JP2007200547A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面性が良好で、特に短波長領域の電磁変換特性に優れた、高い信頼性を有する塗布型高密度磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体上の少なくとも片面に形成された磁性層に結合剤とともに主体として含まれる強磁性合金粉末の、平均長軸長(L)が0.10μm未満であり、該強磁性合金粉末が、Coを、Feに対して15〜28at%含有し、かつ、Yを、前記平均長軸長(L)および結晶子径(d)により算出される比表面積(Sc)に対して22μmol/m2以上含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体に関し、詳しくは、表面性が良好で短波長領域の記録再生システム全般に優れ、特にMRヘッドなどを用いた高記録密度媒体システムにも十分対応できる電磁変換特性および優れた信頼性を兼ね備えた塗布型高密度磁気記録媒体に関するものである。
近年、磁気記録媒体における記録の高密度化が進み、短波長化(例えば、データテープの一規格であるDDS−4の最短記録波長は0.3μm程度)、デジタル記録方式化、さらにはMRヘッドを再生用として搭載したシステム化(最短記録波長は0.25μm以下)など、電磁変換特性の更なる向上が磁気記録媒体に望まれている。塗布型磁気記録媒体では、これら要求を満たすべく、磁性層の薄層化が検討されている。
これまで、かかる要求に基づき強磁性合金粉末(以下、単に「磁性粉末」または「粉末」とも称する)と結合剤を含む薄層化された磁性層を有する磁気記録媒体では、非磁性支持体上の表面状態に起因した記録再生時の出力低下やノイズ、およびヘッドタッチなどの問題を回避する一方策として、非磁性支持体と磁性層の間に非磁性層を設けた、いわゆる重層構造が多く見られ、これにより薄層化された磁性層の電磁変換特性についても改良がなされてきた。しかし、重層構造を有する磁気記録媒体であっても、0.5Gbit/inch2以上、特に1Gbit/inch2以上の面記録密度を達成するにはなお不十分であった。
高密度化のために、単位体積(単位面積)あたりのノイズ出力に対するキャリア出力の比率(C/NまたはS/N)を上げるには、ノイズ、特に粒子性ノイズを下げることが必要であり、そのために磁性粉末の微小化が試されている。磁性粉末を微小化することにより、単位体積あたりの粒子数が増え、粒子性ノイズを下げることができる。その効果は、理論的には、粒子数がn倍に増えると、キャリア出力はn倍、ノイズ出力は√n倍となるために得られ、よって、キャリア出力/ノイズ出力比は、理論上√n倍となる。しかしながら、磁性粉末が小さくなると均一に分散させることが難しくなり、従来の磁性粉末を用いた場合、磁性粉末の微小化による上述のような理論上の効果を得ることは困難であった。
これに対し、特許文献1では、平均長軸長0.08μm未満の強磁性合金粉末を用い、磁性塗料に超音波処理を施すことで、分散性を高め、磁性層の表面性と磁気特性、特には角形比(残留磁束密度/飽和磁束密度)と面内における配向度を向上させ、高い電磁変換特性を示す磁気記録媒体を得ることが開示されている。また、特許文献2および特許文献3には、高密度記録に適した塗布型磁気記録媒体用の強磁性金属粉末として、オキシ水酸化鉄または酸化鉄に所定条件下でCo、Al、Yを含有させた針状粒子(平均長軸長:0.01〜0.40μm)からなる粉末をガス還元してなる強磁性金属粉末が開示されている。
特開平9−91697号公報 特開平11−251122号公報 特開2001−81506号公報
上記特許文献1では、その実施例において、平均長軸長が0.10μm以上の強磁性合金粉末においては、磁性層の面内における角形比が0.88以上で、かつ配向度が3.0以上の媒体が開示されている。しかし、平均長軸長が0.10μm未満の強磁性合金粉末においては、磁性層の面内の角形比の上限が0.88で、配向度はデータより計算された値で2.8が上限であった。即ち、平均長軸長が0.10μm未満の強磁性合金粉末を用いた場合には、電磁変換特性の更なる向上を図るには不十分であった。また、上記特許文献2および特許文献3記載の磁気テープにおいては、ともに実施例における磁性層の目標厚みを3μmとしており、この厚みおよびこの厚みに適用する当該強磁性金属粉末では、やはり電磁変換特性の更なる向上を図るには不十分であった。
そこで本発明の目的は、上記問題点を解消し、表面性が良好で、特に短波長領域の電磁変換特性に優れた、高い信頼性を有する塗布型高密度磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成によって上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上の少なくとも片面に形成された磁性層に結合剤とともに主体として含まれる強磁性合金粉末の平均長軸長(L)が0.10μm未満であり、該強磁性合金粉末が、Coを、Feに対して15〜28at%含有し、かつ、Y(イットリウム)を、前記平均長軸長(L)および結晶子径(d)により算出される比表面積(Sc)に対して22μmol/m2以上含有することを特徴とするものである。
前記強磁性合金粉末は、Alを、前記比表面積(Sc)に対して27〜45μmol/m2の範囲内で含有することが好ましい。
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上の少なくとも片面に形成された磁性層に結合剤とともに主体として含まれる強磁性合金粉末の平均長軸長(L)が0.10μm未満であり、該強磁性合金粉末が、Coを、Feに対して15〜28at%含有し、かつ、Yを、該強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)に対して20μmol/m2以上含有することを特徴とするものでもある。
この場合、前記強磁性合金粉末は、Alを、前記強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)に対して22〜38μmol/m2の範囲内で含有することが好ましい。
本発明の磁気記録媒体においては、前記磁性層の平均厚みが0.03〜0.30μmであり、かつ、前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性層を有することが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、短波長領域で記録再生する、面記録密度0.5Gbit/inch2以上の塗布型高密度磁気記録媒体であり、平均長軸長が0.10μm未満と小さい強磁性合金粉末であって、かつ、含有元素種とその量を最適化した強磁性合金粉末を使用することで、粉末の磁気特性を改善し、かつ、分散性及び配向性の改善を図ったものである。これによって、磁性層の表面粗度を非常に小さくすることでスペーシングを少なくし、微小磁性粉末が有するノイズを下げる効果を引き出し、キャリア出力/ノイズ出力比であるC/NやS/Nが良好な、優れた電磁変換特性を達成し得たものである。
本発明によれば、磁気特性や表面性が良好であり、特に短波長領域の電磁変換特性に優れた高い信頼性を有する塗布型高密度記録磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上の少なくとも片面に、強磁性合金粉末と結合剤とを主体として含む磁性層を有するものであり、かかる強磁性合金粉末が、以下に述べる特性を有することが重要である。
即ち、本発明においては、磁性層に含まれる強磁性合金粉末の平均長軸長(L)が0.10μm未満であり、好適には0.03〜0.08μmである。短波長領域での記録再生に適した磁気記録媒体とするためには、かかる範囲の微小粉を用いることが必要であり、この平均長軸長(L)が0.10μm以上であると、粒子性ノイズが増えて、キャリア出力/ノイズ出力比であるC/NやS/Nなどが悪化する。一方、平均長軸長(L)が短くなり過ぎると、粒子性ノイズは低減できるものの、結晶の成長が不安定になりやすく、強磁性合金粉末の磁気特性が低下したり、比表面積が増大して分散性が低下するなど、好ましくない傾向が見られる。なお、平均長軸長の制御については常法に従い、強磁性合金粉末の原料となるオキシ水酸化鉄粉末を得る際の水溶液の温度やpHなどにより行う。
本発明において、強磁性合金粉末の平均長軸長(L)は、テープ片から強磁性合金粉末を分別、採取し、透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した写真から粉末の長軸長を測ることによって求めることができる。その手順の一例を以下に示す。(1)テープ片からバックコート層を溶剤で拭き取り、除去する。(2)非磁性支持体上に非磁性層と上層磁性層が残ったテープ片試料を、5%水酸化ナトリウム水溶液に入れ加熱・撹拌する。(3)非磁性支持体から脱落させた塗膜を水洗し、乾燥する。(4)この塗膜をメチルエチルケトン(MEK)中で超音波処理し、マグネットスターラーを用いて強磁性合金粉末を吸着させて集め、乾燥する。(5)専用のメッシュに(4)で得られた粉末を採取し、TEM用試料を作成し、TEMにて写真撮影する。(7)写真の粉末の長軸長を測り平均する(n=100)。
また、結晶子径(d)の平均値としては、好ましくは0.008〜0.016μmであり、より好ましくは0.010〜0.015μmである。結晶子径(d)が小さくなると粒子性ノイズは低減するが、結晶の成長が不安定になり、強磁性合金粉末の飽和磁化(σs)や磁気異方性が低下する傾向にあり、また、比表面積の増大につながり、分散性を低下させるおそれがある。一方、結晶子径(d)が0.016μmより大きいと、粒子性ノイズが増大しやすくなる。
強磁性合金粉末は、Feを主体とし、必要に応じてさまざまな元素が含有され得るが、特に、強磁性合金粉末の平均長軸長(L)が0.10μm未満である本発明においては、Coを、Feに対して15〜28at%の範囲にて含有することが必要である。Coをこの範囲内で含めることで、強磁性合金粉末の磁気特性を向上させ、高いC/Nを得ることができる。Coの割合が15at%より少ないと、粉末の磁気特性が低くなりやすく、十分なキャリア出力が得られず、また、得られた磁気記録媒体の磁気特性が経時により変化しやすくなる。一方、28at%を超えると、他の元素が含有されている場合に、強磁性合金粉末の結晶子に歪みを生じやすく、粉末の磁気特性が低下し、キャリア出力が低下し、結晶子径が大きくなりやすく、粒子性ノイズが増大しやすくなる。
また、強磁性合金粉末に含有される元素としては、上記FeおよびCoの他、希土類元素やY、Al、Siなどを挙げることができるが、本発明においては、特に、Yを含むことが必要である。通常、これらの含有元素は強磁性合金粉末の表層付近に存在するが、中でも特に、Yは、強磁性合金粉末の製造過程における酸化・還元反応時の熱処理の際に結晶子の形状を変えず、結晶形状を制御するとともに、強磁性合金粉末表面を被うことで強磁性合金粉末の分散性を向上させ、磁気記録媒体の磁気特性および表面性を向上させる。
本発明に使用する強磁性合金粉末は、常用の手段で得ることができるが、この強磁性合金粉末に対するYの添加方法としては、例えば、以下のように行う。すなわち、強磁性合金粉末の原料であるCo含有オキシ水酸化鉄粉末を水溶液中に分散させ、硝酸イットリウムを添加し、更に分散させたのち、上記分散液を50〜60℃に保ち、水酸化ナトリウムにて中和し、Yを上記Co含有オキシ水酸化鉄粉末表面に析出させる。その後、分散液からこのCo含有Y含有オキシ水酸化鉄粉末を濾別し、水洗し、空気中300〜400℃で乾燥、焼成して、Co含有Y含有酸化鉄粉末を得る。さらにこの酸化鉄粉末に対し、回転乾燥炉にて水素ガス気流を導入し、400〜500℃にて10〜15時間還元処理を行い、その後窒素ガスを導入しながら室温まで冷却し、次いで1%の酸素を含む窒素ガスを導入し、5〜10時間徐酸化処理を行い、強磁性合金粉末を得ることができる。
本発明においては、上記のY添加時に、上記Co含有オキシ水酸化鉄粉末の平均長軸長および結晶子径から計算により求められる比表面積に比例して、上記硝酸イットリウムの添加量を調整するなどしてYの含有量を調整することが重要である。そのため、Yの含有量としては、CoやFeの量に対してではなく、強磁性合金粉末の比表面積に比例した量で含有されていることが重要であり、これにより、分散性および磁気特性を最適化することができる。
本発明におけるYの含有量は、強磁性合金粉末を円柱と仮定すると、平均長軸長(L)および結晶子径(d)より計算により求められる比表面積(Sc)に対して、22μmol/m2以上、好ましくは24μmol/m2以上、より好ましくは27μmol/m2以上である。22μmol/m2未満であると強磁性合金粉末の結晶形状に歪みを生じ、かつ、被うためのYの量が少なくなり、強磁性合金粉末の分散性や磁気特性が低下し、磁気記録媒体の表面性や磁気特性が悪化する。そのため、キャリア出力が低下して、ノイズが増え、C/Nが悪くなる。一方、多すぎると強磁性合金粉末の磁気特性である保磁力やσsを悪化させる可能性があるため、Coを除く他の含有元素との総和で、CoおよびFeに対して30at%程度を上限とすることが好ましい。
また、本発明においては、Yの含有量を、強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)に対して規定することもできる。この場合、BET比表面積(Sbet)に対してYの含有量は、20μmol/m2以上、好ましくは22μmol/m2以上、より好ましくは24μmol/m2以上となる。
ここで、上述のYの含有量の算出法について以下に詳述する。
強磁性合金粉末に含有されるYについては、特に、Y原子の粉末表面の表面積あたりの存在量(=比表面積に対する含有量)が重要であることから、以下の計算方法に従い、Yの含有量を、平均長軸長(L)および結晶子径(d)により比表面積(Sc)に対して算出する。
まず、粉末1個を円柱と見立てた体積V1(単位:cm3)は、結晶子径(d)(単位:μm)を円柱の底面の直径とし、平均長軸長(L)(単位:μm)を円柱の高さとすると次式(1)により得られる。
Figure 2007200547
Co−Fe合金の比重がわかれば、この比重D(単位:g/cm3)と粉末1個の体積V1から、1gあたりの粉末の個数n(単位:個/g)は次式(2)により得られる。
Figure 2007200547
ここで、Co−Fe合金の比重(=密度)Dについては、本発明において用いるこの合金の比重が全て同一の値であるとみなし、計算には文献値から求めた値D=6(単位:g/cm3)を用いた。
また、粉末1個を同様に円柱と見立てた表面積S1(単位:m2/個)は、次式(3)により得られる。
Figure 2007200547
通常、粉末の特性の一つとしての1gあたりの粉末の表面積には、BET比表面積という測定値Sbet(単位:m2/g)が用いられるが、これに対して、計算により求められる1gあたりの粉末の比表面積Sc(単位:m2/g)は、上記式(1)〜(3)より、下記の式(4)により得られる。
Figure 2007200547
YのFeおよびCoの総量(Fe+Co)に対する含有量をp(Y)(wt%)とする。磁性粉末表面の表面積あたりのYの存在量は、BET比表面積Sbetを用いて表した場合にはMc(Y,Sbet)(単位:μmol/m2)として、下記の式(5)により得られる。また、粉末を円柱として計算した比表面積Scから求めた場合にはMc(Y,Sc)(単位:μmol/m2)として、下記の式(6)により得られる。尚、上記の式中、Yの原子量はA(Y)として表す。
Figure 2007200547
Figure 2007200547
本発明に係る強磁性合金粉末には、さらに、Alが含まれることが好ましい。上述のように、含有元素は通常、強磁性合金粉末の表層付近に存在するが、特にAlは、強磁性合金粉末の表層に比較的多く存在しており、強磁性合金粉末の製造過程における酸化・還元反応時の熱処理の際に、特に癒着を抑え、結晶形状を均一に保ち、かつ、強磁性合金粉末の分散性を向上させ、磁気記録媒体の磁気特性および表面性を向上させる。
Alの含有量についても、その計算値については上述のYの場合と同様にして求めることができ、対応するMc(Al,Sbet)およびMc(Al,Sc)(いずれも単位:μmol/m2)は夫々下記式(7)、(8)により得られる。尚、下記の式中、Alの原子量はA(Al)として表す。
Figure 2007200547
Figure 2007200547
Alの添加方法としては、上述の、強磁性合金粉末の原料であるオキシ水酸化鉄粉末の製造過程で、Alを添加する。一例としては、硫酸鉄(FeSO4)水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液と、アルミン酸ナトリウムを加え、50〜60℃で空気を6時間吹き込みながら酸化処理を行い、ついで塩化コバルトを加え、30時間放置し、得られた沈殿物を濾別し、水洗し、乾燥することで、Co含有Al含有オキシ水酸化鉄粉末が得られる。
また別の方法として、上記のCo含有Al含有オキシ水酸化鉄粉末の製造過程において、アルミン酸ナトリウムの添加時期を、塩化コバルトを加え30時間放置した後に変更して、添加後炭酸ガスを吹き込み中和させることにより、オキシ水酸化鉄粉末の表面に析出させることもできる。
本発明においては、上記のAl添加時に、予備実験等により予測される上記Co含有Al含有オキシ水酸化鉄粉末の平均長軸長および結晶子径から計算により求められる比表面積に比例して、上記のアルミン酸ナトリウムの添加量を調整するなどしてAlの含有量を調整することが重要である。そこで、Alについても上記Yと同様に強磁性合金粉末の比表面積(Sc)に比例する量で含有させることにより、分散性および磁気特性の最適化を図ることができる。本発明に使用される強磁性合金粉末は、Alの含有量としては、比表面積(Sc)に対して、好ましくは27〜45μmol/m2、より好ましくは27〜40μmol/m2である。27μmol/m2未満であると、強磁性合金粉末の癒着を生じやすく、また分散性が低下しやすく、磁気記録媒体の表面粗度や磁気特性が低下する傾向にあるので、キャリア出力が低下し、ノイズも増大する可能性がある。一方、45μmol/m2より大きいと、比表面積(Sc)に対して、実際の強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)が極端に大きくなる傾向があり、特に分散性が悪化して、媒体の表面粗度および磁気特性が低下する傾向にあるので、キャリア出力が低下し、ノイズも増大する可能性がある。
本発明においては、Alの含有量を強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)に対して規定することもできる。この場合、BET比表面積(Sbet)に対して、Alの含有量は、好ましくは22〜38μmol/m2、より好ましくは22〜34μmol/m2となる。
本発明においては、磁性層中に含まれる強磁性合金粉末が上述の条件を満たしていればよく、これにより本発明の効果を得ることが可能であるが、さらには、以下の要件を満たすことが好ましい。
本発明に係る強磁性合金粉末は、飽和磁化σsが90〜145Am2/kgであることが好ましく、また、より好ましくは、残留磁化σrと飽和磁化σsとの比σr/σsが0.51以上である。σsおよびσr/σsの値をこの範囲とすることにより、さらに媒体の磁気特性が向上する。
磁性層の表面粗度は、中心線平均粗さRaが1〜2.5nm、10点平均粗さRzが10〜25nm、最大高さRmaxが15〜30nmであることが好ましく、より好ましくは、Raが1〜2nm、Rzが10〜20nm、Rmaxが15〜25nmである。かかる表面粗度がこれら範囲を超えるとスペーシングが大きくなり、キャリア出力が低下し、ノイズが増大する傾向がある。また、表面粗度がこれら範囲よりも小さいときは、信頼性を低下させる可能性がある。
本発明の磁気記録媒体が、磁性層と非磁性支持体との間に非磁性層を有する、いわゆる重層媒体の場合、磁性層の平均厚みは、0.03〜0.30μmであることが好ましい。磁性層の平均厚みをこの範囲とすることにより、フェライトヘッドやMIGヘッドを記録再生ヘッドとして使用する場合に、飽和記録および短波長記録の観点から有利となる。一般に、磁性層の厚みが記録波長の1/2〜1/4であると、飽和記録をより効果的に行うことが可能となり、記録波長が短くなるに従い最適な厚みはさらに薄くなる。特に、ノイズを下げるには、厚みを薄くすることが効果的である。この平均厚みが記録波長の1/2より大きいと、飽和記録が行えなくなり、またPRML(Partial Response Maximum Likelihood)やRLL(Run Length Limited)などの変調方式に影響し、キャリア出力を低下させる可能性がある。一方、平均厚みが0.03μm未満では、磁性層の厚み方向における強磁性合金粉末の個数が少なくなって、磁束密度が低下し、キャリア出力が得られにくくなる。
また、本発明における磁性層は、記録再生ヘッドによる磁気記録方向、すなわち、本発明の磁気記録媒体が磁気テープの場合の長手方向の角形比(残留磁束密度/飽和磁束密度)が0.88以上であることが好ましく、より好ましくは0.90以上である。また、同時に、磁気テープの長手方向の配向度(長手方向の角形比/幅方向の角形比)が3.0以上であることが好ましく、より好ましくは3.2以上である。角形比および配向度を高めることで、キャリア出力を上げ、さらにノイズを低減し、C/Nなどの電磁変換特性をより向上させることができる。
この角形比は、1.0に近づくほど電磁変換特性が良好となるが、0.88未満だと劣る結果となる。また、配向度も大きい程キャリア出力が増加し、ノイズも低減するなど良好となるが、3.0未満だと強磁性合金粉末の並びが乱れ、キャリア出力が低下し、ノイズが増え、C/N等の電磁変換特性の低下を招きやすい。なお、通常は5程度が上限と考えられる。
本発明の磁気記録媒体では、長手方向の保磁力が165〜250kA/mであることが好ましく、より好ましくは170〜250kA/mである。この範囲内の保磁力が高密度記録に適しており、250kA/mより大きいと、記録ヘッドの性能にも左右されるが、書き込みが不十分となる可能性がある。一方、165kA/mより小さいと、特に、短波長領域のキャリア出力を低下させる可能性がある。
また、本発明の磁気記録媒体では、長手方向の残留磁束密度が200〜400mTであることが好ましく、より好ましくは250〜370mTである。結合剤に対する強磁性合金粉末の比率を高め、この残留磁束密度が400mTより大きくなると、耐久走行性を悪化させる可能性がある。一方、200mTより小さいと、キャリア出力が低下し、C/Nを悪化させる可能性がある。
なお、本発明の磁気記録媒体がMRヘッドを再生ヘッドとして搭載するシステムに使用されるときには、残留磁束密度はある程度必要であるが、残留磁化が大きすぎるとMR素子が飽和して磁場変化を感知しにくくなる。また、再生信号の孤立波形のピーク部における半値幅(PW50)を小さくする必要がある。このため、MRヘッドのメリットを活かすために、磁性層の平均厚みが0.03〜0.30μm、好ましくは0.04〜0.10μmであって、かつ、残留磁化を10〜35mT・μmとする。これにより、このMR素子の飽和を避け、孤立波形のPW50を小さくし、高密度の磁気記録媒体を提供することができるようになる。
さらに、本発明の磁気記録媒体においては、長手方向のSFD(スイッチング・フィールド・ディストリビューション)についても着目した。SFDは、磁気記録媒体における、磁界強度に対する磁束変化の速度(レスポンス)の尺度である。また、強磁性合金粉末の寸法のばらつきの尺度でもある。SFDが限りなくゼロに近づくことが理想であり、強磁性合金粉末が均一であり、かつレスポンスが良いと、記録信号の転送レートをより速くすることができる。磁気記録媒体の磁気特性の測定においては、通常、横軸に磁界(Hf)、縦軸に磁束(Mf)をとってヒステリシス磁化曲線を得るが、さらに、MfをHfで微分して、横軸に(Hf)、縦軸に微分量(dMf/dHf)をとったグラフを得ることができる。こうして得られたグラフは、磁気記録媒体の保磁力(Hc)の付近で微分値(dMf/dHf)が最大となり、その前後で裾を広げた山状の形である。この山状の部分にて、保磁力(Hc)における(dMf/dHf)の半値幅(ΔHa)、つまり最大微分値の50%でのΔHfを得ることができ、この半値幅(ΔHa)と保磁力(Hc)から、SFD=(ΔHa/Hc)が得られる。このSFDは、測定時の磁界の増加速度(スイープ速度)により異なる値をとり、増加速度を小さくするほど小さな値になる。増加速度を0に近づけると、ある一定値に収束する。そのため、本発明におけるSFDの値は、実際に測定した異なる2点のスイープ速度におけるSFDの値を基に、スイープ速度を0に内挿した値をSFD補正値として求めた。本発明においては、この方法で得られたSFD補正値が0.30以下であることが好ましく、より好ましくは0.27以下である。SFD補正値が0.30より大きいと、レスポンスが悪く、ノイズが高くなりやすい。
本発明において用いられる非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の公知のフィルムを使用することができる。
本発明の磁気記録媒体が重層媒体である場合の非磁性層の膜厚は、平均厚みが好ましくは0.5〜2.0μm、より好ましくは0.5〜1.0μmである。この平均膜厚が0.5μm未満では、非磁性支持体のフィラーの影響を受けて磁性層の表面性が悪化すると同時に、摩擦が上昇し、耐久走行性が悪化する可能性がある。一方、2.0μmを超えると、塗膜を設ける際に厚みが不均一になり易く、塗布条件が厳しくなり、表面平滑性も悪くなりがちになる。
非磁性層は、樹脂と、必要に応じてヘマタイト、酸化チタン、ゲーサイト等の粒状または針状の非磁性粉、潤滑剤、カーボンブラック等の導電材などを含有してもよく、かかる非磁性粉は、非磁性針状粉とすることが好ましい。この非磁性針状粉は、その平均長軸長が0.05〜0.10μmであることが好ましく、また、その針状比(平均長軸長と平均短軸長との比)は3〜8であることが好ましい。使用する非磁性針状粉の平均長軸長および針状比をこれら範囲内とすることで、表面性と信頼性とを両立させることができる。
非磁性層における非磁性針状粉の種類は、必要に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは針状ゲーサイトを使用する。さらにその平均長軸長を上記範囲内の0.05〜0.10μmとすることで分散性が良好となり、本発明における非磁性層および磁性層の表面粗度が良好となり、優れたC/N特性を発揮することが可能となる。
また、磁気テープの場合、磁性層と、所望に応じて非磁性層の他に、バックコート層を設けてもよい。バックコート層は、走行安定性の改善、媒体の帯電防止、遮光性の調整等のために設けられる。バックコート層には、20〜80重量%のカーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックの含有量が少なすぎると帯電防止や遮光効果が低下する傾向があり、さらに走行安定性が低下しやすくなる。また、光透過率が高いと、テープ端を光透過率の変化で検出する方式では問題となる。一方、カーボンブラックの含有量が多すぎるとバックコート層の結合剤が不足して強度が低下し、走行耐久性が悪化しやすくなる。カーボンブラックは、通常使用されるものから適宜選択することができ、その平均粒径は、0.005〜0.3μm程度が好ましい。また、バックコート層の信頼性を高めるために、無機顔料、有機顔料、潤滑剤などを適宜含有させることがより好ましい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層、非磁性層、およびバックコート層に使用される結合剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、電子線硬化型樹脂等が用いられ、その組み合わせは媒体の特性、工程条件に合わせて適宜選択して使用される。
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について詳述する。
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料の製造工程には、必要に応じて、使用材料の全てまたは一部を混練する工程と、得られた混練物を有機溶媒または水系溶媒と必要に応じて上記材料の一部を添加し混合・希釈する工程と、分散機にかけて分散する工程と、必要に応じて、分散途中に上記材料の一部を添加し混合後、さらに分散する工程と、有機溶媒または水系溶媒と必要に応じて上記材料の一部を混合する工程などがあり、これら工程をこの順番で、または順番を前後させ、あるいは重複させることにより目的に応じた一連の工程とすることができる。
上記分散する工程では、SiO2(真比重2〜3.2)などからなるガラスビーズ、ZrO2(真比重6)やTiO2(真比重4)などからなるセラミックビーズ、鉄球(真比重6)などから選ばれた分散メディアを分散機に充填し、運転しながら、磁性塗料を該分散機内に通すことで分散処理を行う。
本発明に係る磁性塗料の分散工程においては、必要に応じて適宜上記分散メディアの中から最適なものを選択することができるが、平均粒径0.1〜0.8mmでかつ真比重4以上のセラミックビーズを使用することが好ましく、さらに好ましくは当該セラミックビーズが平均粒径0.1〜0.5mmのZrO2である。分散メディアの平均粒径および真比重を上記範囲内とすることで、分散メディアが小さく、数が多く、しかも分散メディア粒子あたりの重量が大きくなる結果、分散強度が向上して、磁性塗料中の強磁性合金粉末の分散性が良好となり、電磁変換特性をより向上させることが可能となる。
また、使用する分散メディアの可溶性イオンは、ナトリウム(Na+)、カルシウム(Ca2+)でそれぞれ100ppm以下が好ましく、総イオンで100ppm以下が、より好ましい。可溶性イオン量を上記範囲とすることで、磁性塗料中の強磁性合金粉末、あるいは他の材料と可溶性イオンとの反応がしにくくなり、特に、信頼性の向上を図ることができる。
本発明に係る磁性塗料の分散工程においては、所望に応じて適宜上記分散機の運転条件を選ぶことができるが、分散機の運転周速を8m/s以上とすることが好ましく、8〜15m/sとすることが、より好ましい。運転条件として、周速を8m/s以上とすることで、分散メディアの動きが促進され、分散エネルギーが高まることで分散強度を向上させることができる。この際、周速の上昇に伴って、磁性塗料の温度が上がってしまうため、周速が15m/s以下であっても、磁性塗料中に含まれる材料が変性しないように、冷却効率および周速調整を行うことが、より好ましい。また、磁性塗料の分散時における温度は0〜60℃が好ましく、10〜40℃が、より好ましい。
本発明の磁性層の製造工程は、必要に応じて、非磁性支持体上に、重層媒体の場合には、非磁性層を設けた後または非磁性層の塗設と同時に、磁性塗料を非磁性層上に塗布する工程と、予備配向・乾燥させる工程と、本配向させる工程と、本乾燥させる工程と、加工する工程などを順番に、あるいは重複させて適宜選択することができる。
かかる塗布する工程では、超音波分散機による超音波処理を施した磁性塗料を塗布することが好ましい。また、超音波分散機の容量をMus、超音波分散機を通過させる磁性塗料の流量をFとしたとき、磁性塗料が超音波分散機を通過後塗布されるまでの時間Tが次式、T<500×Mus/Fで表される関係を満足することが、より好ましい。超音波分散機を使用することで、磁性塗料中の粒子に適度なエネルギーを与え、磁性塗料の降伏値を下げ、粒子を塗布直前に再分散させることで、塗布の際のスムージングを促進させることができ、この結果、表面性が向上し、さらには媒体の磁気特性、特に配向度および角形比が向上する。
上述の本配向させる工程では、配向磁石として永久磁石や電磁石などを使用することができるが、好ましくは電磁石を使用し、また好ましくは、磁性塗料中の強磁性合金粉末の保磁力の2.5倍以上の磁場にて配向させる。さらに、磁性塗料を塗布後、未乾燥の状態で10秒間以内に電磁石の磁場に到達させることがより好ましく、電磁石内に送風し、磁場内にて乾燥することが更に好ましい。このようにして配向させることで、磁性層の角形比、配向度がより向上する。
尚、本発明の磁気記録媒体が重層媒体である場合の磁性層の塗設においては、非磁性層上に磁性層を設ける際、非磁性層が湿潤状態にてその上に磁性塗料が設けられる、いわゆるウェット・オン・ウェット塗布、または非磁性層が少なくとも乾いている状態でその上に磁性層が設けられる、いわゆるウェット・オン・ドライ塗布のいずれをも選択することができる。好ましくは、複数の層の界面変動を抑えるために有利なウェット・オン・ドライ塗布を用いる。
ウェット・オン・ドライ塗布により磁性層を設ける際、磁性塗料中の溶媒が、すでに設けてある非磁性層を侵すか、あるいは非磁性層に浸み込み該非磁性層を膨潤させて非磁性層の表面性を悪化させたり、非磁性層と磁性層との界面変動を大きくしてしまう可能性がある。こうした不具合の解決方法として、非磁性層表面の耐溶媒性(耐溶剤性)を強化するため、非磁性層に含まれる結合剤に対し、あるエネルギーを与えて架橋(硬化)させることが好ましい。
かかる硬化手段として、硬化させたい非磁性層の塗膜に熱反応性の架橋剤を含有させ、乾燥後にある温度で一定時間保存することで硬化させる熱硬化方法を用いることも可能であるが、硬化時間を極力短くして、例えば、オンラインにて非磁性層および磁性層を設けることを可能にし、かつ、非磁性層塗設済みの支持体が長尺あるいは重いロール状であることに基づく折り重ねまたはその重量による熱変形を避ける方策として、以下に述べる電子線硬化方法を採用することが、より好ましい。
即ち、非磁性層に少なくとも電子線官能基を含有する電子線硬化型樹脂を含め、かつ電子線の照射によって電子線官能基を反応させて樹脂を架橋することで非磁性層が硬化するようにすることが、より好ましい。この方法だと、電子線の照射だけで済むため、非磁性層が短時間で硬化され、また熱変形を極力避けることができる。電子線官能基を含有する樹脂は、塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン樹脂や、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ系樹脂,フェノキシ系樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリブタジエンエラストマー、塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、エポキシ変性ゴム等の熱可塑性樹脂に公知の手法により、(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線感応変性を行ったものを使用することができる。また、その電子線官能基含有量は、製造時の安定性、電子線硬化性等から水酸基成分中1〜40モル%、好ましくは10〜30モル%であり、とくに塩化ビニル系共重合体の場合、1分子あたり1〜20個、好ましくは2〜10個の官能基となるようにモノマーを反応させると、分散性、硬化性ともに優れた電子線硬化性樹脂を得ることができる。さらに、末端や側鎖に極性基として−COOH、−SO3M、−OSO3M、−OPO3M、−PO3M、−PO2M、−N+R3Cl-、−NR2(ここでMはHまたはアルカリ金属、RはH、メチルまたはエチル)等をはじめとする酸性極性基、塩基性極性基等を含有することが好ましく、これらの含有は分散性の向上に好適である。
電子線の照射量としてはその非磁性層の吸収線量で示され、大きい方がより硬化する。照射量は2.5〜20Mradが好ましく、3.5〜20Mradがより好ましく、4〜18Mradが更に好ましい。この照射量が小さ過ぎると、硬化が不十分であり、磁性層を設ける際、非磁性層が磁性塗料中の溶剤により侵される。一方、大き過ぎると、樹脂の構造および非磁性支持体を破壊してしまうおそれがあり、信頼性の低下を招きやすくなる。
尚、ウェット・オン・ドライ塗布により磁性層を設ける場合には、塗布すじの発生を防止し、十分な配向処理を行うために、磁性塗料の固形分濃度を5〜20重量%に調整することが好ましい。
本発明の磁気記録媒体に係る強磁性合金粉末は、常法に従い製造することが可能である。また、本発明の磁気記録媒体においては、上記以外の材料については公知の材料を、またその製造方法については公知の工程を、特に制限されることなく目的に応じて適宜用いることができる。
以下、本発明を具体的に実施例を挙げて詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下に挙げる組成表の右に示した数字はすべて重量部である。
まず、以下において示す各種物性値の測定方法について説明する。
(磁気特性)
東英工業(株)製のVSMにてテープ長手方向の特性を測定した。保磁力、SFD測定スイープ速度は以下の通りである。
印可磁界:1.2MA/m、拡大レンジ:400kA/m
Waiting Time/Time Constant=0.1/0.03
スイープ速度:毎分745kA/m、毎分306kA/m
SFD補正値:スイープ速度を上記2条件で測定した実測値2点からスイープ速度0に内挿した値
(表面粗度)
「TALYSTEPシステム」(テーラーホブソン社製)を用い、JIS B0601に基づいてRa、Rz、Rmaxの測定を行った。ただし測定機の条件としては、フィルター0.38〜9.00Hz、触針0.1×2.5μmスタイラス、触針圧2mg、測定スピード0.03mm/sec、測定長さ500μmである。
(キャリア出力、ノイズ出力、及びC/N特性)
DDS−4データドライブにて、周波数27MHzの単一信号を記録再生し、27MHzのキャリア出力と、ノイズ出力としての1MHz離れた28MHzのキャリア出力を測定し、その差をC/N特性としてdB表示にて示した。このキャリア出力、ノイズ出力及びC/N特性の測定を、以下の各実施例および比較例で得られたサンプルについて実施した。測定結果は、比較例1を0dBとした相対値で示した。測定条件は下記の通りである。
測定周波数:27MHz、トラック幅:5.4μm、トラック密度:4.7kbpi、記録波長:0.51μm、線記録密度:81kbpi
[実施例1]
下記の組成表に従って非磁性層塗料、磁性塗料およびバックコート塗料を調製した。
非磁性層塗料
針状非磁性粉(ゲーサイト、比重:約4) 80
平均長軸長0.10μm、平均短軸長0.013μm
BET比表面積60m2/g、pH8.5
嵩密度0.65g/cm3
表面処理 Al=0.5重量%
カーボンブラック 20
平均粒径0.017μm、BET比表面積250m2/g
DBP吸油量70cc/100g、pH7.4
酸化アルミニウム(モース硬度9) 5
平均粒径0.2μm、BET比表面積9.5m2/g
[住友化学工業(株)製 HIT−50]
分散剤(フェニルホスホン酸) 3
分散剤(リン酸エステル) 1
[東邦化学(株)製 RE−610]
電子線硬化性塩化ビニル系樹脂[NV30%] 38
塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体
平均重合度 310
エポキシ含有量 3重量%
S(イオウ)含有量 0.6重量%
アクリル含有量 6個/1分子
Tg 60℃
電子線硬化性ポリウレタン樹脂[NV35%] 25
リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリウレタン
Mn(数平均分子量) 26000
アクリル含有量6個/1分子
Tg 16℃
メチルエチルケトン 115
トルエン 115
シクロヘキサノン 98
(小計500)
以上の組成物の一部を混練後、溶解時に上記組成に合わせ、中心粒径0.5mmのジルコニアビーズを充填させた横型サンドグラインダーミル(周速8m/s)にて滞留時間100分間で分散した後、下記の組成物を添加して、非磁性層塗料を作成した。
ステアリン酸ブチル 1
ステアリン酸 2
ステアリン酸アミド 1
メチルエチルケトン 34
トルエン 34
シクロヘキサノン 28
(計600)
磁性塗料
強磁性合金粉末 100
(下記表2に示す強磁性合金粉末:a−1)
分散剤(リン酸エステル) 3
[東邦化学(株)製 RE−610]
カーボンブラック 0.5
平均粒径0.03μm、BET比表面積70m2/g
DBP吸油量48ml/100g、pH7.0
酸化アルミニウム 10
平均粒径0.08μm
[住友化学工業(株)製 HIT−102]
塩化ビニル系樹脂 15
[日本ゼオン(株)製 MR−110]
ポリエステルポリウレタン樹脂[NV30%] 10
極性基 スルホン酸ナトリウム含有
[東洋紡(株)製 UR−8300]
メチルエチルケトン 89
トルエン 89
シクロヘキサノン 89
(小計405.5)
以上の組成物の一部を混練後、溶解時に上記組成に合わせ、中心粒径0.5mmのジルコニアビーズを充填させた横型サンドグラインダーミル(周速8m/s)にて滞留時間100分間で分散した後、下記の組成物を添加して磁性塗料を調製した。
ステアリン酸ブチル 1
ステアリン酸 1
メチルエチルケトン 35
トルエン 35
シクロヘキサノン 328
( 計805.5)
塗布直前、磁性塗料に、架橋剤として日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(固形分75%)を、塗料中の樹脂分に対し33重量%加えた。得られた磁性塗料は、固形分濃度が16.1重量%であった。
バックコート塗料
カーボンブラック(平均一次粒径0.017μm) 100
分散剤 2
研磨材[粒状α酸化鉄](平均一次粒径0.10μm) 5
ニトロセルロース[NV70%] 85
極性基含有ポリエステルポリウレタン樹脂[NV30%] 85
メチルエチルケトン 210
トルエン 240
シクロヘキサノン 73
(小計800)
以上の組成物の一部を混練後、溶解時に上記組成に調整し分散した後、下記の組成物を添加して、さらに分散してバックコート塗料を調製した。
ニトロセルロース[NV70%] 20
極性基含有ポリエステルポリウレタン樹脂[NV40%] 27
メチルエチルケトン 420
トルエン 420
シクロヘキサノン 113
(計1800)
塗布直前、バックコート塗料に、架橋剤として日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(固形分75%)を、塗料中の樹脂分に対し20重量%加えた。
厚み3.6μmの芳香族系ポリアミド(PA)フィルム(ヤング率 長手方向/幅方向=11.5/13.5GPa、磁性面側Ra=1.5nm、裏面Ra=5.8nm)上に塗布スピード150m/minにて非磁性層塗料をエクストルージョン式ダイノズルコーターにより塗布し、乾燥後、カレンダーにて加工した。次いで、窒素ガス雰囲気中で電子線を照射し硬化させた非磁性層上に、99.9%濾過精度0.5μmのフィルターを用い滞留時間15分にて濾過した磁性塗料に、超音波分散を施し、5分以内にエクストルージョン式ダイノズルコーターにより塗布した。次いで、乾燥炉内にて700mTの電磁石を直列に2連にて、磁性塗料塗布後6秒以内に配向処理し、かつ電磁石内におよそ50℃の送風を施して乾燥し、その後100〜110℃の本乾燥工程を経て磁性層を設け、原反をカレンダーにて加工処理した。さらに、裏面にバックコート塗料を塗布、乾燥させ巻き取った。こうして磁性層厚0.17μmおよび非磁性層厚0.9μm、バックコート層0.5μmをフィルムに形成した。このロールを24時間以上放置後、60℃の環境にて24時間以上放置し、放冷後、3.80mm幅にスリットし、テープサンプルを得た。これを実施例1とした。なお電子線照射とカレンダー加工条件は以下の通りである。
電子線照射条件:エレクトロカーテンタイプ電子線加速装置
加速電圧 250keV
電極電流 200mA
吸収線量 6Mrad
加工条件:スチール・エラスティックロールの7ニップカレンダー
スチール接触面 非磁性層および磁性層側
ロール温度 100℃
線圧 3430N/cm
スピード 150m/min
得られた非磁性層の表面粗度は、加工前でRa/Rz/Rmaxが4.1/34.0/38.0nm、加工後で同1.9/19.1/23.8nmであった。また、バックコート層の表面粗度は、加工前後で変化はなく、Ra/Rz/Rmaxが13.0/110/130nmであった。以下のサンプルについても同様の非磁性層およびバックコート層を用いてサンプルを作製した。
[実施例2〜4]
実施例1の磁性層の厚みを下記の表1に示すように変更し、かつ磁性塗料の固形分濃度を調整することで以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4を得た。
Figure 2007200547
[実施例5〜15および比較例1〜4]
磁性塗料の強磁性合金粉末を、夫々下記表2及び3に示すa−2〜a−12およびb−1〜b−4に変更し、それ以外は実施例3と同様にしてサンプルを作製し、それぞれ実施例5〜15および比較例1〜4とした。
上記実施例および比較例にて使用した強磁性合金粉末a−1〜a−12およびb−1〜b−4の主な特性を下記の表2及び3に、また、作製したサンプルの評価結果を下記の表4及び5に夫々示す。
Figure 2007200547
Figure 2007200547
Figure 2007200547
Figure 2007200547
以上より上記表4及び5の評価結果から、実施例の磁気記録媒体は、いずれも比較例の磁気記録媒体に比べて、諸特性のバランスがとれ、結果としてC/N特性に優れた磁気記録媒体であることが理解される。

Claims (5)

  1. 非磁性支持体上の少なくとも片面に形成された磁性層に結合剤とともに主体として含まれる強磁性合金粉末の平均長軸長(L)が0.10μm未満であり、該強磁性合金粉末が、Coを、Feに対して15〜28at%含有し、かつ、Yを、前記平均長軸長(L)および結晶子径(d)により算出される比表面積(Sc)に対して22μmol/m2以上含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記強磁性合金粉末が、Alを、前記比表面積(Sc)に対して27〜45μmol/m2の範囲内で含有する請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 非磁性支持体上の少なくとも片面に形成された磁性層に結合剤とともに主体として含まれる強磁性合金粉末の平均長軸長(L)が0.10μm未満であり、該強磁性合金粉末が、Coを、Feに対して15〜28at%含有し、かつ、Yを、該強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)に対して20μmol/m2以上含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 前記強磁性合金粉末が、Alを、前記強磁性合金粉末のBET比表面積(Sbet)に対して22〜38μmol/m2の範囲内で含有する請求項3記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性層の平均厚みが0.03〜0.30μmであり、かつ、前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性層を有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の磁気記録媒体。
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