JP2007196162A - フッ素系薄膜基材の製造方法 - Google Patents

フッ素系薄膜基材の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】速やかに成膜でき、しかも不純物が少なく、フッ素系薄膜を基材表面に安定に形成可能なフッ素系薄膜製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該界面活性剤と相互作用し得る触媒と、該界面活性剤、触媒、及び該界面活性剤と触媒との反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合物を、水分の存在下に加水分解反応をさせて触媒溶液を調製する工程と、該界面活性剤と該溶媒との混合物に該触媒溶液を添加・攪拌しフッ素系薄膜形成溶液を調整する工程と、該形成溶液中に基材を浸漬する工程と浸漬した基材を乾燥し基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程とを備えたフッ素系薄膜基材の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材の表面に金属−酸素結合等を介して形成されるフッ素系薄膜の製造方法に関する。
基材表面を改質するためのコーティング膜の形成方法として、耐剥離性に優れ、かつ透明性が高く、基板表面の光沢や基板の透明性を損なわない化学吸着膜の製造方法が幾つか知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
活性水素を含む基板の表面に化学吸着膜を形成する方法として、少なくともアルコキシシラン系界面活性剤と、活性水素を含まない非水系溶媒と、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類から選ばれる少なくとも一つのシラノール縮合触媒を含む混合溶液を、前記基板表面に接触させて、前記基板表面にシロキサン結合を介して共有結合した化学吸着膜を形成する化学吸着膜の製造方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
基板の表面に結晶性を有する化学吸着膜を形成する方法として、精製水を滴下したシリコンウェハー表面にシラン系界面活性剤の有機溶媒溶液を展開して結晶性単分子膜を形成する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
撥水性被膜の形成方法としては、酸触媒のもとに加水分解させたフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物の単量体または重合体を用いて、単分子層からなる撥水性被膜を、シラノール基を経由して基板表面に固定する方法が知られている(例えば、特許文献5及び6参照)。
活性水素を含む基材の表面に単分子膜を形成する方法として、乾燥雰囲気中で非水系の有機溶媒とシラン系界面活性剤を用いて調製した化学吸着液を基材表面に塗布し、前記有機溶媒を蒸発濃縮させつつ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固定し、前記有機溶媒を蒸発させた後有機溶媒を用い基板表面に残った未反応の界面活性剤を洗浄除去する工程とを含むことを特徴とする化学吸着単分子膜の製造方法が知られている(例えば、特許文献7参照)。
基材表面への化学吸着膜製造方法において、少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤を、有機溶媒中、金属酸化物、または金属アルコキシド部分加水分解生成物と水で処理した溶液を、活性水素を含む基材の表面に接触させる工程を有する、すばやく成膜でき、しかも不純物の少なく、緻密な化学吸着膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。
基板表面に有機薄膜を形成する有機薄膜製造方法であって、少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤、及び該金属系界面活性剤と相互作用し得る触媒を含む有機溶媒溶液に、前記基板を接触させる工程(A)を含み、前記有機溶媒溶液中の水分量を所定量範囲内にするまたは保持することを特徴とする有機薄膜製造方法が提案されている(例えば、特許文献9参照)。
特開平4−132637号公報 特開平4−221630号公報 特開平4−367721号公報 特開平8−337654号公報 特開平11−228942号公報 特開平11−322368号公報 特開平11−147074号公報 WO03/076064 WO2004/091810 Bull.Chem.Soc.Jpn.,74, 1397-1401(2001)
本発明の課題は、速やかに成膜でき、しかも不純物が少なく、フッ素系薄膜を基材表面に安定に形成可能なフッ素系薄膜製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、フッ素含有シラン系界面活性剤の種類と濃度と、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒の種類と、フッ素系溶媒の種類、反応液中の水分含量、成膜環境、成膜条件等につき検討した結果、速やかに成膜でき、しかも不純物が少なく、フッ素系薄膜を基材表面に安定に形成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)以下の工程(a)〜(d)を備えたことを特徴とする基材表面にフッ素系薄膜が形成されたフッ素系薄膜基材の製造方法
(a)少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒と、前記フッ素含有シラン系界面活性剤、前記触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合物を、所定量の水分の存在下に加水分解反応をさせて触媒溶液を調製する工程;
(b)前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記フッ素系溶媒との混合物に、工程(a)で調製した触媒溶液を添加・攪拌して、フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.01〜5重量%、及び水分10〜1000ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程;
(c)液温0〜50℃の工程(b)で調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、湿度10〜90%の雰囲気下、基材を10秒〜24時間浸漬する工程;
(d)浸漬後引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程;
や、
(2)以下の工程(A)〜(D)を備えたことを特徴とする基材表面にフッ素系薄膜が形成されたフッ素系薄膜基材の製造方法
(A)少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該フッ素含有シラン系界面活性剤、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合液を調製する工程;
(B)工程(A)で調製した混合液に、前記触媒と前記フッ素系溶媒との混合物を添加し、所定量の水分の存在下に攪拌して、フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.01〜5重量%、及び水分10〜1000ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程;
(C)液温0〜50℃の工程(B)で調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、湿度10〜90%の雰囲気下、基材を10秒〜24時間浸漬する工程;
(D)浸漬後引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程;
に関する。
また本発明は、(3)フッ素含有シラン系界面活性剤として、以下の式(I)で表される化合物を用いることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のフッ素系薄膜基材の製造方法
CF−CH−O−(CH2a−Si(O−R)(I)
(式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、aは1〜10の整数を表す。)や、
(4)式(I)で表される化合物として、式(I)中、aが4〜6の化合物を用いることを特徴とする前記(3)に記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、
(5)フッ素含有シラン系界面活性剤として、以下の式(II)で表される化合物を用いることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のフッ素系薄膜基材の製造方法
CF−(CF−C−SiR’(O−R)3−c (II)
(式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、R’はC1〜6のアルキル基を表し、bは0又は1〜20の整数を表し、cは0、1、又は2を表す。)や、
(6)式(II)で表される化合物として、式(II)中、bが5〜10の化合物を用いることを特徴とする前記(5)に記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、
(7)フッ素含有シラン系界面活性剤として、以下の式(III)で表される化合物を用いることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のフッ素系薄膜基材の製造方法
CF−COO−(CH2d−Si(O−R)(III)
(式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、dは2〜10の整数を表す。)や、
(8)式(III)で表される化合物として、式(III)中、dが5又は6の化合物を用いることを特徴とする前記(7)に記載のフッ素系薄膜基材の製造方法に関する。
さらに本発明は、(9)触媒として、金属アルコキシド類、金属アルコキシド類の加水分解生成物、キレート化又は配位化された金属化合物、シラノール縮合触媒、酸触媒、有機酸、金属酸化物、金属水酸化物、白金、パラジウム又は活性炭からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(10)金属アルコキシド類、金属化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ケイ素、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉄、バナジウム、ハフニウム、コバルト、銅又は鉛から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする前記(9)記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(11)触媒として、チタンテトラアルコキシドを用いることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(12)フッ素系溶媒として、パーフロロブチル メチルエーテル、パーフロロブチル エチルエーテル、パーフロロブチル ブチルエーテル、パーフロロ トルエン、ベンゾトリフロイド、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4−(トリフロロメチル)−ペンタン又はそれらの混合物を用いることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(13)チタン含有触媒0.01〜1000ppm(チタン換算)、フッ素含有シラン系界面活性剤とチタン含有触媒とにおけるSi/Tiモル比が1〜5000のフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程を有することを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(14)フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.1〜0.7重量%、チタン含有触媒100〜500ppm(チタン換算)、フッ素含有シラン系界面活性剤とチタン含有触媒とにおけるSi/Tiモル比が2〜10、及び水分100〜500ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程を有することを特徴とする前記(13)記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(15)温度20〜35℃、湿度50〜70%の雰囲気下、基材に1分〜10分浸漬する工程を有することを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法や、(16) 浸漬後引き上げて、フッ素系溶媒で洗浄した後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程を有することを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法に関する。
本発明によると、速やかに成膜でき、しかも不純物が少なく、フッ素系薄膜を基材表面に安定に形成することができる。
本発明のフッ素系薄膜基材の製造方法としては、(a)少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒と、前記フッ素含有シラン系界面活性剤、前記触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合物を、所定量の水分の存在下に加水分解反応をさせて触媒溶液を調製する工程;(b)前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記フッ素系溶媒との混合物に、工程(a)で調製した触媒溶液を添加・攪拌して、フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.01〜5重量%、及び水分10〜1000ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程;(c)液温0〜50℃の工程(b)で調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、湿度10〜90%の雰囲気下、基材を10秒〜24時間浸漬する工程;(d)浸漬後引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程;を備えた方法(以下、“ab法”ということがある)や、(A)少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該フッ素含有シラン系界面活性剤、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合液を調製する工程;(B)工程(A)で調製した混合液に、前記触媒と前記フッ素系溶媒との混合物を添加し、所定量の水分の存在下に攪拌して、フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.01〜5重量%、及び水分10〜1000ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程;(C)液温0〜50℃の工程(B)で調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、湿度10〜90%の雰囲気下、基材を10秒〜24時間浸漬する工程;(D)浸漬後引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程;を備えた方法(以下、“AB法”ということがある)であれば特に制限されず、本発明の製造方法により基材表面にフッ素系薄膜を形成することができる。
上記「少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤」としては、少なくとも1以上の加水分解可能な官能基と疎水性基とを同一分子内に有するものであれば特に制限されないが、基材表面上の活性水素と反応して結合を形成することができる加水分解性基を有するものが好ましい。なお、活性水素と反応して結合を形成することができる他の官能基として、水酸基を例示することができ、水酸基を含んでいてもよい。そのようなフッ素含有シラン系界面活性剤として、具体的には、前記式(I)〜式(III)で表される化合物を好ましく例示することができる。これらの化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(I)中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、aは1〜10の整数を表し、具体的には以下の化合物を好適に例示することができるが、式(I)中、aが4〜6の化合物を用いることが特に好ましい。
CF−CH−O−(CH−Si(OCH
CF−CH−O−(CH−Si(OCH
CF−CH−O−(CH−Si(OCH
CF−CH−O−(CH−Si(OCH
CF−CH−O−(CH10−Si(OCH
CF−CH−O−(CH12−Si(OCH
CF−CH−O−(CH14−Si(OCH
CF−CH−O−(CH16−Si(OCH
CF−CH−O−(CH18−Si(OCH
CF−CH−O−(CH20−Si(OCH
CF−CH−O−(CH−Si(OC
CF−CH−O−(CH−Si(OC
CF−CH−O−(CH−Si(OC
CF−CH−O−(CH−Si(OC
CF−CH−O−(CH10−Si(OC
CF−CH−O−(CH12−Si(OC
CF−CH−O−(CH14−Si(OC
CF−CH−O−(CH16−Si(OC
CF−CH−O−(CH18−Si(OC
CF−CH−O−(CH20−Si(OC
前記式(II)中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、R’はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基等のC1〜6のアルキル基を表し、bは0又は1〜20の整数を表し、cは0、1又は2を表し、具体的には以下の化合物を好適に例示することができるが、式(II)中、bが5〜10の化合物を用いることが好ましい。
CF−C−Si(OCH
CF−CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF−C−Si(OCH
CF−(CF10−C−Si(OCH
CF−(CF11−C−Si(OCH
CF−(CF12−C−Si(OCH
CF−(CF13−C−Si(OCH
CF−(CF14−C−Si(OCH
CF−(CF15−C−Si(OCH
CF−(CF16−C−Si(OCH
CF−(CF17−C−Si(OCH
CF−(CF18−C−Si(OCH
CF−(CF19−C−Si(OCH
CF−C−Si(OC
CF−CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF−C−Si(OC
CF−(CF10−C−Si(OC
CF−(CF11−C−Si(OC
CF−(CF12−C−Si(OC
CF−(CF13−C−Si(OC
CF−(CF14−C−Si(OC
CF−(CF15−C−Si(OC
CF−(CF16−C−Si(OC
CF−(CF17−C−Si(OC
CF−(CF18−C−Si(OC
CF−(CF19−C−Si(OC
CF−(CF−C−SiCH(OCH
CF−(CF−C−SiCH(OC
CF−(CF−C−SiOCH(CH
CF−(CF−C−SiOC(CH
CF−(CF−C−SiCH(OCH
CF−(CF−C−SiCH(OC
CF−(CF−C−SiOCH(CH
CF−(CF−C−SiOC(CH
CF−(CF−C−SiCH(OCH
CF−(CF−C−SiCH(OC
CF−(CF−C−SiOCH(CH
CF−(CF−C−SiOC(CH
前記式(III)中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、dは2〜10の整数を表し、具体的には以下の化合物を好適に例示することができるが、式(III)中、dが5又は6の化合物を用いることが特に好ましい。
CF−COO−(CH10−Si(OCH
CF−COO−(CH10−Si(OC
CF−COO−(CH12−Si(OCH
CF−COO−(CH12−Si(OC
CF−COO−(CH14−Si(OCH
CF−COO−(CH14−Si(OC
CF−COO−(CH16−Si(OCH
CF−COO−(CH16−Si(OC
CF−COO−(CH18−Si(OCH
CF−COO−(CH18−Si(OC
CF−COO−(CH20−Si(OCH
CF−COO−(CH20−Si(OC
上記「フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒」としては、フッ素含有シラン系界面活性剤のケイ素又は加水分解性基部分等と、配位結合や水素結合等を介して相互作用をすることにより、加水分解性基又は水酸基を活性化させ、縮合を促進させる作用を有する触媒であれば特に制限されず、金属アルコキシド類、金属アルコキシド類の加水分解生成物(部分加水分解生成物を含む)、キレート化又は配位化された金属化合物、シラノール縮合触媒、酸触媒、有機酸、金属酸化物、金属水酸化物、白金、パラジウム又は活性炭からなる群から選ばれる少なくとも1種を好適に例示することができ、特に、金属アルコキシド類、金属化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ケイ素、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉄、バナジウム、ハフニウム、コバルト、銅又は鉛から選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、チタン、ジルコニウム、アルミニウム又はケイ素がより好ましく、チタンが特に好ましい。中でも、チタンテトラアルコキシドを用いることがより好ましい。
金属アルコキシド類のアルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、含有酸化物濃度、有機物の脱離の容易さ、入手の容易さ等から、炭素数1〜4がより好ましい。本発明に用いる金属アルコキシド類の具体例としては、Si(OCH、Si(OC、Si(OC−i)、Si(OC−t)等のケイ素アルコキシド;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC−i)、Ti(OC等のチタンアルコキシド;Ti[OSi(CH、Ti[OSi(C等のテトラキストリアルキルシロキシチタン;Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等のジルコニウムアルコキシド;Al(OCH、Al(OC、Al(OC−i)、Al(OC等のアルミニウムアルコキシド;Ge(OC等のゲルマニウムアルコキシド;In(OCH、In(OC、In(OC−i)、In(OC等のインジウムアルコキシド;Sn(OCH、Sn(OC、Sn(OC−i)、Sn(OC等のスズアルコキシド;Ta(OCH、Ta(OC、Ta(OC−i)、Ta(OC等のタンタルアルコキシド;W(OCH、W(OC、W(OC−i)、W(OC等のタングステンアルコキシド;Zn(OC等の亜鉛アルコキシド;Pb(OC等の鉛アルコキシド;等が挙げられる。これらの金属アルコキシド類は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また本発明においては、金属アルコキシド類として、2種以上の金属アルコキシド類の反応により得られる複合アルコキシド、1種もしくは2種以上の金属アルコキシド類と、1種もしくは2種以上の金属塩との反応により得られる複合アルコキシド、及びこれらの組み合わせを用いることもできる。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物は、金属アルコキシド類を完全に加水分解する前に得られるものであって、例えば、金属酸化物ゾルの前駆体、またはオリゴマーの状態で存在するもの等を例示することができる。具体的には、有機溶媒中、酸、塩基、及び/又は分散安定化剤の非存在下、凝集せずに安定に分散している性質を有する分散質を好ましく例示することができる。この場合、分散質とは、分散系中に分散している微細粒子のことをいい、具体的には、コロイド粒子等を例示することができる。ここで凝集せずに安定に分散している状態とは、有機溶媒中、酸、塩基及び/又は分散安定化剤の非存在下、加水分解生成物の分散質が、凝結して不均質に分離していない状態を表し、好ましくは透明で均質な状態を表す。また透明とは、可視光における透過率が高い状態をいい、具体的には、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、好ましくは80〜100%の透過率を表す状態をいう。加水分解生成物の分散質の粒子径は特に限定されないが、可視光における高い透過率を得るためには、通常1〜100nm、好ましくは1〜50nm、より好ましくは1〜10nmの範囲である。
金属アルコキシド類の部分加水分解生成物の製造方法としては、有機溶媒中、酸、塩基、及び/又は分散安定化剤の非存在下、上記例示した金属アルコキシド類に対し0.5〜2.0倍モル未満の水を用い、−100℃から有機溶媒還流温度範囲で加水分解する方法を好ましく例示することができる。具体的には、以下の方法を例示することができる。
(1)有機溶媒中、酸、塩基、及び/または分散安定化剤の非存在下、金属アルコキシド類に対し0.5〜1.0倍モル未満の水を添加する方法
(2)有機溶媒中、酸、塩基、及び/または分散安定化剤の非存在下、加水分解が開始する温度以下、または0℃以下、好ましくは−50〜−100℃の範囲で、金属アルコキシド類に対し1.0〜2.0倍モル未満の水を添加する方法
(3)有機溶媒中、酸、塩基、及び/または分散安定化剤の非存在下、水の添加速度を制御する、添加する水の濃度を水溶性溶媒等を用いて薄める等の方法により加水分解速度を制御しながら、金属アルコキシド類に対し0.5〜2.0倍モル未満の水を室温で添加する方法
上記(1)の方法においては、任意の温度で所定量の水で処理を行った後、加水分解を開始する温度以下、または−20℃以下の温度条件下で、水をさらに追加して反応を行うことができる。金属アルコキシド類と水との反応は、有機溶媒を用いずに直接金属アルコキシド類と水を混合することにより行うこともできるが、有機溶媒中で行うのが好ましい。具体的には、金属アルコキシド類の有機溶媒溶液に有機溶媒で希釈した水を添加する方法;水が懸濁または溶解した有機溶媒中に、金属アルコキシド類、またはその有機溶媒溶液を添加する方法;のいずれの方法でも行うことができるが、前者の水を後から添加する方法が好ましい。用いる水は、中性であれば特に制限されないが純水または蒸留水を用いるのが好ましく、その量は、上記規定した範囲であれば特に制限されず、目的とする性質を有する分散質によって任意に選択することができる。有機溶媒中の金属アルコキシド類の濃度は、急激な発熱を抑制し、撹拌が可能な流動性を有する範囲であれば特に限定されないが、通常、5〜30重量%の範囲である。
上記(1)の方法における金属アルコキシド類と水との反応温度は特に制限されず、通常、−100〜+100℃の範囲、好ましくは、−20℃から用いる有機溶媒または加水分解によって脱離してくるアルコールの沸点の範囲である。上記(2)の方法における水の添加温度は、金属アルコキシド類の安定性に依存するものであり、加水分解開始温度以下、または0℃以下の温度であれば特に限定されないが、金属アルコキシド類の種類によっては、金属アルコキシド類への水の添加を−50℃〜−100℃の温度範囲で行うことが好ましい。また、低温で水を添加し、一定時間熟成した後、室温から用いた溶媒の還流温度で加水分解し、さらに脱水縮合反応を行うこともできる。上記(3)の方法における金属アルコキシド類と水との反応は、特殊な冷却装置を用いなくても冷却可能な温度範囲、例えば、0℃から室温の範囲で、水の添加速度を制御する等の温度以外の方法により加水分解速度を制御することにより行うことができる。一定時間熟成した後、室温から用いる溶媒の還流温度で加水分解し、さらに脱水縮合反応を行うこともできる。
用いる有機溶媒としては、その有機溶媒中で、金属アルコキシド類の加水分解生成物が、分散質となって分散できるものであるのが好ましく、金属系界面活性剤を水で処理する反応を低温で行うことができることから、低温で凝固しない溶媒がより好ましい。用いる有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン(特開平9−208438号公報等)等;が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。混合溶媒として用いる場合には、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒と、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ル、t−ブタノール等の低級アルコール溶媒系の組み合わせが好ましい。この場合の低級アルコール系溶媒としては、イソプロパノ−ル、t−ブタノール等の2級以上のアルコール系溶媒を用いるのがより好ましい。混合溶媒の混合比は特に制限されないが、炭化水素系溶媒と低級アルコール系溶媒を、体積比で、99/1〜50/50の範囲で用いるのが好ましい。
また、金属アルコキシド類の水による加水分解反応においては、酸、塩基又は分散安定化剤を添加してもよい。酸及び塩基は、凝結してできた沈殿を再び分散させる解膠剤として、また、金属アルコキシド類を加水分解、脱水縮合させてコロイド粒子等の分散質を製造するための触媒として、及び生成した分散質の分散剤として機能するものであれば特に制限されない。この場合の酸または塩基は、凝結してできた沈殿を再び分散させる解膠剤として、また、前述したように、金属アルコキシド類等を加水分解、脱水縮合させてコロイド粒子等の分散質を製造するための触媒として、及び生成した分散質の分散剤として機能するものであれば特に制限されない。用いる酸としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等の光照射によって酸を発生する光酸発生剤;が挙げられる。用いる塩基としては、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アンモニア、ジメチルホルムアミド、ホスフィン等が挙げられる。
分散安定化剤は、分散質を分散媒中に安定に分散させる効力を有する剤であり、解膠剤、保護コロイド、界面活性剤等の凝結防止剤等が挙げられる。具体的には、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の多価カルボン酸;ヒドロキシカルボン酸;ピロ燐酸、トリポリ燐酸等の燐酸;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサンジオン等の金属原子に対して強いキレート能力を有する多座配位子化合物;スルパース3000、9000、17000、20000、24000(以上、ゼネカ社製)、Disperbyk−161、−162、−163、−164(以上、ビックケミー社製)等の脂肪族アミン系、ハイドロステアリン酸系、ポリエステルアミン;ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリシロキシアルキレン)シロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーン等(特開平9−208438号公報、特開平2000−53421号公報等)のシリコーン化合物;等が例示される。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物は、金属アルコキシド類の2倍当量未満の水で部分加水分解することによって得ることができ、また、用いる金属アルコキシド類部分加水分解生成物の量は、形成されるフッ素系薄膜に影響がでない量であれば特に制限されないが、特に、金属系界面活性剤に対して触媒量用いるのが好ましく、さらに、金属系界面活性剤1モル対して酸化物換算モル数で、0.001〜1モル、さらに、0.001〜0.2モルの範囲で用いるのが好ましい。これらの金属アルコキシド類部分加水分解物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる金属アルコキシド加水分解生成物は、金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られる生成物である。該加水分解生成物は、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られたものであっても、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量未満の水で部分加水分解することによって、金属アルコキシド類の部分加水分解生成物を得た後、この部分加水分解生成物を、さらに所定量の水(先の部分加水分解に使用した水の量との合計で金属アルコキシド類の2倍当量以上となる量の水)で加水分解することによって得られたものであってもよい。
金属アルコキシド類と水との反応は、有機溶媒を用いずに直接金属アルコキシド類と水を混合することにより得ることもできるが、本発明においては、有機溶媒中で金属アルコキシド類と水とを反応させるのが好ましい。用いる水は、中性であれば特に制限されないが、フッ素系薄膜を得る観点から、純水、蒸留水又はイオン交換水を2倍当量以上用いるのが好ましい。
有機溶媒中で金属アルコキシド類と水とを反応させる方法としては、以下の方法を例示することができる。この場合、金属アルコキシド類の有機溶媒中の濃度は、急激な発熱を抑制し、撹拌が可能な流動性を有する範囲であれば特に限定されないが、5〜30重量%の範囲が好ましい。
(1)金属アルコキシド類の有機溶媒溶液に、水又は有機溶媒で希釈した水を添加する方法
(2)水が懸濁または溶解した有機溶媒中に、金属アルコキシド類、または金属アルコキシド類の有機溶媒溶液を添加する方法
用いる有機溶媒としては、その有機溶媒中で、金属アルコキシド類の加水分解生成物が、分散質となって分散できるものであるのが好ましく、具体例としては、前記金属アルコキシド類部分加水分解生成物と同様の有機溶媒が好ましい。また、該加水分解生成物は、有機溶媒以外の水、酸、塩基又は分散安定化剤等についても前記部分加水分解生成物において用いられたものが同様に使用でき制限されない。金属アルコキシド類の加水分解反応温度は、用いる金属アルコキシド類の反応性や安定性等によるが、通常−100℃から有機溶媒還流温度範囲、好ましくは、−100℃〜−20℃である。低温で水を添加し、一定時間熟成した後、反応液の温度を室温から用いた溶媒の還流温度まで昇温して、加水分解、脱水縮合反応をさらに行うこともできる。
キレート化又は配位化された金属化合物は、金属化合物の溶液に、該金属化合物の金属と錯体を形成し得るキレート化剤又は配位化合物を添加することで、調製することができる。キレート化剤又は配位化合物としては、金属水酸化物、金属アルコキシド類、又は金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物の金属にキレート化又は配位して、錯体を形成し得るものであれば特に限定されない。キレート化剤又は配位化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アレイン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;安息香酸、トルイル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲノカルボン酸類;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のβ−ケトエステル類;テトラヒドロフラン、フラン、フランカルボン酸、チオフェン、チオフェンカルボン酸、ピリジン、ニコチン酸、イソニコチン酸等の複素環化合物類;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。キレート化剤又は配位化合物の添加量は、金属水酸化物、金属アルコキシド類、又は金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物の金属1モルに対して、0.1〜10倍モル、好ましくは0.3〜2倍モル、より好ましくは0.5〜1.2倍モルである。
キレート化剤又は配位化合物を添加した後は、全容を十分に撹拌することで、金属錯体の溶液を得ることができる。撹拌温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。撹拌時間は、通常数分から数時間である。キレート化又は配位化された金属化合物は、単離したものを使用することもできるし、前記金属化合物の溶液にキレート化剤又は配位化合物を添加して得られたキレート化又は配位化された金属化合物の溶液として使用することもできる。また、調製したキレート化又は配位化された金属化合物の溶液は保存しておくことができる。
シラノール縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート等を例示することができる。具体的には、酢酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、チタンビス(アセチルアセトニル)ジプロポキサイド等を例示することができる。
本発明に用いられる有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、4−クロロ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸;モノクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン原子で置換された脂肪族カルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等の芳香族基で置換された脂肪族カルボン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸;等が挙げられる。
これら有機酸の中でも、金属系界面活性剤の加水分解性基を活性化する力に優れ、取り扱いが容易であることから、pKa値(酸解離定数の逆数の対数値)が1〜6の有機酸が好ましく、pKa値が2〜5の有機酸がより好ましい。酸解離定数Kaは、ガラス電極、金属電極、金属アマルガム電極、酸化還元電極、イオン選択性電極等のさまざまな電極を用いる、ポテンショメトリーにより精度よく測定することができる。本発明において、酸解離定数Kaは、水溶液中(水に溶解しないものは、水と適当な有機溶媒との混合溶媒、又は適当な有機溶媒中)のpH値を測定することにより求めることができる。pKa値は、測定条件により、±0.3程度相違する場合がある。なお、種々の有機酸の酸解離定数Ka又はpKa値は、A.E.Martell, R.M.Smith, Critical Stability Constants, Vol.1, 2, 3, 5, Plenum Press (1974, 1975, 1977, 1982) 等に記載されている。
酸触媒としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等を例示することができ、さらには、光照射によって酸を発生する光酸発生剤、具体的には、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等を例示することができる。
金属酸化物は、ゾル、ゲル、固体状等の何れの状態のものも使用することができる。ゲル、ゾルの製造方法は、特に限定されず、例えばシリカゾルを例にとると、珪酸ナトリウム溶液を陽イオン交換する方法、シリコンアルコキシドを加水分解する方法等を例示することができる。特に、有機溶媒中に安定に分散しているゾルが好ましく、さらに、ゾルの粒子径が1〜100nmの範囲、さらに好ましくは、10〜20nmの範囲であるものが好ましい。ゾルの形状は特に限定されず、球状、細長い形状等、いずれのものも用いることができる。
具体的には、メタノールシリカゾル、IPA−ST、IPA−ST−UP、IPA−ST−ZL、NPC−ST−30、DMAC−ST、MEK−ST、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST(以上、いずれも日産化学工業(株)社製オルガノシリカゾルの商品名を表す。)等を例示することができる。用いる金属酸化物の量は、形成される化学吸着膜に影響がでない量であれば特に制限されないが、特に、金属系界面活性剤に対して触媒量用いるのが好ましく、さらに、金属系界面活性剤1モル対して酸化物換算モル数で、0.001〜1モル、さらに0.001〜0.2モルの範囲で用いるのが好ましい。これらの金属酸化物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属水酸化物としては、金属の水酸化物であれば、どのような製造方法で得られたものであってもよい。金属水酸化物の製造方法としては、後述の金属アルコキシド類を加水分解する方法、金属塩を金属水酸化物と反応させる方法等が挙げられる。また、金属水酸化物として市販されているものを、所望により精製して使用することもできる。
上記「前記フッ素含有シラン系界面活性剤、前記触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒」としては、パーフロロブチル メチルエーテル、パーフロロブチル エチルエーテル、パーフロロブチル ブチルエーテル、パーフロロブチル ベンジルエーテル、パーフロロブチル フェニルエーテル、ペンタフロロアニソール、ペンタフロロアセトフェノン、ペンタフロロベンゾニトリル、ペンタフロロトルエン、ヘキサフロロベンゼン、パーフロロ トルエン、ベンゾトリフロイド、o−ビス(トリフロロメチル)ベンゼン、m−ビス(トリフロロメチル)ベンゼン、p−ビス(トリフロロメチル)ベンゼン、パーフロロシクロペンタン、パーフロロシクロヘキサン、パーフロロヘキサン、パーフロロヘプタン、パーフロロオクタン、パーフロロノナン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4−(トリフロロメチル)ペンタン等のフッ素系溶媒を挙げることができ、これらは1種単独又は2種以上混合して用いることができるが、中でも、パーフロロブチル メチルエーテル、パーフロロブチル エチルエーテル、パーフロロブチル ブチルエーテル、パーフロロ トルエン、m−ビス(トリフロロメチル)ベンゼン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4−(トリフロロメチル)ペンタン、ベンゾトリフロイド、又はそれらの混合物を用いることが好ましい。
フッ素系薄膜を製造するために、フッ素系薄膜形成溶液中のフッ素含有シラン系界面活性剤の含有量は、“ab法”、“AB法”ともに0.01〜5重量%の範囲が必要であるが、0.1〜1.0重量%の範囲が特に好ましい。含有量が0.01重量%未満だと、膜形成速度が遅い等の問題があり、5重量%を越えると薄膜が形成されにくく、厚膜となり、薄膜を形成するために洗浄操作を多く行う必要がある等の問題が生じる。また、フッ素系薄膜形成溶液中の水分の含有量は、“ab法”、“AB法”ともに50〜1000ppmの範囲が必要であるが、100〜500ppmの範囲が特に好ましい。50ppm未満だと、迅速にフッ素系薄膜の形成を行うことができず、1000ppmを越えるとフッ素含有シラン系界面活性剤等が失活するとの問題が生じる。なお、ここで示す水分量は、フッ素系薄膜形成溶液の一部を採取してカールフィッシャー法で測定した値をいう。
なお、“ab法”の工程(a)の触媒溶液中のフッ素含有シラン系界面活性剤の含有量は、5〜30重量%、特に10〜20重量%が好ましく、“ab法”の工程(b)のフッ素含有シラン系界面活性剤とフッ素系溶媒との混合物におけるフッ素含有シラン系界面活性剤の含有量は、0.01〜5重量%、特に0.1〜1.0重量%が好ましい。そして、“ab法”の工程(a)の触媒溶液は、“ab法”の工程(b)のフッ素含有シラン系界面活性剤とフッ素系溶媒との混合物100重量部に対して、0.01〜0.1重量部、特に0.02〜0.05重量部の割合で添加される。
フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒の使用量は、形成する単分子のフッ素系薄膜の物性に影響を与えない量であれば特に制限されないが、有機酸以外の触媒の場合、フッ素含有シラン系界面活性剤1モルに対して通常0.001〜1モル、好ましくは0.001〜0.2モルであり、触媒が有機酸の場合、フッ素含有シラン系界面活性剤1モルに対して通常0.001〜100モル、好ましくは0.001〜10モルである。また、触媒として、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド等のチタンテトラアルコキシドなど、チタン含有触媒を用いる場合、フッ素系薄膜形成溶液におけるチタン含有触媒の含有量は、“ab法”、“AB法”ともに0.01〜1000ppm(チタン換算)、特に0.1〜10ppm(チタン換算)、特に0.5〜3ppm(チタン換算)が好ましく、フッ素含有シラン系界面活性剤とチタン含有触媒におけるSi/Tiモル比は1〜5000、特に100〜2000、中でも300〜600が好ましい。このような範囲でフッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒を使用することで、不純物のないフッ素系薄膜であるフッ素系薄膜を迅速に形成することができる。
フッ素系薄膜形成溶液を調製する工程における攪拌は、通常−100℃〜+100℃、好ましくは−20℃〜+50℃で数分から数時間行い、均一なフッ素系薄膜形成溶液を得ることができる。調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、金属酸化物等を含む析出物が生じる場合があるが、これらの析出物等の不純物は、不純物のないフッ素系薄膜を得るためには、ここで除去しておくのが好ましい。析出物は、濾過、デカント等の操作で簡便に除去することができる。
上記「基材」としては特に制限されないが、フッ素系薄膜形成溶液中のフッ素系薄膜を形成する分子と相互作用し得る官能基を表面に有する基材が好ましく、特に活性水素を表面に有する基材が好ましい。活性水素を表面に有する基材を用いると、基材表面の活性水素と、フッ素系薄膜形成溶液中の分子が、化学的な相互作用により基材表面に容易に化学吸着膜を形成することができる。ここで、活性水素とは、プロトンとして解離しやすいものをいい、活性水素を含む官能基としては、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ホルミル基(−CHO)、イミノ基(=NH)、アミノ基(−NH)、チオール基(−SH)等が挙げられ、中でも、水酸基が好ましい。
基材表面に水酸基を有する基材として、具体的には、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属;ガラス;シリコンウェハー;セラミックス;プラスチック;紙;天然繊維又は合成繊維;皮革;その他親水性の物質;等からなる基材が挙げられる。中でも、金属、ガラス、シリコンウェハー、セラミックス、及びプラスチックからなる基材が好ましい。
プラスチックや合成繊維のように表面に水酸基を持たない材質からなる基材には、予め基材表面を酸素を含むプラズマ雰囲気中で(例えば100Wで20分)処理したり、コロナ処理して親水性基を導入することができる。ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂等からなる基材は、表面にイミノ基が存在しており、このイミノ基の活性水素と金属系界面活性剤のアルコキシシリル基等とが脱アルコール反応し、シロキサン結合(−SiO−)を形成するので特に表面処理を必要としない。また、表面に活性水素を持たない基材を用いる場合、この基材の表面に、予めSiCl、SiHCl、SiHCl、Cl−(SiClO)−SiCl(式中、bは自然数)から選ばれる少なくとも一つの化合物を接触させた後、脱塩化水素反応させることにより、表面に活性水素を有するシリカ下地層を形成しておくこともできる。
次に、液温0〜50℃、好ましくは20〜30℃のフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、好ましくは20〜35℃、湿度10〜90%RH、好ましくは50〜70%RHの雰囲気下、基材を10秒〜24時間、好ましくは1分〜10分浸漬する。50〜70%RHの雰囲気下では、フッ素系薄膜形成溶液中の水分量がより好ましく保持され、連続的に基材を接触させても再現性良くフッ素系薄膜を形成することができる。浸漬後は基材をフッ素系薄膜形成溶液中から引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜が形成される。乾燥時、基材表面上に形成された膜を安定化させるために、基材を加熱することもできる。浸漬の前後に、純水、アルコール、又はフッ素系溶媒で洗浄、特に超音波洗浄することや、浸漬前にUVオゾン処理を施すことが好ましい。なお、浸漬操作は必要に応じて複数回実施することもでき、この場合は2層以上の多層膜が形成されることになる。
本発明により製造されたフッ素系薄膜基材や基材表面に形成されたフッ素系薄膜は、撥水・撥油性に優れ、耐水性、アルミニウムの耐食性、汚れ目立ち防止機能等の優れた特性を有することから種々の用途に有利に用いることができる。例えば、通信装置、ディジタル制御機器、及びこれらを内蔵する電子機器;ハードディスクの他、磁気テープ、磁気カード、光記録媒体、磁気記録ディスク、メモリーカード等の磁気記録媒体;ディスプレイ(例えば、CRT、LCD、PDP、FED、ELD等)、タッチパネル、それらを用いた情報端末;エレクトロルミネッセンス型表示装置、エレクトロルミネッセンス素子や電極;半導体素子や液晶表示素子等に於ける絶縁膜、平坦化膜、保護膜、透明導電膜;薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、印刷用版材及びその版材を用いた印刷用原板上に所望のパターンに印刷、塗布するのに用いられるメタルマスク;ガラス製、プラスチック製などの飲料瓶;繊維、布、紙;回転軸のシーリング部やクランク、シャフト、ベアリング、マイクロメカニクスなどの摺動部、自己潤滑性を有するマイクロマシーンなどの機械部品;湿度センサー;建物、車、電子レンジ等の窓、乗り物のフロントガラス、光学レンズ、眼鏡用レンズ、ゴーグル、ヘルメットバイザー、メガネフレーム等;金型等の離型剤、培養器具やマイクロアレイ等へ応用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下の実施例におけるフッ素系薄膜の評価は、接触角を測定することにより行った。接触角の測定は、基材表面にマイクロシリンジから水又はテトラデカン(TD)を5μlを滴下した後、60秒後に、接触角測定器(エルマ(株)製;360S型)を用いて測定した。また、基材としては、無アルカリガラス基材(旭硝子(株)製;AN100)を用いた。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温で8−(トリフロロエトキシ)オクチルトリメトキシシラン8.8g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(純度99%、酸化チタン換算濃度28.2重量%、日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、パーフロロブチル メチルエーテル87.0gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温で8−(トリフロロエトキシ)オクチルトリメトキシシラン3.3g(9.99mmol)を仕込み、パーフロロブチル メチルエーテル496.6gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調整
1000mlの四つ口フラスコに、室温で8−(トリフロロエトキシ)オクチルトリメトキシシラン3.3g(9.99mmol)を仕込み、パーフロロブチル メチルエーテル496.4gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)パーフロロブチル メチルエーテル溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で5分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで50゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリメトキシシラン9.5g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(純度99%、酸化チタン換算濃度28.2重量%、日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、パーフロロブチル エチルエーテル86.3gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリメトキシシラン3.3g(9.0mmol)を仕込み、パーフロロブチル エチルエーテル496.6gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調整
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリメトキシシラン3.3g(9.0mmol)を仕込み、パーフロロブチル エチルエーテル496.4gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)パーフロロブチル エチルエーテル溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで50゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリメトキシシラン9.5g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(純度99%、酸化チタン換算濃度28.2重量%、日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4(トリフロロメチル)ペンタン86.3gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリメトキシシラン3.3g(9.0mmol)を仕込み、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4(トリフロロメチル)ペンタン496.6gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調整
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリメトキシシラン3.3g(9.0mmol)を仕込み、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4(トリフロロメチル)ペンタン496.4gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4(トリフロロメチル)ペンタン溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで50゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリエトキシシラン9.5g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(純度99%、酸化チタン換算濃度28.2重量%、日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、パーフロロトルエン86.3gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリエトキシシラン3.3g(9.0mmol)を仕込み、パーフロロトルエン496.6gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調整
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−(トリフロロエトキシ)デシルトリエトキシシラン3.3g(9.0mmol)を仕込み、パーフロロトルエン496.6gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)パーフロロトルエン溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで50゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でトリフロロプロピル−トリメトキシシラン(Gelest社製)19.2g(88mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(純度99%、酸化チタン換算濃度28.2重量%、日本曹達製)9.5g(33mmol)を加え、ベンゾトリフロリド68.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水2.6g(144mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でトリフロロプロピル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(13.7mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド497gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.03gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調整
1000mlの四つ口フラスコに、室温でトリフロロプロピル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(13.7mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)ベンゾトリフロリド溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で12分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで50゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でトリデカフロロオクチル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.4g(33mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)3.5g(12.5mmol)を加え、ベンゾトリフロリド 79.5gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.6g(86.8mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でトリデカフロロオクチル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(6.4mmol)を仕込み、パーフロロブチル ブチルエーテル496.9gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.08gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でトリデカフロロオクチル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(6.4mmol)を仕込み、パーフロロブチル ブチルエーテル496.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)パーフロロブチル ブチルエーテル溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に25℃で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで60゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.9gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)ベンゾトリフロリド溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで60゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.9gを加えて希釈し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。この溶液に25℃で塩酸0.13g(1.32mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。実施例7と同様に、フッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、形成されたフッ素系薄膜は、実施例6のものよりは若干劣っていた。
[比較例1]
(1)フッ素系薄膜形成溶液の調製(触媒無添加)
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.9gを加えて希釈し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。実施例7と同様に、水分を100ppmに調整した該フッ素系薄膜形成溶液を用いてフッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例2]
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製(溶媒:アセトン)
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、アセトン496.9gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液1)0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。水分調整を行わない他は実施例7と同様に、フッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例3]
(1)ab法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製(溶媒:ジブチルケトン)
溶媒をアセトンからジブチルケトンに代えた以外は、上記比較例2と同様に行い、フッ素系薄膜形成溶液を得た。水分調整を行わない他は実施例7と同様に、フッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例4]
(1)ab法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製(溶媒:トルエン)
溶媒をアセトンからトルエンに変えた以外は、上記比較例2と同様に行い、フッ素系薄膜形成溶液を得た。実施例7と同様に、水分を100ppmに調整した該フッ素系薄膜形成溶液を用いてフッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例5]
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)10.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド90gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。実施例7と同様に、水分を100ppmに調整した該フッ素系薄膜形成溶液を用いてフッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例6]
(1)ab法
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)0.6g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド57.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液41.7gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。実施例7と同様に、水分を100ppmに調整した該フッ素系薄膜形成溶液を用いてフッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例7]
(1)ab法
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.9gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1g及び水0.2gを加えて100〜120℃で6時間撹拌してフッ素系薄膜形成溶液を得た。実施例7と同様に、水分を100ppmに調整した該フッ素系薄膜形成溶液を用いてフッ素系薄膜形成を行い、フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、充分なフッ素系薄膜が形成されないことがわかった。
[比較例8]
(1)ab法
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)15.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリメトキシシラン(Gelest社製)3.0g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.9gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で60時間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、フッ素系薄膜が形成されていないことがわかった。フッ素含有シラン系界面活性剤の加水分物解物及び重合物が吸着することにより、ポリマー膜(厚膜)と推定される。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリエトキシシラン(Gelest社製)16.1g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、ベンゾトリフロリド79.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリエトキシシラン(Gelest社製)3.2g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−トリエトキシシラン(Gelest社製)3.2g(5.28mmol)を仕込み、ベンゾトリフロリド496.7gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)ベンゾトリフロリド溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで60゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−メチルジエトキシシラン(Gelest社製)15.3g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、パーフロロブチル ブチルエーテル80.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−メチルジエトキシシラン(Gelest社製)3.06g(5.2mmol)を仕込み、パーフロロブチル ブチルエーテル496.9gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温でヘプタデカフロロデシル−メチルジエトキシシラン(Gelest社製)3.1g(5.2mmol)を仕込み、パーフロロブチル ブチルエーテル496.6gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)パーフロロブチル ブチルエーテル溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで60゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。
(1)ab法
1)触媒合成
200mlの四つ口フラスコに、室温で10−トリフロロアセトキシデシルトリエトキシシラン11.0g(26.4mmol)を仕込み、テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)2.8g(10.6mmol)を加え、パーフロロブチル エチルエーテル84.8gを加えて希釈した。この溶液に25℃で蒸留水1.4g(78mmol)を加えて24時間撹拌し、加水分解反応をさせて触媒溶液を得た。
2)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−トリフロロアセトキシデシルトリエトキシシラン3.6g(8.6mmol)を仕込み、パーフロロブチル エチルエーテル496.3gを加えて希釈した。この溶液に25℃で上記触媒溶液0.1gを加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(2)AB法
1)フッ素系薄膜形成溶液の調製
1000mlの四つ口フラスコに、室温で10−トリフロロアセトキシデシルトリエトキシシラン3.6g(8.6mmol)を仕込み、パーフロロブチル エチルエーテル496.1gを加えて希釈した。この溶液に25℃で10%テトライソプロポキシチタン(日本曹達製)ベンゾトリフロリド溶液0.3g(0.1mmol)を加えて撹拌し、フッ素系薄膜形成溶液を得た。
(3)フッ素系薄膜形成
前洗浄として純水及びアルコールで超音波洗浄を行い、更にUVオゾン処理をした各種基材を、水分を100ppmに調整した前記フッ素系薄膜形成溶液に室温で10分間浸漬し、その後引き上げてフッ素系溶媒で超音波洗浄を行い、60℃で10分間乾燥し、基材上にフッ素系薄膜の形成を行った。フッ素系薄膜の評価(接触角測定結果)を行ったところ、水で100゜以上、テトラデカンで50゜以上であるフッ素系薄膜が形成されていることがわかった。

Claims (16)

  1. 以下の工程(a)〜(d)を備えたことを特徴とする基材表面にフッ素系薄膜が形成されたフッ素系薄膜基材の製造方法。
    (a)少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒と、前記フッ素含有シラン系界面活性剤、前記触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合物を、所定量の水分の存在下に加水分解反応をさせて触媒溶液を調製する工程;
    (b)前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記フッ素系溶媒との混合物に、工程(a)で調製した触媒溶液を添加・攪拌して、フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.01〜5重量%、及び水分10〜1000ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程;
    (c)液温0〜50℃の工程(b)で調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、湿度10〜90%の雰囲気下、基材を10秒〜24時間浸漬する工程;
    (d)浸漬後引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程;
  2. 以下の工程(A)〜(D)を備えたことを特徴とする基材表面にフッ素系薄膜が形成されたフッ素系薄膜基材の製造方法。
    (A)少なくとも1以上の加水分解性基を有するフッ素含有シラン系界面活性剤と、該フッ素含有シラン系界面活性剤、該フッ素含有シラン系界面活性剤と相互作用し得る触媒、及び前記フッ素含有シラン系界面活性剤と前記触媒の反応物を溶解しうるフッ素系溶媒との混合液を調製する工程;
    (B)工程(A)で調製した混合液に、前記触媒と前記フッ素系溶媒との混合物を添加し、所定量の水分の存在下に攪拌して、フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.01〜5重量%、及び水分10〜1000ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程;
    (C)液温0〜50℃の工程(B)で調製したフッ素系薄膜形成溶液中に、温度0〜50℃、湿度10〜90%の雰囲気下、基材を10秒〜24時間浸漬する工程;
    (D)浸漬後引き上げて、その後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程;
  3. フッ素含有シラン系界面活性剤として、以下の式(I)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
    CF−CH−O−(CH2a−Si(O−R)(I)
    (式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、aは1〜10の整数を表す。)
  4. 式(I)で表される化合物として、式(I)中、aが4〜6の化合物を用いることを特徴とする請求項3記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  5. フッ素含有シラン系界面活性剤として、以下の式(II)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
    CF−(CF−C−SiR’(O−R)3−c (II)
    (式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、R’はC1〜6のアルキル基を表し、bは0又は1〜20の整数を表し、cは0、1、又は2を表す。)
  6. 式(II)で表される化合物として、式(II)中、bが5〜10の化合物を用いることを特徴とする請求項5記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  7. フッ素含有シラン系界面活性剤として、以下の式(III)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
    CF−COO−(CH2d−Si(O−R)(III)
    (式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を表し、dは2〜10の整数を表す。)
  8. 式(III)で表される化合物として、式(III)中、dが5又は6の化合物を用いることを特徴とする請求項7記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  9. 触媒として、金属アルコキシド類、金属アルコキシド類の加水分解生成物、キレート化又は配位化された金属化合物、シラノール縮合触媒、酸触媒、有機酸、金属酸化物、金属水酸化物、白金、パラジウム又は活性炭からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  10. 金属アルコキシド類、金属化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ケイ素、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉄、バナジウム、ハフニウム、コバルト、銅又は鉛から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項9記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  11. 触媒として、チタンテトラアルコキシドを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  12. フッ素系溶媒として、パーフロロブチル メチルエーテル、パーフロロブチル エチルエーテル、パーフロロブチル ブチルエーテル、パーフロロ トルエン、ベンゾトリフロイド、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフロロ−3−メトキシ−4−(トリフロロメチル)−ペンタン又はそれらの混合物を用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  13. チタン含有触媒0.01〜1000ppm(チタン換算)、フッ素含有シラン系界面活性剤とチタン含有触媒とにおけるSi/Tiモル比が1〜5000のフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程を有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  14. フッ素含有シラン系界面活性剤濃度0.1〜0.7重量%、チタン含有触媒100〜500ppm(チタン換算)、フッ素含有シラン系界面活性剤とチタン含有触媒とにおけるSi/Tiモル比が2〜10、及び水分100〜500ppmのフッ素系薄膜形成溶液を調製する工程を有することを特徴とする請求項13記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  15. 温度20〜35℃、湿度50〜70%の雰囲気下、基材に1分〜10分浸漬する工程を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
  16. 浸漬後引き上げて、フッ素系溶媒で洗浄した後乾燥して基材表面にフッ素系薄膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか記載のフッ素系薄膜基材の製造方法。
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