JP2007203426A - ドリルのシンニング装置及びシンニング形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に微細径ドリルに対して、熟練工に頼ることなく、特別な技術を要せずに手軽に正確なシンニング加工を施すことができる装置及びその方法を提供する。
【解決手段】シンニング加工をしようとするドリル3を保持可能なチャックユニット20と、回転砥石11を有し特定の位置に設置固定された砥石ユニット10と、前記回転砥石11に対して、前記チャックユニット20を、少なくともドリル3の軸方向(Y)及び該軸方向と水平面内の直角の方向(X)に移動・位置決め可能とするステージユニット30と、前記ドリル3のシンニング加工位置以外の所定の位置に、前記ドリル3を位置決め可能とする位置決めユニット40とを備え、前記所定の位置を原点として、該原点からの前記ステージユニット30の駆動・制御により前記シンニング加工を行うことを特徴とするドリル3のシンニング装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、ドリルの性能を向上させるためにドリル先端に施される、シンニングに関する。
近年、産業界においては、高密度プリント基板をはじめ、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルや、化繊紡糸ノズル、ベアチップの半田ボール用治具等に対する微細孔あけの要請が急速に増してきている。又、これらの微細孔あけ用途においては、例えば孔の直径0.2mmに対して深さ4mm等のように、非常に高いアスペクト比の孔あけが要求されるものもある。これらの微細深孔加工では、切削時において切削する先端の加工点が間欠的にせよ被削材である素材の中に長く留まり、先端から発生する熱の逃げ場がないという性質上、加工点(ドリル先端と孔あけ対象部材の接触点)の温度が非常に高くなるため、高温でも軟化し難い超硬合金からなるツイストドリルが主として使われている。
しかしながら、超硬合金は靭性が低いため、微細径では折損を起こし易いという欠点がある。最近では、WC(タングステンカーバイト)の結晶粒の微細化により、靭性や硬さを向上させる試みもなされているが、実用性の面でまだ不十分である。
更には、この様な微細径の深孔加工においては、切粉の排出が困難である上、加工点の温度が高いため、切粉の溶着が発生し易いという問題がある。ドリルの先端に溶着物が付着すると、ドリル本来の穿孔機能が著しく低められるが、微細径のドリルの場合、極めて小さなサイズの溶着物がドリル全体の大きさに対して相対的に非常に大きく影響するため、この溶着物による悪影響は、通常のドリルの比ではない。
このような観点から、発明者らは、いわゆるシンニング加工に着目した。シンニング加工とは、ドリルの先端に特定形状の切り欠き部を形成することである。ドリルにおける孔あけ加工においては、ドリル先端のいわゆる「チゼル」が、素材に対して軸方向に押圧され、素材を塑性変形させることで素材の除去加工を行うため、チゼルによる素材の押圧力は大きな方が好ましい。この点、太いドリルでは十分な強度があるために、大きな軸方向押圧力を得ることができるが、微細径ドリルでは大きな軸方向押圧力はドリル自身の座屈折損を招く。よって、微細径ドリルになるほど「チゼル」自体をシンニング加工により小さくして、ドリル自身が座屈折損しない程度の軸方向の押圧力においても、チゼル部分の押圧力を稼ぐようにすることが望まれる。その目的達成のため、シンニング加工によりチゼル部分を小さくし、結果として加工点の温度を低減させると共に、切削の際に生じる切粉の排出性を良くし、この切粉がドリルに溶着することを低減させる。このシンニング加工自体は公知の技術である。
この技術は、径の細いドリルになればなるほど回転対称に精度良く加工することが求められ、径が3mm以下の細い径のドリルでシンニング加工された市販品は非常に少ないのが現状である。
ドリルの先端にシンニング加工を施すための装置としては、従来、特許文献1に自動ドリル研磨機が、特許文献2にドリル研削装置がそれぞれ開示されている。
特許文献1に記載の自動ドリル研磨機は、回転砥石と、砥石移動手段と、チャックと、チャック回転手段と、チャック傾動手段と、チャック移動手段と、ドリル刃先検出センサーと、を備え、該制御手段からの制御信号に基づいて前記砥石移動手段、チャック回転手段、チャック傾動手段及びチャック移動手段を作動させるサーボ機構を制御するものである。
一方、特許文献2に記載のドリル研削装置は、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Y軸テーブルに配置されたZ軸テーブルと、Z軸テーブルに水平且つX軸方向に平行に配置されてドリルをチャックする機能を有する割出主軸と、X軸テーブルに配置され、ドリルに対して直交する位置から所定の角度位置まで水平に旋回自在な砥石軸テーブルと、砥石軸テーブルに配置された砥石軸モータと、外周面とこれに連なる基端部外周面がドリルの先端角とパイロットの先端角に応じた形状をなし、砥石軸モータの回転軸に固定された回転砥石と、を備えるもので、各テーブル、割出主軸及び砥石軸モータを制御しながらドリルを移動・回転させ、一方、回転砥石を回転させてドリルの切れ刃及びパイロット切れ刃に接触させながらパイロットの付根部を中心に旋回させることにより、ドリルの切れ刃とパイロット切れ刃と逃げ面とを同時に研削するものである。
いずれの装置も回転砥石によってドリルの先端部分にシンニング加工を施すことができると謳われている。
特開平10−217073号公報 特開2004−142057号公報
しかしながら、前述した特許文献1及び特許文献2に記載されるような装置は、いずれも超微細な深孔加工を施すためのドリル(例えばドリルの直径が0.5mm以下のドリル)に対するシンニング加工が想定された装置ではなく、現に、この様な微細径ドリルのシンニング加工を良好に行い得る性能は有していなかった。即ち、単に上記従来存在するドリル加工装置の各部(例えば、回転砥石の砥面やドリルチャックなど)の大きさを小さくしただけでは、こうした微細径ドリルの正確なシンニング加工を行うことはできなかった。
例えば、中実軸では、その剛性を示す断面二次モーメントは径の4乗に比例する。例えば外径3mmと0.3mmの中実軸を比較すれば、10000倍の剛性の差になる。従って、中実軸に切粉排出のための溝を設けた形状の微細径のツイストドリルでは一層剛性が低くなる。微細径のドリルは、通常の太さのドリルに比べて、ドリル自体の剛性が極端に低いため、従来の装置を使ってシンニング加工をしようとすると、研磨の際に加工位置が僅かにずれることによって回転砥石から受ける負荷が大きくなると、ドリルは容易に折損した。又、シンニングの加工時には折損に至らなくても、加工精度の不適なドリルは、実際の穿孔加工時に容易に折損してしまい、「製品」として成立し得なかった。
結果として、現存のドリル加工装置では、こうした微細径ドリルのシンニング加工には対応できず、熟練工による手作業に頼らざるを得ないというのが実情であった。しかし、熟練工の数は限られており、加工できる本数は僅かである。加えて、シンニング加工は1本のドリルの先端に少なくとも2箇所以上に回転対称の同形状の加工を施すことが必要となるが、たとえ熟練工といえども、同品質のシンニング加工を常に処理し続けるのは困難であった。そのため、結局は、熟練工が何本か加工した中から出来の良いもののみを製品として出荷することになり、歩留まりが著しく低く、高コストとならざるを得なかった。
このような状況では、産業界の近年の要求に応じて、性能の優れた微細孔用のドリルを大量に且つ低コストに提供することは不可能である。
本発明は、これらの問題点を解決するべくなされたものであって、ドリル先端に正確にシンニングを形成することを目的とし、特に、微細径ドリルにおいて、熟練工に頼ることなく、特別な技術を要せずに正確なシンニング加工を施すことができる装置及びその方法を提供することを目的としている。
本発明は、シンニング加工をしようとするドリルを保持可能なチャックユニットと、回転砥石を有し特定の位置に設置固定された砥石ユニットと、前記回転砥石に対して、前記チャックユニットを、少なくともドリルの軸方向であるY軸方向及び該軸方向と水平面内の直角の方向であるX軸方向に移動・位置決め可能とするステージユニットと、前記ドリルのシンニング加工位置以外の所定の位置に、前記ドリルを位置決め可能とする位置決めユニットと、を備え、前記所定の位置を原点として、該原点からの前記ステージユニットの駆動・制御により前記シンニング加工位置におけるシンニング加工を行うシンニング装置を提供することによって上記課題を解決するものである。
又、本発明は、シンニング加工をしようとするドリルを保持可能なチャックユニットと、回転砥石を有し特定の位置に設置固定された砥石ユニットと、該砥石に対して、前記チャックユニットを、少なくともドリルの軸方向であるY軸方向及び該軸方向と水平面内の直角の方向であるX軸方向に移動・位置決め可能とするステージユニットと、前記ドリルのシンニング加工位置以外の所定の位置に、前記ドリルを位置決め可能とする位置決めユニットとを備えたドリルのシンニング装置によるシンニング形成方法であって、前記所定の位置を原点として、該原点から前記ステージユニットを駆動・制御する工程を経るシンニング形成方法を提供することで上記課題を解決するものである。
微細径ドリルの更にその先端にシンニング加工を施すとすれば、非常に高い位置精度が求められるが、前述したように、従来提案されている装置では、微細径ドリルのシンニング加工を良好に行うことはできなかった。この理由は、必ずしも明らかではないが、推察するに、従来の装置は、いずれも、回転砥石を移動させるための砥石移動手段と、ドリルチャックを移動させるためのドリルチャック移動手段とを有し、切削の際に、回転砥石とドリルチャックが共に移動する構成とされており、管理すべき位置変動要素が多く、誤差が累積的に大きくなっていたためではないかと思われる。又、特に、回転砥石を移動させるに当たっては、回転砥石自体が加工しようとするドリルの絶対寸法に対して相対的に非常に大きな質量を有しているために、その精度には自ずと限界があったものと推察される。
本発明では、従来の装置の駆動・制御形態を抜本的に改め、先ず回転砥石を有する砥石ユニットを特定の位置に固定するようにした。これにより、装置全体から砥石の位置変動要素を取り除くことができる。「砥石が移動する」というのは、たとえ砥石の移動すべき軸(パラメータ)が限られていたとしても、そのガイド系の設置誤差があることを考えると、誤差の発生要素は必ず3次元的に存在することになる。しかし、本発明では、特に重量のある砥石ユニットの位置を固定し、位置変動要素から外すようにしたため、砥石に関しては位置的誤差の発生要因はなくなる。そのため、装置全体の位置精度を大きく向上させることができる。
本発明では、更に、位置決めユニットによりシンニング加工位置とは異なるところでドリルを位置決めするようにしたため、ドリルの位置決めの際に砥石等の存在が邪魔になることがなく、障害物の全くない空間で、例えば光学的手法により、極めて正確なドリルの位置決めが可能である。そのため、ドリルの原点位置の設定に関しても、誤差は殆ど発生しない。
従って、この正確に割り出すことが可能な当該所定の位置を原点としてステージユニットの駆動によりシンニング形成を行うようにしていることから、装置全体で発生する誤差の要因を、ステージユニットのX−Y平面上における駆動誤差のみに集約することができる。ドリルは非常に軽く、チャックユニットを含めても質量はそれほど大きくならない。そのため、現在のX−Yステージユニットの駆動分解能で、十分熟練工と同品質、或いはそれ以上の品質のシンニング加工を行うことが可能である。
なお、前記ステージユニットを、更に、X軸方向及びY軸方向の双方と垂直な方向であるZ軸方向にも前記チャックユニットを移動・位置決め可能であるように構成してもよい。
これにより、径の異なる砥石にも対応でき、又、シンニング形成の自由度を3次元的に拡張することができる。
又、更に、前記位置決めユニットに、前記所定の位置における前記ドリルの先端を、前記Y軸方向から観察するための第1のカメラユニットを備えて構成してもよい。
これにより、ドリル先端の形状をドリルの軸方向から観察することができ、シンニング形成前の位置決めのみならず、シンニング形成後の確認、特に、1本のドリルに2箇所以上施されるシンニングが回転対称となるように形成されているか否かの確認を正確に行うことも可能となる。
又、前記位置決めユニットに、更に、前記所定の位置を、前記X軸方向又は前記Z軸方向から観察可能な第2のカメラユニットを備えて構成してもよい。
これにより、当該カメラにより撮影された映像を利用して、ドリルのY軸方向の座標を決定することができる。
又、前記加工位置を、該加工位置と前記砥石の回転中心とを結ぶ線と、該砥石の回転中心を通るY軸と平行な線とで作る角度が40°±10°となる位置としてもよい。
これにより、適切なシンニング面を形成することが可能となる。
又、更に、前記ドリルのシンニング加工状態において、該ドリルのシンニング加工部が前記砥石の切削面に対して揺動するように、前記チャックユニットを所定の位置を中心とする曲面に沿って回動させる回動機構を備えてもよい。
これにより、シンニング面(シンニング加工部)の面粗度を向上させることが可能となる。
本発明を適用することにより、正確なシンニング加工を施すことができ、特に、微細径ドリルにおいては、熟練工の技術を要することなく特別な技術を要せずに、シンニング加工を施すことができ、微細深孔加工が可能なドリルを量産できる。
以下、添付図面を用いて本発明に係る実施形態の一例を詳細に説明する。
<シンニング装置の構成>
図1は、本発明に係るシンニング装置の斜視図である。図2は、本発明に係るシンニング装置の正面図である。
シンニング装置1は、ベースとなる基台2の上に、回転砥石11を有し特定の位置に設置固定された砥石ユニット10と、シンニング加工をしようとするドリル3を保持可能なチャックユニット20と、前記砥石ユニット10に対して前記チャックユニット20を少なくともドリル3の軸方向であるY軸方向及び該軸方向と水平面内の直角の方向であるX軸方向に移動、位置決め可能なステージユニット30と、前記ドリル3のシンニング加工位置以外の所定の位置に、該ドリル3を位置決め可能とする位置決めユニット40とを備える。
砥石ユニット10は、略L字状のモータベース17上に配置固定されたモータ16と、該モータ16の回転を伝達するカップリング15と、該カップリング15によって伝達されたモータ16の回転を回転砥石11へと伝達する砥石駆動軸12と、該砥石駆動軸12が回転自在に保持されるハウジング14と、該ハウジング14内に前記砥石駆動軸12に回転自在に設けられた回転砥石11とで構成されている。モータ16の電源のON/OFF及びモータ16の回転速度は、モータ制御部18によって、自由にコントロールすることが可能である。又、回転砥石11は、自身の回転中心を通る断面が円弧とされたディスク型の回転砥石である(詳細は後述する)。
ステージユニット30は、ドリル3の軸方向(以下単に「Y軸方向」という。)に前記チャックユニット(詳細は後述する。)20を移動、位置決めすることが可能なYステージ32と、Y軸方向の移動を手動で微調整可能な手動調整用つまみ32Aと、Y軸方向と直角となる方向(以下単に「X軸方向」という。)にチャックユニット20を移動、位置決め可能なXステージ31と、これらのXステージ31及びYステージ32を制御するためのステージ制御部33とから構成されている。これらのステージ31、32は、位置情報を検出するスケールを内蔵し、位置再現性が2〜3μmの高精度が十分得られている市販のものが利用できることから、軽量なチャックユニット20を移動させることとも相俟って、微細径のドリル3のシンニング加工にも十分対応可能である。なお、本実施形態においては採用されていないが、X-Y平面に垂直な方向、即ち、チャックユニット20を上下方向(以下単に「Z軸方向」という。)に移動、固定させることが可能なZステージを設けるような構成としてもよい。このような構成とすれば、径の異なる砥石にも対応でき、又、シンニング形成の自由度を向上させることができる。即ち、3次元の任意のシンニング形状を形成することが可能となる。
位置決めユニット40は、Y軸方向に厚みがあるプレート状のゲージ部41と、該ゲージ部41を支持するゲージ支持部42とを備え、且つ、前記「所定の位置」をY軸方向から観察するため、搭載のぺデスタル(支持台)が調整可能であり、図8乃至図10の観察・計測が容易となるようにZ軸方向調整を可能としている。第1のカメラユニット43及び、前記第1のカメラユニット43が撮影した映像を映し出すことが可能なモニタ44を備える。ゲージ部41の表面(上面)には、Y軸方向に貫通して、溝41Aが形成されている(図8参照。詳細は後述する。)。なお、本実施形態における位置決めユニットにはモニタ44が含まれているが、モニタ自体は汎用の物を利用することも可能であり、その場合には省略可能である。第1のカメラユニット43は、前記ゲージ部41に設けられた溝41Aを、Y軸方向から観察できるように配置され、CCDカメラ45の先端に、鏡筒46を介して対物レンズ47が配置されている。このような構成により、ドリル先端の形状をドリルの軸方向から観察することができ、ゲージ部41に設けられた溝41Aの形状とドリルの形状(位置)とを対比することにより(この点の詳細は後述する。)、ドリルのX軸方向の位置及びZ軸方向の位置を特定することが可能となる。又、シンニングの状態、特に、1本のドリルに2箇所以上施されるシンニングが回転対称となるように、意図した大きさ及び深さに形成されているか否かを明確に判断することが可能となる。又、この対物レンズ47の周囲には、リング照明48が備わっており、観察位置に置かれたドリル先端の形状を明確に映し出すことを可能としている。この第1のカメラユニット43で撮影された映像は、モニタ44によってモニタリングが可能である。なお、図示していないが、当該シンニング装置1には、前述した第1のカメラユニット43とは別に、ゲージ部41をY軸と直角の方向、例えば、X軸方向又はZ軸方向から撮影することが可能な第2のカメラユニットが備わっている。このような構成によって、当該第2のカメラユニットからの映像をもとに、ドリルのY軸方向の位置を特定することが可能となる。位置決めユニット40は、加工位置Rから離れた位置に配置されているため、このように、砥石ユニット10等が存在しない広い空間を利用して、治具(ゲージ)やカメラ等の比較的大型の精密センサ手段をその構成要素として備える。なお、位置決めユニットの構成態様は上記のものに限定されるものではなく、ドリルの位置決めができるものである限りにおいて種々の構成を採用可能である。
次に、図3及び図4を用いてチャックユニット20について詳細に説明する。図3(A)は、ドリルチャックユニット20の斜視図、(B)は、同平面図、(C)は、同正面(ドリル装着側面)図、(D)は、同右側面図、(E)は、同背面(ドリル非装着側面)図、図4は、ドリルチャックユニットの部分分解構成図である。
チャックユニット20においては、ドリル3を直接保持するチャック21Bと、該チャック21Bが備わる筒状のチャック本体21Aとが、回動本体23Aに対して回転可能に保持されている。チャック本体21Aは、回動本体23Aを貫通する態様で、回転用円板24Aと連通している。チャック本体21Aと回転用円板24Aとは、回転用円板24Aに形成されたボルト孔24A´に螺合する回転用円板固定用ボルト24Eによって固定されている。又、回動本体23Aを貫通して配置されるチャック本体21Aには、回動本体23Aの正面側にリング状のチャック本体軸方向固定第1プレート25Aが配置され、同背面側にもリング状のチャック本体軸方向固定第2プレート25Bが配置されている。これらの両プレートは、自身に形成されたボルト孔25A´、25B´にそれぞれ螺合するボルト23Mによって、チャック本体21Aに固定されており、チャック本体21A軸方向の位置を規制可能とされている。この際、チャック本体21Aがその軸廻りに回転できるように、回動本体23A、チャック本体軸方向固定第1プレート25A、同第2プレート25B間の軸方向には適切な隙間が確保されている。又、上述したチャック本体軸方向固定第2プレート25Bには、ノックピン25Cが形成されている。更に、当該チャック本体軸方向固定第2プレート25Bを包むように前記回転用円板24Aと略同径の回転ベース24Bが設置されている。この回転ベース24Bには円周方向180°に渡って回転規制溝24Dが形成されており、当該溝24Dにノックピン25Cが嵌合するように配置されている。又、回転ベース24Bは、自身に形成されたボルト孔24B´に螺合する回転ベース固定用ボルト24Cによって、回動本体23A(の凸部分)に固定されている。即ち、ノックピン25Cが回転規制溝24Dの溝端部(溝端A部24D1、溝端B部24D2)に当接規制されることによって、ドリル3を簡易且つ正確に180°回転させることが可能となっている。当該回動本体23Aの上面には、自身を貫通しチャック本体21A(回転用円板24A)まで当接可能なチャック本体固定用ボルト23Eが装着されており、該ボルト23Eを緩めたり締めこむことによって、回動本体23Aに対して回転用円板24A、即ち、チャック本体21A更にはドリル3を自由に回転させたり、固定させたりすることが可能となっている。
回動本体23Aの下側には、所定の回動中心(詳細は後述する。)を中心とした円弧を描く扇状の回動ブロック23A´が備わっている。この回動ブロック23A´に対応するように、回動ベース23Bが配置されている。即ち、回動ブロック23A´に形成された曲面r´と、回動ベース23Bに設けられた曲面rとが同一の中心点を持つ円弧形状とされている。
回動ベース23Bの正面側には、第1支持板23Fが配置され、回動本体23A(回動ブロック23A´)の正面側の位置を規制している。なお、第1支持板23Fはボルト23Hによって回動ベース23Bに固定されている。同様に、回動ベース23Bの背面側には、第2支持板23Gが配置され、回動本体23Aの背面側の位置を規制している。この第2支持板23Gも、ボルト23Hによって回動ベース23Bに固定されている。又、回動ブロック23A´には正面側から背面側に貫通する態様で曲面r´に沿ったガイド溝23Kが形成されており、当該ガイド溝23K内に嵌合するフォロアーベアリング23Lが、第1支持板23F及び第2支持板23Gに固定されている。又、回動ベース23Bには、第1回動ボルト23Cを支持している第1回動ボルト支持板23Iと、第2回動ボルト23Dを支持している第2回動ボルト支持板23Jとが形成されており、これらの支持板23I、23Jを貫通螺合して各回動ボルト23C、23Dが回動本体23Aにおける回動ブロック23A´側面に当接している。即ち、各回動ボルト23C、23Dの締め込み量を調整することによって、チャック本体21Bが保持するドリル3を回動(回転砥石に対する揺動)させることが可能となっている。このように本実施形態における回動機構は、少なくともドリルの軸方向の位置を固定したまま、チャックユニット(回動本体)が回動するように構成されている。これにより、チャックユニットに複雑な動きを要求することなく揺動動作を実現でき、誤差による加工精度の低下を防止している。
なお、前述した回転用円板24A、回転ベース24B、回転ベース固定用ボルト24C、回転規制溝24D、回転用円板固定ボルト24E、ノックピン25Cとで回転機構部24を構成している。
更に、回動本体23A(回動ブロック23A´)及び回動ベース23B及び第1回動ボルト23C、第2回動ボルト23D、チャック本体固定用ボルト23E、第1支持板23F、第2支持板23G、ボルト23H、第1回動ボルト支持板23I、第2回動ボルト支持板23J、ガイド溝23K、フォロワーベアリング23Lにより回動機構部23を構成している。
<シンニング形成手順>
次に、当該シンニング装置1を用いたシンニング形成手順について図5乃至図7を参照しつつ説明する。図5は、シンニング加工工程を示すフローチャートであり、図6は、シンニング装置の平面図であって、シンニング加工位置と観察位置との関係を表わした図であり、図7は、加工位置における回転砥石とドリル先端の関係図である。
最初に、シンニング装置1の各部の電源がONとされる(S1)。具体的には、ステージ制御部33の電源、映像信号処理装置(図示しない)の電源、モニタ44の電源、モータ制御部18の電源、リング照明48の電源等がONとされる。
次に、チャックユニット20を、加工しようとするドリル3が取り付けし易い位置(例えば図6における加工位置と観察位置の間)に移動させた上で、ドリル3を取付ける(S2)。より具体的には、チャック部21の背面に存するチャック締付けボルト22を弛めた上で、ドリル3をチャック本体21Aへと取り付ける。その後チャック締付けボルト22を締め付けることによって、ドリル3の取り付けが完了する。
次に、シンニングを形成するための各種データ、例えば、形成しようとするシンニングの幅や深さ、形状、更にはドリルの径の情報などを予め入力する(S3)。なお、ドリルの種類やシンニングの形状等が常に一定である場合には、予め装置に当該データを記憶させておくことによって、この工程を省略することも可能である。なお、これらのデータを当該シンニング装置1自体が記憶することは、本発明の必須の構成要素ではない。
次に、ドリル3の取り付けが終ったチャックユニット20を観察位置(位置決めすべき所定の位置)へと移動させる(S4)。具体的には、ステージ制御部33を操作することによって、位置決めユニット40に備わるゲージ部41における溝41Aの位置まで移動させる。
次に、観察位置まで移動したドリル3が位置決めユニット40において予め設定された原点に位置するように調整される(S5)。
次に、正しく原点に位置しているか否かが確認され(S6)、原点にない場合にはステップS5に戻り再調整され、原点にある場合はステップS7へと進む。
次に、ドリルチャック22Bに保持されたドリル3の回転姿勢が適切となるように調整される(S7)。
次に、姿勢が適切かどうかが判断され(S8)、適切な姿勢に無い場合にはステップS7へと戻り再調整され、姿勢が適切な場合にはステップS9へと進む。これらのステップS5〜S8の具体的な方法については、別途後述する。
次に、チャックユニット20を加工位置へと移動させる(S9)。このときの加工位置への移動は、先程調整した原点のデータに基づいて、ステージユニット30を駆動制御(フィードフォワード)することによって移動する。
次にシンニング加工が施される(S10)。当該加工は、ステップS3で入力されたデータ、及び原点のデータを基にステージユニット30を駆動制御することで実現する。この加工は、図7に示されるように、ドリル3の加工位置と砥石11の回転中心Mとを結ぶ線L1と、砥石11の回転中心Mを通るY軸と平行な線L2とで作る角度αが、40°±10°となる位置とされている。これよりも小さな角度の場合には、後述する揺動動作を行おうとする場合に不適となる。勿論、揺動を行わないと仮定すればより小さな角度でも問題ない。又、これよりも角度が大きいと、シンニング加工自体を適切に行うことができなくなってしまう。図7に示す位置関係は、本装置の基本位置を示すものであって、ドリルの太さに応じて所望のシンニング形状を得るために、Y軸方向位置とZ軸方向位置を変更することができる。
続いて揺動が行なわれる(S11)。具体的には、第1回動ボルト23C、及び第2回動ボルト23Dを順次締め込むことによって回動本体23Aを回動させることで、回転砥石11の切削面に対してドリル3のシンニング加工面を揺動させている。手順としては、例えば、最初に第1回動ボルト23Cを締め込むことによって、チャックユニット20に保持されたドリルを、ドリル先端側に向かって右方向に回動させる。次に、第1回動ボルト23Cを弛めつつ、第2回動ボルト23Dを締め込むことによって、チャックユニット20に保持されたドリルを、ドリル3のドリル先端側に向かって左方向へと回動させる。以降同様の操作を繰り返し行ってもよい。なお、揺動(回動)の詳細な動き及びその作用については別途後述する。又、本実施形態においては、第1、第2の回動ボルト23C、23Dを用いた手動調整とされているが、これに限られるものではなく、例えばモータ等と連動して回動動作を自動で制御するように構成しても良い。
次に、再び観察位置(原点)へとチャックユニット20を移動させる(S12)。
次に、前記第1のカメラユニット43を通してモニタ44に映し出された映像によって、シンニングの状態が確認される(S13)。
このとき、シンニングの状態が良好か否かが判断され(S14)、シンニングの状態が良好なとき、即ち、当該部分のシンニング加工が完了している場合はステップS18へと進み、シンニング状態が良好でない場合、即ち、当該部分のシンニング加工が未だ完了していない場合はステップS15へと進む。
ステップS15へと進んだ場合には、更に再加工の余地があるか否かが判断される。このとき、シンニング形成の際の切削量が多過であったり、不良の場合には当該ドリルの加工は中止される(S16)。
一方、再加工の余地が有る場合には、ステップS5(或いはステップS9)へと戻り、シンニングの再加工がなされる(S17)。
次に、行なわれたシンニングの状態が良好な場合には、当該ドリル3に対してシンニング加工が2箇所施されたかどうかが判断される(S18)。既に2箇所シンニング加工が施されている場合にはステップS19へと進み、当該ドリルに対するシンニングは終了する。
一方、未だ2箇所のシンニングが終了していない場合にはステップS20へと進む。
次に、ドリルを180°回転させる(S20)。具体的には、チャック本体固定用ボルト23Eを緩め、回転用円板24Aを回転させることによって調整する。このとき、予め回転ベース24Bに形成された回転規制溝24Dの一方の溝端(溝端A部24D1若しくは溝端B部24D2)にノックピン25Cが当接するように調整した状態でシンニング加工が行われているため、チャック本体固定用ボルト23Eを緩めて、回転用円板24Aが回る限度まで回転させることにより、他方の溝端部にノックピン25Cが当接し、簡易且つ正確に180°の回転が実現できる。最後にチャック本体固定用ボルト23Eを締め付ければ回転作業は完了する。なお、ここでもドリル3の回転姿勢の制御は手動で行なわれる構成としているが、モータ等を利用して自動的に行なうような構成としてもよい。
次に、ステップS5(或いはステップS9)へと戻り、2箇所目のシンニング加工が施される(S21)。
このように、当該装置におけるシンニング形成においては、重量のある砥石ユニットは固定されており移動することは無い。結果として、砥石の位置変動要素を取り除くことができ、加工の際の位置精度が向上する。加えて、原点からのステージユニットの駆動によりシンニング形成を行うため、熟練工でなくとも常に同品質のシンニングの形成を手軽に行うことが可能である。
<位置決めユニット40を用いた原点位置決め>
次に、図8乃至図10を参照しつつ、位置決めユニット40を用いた原点への位置決めについて説明する。図8は、第1のカメラユニット43から見たドリル3の先端と位置決めユニット40の関係図であり、図9は、モニタ44の画面上に用意される位置決め用パネル56を示す図であり、図10(A)は、図8の状態を上側(Z軸側)から見た図、(B)は、(A)のR部拡大図である。なお、いずれの図面も、理解容易のために、縮尺を誇張して表現している。
原点Oの位置に対するドリル3のX軸方向の位置合わせ及び、Z軸方向の位置合わせは、図8に示したように、ゲージ部41に設けられた溝41Aの形状と、加工しようとするドリル3の形状とを比較することにより行われる。
ゲージ部41の表面には、Y軸方向に貫通する態様で、半円状の溝41Aが形成されている。当該部分は、第1のカメラユニット43によって、モニタ44に映像として映し出されている(図8参照)。一方、図9に示すように、ゲージ部41における溝41Aの形状に対してX軸方向及びZ軸方向の原点Oの位置を示した位置決めパネル56が用意されている。当該位置決めパネル56は、モニタに映し出された溝41A映像(ドリルの太さに応じて50〜500倍に適宜に拡大された第1カメラユニット43の映像)を基準として、原点Oの位置が予め記載されたパネルである。なお、原点O自体の位置出しは、予め高精度の中実軸であるピンゲージ(図示略)等を用いてモニタ画面上で割り出しておく。この位置決めパネル56を用いて、ゲージ部40の表面における溝41の左右の面(A面及びE面)のラインと、ドリル3のチゼルエッジに相当するライン(B面)が同一線上となるように調整することで、原点OのZ軸方向の座標にドリル3の先端を合わせることができる。更に、ドリル3の回転姿勢を調整することもできる。ここで、ドリル3の回転姿勢の調整方法としては、チャック本体固定用ボルト23Eを弛めた後、回転用円板24Aを使い、モニタ44の画面上でドリル3(チャック本体21A)を回転し所定の回転姿勢に合致させ、適当な位置でチャック本体固定用ボルト23Eを締付けて行う。又、ドリルと溝41Aとの間に生じる左右の隙間(C及びD)の大きさが等しくなる位置に調整することで、原点OのX軸方向の座標にドリル3を合わせることができる。実際は、パネル面にドリルの大きさに対応する円が描かれていることによって、当該円に位置するように調整すれば足りる。この位置決めパネル56は、透明なアクリル板などで作成されているため、モニタ44の画面上に重ねる(溝41Aの形状が合うように重ねる)ことによって、ドリル3の原点を示すことが可能である。ユーザーは単にモニタ44を確認しながら示された位置(円)にドリルを移動させることで簡単にX軸方向及びZ軸方向の位置を特定できる。また、位置調整の容易さを増すために、市販のカーソルやパターン投影装置を併用して、モニタ44の画面上において、カメラユニット43による画像にカーソルやパターンを適宜重ねてもよい。
このように、位置決めユニット40の機能により、ドリル3を何らのセンサ手段とも非接触状態を保ったままでドリル3の正確な位置決めが可能であり、位置決めの際に接触による折損が生じる恐れはない。なお、当該パネルはドリルの径に応じて複数枚用意してもよいし、1枚のパネル面上に各径に対応した位置(円)を示しておいてもよい。また、位置調整の容易さを増すために、市販のカーソルやパターン投影装置を併用して、モニタ44の画面上において、カメラユニット43による画像にカーソルやパターンを適宜重ねてもよい。又、モニタ44の画面上に直接位置決めパネル56相当の画像をレイヤ表示してもよい。モニタ44に映し出される映像は、ドリルの太さに応じて50〜500倍に適宜に拡大された映像であるため、このような簡単な調整であっても、ミクロン単位での位置精度が確保されている。
一方、原点のY軸方向の座標の決定は、ゲージ部41をX軸方向又はZ軸方向から撮影することのできる第2のカメラユニット(図示していない。)の映像を利用して、図10に示すように、ゲージ部41の基準面41Bにドリル3の先端部が位置するように調整を行う。この調整によって、ドリル3の原点OへのY軸方向の位置合わせが行われる。
<揺動(回動)動作及びその作用>
ステップS11における揺動(回動)の動作及びその作用について、図11乃至図13を参照しつつ説明する。図11は、チャックユニット20の回動中心を示す図であり、図12は、回転砥石に対して揺動するドリルの回動状態を示す図であり、図13は、揺動(回動)の効果を模式的に示す図であって、(A)は揺動(回動)をしない場合を示した図、(B)は揺動(回動)をした場合を示す図である。
チャックユニット20の回動本体23Aは、回動中心O1を中心として回動する構成とされている。即ち、回動ブロック23A´に形成された曲面r´と、回動ベース23Bに設けられた曲面rとがこの回動中心O1を中心とした半径Rの円弧で形成されている。本実施形態においては、この回動中心O1は、図12に示すように回転砥石の円弧中心となるように設定されている。即ち、本実施形態における回転砥石11の回転中心を通る断面は円弧Sとされており、該砥石断面の円弧Sと、前記曲面r及びr´とが同心円とされている。なお、念のため説明すると、本実施形態においては、チャック22Bに保持されるドリル3の軸心と回動中心O1とは一致していない。
このような構成とすることによって、回動機構部23を操作すれば、ドリル3のシンニング面が砥石の切削面(円弧S)に沿って揺動することになる(図12参照)。即ち、揺動によるシンニング面の過大化(本来予定したシンニング面を超えてシンニング面が形成されること)を最小限に抑えつつ、シンニング面の面粗度を向上させることが可能となっている。なお、回動中心O1は上記の例に限られるものではなく、例えば、ドリル3の軸心Oと一致させるように構成してもよい。そのように構成すれば、チャックユニットにおける回動機構部の設計をより簡易に行うことが可能となる。
この面粗度が向上するという作用を、図13を用いて説明する。砥石の砥面は、砥粒が密に集まって構成されているため、回転砥石によって単に切削しただけの場合(揺動しない場合)には、砥石の回転方向に沿って、略砥粒の直径程度の凹凸(加工エッジ)が生じてしまう。これは砥粒の物理的な大きさの限界から生じるものであり、砥粒の径を更に微細なものに変える以外には解決できない問題である。しかし、砥石を回転させたままで、砥石と切削部材(ドリル)とを、揺動によって回転砥石の回転方向と略直交する方向に相対移動させることによって、加工エッジの大きさは縮小される。なお、図13においては、説明の便宜上、砥石側が揺動するような図として示している。具体的な試験結果を示すと、シンニング面(加工面)の平均高さ粗さをRa、最大高さ粗さをRzとした場合に、揺動しない場合にはRa=0.0164μm、Rz=0.0914μmであったものが、揺動を行った場合には同様の条件下で、Ra=0.0115μm、Rz=0.0459μmとなっている(数値は非接触3次元測定機による2回測定の平均値)。即ち、ドリルのシンニング面を回転砥石の切削面に対して揺動させることによって、シンニング面の面粗度を向上させることが可能となる。
更に、揺動することによって、シンニング形成により生じることのあるバリ(シンニングエッジのバリ)を落とす効果もある。
面粗度の向上及びバリの除去により、単に(揺動しないで)シンニングを施しただけのドリルに比べて、孔あけ加工点の温度上昇が更に抑制され、切粉の排出性が向上し、溶着を防止できる。その結果として耐久性に優れたドリルを製造することが可能となっている。
なお、本実施形態では、揺動のための回動機構がチャックユニット20側に備わっていたが、例えば、回転砥石ユニット10の側に回動機構を設けることで、同様の効果を得ることも可能である。
又、本明細書においては、シンニングのみを形成する装置として記載しているが、これに限定される趣旨のものではなく、例えば、ドリル自体を製造するドリル製造装置に組み込んで構成してもよい。
又、実施形態の説明では、微細径のドリルであることを前提として説明しているが、本発明に係るシンニング装置やシンニング形成方法は微細径ドリルだけに限定されるものではなく、より太い径を有するドリルに対して適用しても、シンニングの形成精度を向上させることができ有用である。
本発明に係るシンニング装置を用いてシンニング形成された微細径のドリルは、例えば、高密度プリント基板をはじめディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルに対する孔あけや化繊紡糸ノズルに対する孔あけ、メガチップの半田ボール用治具に対する孔あけ等に対して非常に適している。
本発明に係るシンニング装置の斜視図 本発明に係るシンニング装置の正面図 (A)はドリルチャックユニットの斜視図、(B)は、同平面図、(C)は、同正面図、(D)は、同右側面図、(E)は、同背面図 ドリルチャックユニットの部分分解構成図 シンニング加工工程を示すフローチャート シンニング装置の平面図であって、シンニング加工位置と観察位置との関係を表わした図 加工位置における回転砥石とドリル先端の関係図 第1のカメラから見たドリル先端と位置決めユニットの関係図 モニタ側に用意された位置決め用パネル (A)は、図8の状態を上側(X軸側)から見た図、(B)は、(A)のR部詳細拡大図 チャックユニットの回動中心を示す図 回転砥石に対して揺動するドリルの回動状態を示す図 揺動(回動)の効果を模式的に示す図であって、(A)は、揺動(回動)をしない場合を示した図、(B)は、揺動(回動)をした場合を示す図
符号の説明
1…シンニング装置
2…基台
3…ドリル
10…砥石ユニット
11…回転砥石
12…砥石駆動軸
14…ハウジング
15…カップリング
16…モータ
17…モータベース
18…モータ制御部
20…チャックユニット
21…チャック部
21A…チャック本体
21B…チャック
22…チャック締付けボルト
23…回動機構部
23A…回動本体
23A´…回動ブロック
23B…回動ベース
23C…第1回動ボルト
23D…第2回動ボルト
23E…チャック本体固定用ボルト
23F…第1支持板
23G…第2支持板
23H…ボルト
23I…第1回動ボルト支持板
23J…第2回動ボルト支持板
23K…ガイド溝
23L…フォロワーベアリング
23M…チャック本体軸方向固定ボルト
24…回転機構部
24A…回転用円板
24B…回転ベース
24C…回転ベース固定用ボルト
24D…回転規制溝
24D1…溝端A部
24D2…溝端B部
24E…回転円板固定用ボルト
25…チャック本体軸方向固定部
25A…チャック本体軸方向固定第1プレート
25B…チャック本体軸方向固定第2プレート
25C…ノックピン
30…ステージユニット
31…Xステージ
32…Yステージ
32A…手動調整用つまみ(Yステージ)
33…ステージ制御部
40…位置決めユニット
41…ゲージ部
41A…溝
41B…基準面
42…ゲージ支持部
43…第1カメラユニット
44…モニタ
45…CCDカメラ
46…鏡筒
47…対物レンズ
48…リング照明
56…位置決めパネル
M…砥石回転中心
O…ドリル軸心
O1…回動中心

Claims (8)

  1. シンニング加工をしようとするドリルを保持可能なチャックユニットと、
    回転砥石を有し特定の位置に設置固定された砥石ユニットと、
    前記回転砥石に対して、前記チャックユニットを、少なくともドリルの軸方向であるY軸方向及び該軸方向と直角の方向であるX軸方向に移動・位置決め可能とするステージユニットと、
    前記ドリルのシンニング加工位置以外の所定の位置に、前記ドリルを位置決め可能とする位置決めユニットと、を備え、
    前記所定の位置を原点として、該原点からの前記ステージユニットの駆動・制御により前記シンニング加工位置におけるシンニング加工を行う
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  2. 請求項1において、
    前記ドリルが、直径0.5mm以下の微細径ドリルである
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記ステージユニットが、更に、
    X軸方向及びY軸方向の双方と垂直な方向であるZ軸方向にも前記チャックユニットを移動・位置決め可能である
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    更に、前記位置決めユニットが、前記所定の位置における前記ドリルの先端を、前記Y軸方向から観察するための第1のカメラユニットを備える
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  5. 請求項4において、
    前記位置決めユニットが、更に、前記所定の位置を、前記X軸方向又は前記Z軸方向から観察可能な第2のカメラユニットが備える
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記加工位置が、該加工位置と前記砥石の回転中心とを結ぶ線と、該砥石の回転中心を通るY軸と平行な線とで作る角度が40°±10°となる位置とされている
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    更に、前記ドリルのシンニング加工状態において、該ドリルのシンニング加工部が前記砥石の切削面に対して揺動するように、前記チャックユニットを所定の位置を中心とする曲面に沿って回動させる回動機構を備える
    ことを特徴とするドリルのシンニング装置。
  8. シンニング加工をしようとするドリルを保持可能なチャックユニットと、回転砥石を有し特定の位置に設置固定された砥石ユニットと、該砥石に対して、前記チャックユニットを、少なくともドリルの軸方向であるY軸方向及び該軸方向と直角の方向であるX軸方向に移動・位置決め可能とするステージユニットと、前記ドリルのシンニング加工位置以外の所定の位置に、前記ドリルを位置決め可能とする位置決めユニットとを備えたドリルのシンニング装置によるシンニング形成方法であって、
    前記所定の位置を原点として、該原点から前記ステージユニットを駆動・制御することによって前記シンニング加工位置においてシンニングを形成する
    ことを特徴とするドリルのシンニング形成方法。
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