JP2007196627A - 芳香性を有する意匠鋼板及びその製造方法 - Google Patents

芳香性を有する意匠鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 長期にわたり良好な芳香性を維持し、簡単な摺擦で芳香を発する意匠鋼板を提供する。
【解決手段】 下地鋼板の表面に設けた熱硬化性塗膜を昇華性染料で染着し、熱硬化性塗膜層に染料染着層を形成する。次いで、意匠が施された染料染着層の上に、香料を内包した樹脂製マイクロカプセルを配合したクリア塗料を塗布し、樹脂製マイクロカプセルの殻材及び塗膜のバインダ樹脂の溶融温度より高い温度で加熱・乾燥することにより芳香性塗膜が形成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、意匠性の高い模様を昇華転写で付与した染料染着層の上に、長期間にわたって芳香を発するクリア塗膜が形成され、内装材、表装材等として使用される意匠鋼板及びその製造方法に関する。
自動車室内の閉鎖空間には、不快感を催す悪臭が発ち込みやすいので、芳香剤を配置して悪臭を緩和している。しかし、芳香剤に含まれる溶剤は、室内部品の表層に溶け込みやすく汚染、劣化等の原因となる。そこで、芳香性を付与する壁面材で閉鎖空間を区画することにより、芳香剤を使用せずに不快感のない雰囲気にすることが検討されている。例えば、多孔質粒子単体に香料を担持させた芳香剤を分散した塗膜(特許文献1)、温度上昇に伴いゲルから液相に変化する機能性分子で作られ、芳香剤を封入したカプセル(特許文献2)、マイクロカプセル表面を低極性化したマイクロカプセルを表層に配向させた塗膜(特許文献3)、紫外線吸収剤、光安定剤の配合で耐候性を改善した芳香性塗料(特許文献4)等
特開昭63−284271号公報 特開昭63−97168号公報 特開平3−250063号公報 特開平4−202483号公報
特許文献1、3、4の芳香性塗料は、製膜された塗膜から芳香が徐々に発せられることを前提に開発された塗料であるため、芳香が弱く持続性にも限界がある。特許文献2の芳香性塗料は、芳香を発散させるためには温度制御が必要であり、必要なときに簡単な手段で芳香を発せられない。
一方、家電製品や内装材,外装材等では、意匠鋼板を用いて高級な外観を付与した製品に対する要求が強い。この種の意匠鋼板は、めっき鋼板,ステンレス鋼板,冷延鋼板等の基材鋼板に設けたベースコート塗膜にグラビア印刷,オフセット印刷等で模様を直接形成し、その上に透明樹脂の保護塗膜を設けている。予め意匠模様を印刷したフィルムをベースコート塗膜にラミネートする場合もある。版ロールを必要とするグラビア印刷,オフセット印刷等によるとき多様なユーザニーズに対応する意匠模様を発現することが面倒であるので、最近では昇華性染料の熱転写によって意匠模様を付与する方法が注目されている(特許文献5,6)。熱転写方式では、所定パターンで昇華性染料を塗布した転写シートを用意し、ベースコート塗膜を設けた塗装金属板の塗装面に写し絵のように昇華転写させている。製造ロットに必要な枚数だけカラーゼログラフィ等で転写シートを製造できるので、版ロールを用いる場合に比較して小ロット生産であっても製造コストを著しく節減できる。
特開平8−24778号公報 特開2002−59078号公報
環境の悪化に伴い悪臭発生源が多くなっている昨今、悪臭を緩和する芳香を簡単に且つ随時発することが可能になると、車両の搭乗者等に与える苦痛が軽減される。本発明等は、塗膜の性状と芳香性付与との関係を種々調査・検討した。その結果、摩擦により破胞しやすい形態で芳香剤内包マイクロカプセルを塗膜に分散させると、簡単に芳香を発することができ、芳香の発生も長時間持続されることを見出した。
さらに、意匠に応じた芳香を付与するため、加熱された昇華性染料の挙動に着目し、塗装鋼板の熱硬化性塗膜に昇華性染料を一旦浸透させた後、クリア塗膜の加熱焼成時に熱硬化性塗膜からクリア塗膜に昇華性染料を再浸透させることにより、通常の転写シートを使用した簡便な方法で鮮明度,深み感に優れた印刷模様を発現させ、その上に芳香剤内包マイクロカプセルの分散形態を改良することにより、摩擦によるマイクロカプセルの破胞を容易にし、芳香を簡単且つ随時発生可能にしながら長期にわたって芳香発散機能を持続する芳香性を有する意匠鋼板を提供することを目的とする。
本発明の芳香性を有する意匠鋼板は、昇華性染料で染着された熱硬化性塗膜により意匠模様が発現している。鋼板表面に熱硬化性塗膜を設けた後、熱硬化性塗膜を昇華性染料で染着した染料染着層が形成される。その染料染着層の上に、芳香剤を内包した樹脂製のマイクロカプセルが分散したクリア塗膜を形成し、マイクロカプセルの粒径Dと塗膜の膜厚tとの間にD=(1.5〜8)×tの関係を成立させている。好ましくは、1.0〜40μmの範囲でマイクロカプセルの粒径Dが定められ、0.3μm以上にクリア塗膜の膜厚tが調整される。クリア塗膜に対するマイクロカプセルの添加量は、マイクロカプセル/(樹脂固形分+マイクロカプセル)の比として20〜30質量%の範囲で選定される。芳香剤内包カプセルが分散したクリア塗膜は、マイクロカプセルを配合した塗料を染料染着層の上に塗布し、マイクロカプセルの殻材及び塗膜のバインダ樹脂の溶融温度より高い温度で過熱・乾燥することにより形成される。本発明では、熱硬化性塗膜と芳香剤内包カプセルが分散したクリア塗膜との間に昇華染料を拡散染着させるクリア塗膜層を設けてもよい。また、下地鋼板の意匠を活かすため、染料染着層を形成する熱硬化性塗膜をクリア塗膜にしてもよい。
本発明の芳香性を有する意匠鋼板では、マイクロカプセルの粒径Dと塗膜の膜厚tとの間に関係式:D=(1.5〜8)×tを成立させている。マイクロカプセルの粒径Dが膜厚tとの関係で適正な範囲にあるため、染料染着層上のクリア塗膜からマイクロカプセルが破胞しやすい状態で突出する。
マイクロカプセルが頭出ししたクリア塗膜に摩擦力Fが加わると、マイクロカプセルの突出部が破胞して芳香剤が流出し芳香を発する。摩擦力Fは、手、ガーゼ、ハンカチ等の摺擦素材を擦り付けることにより付与されるが、摺擦素材にある凹凸のため擦られない表面部がクリア塗膜に存在する。そのため、一回の摩擦で破胞しないマイクロカプセルが、次に摩擦力Fが加わったとき破胞し芳香発生源となる。また、クリア塗膜の膜厚tとの関係でマイクロカプセルの粒径Dが規制されているので、全てのマイクロカプセルが塗膜から頭出ししており、芳香発生源として働く。
マイクロカプセルは、相当部分がクリア塗膜に埋め込められているので、摩擦力Fが加えられても塗膜から脱落することはない。マイクロカプセルの脱落防止は、クリア塗膜のバインダ樹脂、マイクロカプセルの殻材の溶融温度よりも高い温度で塗料を加熱・乾燥してマイクロカプセルをクリア塗膜に融着一体化することにより一層確実になる。D=(1.5〜8)×tの関係は、芳香発生に寄与する芳香剤の割合を高める上でも有効である。因みに、D<1.5×tと小粒径のマイクロカプセルを分散させた塗膜では、クリア塗膜からマイクロカプセルが頭出ししている部分が極僅かなため、摩擦力Fが加わっても破胞し難く、芳香発生に寄与しない芳香剤の割合が高くなる。逆に、D>8×tと大粒径のマイクロカプセルを分散させた塗膜では、マイクロカプセルを確保するクリア塗膜の保持力が弱いため僅かな摩擦力Fでもマイクロカプセルが簡単にクリア塗膜から脱落し、内包された芳香剤が浪費される
下地鋼板には、普通鋼板、低合金鋼板、特殊鋼鋼板、各種めっき鋼板、ステンレス鋼板等、多種多様な鋼板が使用される。下地鋼板には、サンドブラストなどの機械的あるいはエッチングなどの化学的に凹凸を設けたものを使用してもよい。熱硬化性塗膜を下地鋼板に直接設けても良いが、必要に応じて防錆顔料を配合したプライマ塗膜を介して熱硬化性塗膜を積層することも可能である。熱硬化性塗膜は、転写シートから移行してくる昇華性染料を受容してよく染まる染着性樹脂である限り、樹脂種に特段の制約が加わらない。具体的には、ポリビニルアルコール,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセタール,ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,ポリビニルピロリドン,ポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート,ポリブチル(メタ)アクリレート,ポリアクリルアミド,ポリアクリロニトリル等のアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリウレタン樹脂,ポリアミド樹脂,尿素樹脂,ポリカプロラクトン樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリスルホン樹脂,シリコーンポリエステル樹脂,エポキシ樹脂や、これら樹脂の共重合体又は混合物が染着性樹脂として使用される。なかでも、昇華性染料に高い染着性を示すポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂,シリコーンポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等が好ましい。染着性樹脂に配合される架橋剤には、メラミン系やイソシアネート系の架橋剤が挙げられる。
熱硬化性塗膜は、膜厚:3μm以上で形成することが好ましい。3μm未満の膜厚では昇華性染料を十分に染着できないため、熱硬化性塗膜の上にクリア塗膜を積層しても十分な濃度のある色調の発現が困難になる。熱硬化性塗膜は、意匠模様の視認性を高める上で白色系の塗膜を基本とするが、場合によっては意匠模様の背景となる色調を付与することも可能である。或いは、下地鋼板の表面光沢を活用するため、透明度の高い熱硬化性塗膜を設けても良い。
熱硬化性塗膜の染着に、昇華性染料を所定パターンで塗布した転写シートが使用される。転写シートは、電子写真法,静電記録法,インクジェット法,感熱転写法等でベースシートに昇華性染料を塗布することにより、製造ロットごとに必要な枚数だけ用意される。昇華性染料としては、大気圧下70〜260℃で昇華又は蒸発する染料が好ましい。具体的には、アゾ、アントラキノン,キノフタロン,スチリル,ジフェニルメタン,トリフェニルメタン,オキサジン,トリアジン,キサンテン,メチン,アゾメチン,アクリジン,ジアジン等の染料が挙げられる。他に、1,4-ジメチルアミノアントラキノン,臭化又は塩化1,5-ジハイドロオキシ-4,8-ジアミノ-アントラキノン,1,4-ジアミノ-2,3-ジクロロ-アントラキノン,1-アミノ-ハイドロオキシ-アントラキノン,1-アミノ-4-ハイドロオキシ-2-(β-メトキシ-エトキシ)-アントラキノン,1,4-ジアミノ-アントラキノン-2-カルボキシル酸のメチル,エチル,プロピル,ブチルエステル,1-アミノ-4-アニリド-アントラキノン,1-アミノ-2-シアノ-4-アニリド(又はシクロヘキシアミノ)-アントラキノン,1-ハイドロオキシ-2-(p-アセトアミノ-フェニルアゾ)-4-メチルベンゼン,3-メチル-4-(ニトロフェニルアゾ)-ピラゾロン,3-ハイドロキシ-キノフタロン等も使用できる。マラカイトグリーン,メチルバイオレット,酢酸ナトリウム,ナトリウムエタレート,ナトリウムメチレート等で変性した塩基性染料も使用可能である。
下地鋼板に熱硬化性塗膜を設けた塗装金属板に転写シートを重ね合わせて加圧・加熱すると、転写シートに塗布されている昇華性染料が昇華して熱硬化性塗膜に移行する。転写シートから熱硬化性塗膜への昇華性染料の移行により、熱硬化性塗膜の表層に染料染着層が形成される。好ましくは圧力:0.05〜0.5kg/cm2,温度:140〜230℃の範囲で昇華転写条件を選定すると、染料染着層の形成域が熱硬化性塗膜の極表層に限定される。昇華転写時に加える圧力としては、転写シートを重ねた塗装金属板を気密封止して真空吸引することにより発生する負圧も利用できる。染料染着層が形成された熱硬化性塗膜の上に、芳香剤内包マイクロカプセルを分散させたクリア塗料を塗装する。芳香剤内包カプセルとしては、染料染着層やクリア塗料樹脂に対する馴染み性を考慮するとシリカ等の無機系よりも樹脂系殻材をもつカプセルが好ましい。殻材の樹脂には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、メラミン樹脂、尿素樹脂、澱粉、ゼラチン、カゼイン等がある。芳香剤は芳香成分、溶剤成分を主成分とし、発香成分は天然香料、合成香料、調合香料の何れであってもよく、用途に応じてフローラル、フルーティ、シトラス等の香りを適宜選択できる。芳香剤内包カプセルは、例えば芳香剤を乳化分散させた水溶液に殻材となるプレポリマーを添加し、プレポリマーを樹脂化すると同時に芳香剤表面に吸着させて連続膜とし、水分を蒸発させ、乾燥することにより製造される。マイクロカプセルの粒径Dは、芳香剤の乳化分散時の攪拌条件や乳化剤の種類、殻材に用いられる樹脂種やその濃度により定まる殻材の厚み等の影響を受ける。これら製造条件によって、マイクロカプセルの粒径Dを塗膜の膜厚tの(1.5〜8)倍の範囲に制御する。
マイクロカプセルが配合されたクリア塗料樹脂には、マイクロカプセルの殻材に応じアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ゼラチン、カゼインから選択された一種又は二種以上が使用される。なかでも溶融温度が近いバインダ樹脂、殻材樹脂の組合せが望ましい。溶融温度が近い組合せでは、溶融温度より高温で加熱・乾燥するときバインダ樹脂、殻材樹脂が一体化し、摺擦時にマイクロカプセルが脱落せず、しかも破胞しやすくなる。芳香剤内包マイクロカプセルは、マイクロカプセルの添加量〔:カプセル添加量/(樹脂固形分量+カプセル添加量)〕が2〜30質量%となるように塗料樹脂に配合される。2質量%未満の添加量では芳香剤が不足し、芳香の持続性が低下する。逆に30質量%を越える添加量では塗膜が脆弱化して摺擦時にカプセルが脱落しやすくなり、結果として芳香の持続性が低下する。該塗料を塗布する直前によく攪拌すると、マイクロカプセルが塗料に均一分散し、塗膜中においてもマイクロカプセルの分散が均一になる。
芳香剤内包マイクロカプセルを分散させたクリア塗料を染料染着層の上に塗布し、加熱・乾燥することにより芳香性を付与した塗膜が形成される。加熱・乾燥では、塗膜樹脂と殻材樹脂とを十分に融合させるため塗膜樹脂、殻材樹脂の溶融温度より高い加熱温度が好ましい。塗膜樹脂に殻材樹脂が融合一体化すると、マイクロカプセルが塗膜樹脂で強固に確保されるので、クリア塗膜からの脱落なく頭出しした部分が破胞して芳香を発する。しかし、殻材樹脂の溶融温度より70℃超の高温で加熱すると、殻材樹脂の溶融が進行しすぎ、内包している芳香剤に対するカプセル化能力が低下し、芳香剤が一部流出してしまい、有効カプセル量が少なくなり芳香持続性が低下する。高すぎる加熱温度は、マイクロカプセルを頭出しがない状態で塗膜に埋没させ、擦ってもマイクロカプセルの破胞、ひいては芳香が発散しない原因にもなる。
板厚:0.5mmの亜鉛めっき鋼板を塗装原板に使用した。亜鉛めっき鋼板を塗装前処理した後、白色ポリエステル系塗料(AT-1001プライマ:関西ペイント株式会社製)を塗布し、板温:220℃×1分の焼付けにより乾燥膜厚:18μmの熱硬化性塗膜を設けた塗装鋼板を製造した。
インクジェットプリンタ方式の画像プリントシステムを用い、シアンの昇華性染料インクを塗布することにより、シアンベタ地の上に白抜きで10ポイントの文字情報を印刷した。得られた転写シートを塗装鋼板の熱硬化性塗膜に重ね合わせ、温度:155℃,圧力:0.4kg/cm2で5分間加熱圧着した。圧着完了後、塗装鋼板から転写シートを剥離した。次に、合成香料(キンモクセイ香料7064:高砂香料製)を乳化分散させ、プレポリマーにメラミン樹脂を用いてマイクロカプセルを作製した。マイクロカプセルの粒径Dは、乳化分散時の攪拌速度、攪拌時間を調整することにより、1.5〜40μmの範囲で変化させた。合成されたマイクロカプセルの殻材は厚みが約0.5μmであった。合成されたマイクロカプセルをウレタン樹脂エマルジョンに分散させ、クリア塗料を調製した。調製したクリア塗料を染料染着層の上に塗布し、加熱・乾燥によって芳香性を有する意匠鋼板を作製した。塗膜の膜厚tは、塗布量の調整によって0.3〜10μmの範囲で種々変更した。塗膜の膜厚を製造条件と共に表1に示す。
各意匠鋼板から試験片を切り出し、塗膜の表面及び断面をSEM観察した。本発明例では塗膜から突出しているマイクロカプセルが100回のラビング後に一部破胞しているが、破胞せずに残存したマイクロカプセルも観察された。本発明例と比較例の対比から明らかなように、本発明例の塗膜ではマイクロカプセルの頭出しが生じていたが、マイクロカプセルの粒径より塗膜が厚い比較例ではマイクロカプセルが埋没していた。そのため、比較例が芳香持続性に劣ることが表2に表されている。
芳香性は、次のラビング試験で調査した。
〔ラビング試験〕
手で擦った状態を模擬するため、ガーゼを取り付けた接触子を用いて100gf/cm,200gf/cmの二水準の荷重でガーゼを試験片に擦りつけた。そして、ラビング回数に応じて芳香性を官能試験し、香りの強弱で芳香性を評価した。表2の調査結果にみられるように、膜厚tと粒径Dとの間に関係式:D=(1.5〜8)×tが成立する条件下で芳香剤内包マイクロカプセルを2〜30質量%分散させた膜厚:0.3μm以上の塗膜を有する意匠鋼板は、ラビング回数が1000回に達した状態でも良好な芳香性を維持していた。
他方、マイクロカプセルが不足する塗膜では芳香性に劣り、過剰な塗膜では芳香持続性に劣っていた。薄すぎる塗膜にマイクロカプセルを分散させた場合やD>8tのマイクロカプセルを分散させた塗膜では、マイクロカプセルが脱落しやすく芳香持続性に劣っていた。逆にD<1.5tのマイクロカプセルを分散させた塗膜では、マイクロカプセルの頭出しが不十分なため芳香性に劣っていた。また、塗料の乾燥温度が低すぎると、塗膜とマイクロカプセルの殻材との密着性が不足し、ラビング回数が多くなると芳香性が低下する傾向を示した。高すぎる温度で乾燥させた塗膜では、殻材が溶けて内包芳香剤が流出したため、ラビング回数が100回に達した時点で芳香性を失っていた。
以上に説明したように、意匠模様が付与された染料染着層に芳香剤内包マイクロカプセルを分散させた芳香性を有する意匠鋼板において、クリア塗膜の膜厚tとマイクロカプセルの粒径Dとの間に関係式:D=(1.5〜8)×tを成立させることにより、クリア塗膜から適度にマイクロカプセルを頭出しすることにより、摩擦力が加わった状態でのマイクロカプセルの破胞を容易にすると共に、マイクロカプセルが脱落しない保持力で塗膜により確保している。その結果、単に意匠鋼板表面を擦るだけの操作で芳香を発し、且つ芳香持続性にも優れた意匠鋼板が提供される。
意匠模様が付与された染料染着層の上に芳香剤内包マイクロカプセルが分散した塗膜を形成した意匠鋼板におけるクリア塗膜の膜厚tとマイクロカプセルの粒径Dとの関係を説明する模式図 芳香剤内包マイクロカプセルが分散した塗膜断面のSEM像 昇華性染料が熱硬化性塗膜に浸透し、染料染着層に再浸透することにより意匠模様が付与される過程を示した模式図
符号の説明
1:下地鋼板
2:熱硬化性塗膜 3:転写シート 4:昇華性染料
5:染料染着層 6:クリア塗膜 7:マイクロカプセル 8:芳香剤
t:塗膜の膜厚 D:マイクロカプセルの粒径













Claims (2)

  1. 下地鋼板の表面に昇華性染料で染着された熱硬化性塗膜を設け、その上に香料を内包した樹脂製マイクロカプセルが2〜30質量%の割合で配合したクリア塗膜を形成し、該マイクロカプセルが分散したクリア塗膜の膜厚tが0.3μm以上であり、マイクロカプセルの粒径Dとの間にD=(1.5〜8)×tの関係が成立していることを特徴とする芳香性を有する意匠鋼板。
  2. 下地鋼板の表面に熱硬化性塗膜を設けた後、熱硬化性塗膜を昇華性染料で染着し、次いで、香料を内包した樹脂製マイクロカプセルを配合したクリア塗料を該染料染着層の上に塗布し、樹脂製マイクロカプセルの殻材及び塗膜のバインダ樹脂の溶融温度より高い温度で加熱・乾燥することを特徴とする芳香性を有する意匠鋼板の製造方法。























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