JP4917765B2 - Pcr反応用容器 - Google Patents
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Description
また、近年では、このようなチップ上で検体の調整から反応まで連続して行うことが注目されてきている。
本発明のPCR反応用容器は、基板と、前記基板の一方の面に沿って直線状に延びるとともに前記一方の面において両端部に開口部が設けられた流路であって液体が収容可能なPCR反応部と、前記一方の面における前記PCR反応部に対する一方の側に形成され、前記一方の面に直交する方向に見たときに、前記PCR反応部が延びる方向に並ぶとともに、一対の前記開口部のそれぞれに対する前記一方の側、前記PCR反応部における前記PCR反応部が延びる延在方向の中央部に対する前記一方の側に配置された凹部である放熱機構と、前記一方の面における前記放熱機構の前記一方の側に形成された収容部と、を有し、それぞれの前記凹部は、前記基板を厚さ方向に貫通していることを特徴としている。
本発明では、少なくとも一つの反応部が高温下での反応を行うためのものである、複数の反応部を有するPCR反応用容器において、高温反応を行う反応部と他の反応部や試薬収容部との間に放熱機構を設けることにより、他の反応部や試薬収容部に高温反応を行う反応部からの熱的な影響を与えないことを特徴とするものである。
図1に、本発明における一実施形態を示す図を示す。図1は、略長方形の板状の基板に、試薬を収容する試薬収容部とPCR反応をおこなうPCR反応部とPCR反応に調整された核酸検体を反応検出するための反応検出部が複数形成されており、PCR反応部と試薬収容部の間及びPCR反応部と反応検出部の間に空洞形状の放熱機構を備える。
このようなものとして、例えば、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素ポリマー、シリコーン樹脂などを用いることができる。
透明性、耐熱性、耐薬品性や反応系に対する影響などの点からシクロオレフィン系樹脂(ゼオノア(日本ゼオン株式会社製))やメチルペンテン系樹脂(TPX(三井化学株式会社製))を用いることが好ましい。
なお、基板の素材としてガラスを用いてもよい。
空洞形状は基板を厚さ方向に貫通していても良いし、凹部形状のものでも良い(図5(b)、6(b)、7(b)参照)。
また、放熱機構は複数有していても良い。
また、長尺状基板に、PCR反応部、反応検出部を順に備える図3の構成においては、PCR反応部と反応検出部の間に放熱機構を備えることができる。
また、長尺状基板に、PCR反応部、試薬収容部、反応検出部を順に備える図4のような構成である場合、PCR反応部と試薬収容部の間に放熱機構を備えることができる。この場合、反応検出部での反応検出は最後に行うので、反応検出部での反応時に発生する熱の試薬収容部への影響は考慮しなくて良く、そのため、PCR反応部と反応検出部の間には放熱機構は備えなくても良い。
PCR反応部の形状は特に限定はなく、ウェル状の反応部でも流路状でもかまわない。
また、ウェル状PCR反応部は、切削加工、金型成型などにより形成することができる。
また、ウェル状反応部内面には親水処理などの表面処理をしてもかまわない。
流路、溝の形成は切削加工、金型成型などにより形成することができる。
溝部を有する基材との張り合わせは、接着剤による貼り合わせ又はヒートシール性のフィルムであればヒートシールにより貼り合わせることができる。
接着剤としては、特に限定はしないが、例えばポリ酢酸ビニル系、ポリアミド系などの熱可塑性樹脂接着剤を用いることができる。
PCR反応は、酵素を用いたDNAの増幅反応であり、一般的な増幅工程は、初めに鋳型DNAを熱変性させ、その後、鋳型DNAを変性させる熱変性工程、各種プライマーを正確にアニーリングさせるアニーリング工程、アニールしたプライマーからDNA鎖合成する伸長工程、という3つの工程のサイクルを繰り返し、伸長工程で終了させるものである。各工程の時間や温度などの条件は、適宜設定するのが好ましい。
変性工程は90〜100℃、5〜25秒、アニーリング工程は50〜60℃、15〜60秒、伸長工程は65〜75℃、1〜5分で行うのが一般的である。また、アニーリング工程、伸長反応工程は同時におこなっても良く、その場合は50〜70℃、1〜5分で行うのが一般的である。
このPCR反応は、マルチプレックスPCRでも良い。その場合は、ホットスタート法(プライマーのミスアニーリングやオリゴマー化を防止する目的で、反応液が高温になってから伸長反応を開始させる手法)を適用することが好ましい。
試薬収容部は、前記PCR反応処理に用いる検体試薬やその他の試薬、その後の検出反応に用いる試薬、バッファー、希釈液などを収容しておくことができるところである。
反応検出部はPCR反応部で調整した検体をプローブDNAやその他の試薬と反応させることにより、DNAの配列を分析するところである。
なお、試薬収容部とPCR反応部からなるPCR反応用容器であれば、PCR反応チップとして用いることができるが、PCR反応部と反応検出部、又はPCR反応部と反応検出部及び試薬収容部からなるPCR反応用容器であれば、PCRによる検体の調整からDNAの分析まで同一チップ状で連続して行うことができる。
また、反応検出部は流路形状で、流路内で反応させ、流路内又は流路に接続されているウェル状検出部で検出してもかまわない。またウェル状の反応検出部を複数備え、それらを流路により接続してもかまわない(図9参照)。
また、試薬収容部、反応検出部の内面は親水化または撥水化などの表面処理を施していてもかまわない。
また、PCR反応部、試薬収容部、反応検出部は流路を用いて接続してもかまわない。これら流路を形成することにより、連続した反応を行わせることが可能となる。これにより、検査時間の短縮が図れるとともに微量な試料及び試薬で各種の分析を行うことができ、コストの削減を実現することができる。
被覆フィルムは、試薬収容部内の溶液の蒸発を防ぐことができ、また埃など外部からの汚染を防ぐものである。
被覆フィルムとしては、被覆フィルムとしては、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、TPXフィルム(三井化学株式会社製)などのメチルペンテン系フィルム、ゼオノア(日本ゼオン株式会社製)などのシクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂フィルム、フッ素系ポリマーフィルムなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。
被覆フィルムの形成は、接着剤により貼り合わせるか、ヒートシールにより貼り合わせることができる。
接着剤としては、反応系に悪影響を与えないものであれば良く、ポリ酢酸ビニル系、ポリアミド系などの熱可塑性樹脂接着剤を用いることができる。
ポリエチレン(PE)フィルムなどのフィルムはヒートシール性であるため、接着剤を用いずに基材と貼り合わせることができる。
抗原抗体反応による抗原検出の場合、例えば、予め各ウェル状反応部内に抗原を含む試料を入れておき、後から抗体を含む試薬を添加し、抗原または抗体に標識物質を付けておくことで、反応の有無を検出できる。標識物質としては、蛍光などの発光物質が一般的に用いられる。なおこの場合、基板上に試薬収容部を設けて置き、抗体を収容しておいてもよい。
例えば、インベーダー・アッセイ法(サードウェイブテクノロジーズ,Inc(米国ウィスコンシン州マディソン市)を用いても良い。これによりSNP解析の具現化を図ることが可能となる。
また、検体DNA又は抗原などはウェル状反応部内に固定してもよいし、固定させずに保持させておくだけでもよい。
本実施例では、図10に示すような長尺状基板のチップであって、中央にあるPCR反応部と4個のウェル状試薬保存収容部との間、およびPCR反応部と24個のウェル状反応検出部との間にそれぞれ放熱機構を備えている。
放熱機構は、長辺方向4mm短辺方向3mmの貫通空洞がPCR反応部より5mmの位置にそれぞれ3個ずつ計6個配置されている。
また、1個のウェルは、血液から抽出したDNAを導入するために空きの状態となっている。
実施例のチップを用いた場合、インベーダ・アッセイ反応が正常に行われた。
図11に示すように、放熱構造を持たないチップを比較検討のために用意した。該チップは、放熱構造を持たないこと以外については全て実施例1のチップと同じ形状、配置、構成である。
比較例のチップを用いた場合、PCR反応時に試薬収容部内の試薬に熱的な影響があり、インベーダ・アッセイ反応時の反応効率が低下し、結果検出感度が低下した。
2 PCR反応部
3 試薬収容部
4 反応検出部
5 放熱機構
6 ペルチェ素子
Claims (3)
- 基板と、
前記基板の一方の面に沿って直線状に延びるとともに前記一方の面において両端部に開口部が設けられた流路であって液体が収容可能なPCR反応部と、
前記一方の面における前記PCR反応部に対する一方の側に形成され、前記一方の面に直交する方向に見たときに、前記PCR反応部が延びる方向に並ぶとともに、一対の前記開口部のそれぞれに対する前記一方の側、前記PCR反応部における前記PCR反応部が延びる延在方向の中央部に対する前記一方の側に配置された凹部である放熱機構と、
前記一方の面における前記放熱機構の前記一方の側に形成された収容部と、
を有し、
それぞれの前記凹部は、前記基板を厚さ方向に貫通していることを特徴とするPCR反応用容器。 - 前記基板は、樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のPCR反応用容器。
- それぞれの前記凹部は、前記一方の面に直交する方向に見たときに、前記PCR反応部が延びる方向に一辺が平行に配置された互いに同一の矩形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のPCR反応用容器。
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