JP2007210868A - ガラス母材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向における屈折率分布の変動を極力低減することができるガラス母材の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るガラス母材の製造方法は、コアロッド2の外周にガラス微粒子堆積体3を形成する際に、バーナ21の原料ガスの流量を調整することにより予め多孔質ガラス母材G2の有効部の外径が下端側から上端側へ向かって次第に大きくなるように形成する。多孔質ガラス母材G2の有効部のうち外径が小さい部位である下端近傍部分A側をヒータ4によって先行して焼結し、その後、下端側から上端側へ向かってヒータ4によって焼結して透明ガラス化させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、ガラス微粒子を堆積させた多孔質ガラス母材を焼結して透明化されたガラス母材とするガラス母材の製造方法に関する。
一般に、コアとクラッドよりなる光ファイバは、光ファイバ用のガラス母材を線引きして製造される。光ファイバ用ガラス母材は、VAD法やOVD法などにより、バーナの火炎中に生成したガラス微粒子を石英等からなるガラスロッドの外周あるいは下側に堆積させて多孔質ガラス母材を形成し、その後、この多孔質ガラス母材を脱水焼結炉内にて加熱して脱水・焼結して透明ガラス化することにより製造される。
また、多孔質ガラス母材を形成する際に、コアの先端位置をレーザにより測定しながら多孔質ガラス母材の引き上げ速度、クラッド部分への原料の供給量を制御し、コア部分とクラッド部分の外径比の軸方向での変動を抑えることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−277097号公報
ところで、多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化する際、先行して焼結する箇所が収縮し、その箇所にガラス微粒子が引き寄せられる傾向がある。
このため、上記技術によって軸方向における外径比の変動を抑えて多孔質ガラス母材を形成しても、焼結して透明ガラス化する際に、先行して焼結された部分におけるクラッド部分とコア部分との比率(クラッド/コア比)が大きくなり、軸方向における屈折率分布に変動が生じ、このガラス母材から線引きして得られた光ファイバの屈折率分布が長手方向で均一にならないことがある。
そこで、本発明は、軸方向における屈折率分布の変動を極力低減することができるガラス母材の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決することのできる本発明のガラス母材の製造方法は、ガラス微粒子を堆積させた多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化する際に、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち外径が小さい部位を先行して焼結することを特徴とする。
また、本発明は、予め多孔質ガラス母材の有効部の外径を一端側から次第に大きくなるように形成しておき、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち外径が小さい一端側から先行して焼結することが好ましい。
さらに、前記多孔質ガラス母材を形成する際に、ガラス微粒子を吹き付けて堆積させるバーナにおける前記ガラス微粒子の原料流量を調整することが好ましい。
また、前記多孔質ガラス母材を形成する際に、ガラス微粒子を吹き付けて堆積させるバーナに対する多孔質ガラス母材の引き上げ速度を調整することが望ましい。
また、上記課題を解決することのできる本発明のガラス母材の製造方法は、ガラス微粒子を堆積させた多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化する際に、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち密度が小さい部位を先行して焼結することを特徴とする。
また、本発明は、予め多孔質ガラス母材の有効部の密度を一端側から次第に大きくなるように形成しておき、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち密度が小さい一端側から先行して焼結することが好ましい。
さらに、前記多孔質ガラス母材を形成する際に、ガラス微粒子を吹き付けて堆積させるバーナにおける少なくとも燃焼性ガスの流量を調整することが好ましい。
本発明のガラス母材の製造方法によれば、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際の収縮によるクラッド/コア比のばらつきを極力減らして、軸方向に均一な屈折率分布を有するガラス母材を得ることができる。また、クラッド/コア比を均一化させることにより、コア部分に添加された屈折率調整用添加物を安定してコア部分に留めることができるため、コアとクラッドの屈折率差も長手方向で均一化して安定する。
以下、本発明に係るガラス母材の製造方法の実施形態の例について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本実施形態に適用する多孔質ガラス母材を示す概略断面図、図2及び図3は本実施形態に係るガラス母材の製造方法を示す概略断面図、図4は長さ方向位置に対するクラッド/コア比を示すグラフ図である。
図1に示すように、この多孔質ガラス母材G1は、その中心にコア部分となるコアロッド2を有し、このコアロッド2の周囲にクラッド部分となるガラス微粒子を堆積させたガラス微粒子堆積体3を有している。
この多孔質ガラス母材G1は、コアロッド2の周囲に、バーナの火炎中に生成したガラス微粒子を吹き付けて堆積させることにより、ガラス微粒子堆積体3を形成するOVD法またはVAD法により形成されたものである。または、比較的短い出発ロッドの下端側にガラス微粒子を堆積させていくVAD法によっても形成できる。
この多孔質ガラス母材G1は、後の加工により製品となる有効部の外径が軸方向に不均一に形成されており、具体的には、上下端部近傍部分A,Bでは外径が相対的に大きく形成され、中央部分Cでは外径が相対的に小さく形成されている。
本実施形態では、このように外径が不均一な多孔質ガラス母材G1を焼結して透明ガラス化する際には、まず、図2に示すように、有効部のうち外径が小さい部位である中央部分Cに焼結炉内のヒータ4が配設された位置まで多孔質ガラス母材G1を下降させ、このヒータ4によって中央部分Cを加熱して焼結させる。
このようにすると、外径が小さい部位である中央部分Cが焼結により収縮することにより、外径が大きい部位である上下端部近傍部分A,Bのガラス微粒子堆積体3が中央部分Cに向かって引き寄せられる。
次いで、多孔質ガラス母材G1を一旦引き上げ、その後、図3に示すように、多孔質ガラス母材G1を下降させてヒータ4によって下端側から上端側へ向かって加熱して焼結させる。
このようにすると、上下端部近傍部分A,Bを含む軸方向全体が焼結され、透明ガラス化されたガラス母材が得られる。
なお、既に焼結した中央部分Cでは、ヒータ4を停止させるかあるいは多孔質ガラス母材G1の移動速度を速めてヒータ4による加熱を抑える。
ここで、図4は、下端から上端へ向かって焼結する一般的な焼結の仕方と本実施形態による焼結の仕方によって中央部分Cが外径の小さな部位とされた多孔質ガラス母材G1を焼結した場合の長さ方向位置に対するクラッド/コア比を示すものである。
下端から上端へ向かって焼結する一般的な焼結の仕方では、図4中符号アで示すように、まず、下端近傍部分Aが焼結されることにより上方側のガラス微粒子堆積体3が引き寄せられてクラッド/コア比が大きくなり、その後、多孔質ガラス母材G1の外径に沿って中央部分Cにて大きく落ち込み、上端近傍部分Bに向かって次第に大きくなるような変動が生じる。
これに対して、本実施形態の焼結の仕方では、図4中符号イで示すように、有効部のうち外径が小さい部位である中央部分Cを先行して焼結することにより、外径が大きい部位である上下端部近傍部分A,Bのガラス微粒子堆積体3が引き寄せられるので、長さ方向に対してクラッド/コア比の変動を低減することができる。
このように、本実施形態によれば、多孔質ガラス母材G1を、有効部のうち外径が小さい部位を先行して焼結することにより、軸方向に対するクラッド/コア比の変動を極力低減させることができ、これにより、軸方向における屈折率分布の変動を抑えることができる。したがって、焼結後の透明ガラス化されたガラス母材から線引きして得られる光ファイバの屈折率分布を長手方向で均一化して安定したものとすることができる。
次に、他の外径寸法の多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化されたガラス母材を製造する場合について説明する。
図5は本実施形態に適用する多孔質ガラス母材を示す概略断面図、図6は均一な外径を有する多孔質ガラス母材を示す概略断面図、図7は長さ方向位置に対するクラッド/コア比を示すグラフ図である。
図5に示すように、この多孔質ガラス母材G2では、有効部のうち予め下端近傍部分Aが相対的に小径とされ、上端近傍部分Bが相対的に大径とされている。そして、この外径が小さい部位である下端近傍部分Aから外径が大きい部位である上端近傍部分Bへ向かって外径が徐々に大きくされている。
そして、上記のような外径に形成された多孔質ガラス母材G2を焼結して透明ガラス化する際には、多孔質ガラス母材G2の下端側にヒータ4を位置させ、このヒータ4によって下端近傍部分A側を加熱して焼結させる。
このようにすると、有効部のうち外径が小さい部位である下端近傍部分Aが焼結により収縮することにより、外径が大きい部位である上端側のガラス微粒子堆積体3が下端近傍部分Aに向かって引き寄せられる。
その後、多孔質ガラス母材G2を下降させることにより、ヒータ4によって下端側から上端側へ向かって加熱して焼結させる。
このようにすると、上下端部近傍部分A,Bを含む軸方向全体が焼結され、透明ガラス化されたガラス母材が得られる。
ここで、図6に示すように、有効部が均一な外径を有する多孔質ガラス母材G3を下端から上端へ向かって焼結すると、ヒータ4によって多孔質ガラス母材G3の下端近傍部分Aが加熱されて焼結する際に、この下端近傍部分Aが収縮し、多孔質ガラス母材G3の上端側のガラス微粒子堆積体3が下端側へ引き寄せられる。
これにより、図7中符号ウで示すように、下端近傍部分Aの付近にて、クラッド/コア比が大きくなり、その後、中央部分へ向かってクラッド/コア比が大きく落ち込み、さらに中央部分から上端近傍部分Bへ向かって次第に小さくなるように変動が生じてしまう。
これに対して、本実施形態の焼結の仕方では、図7中符号エで示すように、有効部のうち外径が小さい部位である下端近傍部分Aを先行して焼結することにより、上端側のガラス微粒子堆積体3が下端近傍部分Aに引き寄せられ、長さ方向に対してクラッド/コア比の変動を低減することができる。
つまり、有効部のうち予め下端近傍部分Aを小径とし、この下端近傍部分Aから上端側へ向かって外径を大きくさせた多孔質ガラス母材G2を、外径が小さい部位である下端側を先行して上端側へ向かって焼結することにより、軸方向に対するクラッド/コア比の変動を極力低減させることができ、これにより、軸方向における屈折率分布の変動を抑えることができる。したがって、焼結後の透明ガラス化されたガラス母材から線引きして得られる光ファイバの屈折率分布を長手方向で均一化して安定したものとすることができる。
次に、有効部のうち予め下端近傍部分Aが小径とされ、上端近傍部分Bが大径とされた上記の多孔質ガラス母材G2を製造する場合の例について説明する。
図8は多孔質ガラス母材の製造装置を示す概略構成図、図9は制御部による制御方法を説明するグラフ図、図10は制御部による他の制御方法を説明するグラフ図である。
図8に示す製造装置11は、いわゆるVAD法により、反応容器12の内側の空間内でコアロッド2に対してガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体3を形成するものである。
反応容器12は、ガラス微粒子を生成して堆積させる際の高温の環境条件においても、塩素ガス等による腐食が極めて起こりにくい、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ニッケル、ニッケル合金等の材料を用いて形成されている。
反応容器12の中には、垂直方向に昇降可能な把持具15が収容されている。この把持具15は、長尺状のコアロッド2の上端を把持して、コアロッド2を垂直方向に支持している。また、把持具15は、その上方で回転引き上げ装置16に接続されている。回転引き上げ装置16は、把持具15及び把持したコアロッド2を、その軸回りに回転させることができる。
反応容器12の中には、ガラス微粒子生成用のバーナ21が設けられている。このバーナ21は、ガスを吹き出す複数のポートを有しており、そのポートからそれぞれ燃焼ガスとガラス原料ガスを吹き出し、燃焼ガスの燃焼により生じる酸水素火炎中において、ガラス原料を加水分解反応させて、ガラス微粒子を生成するものである。なお、燃焼ガスには、水素(H)からなる燃焼性ガスと酸素(O)からなる助燃性ガスが含まれ、ガラス原料ガスには四塩化ケイ素(SiCl)が含まれる。また、バーナ21は、生成したガラス微粒子をコアロッド2に堆積させるように、コアロッド2に向けて斜め上方に傾けて配置されている。なお、バーナ21は複数用いても良い。
バーナ21は、ガス供給装置22からガスを導入するガス管23に接続されており、このガス供給装置22により、バーナ21に供給されるガスの流量が適宜調整される。
また、反応容器12の内側には、非接触式の位置検出装置31が設けられており、ガラス微粒子が堆積しつつあるガラス微粒子堆積体3の位置を検出できるようになっている。位置検出装置31としては、レーザ投受光装置やCCDカメラを使用することができる。また、位置検出装置31は、制御部32と接続されており、ガラス微粒子堆積体3の位置データがこの制御部32に送られる。
また、制御部32は、コアロッド2の回転速度及び引き上げ速度を調節する回転引き上げ装置16に接続されている。そして、この制御部32は、コアロッド2に堆積させるガラス微粒子を所定の堆積量にて堆積させるべく、位置検出装置31からの位置データに基づいて回転引き上げ装置16及びガス供給装置22の動作を制御する。
上記構成の製造装置11では、把持具15によって反応容器12内に吊り下げたコアロッド2を軸回りに回転させながら、上方向に徐々に引き上げ、バーナ21によってガラス微粒子を吹き付ける。
ここで、本実施形態では、制御部32が回転引き上げ装置16及び位置検出装置31の検出結果に基づいてガス供給装置22を制御し、バーナ21から噴射させる原料ガスの流量を制御する。
具体的には、図9に示すように、上端側から下端側へ向かってガラス微粒子を堆積させるにしたがって原料ガスの流量を徐々に減少させていく。
これにより、下端近傍部分Aが相対的に小径とされ、下端側から上端側へ向かって次第に外径が大きくされた前述の多孔質ガラス母材G2(図5参照)を製造することができる。
なお、上記製造装置11によって下端近傍部分Aが小径とされ、上端近傍部分Bが大径とされた多孔質ガラス母材G2を製造する方法としては、原料ガスの流量を調整する方法に限らず、回転引き上げ装置16による引き上げ速度を調整しても良い。
具体的には、図10に示すように、上端側から下端側へ向かってガラス微粒子を堆積させるにしたがって引き上げ速度を徐々に大きくしていく。
これにより、下端近傍部分Aが小径とされ、下端側から上端側へ向かって次第に外径が大きくされた前述の多孔質ガラス母材G2(図5参照)を製造することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、多孔質ガラス母材G1,G2に対して有効部のうち外径が相対的に小さい部位を先行して焼結することにより、軸方向に対するクラッド/コア比の変動の低減を図ったが、有効部のうち密度が小さい部位を先行して焼結しても同様の効果を得ることができる。
例えば、図11に示すように、有効部のうち上下端部近傍部分A,Bにおける密度が相対的に高く、中央部分Cにおける密度が相対的に低い多孔質ガラス母材G4を焼結する場合は以下のように焼結を行う。
まず、密度が小さい部位である中央部分Cに焼結炉内のヒータ4が配設された位置まで多孔質ガラス母材G4を下降させ、このヒータ4によって中央部分Cを加熱して焼結させる。
このようにすると、密度が小さい部位である中央部分Cが焼結により収縮することにより、密度が大きい部位である上下端部近傍部分A,Bのガラス微粒子堆積体3が中央部分Cに向かって引き寄せられる。
次いで、多孔質ガラス母材G4を一旦引き上げ、その後、多孔質ガラス母材G4を下降させることにより、ヒータ4によって下端側から上端側へ向かって加熱して焼結させる。
なお、既に焼結した中央部分Cでは、ヒータ4を停止させるかあるいは多孔質ガラス母材G4の移動速度を速めてヒータ4による加熱を抑える。
このようにすると、上下端部近傍部分A,Bを含む軸方向全体が焼結され、透明ガラス化されたガラス母材が得られる。
上記のように有効部のうち密度が相対的に小さい部位である中央部分Cを先行して焼結することにより、密度が相対的に大きい部位である上下端部近傍部分A,Bのガラス微粒子堆積体3が中央部分Cに向かって引き寄せられ、長さ方向に対してクラッド/コア比の変動を低減することができ、軸方向における屈折率分布の変動を抑えることができる。これにより、焼結後の透明ガラス化されたガラス母材から線引きして得られた光ファイバの屈折率分布を長手方向で均一化して安定したものとすることができる。
また、図12に示すように、有効部のうち下端近傍部分Aが密度の小さい部位とされ、上端近傍部分Bが密度の大きい部位とされた多孔質ガラス母材G5を焼結する場合は、まず、多孔質ガラス母材G5の下端側にヒータ4を位置させ、このヒータ4によって下端近傍部分A側を加熱して焼結させる。
このようにすると、密度が小さい部位である下端近傍部分Aが焼結により収縮することにより、密度が大きい部位である上端側のガラス微粒子堆積体3が引き寄せられる。
その後、多孔質ガラス母材G5を下降させることにより、ヒータ4によって下端側から上端側へ向かって加熱して焼結させる。
このようにすると、上下端部近傍部分A,Bを含む軸方向全体が焼結され、透明ガラス化されたガラス母材が得られる。
そして、上記のように焼結すれば、有効部のうち予め下端近傍部分Aの密度を小さくし、この下端近傍部分Aから上端側へ向かって密度を高くした多孔質ガラス母材G5を、密度が小さい部位である下端側を先行して上端側へ向かって焼結することにより、軸方向に対するクラッド/コア比の変動を極力低減させることができ、これにより、軸方向における屈折率分布の変動を抑えることができる。したがって、焼結後の透明ガラス化されたガラス母材から線引きして得られる光ファイバの屈折率分布を長手方向で均一化して安定したものとすることができる。
次に、有効部のうち予め下端近傍部分Aの密度が小さくされ、上端近傍部分Bの密度が大きくされた上記の多孔質ガラス母材G5を製造する場合について説明する。
図13に、多孔質ガラス母材の製造装置を示す。図13に示すように、この製造装置41では、反応容器12の内側に、非接触式の温度測定装置42が設けられており、ガラス微粒子が堆積しつつあるガラス微粒子堆積体3の堆積面の温度が検出できるようになっている。そして、この温度測定装置42は、制御部32と接続されており、ガラス微粒子堆積体3の温度データがこの制御部32に送られる。
そして、上記構成の製造装置41では、コアロッド2を軸回りに回転させながら、上方向に徐々に引き上げ、バーナ21によってガラス微粒子を吹き付ける際に、制御部32が回転引き上げ装置16及び温度測定装置42の検出結果に基づいてガス供給装置22を制御し、バーナ21から噴射させる燃焼ガスの流量を制御する。
具体的には、図14に示すように、上端側から下端側へ向かって減少する目標堆積面の温度となるように、図15に示すように、少なくとも燃焼ガスのうちの燃焼性ガスである水素(H)の流量を徐々に減少させる。
これにより、酸水素火炎の温度が低下して下端近傍部分Aの密度が小さくされ、上端近傍部分Bの密度が大きくされた前述の多孔質ガラス母材G5(図12参照)を製造することができる。
なお、上記実施形態では、いずれもVAD法によりコアロッド2の外周にガラス微粒子を堆積させる方法により形成した多孔質ガラス母材を用いた場合を例にとって説明したが、本発明は、この方法に限らず、出発ロッドの下端側にコア部分となるガラス微粒子とクラッド部分となるガラス微粒子とをそれぞれバーナによって吹き付けて堆積させて形成した多孔質ガラス母材に適用しても同様の効果を得ることができる。その場合には、コア部分のガラス微粒子堆積体を一定に成長させながら、クラッド部分のガラス微粒子堆積体の外径を小さくしていくか、クラッド部分のガラス微粒子堆積体の密度を小さくしていくとよい。あるいは、コア部分のガラス微粒子堆積体を速く成長させながら、出発ロッドを速く引き上げて、クラッド部分のガラス微粒子堆積体の成長速度を一定にすれば、引き上げ速度を速くした分、クラッド部分のガラス微粒子堆積体の外径が小さくなっていく。
以下の比較例、実施例1及び実施例2にて各多孔質ガラス母材を透明ガラス化して得られたガラス母材の有効部のうち下端から所定寸法毎のクラッド/コア比を求めた。
(比較例)
軸方向にほぼ均一な外径を有する多孔質ガラス母材G3(図6参照)を下端から上端へ向かって焼結して透明ガラス化した。
(実施例1)
下端近傍部分を小径とし、この下端近傍部分から上端側へ向かって外径を大きくさせた多孔質ガラス母材G2(図5参照)を、外径が小さい部位である下端側を先行して上端側へ向かって焼結して透明ガラス化した。
(実施例2)
ガラス微粒子堆積体を形成する際の堆積面の温度を、上端側から次第に低くすることにより、下端近傍部分の密度を小さくし、この下端近傍部分から上端側へ向かって密度を高くした多孔質ガラス母材G5(図12参照)を、密度が小さい部位である下端側を先行して上端側へ向かって焼結して透明ガラス化した。
上記の結果を表1に示す。
Figure 2007210868
表1にて示したように、比較例では、クラッド/コア比が下端から上端へ向かって次第に小さくなり、その変動幅が4.5%となった。これは、下端近傍部分における焼結時に、上端側のガラス微粒子堆積体が引き寄せられて外径変動が生じたことによると考えられる。
これに対して、実施例1,2では、下端から上端に至るまでのクラッド/コア比の変動が抑制され、実施例1にて0.6%、実施例2にて1.6%と極めて小さな変動幅に抑えられた。これは、外径あるいは密度が小さい部位である下端近傍部分を先行して焼結したことにより、上端側のガラス微粒子堆積体が引き寄せられて外径変動が減少されたことによると考えられる。
本実施形態に適用する多孔質ガラス母材を示す概略断面図である。 ガラス母材の製造方法を示す概略断面図である。 ガラス母材の製造方法を示す概略断面図である。 長さ方向位置に対するクラッド/コア比を示すグラフ図である。 本実施形態に適用する多孔質ガラス母材を示す概略断面図である。 均一な外径を有する多孔質ガラス母材を示す概略断面図である。 長さ方向位置に対するクラッド/コア比を示すグラフ図である。 多孔質ガラス母材の製造装置を示す概略構成図である。 制御部による制御を説明するグラフ図である。 制御部による他の制御を説明するグラフ図である。 本実施形態に適用する多孔質ガラス母材を示す概略断面図である。 本実施形態に適用する多孔質ガラス母材を示す概略断面図である。 多孔質ガラス母材の製造装置を示す概略構成図である。 多孔質ガラス母材の製造時における目標温度を示すグラフ図である。 制御部による制御を示すグラフ図である。
符号の説明
2 コアロッド
3 ガラス微粒子堆積体
4 ヒータ
11,41 製造装置
21 バーナ
31 位置検出装置
42 温度測定装置
G1,G2,G3,G4,G5 多孔質ガラス母材

Claims (7)

  1. ガラス微粒子を堆積させた多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化する際に、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち外径が小さい部位を先行して焼結することを特徴とするガラス母材の製造方法。
  2. 予め多孔質ガラス母材の有効部の外径を一端側から次第に大きくなるように形成しておき、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち外径が小さい一端側から先行して焼結することを特徴とする請求項1に記載のガラス母材の製造方法。
  3. 前記多孔質ガラス母材を形成する際に、ガラス微粒子を吹き付けて堆積させるバーナにおける前記ガラス微粒子の原料流量を調整することを特徴とする請求項2に記載のガラス母材の製造方法。
  4. 前記多孔質ガラス母材を形成する際に、ガラス微粒子を吹き付けて堆積させるバーナに対する多孔質ガラス母材の引き上げ速度を調整することを特徴とする請求項2に記載のガラス母材の製造方法。
  5. ガラス微粒子を堆積させた多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化する際に、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち密度が小さい部位を先行して焼結することを特徴とするガラス母材の製造方法。
  6. 予め多孔質ガラス母材の有効部の密度を一端側から次第に大きくなるように形成しておき、前記多孔質ガラス母材の有効部のうち密度が小さい一端側から先行して焼結することを特徴とする請求項5に記載のガラス母材の製造方法。
  7. 前記多孔質ガラス母材を形成する際に、ガラス微粒子を吹き付けて堆積させるバーナにおける少なくとも燃焼性ガスの流量を調整することを特徴とする請求項6に記載のガラス母材の製造方法。
JP2006035556A 2006-02-13 2006-02-13 ガラス母材の製造方法 Active JP4506681B2 (ja)

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