JP2008060460A - 金属研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する金属研磨方法であって、該金属用研磨液が、長径と短径の比(平均長径/平均短径)が1.2〜5.0である研磨粒子、2級の窒素原子又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、該被研磨面と該研磨パッドとの接触圧力が、4000〜12000Paであり、且つ、該被研磨面が接触する該研磨パッド表面の温度、あるいは該被研磨面の温度が、35℃以上、75℃未満の条件で該被研磨面を研磨することを特徴とする金属研磨方法。
【選択図】なし
Description
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えばアルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられており、例えば、下記の非特許文献1に記載されている。
本発明者は金属の配線工程のCMPにおいて、ウエハの被研磨面と研磨パッドの接触圧と定盤の回転数が低い条件で高速研磨とディッシングの低減の両立に取り組んできたが、上記の従来技術ではこれらの両立が不十分であった。
即ち、本発明の目的は、被研磨体(ウエハ)を研磨する際に、該被研磨体の被研磨面と研磨パッドとの接触圧力、及び被研磨面が接触する研磨パッド表面の温度、あるいは被研磨面の温度が、高い条件であっても、高研磨速度で、且つ、低ディッシングを可能とする金属研磨方法を提供することにある。
(2) 前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が7000〜10000Paであることを特徴とする(1)に記載の金属研磨方法。
(3) 前記研磨粒子の平均長径が、30〜70nmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の金属研磨方法。
(4) 前記研磨粒子の濃度が、前記金属用研磨液に対して0.1〜1.5重量%であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の金属研磨方法。
金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する金属研磨方法であって、該金属用研磨液が、長径と短径の比(平均長径/平均短径)が1.2〜5.0である研磨粒子、2級の窒素原子又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、該被研磨面と該研磨パッドとの接触圧力が、4000〜12000Paであり、且つ、該被研磨面が接触する該研磨パッド表面の温度、あるいは該被研磨面の温度が、35℃以上、75℃未満の条件で該被研磨面を研磨することを特徴とする金属研磨方法。
この方法により、被研磨体としての、例えば、導電性材料膜(例えば、金属層)が形成されたウエハを、化学的機械的に平坦化することができるものである。
ここで、本発明における金属用研磨液は、以下、単に「研磨液」と称する場合がある。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔研磨装置〕
まず、本発明の金属研磨方法を実施できる装置について説明する。
本発明に適用可能な研磨装置としては、被研磨面を有する被研磨体(半導体基板等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を備える一般的な研磨装置が使用でき、例えば、FREX300(荏原製作所)を用いることができる。
本発明の金属研磨方法は、被研磨面と研磨パッドとの接触圧力が4000〜12000Paで研磨を行うものであり、7000〜10000Paで研磨を行うことがより好ましい。これらの範囲外では本発明の効果、即ち、高研磨速度及び低ディッシングが十分に発現せず、好ましくない。
本発明の金属研磨方法は、被研磨面が接触する研磨パッド表面の温度、あるいは被研磨面の温度(以下、適宜、「表面温度」と称する)が35℃以上、75℃未満の条件で研磨を行うものであり、これらの範囲外では本発明の効果が十分得られにくく、好ましくない。
表面温度の測定は、前述の被研磨面に接触した研磨パッド表面の放射温度、あるいは被研磨面の直接の放射温度を測定してもよい。図1(A)及び図1(B)は、研磨中に被研磨面温度を測定する装置のモデル図である。測定方法は、図1(A)に示すようにウエハの下面に熱放射温度計を配置する方法、又は、図1(B)に示すようにウエハの上面に熱放射温度計を配置する方法があり、研磨装置に合わせていずれの方法もとることができる。
同様に、図1(B)に示すように、下方に設置された研磨ヘッド22上にウエハ23を配置し、上方に研磨定盤12に固定化された研磨パッド13を設置し、研磨パッド13及び研磨定盤12に温度測定用の開口部14を設け、上方に放射温度計16A、16Bを配置することで、被研磨面を上にして前述と同様な測定を行うことができ、この方法によっても、同様に研磨ウエハ表面の温度の測定が可能である。
表面温度は、例えば、研磨定盤、研磨ヘッドあるいは被研磨面の温度の制御、被研磨体の研磨速度により制御してもよい。また、金属用研磨液の温度の調整により制御してもよい。あるいは、金属用研磨液中の研磨粒子の含有量の調整、有機酸の種類、複素環化合物の種類を適宜選択することにより制御してもよい。
ここで、研磨定盤、研磨ヘッドあるいは被研磨面としては、例えば、研磨定盤、又は研磨ヘッドに、発熱体又は冷却機構を設けることにより温度を制御する方法、研磨定盤、研磨ヘッド、又はウエハをヒーター、クーラー等により外的に制御する方法、あるいは、研磨装置、スラリー、純水を含む研磨系、例えば研磨装置が設置してある部屋全体を温度制御する方法が挙げられる。
被研磨体の研磨速度の制御方法としては、研磨ヘッドと被研磨面の接触圧力、回転数により制御する方法が挙げられる。この接触圧力、回転数を上げることで摩擦熱が増加し表面温度が上昇し、接触圧力、回転数を下げることで摩擦熱が抑制し表面温度が低下する。
金属用研磨液の温度を制御する方法としては、金属用研磨液の供給タンク、給液パイプなどに取り付けた温度制御装置より制御する方法、あるいは、供給系と研磨系ごと恒温室に入れる方法により制御する方法が挙げられる。
また、金属用研磨液の研磨粒子の含有量を制御することにより、研磨粒子と被研磨体の摩擦熱により表面温度を制御できる。すなわち、研磨粒子の含有量を増やすと被研磨体の摩擦熱が増加し表面温度を上げることができ、含有量を減らすと摩擦熱が減少し表面温度を下げることができる。さらに、有機酸の種類、複素環化合物の種類を適宜選択することで、被研磨面の酸化による脆化促進の程度、及び不動態膜の形成により被研磨体の表面状態の調整が可能となり、被研磨面と研磨パッドとの摩擦熱で表面温度を制御することができる。
本発明では、濃縮された金属用研磨液に水または水溶液を加え希釈して用いることもできる。希釈方法としては、例えば、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管を途中で合流させて混合し、希釈された金属用研磨液を研磨パッドに供給する方法などを挙げることができる。その場合の混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を用いることができる。
さらに、1つの容器に所定量の濃縮された金属用研磨液と水または水溶液を入れて混合し、所定の濃度に希釈した後に、その混合液を研磨パッドに供給する方法も本発明に適用することが出来る。
例えば、酸化剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水または水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合してもよく、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合して混合してもよい。例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、さらに水または水溶液の配管を結合することで金属用研磨液を供給することも可能である。
また、上記の3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合して供給してもよいし、1つの容器に3つの構成成分を混合した後に、その混合液を研磨パッドに供給してもよい。さらに、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして被研磨面に供給してもよい。
本発明の金属研磨方法において、金属用研磨液の研磨定盤上への供給量は、研磨速度、面内均一性を安定させるために、50〜500ml/min.とすることができ、100〜300ml/min.であることがより好ましい。
本発明の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨方法を実施する際に用いる研磨パッドには特に制限はなく、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材を研磨パッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に研磨に用いる粒子(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、被研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
<金属用研磨液>
本発明で用いる金属用研磨液は、構成成分として複素環化合物を必須成分とし、有機酸、酸化剤、及び研磨粒子などを含有することが好ましく、通常は、各成分を溶解してなる水溶液に研磨粒子を分散させてなるスラリーの形態をとる。
金属用研磨液が含有する各成分については、以下に詳述するが、それぞれの成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の金属研磨方法には、いずれの場合の金属用研磨液も適用できる。
〔研磨粒子〕
本発明に使用する金属用研磨液は、研磨粒子として、研磨粒子の長径と短径の比(平均長径/平均短径)が1.2〜5.0である研磨粒子(以下、適宜、「特定粒子」と称する)を少なくとも1種含む。
本発明において長径とは、特定粒子における最も大きな粒径部分を指す。
本発明において短径とは、長径と垂直方向に交わる径の内、最も大きな粒径部分を指す。
ここで、「繭型形状」とは、研磨粒子の中央部付近又は端部が凹んだ形状、もしくは、所謂俵状の形状を指す。
すなわち、日立ハイテクノロジーズ社製 走査型電子顕微鏡S4800を用いて、研磨粒子全体の形状を把握した後、長径が確認できる方向から研磨粒子を観察し、任意の100個以上の研磨粒子においてその長径と短径を測定し、それぞれ相加平均から求め、本発明における特定粒子の「平均長径」及び「平均短径」とする。
本発明に使用される研磨液は、2級の窒素原子又は3級の窒素原子を含む有機酸(以下、特定窒素含有有機酸と称する場合がある。)を少なくとも1種含むことを特徴とする。
本発明における特定窒素含有有機酸は、下記一般式(A)又は下記一般式(B)で表される化合物が好ましいものとして挙げられる。
このアルキル基は、炭素数1〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜7である。なお、このアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよく、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。導入しうる置換基としては、−OH、−COOH、−CONH2、−SO3H、−PO3H2等が好ましいものとして挙げられる。また、導入された置換基同士が結合して環構造を形成してもよい。
なお、このアルキル基には、アルキル基を構成する炭素原子の一部が他の原子(例えば、窒素原子)に置換されたものも含む。
また、本発明における特定窒素含有有機酸は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの特定窒素含有有機酸は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
本発明の金属用研磨液は、研磨対象の金属表面に不動態膜を形成する化合物として少なくとも1種の複素環化合物を含有する。
ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
本発明で用いる複素環化合物の複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物あっても縮合環を有する多環化合物であっても良い。単環の場合の員数は、好ましくは3〜8であり、さらに好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5、及び6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2または3である。
これらの複素環として具体的に、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。
本発明で用いる複素環化合物に使用できる置換基は、例えば以下のものが挙げられる。
但し、これらに限定されるものではない。
即ち、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールである。
本発明の金属用研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有することが好ましい。
具体的には、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水および銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられるが、過酸化水素がより好ましく用いられる。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.003mol〜8molとすることが好ましく、0.03mol〜6molとすることがより好ましく、0.1mol〜4molとすることが特に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が十分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上が好ましく、被研磨面の荒れ防止の点から8mol以下が好ましい。
本発明に係る金属用研磨液は、特定窒素含有有機酸以外に少なくとも1種の有機酸又はアミノ酸を含有することが好ましい。ここでいうその他の有機酸は、金属の酸化剤ではなく、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨ−ド−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸。
特に、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリシン、グリコール酸、β−アラニン、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシンについては実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点で好ましい。
本発明の金属用研磨液は、さらに他の成分を含有してもよく、例えば、界面活性剤、親溶性ポリマー、及び、その他の添加剤を挙げることができる。
本発明の研磨液は、界面活性剤や親水性ポリマーを含有することが好ましい。
界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤や親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が挙げられ、両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができ、非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、また、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール等のポリグリコール類、ポリビニルアルコール、ポロビニルピロリドン、アルギン酸等の多糖類、ポリメタクリル酸等のカルボン酸含有ポリマー等が挙げられる。
本発明の金属用研磨液は、所定のpHとするため、pH調整剤としてアルカリ剤、緩衝剤、無機酸を添加することができる。
アルカリ剤(及び緩衝剤)としては、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩などを挙げることができる。
特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
無機酸としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などが挙げられ、中でも燐酸、硫酸が好ましい。
研磨に使用する際の金属用研磨液のpHは3〜12が好ましく、より好ましくは4〜9であり、特に5〜8が好ましい。この範囲において本発明に用いる金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。上記pH調整剤によって研磨液のpHを上記好ましい範囲に調整するものである。
本発明に係る金属用研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有していてもよい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物を用いることができ、必要に応じてこれらを2種以上併用しても良い。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良く、例えば、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
次に、本発明の研磨方法において研磨が施される被研磨体(基板、ウエハ)について説明する。
本発明における被研磨体は、銅又は銅合金からなる配線を持つ基板(ウエハ)であり、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が適している。銅合金に含有される銀含量は、10質量%以下、さらには1質量%以下で優れた効果を発揮し、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
本発明における被研磨体は、例えばDRAMデバイス系では、ハーフピッチで、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の配線を有することが好ましい。
一方、MPUデバイス系では、好ましくは0.12μm以下、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下の配線を有することが好ましい。
このような配線を有する被研磨体に対して、本発明に使用される金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。
本発明における被研磨体において、銅配線と絶縁膜との間には、銅の拡散を防ぐ為のバリア層が設けられ、バリア層としては低抵抗のメタル材料例えばRu、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
前記層間絶縁膜としては、誘電率が2.6以下の特性を有するものであることが好ましく、例えば、シリコン系被膜、有機系層間絶縁膜などを挙げることができ、特に炭素をドープしたシリコン系被膜を用いることが好ましい。
[実施例1−1〜1−4、比較例1−1、1−2]
(金属用研磨液の調製)
研磨粒子:繭型非真球状砥粒コロイダルシリカ 3g/L
(平均長径、平均短径およびそれらの比は表1に示す。)
特定窒素含有有機酸:(表1に示す化合物) 0.25mol/L
その他の有機酸:ジヒドロキシエチルグリシン 0.24mol/L
複素環化合物:(表1に示す化合物) 1.7mmol/L
酸化剤:過酸化水素 9.0g/L
純水を加えた全量: 1000mL
pH(アンモニア水と硫酸で調整) 6.5
−研磨粒子の粒径制御方法−
表1に示す研磨粒子の平均長径及び平均短径の調整は、遠心分離による分離方法による。
以下の条件で研磨を行い、研磨速度及びディッシングの評価を行った。
研磨装置:FREX300(荏原製作所)
被研磨体(ウエハ):
(1) 研磨速度算出用;シリコン基板上に厚み1μmのCu膜を形成した直径 300mmのブランケットウエハ
(2) ディッシング評価用;直径300mmの銅配線ウエハ
(パターンウエハ:マスクパターン754CMP(ATDF社))
研磨パッド:IC1400K−XY Groove(ニッタハース社)
研磨条件;
研磨圧力(被研磨面と研磨パッドの接触圧力): 表1に示す
研磨液供給速度: 200ml/min.
研磨定盤回転数: 108rpm
研磨ヘッド回転数: 95rpm
−研磨粒子の平均長径、平均短径−
日立ハイテクノロジー製S4800 SEMを使用し、透過電子顕微鏡モードにて、100個の粒子を測定し、その平均値を求めた。
−接触圧力−
ロードセルにより測定した。
−表面温度−
表面温度は、放射温度測定装置(NEC三栄製 TH7102)を使用し、測定した。
−研磨速度−
前記(1)のブランケットウエハを60秒間研磨し、ウエハ面上の均等間隔の49箇所に対し、研磨前後での金属膜厚を電気抵抗値から換算して求め、それらを研磨時間で割って求めた値の平均値を研磨速度とした。
−ディッシング−
前記(2)のパターンウエハに対し、非配線部の銅が完全に研磨されるまでの時間に加え、更にその時間の20%分だけ余分に研磨を行い、ラインアンドスペース部(ライン100μm、スペース100μm)の段差を接触式段差計DektakV320−Si(Veeco社製)で測定した。
なお、実施例1−1〜1−4、比較例1−1、1−2の表面温度は、研磨粒子の平均長径、平均短径を調整することにより制御した。
表1に、結果を示す。
実施例1を用いて、ウエハ被研磨面と研磨パッドの接触圧力を表2に示す条件に変更する以外は実施例1と同様にしてそれぞれ研磨試験を行い、研磨速度とディッシングについて評価を行った。
なお、実施例2−1、2−2、比較例2−1、2−2の表面温度は、被研磨面と研磨パッドとの接触圧力を調整することにより制御した。
結果は以下の表2に示した。
実施例1を用いて、有機酸を表3に示す条件に変更する以外は実施例1と同様にしてそれぞれ研磨試験を行い、研磨速度とディッシングについて評価を行った。
なお、実施例3−1、比較例3−1〜3−4の表面温度は、特定窒素含有有機酸の種類により制御した。
結果は以下の表3に示した。
実施例1において研磨粒子の濃度を表4に示す量に変更する以外は実施例1の実施例1−3と同様にして研磨液を調製し、実施例1と同様にそれぞれ研磨試験を行い、研磨速度とディッシングについて評価を行った。
なお、実施例4−1、4−2、比較例4−1、4−2の表面温度は、研磨粒子の含有量を調整することにより制御した。
結果は以下の表4に示した。
12 研磨定盤
13 研磨パッド
14 開口部
16A、16B 放射温度計
22 研磨ヘッド
23 ウエハ
24 金属用研磨液
26 金属用研磨液の供給口
Claims (4)
- 金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する金属研磨方法であって、
該金属用研磨液が、長径と短径の比(平均長径/平均短径)が1.2〜5.0である研磨粒子、2級の窒素原子又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、
該被研磨面と該研磨パッドとの接触圧力が、4000〜12000Paであり、且つ、該被研磨面が接触する該研磨パッド表面の温度、あるいは該被研磨面の温度が、35℃以上、75℃未満の条件で該被研磨面を研磨することを特徴とする金属研磨方法。 - 前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が7000〜10000Paであることを特徴とする請求項1に記載の金属研磨方法。
- 前記研磨粒子の平均長径が、30〜70nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属研磨方法。
- 前記研磨粒子の濃度が、前記金属用研磨液に対して0.1〜1.5重量%であることを
特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属研磨方法。
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