JP5009532B2 - 断熱容器及び反応容器ユニット - Google Patents
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この種の反応容器は、各ウェルに種々の試薬等を入れた状態において冷蔵庫等において一定の温度で保管されることがある。そして、上述の生化学反応を実行する際には、反応容器を冷蔵庫等から取り出すと共に生化学反応を行う生化学反応装置に設置する。
また、反応容器を冷蔵庫から取り出した際には、ウェルに収容された試薬が急激に暖まることがあるため、反応装置における生化学反応に悪影響を及ぼす虞もある。
請求項1に係る発明は、基板の上面に開口して試薬を収容可能な複数の収容部を設けて構成される反応容器に使用する断熱容器であって、断熱材料により形成され、前記複数の収容部の底部を覆うように前記基板の下面側に着脱自在に配されることを特徴とする断熱容器を提案している。
この実施の形態に係る反応容器ユニット1は、図1から図3に示すように、化学反応やDNA反応、タンパク質反応等の生化学反応を同一のチップ上にて行うμ―Total Analysis System技術やLab−on−Chip技術で利用される反応容器3を備えている。
反応容器3は、例えば縦横寸法が数ミリ角に設定された略長方形で板状の基板5を備えている。基板5は、例えばPC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素ポリマー、シリコン樹脂等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせ、あるいは、ガラス等、耐熱性、耐薬品性、成形加工性等に優れた材料により形成されている。
試薬収容部7は、PCR部9や検出部11で用いる検体試薬やその他の試薬、その後の検出反応に用いる試薬、バッファー液、希釈液等の種々の液体(試薬)を注入して保存する収容部としてなるものであり、基板5の上面5aに開口する凹状のウェル(収容部)13を複数(図示例では4個)備えている。試薬収容部7の各ウェル13の底部は基板5の下面5bから突出して形成されている。また、各ウェル13の大きさは、収容される液体の量に応じて適宜設定されている。なお、上記ウェル13内には、上記液体の他に例えば検体DNAを収容しておいても良い。
このPCR部9は、断面視で略U字状に形成されると共に、両端が基板5の上面5aに開口する流路部(収容部)15を備えている。この流路部15は、基板5の下面5bから窪んで形成された帯状の溝部17と、基板5の下面5bに配されて溝部17を塞ぐフィルム19と、基板5の上面5aから厚さ方向に貫通して、基板5の上面5aに開口すると共に溝部17の両端に連通する2つの貫通孔21とにより構成されている。
断熱容器31には、基板5の下面5bに対向する上面(対向面)31aから窪む複数の凹部33,35が形成されている。これら複数の凹部33,35は、各々試薬収容部7のウェル13、検出部11のウェル23の底部形状に対応するように形成されている。すなわち、断面視略半円形状に形成された試薬収容部7のウェル13の底部には、断面視略半円形状に形成された凹部33が対応し、断面視略矩形状に形成された検出部11のウェル23の底部には、断面視略矩形状に形成された凹部35が対応する。したがって、各凹部33,35によって試薬収容部7及び検出部11の各ウェル13,23が包み込まれることになる。
なお、断熱容器31の上面31aには、PCR部9の流路部15を構成するフィルム19が収容される凹部37も形成されている。
生化学反応実験を行う際には、予め、例えばポリメラーゼ連鎖反応等の各種の反応処理に用いる検体試薬および他の試薬と、検出処理で用いる各種の試薬と、希釈液またはバッファー液等とを、反応容器3の試薬収容部7に収容する試薬収容工程を実行しておく。この試薬収容工程は、反応容器3を断熱容器31に取り付けた状態で行ってもよいし、断熱容器31から取り外した状態で行っても構わない。
そして、反応容器3を断熱容器31に取り付けた反応容器ユニット1を例えば冷蔵庫等において一定温度で保管しておく。
そして、反応容器3のPCR部9の流路部15に反応溶液を供給する反応液供給工程を行う。なお、上記反応溶液は、例えばポリメラーゼ連鎖反応に使用するものであり、血液等から抽出したDNAまたは予め生成された鋳型DNAと、ポリメラーゼ酵素と、各塩基の材料であるdNTP(デオキシヌクレオチド3リン酸)と、pHおよび濃度調整のための希釈液またはバッファー液とからなる。
すなわち、この反応生成工程においては、はじめに、温度制御装置によりPCR部9の温度状態を、所定時間(例えば、5〜25秒等)に亘って、所定温度(例えば、90〜100℃程度)となるように制御し、反応溶液のDNAを熱変性させる変性工程を行う。
次いで、温度制御装置によりPCR部9の温度状態を、所定時間(例えば、15〜60秒等)に亘って、所定温度(例えば、50〜60℃程度)となるように制御し、各種のプライマー(つまり、DNAの断片)を所望の遺伝子配列と結合(アニーリング)させるアニーリング工程を行う。
この伸長反応工程の終了後には、上述した変性工程から伸長反応工程までの一連の処理を継続するか否かを判定し、継続する場合には再度変性工程から一連の処理を行う。一方、一連の処理を継続しないと判定された場合には、反応生成工程を終了する。
最後に、反応生成工程でのポリメラーゼ連鎖反応によって調整された検体と、検出用の各種の試薬(例えば、核酸プローブ等)とを、反応容器3の検出部11でハイブリダイゼーション等により反応させ、予め検体あるいは核酸プローブに付けた標識物質(例えば、蛍光物質)の有無を、反応容器3の検出部11の底部側から検出する発光検出工程を行い、一連の処理を終了する。
以上説明したように、この反応容器3は、試薬収容部7とPCR部9と検出部11とから構成されるため、PCRによる検体の調製からDNAの分析まで同一チップ上で連続して行うことができる。
抗原抗体反応による抗原検出の場合、例えば、予めPCR部9内に抗原を含む試料を入れておき、後から抗体を含む試薬を添加し、抗原または抗体に標識物質を付けておくことで、反応の有無を検出できる。標識物質としては、蛍光などの発光物質が一般的に用いられる。
ここで、検体DNAとしては、血液等から抽出したDNAをPCR法、LAMP法などにより調整しておいたものを用いることができる。また、核酸プローブとして配列の異なる核酸を複数用意することで検体DNAがどのような配列であるかを検出することができる。
また、標識物質は、結合したプローブ核酸と検体DNAに特異的に作用するものを、反応後に加えることもできる。このようなものとしては、インターカレーターなどがある。また、ここでいう標識物質とは間接的なものも含む。すなわち、蛍光物質などに結合する物質を標識物質として検体DNAに結合させておき、後から蛍光物質を加えても良い。
この場合、検出DNAの検出に用いるプローブ核酸などの物質が複数種でもよく、予めPCR部9内に少なくとも1種の物質を入れておき、その後、検出DNAと他の物質を同時または順次注入し、反応をおこなっても良い。
さらに、基板5の下面5bから突出するウェル13,23の底部が断熱容器31の凹部33,35に収容されているため、反応容器3を冷蔵庫等において安定した状態で配置することが可能となる。
また、試薬収容部7及び検出部11を構成するウェル13,23は、それぞれ複数形成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば1つだけ形成されるとしても構わない。
さらに、反応容器3は、試薬収容部7、PCR部9及び検出部11により構成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも試薬を収容する試薬収容部7により構成されていればよい。
3 反応容器
5 基板
5a 上面
5b 下面
7 試薬収容部
9 PCR部
11 検出部
13,23 ウェル(収容部)
15 流路部(収容部)
31 断熱容器
33,35,37 凹部
Claims (6)
- 基板の上面に開口して試薬を収容可能な複数の収容部を設けて構成される反応容器に使用する断熱容器であって、
断熱材料により形成され、前記複数の収容部の底部を覆うように前記基板の下面側に着脱自在に配されることを特徴とする断熱容器。 - 前記基板の下面に対向する対向面に、前記基板の下面から突出する前記収容部の底部形状に対応する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の断熱容器。
- 請求項1又は請求項2に記載の断熱容器と、前記反応容器とを備えることを特徴とする反応容器ユニット。
- 少なくとも1つの収容部が、前記試薬を収容して保存する試薬収容部を構成することを特徴とする請求項3に記載の反応容器ユニット。
- 少なくとも1つの収容部が、光学検出可能な検出部を構成することを特徴とする請求項4に記載の反応容器ユニット。
- 少なくとも1つの収容部が、PCR部を構成することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の反応容器ユニット。
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