JP2007189963A - 収容基板及び収容基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微量のサンプルや薬品を収容して、しかもこれらサンプルや薬品が凹部の底部に集まり、従って確実にこれらサンプルや薬品を取り出すことができる収容基板とその製造方法を提供すること。
【解決手段】反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部の底部をサンドブラストして、十点平均粗さが1μm〜100μmの微細な凹凸を設ける。また、サンドブラストした金型を用いて基板を射出成型してもよい。この微細な凹凸によって試薬等との親和性が高まり、サンプルや薬品が凹部の底部に集めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する使い捨ての収容基板に関する。本発明の収容基板によれば、例えば、人体から採取したDNAやこれをPCR増幅して得られたDNAの一塩基多型性を検査する際に、人体から採取したサンプルやPCR増幅反応に適用する薬品を凹部に収容して、これらサンプルや薬品を用いてPCR増幅反応を行うことができる。
一塩基多型(SNP)は、DNAの配列において一塩基が他の塩基に置き換わっていることを意味し、この一塩基の違いによって個人の個体差、つまり、病気への罹り易さや投与薬剤の種類と効果及び副作用などに差が生じる。このため、遺伝子レベルでその体質を検査し、その体質ごとに治療方針や予防方針を定めるために、このSNPの検査が注目されている。
この検査に適用するDNAとしては、例えば、人体から採取した血液等のサンプルに含まれるDNAが利用されるが、採取する血液等のサンプルを少量で済ませ、効率的な検査を行うため、採取したサンプル中のDNAを増幅させ、この増幅させたDNAを検査することでそのSNPを検知している。
サンプル中に含まれる微量のDNAを増幅させる方法には種々の方法が知られているが、その代表的な方法として、PCR法が知られている。この方法は、サンプル中の二本鎖DNAの変性工程(一本鎖DNAを生成する)、アニーリング工程(プライマーと呼ばれるオリゴヌクレオチドと一本鎖DNAの一部とをハイブリゼーションする)、及び伸長工程(前記プライマーを起点としてヌクレオチドを伸長させる)から構成される3工程を1サイクルとし、このサイクルを繰り返してサンプル中のDNAを増幅させる方法である。理論的には、サイクル数をnとして、2n倍に増幅することができる。変性工程は80〜100℃、アニーリング工程は50〜60℃、伸長工程は60〜80℃で行われる。1サイクルに要する時間はせいぜい10分程度であるが、このサイクルを繰り返して必要量のDNAを増幅するためには数時間を要することがある。
そして、増幅されたDNAは、このDNA中に含まれるSNPの検査工程(タイピング工程)に利用される。タイピング方法にも種々の方法があり、その代表的な例としてはインベーダー法が挙げられる。この方法においては、二種類の非蛍光標識オリゴヌクレオチド(アレルプローブ、インベーダープローブ)、一種類の蛍光標識オリゴヌクレオチド(FRETプローブ)及びDNA構造に特異的なエンドヌクレアーゼ(クリベース)を使用する。アレルプローブは、鋳型DNAの配列とは無関係な配列(フラップ)を5’側に有し、3’側に鋳型DNAに特異的な相補配列を有するオリゴヌクレオチドで、その相補配列の5’側末端はSNP部位となっている。他方、インベーダープローブは、前記SNP部位から鋳型DNAの3’側に相補的に結合するように設計されている。また、FRETプローブは蛍光標識を有するオリゴヌクレオチドで、その5’末端に蛍光標識(レポーター)を有し、その上流にはクエンチャーが結合している。そして、このレポーターから3’側の部位が自己ハイブリゼーションして二本鎖を構成しており、この二本鎖から3’末端側に、アレルプルーブのフラップと相補的な配列である一本鎖の部位を有するものである。また、クリベースは、ヌクレオチドが三重に重なった部位を認識し、三重に重なったヌクレオチドの3’側を切断して遊離させる酵素である。
そして、このインベーダー法においては、まず検査対象の鋳型DNAとアレルプローブ
をハイブリゼーションしたときに、SNP部位にインベーダープローブの3’末端が侵入する。このため、このSNP部位で、鋳型DNA、アレルプローブ及びインベーダープローブを重ね合わせて三重になる。このSNP部位の構造をクリベースが認識して、アレルプローブのフラップを切断・遊離させる。次に、アレルプローブ起源の前記遊離フラップはFRETプローブとハイブリゼーションする。このハイブリゼーションによって、自己ハイブリゼーションの二本鎖とアレルプローブ起源の前記遊離フラップとの交点で三重となり、クリベースは再びこの構造を認識してFRETプローブのレポーターを切断し、クエンチャーから開放される。そして、励起光を照射することにより、切断遊離されたレポーターの蛍光標識が蛍光発色する。仮にSNP部位の塩基がアレルプローブとマッチしないものであった場合、アレルプローブ起源のフラップは切断・遊離せず、したがって、蛍光発光率が著しく低いから、この蛍光強度の差を検出することによってSNPを検査することができる。なお、励起光としては一般に紫外光又は可視光が利用されている。
このようなDNAの検査技術は、汚染(コンタミネーション)によってその検査精度が低下するため、使い捨ての反応容器を使用してその基板に複数の凹部を設けてそれぞれ収容室、反応室及び検査室とし、この収容室に必要な試薬等を収容すると共に、この試薬等を使用して反応室でPCR増幅反応を行い、検査室でタイピング反応を行う方法が提案されている。この方法によれば、単一の検査対象の検査を使い捨ての反応容器で完了することができるため、コンタミネーションを防止して正確な検査を行うことができる。
特開平05−317030号公報
ところで、人体から採取した血液等のサンプルは極めて微量であり、従ってPCR増幅反応に適用する薬品も微量である。このため、これらサンプルや薬品を収容する収容室は、その内容積が極めて小さく構成されている。
しかしながら、内容積の小さい収容室にサンプルや薬品を収容した場合、これらサンプルや薬品がその表面張力に起因して微細な球状となってそれぞれの位置に分散してしまい、あらかじめ定められた位置に集まらないことがあった。そして、このため、例えば注射器状シリンジやピペット等を使用して、十分な量のサンプルや薬品を取り出すことが困難になるという問題があった。
そこで、本発明は、微量のサンプルや薬品を収容して、しかもこれらサンプルや薬品が凹部の底部に集まり、従って確実にこれらサンプルや薬品を取り出すことができる収容基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板であって、
この凹部の底部が微細な凹凸を有しており、この凹凸の十点平均粗さが1.0μm〜100μmであることを特徴とする収容基板である。
また、請求項2に記載の発明は、前記凹部が、DNAの増幅反応に適用する薬品を収容する収容室であることを特徴とする請求項1に記載の収容基板である。
また、請求項3に記載の発明は、前記凹部の開口部の直径が5〜10mm、深さが5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の収容基板である。
また、請求項4に記載の発明は、前記凹部は、底部に向かって断面積が漸減するように
、その内壁がテーパー状に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の収容基板である。
また、請求項5に記載の発明は、反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板を成型した後、前記凹部の底部にサンドブラスト処理を施して、前記凹部の底部に十点平均粗さ1.0μm〜100μmの微細な凹凸を設けることを特徴とする収容基板の製造方法である。
また、請求項6に記載の発明は、反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板を、金型を使用して成型するにあたり、前記金型の一部であって、前記凹部の底部に対応する部位にサンドブラスト処理を施し、次にこの金型を使用して前記基板を成型して、前記凹部の底部に十点平均粗さ1.0μm〜100μmの微細な凹凸を有する合成樹脂製基板を製造することを特徴とする収容基板の製造方法である。
請求項1に係る発明においては、凹部の底部が微細な凹凸を有しており、しかもこの凹凸の十点平均粗さを1.0μm〜100μmとして試薬等との親和性を向上させているから、収容した試薬等を前記底部に集めることが可能となる。
そして、このため、注射器状シリンジやピペット等を使用して十分な量の試薬等を取り出すことができる。
また、請求項2に係る発明においては、前記凹部を、DNAの増幅反応に適用する薬品を収容する収容室としているから、この薬品を用いて十分な増幅反応を行うことが可能となる。
また、請求項3に係る発明においては、前記凹部の開口部の直径が5〜10mm、深さが5mm以下であり、請求項4に係る発明においては、前記凹部が底部に向かって断面積が漸減するように、その内壁がテーパー状に構成されているから、収容した微量の試薬等を前記底部に効率的に集めることが可能となる。
また、請求項5に係る発明においては、反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板を成型した後、前記凹部の底部にサンドブラスト処理を施して、前記凹部の底部に十点平均粗さ1.0μm〜100μmの微細な凹凸を設けて製造し、請求項6に係る発明においては、反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板を、金型を使用して成型するにあたり、前記金型の一部であって、前記凹部の底部に対応する部位にサンドブラスト処理を施し、次にこの金型を使用して前記基板を成型して、前記凹部の底部に十点平均粗さ1.0μm〜100μmの微細な凹凸を有する合成樹脂製基板を製造するから、試薬等との親和性が高くこれら試薬等を底部に集める収容基板を製造することが可能となる。
本発明に係る収容基板は、合成樹脂によって構成され、反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部(収容室)をその表面に有するものである。反応としてはDNAのPCR増幅反応が例示でき、このPCR増幅反応に適用するサンプルとしては人体から採取した血液等が挙げられる。また、PCR増幅反応に適用する薬品としては、ポリメラーゼ等のPCR試薬が例示できる。また、PCR増幅反応に適用する薬品として希釈液やPH緩衝液を収容することもできる。
また、反応としてはDNAのタイピング反応を例示することができる。このタイピング
反応に適用する薬品としては、アレルプローブ、インベーダープローブ、クリベースあるいはFRETプローブ等が例示できる。
収容室は複数設けることができ、これら複数の収容室にサンプルや各種薬品のそれぞれを収容してもよい。基板に複数の収容室を設け、一部の収容室にポリメラーゼ等のPCR試薬を収容し、他の収容室に希釈液やPH緩衝液を収容しておくこともできる。
また、本発明に係る収容基板に、前記収容室の他、PCR増幅反応室や複数の検査室が設けられていてもよい。この場合、PCR増幅反応室でDNAを増幅して得られた検査対象を複数の検査室に分注して、複数の検査室でそれぞれ異なるタイピング反応を行うことができる。そして、この場合には、タイピング反応の終了後、基板裏面側から複数の検査室内の反応済検査対象に向けて励起光を照射・集光し、蛍光の発生の有無によって検査することができるため、SNP検査工程をこの収容基板上ですべて完結することが可能となり、PCR増幅工程とタイピング工程で取り違えたり、あるいは、誤った試薬を使用するなどの人為的ミスを防止して、SNPの検査を正確に行うことが可能となる。
収容基板は、合成樹脂を射出成型することによって製造することができる。合成樹脂としては、反応時の熱等の反応条件に耐えると共に、正確な反応を阻害しないものであることが望ましい。また、前記励起光(紫外光又は可視光)および蛍光(可視光)の透過率が高い合成樹脂を使用することが必要である。例えば、蛍光標識物質として知られるFAMの励起光の波長は470nm、蛍光の波長は520nmであり、REDの励起光の波長は570nm、蛍光の波長は620nmである。基板は、これら励起光及び蛍光の透過率が70%以上であることが望ましい。より望ましくは85%以上である。
このような合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が好適に利用できる。また、ポリメチルアクリレートやポリメチルメタクリレート等のアクリル系合成樹脂を使用することも可能である。また、このほか、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系合成樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等を使用しても良い。
また、同じ理由から、基板の厚みは2mm以下であることが望ましい。2mmを越えると、励起光や蛍光光の透過率が低下する。望ましくは1mm以下である。また、熱変形を防止するため、少なくとも0.3mmの厚みを有することが望ましい。
図1Aは本発明に係る収容基板を利用した検査容器の例を示しており、この検査容器は、収容基板1、収容室用のフィルム状蓋材2、反応室形成用フィルム3及び検査室用保護フィルム4で構成されており、基板1は横方向に長い長方形の外形を有している。基板1の長辺は5〜15cm、短辺は1〜5cmである。そして、その長手方向に沿って、順に、9つの収容室11、単一のPCR増幅反応室12、及び3列×8個に配列した24個の検査室13が設けられている。また、基板1の向きを誤ることがないように、その長手方向側辺のうち一方の辺に切り欠き15が設けられており、長手方向の変形を防止するため、その裏面側の両側辺には、これに沿ってリブ14が設けられている。なお、図1Bは、基板1を裏面側から見た斜視図である。
9つの収容室11は、いずれも、PCR増幅反応に適用する薬品を収容するものである。すなわち、収容室11の一部にはポリメラーゼ等を含むPCR試薬が収容されている。また、別の収容室11には希釈液が収容されている。なお、これらPCR試薬、希釈液等はいずれも液体であり、このため、収容室11は、フィルム状蓋材2によって液密に密封されている(図2参照)。また、収容室11は、凹部の形態で基板1に設けられており、その内容積は、後述する検査室の内容積よりも大きく構成されている。例えば、収容室1
1の開口部の直径は5〜10mm、深さは5mm以下である。そして、その開口部の周囲には、基板1から突出する線状の凸部111が設けられている。なお、これら凸部111の高さはいずれも同一であり、フィルム状蓋材2はこれら凸部111の全体に跨って一括して接着されている。
これら収容室11は、いずれも、底部112に向かって断面積が漸減するように、その内壁がテーパー状に構成されており、これら収容室11に収容された試薬等は、たとえ少量の場合であっても、あらかじめ定められた位置、すなわち、底部112中央に集まるように構成されている。このように試薬等があらかじめ定められた位置に常に集まっている場合には、注射器状シリンジやピペット等を使用して、これら試薬等を容易かつ確実に取り出すことが可能となる。なお、収容室11として、内側面の上部が均一な断面積で、その底部112がテーパー状に構成されているものであっても良く、この場合でも試薬等があらかじめ定められた位置に集まり、容易かつ確実に取り出すことが可能である。
また、これら収容室11は、少なくともその底部112が、収容する試薬等との親和性に優れていることが望ましい。親和性に乏しい場合、試薬等の量が少なければ、この試薬等がその表面張力に起因して微細な球状となってそれぞれの位置に分散してしまい、あらかじめ定められた位置に集めることが困難である。試薬等が親水性の場合、これら試薬等との親和性を高めるため、収容室の底部112に親水化処理を施しておくことができる。例えば、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理、あるいは、オゾンガスなどの酸化性薬品による表面処理などである。
また、収容室の底部112に微細な凹凸を設けることによって表面エネルギーを増大させて親水性試薬等との親和性を向上させ、収容した試薬等を所定の位置に集めることができる。微細な凹凸は、例えば、この底面にサンドブラスト処理を施すことで設けることが可能である。また、この底部112にレーザー光を照射してこの底部112に微細な凹凸を形成することも可能である。また、この底部112に対応する位置にサンドブラスト処理を施した金型を使用して射出成型法により基板1を製造することにより、収容室底部112に微細な凹凸を設けることもできる。この微細な凹凸としては、十点平均粗さが1.0μm以上あることが望ましい。より望ましくは1.5μm以上である。また、この凹凸の十点平均粗さは、100μm以下であることが望ましい。より望ましくは30μm以下である。
理論容量96.6μlの収容室に58.0μlの親水性試薬を収容し、注射器状のチップやピペット等を突き刺してこの試薬を取り出したとき、収容室底部112が平滑な場合(十点平均粗さ約0.2μm)、その底部112に残った試薬は17〜38μl(回収率70〜34%)であったのに対し、砂番手A220(2μm)を使用して、圧力4kg/mm、放射距離15cmの条件でサンドブラスト処理を施した金型により射出成型して、収容室底部112に十点平均粗さが2μmの凹凸を施した基板1を用いた場合、その底部に残った試薬は9〜17μl(回収率84〜70%)であった。
なお、前述のように、これら収容室11には、利用する試薬等をあらかじめ収容しておくと便利である(ただし、少なくとも1つの収容室は空の状態のままとしておくことが望ましい。この空の収容室は、人体から採取した血液等のサンプルを収容する部位として利用する)。PCR試薬、希釈液等は液体状態であるため、これら液状の試薬等を、収容室11のうち一部の収容室に収容し、蓋材2によって液密に密封しておくことが望ましい。蓋材2として、合成樹脂の射出成型品を利用することもできるが、この例のようにフィルム状の蓋材を使用して、収容室11の開口部周囲の凸部111に接着することが望ましい。これら収容室11のそれぞれについて、それぞれ独立した個別のフィルム状蓋材を適用することもできるが、凸部111は線状に構成されており、しかも同一の高さに形成され
ているから、1枚の広い面積のフィルム状の蓋材2を適用して、収容室11のすべての凸部111に一括して接着することが望ましい。なお、例えば、注射器状シリンジ等を使用してこのフィルム状蓋材2から突き刺すことにより、収容室内の試薬等を取り出すことができる。また、人体から採取した血液等のサンプルを収容する場合にも、注射器状シリンジ等を突き刺して収容室に収容することができる。このため、フィルム状蓋材2は、基板から剥離できる必要がない。もちろん、このフィルム状蓋材2を剥離可能に凸部111に接着することも可能であり、この場合には、フィルム状蓋材2の一部又は全部を剥離して収容室11を露出させて使用することができる。
収容室用フィルム状蓋材2としては、合成樹脂フィルムが利用できる。このような合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンあるいはポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリメチルアクリレートやポリメチルメタクリレートなどのアクリル系合成樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリシクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂系フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が例示できる。また、フィルム状蓋材3として金属箔やこの金属箔に合成樹脂フィルムを積層した積層フィルムを使用することもできる。なお、フィルム状蓋材2は透明なものであっても良く、不透明なものであっても良い。
収容室用フィルム状蓋材2は、例えば、耐熱性の接着剤を使用して凸部111に接着することができる。例えば、硬化性接着剤である。このような硬化性接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等が例示できる。また、アクリル系モノマーと光開始剤とを含む光硬化型接着剤を利用することもできる。また、ヒートシールによって接着することもできる。
次に、PCR増幅反応室12は、PCR増幅反応を行う部位である。このPCR増幅反応室12は、図3の要部断面図に示すように、トンネル状に構成されている。すなわち、基板1は、その裏面に線状の凹部を有しており、反応室形成用フィルム3をこの線状凹部の周囲に接着してこの線状凹部を塞ぐことによりこの反応室形成用フィルム3と基板1に囲まれたトンネル状部位を形成し、このトンネル状部位をPCR増幅反応室12としている。前述のように、PCR増幅反応は、高温下で1時間以上の時間をかけて反応させることがあるが、機密性の高いトンネル状のPCR増幅反応室12で反応させ、前記サンプル前記サンプルや試薬より比重の軽い不揮発性液体を注入してその表面を不揮発性液体で覆うことにより、反応液の蒸発を防止することができる。なお、不揮発性液体としては、ミネラルオイル、植物油又はシリコーンオイルを使用することができる。
なお、このトンネル状PCR増幅反応室12の両端に基板1を貫通する貫通孔121を設け、基板1の表面にはこの貫通孔121に連通する中心孔を有する筒状突出部122を設けて、この筒状突出部122の中心孔と貫通孔121とを連通してPCR試薬、希釈液及び不揮発性液体をトンネル状PCR増幅反応室12に注入し、また、増幅して得られた検査対象をトンネル状PCR増幅反応室12から取り出すことができる。なお、筒状突出部122の上部には、その中心孔を汚染等から防止するため、図示しない保護フィルムを接着することができる。
なお、トンネル状PCR増幅反応室12の高さ、すなわち、線状凹部の深さは0.1〜5.0mmの範囲にあることが望ましい。これより浅いと、各検査室に分注するのに必要な量の検査対象をPCR増幅反応によって反応生成することが困難である。また、これより深いと、PCR増幅反応に必要な熱が十分に伝わらず、必要な増幅反応が生じないおそれがある。
また、トンネル状PCR増幅反応室12は、前記両貫通孔121を直線状に結ぶ形状であっても良いが、反応液の蒸発を抑制するため、前記両貫通孔121の間で屈曲した線の形状を有することが望ましい。例えば、円弧状、ジグザク状、コの字状、あるいはこれらを組み合わせた形状である。図7A及びBは、コの字状のトンネル状PCR増幅反応室12を設けるための基板の斜視図及び裏面斜視図を示している。
また、線状凹部を塞いでPCR増幅反応室12を構成する反応室形成用フィルム3は、この線状凹部内の位置で、一般に基板1の裏面表面よりわずかにPCR増幅反応室12側に入り込んで突出部31を構成していることが望ましい。基板1とフィルム3の熱膨張率は一般に異なるから、PCR増幅反応の三工程(DNAの変性工程、アニーリング工程、伸長工程)の熱サイクルによってこの基板1とフィルム3の間に隙間が生じることがある。フィルム3が基板1の裏面表面よりPCR増幅反応室12に突出していることによって、かかる隙間が生じた場合であっても、この隙間はPCR増幅反応室12の側壁とフィルム3の突出部31に生じるに過ぎず、基板1とフィルム3の間に生じることがない。前記突出部31の高さxは0.1〜10μmで良い。
この反応室形成用フィルム3としては、押圧によって延伸することのできるフィルムが好ましく使用でき、例えば、熱可塑性合成樹脂フィルムが利用できる。フィルム4は透明なものであっても良く、不透明なものであっても良い。また、金属箔に合成樹脂フィルムを積層した積層フィルムを使用することもできる。このような熱可塑性金属箔としては、例えば、アルミニウム箔が好ましく使用できる。金属箔を含む積層フィルムを使用した場合には、この積層フィルムの水蒸気バリア性が高く、反応時の伝熱性も優れるため、効率よくPCR増幅反応を行うことができる。
反応室形成用フィルム3は、例えば、耐熱性の接着剤を使用して基板1に接着することができる。例えば、熱硬化性接着剤である。このような熱硬化性接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等が例示できる。また、アクリル系モノマーと光開始剤とを含む光硬化型接着剤を利用することもできる。そして、反応室形成用フィルム3の片面全面に硬化型接着剤を塗布し、その接着剤面を基板1に重ね、トンネル状PCR増幅反応室12の底部中央付近に突出部を有する押圧型で押圧して、反応室形成用フィルム3をわずかに延伸させながらPCR増幅反応室12内に突出させ、この状態で加熱あるいは紫外線照射して硬化させて接着することができる。この場合、PCR増幅反応室12の底面には硬化した接着剤が露出するが、この接着剤は硬化済であるため、PCR増幅反応がこの接着剤に阻害されることはなく、正確なPCR増幅反応を行うことができる。
また、反応室形成用フィルム3は、ヒートシールによって基板1に接着することもできる。すなわち、前記熱可塑性樹脂フィルムを基板1に向けて重ね、トンネル状PCR増幅反応室12の底部中央付近に突出部を有する押圧型で押圧しながら加熱して、このフィルム3を基板1に接着することもできる。この場合には、PCR増幅反応室12の底面にはフィルム3が露出して、PCR増幅反応を阻害することなく、正確なPCR増幅反応を行うことができる。
次に、検査室13について説明する。図示で3列×8個に配列した24個の検査室13は、タイピング反応を行う部位である。検査室13は24個に限られるわけではないが、その検査対象によって調べるSNPの数が異なり、各SNPにより使用する試薬が異なるため、これら各種の試薬の数の検査室13が設けられていることが望ましい。また、これら複数の検査室13に、互いに異なる種類のタイピング試薬をあらかじめ収容しておくことにより、それぞれの検査室13のタイピング反応を特定して、検査ミスを防止することができる。
検査室13は、図4の要部断面図に示すように、基板1に凹部の形態で設けられたものである。また、タイピング反応を行う検査室13は、前記収容室11より内容量の小さい凹部から構成されることが望ましい。例えば、その開口部の直径及び深さが5mm以下でよい。好ましくは、0.01〜5mmである。タイピング反応は、PCR増幅反応室13でDNAを増幅した微量の反応生成物を検査対象として、このような微量の検査対象で精度良く反応させる必要があり、また、基板1の裏面から照射する励起光をこの検査対象に正確に集光させると共に、この集光された励起光によって確実に蛍光を発生させ、かつ、検知装置にてこの蛍光を確実に検知する必要があるからである。仮に微量の検査対象を広い反応室で反応させたとすると、励起光によって発生した蛍光が弱く、このため、検知できないおそれがある。
また、検査室13は、その側壁131をテーパー状とすることにより、PCR増幅反応室13でDNAを増幅した検査対象を分注する際に気泡を巻き込むことを防止し、これら検査対象を確実に検査室13の底部に収容すると共に、その底面132を平面状として基板裏面から照射される励起光の屈折・偏向を防止することが望ましい。なお、同様の理由から、この底面に対向する基板1裏面133もこの底面132に平行な平面を構成していることが望ましい。
なお、励起光及び蛍光の透過率として70%以上を確保するため、底面132とこれに対向する基板1裏面133との距離(基板1の厚み)は2mm以下であることが望ましい。より好ましくは1mm以下である。
また、検査対象の分注の際の気泡防止のため、底面132と側壁131とのなす角度は100〜140度の範囲にあることが望ましい。タイピング試薬は固体の形態で検査室13の底面132に接するように収容・準備しておくことができる。
検査室13を密閉してその汚染を防止するため、この検査室13を構成する凹部の開口部の周囲には線状凸部134を設けて、この凸部134にあらかじめ保護フィルム4を剥離可能に接着して基板1と一体化しておく必要がある。この保護フィルム4は、検査室13を使用する前に剥離除去されるものである。
保護フィルム4は、24個の検査室13のすべてに一括して接着されるもので、このため、これら24個の検査室13のすべてを被覆する大きさに構成されている必要がある。そして、その端部から引き剥がすことにより、これら24個の検査室13のすべてを一度に開口することが可能となる。
また、この反応容器は、保護フィルム4の引き剥がし予定方向に沿って引き剥がし誘導凸部を備えている必要がある。前述のように、引き剥がし誘導凸部は開口部周囲の線状凸部134と独立に設けることもできるが、図示の例は、凹部周囲の前記凸部134をその一部として含み、凹部周囲のこの凸部134と、この凸部同士を連結する連結凸部135とで構成されたものである。この引き剥がし誘導凸部には前記保護フィルム4が接着されて、保護フィルム4の剥離を誘導する。すなわち、この引き剥がし誘導凸部の全体に対して保護フィルム4を均一な接着力で接着することにより、その剥離開始から剥離の終了まで、一定の力で剥離して、これら24個の検査室13のすべてを一度に開口することが可能となる。
このような理由から、引き剥がし誘導凸部を構成する凹部周囲の前記凸部134と前記連結凸部135のいずれもが、線状であることが望ましい。この場合、保護フィルム4に均一な圧力を掛けながら保護フィルム4と線状凸部とを接着することが可能となる。そして、均一な圧力下で接着されたフィルムと線状凸部とはその接着力も均一であり、その剥
離開始から剥離の終了まで、一定の力で剥離することが可能となる。
また、引き剥がし誘導凸部を構成する凹部周囲の前記凸部134の幅と前記連結凸部135の幅はほぼ同一であることが望ましい。この場合、その剥離開始から剥離の終了まで、一定の力で且つ破断することなく剥離することが可能となる。望ましくは、もっとも狭い部位の幅を100%として最も広い部位の幅が200%以内となる幅である。
なお、凹部周囲の前記凸部134の幅と、前記連結凸部135の幅は、いずれも、0.1〜3mmであることが望ましい。これら凸部134及び連結凸部135の幅が0.1〜3mmである場合、無理なく、しかも途中で破断することなく保護フィルム4を剥離することが可能となる。
なお、引き剥がし誘導凸部が凹部周囲の前記凸部134と独立に構成される場合にあっては、引き剥がし誘導凸部と凹部周囲の前記凸部134のいずれもが、線状であることが望ましく、また、その頂部(すなわち、保護フィルム4との接着部位)はほぼ同一の幅で構成されていることが望ましい。また、これら引き剥がし誘導凸部の幅と凹部周囲の前記凸部134の幅のいずれもが0.1〜3mmであることが望ましい。
なお、引き剥がし誘導凸部の断面形状としては、長方形状、台形状、あるいは外形線を円弧又は楕円の弧とする扇形状等で構成することができる。また、引き剥がし誘導凸部を構成する凹部周囲の前記凸部134の断面形状と前記連結凸部135の断面形状とは異なっても良い。
また、引き剥がし誘導凸部は、保護フィルム4の面積を基準としてその1〜80%の範囲の面積を有することが望ましい。これより広いと引き剥がしが困難である。また、これより狭いと接着強度が不足する。引き剥がし誘導凸部が凹部周囲の前記凸部134と独立に構成される場合にあっては、これら凸部全体の面積が1〜80%の範囲である。
次に、引き剥がし誘導凸部は、全体として1本の線状凸部で構成されている必要はなく、例えば、互いに独立した複数本の線状凸部の全体によって構成されていても良い。いずれの場合も、引き剥がしの開始位置からその完了位置に至るまで、引き剥がし予定方向の全体について連続していることが望ましい。この場合には、引き剥がし方向に向かって引き剥がすことにより、保護フィルム5が途中で破断することなくその全部を剥離して前記複数の凹部を露出することが可能となる。なお、前記引き剥がし予定方向が反応容器の長手方向である場合、引き剥がし予定方向に直交する方向が短辺方向であるから、引き剥がす際にその力が引き剥がし直交方向に分散することがなく、したがって、引き剥がし予定方向に沿ってフィルムが裂けることなく、前記短辺方向の全体についてフィルムを剥離することが可能となる。
図1の例においては、反応容器の長手方向に沿って3列×8個の計24個の検査室13が並んでおり、その長手方向(図示、横方向)を引き剥がし予定方向としているから、それぞれの列に含まれる凹部周囲の前記凸部134を連結するように連結凸部135を設けて、互いに独立した三本の線状凸部を設けて、その全体を誘導凸部としている。なお、図5Aは、図1の連結凸部135の形状を示す説明用平面図である。
また、図5Bは別の連結凸部135の形状を示す説明用平面図で、計24個の検査室13を、斜めに隣接する検査室13の凸部134同士を×字状の連結凸部135で連結して、全体としてその引き剥がし予定方向の全体について連続した形状としたものである。また、図5Cの例は、第2列の第二番目の検査室13を、第1列及び第3列の第一番目の検査室13、第1列及び第3列の第三番目の検査室13に連結するというように、各列の検
査室13を交互に、かつ互い違いに連結して、凹部周囲の前記凸部134と前記連結凸部135とでジグザグの線を構成しながら、全体としてその引き剥がし予定方向の全体について連続した形状としたものである。また、互いに隣接する検査室13同士を連結凸部135で連結して、全体としてすべての検査室13を連結したマトリクス状とすることもできる(図6D参照)。また、計24個の検査室13のうち、外側に位置する18個の検査室13を連結して全体としてその引き剥がし予定方向の全体について連続した形状とすることもできる(図6E参照)。
次に、保護フィルム4は、引き剥がし開始部41としてその一部に未接着部を有していることが望ましい。また、この引き剥がし開始部は、保護フィルム4の長手方向の端部に位置していることが望ましい。図1の例では、保護フィルム5は、横方向が長手方向であるから、図中、左側端部(すなわち、収容室11側端部)に設ければ良い。この場合には、引き剥がし開始位置を誤ることがなく、この開始位置から引き剥がしを開始して、保護フィルム4の全部を確実に剥離して前記複数の凹部13のすべてを露出することが可能となる。
なお、この引き剥がし開始部41は、保護フィルム4が接着した部位同士を結ぶ直線上に位置することが望ましい。この場合、保護フィルム4は、引き剥がし開始部の両側で接着・固定されているから、この接着部位間の張力によりその間の引き剥がし開始部41も緩むことなく固定されており、引き剥がしの開始に際して確実に把持して容易に剥離することができる。
次に、引き剥がし誘導凸部は頂部(すなわち、保護フィルム4との接着部位)に段差がなく、その頂部全体が平面又は滑らかな曲面を構成していることが望ましい。この場合には、保護フィルム4の接着に際して、この保護フィルム4を引き剥がし誘導凸部の全体にむらなくに確実に接着させることができる。なお、凹部周囲の前記凸部134が引き剥がし誘導凸部の一部を構成するか否かに拘わらず、凹部周囲の前記凸部134と引き剥がし誘導凸部とは、ほぼ同一の高さを有することが望ましい。その高さが異なる部位があったとしても、最も高い部位の高さは最も低い部位の高さの150%以下である。
また、引き剥がし誘導凸部の高さは0.05mm以上であることが望ましい。引き剥がし誘導凸部が凹部周囲の前記凸部134と独立に構成される場合にあっては、これら引き剥がし誘導凸部の高さと凹部周囲の前記凸部134の高さのいずれもが0.05mm以上である。この場合、保護フィルム4の接着に際して、このフィルムが引き剥がし誘導凸部や凹部周囲の前記凸部134に接着して、しかも凸部以外の部位に接着することがなく、したがってその剥離開始から剥離の終了まで、一定の力で且つ破断することなく剥離することが可能となる。好ましくは、0.05〜2mmの高さである。
次に、保護フィルム4としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンあるいはポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリメチルアクリレートやポリメチルメタクリレートなどのアクリル系合成樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリシクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂系フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が例示できる。また、保護フィルム5として金属箔やこの金属箔に合成樹脂フィルムを積層した積層フィルムを使用することもできる。なお、保護フィルム4は透明なものであっても良く、不透明なものであっても良い。
この保護フィルム4は、例えば、ヒートシールによって前記凸部に剥離可能に接着することができる。その接着強度を調整して剥離容易とするため、保護フィルム4のヒートシール面と基板1とは異種の樹脂材料を適用することが望ましい。例えば、基板1がポリプ
ロピレン製の場合、保護フィルム4としてポリエチレンフィルムやヒートシール面をポリエチレンとする積層フィルムを使用することができる。
ところで、前述のように、基板1は、長辺5〜15cm、短辺1〜5cmの細長い長方形状を有しており、このため、成型時の熱、反応室形成用フィルム3や検査室用保護フィルム4のヒートシールの際の熱、あるいはPCR増幅反応あるいはタイピング反応の際の熱によって、反り等の変形が生じることがある。仮に検査室13の存在する部位の基板1に反り等の変形が発生すると、検査室13の底面132及びこの底面に対向する基板1裏面133が傾斜し、この傾斜のため、検査室13裏面を通して照射する励起光が屈折・偏向し、また、その励起光の光源からの距離が変動して検査対象の位置と集光位置がずれ、加えてこの励起光で発生した蛍光も屈折・偏向するため、正確な検査が困難となる。したがって、複数の検査室13の底面132は、同一平面上に位置することが望ましい。仮に傾斜したとしても、複数の検査室13のうち両端に位置する検査室13の底面132に立てた法線が、せいぜい、4度以下の角度で交わる角度である。好ましくは1度以下である。また、これら両端に位置する検査室13の底面132の高さの差は、せいぜい、4.0mm以下、好ましくは1.0mm以下である。
変形防止リブ14は、このような変形を防止して、複数の検査室13のすべてについてその底面を同一平面上に保持するもので、検査室13の存在する部位の長手方向両側辺に設けられている。変形防止リブ14は、検査室13の存在する部位を越えて反応容器の長手方向両側辺の全長について設けられていても良いが、収容室11側の端部の長手方向両側辺yはこの反応容器の把持に利用するため、基板1の表裏面共平坦であることが望ましい。
図1に示す例では、この変形防止リブ14は基板1の裏面に設けられているが、基板1の表面、あるいは表面と裏面の双方に設けることも可能である。そして、この変形防止リブ14は、基板1の表面又は裏面に突出した直線状凸部の形態で設けることができる。基板1の厚みが0.3〜2mmの場合、変形防止リブ14の高さは0.1〜5mm、幅は0.5〜5mmであることが望ましい。
ここで、長辺10.0cm、短辺2.5cm、厚み0.5mmのポリプロピレン製基板を射出成型し、その反り量を測定した。なお、測定は次のように行った。すなわち、平坦な支持台を2個準備し、その上面が同一平面になるようにこれら2個の支持台を固定してこの平面を基準面とした後、前記基板の両端をこれら2個の支持台上に載置し、基板1裏面の中央と基準面との距離を測定して反り量とした。また、両端に位置する検査室13の底面に立てた法線の交差する角度を測定した。
変形防止リブ14のない基板の場合、射出成型直後の反り量は0.9mm、前記交差角度は約0度55分であった。次に、反応室形成用フィルム3及び検査室用保護フィルム4を、190℃,5秒の条件でヒートシールしたところ、反り量は4.2mm、前記交差角度は約4度20分であった。
次に、同一寸法で、長辺の両側辺に変形防止リブ14を有するポリプロピレン製基板を射出成型した。なお、変形防止リブ14は基板の表側に形成されており、検査室13側端部から約8.0cmの長さで、収容室11の端部の両側辺yには変形防止リブ14を形成することなく平坦なままである。また、この変形防止リブ14は、高さ1.0mm、幅1.0mmであった。射出成型直後の反り量は0.9mm、前記交差角度は約0度55分であった。そして、反応形成室用フィルム3及び検査室用保護フィルム4を前記条件でヒートシールしたところ、反り量は3.2mm、前記交差角度は約3度20分であった。
また、同一寸法で、長辺の両側辺に変形防止リブ14を有するポリプロピレン製基板を射出成型した。なお、変形防止リブ14は基板の表側に形成されており、検査室13側端部から約8.0cmの長さで、収容室11の端部の両側辺yには変形防止リブ14を形成することなく平坦なままである。また、この変形防止リブ14は、高さ1.0mm、幅1.5mmであった。射出成型直後の反り量は0.4mm、前記交差角度は約0度15分であった。そして、反応室形成用フィルム3及び検査室用保護フィルム4を前記条件でヒートシールしたところ、反り量は0.75mm、前記交差角度は約0度45分であった。
図1Aは本発明に係る収容基板を利用した検査容器の例を示す分解斜視図、図1Bは基板の裏面斜視図である。 図2は収容室を示す要部断面図である。 図3は反応室を示す要部断面図である。 図4は検査室を示す要部断面図である。 図5A〜Cは引き剥がし誘導凸部の形状を示す説明用平面図である。 図6A〜Bは引き剥がし誘導凸部の形状を示す説明用平面図である。 図7は本発明に係る収容基板の別の例を示す斜視図、図7Bはその裏面斜視図である。
符号の説明
1 ‥収容基板
11 ‥収容室
112‥収容室の底部
12 ‥反応室
13 ‥検査室
131‥検査室側壁
132‥検査室底面
133‥検査室底面に対向する基板裏面
134‥凹部周囲の凸部
135‥連結凸部
14 ‥変形防止リブ
2 ‥収容室用フィルム状蓋材
3 ‥反応室形成用フィルム
31 ‥突出部
4 ‥検査室用保護フィルム
y ‥平坦部

Claims (6)

  1. 反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板であって、
    この凹部の底部が微細な凹凸を有しており、この凹凸の十点平均粗さが1.0μm〜100μmであることを特徴とする収容基板。
  2. 前記凹部が、DNAの増幅反応に適用する薬品を収容する収容室であることを特徴とする請求項1に記載の収容基板。
  3. 前記凹部の開口部の直径が5〜10mm、深さが5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の収容基板。
  4. 前記凹部は、底部に向かって断面積が漸減するように、その内壁がテーパー状に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の収容基板。
  5. 反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板を成型した後、前記凹部の底部にサンドブラスト処理を施して、前記凹部の底部に十点平均粗さ1.0μm〜100μmの微細な凹凸を設けることを特徴とする収容基板の製造方法。
  6. 反応に適用するサンプル又は薬品を収容する凹部を有する合成樹脂製基板を、金型を使用して成型するにあたり、前記金型の一部であって、前記凹部の底部に対応する部位にサンドブラスト処理を施し、次にこの金型を使用して前記基板を成型して、前記凹部の底部に十点平均粗さ1.0μm〜100μmの微細な凹凸を有する合成樹脂製基板を製造することを特徴とする収容基板の製造方法。
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