JP2007207890A - 処理装置及び露光装置、並びに処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化・重量化を招くことなく、ウエハホルダの温度を安定化する。
【解決手段】 ウエハホルダWHにウエハWが載置されていないとき、液体付着装置により、ウエハホルダの吸着部に、ノズルユニット12から吐出された液滴が付着させられる。このとき、ウエハホルダWHが加熱されていると、その液滴が蒸発(気化)する際にウエハホルダから気化熱を奪い、ウエハホルダが冷却される。従って、液体を用いるにもかかわらず、液体を冷やすために他の部分に高温の部分を作る必要がなく、しかも保持装置も液体冷却系を載せる必要もないのでその大型化・重量化を招くことなく、ウエハホルダの温度を安定化することが可能になる。
【選択図】図4
【解決手段】 ウエハホルダWHにウエハWが載置されていないとき、液体付着装置により、ウエハホルダの吸着部に、ノズルユニット12から吐出された液滴が付着させられる。このとき、ウエハホルダWHが加熱されていると、その液滴が蒸発(気化)する際にウエハホルダから気化熱を奪い、ウエハホルダが冷却される。従って、液体を用いるにもかかわらず、液体を冷やすために他の部分に高温の部分を作る必要がなく、しかも保持装置も液体冷却系を載せる必要もないのでその大型化・重量化を招くことなく、ウエハホルダの温度を安定化することが可能になる。
【選択図】図4
Description
本発明は、処理装置及び露光装置、並びに処理方法に係り、更に詳しくは、エネルギビームを照射して物体を処理する処理装置及び該処理装置を備える露光装置、並びにエネルギビームを照射して物体を処理する処理方法に関する。
半導体製造用リソグラフィ技術はMooreの法則に対応するために、微細化を続けてきた。微細化の流れの中で、リソグラフィにより転写されるパターンの線幅が縮小するにつれて、異なる層間の重ね合わせ精度も厳しくなっている。LSIなどの層間の良好な重ね合わせ精度を得るためには、露光時のウエハなどの感光物体(以下、「ウエハ」と呼ぶ)の温度を一定に維持してウエハの温度変化による伸縮を防ぐ必要がある。特に、超高圧水銀ランプを光源とする露光装置、例えばi線露光装置などでは、露光パワーが大きく、ウエハが加熱される。しかるに、ウエハは、交換されるので、大きな熱量が蓄積されるおそれはないが、このウエハを真空吸着等により移動ステージ上で保持するウエハホルダには、露光の進行と共に大きな熱量が蓄積されるおそれがあり、結果的にそのウエハホルダ上にロードされるウエハの熱膨張を招くおそれがある。従って、ウエハホルダの温度を安定化させる機構は、露光装置にとって必須である。
このような理由により、従来においても、i線露光装置などでは、ウエハホルダに、温度安定化した液体を流して冷却することで、ウエハホルダの温度を安定化し、ウエハホルダと接触するウエハの温度を安定化することがなされていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、 従来のi線露光装置などでは、ウエハホルダ又は該ウエハホルダが搭載されたステージなどの可動部に温度制御用の液体を流すための配管を接続する必要があったことから、その配管の張力などがステージの移動を妨げる外乱要因となり、ステージの精密な位置決めを妨害するおそれがあった。
また、液体冷却系をステージに載せたことにより、ウエハホルダを含むステージ可動部の重量が増し、該可動部の高速位置決めを行うのに不利な条件を作り出していた。すなわち、より大重量のステージ可動部を動かすために、より強いモータを必要とし、強いモータの可動部はより大重量になるのでより強力なモータを必要とするという負の連鎖が起こっていた。
また、従来の液体を用いたウエハホルダの冷却では、その液体を冷やすために他の部分に高温の部分を作り出す。この高温の部分を冷やすために更に別の冷却系を用いる必要があるので、装置が複雑になる。また、高温の部分が装置の他の部分に影響を与えるのを防ぐための対策も求められる。このように従来のi線露光装置では、ウエハホルダの冷却のため、液体を用いた温度安定化の系を使うことにより露光装置全体のエネルギ効率も低下していた。
上述と同様の問題は、程度の差こそあれ、ArF又はKrFエキシマレーザを光源とする露光装置などであっても生じ得る。
本発明は、第1の観点からすると、エネルギビームを照射して物体を処理する処理装置であって、物体が載置され、該載置された物体を吸着する吸着部を有する保持装置と;液滴吐出口が複数形成されたノズル部材を有し、前記物体が載置されていないとき、前記保持装置の前記吸着部に前記ノズル部材の少なくとも1つの液滴吐出口から吐出された液滴を付着させる液体付着装置と;を備える第1の処理装置である。
ここで、ノズル部材とは、一般的な意味のノズル、すなわち筒状の先端の細穴から流体を噴出させる装置に限らず、液滴吐出口が複数形成された部材であれば良く、液滴吐出口の形状はノズル状に限らず如何なる形状であっても良いし、ノズル部材そのものの形状も問わない。要は、ノズル部材は、複数の吐出口から液滴を個別に又は同時に吐出できるものであれば良い。本明細書では、このような意味でノズル部材という用語を用いるものとする。
これによれば、保持装置に物体が載置されていないとき、液体付着装置により、その保持装置の吸着部に、ノズル部材の少なくとも1つの液滴吐出口から吐出された液滴が付着させられる。このとき、保持装置が加熱されていると、その液滴が蒸発(気化)する際に保持装置から気化熱を奪い、保持装置が冷却される。従って、液体を用いるにもかかわらず、液体を冷やすために他の部分に高温の部分を作る必要がなく、しかも保持装置も液体冷却系を載せる必要もないのでその大型化・重量化を招くことなく、保持装置の温度を安定化することが可能になる。
この場合において、前記吸着部は、前記物体を真空吸着することとしても良い。かかる場合には、保持装置上に物体が載置され、吸着部によりその物体の真空吸着が開始されると、吸着部と物体との間の空間が真空状態となって、吸着部に付着した液滴の気化(蒸発)が促進される。より短時間に保持装置が冷却される。
本発明は、第2の観点からすると、エネルギビームが照射される物体を保持する保持装置と;液滴吐出口が複数形成されたノズル部材を有し、前記保持装置に保持された前記物体に前記ノズル部材の少なくとも1つの液滴吐出口から吐出された液滴を付着させる液体付着装置とを備える第2の処理装置である。
これによれば、液体付着装置により、保持装置に保持された物体にノズル部材の少なくとも1つの液滴吐出口から吐出された液滴が付着させられる。このとき、物体が加熱されていると、その液滴が蒸発(気化)する際に物体から気化熱を奪い、物体が冷却される。従って、液体を用いるにもかかわらず、液体を冷やすために他の部分に高温の部分を作る必要がなく、しかも保持装置も液体冷却系を載せる必要もないのでその大型化・重量化を招くことなく、物体の温度を安定化することが可能になる。
本発明は、第3の観点からすると、本発明の第1及び第2の処理装置のいずれかを備え、前記エネルギビームを照射して前記物体を露光する露光装置である。
これによれば、保持装置の温度上昇に起因する物体の必要以上の温度上昇を防止することができるので、保持装置に保持された物体の熱膨張に起因する露光精度(重ね合わせ精度)の劣化を防止することが可能になる。
本発明は、第4の観点からすると、エネルギビームを照射して物体を処理する処理方法であって、吸着部を有する保持装置に物体が載置されていないとき、前記保持装置の前記吸着部に液滴を付着させる工程を含む処理方法である。
これによれば、保持装置に物体が載置されていないとき、その保持装置の吸着部に液滴が付着させられる。このとき、保持装置が加熱されていると、その液滴が蒸発(気化)する際に保持装置から気化熱を奪い、保持装置が冷却される。
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図9(B)に基づいて説明する。
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図9(B)に基づいて説明する。
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)である。この露光装置100は、照明系10、レチクルRを保持するレチクルホルダRH、投影光学系PL、ウエハWが搭載されるステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。
前記照明系10は、例えば特開平2−50417号公報(対応する米国特許第4,931,830号明細書)などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、リレーレンズ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。この照明系10では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定された矩形、例えば正方形の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。
ここで、光源としては、超高圧水銀ランプが用いられ、該超高圧水銀ランプから出力される紫外域の輝線、具体的にはi線(波長365nm)が照明光ILとして用いられる。また、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを用いることができる。
なお、照明光ILとしては、超高圧水銀ランプからの紫外域のその他の輝線(g線など)は勿論、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光を用いても良い。
前記レチクルホルダRH上には、レチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルホルダRHは、例えば不図示のボイスコイルモータ等によって、照明系10の光軸(投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能である。
レチクルホルダRHのXY面内の位置(Z軸回りの回転(θz回転)を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。なお、例えば、レチクルホルダRHの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡15の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクル干渉計16に代えて、エンコーダなどでレチクルホルダRHのXY面内の位置を計測しても良い。
レチクル干渉計16からのレチクルホルダRHの位置情報はステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。
前記投影光学系PLは、レチクルホルダRHの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックで所定の縮小倍率(例えば1/5又は1/4)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRのパターン領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してレチクルRのパターン領域内の回路パターンの縮小像が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。
前記ステージ装置50は、ウエハステージWST、該ウエハステージWST上に設けられたウエハホルダWH、これらウエハステージWST及びウエハホルダWHを駆動するウエハステージ駆動系24等を備えている。ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方に配置され、その底面に設けられた気体静圧軸受、例えばエアベアリングによって、不図示のベースの上面の上方に非接触で支持されている。このウエハステージWSTは、リニアモータ及びボイスコイルモータなどを含むウエハステージ駆動系24によってX軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、XY面に直交するZ軸方向及び回転方向(X軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)及びZ軸回りの回転方向(θz方向))に微小駆動される。
このように、本実施形態では、ウエハステージWSTが6自由度で駆動可能な単一のステージであるものとしたが、これに限らず、XY面内で自在に移動可能なXYステージと、該XYステージ上でZ,θx,θyの3自由度方向で駆動されるテーブルとによってウエハステージWSTを構成しても勿論良い。
ウエハステージWST上に搭載されたウエハホルダWHの構成については、後に詳述する。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置(Z軸回りの回転(θz回転)を含む)は、ウエハステージWSTの上面に設けられた移動鏡17を介して、ウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、ウエハステージWST上には、例えば図2の平面図に示されるように、X軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡17XとY軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡17Yとが設けられ、これに対応してウエハ干渉計もX移動鏡17Xに垂直に干渉計ビームを照射するX干渉計と、Y移動鏡17Yに垂直に干渉計ビームを照射するY干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハ干渉計18として示されている。なお、ウエハX干渉計及びウエハY干渉計は、ともに測長軸を複数有する多軸干渉計であり、これらの干渉計によって、ウエハステージWSTのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。なお、例えば、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡17X、17Yの反射面に相当)を形成しても良い。
ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19では、主制御装置20の指示に応じ、ウエハステージWSTの上記位置情報(又は速度情報)に基づき、ウエハステージ駆動系24を介してウエハステージWSTを制御する。
前記ウエハホルダWHは、低熱膨張率の材料、例えばセラミックス(一例としてはショット社のゼロデュア(商品名))等によって構成されている。このウエハホルダWHは、例えばピンチャックホルダであり、図2に示されるように、その外観が所定肉厚の円形板状の本体部26、該本体部26の上面(図2における紙面手前側の面)の外周部近傍の所定幅の環状領域を除く中央部の所定面積の領域に所定の間隔で設けられた複数の突起状のピン部32,32,……、これら複数のピン部32が配置された前記領域を取り囲む状態で外周縁近傍に設けられた環状の凸部(以下、「リム部」と称する)28等を備えている。
ウエハホルダWHの本体部26は、全体として円形板状のセラミックス材料の表面をエッチングすることによって、ベース部64と、このベース部64上面に凸設されたリム部28及び複数のピン部32が一体的に形成されている。
前記リム部28は、その外径がウエハWの外径よりも僅かに小さく、例えば1〜2mm程度小さく設定され、その上面は、ウエハWが載置された際に、ウエハWの裏面との間に隙間が生じないよう、水平且つ平坦に加工されている。リム部28のベース部64上面からの高さ寸法は、0.01〜0.3mm程度とされている。
前記ピン部32は、それぞれの先端部分がリム部28とほぼ同一面上に位置するようにされた突起状の形状を有している。これらピン部32は、図2に示されるように、Y軸方向に対して±30°を成す2軸方向に沿って一定間隔L(Lは例えば3mm)で配置されている。すなわち、ピン部32は、近接する3本が、正三角形の頂点にそれぞれ位置する配置となっている。
このようにして構成されるウエハホルダWHの本体部26では、その製造段階において、前述の如く、ベース部64、ピン部32及びリム部28を一体成形した後に、最終的にウエハWとの接触面となる、複数のピン部32の上端面及びリム部28の上面に、研磨装置、砥粒等を用いて、研磨加工が施されている。この結果、それらの複数のピン部32の上端面とリム部28の上面とはほぼ同一平面上に位置している。
本体部26の中央部近傍には、図2に示されるように、ほぼ正三角形の各頂点の位置に上下方向(図2における紙面直交方向)の3つの貫通孔(図2では不図示)が、ピン部32と機械的に干渉しない状態で形成されている。これらの貫通孔それぞれには、円柱形状を有する上下動ピン(センタアップ)34a,34b,34cがそれぞれ挿入され、これら3つのセンタアップ34a〜34cは、図1のウエハステージ駆動系24を構成する不図示の上下動機構を介して、上下方向(Z軸方向)に同時に同一量だけ、昇降自在となっている。後述するウエハロード、ウエハアンロード時には、センタアップ34a〜34cが上下動機構により駆動されることで、3本のセンタアップ34a〜34cによってウエハWを下方から支持したり、ウエハWを支持した状態で上下動させたりする。
また、本体部26の上面には、図2に示されるように、複数の排気口36が、本体部26上面の中心部近傍から放射方向(ほぼ120°の中心角の間隔を有する3つの半径の方向)に沿って、所定間隔で形成されている。これらの排気口36も、ピン部32と機械的に干渉しない位置に形成されている。各排気口36は、図2のA−A線断面を示す図3に排気路38Aを代表的に採り上げて示されるように、本体部26内部に形成された排気路38A,38B,38Cのいずれかにそれぞれ連通している。また、図示は省略されているが、排気路38A,38B,38Cは、相互に連通され、このうちの排気路38Aは本体部26の外周面に接続された排気管40の一端と連通し、該排気管40の他端には真空排気機構90が接続されている。
真空排気機構90は、排気管40の他端近傍に設けられた電磁弁V、該電磁弁Vを介して排気管40の他端にその一側が接続された真空室46Aと、該真空室46Aの他側に接続された真空ポンプ46Bとを含む。また、図2では図示が省略されているが、排気管40の一部には、排気管40内部の気圧を計測するための気圧計30(図5参照)が接続されている。この気圧計30による計測値は、主制御装置20に供給されている(図5参照)。主制御装置20は、気圧計による計測値とウエハのロード、アンロードの制御情報とに基づいて、電磁弁Vの開閉と、真空ポンプ46Bの作動・停止とを制御する。例えば、電磁弁Vが開状態に設定され、かつ真空ポンプ46Bが作動されると、排気管40の内部が減圧され、これにより排気路38A,38B,38C、排気口36を介して、図3に示されるように、ウエハホルダWH上に載置されたウエハWとウエハホルダWHとの間の空間(ピン部32が設けられた本体部26上面のリム部28で囲まれた空間)が大気圧に比べて負圧となり、複数のピン部32及びリム部28によって下方から支持されたウエハWが、複数のピン部32及びリム部28それぞれの上端面(上端部)に対して吸着保持される。一方、電磁弁Vが閉じられる、あるいは真空ポンプの作動が停止されると、排気管40の内部の減圧状態が解消され、結果的に上述のウエハWの吸着が解除される。上述のように、本実施形態では、本体部26上面のリム部28で囲まれた空間及びその内部に設けられた多数のピン部によってウエハWを真空吸着する吸着部としてのチャック部が構成されるので、以下では、便宜上そのチャック部をチャック部26’と記述する(図2参照)。
さらに、ウエハホルダWHの本体部26の底面には、温度センサ22が固定され、該温度センサ22は、図3に示されるように、ウエハステージWSTの上面に形成された所定深さの凹部14内に収容されるようになっている。温度センサ22の計測値は、主制御装置20に供給されるようになっている(図5参照)。
本実施形態では、投影光学系PLの位置から−Y側(図1における紙面手前側)に所定距離隔てた位置に、ウエハの交換位置、すなわちウエハのアンロード位置かつウエハのロード位置が設けられている。
図4には、上記のウエハ交換位置にあるウエハステージWSTとその周辺の部材が示されている。この図4において、ウエハ交換位置の上方の近傍には、アンロード部材42が位置している。このアンロード部材は、Y軸方向に沿って配置された搬送レール44に沿って移動可能なスライダ48の下端面に固定されている。このアンロード部材42は、スライダ48の下端面に固定されたブロック部と、該ブロック部の−X側(図4における紙面奥側)の面に突設されたU字状のアーム部材から成るアンロードアームとを有している。以下では、説明の便宜上、アンロードアームをアンロード部材42と同一の符号を用いて、アンロードアーム42と記述する。
上記スライダ48には、Y軸方向に貫通する矩形の開口が形成され、該開口の内部に断面矩形の搬送レール44が挿入された状態で、スライダ48が搬送レール44に取り付けられている。スライダ48の開口の内部には、複数の永久磁石がY軸方向に所定間隔で設けられ、該永久磁石とともにムービングマグネット型のリニアモータを構成する複数のコイルが、搬送レール44にY軸方向に所定ピッチで設けられている。すなわち、そのムービングマグネット型のリニアモータによって、アンロードアーム42が、図7に示される第1位置と図8に示される外部に対するウエハの受け渡し位置である第2位置との間で往復駆動される。以下では、上記のムービングマグネット型のリニアモータをその可動子を構成するスライダ48と同一の符号を用いてリニアモータ48と記述する。
アンロードアーム42上面及びスライダ48の+Y側の端面には、Y軸方向に延びる取付部材21が固定されており、該取付部材21の先端には、カセット容器23とノズルユニット12とが一体的に固定されている。カセット容器23内には、所定量の水を収容可能である。前記ノズルユニット12は、X軸方向を長手方向と直方体状の外形を有し、その下面(−Z側の面)には、複数の液滴吐出口(ノズルとも呼ばれる)がマトリクス状の配置で形成されている。このノズルユニット12は、いわゆるインクジェット方式のプリンタで用いられている、ピエゾ方式のライン型インクジェットヘッドと同様に構成されている。本実施形態では、一例として、吐出幅(液滴吐出口が配置されている領域の全長)が約300mm、液滴吐出口の数が7968個、液滴吐出口のピッチが0.0423mm、吐出最大繰り返し周波数20kHzなどの仕様のノズルユニット12が用いられている。
上記スライダ48の−Y側の端面には、エンコーダのヘッド62が設けられ、該ヘッドとともにリニアエンコーダを構成するスケールが搬送レール44に設けられている。以下では、このリニアエンコーダをヘッド62と同じ符号を用いてリニアエンコーダ62と記述する。このリニアエンコーダ62の計測値は、主制御装置20に供給されている(図5参照)。主制御装置20は、このリニアエンコーダ62の計測値に基づいて、リニアモータ48を制御することで、アンロードアーム42と一体的にノズルユニット12の移動を制御する。
搬送レール44の−Y側の端部近傍には、外部へのウエハの受け渡しステーション52が配置され、該受け渡しステーション52の上方に、タンク54が配置され、このタンク54の内部には、冷却用の液体、本実施形態では水(純水)Lqが貯められている。このタンク54には、パイプを介して補給ユニット56が接続されている。補給ユニット56は、アンロードアーム42が第2位置に来たとき、補給ユニット56の直下に位置するカセット容器23内の水Lqの残量を計測する液量センサ64(図4では不図示、図5参照)を有している。この液量センサ64としては、例えば光電センサや超音波センサなどを用いることができる。この補給ユニット56は、不図示の電磁バルブを内蔵しており、該バルブの開閉制御が、主制御装置20によって液量センサ64の計測値に基づいて行われるようになっている。但し、例えば、補給ユニット56がコントローラを備える場合には、そのコントローラが液量センサ64の計測値に基づいて電磁バルブの開閉を制御するようにしても良い。
補給ユニット56下方の受け渡しステーション52の+Y側の位置には、排水受け66が配置されている。この排水受け66は、アンロードアーム42が第2位置に来たとき、ノズルユニット12の直下に位置する位置に配置されている。この排水受け66は、ドレイン配管68を介してドレイン容器72に接続されている。
図5には、本実施形態の露光装置100におけるウエハホルダWHの冷却に関連する構成のブロック図が示されている。
次に、本実施形態の露光装置100において、所定枚数、例えば1ロット(25枚又は50枚の)のウエハに対して一連の露光工程の処理を行う動作を、主制御装置20の処理アルゴリズムを示す図6のフローチャートに沿って説明する。
まず、ステップ102において、露光対象のウエハがロット内の第n枚目であることを示すカタンタのカウント値nを1に初期化する(n←1)。
次のステップ104では、初期値として、気化水量補正係数kを1に設定する。
次のステップ106では、例えば特開平4−324923号公報(対応する米国特許第5,243,195号明細書)などに開示されるように、不図示のレチクルアライメント系及びウエハステージWST上の基準マーク板等を用いてレチクルアライメントを行うとともに、その基準マーク板及び不図示のウエハアライメント系等を用いて該ウエハアライメント系のベースライン計測などを行う。
次のステップ108では、ウエハステージWSTをアンロード位置(本実施形態では前述のウエハ交換位置)へ移動させる。このウエハステージWSTの移動は、主制御装置20の指示に基づき、ステージ制御装置19により、ウエハ干渉計18の計測値に基づいて、ウエハステージ駆動系24を介して行われる。
次のステップ110では、第n枚目(ここでは、第1枚目)のウエハの露光エネルギ情報、並びにショットサイズ及び配置に関する情報を、露光条件の設定ファイルからメモリ内に読み込む、すなわち上記各情報を取得する。
次のステップ112では、その取得した露光エネルギに対応した気化熱を奪う水量を計算し気化水量補正係数k(初期状態ではk=1)を掛け、その量を第n枚目のウエハW上のショット領域が存在する領域に対応するウエハホルダWH上の領域内に一様に分布させるべく、水の散布密度を計算して計算結果をメモリに記憶する。この計算に際して、水の気化熱は、例えば25℃で約2440〔kJ/kg〕とする。
次のステップ114では、前述した手順で電磁バルブV及び真空ポンプ46Bを制御してウエハホルダWHによるウエハWの真空吸着を解除するとともに、センタアップ34a〜34cを上昇駆動する。なお、このとき、ウエハホルダWH上にウエハWが搭載されていない場合には、センタアップ34a〜34cの駆動のみを行う。
次のステップ116では、前述のリニアエンコーダ62の計測値をモニタしつつ、リニアモータ48を駆動制御してアンロードアーム42をセンタアップ34a〜34cに保持されたウエハWの下方に挿入する。なお、上述したウエハホルダWH上にウエハWが搭載されていない場合には、センタアップ34a〜34c上にウエハはないが、ウエハがある場合と同じ位置にアンロードアーム42が位置決めされる。
次のステップ117では、センタアップ34a〜34cを少なくともアンロードアーム42に干渉しなくなる高さまで下降駆動する。これにより、ウエハWがセンタアップ34a〜34cからアンロードアーム42に受け渡される。図7には、このウエハの受け渡しが完了した直後の状態が示されている。
次のステップ118では、アンロードアーム42を外部に対するウエハの受け渡し場所(受け渡しステーション52上方)に向かって移動しつつ、上記ステップ112で計算した水の散布密度に基づいて、ノズルユニット12を制御しつつ、ウエハホルダWHに水を散布する。このとき、上記水の散布密度とリニアエンコーダ62の計測値に基づいて、ノズルユニット12のノズルを選択的に駆動して水滴(液滴)を吐出する。この場合において、露光時にウエハW上に照射される照明光ILのエネルギ分布に比例した水量の分布で、ウエハホルダWH上に水滴(液滴)を散布することが望ましい。この分布はショット領域の大きさと配列情報とから算出することができる。
但し、これに限らず、ウエハホルダWHの形状に合わせて、この形状からはみ出さない範囲内で一様分布となるように、ウエハホルダWH上に水滴(液滴)を散布しても良い。
また、ウエハホルダWH上面のピン部32の上部に水滴が散布されると、この水滴に付着した空気中のゴミの粒子がピンの上部に付く危険性がある。ピンの上部はウエハに接触するので、ウエハが汚染される危険性がある。これを避けるために、ピンの位置を予め知っておき、この位置を除いた部分に水滴を撒くことが望ましい。
図9(A)及び図9(B)には、このステップ118における水の散布動作の途中の状態が示されている。図9(A)において、符号Lqは散布されている水滴を示す。また、図9(B)において、色の濃い部分は、水滴が散布された領域を示す。この図9(B)から明らかなように、本実施形態では、ウエハホルダWH上に搭載されるウエハ上のショット領域が存在する領域に対応するウエハホルダWH上の領域に、該領域内で一様分布となるように水滴が散布されている。
そして、上述のようにして、水の散布の進行と共にウエハを保持したアンロードアーム42が−Y方向に移動し、水滴の散布が終了する。そして、この水滴の散布が終了してから所定時間経過後に、アンロードアーム42が受け渡しステーション52の上方の第2位置に到達する。このアンロードアームの42の受け渡しステーション52上方に向けての移動は、アンロードアーム42がウエハを保持していない状態でも行われる。
図8には、ウエハWを保持したアンロードアーム42が受け渡しステーション52の上方の第2位置へ到達した直後の状態が示されている。この図8から明らかなように、この第2位置にアンロードアーム42があるときには、補給ユニット56の直下にカセット容器23及びノズルユニット12が位置し、さらにノズルユニット12の直下に排水受け66が位置する。
そこで、次のステップ119では、前述の液量センサ64の計測値に基づき、必要に応じてカセット容器23内に補給ユニット56から水を補給する。これとともに、ノズルユニット12の全ての液滴吐出口(ノズル)から排水受け66に水滴をテスト的に吐出する。これにより、ノズルユニット12の各ノズルの乾燥が防止される。
上記の水の補給は、液量センサ64によって計測されるカセット容器23内部に残存する水量が、予め定めた所定量以下であるかどうかを判断し、その水量が所定量以下である場合にのみ、主制御装置20が、補給ユニット56に内蔵された不図示の電磁バルブを開くことで行われる。
次のステップ120では、第n枚目(ここでは第1枚目)のウエハWをウエハホルダWH上にロードする。具体的には、不図示のロードアームを用いてウエハWをウエハホルダWHの上方の所定位置まで搬送し、その状態でセンタアップ34a〜34cを上昇駆動する。これにより、ウエハWがロードアームからセンタアップ34a〜34cに受け渡される。次いで、ロードアームをウエハホルダWH上方から退避させ、センタアップ34a〜34cを下降駆動する。これにより、第n枚目(ここでは、第1枚目)のウエハWのウエハホルダWH上へのロードが完了する。なお、ローディング位置とアンローディング位置とが異なる場合には、ロードアームによるウエハの搬送に先立って、あるいはこれと一部並行してウエハステージWSTをローディング位置に移動させる動作が必要となる。
次のステップ122では、前述した手順で電磁バルブV及び真空ポンプ46Bを制御してウエハホルダWHによるウエハWの真空吸着を開始する。これにより、前述したチャック部26’の内部空間(本体部26上面のリム部28とウエハとで囲まれた空間)が低圧になり、ウエハWがウエハホルダWHに固定されると共に、ウエハホルダWHのチャック部26’(但し、ピン部32上面及びリム部28上部を除く)に付着した水の気化(蒸発)速度が速まる。蒸発した水は真空排気系に水蒸気となって排気される。これと共に水によって気化熱が奪われ、ウエハホルダWHが急速に冷却され始める。なお、厳密に言うと、真空吸着の開始前にも水は僅かながら蒸発するが、減圧の開始後に比べるとその気化の速度は緩やかである。
次のステップ124では、第n枚目(ここでは第1枚目)のウエハに対するウエハアライメント(例えばEGAなど)及びステップ・アンド・リピート方式の露光を行う。このステップ124の処理は、通常のステッパと異なる所がないので、詳細説明は省略する。ここで、遅くとも上記のウエハアライメントが終了するまでに、ウエハホルダWHに付着した水は全て気化する。
そして、第n枚目のウエハに対する露光が終了すると、ステップ126に進んで、カウント値nがN以上であるか否かを判断することで、予定枚数(ここでは1ロット)のウエハに対する露光が終了したか否かを判断する。この場合、カウント値nは1であるから、このステップ126における判断は否定され、ステップ128に移行する。
ステップ128では、温度センサ22の出力T0〔degree〕と温度設定目標値T1〔degree〕との差より、気化水量補正係数kを算出し、更新する。具体的には、ウエハホルダWHとウエハWとを合わせた熱容量をC〔J/degree〕、蓄積露光エネルギの計算値をQ〔J〕として、以下の式により求める。
k=1+{(T0−T1)/(Q/C)} ……(1)
ここで、
ここで、
上式において、E(t)は時刻tにおける露光パワー〔W〕、TcはウエハホルダWHとウエハWとを合わせた温度変化の時定数(sec)である。
次のステップ130では、前述のカウンタのカウント値nを1インクリメントした後、ステップ108に戻り、以降、ステップ126における判断が肯定されるまで、上記ステップ126以下の処理(判断を含む)を繰り返す。
そして、1ロットのウエハに対する露光処理が終了すると、ステップ126における判断が肯定され、本ルーチンの一連の処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の露光装置100によると、ウエハホルダWHにウエハWが載置されていないとき、主制御装置20によって、そのウエハホルダWHのチャック部26’(ピン部32が設けられた本体部26上面のリム部28で囲まれた領域部分)に、ノズルユニット12の複数の液滴吐出口(ノズル)から吐出された液滴が付着させられる(図6のステップ118)。そして、ウエハホルダWH上にウエハWがロードされると(ステップ120)、ウエハホルダWHの上記チャック部26’によるウエハWの真空吸着が開始される(ステップ122)。これにより、チャック部26’とウエハWとの間の空間が真空状態となって、チャック部26’に付着した水滴(液滴)の気化(蒸発)が促進され、ウエハホルダWHから水の気化熱が奪われウエハホルダWHが短時間に冷却される。
従って、液体(水)を用いるにもかかわらず、液体(水)を冷やすために他の部分に高温の部分を作る必要がなく、しかもウエハホルダWHに液体冷却系を載せる必要もないのでその大型化・重量化を招くことなく、ウエハホルダWHの温度を安定化することが可能である。
また、本実施形態では、第n枚目のウエハに対する露光エネルギ情報を予め利用してウエハホルダに付着すべき水量を計算し、その計算結果を用いてウエハホルダに水滴を散布し、ウエハホルダから気化熱を奪う。このように、本実施形態では、定量的にウエハホルダから熱を奪うことで冷却がなされるので、エネルギ効率の良い冷却が可能である。
また、本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、ウエハの露光終了後アンロードに先立って、温度センサ22の出力に基づいて、気化水量補正係数kを算出して更新するので(ステップ128)、次のウエハに対しては更新された気化水量補正係数kを用いて露光エネルギに対応した水量(液体の分量)が算出される。すなわち、その水量(液体の分量)の計算値が温度センサ22の出力(ウエハホルダWHの実際の温度)に基づいて補正されるので、ウエハホルダWHの温度をより一層安定化させることが可能である。
このように、本実施形態の露光装置100によると、水の気化熱を利用してウエハホルダを冷却することにより、ウエハの温度を所定の範囲に維持できるので、大パワーの露光量を与えても重ね合わせ精度が良好に保たれるという効果がある。
なお、i線露光装置において、ウエハ上に到達する時間平均した光の露光パワーが6Wの時、この露光パワーによる加熱を防ぐために気化熱を奪うには、1時間当たり、
6×3600÷2440=8.85〔g〕
の水を蒸発させれば良い。露光装置のスループットが例えば100〔枚/時〕とすると、ウエハ1枚につき、0.0885〔g〕の水をウエハホルダに付着させれば良い。従って、液体のタンクとノズルユニットとをホースなどで接続するような構成を採用しなくても、上記実施形態のように、ノズルユニット12に水(液体)を供給するカセット容器23をアンロードアーム42に載置する構成などを採用しても特に支障は生じない。しかしながら、液体のタンクとノズルユニットとをホースなどで接続しても勿論構わない。
6×3600÷2440=8.85〔g〕
の水を蒸発させれば良い。露光装置のスループットが例えば100〔枚/時〕とすると、ウエハ1枚につき、0.0885〔g〕の水をウエハホルダに付着させれば良い。従って、液体のタンクとノズルユニットとをホースなどで接続するような構成を採用しなくても、上記実施形態のように、ノズルユニット12に水(液体)を供給するカセット容器23をアンロードアーム42に載置する構成などを採用しても特に支障は生じない。しかしながら、液体のタンクとノズルユニットとをホースなどで接続しても勿論構わない。
なお、上記実施形態では、ウエハホルダWH裏面の温度を温度センサ22を用いて検出する場合について説明したが、これに限らず、可能であればウエハホルダ上面に温度センサを配置してウエハの温度(ウエハホルダ上面の温度)を検出することとしても良い。
また、上記実施形態では、ステップ110及び112において、第n枚目のウエハの露光エネルギ情報、すなわちこれから露光するウエハに対する露光エネルギ情報などに基づいて、露光エネルギに対応した水量などを算出したが、これに限らず、過去の露光情報、例えば第(n−1)枚目以前のウエハに対する露光エネルギ情報に基づいて、露光エネルギに対応した水量を算出することとしても良い。
なお、上記実施形態では、アンロードアーム42の第2位置への移動の度に、液量センサ64の計測値の確認、ノズルユニット12からのテスト的な水の吐出を行うものとしたが、これに限らず、その他のタイミング、例えば所定枚数のウエハの露光が終わった都度、これらの動作を行うようにしても良い。
また、上記実施形態では、ノズルユニット12がアンロードアーム42に一体的に取り付けられ、アンロードアームと一体的にノズルユニット12がリニアモータ48によって駆動される場合について説明したが、これに限らず、ノズルユニット12の駆動機構を、アンロードアームを駆動する機構(リニアモータ48)とは別に設け、該駆動機構により、ノズルユニット12を、アンロードアームに連動して駆動することとしても良い。
なお、上記実施形態では、アンロードアーム42によりウエハWを搬送している間に、ノズルユニット12から水滴(液滴)がウエハホルダWHのチャック部に付着される場合について説明したが、これに限らず、ロードアーム42によりウエハWを搬送している間に、ノズルユニット12から水滴(液滴)がウエハホルダWHのチャック部に付着される構成を採用しても勿論良い。
あるいは、次の変形例のように、ウエハWの搬送とは無関係に、ノズルユニット12から水滴(液滴)をウエハホルダWHのチャック部に付着するようにしても良い。
《変形例》
上記第1の実施形態では、ノズルユニット12を移動させながら水滴(液滴)をウエハホルダWHのチャック部に散布したが、この変形例では、上記第1の実施形態のノズルユニット12が所定の箇所に固定されており、その固定のノズルユニット12の下方をウエハステージWSTが移動する際に、ノズルユニット12からウエハホルダWHのチャック部に水が散布される。
上記第1の実施形態では、ノズルユニット12を移動させながら水滴(液滴)をウエハホルダWHのチャック部に散布したが、この変形例では、上記第1の実施形態のノズルユニット12が所定の箇所に固定されており、その固定のノズルユニット12の下方をウエハステージWSTが移動する際に、ノズルユニット12からウエハホルダWHのチャック部に水が散布される。
上記第1の実施形態では、アンロードアームの移動精度や移動中の位置計測精度を高精度に設定しておく必要があるが、この変形例では、ウエハステージWSTの位置計測用のウエハ干渉計18の計測値に基づいてウエハステージWSTを移動するので、アンロードアームの位置を計測する計測系に対する要求性能を抑えることができるとともに、装置構成を簡略化することができる。但し、この変形例では、水滴を散布する動作がウエハのアンロードの動きと並行してなされないので、僅かながら時間のロスが発生する可能性がある。
なお、上記変形例では、ノズルユニット12の設置箇所を、例えばウエハWの露光終了位置からアンロード位置までのウエハステージWSTの移動時間が最短となる経路上又はその近傍に設定しても良い。
なお、上記第1の実施形態及び変形例では、ウエハホルダWHが真空吸着方式のチャック部を備えているものとしたが、これに限らず、静電チャックを備えたウエハホルダを用いても良い。かかる場合であっても、ウエハホルダが露光中に加熱されていると、ウエハホルダに液滴を付着させると、その液滴が蒸発(気化)し、その際にウエハホルダから気化熱を奪い、ウエハホルダが冷却される。あるいは、静電チャック備えたウエハホルダを用いる場合に、液滴の気化を促進するために、真空吸引機構をウエハホルダの一部に設けても良い。
なお、上記実施形態では、主制御装置20が、アンロードアーム42及びノズルユニット12の駆動、並びにノズルユニット12からの水滴(液滴)の吐出を制御する冷却制御装置、ウエハホルダWHによるウエハの真空吸着の開始及び解除を行う真空排気制御装置などを兼ねる場合について説明したが、これに限らず、冷却制御装置、真空排気制御装置などを別に設けても良いし、冷却制御装置、真空排気制御装置の少なくとも一方の役目を、ステージ制御装置19に持たせても良い。
また、上記実施形態では、ウエハのロード位置とアンロード位置とが同一であるものとしたが、両位置が異なっていても良く、この場合にはロード位置にて水滴の散布を行うようにしても良い。さらに、上記実施形態では、ウエハWの交換ごと、又は複数枚のウエハの露光が終わるたびにウエハホルダWHの冷却(水滴の散布)を行うものとしたが、例えばウエハホルダWHの温度又は温度分布、あるいはその変形量(熱膨張量)が所定の許容範囲を超えないように、それらウエハホルダの物理量の少なくとも1つ、あるいはウエハWに照射される露光エネルギ情報に応じてウエハホルダの冷却を行うようにしても良い。また、上記実施形態では、温度センサや気化水量補正係数kなどを用いて水滴の散布を制御するものとしたが、例えば水滴の散布機構(ノズルユニットなど)のみを設け、ウエハWに照射される露光エネルギ情報に応じて水滴の散布を行うだけでも良い。また、上記実施形態では、ウエハホルダWHがほぼ円形であるので、ウエハホルダWHの外側への水滴の散布が抑制されるように、ノズルユニット12とウエハホルダWHとの相対的な位置関係に応じて、水滴を吐出するノズルの位置や数を制御しても良い。さらに、上記実施形態では、ノズルユニット12の移動によってウエハホルダWHのほぼ全面に水滴を散布するものとしたが、例えばアンロード位置でウエハホルダのほぼ全面をカバーする多数のノズルを有するノズルユニットを用いることで、ノズルユニットとウエハホルダとを相対移動することなく水滴の散布を行うようにしても良い。
ところで、レチクルRは合成石英より作られた場合、線膨張係数は0.4〔ppm/度〕であり、10℃程度の温度上昇により、4〔ppm〕倍率変化を引き起こす。この伸びは30mmの長さのLSIチップの周辺で60nmの位置シフトを引き起こす。最先端のLSIではこのシフト量により重ね合わせの不良が発生することがあるので、許容できない。かかる点に鑑みてなされたのが、次の第2の実施形態である。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を、図10に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を、図10に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
図10には、第2の実施形態に係る露光装置(ステッパ)の一部を構成するレチクルホルダRH近傍の構成が示されている。この図10において、レチクルホルダRHに真空吸着されたレチクルRの上方には、そのパターン領域の外部の上方に、Y軸方向に沿って搬送ガイドレール74が設けられている。この搬送ガイドレール74には、スライダ76が取り付けられ、不図示のリニアモータによって搬送ガイドレール74に沿って駆動されるようになっている。このリニアモータは、スライダ76に内蔵された可動子と、搬送ガイドレール74に内蔵された固定子とによって構成されている。以下では、このリニアモータを可動子を有するスライダ76と同一の符号を用いてリニアモータ76と適宜記述する。
スライダ76の+Y側の端面には、前述したノズルユニット12と同様の構成のノズルユニット12’が、X軸方向を長手方向として取り付けられている。また、スライダ76の−Y側の端面には、ヘッド78が設けられ、該ヘッド78と共にリニアエンコーダを構成するスケールは、搬送ガイドレール74に設けられている。以下では、便宜上このリニアエンコーダをヘッド78と同一の符号を用いて、エンコーダ78と記述する。このエンコーダ78によって計測されるノズルユニット12’のY位置情報は、主制御装置20に供給される。
レチクルホルダRHの+Y側の上方には、送風機80が配置され、該送風機80からレチクルR上面の上方に空気が送風されるようになっている。この場合、空気の流れが層流となる程度の流速で、送風機80から空気が送り出される。なお、送風機80の代わりに、露光装置のチャンバ内部の空調を行う空調機を構成する送風ファンなどを用いても良い。
レチクルホルダRHの内側の面には、温度センサ82が固定されている。この温度センサ82は、レチクルホルダRHに吸着保持されたレチクルRの下面のパターン領域外の一部に接するようになっている。温度センサ82の出力は、主制御装置20に供給される。なお、図10において、符号84は、レチクルRにペリクルを取り付けるためのペリクルフレームを示す。
その他の部分の構成などは、前述の第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。
このようにして構成された本第2の実施形態の露光装置では、ウエハ交換と並行して、主制御装置20が、エンコーダ78の計測値をモニタしつつ、リニアモータ76を制御して、ノズルユニット12’を−Y方向に向かって移動させつつ、ノズルユニット12’からレチクルRの上面(パターン面と反他側の面)に直接水滴Lqを散布して気化熱をレチクルRから奪うことで、レチクルRを冷却する。これにより、レチクルRの許容温度以上の温度上昇を防止し、レチクルRの変形(熱膨張、非線形な温度分布など)に起因して生じる、投影光学系PLによって形成されるパターン像の歪みなどを抑制することができる。
この場合、主制御装置20は、水滴Lqを散布する位置やその散布量を、露光条件の設定ファイルに基づいて、過去の露光情報より算出することもできるし、これから露光する露光エネルギやレチクルのブラインド位置情報、転写パターンの位置情報、転写パターンのレチクルによる吸収率分布の情報に基づいて算出することもできる。
本第2の実施形態では、気化(蒸発)して水蒸気となった水は上述の空気の流れにより装置の外部に排出される。
この場合において、露光時の照明ムラが発生することを防ぐために、次のウエハの露光開始までの間に水が全て気化することが望ましい。このために、水滴Lqの大きさをできるだけ小さくして、気化する時間を短縮した方が良い。水滴Lqの大きさを小さくし過ぎると水滴LqがレチクルRに到達する前に空気中で気化してしまう量が多くなって、空気の温度を下げることになるが、露光ムラが発生する状態よりは好ましい。また、レチクルR上の水滴の気化を早めるにはレチクルRの上部を流す空気の速度が速い方が良い。
ところで、ウエハWの素材である例えばシリコンの線膨張係数は4.2〔ppm/度〕であるが、レチクルRの素材である合成石英の線膨張係数は0.4〔ppm〕であるので、同一の寸法変化を許容する場合、ウエハよりもレチクルの温度変化の許容値が約10倍大きい。さらに、投影光学系PLの縮小倍率(例えば1/4又は1/5)を考慮すると、レチクル側ではウエハ側に比べて温度制御誤差を約40倍又は50倍許せる。従って、前述した第1の実施形態と異なり、温度センサ82は、必ずしも設けなくても良いが、本第2の実施形態では、温度センサ82を設け、該温度センサ82の計測値を、第1の実施形態と同様に、気化水量補正係数を算出するために用いている。これにより、上述した方法でレチクルRの冷却を行った結果、ホルダ温度に目標温度との誤差が生じるような場合であっても、その誤差を補正することが可能になる。なお、温度センサは、レチクルホルダRH及びレチクルRの一方のみの温度を計測可能に取り付けても良い。
以上説明したように、本第2の実施形態によると、ウエハステージWST(ウエハホルダWH)上のウエハに対する露光、すなわちレチクルRに形成されたパターンの転写が終了すると、ウエハホルダ上のウエハ交換が前述の手順で行われるが、これと並行して、主制御装置20により、レチクルホルダRHに保持されたレチクルRにノズルユニット12’の少なくとも1つ、通常は複数の液滴吐出口(ノズル)から吐出された水滴(液滴)が付着させられる。このとき、レチクルRは、直前の露光により、加熱されているので、その水滴(水)が蒸発(気化)する。その水の蒸発の際にレチクルRから気化熱を奪い、レチクルRが冷却される。従って、液体を用いるにもかかわらず、液体を冷やすために他の部分に高温の部分を作る必要がなく、しかもレチクルホルダRHに液体冷却系を載せる必要もないのでその大型化・重量化を招くことなく、レチクルRの温度を安定化することが可能になる。
また、本第2の実施形態においても、前述と同様の理由により、定量的にレチクルRを冷却することができるので、エネルギ効率の良い冷却が可能である。
また、本第2実施形態によると、ウエハホルダWHに加え、レチクルRも冷却されるので、ウエハの熱膨張のみならず、レチクルRの熱膨張も効果的に抑制することができ、結果的に、第1の実施形態に比べても、重ね合わせ精度が一層良好な露光を実現することができる。
なお、第2の実施形態では、レチクル表面に沿って空気(気体)の流れを生じさせる送風機80(気流発生機構)を設けるものとしたが、レチクルが加熱されている場合には、水の気化は起こるので、気流発生機構は必ずしも設ける必要がない。また、第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に温度センサや気化水量補正係数kなどを用いて水滴の散布を行っても良いが、前述の如く、レチクルRはウエハWに比べて温度制御精度が緩くても良いので、例えば水滴の散布機構(ノズルユニットなど)のみを設け、レチクルRに照射される露光エネルギ情報に応じて水滴の散布を行うだけでも良い。さらに、第2の実施形態では、ウエハの交換時にレチクルの冷却を行うものとしたが、そのタイミングはこれに限られるものではなく、1枚のウエハの露光動作中、あるいは複数枚のウエハの露光が終わるたびに行うようにしても良い。例えば、レチクルの温度又は温度分布、あるいはその変形量(熱膨張量)が所定の許容範囲を超えないように、それらレチクルの物理量の少なくとも1つ、あるいはレチクルに照射される露光エネルギ情報に応じてレチクルの冷却を行えば良い。また、第2の実施形態では、ノズルユニット12’をスライダ76に設けてレチクルRに対して相対移動するものとしたが、例えばレチクルの交換機構(一例としては、搬送装置のロードアーム又はアンロードアームなど)にノズルユニットを設けても良い。さらに、第2の実施形態では、ノズルユニット12’の移動によってレチクルR(パターン領域)のほぼ全面に水滴を散布するものとしたが、例えば照明光ILを遮らないように複数のノズルがレチクル(パターン領域)の周囲に配置されるノズルユニットを用いることで、ノズルユニットとレチクルとの相対移動を行うことなく水滴の散布を行うようにしても良い。また、本第2の実施形態では、レチクルRとウエハホルダWHの両方を冷却するものとしたが、レチクルRの冷却を行うだけでも良い。
なお、上記各実施形態では温度センサ(22,82)を、温度制御(冷却)すべき対象物(ウエハホルダ、レチクル)に設けてその温度を計測するものとしたが、例えば赤外線カメラなどを用いて非接触に対象物の温度を計測しても良い。また、上記各実施形態では、冷却すべき対象物のほぼ全面に水滴を散布するものとしたが、その一部に水滴を散布するだけでも良い。さらに、上記各実施形態では、冷却すべき対象物の温度分布に基づき、例えば対象物の位置に応じて水滴の吐出条件(水滴を吐出するノズルの位置や数、吐出量など)、あるいはノズルユニットと対象物との相対的な移動速度などを制御しても良い。
また、上記各実施形態の露光装置(ノズルユニットなどを含む)は、前述した構成に限られるものではなく、任意で構わない。例えばウエハホルダWHは、ウエハステージWSTの一部(一例としては、Z軸方向に微動可能かつ傾斜可能なテーブル)と一体に形成しても良いし、リム部28の高さをピン部32よりも僅かに低くする、あるいはリム部28の上端面に、先端がピン部32と同一平面に配置されるピンを設けても良い。また、レチクルホルダRHは真空吸着にてレチクルRを保持するものとしたが、その代わりに静電吸着にてレチクルを保持しても良い。
なお、上記第1、第2の実施形態では、本発明がステッパに適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)などの走査型露光装置などにも好適に適用できる。例えば、上記第2の実施形態と同様のレチクル冷却系を、走査型の露光装置に適用する場合には、走査型露光装置がレチクルRを走査方向にスキャンするレチクルステージ及びその駆動系、並びにレチクルステージ位置を計測するステージ位置計測系(例えば干渉計)をもともと備えているので、これらを用いることが可能である。すなわち、ノズルユニット12’を固定とし、この固定のノズルユニット12’に対してレチクルステージを移動させることで、レチクルへの水滴の散布が可能である。従って、リニアモータ76のようなノズルユニット12’を駆動する駆動機構やリニアエンコーダ78のようなノズルユニット12’の位置を計測する位置計測系が不要となり、装置構成を簡略化することができる。このとき、ノズルユニットは照明光ILを遮らず、かつレチクルステージの移動によってレチクル(少なくともパターン領域)の全面に水滴の散布が行われるように設けられる。例えば、レチクルの交換位置、あるいは照明光ILの照射領域とその交換位置との間にノズルユニットが設けられる。特に後者では、例えば走査露光時のレチクルステージの移動中に水滴の散布を開始することも可能となる。また、走査露光時にレチクルRが移動される走査方向に関して、照明光ILの照射領域の両側にそれぞれノズルユニットを設けても良い。
なお、上記第1、第2の実施形態では、ノズルユニット12,12’として、単一のノズルユニットを用いるものとしたが、例えば、市販されているインクジェットプリンタのプリンタヘッドを用いる場合には、複数、例えば3つのプリンタヘッドを、全体の長手方向がリニアモータによる駆動方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)となるように相互に連結して、ノズルユニットを構成しても良い。
また、上記第1、第2の実施形態では、冷却用の液体として水を用いる場合について説明したが、これに限らず、液体として水に比べて沸点が低いHFE(ハイドロフルオロエーテル)などの他の液体を用いても良い。
なお、上記各実施形態において、照明光ILとして、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
なお、上記各実施形態では、本発明がステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)に適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置は勿論、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも好適に適用することができる。
この他、例えば国際公開第2004/053955号パンフレットなどに開示される、投影光学系とウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。また、遠紫外域又は真空紫外域などの露光用照明光を用いる露光装置だけでなく、例えばEUV光又はX線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置などであっても、液体が気化した成分がチャンバ内に拡がらないような構成を採用すれば、本発明を適用することは可能である。
なお、上記各実施形態の露光装置は、例えば特開平10−214783号公報や国際公開第98/40791号パンフレットなどに開示されているように、2つのウエハステージを用いて露光動作と計測動作(例えば、アライメント系によるマーク検出など)とをほぼ並行して実行可能なツイン・ウエハステージタイプでも良い。さらに、上記実施形態の露光装置は、例えば国際公開第2005/074014号パンフレットなどに開示されているように、ウエハステージとは別に計測ステージを備えるものでも良い。
なお、上記実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(又は可変成形マスク、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にデバイスパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態の露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを形成するステップ、上記の実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、エッチング等の回路パターンを形成するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をリソグフィ工程を用いて製造する露光装置にも適用することができる。以上のように、上記各実施形態でエネルギビームが照射される物体は、シリコンウエハやガラスプレート(感応物体)あるいはレチクル(マスク)に限定されるものではない。
なお、上記各実施形態では、本発明が露光装置に適用された場合について説明したが、露光装置以外の装置であっても、保持装置に保持された物体に対してエネルギビームが照射される装置であれば、本発明を適用することができる。
以上説明したように、本発明の処理装置及び処理方法は、保持装置に保持された物体を冷却するのに適している。
12…ノズルユニット、12’…ノズルユニット、20…主制御装置、IL…照明光、W…ウエハ、100…露光装置、22…温度センサ、23…カセット容器、26…チャック部、42…搬送アーム、46A…真空室、46B…真空ポンプ、48…リニアモータ、54…排水受け、56…補給ユニット、64…液量センサ、76…リニアモータ、80…送風機、82…温度センサ、WH…ウエハホルダ、V…電磁バルブ、R…レチクル、RH…レチクルホルダ、Lq…水滴。
Claims (28)
- エネルギビームを照射して物体を処理する処理装置であって、
物体が載置され、該載置された物体を吸着する吸着部を有する保持装置と;
液滴吐出口が複数形成されたノズル部材を有し、前記物体が載置されていないとき、前記保持装置の前記吸着部に前記ノズル部材の少なくとも1つの液滴吐出口から吐出された液滴を付着させる液体付着装置と;を備える処理装置。 - 請求項1に記載の処理装置において、
前記吸着部は、前記物体を真空吸着することを特徴とする処理装置。 - 請求項1又は2に記載の処理装置において、
前記液体付着装置は、前記保持装置に次の処理対象の物体が載置される前に、その物体に対する処理情報に基づいて、該物体に照射されるエネルギビームのエネルギ量に対応する熱量の気化熱を奪う液体の分量を計算し、その計算結果に基づいて前記ノズル部材からの液滴の吐出を制御する制御装置をさらに有することを特徴とする処理装置。 - 請求項3に記載の処理装置において、
前記処理情報は、次の処理対象の物体に対して照射される予定のエネルギビームのエネルギ分布の情報を含み、前記制御装置は、そのエネルギ分布に対応する液滴の分布が前記保持装置の前記吸着部に与えられるように、前記ノズル部材からの液滴の吐出を制御することを特徴とする処理装置。 - 請求項3又は4に記載の処理装置において、
前記保持装置及び該保持装置に保持された物体の一方の温度を計測する温度センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記温度センサの出力に基づいて、前記液体の分量の計算値を補正することを特徴とする処理装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の処理装置において、
前記物体を搬送する搬送部材と;
前記ノズル部材を、前記搬送部材に連動して駆動する駆動機構と;をさらに備える処理装置。 - 請求項6に記載の処理装置において、
前記液体付着装置は、全体の長手方向が前記駆動機構による駆動方向に直交する方向となるように相互に連結された複数のノズル部材を有することを特徴とする処理装置。 - 前記6又は7に記載の処理装置において、
前記搬送部材により前記物体を搬送している間に、前記ノズル部材から液滴が前記吸着部に付着されることを特徴とする処理装置。 - 請求項6〜8のいずれか一項に記載の処理装置において、
前記搬送部材に載置され、前記ノズル部材に液体を供給する容器をさらに備える処理装置。 - 請求項9に記載の処理装置において、
前記ノズル部材が所定位置に移動したとき、前記容器内に液体を補給する補給機構をさらに備える処理装置。 - 請求項10に記載の処理装置において、
前記補給機構は、前記容器内の液体の量を検出する液量センサを有し、該液量センサにより検出された液体の量が所定の量以下になると前記容器内に液体を補給することを特徴とする処理装置。 - 請求項10又は11に記載の処理装置において、
前記所定位置に移動した前記ノズル部材の下方に位置する排水受けをさらに備え、
前記液体付着装置は、前記ノズル部材が前記所定位置に移動したとき、前記ノズル部材の各液滴吐出口から液滴を排出させることを特徴とする処理装置。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の処理装置において、
前記物体は、半導体ウエハであることを特徴とする処理装置。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の処理装置において、
前記エネルギビームは前記物体を露光する露光用照明光であることを特徴とする処理装置。 - エネルギビームが照射される物体を保持する保持装置と;
液滴吐出口が複数形成されたノズル部材を有し、前記保持装置に保持された前記物体に前記ノズル部材の少なくとも1つの液滴吐出口から吐出された液滴を付着させる液体付着装置と;を備える処理装置。 - 請求項15に記載の処理装置において、
前記物体表面に沿って気体の流れを生じさせる気流発生機構をさらに備える処理装置。 - 請求項15又は16に記載の処理装置において、
前記ノズル部材を、所定方向に駆動する駆動機構をさらに備える処理装置。 - 請求項17に記載の処理装置において、
前記液体付着装置は、全体の長手方向が前記駆動機構による駆動方向に直交する方向となるように相互に連結された複数のノズル部材を有することを特徴とする処理装置。 - 請求項15〜18のいずれか一項に記載の処理装置において、
前記液体付着装置は、前記物体に照射されるエネルギビームの情報に基づいて、前記物体に付着させる前記液滴の量と分布を計算し、その計算結果に基づいて前記ノズル部材からの液滴の吐出を制御する制御装置をさらに有することを特徴とする処理装置。 - 請求項19に記載の処理装置において、
前記保持装置及び該保持装置に保持された前記物体の少なくとも一方の温度を計測する温度センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記温度センサの出力に基づいて、前記液滴の量と分布の計算結果を補正することを特徴とする処理装置。 - 請求項15〜20のいずれか一項に記載の処理装置において、
前記物体は、一方の面にパターンが形成されたレチクルであることを特徴とする処理装置。 - 請求項21に記載の処理装置において、
液体付着装置は、前記液滴を前記レチクルのパターン面とは反対側の面に付着させることを特徴とする処理装置。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の処理装置を備え、
前記エネルギビームを照射して前記物体を露光する露光装置。 - 請求項15〜22のいずれか一項に記載の処理装置を備え、
前記物体を介して前記エネルギビームで感応物体を露光する露光装置。 - エネルギビームを照射して物体を処理する処理方法であって、
吸着部を有する保持装置に物体が載置されていないとき、前記保持装置の前記吸着部に液滴を付着させる工程を含む処理方法。 - 請求項25に記載の処理方法において、
前記液滴を付着させる工程では、前記エネルギビームが照射された前記物体を前記保持装置から搬出する際に、前記保持装置の前記吸着部に液滴を付着させることを特徴とする処理方法。 - 請求項25又は26に記載の処理方法において、
前記付着させる工程の後に、
前記前記吸着部に前記物体を真空吸着する工程をさらに含む処理方法。 - 請求項27に記載の処理方法において、
前記保持装置に保持された物体に前記エネルギビームを照射して露光する工程をさらに含む処理方法。
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