JP2014043360A - 多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体 - Google Patents

多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体 Download PDF

Info

Publication number
JP2014043360A
JP2014043360A JP2012185394A JP2012185394A JP2014043360A JP 2014043360 A JP2014043360 A JP 2014043360A JP 2012185394 A JP2012185394 A JP 2012185394A JP 2012185394 A JP2012185394 A JP 2012185394A JP 2014043360 A JP2014043360 A JP 2014043360A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
glass body
porous glass
burner
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012185394A
Other languages
English (en)
Inventor
Motonori Nakamura
元宣 中村
Tokiko Umemoto
登紀子 梅本
Yugo Kubo
優吾 久保
Tomohiro Ishihara
朋浩 石原
Teruhiko Ito
輝彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2012185394A priority Critical patent/JP2014043360A/ja
Publication of JP2014043360A publication Critical patent/JP2014043360A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

Landscapes

  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)
  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Abstract

【課題】嵩密度が均一で高品質な多孔質ガラス体を製造する方法および多孔質ガラス体を提供する。
【解決手段】
3本以上のガラス微粒子合成用のバーナ13にそれぞれ少なくとも可燃性ガスとガラスの原料ガスを供給してガラス微粒子を生成させ、ターゲットとなるガラスロッド11を軸回りに回転させつつガラスロッド11とバーナ13をガラスロッド11の軸方向に沿って相対的に往復移動させながら、その往復移動の折り返し位置を一定値ずつ変位させつつ、所定位置まで変位させた後に折り返し位置の変位方向を逆にすることで、ガラスロッド11にバーナ13で生成されるガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体Gを形成する。折り返し位置近傍で火炎の温度が下がるようにバーナ13の火炎の条件を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体に関する。
従来、複数本のガラス合成用バーナで構成されたバーナ列と軸回りに回転する棒状の出発ロッドとを相対的に往復運動させ、出発ロッドの表面にバーナで生成したガラス微粒子を吹き付けて層状に堆積させる多バーナ多層付け法(以下、MMD法とも称する)で多孔質ガラス体を製造する方法がある(特許文献1参照)。
特開2006−160551号公報
ところで、特許文献1等に記載される従来のMMD法では、出発ロッドの往復移動の折り返し位置付近において、出発ロッドへのバーナからの火炎の噴き付け時間が長くなり、局所的な温度上昇が生じることがある。すると、局所的な温度上昇が生じた所に堆積されたガラス微粒子はその嵩密度が高くなるため、一層の中での嵩密度にばらつきが生じてしまう。また、MMD法では、多層状にガラス微粒子が堆積されるため、多孔質ガラス体の積層方向(径方向)の嵩密度もばらつきが生じてしまう場合がある。
嵩密度にばらつきが生じた多孔質ガラス体を光ファイバ母材とすべく加熱焼結して透明化処理すると、高嵩密度部分が先に透明化するため、低嵩密度部分に含まれるガスが抜けていくパスが無くなって透明ガラス化できない部分、すなわち、未焼結部分が発生してしまう場合がある。
本発明の目的は、嵩密度が均一で高品質な多孔質ガラス体を製造する方法および多孔質ガラス体を提供することにある。
上記課題を解決することのできる本発明の多孔質ガラス体の製造方法は、3本以上のガラス微粒子合成用のバーナにそれぞれ少なくとも可燃性ガスとガラスの原料ガスを供給してガラス微粒子を生成させ、ターゲットとなるガラスロッドを軸回りに回転させつつ前記ガラスロッドと前記バーナを前記ガラスロッドの軸方向に沿って相対的に往復移動させながら、その往復移動の折り返し位置を一定値ずつ変位させつつ、所定位置まで変位させた後に折り返し位置の変位方向を逆にすることで、前記ガラスロッドに前記バーナで生成されるガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成する多孔質ガラス体の製造方法であって、前記折り返し位置近傍で火炎の温度が下がるように前記バーナの火炎の条件を変更することを特徴とする。
本発明の多孔質ガラス体の製造方法において、前記バーナの火炎の条件を変更する際に、前記バーナへ供給する可燃性ガスの条件を変更することが好ましい。
本発明の多孔質ガラス体の製造方法において、前記バーナの火炎の条件を変更する条件変更範囲を、前記折り返し位置で方向を変更した直後の範囲とすることが好ましい。
本発明の多孔質ガラス体の製造方法において、前記バーナの火炎の条件を変更する条件変更範囲を、前記ガラスロッドの軸方向における前記バーナの配置間隔の1/3を超えない範囲とすることが好ましい。
本発明の多孔質ガラス体は、3本以上のガラス微粒子合成用のバーナにそれぞれ少なくとも可燃性ガスとガラスの原料ガスを供給してガラス微粒子を生成させ、ターゲットとなるガラスロッドを軸回りに回転させつつ前記ガラスロッドと前記バーナを前記ガラスロッドの軸方向に沿って相対的に往復移動させながら前記バーナで生成されるガラス微粒子を堆積させて形成された多孔質ガラス体であって、前記多孔質ガラス体の軸方向に対して垂直な前記多孔質ガラス体の断面において、その断面の各層の断面積に対するガラス微粒子の断面積の割合を充填率とし、充填率の最大値をC1、充填率の最小値をC2としたときに、最大値C1と最小値C2との比C1/C2が1.2以上2.2以下の範囲にあることを特徴とする。
本発明の多孔質ガラス体において、平均嵩密度が0.2g/cm以上1.1g/cm以下であることが好ましい。
本発明の多孔質ガラス体の製造方法によれば、ガラスロッドとバーナとの相対的な往復移動の折り返し位置近傍において、バーナの火炎の温度が下がるように火炎の条件を変更することで、ガラス微粒子の堆積面における局所的な温度上昇を抑制することができる。これにより、嵩密度が均一な高品質の多孔質ガラス体を製造することができる。
そして、このようにして製造された本発明の多孔質ガラス体によれば、例えば、光ファイバ母材とすべく加熱焼結して透明化処理する際に、未焼結部分が生じるような不具合なく均等に焼結されることとなり、高品質な光ファイバ母材とすることができる。
本実施形態の多孔質ガラス体の製造方法に用いる製造装置の概略構成図である。 多孔質ガラス体から取り出したガラス片の断面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
以下、本発明に係る多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る製造方法によって多孔質ガラス体を製造する製造装置を説明する。
図1に示すように、製造装置21は、MMD法(多バーナ多層付け法)によって多孔質ガラス体Gを製造する装置であり、反応容器25を備えている。この反応容器25は、3本以上(本例では8本)のガラス微粒子合成用のバーナ13と、反応容器25内のガスが排出される排気管23とを備えている。
反応容器25には、その上下に、支持棒27を有するトラバース装置29が設けられており、これらのトラバース装置29の支持棒27にガラスロッド11の上下端がそれぞれ支持される。トラバース装置29は、支持棒27に支持されたガラスロッド11を回転させつつ上下に往復移動させる。
複数のバーナ13は、ガラスロッド11の軸方向に沿って一列に配置されている。各バーナ13にはガス供給装置31が接続されており、ガス供給装置31は、バーナ13に原料ガス(SiClなど)、可燃性ガス(H)、助燃性ガス(O)、不活性ガス(N)などの各種のガスを供給する。バーナ13は、ガラスロッド11へ向かって原料ガス及び火炎ガスを噴出し、これにより、軸回りに回転されながら軸方向に沿って上下に往復移動されるガラスロッド11には、火炎加水分解されて生成されるガラス微粒子が堆積される。このようにして、反応容器25内では、ガラスロッド11にガラス微粒子が堆積された円柱状の多孔質ガラス体Gが形成される。なお、排気管23からは所定量のガスが排気され、反応容器25内に浮遊するガラスロッド11に堆積しなかったガラス微粒子が排出される。
製造装置21は、CPUを有した制御装置35を備えている。この制御装置35は、トラバース装置29及びガス供給装置31に接続されており、これらのトラバース装置29及びガス供給装置31へ制御信号を出力する。これにより、トラバース装置29によるガラスロッド11の上下方向へのトラバース速度及びガス供給装置31によるバーナ13へのガスの供給量が制御される。
次に、上記の製造装置21を用いた多孔質ガラス体Gの製造方法について説明する。
まず、支持棒27にガラスロッド11を支持させることにより、反応容器25内にガラスロッド11を配置させる。
次に、トラバース装置29によってガラスロッド11を軸回りに回転させつつ軸方向に沿って上下に往復移動させ、略均等間隔に配置したバーナ13で生成されるガラス微粒子をガラスロッド11の周囲に噴き付けて順次堆積させる。
そして、ガラスロッド11にガラス微粒子を堆積させる際には、トラバース装置29によって、ガラスロッド11の往復移動の折り返し位置を一定値ずつ変位させつつ、ほぼバーナ13の配置間隔分変位させた後に折り返し位置の変位方向を逆にする。このように折り返し位置をずらすのは、同じ位置で折り返すと、折り返し位置での堆積量が増え、外径変動が生じるためである。
このようにして、ガラスロッド11にガラス微粒子を層状に堆積させることで、多孔質ガラス体Gを形成する。
このように製造した多孔質ガラス体が、その製造時の条件によって後工程である焼結工程(透明ガラス化工程)において良好に焼結できず、透明ガラス化できない領域が発生することがある。本発明者は、その原因を調べるため、多孔質ガラス体の微細組織観察により、堆積した各層の充填率分布を詳細に解析した。
(充填率分布の解析)
まず、製造した多孔質ガラス体から輪切り状に一断面を切り出す。その切り出した多孔質ガラス体のガラス片を樹脂で包埋すると、樹脂は、ガラス微粒子間の隙間(空孔部)に入り込む。その後、ガラス片を必要なサイズに加工し、その断面をさらにイオンビーム加工装置で加工することにより、ガラス微粒子部分と樹脂部分の区別なく平坦に加工する。
このようにして得られたガラス片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、図2に示すように、ガラス部分Glと樹脂部分Reとで二次電子発生量に差があるため、コントラスト差のある画像を得ることができる。このように、樹脂で空孔部を充填したガラス片の断面に対して適切な倍率で画像を撮影し、この画像を画像処理ソフトなどでコントラスト差に基づいて2値化処理することでガラスの充填率Cを算出する。
充電率Cとは、輪切り状に切り出された多孔質ガラス体のガラス片の断面において、換言すると、多孔質ガラス体Gの軸方向に対して垂直な多孔質ガラス体の断面において、その断面の各層の断面積に対するガラス微粒子の断面積の割合であり、2値化処理後のガラス部分Glの面積をA、樹脂部分Reの面積をBとすると、充填率C(%)=A/(A+B)×100なる式で表すことができる。
充填率Cの値が高いことは、ガラス片の断面の各層におけるガラス部分の割合が大きいことを意味し、嵩密度も大きいことを意味する。また、充填率Cの値が低いことは、ガラス片の断面の各層におけるガラス部分の割合が小さいことを意味し、嵩密度も小さいことを意味する。
未焼結部分が発生したときと同条件で多孔質ガラス体を製造し、上記の測定方法で充填率Cを測定すると積層ごとに充填率Cが大きく異なることが観察できた。一般に、充填率Cの高いところではより早く中実化が進み、充填率Cの低い部分は中実化が徐々に進む傾向にある。従って、この観察結果から、透明ガラスになる前に充填率Cが高かった部分が先に透明化し、充填率Cが低かった部分に含まれるガスの抜けていくパスがなくなって完全に透明ガラス化できず未焼結部分が発生したものと考えられる。
さらに、本発明者が調査を詳細に進めると、多孔質ガラス体の製造時にバーナとターゲットの相対移動の方向が折り返し位置で反転する際に相対的な移動速度が遅くなるため、折り返し位置近傍での堆積面温度が上昇し、高嵩密度の部分、すなわち、充填率Cが高い部分が生じていたことが確認された。すなわち、ある層内における嵩密度にバラツキが生じていることが分かった。
また、本発明者は、上述のように、得られた多孔質ガラス体の断面方向(積層方向)においても充填率Cのバラツキが生じていたことを確認した。これは、ガラス微粒子を堆積させる際、バーナとターゲットとを相対的に往復運動させ、この往復運動の折り返し位置をずらしながら堆積させるが、各層毎に相対移動の折り返し位置が異なるため、相対移動の折り返し位置における局所的な温度上昇の影響の程度が、断面において層ごとに変化してしまうためと考えられる。
そこで、本発明では特異点である往復移動の折り返し位置である変更点付近でのガラス微粒子合成用のバーナの火炎の条件を温度が下がるように変更することにより、その局所的な温度上昇を回避して充填率のバラツキを抑制しようとするものである。
この充填率のバラツキの抑制の仕方としては、具体的には、以下のような方法がある。
まず、第一に相対往復移動の折り返し位置近傍において、往復とも可燃性ガスである水素の流量を減少させる方法がある。相対的な往復移動の折り返し位置近傍はガラス微粒子堆積面が冷却する前に再度加熱されることになるため、局所的に温度上昇しやすい。そのためガラス微粒子合成時の火炎の温度を抑制するためにバーナへ供給する可燃性ガスである水素の供給量を減らす。このようにすると、ガラスロッド11の往復移動の折り返し位置近傍において、バーナ13の火炎の温度が下げられ、これにより、ガラス微粒子の堆積面における局所的な温度上昇が抑制される。
可燃性ガスの減量範囲としては定常流量の5%〜20%が好ましく、また、10%〜15%の範囲がさらに好ましい。可燃性ガスの5%以下の減量の場合は堆積面の温度変化が小さいため十分な効果が得られず、また、可燃性ガスを20%以上減量すると温度低下効果が大きすぎることや、ガラス微粒子の生成効率に影響を与えてしまい、往復移動の折り返し位置近傍でのガラス微粒子堆積効率に悪影響を及ぼすことがあるため好ましくない。
第二に相対往復移動の折り返し直後のみ可燃性ガスを減量する方法がある。往復移動の折り返し位置近傍においての温度上昇は、往復移動の折り返し後に顕著に発生することから、ガラスロッド11の往復移動の向きを折り返し位置で変更した直後のみ可燃性ガスを減量しても同様の効果を得ることができる。すなわち、可燃性ガスを減量する範囲(条件変更範囲の一例)を、ガラスロッド11の往復移動の向きを折り返し位置で変更した直後のみとしても良い。この第二の方法は、第一の方法に比べ、より短い区間での可燃性ガスの減量で済むため、制御しやすい。
この場合、可燃性ガスの好ましい減量範囲としては定常流量の10%〜30%が好ましく、また、15%〜20%の範囲がさらに好ましい。10%以下の減量の場合は堆積面の温度変化が小さいため十分な効果が得られず、また、30%以上減量すると温度低下効果が大きすぎることや、ガラス微粒子の生成効率に影響を与えてしまうことから往復移動の折り返し位置近傍でのガラス微粒子堆積効率に悪影響を及ぼすことがあるため好ましくない。
さらに、可燃性ガスを減量する範囲(条件変更範囲の一例)は、上記第一、第二の方法のいずれの場合においても、複数本配置したガラス微粒子合成用のバーナの配置間隔の1/3を超えないことが好ましい。この範囲を超えると均一な外径の多孔質ガラス体が得られず、外径が不安定となってしまうためである。
多孔質ガラス体の断面における各層の充填率Cは、1.2以上2.2以下であることが好ましい。充填率が1.2未満であると、その後の焼結工程での未焼結は発生しないものの、多孔質ガラス体のターゲットとなるガラスロッドとの密着性が悪く、また、多孔質ガラス体そのものの強度が不十分となるため、製造装置から取り出す際や、焼結用の焼結炉に導入する際のハンドリングにおいて多孔質ガラス体が破損することがある。また、充填率が2.2より高い場合は多孔質ガラス体の堆積効率が低く、生産性が低くなる。
また、多孔質ガラス体の全体の嵩密度は0.2g/cm〜1.1g/cmの範囲が好ましい。嵩密度が0.2g/cm未満であると、上記同様、その後の焼結工程での未焼結は発生しないものの、多孔質ガラス体のターゲットとなるガラスロッドとの密着性が悪く、また、多孔質ガラス体そのものの強度が不十分となるため、製造装置から取り出す際や、焼結用の焼結炉に導入する際のハンドリングにおいて多孔質ガラス体が破損することがある。また、嵩密度が1.1g/cmより大きい場合は多孔質ガラス体の堆積効率が低く、生産性が低くなる。
このように、上記実施形態に係る多孔質ガラス体の製造方法によれば、ガラスロッド11とバーナ13との相対的な往復移動の折り返し位置近傍において、バーナ13の火炎の温度が下がるように火炎の条件を変更することで、ガラス微粒子の堆積面における局所的な温度上昇を抑制することができる。これにより、一層内における軸方向の嵩密度のバラツキが抑えられ、さらに、径方向の嵩密度のバラツキも抑えられた高品質の多孔質ガラス体Gを製造することができる。
また、このような全体の嵩密度の均一な多孔質ガラス体Gによれば、光ファイバ母材とすべく加熱焼結して透明化処理する際に、未焼結部分が生じるような不具合なく均等に焼結されることとなり、高品質な光ファイバ母材とすることができる。
なお、上記実施形態では、バーナ13の火炎の条件を変更する際に、可燃性ガスである水素の供給量を調整したが、水素の供給量だけでなく助燃性ガスである酸素の供給量を局所的な温度上昇が生じないよう調整しても良い。また、これらの可燃性ガス及び助燃性ガスの供給量の調整とともに、トラバース装置29によるガラスロッド11の回転速度や往復移動速度を併せて調整しても良い。
次に、各種異なる火炎の条件で多孔質ガラス体を製造して評価する。
その評価内容を表1に示す。
Figure 2014043360
(評価方法)
評価用の観察試料作製方法は以下の通りである。
(1)製造した多孔質ガラス体の一部の切り出し
(2)切り出したガラス片をエポキシ系の樹脂に埋め込んで真空脱泡を実施
(3)埋め込んだ樹脂を硬化させた後に形状を加工
(4)クロスセクションポリッシャー(Arイオンビーム加工装置)で多孔質ガラス部分を研磨(場合によってはカーボン、Au、Ptなどの導電性コートを施す)
上記のようにして作製される観察試料を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。なお、SEM画像の2値化後のガラス部分Glの面積をA、樹脂部分Reの面積をBとしたとき、断面の各層の充填率C=A/(A+B)の最大値C1と最小値C2の比(C1/C2)が1.2以上2.2以下の範囲であれば良好なガス透過性能を示し、焼結プロセスにおいても未焼結で白濁する現象が見られず、好ましい。
(評価対象の多孔質ガラス体)
ガラス微粒子合成用のバーナを5本用い、バーナの間隔を160mmに設置して多孔質ガラス体を作製する。バーナとガラスロッドとの相対移動はガラスロッドを上下方向に往復移動させることによって行い、1回の一方向への移動距離はバーナの間隔とし、折り返し位置を20mmずつ移動させて折り返し位置が160mmずれたところで折り返し位置を反対方向に変位させ始め、折り返し位置が最初の位置に戻ったところで折り返し位置を再度反対方向に変位させることを繰り返すことによって、ガラス微粒子の堆積を行う。
バーナには原料としてSiClを3リットル/分、酸素は80リットル/分供給し、水素は各条件で流量を変えながら、多孔質ガラス体の成長に従って増量する。
(バーナの火炎条件及び評価内容)
(実施例1)
相対往復移動速度150mm/分で、水素を50〜100リットル/分(初期は50リットル/分とし、多孔質ガラス体の成長に従って増量し、最終的に100リットル/分とする)、折り返し位置±25mmの範囲は、水素の流量を設定値対比10%減量して局所的な温度上昇を抑制する条件とする。
このときの平均嵩密度は0.5g/cmであり、多孔質ガラス体は十分な強度を有している。多孔質ガラス体の中央部の最表層の部分をサンプリングし、樹脂埋めからSEM観察までの一連の方法で断面から微細組織を確認し、積層ごとの多孔質ガラスの充填率Cを確認すると、最大値C1が26.1%、最小値C2が17.8%であり、その比C1/C2は1.5となる。同条件で作製した多孔質ガラス体を、高温で保持した炉で熱処理して焼結すると、焼け残りや気泡のない良好な透明ガラス体を得ることができる。
(実施例2)
相対往復移動反転位置から折り返し後のみ32mmの範囲で水素の流量を20%減量するほかは実施例1と同様に多孔質ガラス体を作製する。
このときの平均嵩密度は0.55g/cmであり、多孔質ガラス体は十分な強度を有する。多孔質ガラス体の中央部の最表層の部分をサンプリングし、樹脂埋めからSEM観察までの一連の方法で断面から微細組織を確認し、積層ごとの多孔質ガラスの充填率Cを確認すると、最大値C1が28.1%、最小値C2が20.3%であり、その比C1/C2は1.38(表1では四捨五入した値の1.4)となる。この多孔質ガラス体を、高温で保持した炉で熱処理して焼結すると、焼け残りや気泡のない良好な透明ガラス体を得ることができる。
(実施例3)
相対往復移動速度を100mm/分、水素の供給量を実施例1の条件より少し多い60〜110リットル/分(初期は60リットル/分とし、多孔質ガラス体の成長に従って増量し、最終的に110リットル/分とする)とし、ほかは実施例1と同様にして多孔質ガラス体を作製する。
このときの平均嵩密度は0.61g/cmであり、多孔質ガラス体は十分な強度を有する。多孔質ガラス体の中央部の最表層の部分をサンプリングし、樹脂埋めからSEM観察までの一連の方法で断面から微細組織を確認し、積層ごとの多孔質ガラスの充填率Cを確認すると、最大値C1が35.7%、最小値C2が15.9%であり、その比C1/C2は2.2となる。この多孔質ガラス体を、高温で保持した炉で熱処理して焼結すると、焼け残りや気泡のない良好な透明ガラス体を得ることができる。
(実施例4)
相対往復移動速度を300mm/分、水素の供給量を実施例1の条件より少し少ない30〜80リットル/分(初期は30リットル/分とし、多孔質ガラス体の成長に従って増量し、最終的に80リットル/分とする)とし、ほかは実施例1と同様にして多孔質ガラス体を作製する。
このときの平均嵩密度は0.32g/cmであり、多孔質ガラス体は十分な強度を有する。多孔質ガラス体の中央部の最表層の部分をサンプリングし、樹脂埋めからSEM観察までの一連の方法で断面から微細組織を確認し、積層ごとの多孔質ガラスの充填率Cを確認すると、最大値C1が18.0%、最小値C2が14.5%であり、その比C1/C2は1.2となる。この多孔質ガラス体を、高温で保持した炉で熱処理して焼結すると、焼け残りや気泡のない良好な透明ガラス体を得ることができる。
(実施例5)
相対往復移動速度を100mm/分、水素の供給量を実施例3の条件より多い70〜130リットル/分(初期は70リットル/分とし、多孔質ガラス体の成長に従って増量し、最終的に130リットル/分とする)とし、水素の流量の減量を15%とするほかは実施例2と同様にして多孔質ガラス体を作製する。
このときの平均嵩密度は0.85g/cmであり、多孔質ガラス体は十分な強度を有する。多孔質ガラス体の中央部の最表層の部分をサンプリングし、樹脂埋めからSEM観察までの一連の方法で断面から微細組織を確認し、積層ごとの多孔質ガラスの充填率Cを確認すると、最大値C1が55.0%、最小値C2が27.3%であり、その比C1/C2は2.0となる。この多孔質ガラス体を、高温で保持した炉で熱処理して焼結すると、焼け残りや気泡のない良好な透明ガラス体を得ることができる。
(比較例1)
相対移動の折り返し位置に関わらず、水素流量の調整を実施せず、水素の供給量を60〜110リットル/分(初期は60リットル/分とし、多孔質ガラス体の成長に従って増量し、最終的に110リットル/分とする)とし、多孔質ガラス体を作製する。
このときの平均嵩密度は0.60g/cmであり、実施例3とほぼ同一の密度であり、また多孔質ガラス体は十分な強度を有する。多孔質ガラス体の中央部の最表層の部分をサンプリングし、樹脂埋めからSEM観察までの一連の方法で断面から微細組織を確認し、積層ごとの多孔質ガラスの充填率Cを確認すると、最大値C1が40.1%、最小値C2が14.9%であり、その比C1/C2は2.69(表1では四捨五入した値の2.7)となる。この多孔質ガラス体を、高温で保持した炉で熱処理して焼結すると、わずかに焼け残りや気泡が発生する。
(比較例2)
折り返し位置から水素流量を変更する範囲を±35mm(すなわち、70mm)とするほかは実施例1と同様にして多孔質ガラス体を作製する。
このようにして作製される多孔質ガラス体では、焼結を行っても焼け残りはないものの外径変動が大きく外径が安定しない。
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
11:ガラスロッド、13:バーナ、C:充填率、C1:充填率の最大値、C2:充填率の最小値、G:多孔質ガラス体

Claims (6)

  1. 3本以上のガラス微粒子合成用のバーナにそれぞれ少なくとも可燃性ガスとガラスの原料ガスを供給してガラス微粒子を生成させ、ターゲットとなるガラスロッドを軸回りに回転させつつ前記ガラスロッドと前記バーナを前記ガラスロッドの軸方向に沿って相対的に往復移動させながら、その往復移動の折り返し位置を一定値ずつ変位させつつ、所定位置まで変位させた後に折り返し位置の変位方向を逆にすることで、前記ガラスロッドに前記バーナで生成されるガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成する多孔質ガラス体の製造方法であって、
    前記折り返し位置近傍で火炎の温度が下がるように前記バーナの火炎の条件を変更することを特徴とする多孔質ガラス体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の多孔質ガラス体の製造方法であって、
    前記バーナの火炎の条件を変更する際に、前記バーナへ供給する可燃性ガスの条件を変更することを特徴とする多孔質ガラス体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の多孔質ガラス体の製造方法であって、
    前記バーナの火炎の条件を変更する条件変更範囲を、前記折り返し位置で方向を変更した直後の範囲とすることを特徴とする多孔質ガラス体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の多孔質ガラス体の製造方法であって、
    前記バーナの火炎の条件を変更する条件変更範囲を、前記ガラスロッドの軸方向における前記バーナの配置間隔の1/3を超えない範囲とすることを特徴とする多孔質ガラス体の製造方法。
  5. 3本以上のガラス微粒子合成用のバーナにそれぞれ少なくとも可燃性ガスとガラスの原料ガスを供給してガラス微粒子を生成させ、ターゲットとなるガラスロッドを軸回りに回転させつつ前記ガラスロッドと前記バーナを前記ガラスロッドの軸方向に沿って相対的に往復移動させながら前記バーナで生成されるガラス微粒子を堆積させて形成された多孔質ガラス体であって、
    前記多孔質ガラス体の軸方向に対して垂直な前記多孔質ガラス体の断面において、その断面の各層の断面積に対するガラス微粒子の断面積の割合を充填率とし、充填率の最大値をC1、充填率の最小値をC2としたときに、最大値C1と最小値C2との比C1/C2が1.2以上2.2以下の範囲にあることを特徴とする多孔質ガラス体。
  6. 請求項5に記載の多孔質ガラス体であって、
    平均嵩密度が0.2g/cm以上1.1g/cm以下であることを特徴とする多孔質ガラス体。
JP2012185394A 2012-08-24 2012-08-24 多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体 Pending JP2014043360A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012185394A JP2014043360A (ja) 2012-08-24 2012-08-24 多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012185394A JP2014043360A (ja) 2012-08-24 2012-08-24 多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014043360A true JP2014043360A (ja) 2014-03-13

Family

ID=50394921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012185394A Pending JP2014043360A (ja) 2012-08-24 2012-08-24 多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014043360A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018131338A (ja) * 2017-02-13 2018-08-23 古河電気工業株式会社 光ファイバ多孔質母材の製造方法及び製造装置
WO2019240232A1 (ja) * 2018-06-15 2019-12-19 住友電気工業株式会社 ガラス微粒子堆積体の製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03228845A (ja) * 1990-02-01 1991-10-09 Shin Etsu Chem Co Ltd 光ファイバプリフォーム母材の製造方法
JPH10114535A (ja) * 1996-08-13 1998-05-06 Sumitomo Electric Ind Ltd 光ファイバ母材の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03228845A (ja) * 1990-02-01 1991-10-09 Shin Etsu Chem Co Ltd 光ファイバプリフォーム母材の製造方法
JPH10114535A (ja) * 1996-08-13 1998-05-06 Sumitomo Electric Ind Ltd 光ファイバ母材の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018131338A (ja) * 2017-02-13 2018-08-23 古河電気工業株式会社 光ファイバ多孔質母材の製造方法及び製造装置
WO2019240232A1 (ja) * 2018-06-15 2019-12-19 住友電気工業株式会社 ガラス微粒子堆積体の製造方法
JPWO2019240232A1 (ja) * 2018-06-15 2021-06-24 住友電気工業株式会社 ガラス微粒子堆積体の製造方法
JP7276335B2 (ja) 2018-06-15 2023-05-18 住友電気工業株式会社 ガラス微粒子堆積体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1988062B1 (en) Device and method for manufacturing an optical preform
CN108349780B (zh) 光纤用玻璃母材的制造方法
JP2006193370A (ja) 光ファイバ母材及びその製造方法
EP1295854A2 (en) Method for producing a glass soot preform for optical fibres by vapour phase deposition
JP2014043360A (ja) 多孔質ガラス体の製造方法および多孔質ガラス体
JP2007269527A (ja) 光ファイバ母材の製造方法および多孔質ガラス母材の脱水条件の決定方法
US20110059837A1 (en) Method for producing synthetic quartz glass
JP4690979B2 (ja) 光ファイバ母材の製造方法
JP6441152B2 (ja) 多孔質ガラス母材の製造方法
KR102569042B1 (ko) 유리 미립자 퇴적체의 제조 방법, 유리 모재의 제조 방법 및 유리 미립자 퇴적체
WO2006080294A1 (ja) 光ファイバ用石英ガラス母材およびその製造方法
US9260338B2 (en) Porous glass body and method for producing glass preform
JP2019064897A (ja) 光ファイバ用多孔質ガラス堆積体の製造方法
EP1440949B1 (en) Method for producing optical fiber base material
JP6545925B2 (ja) 光ファイバ用ガラス母材の製造方法
EP3354627A1 (en) Method of producing porous quartz glass preform
JP2009114045A (ja) 光ファイバ用ガラス母材の製造方法
JP2014047131A (ja) 多孔質ガラス体及びガラス母材の製造方法
US6923021B2 (en) Method and apparatus for fused silica production
JP2004269285A (ja) ガラス微粒子堆積体の製造法
JP4506681B2 (ja) ガラス母材の製造方法
JP3960714B2 (ja) 光ファイバ用ガラス母材の製造方法
JP2003286033A (ja) ガラス微粒子堆積体の製造方法及び製造装置
JP6097892B2 (ja) 光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法
JP2007153678A (ja) 石英ガラス多孔質母材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160426

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160622

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161004