分(A)とし、特定アミノ誘導体、もう一種の有機酸、添加剤、界面活性剤、複素環化合物、砥粒、及び水を1つの構成成分(B)とすることが好ましく、それらを使用する際に水又は水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水又は水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合してもよく、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合して混合してもよい。例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に水又は水溶液の配管を結合することで研磨液を供給することも可能である。
また、上記の3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合して供給してもよいし、1つの容器に3つの構成成分を混合した後に、その混合液を研磨パッドに供給してもよい。更に、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
(研磨液の供給量)
本発明の研磨方法において、研磨液の研磨定盤上への供給量は50〜500ml/minとすることが好ましく、100〜300ml/minであることがより好ましい。
(研磨パッド)
本発明の研磨方法において用いられる研磨パッドは、特に制限はなく、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
本発明における研磨パッドは、更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
次に、本発明の研磨方法において研磨が施される被研磨体(基板、ウエハ)について説明する。
(配線金属材料)
本発明における被研磨体は、銅又は銅合金からなる配線を持つ基板(ウエハ)であることが好ましい。配線金属材料としては、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が適している。銅合金に含有される銀含量は、10質量%以下、更には1質量%以下で優れた効果を発揮し、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
(配線の太さ)
本発明における被研磨体は、例えば、DRAMデバイス系では、ハーフピッチで、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の配線を有することが好ましい。
一方、MPUデバイス系では、好ましくは0.12μm以下、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下の配線を有することが好ましい。
このような配線を有する被研磨体に対して、本発明に使用される研磨液は特に優れた効果を発揮する。
(バリア金属材料)
本発明における被研磨体において、銅配線と絶縁膜(層間絶縁膜を含む)との間には、銅の拡散を防ぐためのバリア層を設ける。このバリア層を構成するバリア金属材料としては、低抵抗のメタル材料、例えば、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
〔実施例1〕
(研磨濃縮液の調製)
−研磨濃縮液101−
下記組成を混合し、実施例1の金属用研磨液用の研磨濃縮液101を調製した。
・界面活性剤:DBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)
・・・3g
・砥粒:コロイダルシリカ(平均砥粒サイズ(1次粒径)が25nm、会合度2)
・・・16g
・有機酸:A−1 ・・・2mol
グリシン ・・・0.5mol
・複素環化合物:1Hテトラゾール ・・・15mmol
上記成分に、純水を加えて全量を1,000mLとし、また、アンモニア水でpH調整してpH7.5とした。
(研磨濃縮液の経時)
研磨濃縮液101をポリ容器に入れ、クリーンルームにて3ヶ月静置した。
(金属用研磨液)
3ヶ月経時させた研磨濃縮液101に、過酸化水素13.5gを加え、更に純水を加えて全量を10,000mLとし、また、アンモニア水で調整してpH7.5とした。
このようにして実施例1の金属用研磨液を調製した。
〔実施例2〕
実施例1の金属用研磨液の調製工程において、研磨濃縮液101を下記成分の研磨濃縮液102に代えたほかは同様にして実施例2の金属用研磨液を調製した。
−研磨濃縮液102−
・界面活性剤:DBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)
・・・3g
・砥粒:コロイダルシリカ(平均砥粒サイズ(1次粒径)が25nm、会合度2)
・・・16g
・有機酸:A−1 ・・・0.25mol
グリシン ・・・2.25mol
・複素環化合物:1Hテトラゾール ・・・15mmol
上記成分に、純水を加えて全量を1,000mLとし、また、アンモニア水でpH調整してpH7.5とした。
〔実施例3〕
実施例1の金属用研磨液の調製工程において、研磨濃縮液101を下記成分の研磨濃縮液103に代えたほかは同様にして実施例3の金属用研磨液を調製した。
−研磨濃縮液103−
・界面活性剤:DBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)
・・・3g
・砥粒:コロイダルシリカ(平均砥粒サイズ(1次粒径)が25nm、会合度2)
・・・16g
・有機酸:A−1 ・・・2mol
α−アラニン ・・・0.5mol
・複素環化合物:1Hテトラゾール ・・・15mmol
上記成分に、純水を加えて全量を1,000mLとし、また、アンモニア水でpH調整してpH7.5とした。
〔実施例4〕
実施例1の金属用研磨液の調製工程において、研磨濃縮液101を下記成分の研磨濃縮液104に代えたほかは同様にして実施例4の金属用研磨液を調製した。
−研磨濃縮液104−
・界面活性剤:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
・・・1g
・砥粒:コロイダルシリカ(平均砥粒サイズ(1次粒径)が25nm、会合度2)
・・・16g
・有機酸:A−1 ・・・2mol
グリシン ・・・0.5mol
・複素環化合物:1Hテトラゾール ・・・15mmol
上記成分に、純水を加えて全量を1,000mLとし、また、アンモニア水でpH調整してpH7.5とした。
〔実施例5〕
実施例1の金属用研磨液の調製工程において、研磨濃縮液101を下記成分の研磨濃縮液105に代えたほかは同様にして実施例5の金属用研磨液を調製した。
−研磨濃縮液105−
・界面活性剤:DBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)
・・・3g
・砥粒:コロイダルシリカ(平均砥粒サイズ(1次粒径)が25nm、会合度2)
・・・16g
・有機酸:A−1 ・・・2mol
グリシン ・・・0.5mol
・複素環化合物:1Hテトラゾール ・・・15mmol
・硝酸鉄(III) ・・・0.43g
上記成分に、純水を加えて全量を1,000mLとし、また、アンモニア水でpH調整してpH7.5とした。
〔比較例1〕
実施例1の金属用研磨液の調製工程において、研磨濃縮液101を下記成分の研磨濃縮液102に代えたほかは同様にして比較例1の金属用研磨液を調製した。
−研磨濃縮液201−
下記組成を混合し、比較例1の金属用研磨液用の研磨濃縮液201を調製した。
・界面活性剤:DBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)
・・・3g
・砥粒:コロイダルシリカ(平均砥粒サイズ(1次粒径)が25nm、会合度2)
・・・16g
・有機酸:A−1 ・・・2.5mol
・複素環化合物:1Hテトラゾール ・・・15mmol
上記成分に、純水を加えて全量を1,000mLとし、また、アンモニア水でpH調整してpH7.5とした。
実施例1〜5の金属用研磨液および比較例1の金属用研磨液について、ICP−MSを用いて、各金属用研磨液中の鉄イオン濃度を測定したところ、下記のような濃度であった。
実施例1の金属用研磨液: <0.1ppm
実施例2の金属用研磨液: <0.1ppm
実施例3の金属用研磨液: <0.1ppm
実施例4の金属用研磨液: <0.1ppm
実施例5の金属用研磨液: 10.0ppm
比較例1の金属用研磨液: <0.1ppm
<金属用研磨液の評価>
上記のようにして得られた実施例1〜5および比較例1の金属用研磨液について下記評価を行なった。
−1.研磨速度−
以下の条件でそれぞれ研磨を行い、研磨速度及びディッシングの評価を行った。
・研磨装置:FREX300((株)荏原製作所製)
・被研磨体(ウエハ):
(1)研磨速度算出用;シリコン基板上に厚み1.5μmのCu膜を形成した直径300mmのブランケットウエハ
(2)ディッシング評価用;直径300mmの銅配線ウエハ(パターンウエハ)(マスクパターン754CMP(ATDF社製))
・研磨パッド:IC1400−K Groove(ロデール社製)
・研磨条件;
研磨圧力(被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力):14,000Pa
研磨液供給速度:210ml/min
研磨定盤回転数:104rpm
研磨ヘッド回転数:85rpm
(評価方法)
研磨速度の算出:前記(1)のブランケットウエハを60秒間研磨し、ウエハ面上の均等間隔の49箇所に対し、研磨前後での金属膜厚を電気抵抗値から換算して求め、それらを研磨時間で割って求めた値の平均値を研磨速度とした。評価結果を表1に示した。
−2.ディッシング−
前記(2)のパターンウエハに対し、非配線部の銅が完全に研磨されるまでの時間に加え、更にその時間の25%分だけ余分に研磨を行い、ラインアンドスペース部(ライン10μm、スペース10μm)の段差を、接触式段差計DektakV3201(Veeco社製)で測定した。評価結果を表1に示した。
−3.Cu膜上の残渣−
前記「2.ディッシング」評価における研磨後のパターンウエハのラインアンドスペース部(ライン10μm、スペース10μm)を、日立ハイテク社製のSEM(S−4800)で観察した。下記基準により評価し、評価結果を表1に示した。
○:残渣が目立たない
△:所々に残渣が残っている
×:残渣が顕著である
−4.スクラッチ評価−
研磨後の各基板をオリンパス社製顕微鏡MX80で観察した。下記基準により評価し、評価結果を表1に示した。
○:スクラッチがない
△:数本のスクラッチが観察される
×:明らかに問題となる数のスクラッチが観察される
Figure 2009087966
表1から明らかなように、実施例1〜5の金属用研磨液の10倍濃縮液を3ヶ月経時させてもスクラッチがなく良好な結果が得られた。また、研磨速度、ディッシング、及びCu膜上の残渣についても良好な結果が得られた。

Claims (10)

  1. 半導体デバイス製造工程において、金属膜を化学的機械的に研磨する際に用いられ、下記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)に示される各成分を含有する金属用研磨液。
    (1)下記一般式(I)で表されるアミノ酸誘導体
    Figure 2009087966

    〔一般式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。〕
    (2)グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アスパラギン酸、リシン、アントラニル酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびバリンからなる群より選択される少なくとも一種の有機酸
    (3)酸化剤
    (4)不動態膜形成剤
    (5)砥粒
  2. 前記(1)に示されるアミノ酸誘導体が、N−メチルグリシン、N−メチルアラニン、及びN−エチルグリシンからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の金属用研磨液。
  3. 前記(2)に示される有機酸が、グリシンであることを特徴とする請求項2に記載の金属用研磨液。
  4. さらに界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
  5. 前記界面活性剤が、スルホン酸又はスルホン酸塩であることを特徴とする請求項4に記載の金属用研磨液。
  6. 前記金属用研磨液中の鉄イオンの濃度が、1ppm未満であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
  7. 前記金属用研磨液中の鉄イオンの濃度が、0.3ppm未満であることを特徴とする請求項6に記載の金属用研磨液。
  8. 前記(4)不動態膜形成剤が、窒素原子を3つ以上含む複素環化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
  9. 前記(5)砥粒が、セリア粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、および有機無機複合粒子の群から選ばれる少なくとも1種の砥粒であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
  10. 半導体デバイスの製造工程において、研磨定盤上に貼付した研磨パッドに、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の金属用研磨液を供給しながら、該研磨パッドと金属膜を有する基板の被研磨面とを相対的に移動させて当該被研磨面を研磨する研磨方法。
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