JP2007192434A - 溶解炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度に優れた炉体を備え、高い歩留まりで金属を溶解することが可能な溶解炉を提供する。
【解決手段】金属溶湯とするための金属が充填される有底筒状の炉体2と、炉体2の側壁7の外周面上に捲回され、磁場を発生することによって炉体2中の金属溶湯4を攪拌することが可能なコイル3とを備えてなる溶解炉1であって、炉体2を構成する炉材が、セラミックス材料を、リン酸塩ガラスを主成分として含有する結合材で結合してなるものである溶解炉。
【選択図】図1
【解決手段】金属溶湯とするための金属が充填される有底筒状の炉体2と、炉体2の側壁7の外周面上に捲回され、磁場を発生することによって炉体2中の金属溶湯4を攪拌することが可能なコイル3とを備えてなる溶解炉1であって、炉体2を構成する炉材が、セラミックス材料を、リン酸塩ガラスを主成分として含有する結合材で結合してなるものである溶解炉。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶解炉に関する。さらに詳しくは、機械的強度に優れた炉体を備え、高い歩留まりで金属を溶解することが可能な溶解炉に関する。
従来、金属を溶解する溶解炉としては、金属が充填される有底筒状の炉体を備えた溶解炉が用いられていた。このような溶解炉は、炉体をバーナ等の加熱装置の火炎にて加熱して、充填された金属を金属溶湯に溶解するものである。
このような溶解炉は、金属の切粉等を溶解して再利用する際に用いられている。この場合に、炉体の中で既に溶解した金属溶湯に、金属の切粉を所定量ずつ追加しながら溶解する方法が用いられるが、追加した切粉が金属溶湯の界面に浮遊している間に酸化して酸化物となり、金属の切粉の歩留まりが低下するという不都合があった。このような切粉は表面積が多いために酸化し易く、特に、アルミニウム等の切粉の場合には酸化が極めて早く、歩留まりの低下がより顕著なものとなっていた。
このために、磁場を発生することによって炉体中の金属溶湯を攪拌することが可能なコイルを備えた溶解炉が提案されている(特許文献1)。
この溶解炉は、上述したコイルにより、炉体内の被溶解物が発熱することによって炉体を加熱するとともに、磁場を発生することによって炉体中の金属溶湯を攪拌することができる。
しかしながら、このような溶解炉は、炉体の機械的強度が低く、金属溶湯を十分に攪拌することが可能な量の電力を供給した場合に、炉体が破損してしまうという問題があった。逆に、炉体が破損しない程度の量の電力を供給していれば、当然炉体の破損を防止することができるが、金属溶湯の攪拌が不十分となり、金属の切粉等が金属溶湯に沈み込む前に酸化して酸化物になるために歩留まりが低下するという問題があった。このように、コイルに大量の電力を供給して金属溶湯を十分に攪拌し、その歩留まりを向上させることと、炉体の破損を防止することとは二律背反の関係にあり、両者を両立させることは極めて困難であった。
また、通常、鉄等の金属を溶解するための溶解炉においては、炉体を構成する炉材の表面が、高温に加熱された金属溶湯の熱によってガラス化した被膜が形成されているが、アルミニウム等の低融点の金属を溶解するための溶解炉は、上述したガラス化した被膜が形成されないことから、炉体が特に破損し易いという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、アルミニウム等の低融点の金属を溶解するための機械的強度に優れた炉体を備え、高い歩留まりで金属を溶解することが可能な溶解炉を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、以下の溶解炉を提供するものである。
[1] 金属溶湯とするための金属が充填される有底筒状の炉体と、前記炉体の側壁の外周面上に捲回され、磁場を発生することによって前記炉体中の前記金属溶湯を攪拌することが可能なコイルとを備えてなる溶解炉であって、前記炉体を構成する炉材が、セラミックス材料を、リン酸塩ガラスを主成分として含有する結合材で結合してなるものである溶解炉。
[2] 前記セラミックス材料が、アルミナ、シリカ、及び炭化珪素を含むセラミックスである前記[1]に記載の溶解炉。
[3] 前記炉材に対する、前記結合材の含有割合が、0.01〜2.0質量%である前記[1]又は[2]に記載の溶解炉。
[4] 前記結合材に対する、前記リン酸塩ガラスの含有割合が、90質量%以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の溶解炉。
[5] 前記炉体の前記側壁が、前記炉体の開口端からその底部まで漸増する厚さを有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の溶解炉。
[6] 前記炉体の前記側壁における開口端側の厚さに対する、前記側壁における底部側の厚さの割合が、110〜140%である前記[5]に記載の溶解炉。
[7] 前記金属が、アルミニウムチップである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の溶解炉。
[8] 前記炉体を加熱するための加熱手段をさらに備えた前記[1]〜[7]のいずれかに記載の溶解炉。
本発明によれば、アルミニウム等の低融点の金属を溶解するための機械的強度に優れた炉体を備え、高い歩留まりで金属を溶解することが可能な溶解炉を提供することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づき詳しく説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の溶解炉の一の実施の形態を模式的に示す断面図である。本実施の形態の溶解炉1は、金属溶湯4とするための金属が充填される有底筒状の炉体2と、炉体2の側壁7の外周面上に捲回され、磁場を発生することによって炉体2中の金属溶湯4を攪拌することが可能なコイル3とを備えてなる溶解炉1であって、炉体2を構成する炉材が、セラミックス材料を、リン酸塩ガラスを主成分として含有する結合材で結合してなるものであることを特徴とする。なお、図1に示す炉体2は、側壁7、底面8、及びこの側壁7と底面8とを連結する底部テーパ部9を有している。
本実施の形態の溶解炉1は、炉体2に捲回したコイル3に電力を供給することにより、アンぺールの規則の法則(右ねじの法則)に基づいてコイル3の周辺に磁場が発生し、この磁場によって炉体2内の金属溶湯4を攪拌することができる、所謂、誘導炉といわれる溶解炉である。
従来、このような溶解炉に用いられる炉体としては、この炉体を構成する炉材としてホウ珪酸ガラスを主成分とする結合材を含むものが用いられていた。本実施の形態の溶解炉1においては、ホウ珪酸ガラスを主成分とする結合材の代わりとして、リン酸塩ガラスを主成分とする結合材を用いることにより、結合したセラミックス材料の硬度を高くして、炉体2の機械的強度を向上することができた。このため、従来の溶解炉と比較して、より大きな電力をコイルに供給することが可能となる。なお、本発明における主成分とは、全成分の50質量%以上を占めていることを意味する。
本実施の形態の溶解炉1は、炉体2に捲回したコイル3に高電力を供給して、より大きな攪拌力を得ることができることから、酸化反応が容易に起こり得る金属、例えば、アルミニウムを溶解する場合において好適に用いることができる。
本実施の形態に用いられる炉体2を構成する結合材は、主成分としてのリン酸塩ガラスの他に他の成分を含んでもよい。結合材に上述した他の成分を含む場合には、結合材に対する、リン酸塩ガラスの含有割合が、90質量%以上であることが好ましい。リン酸塩ガラスの含有割合が、90質量%未満であると、炉体2の機械的強度を向上させる効果が低下することがある。
また、本実施の形態の溶解炉1における炉材を構成するセラミックス材料としては、特に限定されることはないが、セラミックス材料が、アルミナ、シリカ、及び炭化珪素を含むセラミックスであることが好ましい。なお、セラミックス材料には、例えば、酸化チタン等のその他の成分をさらに含んでいてもよい。セラミックス材料の配合割合としては、例えば、アルミナ47〜51質量部、シリカ36〜40質量、炭化珪素及びその他の成分が11〜15質量部(但し、合計100質量部)であることが好ましい。
また、本実施の形態においては、上述した炉材に対する、結合材の含有割合が、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。炉材に対する結合材の含有割合が0.01質量%未満であると、結合材を含有する効果が十分に得られないことがある。また、結合材の含有割合が2.0質量%を超えたとしても、これ以上の機械的強度を向上する効果を得ることができずコスト高となることがある。
本実施の形態の溶解炉1に用いられる炉体2は、その内部に金属を充填して溶解することができる有底筒状であれば、その形状は特に限定されることはないが、例えば、図1に示すように、炉体2が側壁7、底面8、及び側壁7と底面8とを連結する底部テーパ部9を有する場合に、炉体2の側壁7が、炉体2の開口端5からその底面8側まで漸増する厚さを有することが好ましい。従来の溶解炉に用いられる炉体は、その底部周辺に亀裂が入り易く、これが破損の原因の一つとなっていたが、本実施の形態においては、底面8側の周辺の側壁7の厚さを厚くして機械的強度を向上させることにより、炉体2の破損をより効果的に防止することができる。
さらに、本実施の形態の溶解炉1においては、炉体2の側壁7における開口端側の厚さに対する、側壁7における底面8側の厚さの割合が、110〜140%であることがさらに好ましく、120〜130%であることが特に好ましくい。
従来、アルミニウム等の低融点の金属を溶解するための炉体は、炉体の内空間の形状に対応した成形型(フォーマー)を用いて、セラミックス材料と結合材とを含む炉材を成形して成形体を得、成形型(フォーマー)を加熱して、得られた成形体を焼成することにより形成されているが、形成された炉体から成形型(フォーマー)を取り外す際に、炉体の内周面にストレスが掛かることがあり、このことが炉体の機械的強度を低下させる原因となることがあった。
このため、本実施の形態においては、上記のように底部8側の側壁7の厚さを厚くして機械的強度を向上させるとともに、炉体2から成形型(フォーマー)を取り外す際のストレスを軽減させるために、炉体2の側壁7の内周面が、炉体2の開口端5からその底面8側に向けて、炉体2の中心軸方向に対して0.5〜2.0度の角度で内側に傾斜する形状を有することが好ましい。
炉体2の側壁7の内周面が、炉体2の開口端5からその底面8側に向けて、炉体2の中心軸方向に対して0.5度未満の角度で内側に傾斜する形状を有する場合は、成形型(フォーマー)を取り外すことが困難になることがあり好ましくない。また、炉体2の側壁7の内周面が、炉体2の開口端5からその底面8側に向けて、炉体2の中心軸方向に対して2.0度を超えた角度で内側に傾斜する形状を有する場合は、炉体2の内容積が低下することや、コイル3によって発生する磁場が弱くなることがあり好ましくない。なお、本実施の形態において、上述したように炉体2の側壁7の内周面が内側に傾斜する形状を有する場合には、その内周面の総面積の80%以上が、このような形状を有していることをいう。
また、炉体2の内部の内径については、側壁7の開口端5側の内径に対する、側壁7の底面8側の内径(即ち、底部テーパ部9との境界部分の内径)の割合が、0.85〜0.95であることが好ましく、0.90〜0.95であることがさらに好ましい。
本実施の形態に用いられるコイル3としては、捲回したコイル3に効率よく磁場を発生させることができるものが好ましく、例えば、従来公知の誘導炉に用いられるコイルを好適に用いることができる。また、上述したコイル3は、二以上のコイル3を炉体2の側面の上下に分けて捲回し、上下で逆の方向に作用する磁場を発生させることが好ましく、例えば、図2に示すように、二つのコイル3a,3bを炉体2の側面に捲回した場合には、金属溶湯4を、炉体2内の金属溶湯4を開口端5側と底面8側とで異なるように攪拌することができる。図2においては、矢印Aが、金属溶湯4を攪拌する方向を示している。
また、図1に示すように、本実施の形態に用いられるコイル3は、その内部に冷却水が流れるように構成されていることが好ましい。このように構成することによって、コイル3の焼損を効果的に防止することができる。
アルミニウムは、鉄や銅に比較して融点は低いが、その溶解潜熱が高いために溶解するためには鉄や銅と同等のエネルギーが必要となる。このため、従来の溶解炉においては、アルミニウムの溶解にエネルギーの多くを消費することも影響して、炉体が破損しないようにコイルに電力を供給した場合は、アルミニウム溶湯(金属溶湯)の攪拌を十分に行うことができず、アルミニウム溶湯に表面に浮遊したアルミニウムが容易に酸化して歩留まりが悪かった。本実施の形態の溶解炉1は、これまでに説明したように炉体2の機械的強度が高く、より大きな攪拌力を得ることができることから、アルミニウムの切粉であるアルミニウムチップ等を溶解する際にも好適に用いることができる。
アルミニウムチップを溶解する場合には、溶解炉1を構成するコイル3に通電する電力量を、炉体2内のアルミニウム金属溶湯1t(トン)当たり300〜400kW/tとすることが好ましく、さらに、330〜350kW/tとすることが好ましい。このような電力量で溶解炉1を使用することによって、コイル3に強力な磁場を発生させてアルミニウムチップの酸化を抑制するような攪拌力を得ることができ、アルミニウムチップの歩留まりを向上させることができる。より具体的な電力量としては、例えば、本実施の形態の溶解炉1を構成する炉体2に、1.7tのアルミニウム溶湯(金属溶湯4)が充填されている場合は、電力量が550〜650kW(周波数60Hz)であることが好ましい。
以下、本実施の形態の溶解炉1を構成する炉体2の製造方法について具体的に説明する。まず、アルミナ、シリカ、及び炭化珪素を含むセラミックス材料に、リン酸塩ガラスを主成分として含有する結合材を加えて混合して炉材を形成する。
次に、炉体の外形に対応した空間内に、炉体の底面部分を形成するための炉材を充填し、充填した炉材を振動バイブレータ等により突き固め、炉体の底面部分を形成する。なお、炉体の外形に対応した空間の内面には、マイカやガラスウール等のバックライニング(裏壁)を配設し、さらにその外側に、誘導用のコイルを配設しておく。
次に、炉体の内部空間の形状に対応した成形型(フォーマー)を炉体の底面部分の上に配設する。その後、成形型によって内部空間に形成された隙間に炉材を充填し、充填した炉材を振動バイブレータ等により突き固め、炉体の側壁、及び必要に応じて底部テーパ部を形成し、炉体形状の成形体を得る。なお、特に限定されることはないが、側壁に振動を与えて炉材を突き固める際には、成形型(フォーマー)の内側から振動を与えることが好ましい。
次に、得られた成形体の内部に配設されている成形型(フォーマー)を、例えば、800〜950℃、好ましくは850〜900℃で、3〜7時間、好ましくは5〜6時間加熱し、成形体の内表面を焼成する。次に、成形体の内表面から5〜30mm程度、好ましくは10〜20mm程度が焼成した状態で、成形型(フォーマー)の加熱を停止し、成形体から成形型(フォーマー)を取り外して炉体2を形成する。
図3は、本実施の形態の溶解炉1を用い、アルミニウムチップを溶解するための溶解設備10を示す模式図である。機械加工等によって生じたアルミニウムチップには切削油等の油分及び水分が大量に(アルミニウムチップ100質量部に対して、付着した油分及び水分が10質量部程度)付着しているため、そのままの状態で溶解すると、切削油が燃焼して二酸化炭素や公害物質となる窒素化合物や硫黄酸化合物等を発生することがある。また、水分を蒸発させるためのエネルギーが余分に必要となることや、蒸発した水分がアルミニウムチップを酸化して歩留まりを減少させることがある。
このため、アルミニウムチップを溶解する場合には、図3に示すような溶解設備10を用いて、アルミニウムチップに付着した水分や油分を除去した後に溶解することが好ましい。このような溶解設備10に本実施の形態の溶解炉1を用いることで、アルミニウムチップの歩留まりを向上させることができるとともに、大気汚染等を引き起こすことのない溶解を実現することができる。以下、本実施の形態の溶解炉1を用いた溶解設備10について具体的に説明する。
この溶解設備10は、機械加工等により生じたアルミニウムチップを貯留する貯留ホッパー11と、アルミニウムチップを振るい分ける振るいドラム12と、大きなアルミニウムチップを切断するクラッシャー13と、アルミニウムチップに付着した油分や水分を遠心力で除去する遠心分離機14と、油分や水分を蒸発させて除去するロータキルン15と、本実施の形態の溶解炉1とを備えている。
貯留ホッパー11は、機械加工等により生じたアルミニウムチップを貯留するための容器であり、この貯留ホッパー11に接続された二連スクリューにより、所定の量のアルミニウムチップを振るいドラム12に送ることができるように構成されている。
振るいドラム12は、複数の孔が形成されたドラムを回転させることで、孔よりも小さいアルミニウムチップを振るい分けることができる。
振るいドラム12の孔を通過することのできなかった大きなアルミニウムチップは、振るいドラム12に接続されたクラッシャー13に送られて、振るいドラム12の孔の外径より小さくなるように切断される。このクラッシャー13にて切断されたアルミニウムチップは、再度、振るいドラム12に送られて振るい分けられる。クラッシャー13は、アルミニウムチップを切断する負荷に応じて正逆回転を行い、連続的にアルミニウムチップを切断することができるように構成されていることが好ましい。
振るいドラム12の孔を通過したアルミニウムチップは、回転筒を備えた遠心分離機14に送られる。アルミニウムチップの入った回転筒が、高速で回転することによって、アルミニウムチップに付着した油分や水分を遠心力で吹き飛ばすものである。これにより、アルミニウムチップに付着した油分及び水分を4〜5質量部まで除去することができる。
遠心分離機14を通過したアルミニウムチップは、ロータキルン15に送られる。ロータキルン15は、バーナ等によって加熱された水平方向から所定の角度に傾斜した回転筒を有し、低速で回転する回転筒内で、遠心除去機では除去することのできなかった油分及び水分を、蒸発、自燃させることができる。図3に示す溶解設備10においては、遠心分離機14を通過したアルミニウムチップをロータキルン用ホッパー21に蓄え、このロータキルン用ホッパー21からスクリューコンベアー22を用いてロータキルン15に供給することができる。スクリューコンベアー22は、ロータキルン15内の温度を確認しながらアルミニウムチップの送り量を調整することができるように構成されており、アルミニウムチップの供給過多によるロータキルン15の除去効率の低下や、黒煙や臭気等の発生を有効に防止するとともに、アルミニウムチップの供給不足によるロータキルン15内の温度上昇に伴うアルミニウムチップの溶解等を有効に防止することができる。
キルン15内の温度は、特に限定されることはないが、300〜800℃であることが好ましく、320〜350℃であることがさらに好ましい。ロータキルン15内の温度が300℃未満であると、アルミニウムチップに付着した油分を十分に除去することができないことがある。また、ロータキルン内の温度が800℃を超えると、アルミニウムチップがロータキルン15内で溶解してしまうことがある。ロータキルン15内の温度は、例えば、温度センサーにて測定することができる。
ロータキルン15を通過したアルミニウムチップは、搬送用バケット23に充填され、このバケット23をコンベアで移動して溶解炉用ホッパー24に蓄える。この溶解炉用ホッパー24から所定量のアルミニウムチップが溶解炉1に供給される。本実施の形態の溶解炉1は、コイル3(図1参照)に電力を供給することで、金属溶湯4(図1参照)の攪拌を行えることから、効率よく溶解を行うことができる。
また、上述したロータキルン15で蒸発した油分が完全燃焼することなく外部に排出された場合、黒煙や悪臭の原因となることがあるために、図3に示した溶解設備10においては、ロータキルン15の排気の後段に、蒸発した油分を完全燃焼させるためのハイドラー16(再燃焼炉)を設置することが好ましい。ハイドラー16(再燃焼炉)は、ロータキルン15から排出された排気ガスを再燃焼させて黒煙や悪臭を取り除くものである。また、このハイドラー16(再燃焼炉)は、ダイオキシン等の有害物質の生成を防止するために、例えば、ハイドラー16(再燃焼炉)から排出された排気ガスに外気を送り込んで急冷することのできる構成としてもよい。
さらに、図3に示した溶解設備10においては、上述したハイドラー16(再燃焼炉)の排気側に、ロータキルン15やハイドラー16(再燃焼炉)によって発生する粉塵を集塵するための集塵機17を設置することが好ましい。
このように構成された溶解設備10に対して、本実施の形態の溶解炉1を用いることにより、効率よくアルミニウムチップを溶解することができる。また、アルミニウムチップがロータキルン15によって余熱されているために、低エネルギーで溶解を実現することができる。
なお、本実施の形態の溶解炉1を用いる場合は、図3に示した溶解設備10に限定されることはなく、上述した溶解設備10以外であっても、効率よく金属を溶解することができる。
以下、本発明の具体的な実施結果を説明する。
(実施例1)
Al2O3とSiO2とSiCとを、49:38:13の質量比で混合したセラミックス材料に、リン酸塩ガラスを90質量%以上含む結合材を混合して炉材を形成した。この炉材を用いて、図1に示したような炉体2を成形し、その外周面にコイルを捲回して溶解炉1を形成した。なお、炉体2の側壁7の開口端5側の内径(側壁7の最大の内径)は850mm、炉体2の側壁7の底面8側の内径(側壁7の最小の内径)は795mm、底部テーパ部9を経由した底面8の内径は710mm、側壁7の開口端5側の厚さは85mm、側壁7の底面8側の厚さは180mmとした。また、側壁7の高さは1300mm、底部テーパ部9の高さは300mmとした。
Al2O3とSiO2とSiCとを、49:38:13の質量比で混合したセラミックス材料に、リン酸塩ガラスを90質量%以上含む結合材を混合して炉材を形成した。この炉材を用いて、図1に示したような炉体2を成形し、その外周面にコイルを捲回して溶解炉1を形成した。なお、炉体2の側壁7の開口端5側の内径(側壁7の最大の内径)は850mm、炉体2の側壁7の底面8側の内径(側壁7の最小の内径)は795mm、底部テーパ部9を経由した底面8の内径は710mm、側壁7の開口端5側の厚さは85mm、側壁7の底面8側の厚さは180mmとした。また、側壁7の高さは1300mm、底部テーパ部9の高さは300mmとした。
溶解炉1を構成するコイル3に、電圧1200V、電力量600Wの条件で通電を行い、1.7tのアルミニウムチップを溶解させたところ、アルミニウムチップの歩留まりは98%であった。また、実施例1の溶解炉1は、約12ヶ月間、炉体2が破損することはなかった。
(比較例1)
Al2O3とSiO2とSiCとを、49:38:13の質量比で混合したセラミックス材料に、ホウ珪酸ガラスを90質量%以上含む結合材を混合して炉材を形成した。この炉材を用いて、炉体の内部の形状が内径850mmの円柱状の従来公知の炉体を成形し、その外周面にコイルを捲回して溶解炉を形成した。
Al2O3とSiO2とSiCとを、49:38:13の質量比で混合したセラミックス材料に、ホウ珪酸ガラスを90質量%以上含む結合材を混合して炉材を形成した。この炉材を用いて、炉体の内部の形状が内径850mmの円柱状の従来公知の炉体を成形し、その外周面にコイルを捲回して溶解炉を形成した。
溶解炉を構成するコイルに実施例1と同様の条件で通電したところ、約3ヶ月で炉体が破損してしまった。
本発明の溶解炉は、機械的強度に優れた炉体を備え、高い歩留まりで金属を溶解することができることから、アルミニウム、例えば、アルミニウムチップを溶解する場合に好適に用いることができる。
1:溶解炉、2:炉体、3,3a,3b:コイル、4:金属溶湯、5:開口端、7:側壁、8:底面、9:底部テーパ部、10:溶解設備、11:貯留ホッパー、12:振るいドラム、13:クラッシャー、14:遠心分離機、15:ロータキルン、16:ハイドラー、17:集塵機、21:ロータキルン用ホッパー、22:スクリューコンベアー、23:バケット(搬送用バケット)、24:溶解炉用ホッパー、A:金属溶湯を攪拌する方向。
Claims (8)
- 金属溶湯とするための金属が充填される有底筒状の炉体と、前記炉体の側壁の外周面上に捲回され、磁場を発生することによって前記炉体中の前記金属溶湯を攪拌することが可能なコイルとを備えてなる溶解炉であって、
前記炉体を構成する炉材が、セラミックス材料を、リン酸塩ガラスを主成分として含有する結合材で結合してなるものである溶解炉。 - 前記セラミックス材料が、アルミナ、シリカ、及び炭化珪素を含むセラミックスである請求項1に記載の溶解炉。
- 前記炉材に対する、前記結合材の含有割合が、0.01〜2.0質量%である請求項1又は2に記載の溶解炉。
- 前記結合材に対する、前記リン酸塩ガラスの含有割合が、90質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の溶解炉。
- 前記炉体の前記側壁が、前記炉体の開口端からその底部まで漸増する厚さを有する請求項1〜4のいずれかに記載の溶解炉。
- 前記炉体の前記側壁における開口端側の厚さに対する、前記側壁における底部側の厚さの割合が、110〜140%である請求項5に記載の溶解炉。
- 前記金属が、アルミニウムチップである請求項1〜6のいずれかに記載の溶解炉。
- 前記炉体を加熱するための加熱手段をさらに備えた請求項1〜7のいずれかに記載の溶解炉。
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