JP4781144B2 - 反応容器 - Google Patents

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Description

本発明は、化学反応や抗原抗体反応による抗原の検出及びDNAの検出等の生化学反応などに用いる反応容器及び反応方法に関する。
近年、化学反応やDNA反応、たんぱく質反応などの生化学反応をチップ上にて行うμ−Total Analysis System技術やLab−on−Chip技術が研究され実現して
きており、今まで大型の実験装置や大量の試薬が必要であった反応実験が数ミリ角以下の
チップで少量の試薬で行えるようになってきている。
生化学反応の例としては、酵素反応によるDNA増幅反応や、既知の配列を有するプローブDNAを用い、ハイブリダイゼーション法により検体DNAの配列を検出する方法、DNAの配列決定の中でもSNP(一塩基多型)の検出法などがある。
SNPの検出法としては、インベーダー法、タックマンPCR法をタイピング工程に用いる方法が知られている(特許文献1参照)。
一般的にDNAを用いた検出反応には血液等を採取し抽出したものを用いるが、採取する血液等の試料を少量で済ませるため、検体DNAの調製法として、酵素反応によるDNA増幅反応を用いることが多い。
試料中に含まれる微量のDNAを増加させる方法には種々の方法が知られているが、その代表的な方法として、PCR増幅反応が知られている。この方法は、試料中の二本鎖DNAの変性工程(一本鎖に解離)、アニーリング工程(一本鎖DNAとプライマーを結合)、伸長工程(プライマーからDNAを合成)から構成される3工程を1サイクルとし、このサイクルを繰り返して試料中のDNAを増加させる方法である。変性工程は約95℃、アニーリング工程は50〜60℃、伸長工程は60〜80℃で行われる。PCR増幅反応はこの熱サイクルを繰り返すことにより行われる。1サイクルに要する時間はせいぜい数分程度であり、このサイクルを繰り返して必要量のDNAを得る。
なお、PCR反応の前には前処理として95℃で数分〜5、6分加熱することもある。
SNPの検出法の一つであるインベーダー法は、二種類の非蛍光標識オリゴヌクレオチド(アレルプローブ、インベーダープローブ)、一種類の蛍光標識オリゴヌクレオチド(FRETプローブ)及びDNA構造に特異的なエンドヌクレアーゼ(クリベース)を使用する。アレルプローブは、鋳型DNAの配列とは無関係な配列(フラップ)を5’側に有し、3’側に鋳型DNAに特異的な相補配列を有するオリゴヌクレオチドで、その相補配列の5’側末端はSNP部位となっている。他方、インベーダープローブは、前記SNP部位から鋳型DNAの3’側に相補的に結合するように設計されている。また、FRETプローブは蛍光標識を有するオリゴヌクレオチドで、その5’末端に蛍光標識(レポーター)を有し、その上流にはクエンチャーが結合している。そして、このレポーターから3’側の部位が自己ハイブリダイゼーションして二本鎖を構成しており、この二本鎖から3’末端側に、アレルプローブのフラップと相補的な配列である一本鎖の部位を有するものである。また、クリベースは、ヌクレオチドが三重に重なった部位を認識し、三重に重なったヌクレオチドの3’側を切断して遊離させる酵素である。
このインベーダー法においては、まず検査対象の鋳型DNAとアレルプローブをハイブリダイゼーションしたときに、SNP部位にインベーダープローブの3’末端が侵入する。このため、このSNP部位で、鋳型DNA、アレルプローブ及びインベーダープローブを重ね合わせて三重になる。このSNP部位の構造をクリベースが認識して、アレルプローブのフラップを切断・遊離させる。次に、アレルプローブ起源の前記遊離フラップはFRETプローブとハイブリダイゼーションする。このハイブリダイゼーションによって、自己ハイブリダイゼーションの二本鎖とアレルプローブ起源の前記遊離フラップとの交点で三重となり、クリベースは再びこの構造を認識してFRETプローブのレポーターを切断し、クエンチャーから開放される。そして、励起光を照射することにより、切断遊離されたレポーターの蛍光標識が蛍光発光する。仮にSNP部位の塩基がアレルプローブとマッチしないものであった場合、アレルプローブ起源のフラップは切断・遊離せず、したがって、蛍光発光率が著しく低いから、この蛍光強度の差を検出することによってSNPを検査することができる。なお、励起光としては一般に紫外光又は可視光が利用されている。
また、これらの反応は約63℃で数十分〜4時間程度インキュベートすることにより行われる。
なお、前述のインベーダー法や一般的なハイブリダイゼーション法では、検体DNAの前処理として95℃で数分〜5、6分加熱することもある。
チップを用いて、これらの反応を行う場合、DNAの配列を決定する場合などは、スライドガラス上にプローブDNAを固定し、その上でハイブリダイゼーション反応を行う方法が知られている。
また、チップ上に設けたウェルと呼ばれる微小な穴やくぼみが形成され反応場として用いることも知られている。ウェルは、半導体やガラスにエッチングで設けたり、穴のあいた板を積層することで形成されていた。
ウェルを用いる場合、試薬を基板上に固定する必要がなく、またPCR反応などにも適用できる。
ウェルタイプのものとしては、例えば、基板表面に多数のウェルが設けられている検出用基板が開示されている(特許文献2、3、4参照)。
また、内部に流路を設け、両端に開口部を有する、PCR反応用の装置も知られている(特許文献5参照)。
上述のチップ、検出用基板のような反応容器では、各凹部の温度状態を目的の反応条件になるようにラバーヒーターやペルチェ素子などの温度制御可能な装置を備える反応装置により、各凹部に供給した反応試薬の加熱を行っている。
ここで、前述のウェルタイプのような、反応試薬が供給された凹部の開口部が開放状態の場合、反応試薬が外部に露出していることにより反応時の加熱により反応試薬が蒸発するのを防ぐため、反応液よりも比重の低いミネラルオイルなどの不揮発性液体を重層する手法がある。
また、化学分析分野や医学分野、農学分野において各種自動解析、例えば遺伝子解析の研究や臨床試験を行う反応容器として、解析に必要な各反応工程が1つの反応容器上で完結するような試薬キットが提供されている。ここで、試薬調製から反応、検出までを自動で連続的に行うために、反応場を開口部を有する凹部で形成し、反応液に不揮発性液体を重層する上述した手法が利用されている。
特開2002−300894号公報 WO2003/031972号公報 特開平09−99932号公報 特開2003−70456号公報 特許第2759071号公報
しかしながら、上記従来の反応容器において、例えば生化学反応などの遺伝子解析や臨床試験では、試料や反応量が1μlからせいぜい数百μl程度と微量で、効率の良い反応により短時間に解析する必要がある。そのため、試薬や試料は必要最低量とすることが望ましく、反応場がその容積に合わせて微小空間となるが、ミネラルオイルなどの不揮発性液体を反応液に重層した場合、蒸発防止に十分な量を重層すると反応場の容積を大きくする必要があり、また微小空間での反応には、わずかな蒸発損失も、その解析結果に大きく影響を及ぼしてしまうことがあった。
そこで、本発明は、微小空間を反応場とした際に、加熱反応による反応液の蒸発損失を防止して、必要な量の反応物や安定した解析結果を得ることができる反応容器とこの反応容器を利用した反応方法提供することを目的とする。
請求項1の発明は、基板に、凹部状反応部を有し、かつ該反応部内に反応溶液及び反応溶液上に液状蒸発防止体を有してなるポリプロピレン製の反応容器であって、前記液状蒸発防止体が、ミネラルオイル、シリコンオイル又はフッ素油のいずれかであり、該液状蒸発防止体と凹部状反応部の内壁を形成する物質との接触角が、該反応溶液と凹部状反応部を形成する物質との接触角より低く、該液状蒸発防止体と凹部状反応部を形成する物質との接触角が、1〜9°の範囲内であることを特徴とする反応容器である。
請求項2の発明は、前記凹部状反応部の最大開口径が0.1〜3mmの範囲内であり、かつ最大深さが0.1〜2.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の反応容器である。
請求項3の発明は、前記液状蒸発防止体が不揮発性液体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応容器である。
請求項4の発明は、前記液状蒸発防止体の20℃における粘度が、100mPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反応容器である。
請求項5の発明は、前記液状蒸発防止体の沸点が180℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反応容器である。
請求項の発明は、同一基板に、凹部状試薬収容部を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反応容器である。
請求項の発明は、さらに第二反応部を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反応容器である。
請求項の発明は、基板に凹部状反応部を有するポリプロピレン製の反応容器の凹部状反応部に反応溶液及び反応溶液上に液状蒸発防止体を供給する工程、該凹部状反応部内で反応を行う工程を有する反応方法であって、前記液状蒸発防止体が、ミネラルオイル、シリコンオイル又はフッ素油のいずれかであり、該液状蒸発防止体と凹部状反応部の内壁を形成する物質との接触角が、該反応溶液と凹部状反応部を形成する物質との接触角より低く、該液状蒸発防止体と凹部状反応部を形成する物質との接触角が、1〜9°の範囲内であることを特徴とする反応方法である。
請求項の発明は、前記凹部状反応部の最大開口径が0.1〜3mmの範囲内であり、かつ最大深さが0.1〜2.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項9記載の反応方法である。
請求項10の発明は、前記液状蒸発防止体が不揮発性液体であることを特徴とする請求項又はに記載の反応方法である。
請求項11の発明は、前記液状蒸発防止体の20℃における粘度が、100mPa・s以上であることを特徴とする請求項10のいずれかに記載の反応方法である。
請求項12の発明は、前記液状蒸発防止体の沸点が180℃以上であることを特徴とする請求項11のいずれかに記載の反応方法である。
本発明の反応容器によれば、蒸発防止体と前記反応容器内壁を形成する材質との接触角θが内容液の接触角よりも低く、1°≦θ≦9°である不揮発性液体を蒸発防止体として、微小容積の容器内に自由状態で収容する内容液に重層することにより、反応加熱時の蒸発損失を防止し、必要な量の反応生成物や正確な検出解析を行うことができる。また、微小容積の反応部においては、流体の比重の違いはあまり影響せず、界面張力が支配的になるため、反応容器内壁を形成する材質との接触角が低く、高粘度(η≧100mPa・s(20℃))で流動性が低い不揮発性液体を用いる場合、不揮発性液体の比重が内容液よりも小さい必要はなく、高い蒸発防止効果を有するため、反応容器内壁に親水処理等の表面処理を施す必要がない。これにより、高い蒸発防止効果と共に、本発明の反応容器の製造において、工程の簡略化を行うことができる。
本発明は、基板に凹部状反応部を有する反応容器において、反応部内に反応溶液及び反応溶液上に液状蒸発防止体を有し、液状蒸発防止体と凹部状反応部の内壁を形成する物質との接触角が、該反応溶液と凹部状反応部を形成する物質との接触角より低く、液状蒸発防止体と凹部状反応部を形成する物質との接触角が、1〜9°の範囲内であることを特徴とするものである。
本発明に用いる基板は、反応系に悪影響を与えないものであればよい。また、反応を検出する際、基板下方より光学検出する場合は透明性が高い方が好ましい。
また、後述の反応液、液状蒸発防止体との接触角が前記範囲に入るようなものを選定することが重要である。
このようなものとして、例えば、PP(ポリプロピレン)やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂を好適に使用できるものである。また、用途に応じてポリメチルアクリレートやポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂や、PC(ポリカーボネート)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、メチルペンテン系樹脂、フッ素ポリマー、シリコーン樹脂などを用いることができる。
特にポリプロピレン系の樹脂を用いることが好ましい。
また、このような合成樹脂を用いて基板を作成すれば、耐熱性、耐薬品性、成形加工性などに優れているため好ましい。さらに、2種類以上の樹脂を接合して用いてもよい。この場合、それぞれの樹脂の特徴を活かして基板を作成することにより、試薬及び試料等の特性に応じた多様な基板とすることが可能となり、用途ごとに使い分けることができる。例えば、基板の上半分と下半分とで材料を分けたりすることも可能となる。また、後述の試薬収容部や凹形状反応部など部分ごとに材料を分けることもできる。
なお、基板の素材としてガラスを用いてもよい。
また、基材の厚みは0.05〜5mmの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜1.5mmの範囲内である。
この範囲より薄いと強度が低下し、この範囲より厚いと取り扱い性等の点で好ましくない。
凹形状の反応部は、基板がプラスチック、合成樹脂系であれば切削加工、成型加工により形成することができる。ガラスであれば切削加工、エッチング加工により形成することができる。また、反応部は複数有することができ、目的に応じて適宜設定できる。
凹形状の反応部の開口径は0.1〜3mmの範囲内、深さが0.1〜2.5mm範囲内であることが好ましい。前述のようにライフサイエンス分野では、微量試薬を用いて厳密な温度制御を行うことが多く、効率的に反応を行うためには、前記範囲内であることが好ましい。
また、反応部内には予め、反応に必要な試薬を収容しておいても良い。
なお、凹形状の反応部には、後述するように、反応液、液状蒸発防止体を収容する。通常、液状蒸発防止体は、反応液より比重が軽くないと反応液を覆うことができないが、微小空間においては、流体の比重の違いはあまり影響せず界面張力が支配的になる。そのため、本発明では液状蒸発防止体の接触角が低いほど容器内壁へのぬれ性がよいため、反応容器の容積が微小容積であるほど内容液表面を効率よく覆うことができる。
また、凹形状は特に限定するものではないが、底部が平坦でありウェル開口部から底部まで壁面が傾斜している円錐台形形状であることが好ましい。底部が平坦でありウェル開口部から底部まで壁面が傾斜している円錐台形状であれば、下方からの光学的な検出に有利である。例えば反応部内に蛍光物質を下方から紫外線を照射し、同じく下方から蛍光を検出する場合、球状やその他複雑な形状であると、蛍光物質の励起源である紫外線が屈折、散乱して蛍光物質に照射される量が減少してしまう。また生じた蛍光も屈折、散乱し、検出する蛍光強度の低下、誤検出などの原因となってしまう。また、反応部底部と基材裏面との間の透過率70%以上の材質で形成し、照射励起光の屈折・偏向を防止することが望ましい。さらに、反応液の供給時に気泡を巻き込むことを抑制できる。
なお、それ以外にも、開口部が円形または多角形で、断面が半球形状、U字形状、三角形状、四角形状になっているものでもかまわない。また、開口部が多角形で断面が台形形状でもかまわない。
また、前記反応部は、図9(b)に示すような基板をくりぬいた形状にしてもよいし、図9(a)に示すように基板裏面が反応部の形状に沿って基板下方向に凸形状になっていても良い。
また、反応部上に保護フィルムを設けても良い。保護フィルムを設けることにより、ごみ、汚染物質などによる汚染を防ぐことができる。
保護フィルムとしてはフィルム状のものを用いることができる。このようなものとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂系フィルム、フッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。
また、アルミニウムなどの金属箔や、金属箔と前述の樹脂フィルムの積層フィルムを用いても良い。
これらの保護フィルムは、接着剤を用いて貼り合わせることができる。接着剤としては、耐熱性の硬化性接着剤を用いることができる。
また、ヒートシールにより貼り合わせてもかまわない。反応部内に予め試薬を収容しておく場合、ヒートシールであれば、試薬への接着剤の影響を考慮しなくても良いので好ましい。
ヒートシールの条件は、温度140℃〜220℃、圧力1kg〜3kg、時間0.3秒〜2.0の範囲内で、加圧しながら貼り合わせることが好ましい。温度、圧力、時間がこれ以上であると基材が変形を起こしやすくなる。また、これ以下の温度、圧力、時間であるると貼り合わせが困難である。また、温度を上げる場合は、内容物の熱劣化を考慮して時間を短くするとよい。
保護フィルムは使用する前に剥がす必要があるため、易剥離性であることが好ましい。
また、例えば図8に示すように開口部周囲に凸部を設けても良い。凸部を設けることにより、保護フィルム材を貼り合わせやすくできる。特にヒートシールにより貼り合わせる場合、加熱する部分が、基材全体ではなく、凸部のところだけでよいので、反応部内に予め試薬を収容しておく場合、試薬への熱的な影響を低減することができる。
また、剥離する際も、接点が開口部を除いた基材全体ではなく、凸部上だけであるので剥離が容易にできる。
このような凸部としては、幅は0.1〜2mm、好ましくは0.3〜0.7mmの範囲内であることが好ましい。この範囲より小さいと、凸部でヒートシールすることができず、この範囲より大きいと、基材、内容物への影響(ダメージ)が大きくなってしまう。
また、凸部を設けることにより反応部の容量を増やしてもよい。その場合、反応部の強度とヒートシール適性を考慮して、凸部を例えば図8(b)に示すように2段階に形成してもよい。すなわち、強度を出すためにある程度の厚みを持たせた凸部を設け、その上に幅の小さい凸部を設ける2段階構造にすることにより強度とヒートシール適性を両立させてもよい。
また、凸部同士を凸部と同じ高さで連結させても良い。そのようにすることで、剥離する際に、引っ掛かりがなくスムーズに剥離ができる。
凹部状反応部への反応液の供給時に気泡を巻き込むことを防止するために、反応容器内部において、内容液との親和性を高めるように表面処理を行う方が好ましい。表面処理としては、例えばプラズマ処理、コロナ放電処理、あるいはオゾンガスなどの酸化性薬品による表面処理などである。また、反応凹部底面からの光学検出を行わない場合、サンドブラストなどの物理的処理を行うこともできる。
なお、溶液が水系の場合、表面処理は親水処理であることが好ましい。具体的には水との接触角が70°以下、好ましくは40°以下がよい。
また、接触角の測定は、公知の接触角計を用いて測定する。また、ウェル内の接触角の測定は困難であるため、同様の表面状態である基板の表面を用いて測定しても良い。
本発明では凹部状反応部に反応液を入れ、反応を行う。
反応液としては、目的の反応を行うために必要なものを用いればよい。
凹部状反応部では、化学、生化学などの反応を行う。通常これらの反応は加熱して行われる。
そのため、反応液上には液状の蒸発防止体を有する。
微小容積の反応容器内に供給された内容液において、反応加熱による蒸発損失を防止し安定在籍させるためには、効率良く内容液表面を蒸発防止体で覆う必要がある。
液状蒸発防止体は、凹部状反応部の内壁を形成する物質との接触角が、反応溶液と凹部状反応部を形成する物質との接触角より低いものである必要がある。
また、液状蒸発防止体と凹部状反応部を形成する物質との接触角が、1〜9°の範囲内である必要がある。
容器内壁に対する蒸発防止体の接触角が低いほど、蒸発防止体が容器内壁に広がりやすいため、少量で内容液表面を効率よく覆うことができる。蒸発防止体の接触角が限りなく0°に近づくと、内容液を覆いながら容器内壁に在籍するが、蒸発防止体が容器内壁をつたい易くなり蒸発防止体を容器凹部に留めるのが困難になる。
微小容積の反応部においては、流体の比重の違いはあまり影響せず、界面張力が支配的になるため、反応容器内壁を形成する材質との接触角が低く、高粘度(η≧100mPa・s(20℃))で流動性が低い不揮発性液体を用いる場合、不揮発性液体の比重が内容液よりも小さい必要はなく、高い蒸発防止効果を有するため、反応容器内壁に親水処理等の表面処理を施す必要がない。粘度ηが100mPa・sよりも低い不揮発性液体においては、その比重が反応液よりも大きい場合、不揮発性液体の流動性が高いため重層した不揮発性液体と反応液が上下反転してしまい、反応容器内で重力に従い反応液表面が外部に露出してしまうため、蒸発を防止することができない。より好ましくは、分注などの操作性の観点から100mPa・s〜200mP・s(20℃)の粘度である不揮発性液体を用いる。
蒸発防止体としては、ミネラルオイル、シリコンオイル、フッ素油から選ばれた、沸点が180℃以上の透明性を有する液体である。本発明の目的である微小容積での開放状態での反応においては、反応条件としてせいぜい100℃前後までの加熱条件が想定される。したがって、不揮発性液体の沸点が180℃より低い場合、所望の蒸発防止効果を安定して得ることができない。
試薬収容部は、開口部を有する凹形状(ウェル形状)であることが好ましい。
試薬収容部は、複数設けることもでき、試薬収容部を複数設ける場合、大きさが異なっていても良い。試薬収容部の数は、目的に応じて適宜設定できる。
また、試薬収容部は、予め一つの試薬を入れておき、後から別の試薬を入れ、混合させる混合場として用いることもできる。
試薬収容部の凹形状としては、中でも半球状または円筒状で底部が半球状なものが好ましい。半球状であれば試薬を充填する際、試薬の飛び散り、気泡の混入を防げるものとなる。また収容した試薬を分取、回収の分取性、回収性に優れるものとなる。
窪みを有する試薬収容部の場合、窪みを除いた部分の底部が半球状になっていれば良い。窪みの底部も半球状になっていることが好ましい。微量試薬の液滴は収容されるとき、玉状で供給されるとすると、ちょうど試薬の液滴が半球状の窪みにはまり保持される構造になる。また、試薬の量が窪みの容量より大きい場合でも、半球状であれば、気泡の混入なく、試薬の一部が窪みに入り込み保持される。
なお、それ以外にも、開口部が円形または多角形で、断面が三角形状、四角形状、台形形状になっているものでもかまわない。
試薬収容部の容量は、10〜300μlの範囲内であることが好ましい。特にDNAを扱う生化学反応では、反応量が微量であり、用いる試薬は高価であることが多い。
そのため、反応に用いる試薬などは多くても数百μl程度になり、前述の範囲内であることが好ましい。また、数百μl以上の試薬を用いる場合は試薬収容部を2つ以上用いてもよい。
前記試薬収容部の開口径が1〜50mmの範囲内であることが好ましい。
試薬の量は、数百nl程度の極微量〜数百μl程度であり、また一般的な分注針や分注チップの径は数十μm〜数mm程度である、そのため、分注適性、目的容量を考慮すると、試薬収容部の開口径が1〜50mmの範囲内であることが好ましい。
また、深さは1〜50mmの範囲内であることが好ましい。
また、前記試薬収容部は、図9(b)に示すような基板をくりぬいた形状にしてもよいし、図9(a)に示すように基板裏面が反応部の形状に沿って基板下方向に凸形状になっていても良い。
また、試薬収容部上に蓋材を設けても良い。蓋材を設けることにより、ごみ、汚染物質などによる汚染を防ぐことができる。
蓋材としてはフィルム状のものを用いることができる。このようなものとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂系フィルム、フッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。
また、アルミニウムなどの金属箔や、金属箔と前述の樹脂フィルムの積層フィルムを用いても良い。
これらのフィルム状蓋材は、接着剤を用いて貼り合わせることができる。接着剤としては、耐熱性の硬化性接着剤を用いることができる。
また、ヒートシールにより貼り合わせてもかまわない。ヒートシールであれば、試薬への接着剤の影響を考慮しなくても良いので好ましい。
ヒートシールの条件は、温度140℃〜220℃、圧力1kg〜3kg、時間0.3秒〜2.0の範囲内で、加圧しながら貼り合わせることが好ましい。温度、圧力、時間がこれ以上であると基材が変形を起こしやすくなる。また、これ以下の温度、圧力、時間であるると貼り合わせが困難である。また、温度を上げる場合は、内容物の熱劣化を考慮して時間を短くするとよい。
また、蓋材を設けた場合、試薬の回収は、蓋材の上から注射器のような針状の回収具を用いて、突き刺し、回収しても良い。
なお、蓋材を突き刺して試薬を回収する場合は、蓋材は剥離する必要がない。
また、例えば図8に示すように開口部周囲に凸部を設けても良い。凸部を設けることにより、蓋材を貼り合わせやすくできる。
特にヒートシールにより貼り合わせる場合、加熱する部分が、基材全体ではなく、凸部のところだけでよいので、試薬収容部内の試薬への熱的な影響を低減することができる。
このような凸部としては、幅は0.1〜2mm、好ましくは0.3〜0.7mmの範囲内であることが好ましい。この範囲より小さいと、凸部でヒートシールすることができず、この範囲より大きいと、基材、内容物への影響(ダメージ)が大きくなってしまう。
また、凸部を設けることにより収容部の容量を増やしてもよい。その場合、収容部の強度とヒートシール適性を考慮して、凸部を例えば図8(b)に示すように2段階に形成してもよい。すなわち、強度を出すためにある程度の厚みを持たせた凸部を設け、その上に幅の小さい凸部を設ける2段階構造にすることにより強度とヒートシール適性を両立させてもよい。
試薬収容部における内容液の在籍安定化と内容液の回収効率向上を目的として、試薬収容部において、内容液との親和性を高めるように表面処理を行う方が好ましい。表面処理としては、例えばプラズマ処理、コロナ放電処理、あるいはオゾンガスなどの酸化性薬品による表面処理などである。また、サンドブラストなどの物理的処理を行うこともできる。
なお、溶液が水系の場合、表面処理は親水処理であることが好ましい。具体的には水との接触角が70°以下、好ましくは40°以下がよい。
また、接触角の測定は、公知の接触角計を用いて測定する。また、ウェル内の接触角の測定は困難であるため、同様の表面状態である基板の表面を用いて測定しても良い。
また、さらに第二反応部を設けても良い。
第二反応部としては、前述の凹形状の反応部と同様のものであっても良いし、開口部を有する空洞形状の反応部であってもよい。
開口部を有する空洞形状の反応部は、両端に基材を貫通する貫通孔を設け、基材の裏面に両貫通孔を接続する溝部を設ける。この溝部上に底部形成用フィルムを貼り合わせることにより、流路状反応部を形成してもよい。
この時、溝部の幅、高さはそれぞれ1mm〜5mmの範囲内であることが好ましい。
前記溝部は両貫通孔を直線で結んでいても良いし、試薬や検査対象の蒸発を防ぐために屈曲した形状であっても良い。
底部形成用フィルムとしてはフィルム状のものを用いることができる。このようなものとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂系フィルム、フッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。
また、アルミニウムなどの金属箔や、金属箔と前述の樹脂フィルムの積層フィルムを用いても良い。
底部形成用フィルムは接着剤を用いて貼り合わせることができる。また、ヒートシールにより貼り合わせても良い。ヒートシールであれば、反応部内への接着剤の影響を考慮しなくても良いので好ましい。
また、底部形成用フィルムは、一部溝部へ食い込む形状であれば好ましい。基材と底部形成用フィルムの間に隙間が生じず、試薬や検査対象の漏れがないものとなるからである。
また、例えば図6に示すように、貫通孔開口部は容量を増やすために基材から上部に突出した形状にしてもよい。
なお、第二反応部で反応を行う際にも反応液上に液状の蒸発防止体を配しても良い。
また、開口部には蓋材を設けてもよい。
また、その他の反応部を設けても良いが、熱の影響を考慮して位置設計することが重要である。
また、凹形状の反応部を用いる場合、反応部同士を接続する流路を設けてもよい。また凹形状反応部と試薬収容部、反応部、その他の反応部を接続する流路を設けてもよい。これら流路を形成することにより、連続した反応を行わせることが可能となる。
また、基板には、変形などを軽減するためにリブを設けてもよい。リブとしては、基板端部の下部及び/又は上部に幅0.1〜3mm、高さ0.1〜3mm程度のものを設ければよい。また、置いたときに安定するよう、支持用脚部を設けてもよい。
本発明では、様々な生化学系の反応用として用いることができ、例えば抗原抗体反応及びDNA反応の検出などに用いることができる。
具体的には、凹形状反応部に、後述の反応に用いる反応液を入れ、その上に前述の液状蒸発防止体を配し、反応を行う。なお、第二反応部を有する場合は、第二反応部でも同様に液状蒸発防止体を用いて反応を行っても良い。
抗原抗体反応による抗原検出の場合、例えば、予め各凹形状反応部内に抗原を含む試料を入れておき、後から検体として抗体を含む試薬を添加し、抗原または抗体のいずれかに標識物質を付けておくことで、反応の有無を検出できる。標識物質としては、蛍光物質などの発光物質が一般的に用いられる。なおこの場合、基板上に試薬収容部を設けて置き、検体を収容しておいてもよい。この場合、抗原、抗体を含む試薬を反応液とする。
DNAの検出の場合、例えば、予め凹形状反応部内に核酸プローブを用意しておく。その後、検体DNAを凹形状反応部に供給し、核酸プローブと検体DNAのハイブリダイゼーション反応により、DNAの検出を行うことができる。その際、検体DNAに標識物質を付けておけば、その標識物質の有無を検出することにより検出が可能となる。また、検体DNAは、血液等から抽出したDNAをPCR法、LAMP法などにより調製しておいたものを用いることができる。また、核酸プローブとして配列の異なる核酸を複数用意することで検出物質としての検体DNAがどのような配列であるかを検出することができる。なお、基板上に試薬収容部を設けて置き、検出物質を収容しておいてもよい。
この場合、核酸プローブ、検体DNAが反応液となる。
また、基板上に遺伝子増幅反応部を設けておき、チップ上で連続して、血液などから抽出したDNAを遺伝子増幅反応により増幅させ、それを検体とし、反応部で核酸プローブとの反応の有無を検出してもよい。具体的には、例えば凹形状試薬収容部に検体として血液などから抽出したDNAを収容しておき、分注動作により、遺伝子増幅反応部へ分注し、遺伝子増幅反応により調製した検体を凹形状の反応部へ分注すればよい。凹形状試薬収容部から遺伝子増幅反応部、凹形状反応部へは流路を用いて送液しても良い。
なお、ここでいう遺伝子とはDNA、RNAなどのことをいう。また遺伝子増幅反応方法としては前記PCR法、LAMP法などがある。
また、一塩基遺伝子多型(SNP)の解析にも用いることができる。なお、検体を検出するための試薬は複数あってもよく、検体が蛍光標識されていない場合には、試薬のひとつが標識されていればよい。
また、標識物質は、反応物に特有に作用するものを、反応後に加えることもできる。このようなものとしては、DNAの検出におけるインターカレーターなどがある。また、ここでいう標識物質とは間接的なものも含む。すなわち、蛍光物質などに結合する物質を標識物質として検体またはプローブ核酸などの検体を検出するための試薬に結合させておき、後から蛍光物質を加えても良い。
また、多段階反応を行ってSNPまたはDNAを検出してもよい。
例えば、インベーダー・アッセイ法(サードウェイブテクノロジーズ,Inc(米国ウィスコンシン州マディソン市)を用いても良い。これによりSNP解析の具現化を図ることが可能となる。
この場合、検体を検出するための試薬が複数種でもよく、予めウェル状反応部内に少なくとも1種の試薬を入れておき、その後、検体と試薬を同時または順次注入し、反応をおこなっても良い。
また、この場合、上記反応に用いる試薬を反応液とする。
また、PCR反応を行っても良い。PCR反応は、反応液として目的のDNA、ポリメラーゼ、プライマーミックス及びdNTPなどを含む溶液を凹状反応部にいれ、二本鎖DNAの変性工程(一本鎖に解離)、アニーリング工程(一本鎖DNAとプライマーを結合)、伸長工程(プライマーからDNAを合成)から構成される3工程を1サイクルとした温度サイクルにかけることにより行うことができる。
また、検体を検出するための試薬はウェル状反応部内に固定してもよいし、固定させずに保持させておくだけでもよい。
<実施例1>
以下、図面に基づき一例について説明する。図2に示したものは、反応容器1の断面図である。図2において、反応容器1は、基材2に凹部状反応部3が形成されてなる。凹部状反応部3の開口径はφ3mm、底径はφ1mm、深さ1.8mm、底面5と側面との成す角45.3°の多角形断面形状である。反応容器1(基材2)の材質はポリプロピレン樹脂であり、射出成形により凹部状反応部3を形成した。凹部状反応部3の内壁4および底面5には、Oを3%含むHeガスを用いて、大気圧近傍下にてプラズマ処理を施すことによって、水系の反応液との親和性を高めた。凹部状反応部内壁の接触角測定は困難であったため、凹部状反応部内壁の表面状態と同様の表面状態である同材質平面を用いて測定した値を接触角とした。5箇所測定した結果、得られた値の平均値は61.3°であった。なお、用いた測定装置はFACE自動固体エナジー解析装置CA−VE型である。
この凹部状反応部3の開口部より、調製された水系の反応液6を分注し気泡をかまないように配置し、この反応液界面に接触して、蒸発防止体7を配置した。この蒸発防止体6として、ポリプロピレン基材に対する接触角θが7.7°、比重0.97g/ml、粘度52mPa・sであるシリコンオイルを使用した。この反応容器を、ペルチェ素子による温度制御装置を使用して75℃で1時間加熱し、反応させた。蒸発防止効果の確認として、凹部状反応部3の真上から写真撮影し、開口部面積のうち内容液が占める面積から加熱前を100%として、加熱後の残量を算出した。
<比較例1>
上述した実施例1において、使用した蒸発防止体7以外は同様にして、蒸発防止体7として、ポリプロピレン基材に対する接触角θが12.1°、比重0.84g/ml、粘度24mPa・sであるミネラルオイルを使用した。
<評価1>
上記の加熱反応後、反応容器中の反応液の残量を測定した結果、実施例1では初期配置量の約99%が残存していた。
一方、比較例1では、加熱1時間経過後の反応液残量を測定した結果、初期配置量の76%しか残存していなかった。
<実施例2>
図2に示したものは、反応容器1の断面図である。図2において、反応容器1は、基材2に凹部状反応部3が形成されてなる。凹部状反応部3の開口径はφ3mm、底径はφ1mm、深さ1.8mm、底面5と側面との成す角45.3°の多角形断面形状である。反応容器1(基材2)の材質はポリプロピレン樹脂であり、射出成形により凹部状反応部3を形成した。凹部状反応部内壁4および底面5には、Oを3%含むHeガスを用いて、大気圧近傍下にてプラズマ処理を施すことによって、水系の反応液との親和性を高めた。凹部状反応部内壁の接触角測定は困難であったため、凹部状反応部内壁の表面状態と同様の表面状態である同材質平面を用いて測定した値を接触角とした。5箇所測定した結果、得られた値の平均値は58.2°であった。なお、用いた測定装置はFACE自動固体エナジー解析装置CA−VE型である。
この凹部状反応部3の開口部より、調製された水系の反応液6を分注し気泡をかまないように配置し、この反応液界面に接触して、蒸発防止体7を配置した。この蒸発防止体7として、ポリプロピレン基材に対する接触角θが8.7°、比重1.06g/ml、粘度204mPa・sであるシリコンオイルを使用した。この反応容器を、ペルチェ素子による温度制御装置を使用して75℃で1時間加熱し、反応させた。蒸発防止効果の確認として、凹部状反応部3の真上から写真撮影し、開口部面積のうち内容液が占める面積から加熱前を100%として、加熱後の残量を算出した。
<比較例2>
上述した実施例2において、使用した蒸発防止体7以外は同様にして、蒸発防止体7として、ポリプロピレン基材に対する接触角θが15.2°、比重0.99g/ml、粘度213mPa・sであるシリコンオイルを使用した。
<評価2>
上記の加熱反応後、反応容器中の反応液の残量を測定した結果、実施例2では初期配置量の約98%が残存していた。
一方、比較例2では、反応加熱15分経過時点で反応液内部および表面に多数の気泡が発生し、蒸発防止体であるシリコンオイルにより覆われた反応液表面のシリコンオイル膜を破裂させ、反応液表面を外部に露出させた。加熱1時間経過後の反応液残量を測定した結果、初期配置量の47%しか残存していなかった。
<実施例3>
図2に示したものは、反応容器1の断面図である。図2において、反応容器1は、基材2に凹部状反応部3が形成されてなる。凹部状反応部2の開口径はφ3mm、底径はφ1mm、深さ1.8mm、底面と側面との成す角45.3°の多角形断面形状である。反応容器1(基材2)の材質はポリプロピレン樹脂であり、射出成形により凹部状反応部3を形成した。凹部状反応部内壁4および底面5には、水系の反応液との親和性を高めるための表面処理は施さない。凹部状反応部内壁の接触角測定は困難であったため、凹部状反応部内壁の表面状態と同様の表面状態である同材質平面を用いて測定した値を接触角とした。5箇所測定した結果、得られた値の平均値は90.3°であった。なお、用いた測定装置はFACE自動固体エナジー解析装置CA−VE型である。
この凹部状反応部3の開口部より、調製された水系の反応液6を分注し気泡をかまないように配置し、この反応液界面に接触して、蒸発防止体7を配置した。この蒸発防止体7として、ポリプロピレン基材に対する接触角θが7.6°、比重1.89g/ml、粘度56 mPa・sであるフッ素オイルを使用した。この反応容器を、ペルチェ素子による温度制御装置を使用して75℃で1時間加熱し、反応させた。蒸発防止効果の確認として、凹部状反応部3の真上から写真撮影し、開口部面積のうち内容液が占める面積から加熱前を100%として、加熱後の残量を算出した。
<比較例3>
上述した実施例3において、使用した蒸発防止体7以外は同様にして、蒸発防止体7として、ポリプロピレン基材に対する接触角θが7.7°、比重0.97g/ml、粘度52mPa・sであるシリコンオイルを使用した。
<評価3>
上記の加熱反応後、反応容器中の反応液の残量を測定した結果、実施例3では初期配置量の100%が残存していた。
一方、比較例3では、反応加熱15分経過時点で反応液の減少が観察され、加熱1時間経過後の反応液残量を測定した結果、初期配置量の53%しか残存していなかった。
本発明の反応容器の一例を示す概略図である。 本発明の反応容器の凹部状反応部の一例を示す断面図である。 本発明の反応容器の一例を示す概略図である。 本発明の反応容器の一例を示す概略図である。 本発明の反応容器の一例を示す概略図である。 本発明の反応容器の一例を示す概略図である。 本発明の反応容器の一例を示す概略図である。 本発明の反応容器の凹部状反応部の一例を示す断面図である。 本発明の反応容器の凹部状反応部の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 反応容器
2 基材
3 凹部状反応部
4 凹部状反応部内壁
5 凹部状反応部底面
6 反応液
7 液状蒸発防止体
8 試薬収容部
9 第二反応部
9a 貫通孔開口部突出部
9b 底部形成用フィルム
10 流路

Claims (12)

  1. 基板に、凹部状反応部を有し、かつ該反応部内に反応溶液及び反応溶液上に液状蒸発防止体を有してなるポリプロピレン製の反応容器であって、
    前記液状蒸発防止体が、ミネラルオイル、シリコンオイル又はフッ素油のいずれかであり、
    該液状蒸発防止体と凹部状反応部の内壁を形成する物質との接触角が、該反応溶液と凹部状反応部を形成する物質との接触角より低く、
    該液状蒸発防止体と凹部状反応部を形成する物質との接触角が、1〜9°の範囲内であることを特徴とする反応容器。
  2. 前記凹部状反応部の最大開口径が0.1〜3mmの範囲内であり、かつ最大深さが0.1〜2.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の反応容器。
  3. 前記液状蒸発防止体が不揮発性液体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応容器。
  4. 前記液状蒸発防止体の20℃における粘度が、100mPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反応容器。
  5. 前記液状蒸発防止体の沸点が180℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反応容器。
  6. 同一基板に、凹部状試薬収容部を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反応容器。
  7. さらに第二反応部を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反応容器。
  8. 基板に凹部状反応部を有するポリプロピレン製の反応容器の凹部状反応部に反応溶液及び反応溶液上に液状蒸発防止体を供給する工程、該凹部状反応部内で反応を行う工程を有する反応方法であって、
    前記液状蒸発防止体が、ミネラルオイル、シリコンオイル又はフッ素油のいずれかであり、
    該液状蒸発防止体と凹部状反応部の内壁を形成する物質との接触角が、該反応溶液と凹部状反応部を形成する物質との接触角より低く、
    該液状蒸発防止体と凹部状反応部を形成する物質との接触角が、1〜9°の範囲内であることを特徴とする反応方法。
  9. 前記凹部状反応部の最大開口径が0.1〜3mmの範囲内であり、かつ最大深さが0.1〜2.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の反応方法。
  10. 前記液状蒸発防止体が不揮発性液体であることを特徴とする請求項又はに記載の反応方法。
  11. 前記液状蒸発防止体の20℃における粘度が、100mPa・s以上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の反応方法。
  12. 前記液状蒸発防止体の沸点が180℃以上であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の反応方法。
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