JP2007189414A - 圧電振動片及び圧電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】高いエネルギー閉じ込め効果を得ることができ、主振動に重畳する様々な不要振動を減衰させることが可能な圧電振動片を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための圧電振動片は、厚肉部14と当該厚肉部14の周囲に形成した薄肉部16とを有し、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板12によって構成されるものである。そして、前記厚肉部14の板面には励振電極18(18a,18b)を形成し、前記薄肉部16の板面は、大きさ、深さのそれぞれを任意に定めた複数のディンプル24を形成したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電振動片、及びこの圧電振動片を搭載した圧電デバイスに係り、特に小型化された圧電振動片における励振時の不要振動を除去する場合に好適な圧電振動片と、この圧電振動片を搭載した圧電デバイスに関する。
圧電振動片を実装する圧電振動子は近年、携帯電話やPDAをはじめとする移動体通信機器や、各種電子機器等の基準信号発振源として幅広く使用されている。こうした電子機器は使用される環境が種々変化するため、基準信号発振源である圧電振動子は、広い温度帯域で安定した発振を担えるものが望ましい。こうした中、基板材料を水晶とする圧電振動片は温度特性が良好で、特にATカット水晶振動片はその量産性にも優れているため、多くの電子機器の発振源を支える振動片として用いられている。
ATカット水晶振動片は、厚み滑り振動を主振動とする圧電振動片である。近年では、上記に挙げた電子機器の小型化・薄型化に伴い小型化が要求される圧電振動子へ対応するために、圧電振動片自体の小型化が促進されてきている。圧電振動片の面積が縮小されると、主振動に対する不要振動の影響が大きくなり、スプリアスと呼ばれる波形の乱れや、CI値の劣化といった現象が生じる。このような実状の中、小型化された圧電基板において良好な発振を得るために、コンベックス型やベベル型、メサ型と言われるエネルギー閉じ込め型の圧電振動片が製造されてきた。
上記コンベックス型やベベル型、メサ型といったエネルギー閉じ込め型の圧電振動片は、厚み滑り振動と、この振動に対する不要振動との特性の違いを利用して圧電基板の厚肉部分に厚み滑り振動のエネルギーを集中させ、一方、不要振動のエネルギーを減衰させるという構造を持つ。
ところが、圧電振動片のさらなる小型化の要請により、ベベル型やコンベックス型の圧電振動片には加工上の問題点が指摘され、メサ型の圧電振動片には不要振動の減衰とメサ深さのバランス、エッチング時の形状劣化等が指摘されるようになってきた。
このような実状を受け、特許文献1に開示されているような圧電振動片が提案されている。特許文献1に開示されている圧電振動片は、ATカット水晶振動片であって、励振電極形成箇所から圧電基板の端部までの間の板面に、予め定められたパターンによって形成された深さを有する溝や孔を形成することで、溝や孔を形成した箇所の断面形状を上記コンベックス型やベベル型の圧電振動片に類似させ、不要振動の減衰を図り、励振部に対するエネルギー閉じ込め効果を狙うというものである。
特開2003−46366号公報
上記特許文献1に開示されている圧電振動片の構造は、圧電振動片を小型化する上で非常に有効な手段であると考えられる。しかし、圧電基板に溝を形成する場合、そのバランスを考えて圧電基板の表裏に同様の溝を形成すると、圧電基板の一部に極めて薄い部分が形成され、衝撃等の外部応力に対する耐性に疑問が生じる。また、圧電基板に設ける溝や孔は、その大きさ、深さ等に規則性を持たせることで特定の不要振動を減衰させる効果を奏するようにしているが、複雑な要因で生じる不要振動を規則的な構造の溝や孔によって減衰させることには限界があると考えられる。また、規則的な構造の溝は位相を合わせて波を反射するため、上記のような圧電振動片は特定周波数で不要振動を起こしやすい。このため溝の加工条件がばらつき、目標の値からずれた場合、不要振動と厚み滑り振動が結合して特性劣化を招く危険性がある。
そこで本発明は、小型化された圧電基板を用いた場合であっても、高いエネルギー閉じ込め効果を得ることができ、また、各種重畳し合う複数の不要振動に対しても、その不要振動を減衰させることが可能な圧電振動片を提供することを目的とする。また、本発明では、前述のような圧電振動片を搭載した圧電デバイスを提供することも目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る圧電振動片は、厚肉部と当該厚肉部の周囲に形成した薄肉部とを有し、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、前記厚肉部の板面に励振用の電極を形成し、前記薄肉部の板面に、大きさと深さとのそれぞれが不規則な複数の凹部を形成したことを特徴とする。このような構成の圧電振動片によれば、厚肉部に厚み滑り振動のエネルギーを集中させることができる。また、薄肉部に形成した複数の凹部により、圧電基板全体に振動を伝播させる不要振動を減衰させることができる。さらに、薄肉部に設けた複数の凹部の大きさ、深さを不規則(任意)な値とすることにより、複雑な要因で生じる種々の不要振動に対して有効な減衰効果を奏することができるようになる。つまり結果として、厚み滑り振動を減衰させる事無く、不要振動のみを選択的に減衰する事が可能となり、良好な振動子特性が得られるようになるのである。
また、上記課題を解決するための本発明に係る圧電振動片は、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、前記圧電基板の板面に対して楕円形状の励進用の電極を形成し、前記励振用の電極の周囲に位置する圧電基板の板面に、大きさと深さとのそれぞれが不規則な複数の凹部を形成したことを特徴とするものであっても良い。主振動である厚み滑り振動は、圧電基板の中心付近に楕円状に集中する傾向がある。したがって、圧電基板の板面に楕円状の励振電極を形成することにより、主振動である厚み滑り振動を効率良く励振することができるようになる。一方、圧電基板全体に振動を伝播させる不要振動は、励振電極の周囲に形成した複数の凹部により減衰させることができる。また、複数の凹部の大きさ、深さを不規則(任意)な値とすることにより、複雑な要因で生じる種々の不要振動に対して有効な減衰効果を奏することができる。つまり結果として、厚み滑り振動を減衰させる事無く、不要振動のみを選択的に減衰する事が可能となり、良好な振動子特性が得られるようになるのである。
また、上記のような構成の圧電振動片では、前記複数の凹部は、配置間隔を不規則に定めるようにすると良い。凹部の配置間隔に種々の変化を持たせることにより、凹部の大きさ、深さと併せ、さらに多くの要因に起因する不要振動に対する減衰効果を奏することができるようになる。
また、上記のような構成の圧電振動片では、前記複数の凹部の形成をエッチングによって行うようにすると良い。厚み滑り振動を主振動とする圧電基板、たとえばATカット水晶基板は、結晶構造の異方性によりウェットエッチング時のエッチングレートに違いを有する。この異方性エッチングの特性によるエッチングストップを利用すれば、圧電基板の原材料である圧電体ウェハに対する貫通溝の形成工程と同時に凹部形成を実行することができる。このように、従来の工程と同時に凹部形成を行うようにすることで、従来と変わらない工程数で効率的に特性の良好な圧電振動片を製造することができるようになる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る圧電振動片は、厚肉部と当該厚肉部の周囲に形成した薄肉部とを有し、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、前記厚肉部の板面に励振用の電極を形成し、前記薄肉部の板面にブラスト加工により表面処理を施すことを特徴とするものであっても良い。このような構成の圧電振動片は、基本的には上述した圧電振動片と同様の効果を奏するものである。しかし、薄肉部に形成していた凹部をブラスト加工による表面処理とすることにより、人為的に形成する凹部よりもさらに複雑な配置、形状、大きさ、及び深さを持つ微小な凹部が無数に形成されることとなるため、減衰対象とすることができる不要振動の種類が増えることとなる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る圧電振動片は、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、前記圧電基板の板面に励振用の電極を形成し、前記励振用の電極の周囲に配置された板面にブラスト加工により表面処理を施すことを特徴とするものであっても良い。このような構成の圧電振動片は、上述したメサ構造を有するものでも、楕円形状の励振電極を有するものでも無いが、励振電極の周囲に配置された圧電基板の板面にブラスト加工を施すことにより、人為的に凹部を形成するよりもさらに、不要振動の減衰効果を得ることができる。また、上記それぞれの構成の圧電振動片と同様に、主振動である厚み滑り振動の励起には影響を及ぼすことが無い。
また、上記目的を達成するための本発明に係る圧電振動片は、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、前記圧電基板の板面に対して楕円形状の励進用の電極を形成し、前記励振用の電極の周囲に位置する圧電基板の板面をブラスト加工により表面処理を施したことを特徴とするものであっても良い。本構成の圧電振動片も、上述した圧電振動片のうちの1つと基本的な構成、効果は同じである。しかし、上述したように凹部をブラスト加工による表面処理としたことにより、人為的に形成する凹部よりもさらに複雑な配置、形状、大きさ、及び深さを持つ微小な凹部が無数に形成されることとなるため、減衰対象とすることができる不要振動の種類が増えることとなる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る圧電デバイスは、上記いずれかの圧電振動片を搭載したことを特徴とする。このような構成の圧電デバイスによれば、圧電振動片に起因する不要振動の影響の無い信号を発することができる。
以下、本発明の圧電振動片、及び圧電デバイスに係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の圧電振動片に係る第1の実施形態について図1を参照して説明する。なお、図1において、図1(A)は同図(B)におけるA−A断面を示す図であり、図1(B)は同図(A)における平面図を示すものである。
本実施形態の圧電振動片10は、厚肉部14とその周囲に形成された薄肉部16とから構成されるメサ型の圧電基板12を採用した圧電振動片である。圧電基板12の材料としては、タンタル酸リチウム(LiTaO)やニオブ酸リチウム(LiNbO)等、圧電性を有する素材の中から種々選択することができるが、本実施形態においては基板材料として水晶を採用し、特に、ATカットと呼ばれるカット角で切り出された水晶基板を採用することとする。
上記のような構成の圧電基板12において、前記厚肉部14には、振動を励起するための励振電極18a,18bが形成されている。また、前記薄肉部16であって、圧電基板12の端部には、実装用電極パッド22a,22bが形成されている。さらに、前記励振電極18(18a,18b)と前記実装用電極パッド22(22a,22b)との間には、両者の間の電気的導通を図るための引出電極20(20a,20b)が形成されている。引出電極20bは、励振電極18bから引き出され、実装用電極パッド22bにまで引き回されている。
このような基本構成を有する本実施形態の圧電振動片10は、厚肉部14の周囲に形成した薄肉部16に、複数の微小な凹部(ディンプル)24が設けられている。前記複数のディンプル24は、任意に配置されたものであり、規則的に配置させても良いが、不規則に配置することが望ましい。また、ディンプル24の大きさ、及び深さも、任意、すなわち不規則とすることが望ましい。詳細には、前記ディンプル24の大きさは、圧電基板12の厚さTあるいはT´よりも小さく、また、不要振動の波長λよりも小さく設定し、ディンプルによるカットオフ周波数が不要波振動以下となるようにすれば良い。もちろん全てのディンプル24をこれに準じた大きさに規定する必要は無く、大きなディンプル24を混入させて形成していても良い。
上記のような構成の圧電振動片10は、主振動を厚み滑り振動としており、この厚み滑り振動の共振周波数周辺には、主振動に重畳する屈曲振動や縦振動、輪郭滑り振動等の種々の不要振動が存在する。上記のような構成の圧電振動片10では、主振動である厚み滑り振動の振動領域は、励振電極18が設けられた圧電基板12の中央付近に集中し、メサ構造とした厚肉部14にエネルギーが閉じ込められる。一方、不要振動は、圧電基板12の輪郭寸法に依存し、圧電基板12の全体に生じる。こうした不要振動は、振動波形の腹の部分に溝や段差を設けることにより減衰させることができるため、励起する主振動に重畳し得る不要振動の波長λよりも小さな開口を持つディンプル24を複数、圧電基板12の板面に不規則に配置することにより、不要振動のみを減衰させることが可能となる。また、本実施形態の圧電振動片10は、メサ構造を採っているため、主振動のエネルギー閉じ込め効果と、不要振動の減衰効果をさらに期待することができる。つまり結果として、厚み滑り振動を減衰させる事無く、不要振動のみを選択的に減衰する事が可能となり、良好な振動子特性が得られるようになるのである。
上記のような構成の圧電振動片10は、次のようにして製造することが望ましい。まず、厚肉部14と薄肉部16とを作成するために、厚肉部14の周囲のエッチングを行う。エッチングは、圧電基板12の基礎となる圧電体ウェハ(不図示)の全面をレジスト膜で覆い、エッチング対象箇所に開口を設けたマスクをセットし、エッチング対象箇所を覆うレジスト膜を露光する。露光後、レジスト膜を現像液に晒して露光箇所に該当するレジスト膜を除去する。現像後のレジスト膜を備えた圧電体ウェハをエッチング液に浸し、薄肉部16を形成する。薄肉部16の形成が終了後、圧電体ウェハ板面からレジスト膜を除去する。その後、圧電体ウェハを圧電基板12として個片化するための枠状の貫通溝を形成する。貫通溝を形成するには、上述した工程と同様に、圧電体ウェハ板面にレジスト膜を形成し、レジスト膜に個片化のための枠状の開口を形成する。ここで、本実施形態では、貫通溝を形成するために用いるレジスト膜に、前記ディンプル24を形成するための複数の開口も設けるようにする。このような開口を有するレジスト膜を備えた圧電体ウェハをエッチング液に浸すことにより、圧電体ウェハには、圧電基板12としての個片形状に沿ったコの字状の貫通溝と、薄肉部16に対する複数の凹部(ディンプル)24とが形成される。圧電体ウェハに前記貫通溝と、前記ディンプル24を形成した後、レジスト膜を除去し、個片単位の圧電基板12に励振電極18、実装用電極パッド22、及び引出電極20を形成する。なお、各種電極の形成は、圧電基板12の板面に金属薄膜を形成した後、上記フォトリソの工程に準じて所望の形状にエッチングすることにより成せば良い。また、実際のフォトリソ工程では、圧電体ウェハとレジスト膜との間に金属薄膜を介在させてエッチング処理が行われる。
ここで、本実施形態の圧電基板12として採用しているATカット水晶振動片は、結晶構造に異方性を有しているため、ウェットエッチングを行った際のエッチングレートが、エッチングの進行方向によって異なるという性質を持っている。したがって、上記のように貫通溝を構成する工程と同時にディンプル24の形成を行った場合であっても、エッチング開始時の開口が微小な場合、結晶構造の関係によりエッチングが途中で終了し(エッチングストップ)、ディンプル24部分は貫通せず、溝部分のみ貫通するという加工を行うことができる。つまり、ディンプル24の深さは、ディンプル24の開口の大きさや形状、配置方向等を変えることにより、それぞれ違ったものとすることができる。このように、貫通溝の形成工程とディンプル24の形成工程とを同じ工程で実行することにより、従来と変わらない工程数で効率的に圧電振動片10を製造することが可能となる。
上記のような構成の圧電振動片10によれば、エネルギーが圧電基板の中央に集中する主振動である厚み滑り振動は、厚肉に形成された振動領域に閉じ込められ、良好に励起されることとなる。一方、圧電基板12の全体に振動が伝播する不要振動は、ディンプル24形成部の機械的損失が大きいため減衰することとなる。結果として等価抵抗値が低く、不要振動の影響の無い振動の励起が可能な圧電振動片とすることができる。また、上記のような構成の圧電振動片10であれば、厚肉部14と薄肉部16との段差、すなわちメサ深さが小さい場合であっても、不要振動の減衰に関して大きな効果を得ることができる。
次に、本発明の圧電振動片に係る第2の実施形態について図2を参照して説明する。なお、図2(A)は同図(B)におけるA−A断面を示す図であり、図2(B)は同図(A)における平面図である。本実施形態の圧電振動片は、第1の実施形態に係る圧電振動片と同様に、基板材料としてATカット水晶基板を用いるものであるが、メサ構造を有しない点で第1の実施形態の圧電振動片とは異なる。図2では、第1の実施形態に示した圧電振動片と同様な作用を担う部位については、図面中の符号に100を足した符号を附してその詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る圧電振動片110の基本的構成は、矩形状に形成された圧電基板の中央に、矩形状の励振電極118(118a,118b)を形成するというものであり、前記励振電極118と、圧電基板112の端部に設けられた実装用電極パッド122(122a,122b)との間には、両者間の電気的導通を図るための引出電極120(120a,120b)が設けられている。
このような基本構成を有する本実施形態の圧電振動片110では、励振電極118を形成した部位以外の箇所における圧電基板112の板面にブラスト加工を施し、表面処理を行ったことを特徴とする。このような表面処理は、第1の実施形態の圧電振動片10に示した複数のディンプル24と同様の効果を示すものであるが、凹部としての大きさは第1の実施形態に示した複数のディンプル24に比べて非常に小さなものとなり、凹部の大きさ、形状、配置間隔等は、さらに複雑な関係となる。このため、様々な振動モードの不要振動に対する減衰特性を得ることができる。
上記構成の圧電振動片の製造は、次のような工程を経る。まず、圧電基板112の基礎となる圧電体ウェハ(不図示)に対し、ウレタン系材料等を用いて圧電振動片110の振動部となる部位を覆うマスクを形成する。振動部となる部位にマスクを形成した圧電体ウェハの表面に対して、サンドブラスト等のブラスト加工を施す。次に、前記マスクを除去し、個片化のための貫通溝と励振電極、実装用電極パッド、引出電極等の各種電極を形成する。なお、貫通溝、及び各種電極の形成は、上記第1の実施形態と同様に、フォトリソの工程を経ることによれば良い。
上記のような本実施形態に係る圧電振動片は、上記第1の実施形態に示す圧電振動片10のように人為的に凹部を形成するよりもさらに多くの深さ、大きさ、配置間隔を持つ無数の凹部が形成されることとなるため、不要振動の減衰効果を高めることができる。また、第1の実施形態に示した圧電振動片10と同様に、主振動である厚み滑り振動の励起には影響を及ぼすことが無い。
次に、本発明の圧電振動片に係る第3の実施形態について、図3を参照して説明する。なお、図3は本実施形態に係る圧電振動片の平面構成を示すものであり、上記第2の実施形態と同様に、第1の実施形態に示した圧電振動片と同様の作用を奏する部位に関しては、図1に示した符号に200を足した符号を附して詳細な説明は省略することとする。
本実施形態の圧電振動片210は、圧電基板212の形状を第2の実施形態と同様に、矩形状の平板型とし、励振用電極218a(218b)以外の板面には、第1の実施形態と同様に、複数のディンプル224を設ける構成としている。このような構成を有する本実施形態の圧電振動片210は、上記第1の実施形態、第2の実施形態と異なり、励振電極218の形状を、楕円形状としたことを特徴としている。
厚み滑り振動のエネルギーは、圧電基板212の中央に楕円状に集中するため、この部分に励振用電極を設け、それ以外の部位に微小なディンプルを形成するということが、主振動である厚み滑り振動を得ながら、不要振動を減衰させることに最も効果的であると考えられるからである。
上記構成の圧電振動片の製造方法は、第1の実施形態に示した圧電振動片の、貫通溝を構成する工程以降と同様なため、詳細な説明は省略することとする。
次に、本発明の圧電振動片に係る他の実施形態について、図4、図5を参照して説明する。なお、図4、図5に示す実施の形態は、上記第1の実施形態、及び第3の実施形態に準ずる構成を持つものである。したがって、図4には、第1の実施形態に示す圧電振動片と同様の作用を奏する部位に図1の符号に300を足した符号を、図5には、400を足した符号を附して、その詳細な説明は諸略する。
本実施形態の圧電振動片310,410は、第1の実施形態に係る圧電振動片10、及び第3の実施形態に係る圧電振動片210の応用形態であり、圧電基板上にディンプル24,224を設けていた部位にブラスト加工による表面処理を施したことを特徴とするものである。
このような構成の圧電振動片によれば、第1の実施形態、第3の実施形態の圧電振動片10,210が奏する効果と、第2の実施形態に係る圧電振動片110が奏する効果とを併せて奏することができる。
なお、上記実施形態ではいずれも、引出電極や実装用電極パッドの形成部位にまでディンプルや表面処理を施すように記載しているが、これらの部位に対するディンプルの形成、及び表面処理を不要とした場合であっても、本発明の実施形態に該当することは言うまでも無い。また、上記それぞれの実施形態では、圧電基板の表裏面に対して同様にディンプルや表面処理を施しているが、例えばプラノメサ型の圧電振動片などの表裏非対称な構造を有する圧電基板に対しては、一方の面のみにディンプルや表面処理を施すようにしても良い。
次に、本発明の圧電デバイスに係る実施の形態について、図6を参照して説明する。なお、図6は、圧電デバイスの断面構造を示す図である。
図6に示す圧電デバイス500は、上記各実施形態に示した圧電振動片のいずれかを搭載したことを特徴とする圧電振動子の例を示すものである。その構成は、圧電振動片と、この圧電振動片を内部に搭載するパッケージ550とを基本とする。なお、パッケージ550の構成は、枡状に形成され、圧電振動片を実装するためのキャビティ532を備えるベース530と、前記ベース530の上部開口部を封止するリッド540とから成る。前記ベース530の構成部材は、例えばセラミック等の絶縁材料で形成することが望ましい。また、前記リッド540の構成部材は、前記ベース530と熱膨張係数の近い材質とすることが望ましく、薄肉部材とした場合でも、封止部の気密性を保つことができる部材であると良い。例えば前記ベース530をセラミックとした場合、リッド540の材質としてはガラスや水晶、あるいはコバール等の合金等を採用すると良い。なお、ベース530に対する圧電振動片の実装は、導電性接着剤560を用いれば良い。また、ベース530とリッド540との接合は、シールリング等を介してシーム溶接にて行われるようにすれば良い。
上記のような構成の圧電振動子500は、等価抵抗値が低く、不要振動の影響の無い良好な振動波形を奏する。
本発明の圧電振動片に係る第1の実施形態を示す図である。 本発明の圧電振動片に係る第2の実施形態を示す図である。 本発明の圧電振動片に係る第3の実施形態を示す図である。 本発明の圧電振動片に係る他の実施形態であって、第1の実施形態の応用形態を示す図である。 本発明の圧電振動片に係る他の実施形態であって、第3の実施形態の応用形態を示す図である。 本発明の圧電振動片を搭載した圧電振動子を示す図である。
符号の説明
10………圧電振動片、12………圧電基板、14………厚肉部、16………薄肉部、18(18a,18b)………励振電極、20(20a,20b)………引出電極、22(22a,22b)………実装用電極パッド、24………ディンプル(凹部)。

Claims (8)

  1. 厚肉部と当該厚肉部の周囲に形成した薄肉部とを有し、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、
    前記厚肉部の板面に励振用の電極を形成し、
    前記薄肉部の板面に、大きさと深さとのそれぞれが不規則な複数の凹部を形成したことを特徴とする圧電振動片。
  2. 主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、
    前記圧電基板の板面に対して楕円形状の励進用の電極を形成し、
    前記励振用の電極の周囲に位置する圧電基板の板面に、大きさと深さとのそれぞれが不規則な複数の凹部を形成したことを特徴とする圧電振動片。
  3. 前記複数の凹部は、配置間隔を不規則に定めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電振動片。
  4. 前記複数の凹部の形成をエッチングによって行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の圧電振動片。
  5. 厚肉部と当該厚肉部の周囲に形成した薄肉部とを有し、主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、
    前記厚肉部の板面に励振用の電極を形成し、
    前記薄肉部の板面にブラスト加工により表面処理を施すことを特徴とする圧電振動片。
  6. 主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、
    前記圧電基板の板面に励振用の電極を形成し、
    前記励振用の電極の周囲に配置された板面にブラスト加工により表面処理を施すことを特徴とする圧電振動片。
  7. 主振動を厚み滑り振動とする結晶構造を有する圧電基板によって構成される圧電振動片であって、
    前記圧電基板の板面に対して楕円形状の励進用の電極を形成し、
    前記励振用の電極の周囲に位置する圧電基板の板面をブラスト加工により表面処理を施したことを特徴とする圧電振動片。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の圧電振動片を搭載したことを特徴とする圧電デバイス。
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